昭和60(ネ)1004 ニュードライバー教習所賃金等請求

裁判年月日・裁判所
昭和61年11月28日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主   文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。        事   実 (求める裁判) 一 控訴人ら 1 原判決を取消す。 2 被控訴人は、控訴人らに対し、別紙請求債権目

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判決文本文5,086 文字)

主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 (求める裁判)一控訴人ら 1 原判決を取消す。 2 被控訴人は、控訴人らに対し、別紙請求債権目録の各総請求金額欄記載の金員及びこれらに対する昭和五八年一一月三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 4 この判決の第二、三項は、仮に執行することができる。 二被控訴人主文と同旨。 (主張)当事者の主張は、次に補正、付加する他は、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。 一補正 1 原判決別紙請求債権目録1ないし16を、この判決別紙請求債権目録1ないし12に改める。 2 原判決七枚目表七行目の「16」を「12」と、九行目の「10」を「7」と、同行から一〇行目にかけての「11ないし16」を「8ないし12」とそれぞれ改める。 3 同七枚目裏三行目の「16」を「12」と改める。 4 同七枚目裏六行目から同九枚目表一行目までを次のとおり改める。 「5(一) 本件請求権発生の根拠は、本件各協定にある。被控訴人は、乗務手当、勤務手当算定において、年次有給休暇(以下、年休という)を取得した場合を欠勤扱いしているが、このような各協約の解釈運用は、違法、無効であり、右協定の正しい解釈、運用ではない。本件各協定を憲法二五条、二七条、労働基準法(以下、労基法という)三九条、信義誠実の原則、条理に則り、正しく解釈するならば、乗務手当、勤務手当の算定において、年休を取得した場合を出勤扱いして算定すべきである。本件各協定を有効なものとなるよう解釈するためには、被控訴人の右解釈、運用は許されない。(二) 本件各協定は、乗務手当、勤務手当のいずれにおいても、一定額から欠勤日数に応じ、段階ごとに すべきである。本件各協定を有効なものとなるよう解釈するためには、被控訴人の右解釈、運用は許されない。(二) 本件各協定は、乗務手当、勤務手当のいずれにおいても、一定額から欠勤日数に応じ、段階ごとに減額することとしており、しかも、乗務手当については、年休権行使に先立つて協定が締結されており、勤務手当については、昭和五八年度分は、一部年休権行使に先立つて協定が締結されており、他は過去の年休権行使の後に協定が締結されてはいるものの、毎年同類型の協定が締結されている。このような各協定のもとで、年休を取得した場合を欠勤扱いして、乗務手当、勤務手当を段階ごとに減額するという解釈、運用が行われれば、それは、年休取得を理由に、賃金の一部を減額するという不利益を課すことになり、その不利益の金額も極めて多額になるから、労働者がこの不利益を回避しようとすれば、年休権行使をしないように強制されることになる。(三) 憲法二五条、二七条二項を具体化した労基法三九条の年休権は、労基法三九条一、二項の要件が充足されることによつて法律上当然に発生する権利であり、それは労働者に賃金の保障をすると共に実質的な休息を与えるためのものであるから、使用者は、年休手当の支給を含む年休を与える義務を負うと同時に、それを保障するため、時季変更権以外は、これを妨げてはならない。被控訴人の本件各協定の解釈、運用は、実質的に年休権行使を抑制することになるから、年休権を保障した労基法三九条に違反し許されない。本件各協定が、被控訴人の解釈、運用を招くものとして締結されたものならば、それは違法、無効である。(四) 被控訴人の賃金規定では、精勤手当では、年休を取得した場合は出勤扱いされると規定されている。同一会社における賃金体系からすれば、本件各協定の解釈においても同一でなければならない。」 る。(四) 被控訴人の賃金規定では、精勤手当では、年休を取得した場合は出勤扱いされると規定されている。同一会社における賃金体系からすれば、本件各協定の解釈においても同一でなければならない。」 5 同九枚目表末行の「16」を「12」と改める。 6 同九枚目裏四行目の「16」を「12」と改める。 二被控訴人 1 本件各協定は、労使間の合意を文書化したものであるから、その文面において、仮に不明で解釈すべき点があるとすれば、当事者の意思を解明すべきであり、これを無視して、法規に適合するように解釈すべきものではない。当事者の合意内容が違法であれば、その違法部分を無効とすればよいのである。 2 本件各協定は、控訴人らが原審で「原告としても、原告の所属する労働組合が被告との間で、有給休暇を取得して休んだことが、勤務手当や乗務手当の支給において不利益に取扱われるような賞与協定や賃金協定の各労働協約を締結したことを否定するものではない。」とか、「労働組合は、団体交渉で右協定の右のような問題点を指摘してきたが、被告は右協定をのむかのまないか、妥結したその月から賃上げや一時金支給をするとの態度に固執したので、労働組合としては、協定がなく一時金や賃上げがまつたくなされないままの状態が続くよりましだと考え、被告の提案に已むなく応諾した。」などと主張した程、当事者間では、明確に、実労働日数、時間をもつて計算することに合意が成立していたのである。 3 本件訴訟は、控訴人ら全員が所属する労働組合と被控訴人との間で締結された各年度の協定を無視し、右各協定に反する請求をしていることは明白である。本件請求は、協定の有する不可争力に反するものとして、或いは信義則違反として棄却されるべきである。 4 被控訴人の次長Aの証言、控訴人ら所属労働組合の分会長兼副中央執行委員長である控 は明白である。本件請求は、協定の有する不可争力に反するものとして、或いは信義則違反として棄却されるべきである。 4 被控訴人の次長Aの証言、控訴人ら所属労働組合の分会長兼副中央執行委員長である控訴人Bの供述によれば、本件各協定では、乗務手当、勤務手当のいずれにおいても、年休取得日は、出勤日数とみなさない取扱をすることを前提に、そのことを内容として合意されたことが明らかである。 三控訴人ら被控訴人の右3の主張は否認する。 本件各協定では、年休を勤務手当、乗務手当算定にあたつて、出勤日数や乗務時限数に算入するか否かについては、労使間には何らの合意もされていない。 仮に右合意が存在するとしても、右合意部分は労基法三九条違反として、その部分は無効となり、何も合意しなかつたことになる。 (立証)(省略) 理由 一引用にかかる請求原因1ないし4の事実及び被控訴人が年休手当として労基法三九条四項所定の健保日額を支給していることは、当事者間に争いがない。 二そこで、被控訴人の抗弁について判断する。 1 まず、自白の成立について判断する。 本件記録によれば、控訴人らは、原審第二回口頭弁論期日で陳述した昭和五九年一月三〇日付準備書面で、被控訴人が当審の主張2で指摘した主張をし(同準備書面第一の二)、更に第三回口頭弁論期日で、「勤務手当、乗務手当に関する労働協約には、右手当額算出について有給休暇の取扱についての明文の定めはないが、協約締結前の労使間の団体交渉の際に被告側が有給休暇は右手当算出について考慮しないことを主張し、右協約はこれを前提として締結されたものである。」と主張したが、第五回口頭弁論期日で右各主張を撤回し、「原告の所属する労働組合が被告との間で有給休暇を取得して休んだことが勤務手当や乗務手当の支給において不利益に取 提として締結されたものである。」と主張したが、第五回口頭弁論期日で右各主張を撤回し、「原告の所属する労働組合が被告との間で有給休暇を取得して休んだことが勤務手当や乗務手当の支給において不利益に取扱われるような賞与協定や賃金協定の各労働協約を締結したことはない。」と主張し、被控訴人は直ちに右主張は自白の撤回となるとして異議を申し立てた。 被控訴人は、第一回口頭弁論で陳述した答弁書で、求釈明の理由として、「被告は、原告ら所属組合との間で成立した労使間協定に基づき、同協定どおりに賃金や賞与支給を行つてきたつもりである。」と述べている。 右当事者双方の主張を検討すると、被控訴人の抗弁については、自白が成立している。 2 そこで、控訴人らの自白の撤回について判断する。 成立に争いのない甲第一号証、第三号証、第五ないし第七号証、第九号証、証人Aの証言、控訴人B本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すると、控訴人らはいずれも京都自動車教習所労働組合(旧名称、全自動車教習所労働組合)に所属しているところ、同組合は、被控訴人と本件各協定を締結するに際し、年休取得日が出勤日として扱われないことを前提として合意したことが認められ、他にこの認定を覆すに足る証拠はない。 3 右認定によれば、控訴人らの自白の撤回は、真実に反しているから許されない。 三控訴人らは、本件各協定で、年休取得日を出勤扱いにしないのは、労基法三九条違反で無効である旨主張するので、これについて判断する。 1 労基法三九条は、使用者に同条四項所定の金員を支払つて、労働者に同条一、二項所定の有給休暇を与えることを義務づけている被控訴人が、控訴人らに年休を与えていない旨の主張はないし、被控訴人が年休手当として労基法三九条四項所定の健保日額を支給していることは、前記当事者間に争いのない事実記載の えることを義務づけている被控訴人が、控訴人らに年休を与えていない旨の主張はないし、被控訴人が年休手当として労基法三九条四項所定の健保日額を支給していることは、前記当事者間に争いのない事実記載のとおりである。 そうすると、年休の付与については、被控訴人には、労基法三九条違反の事実はない。 2 (乗務手当)成立に争いのない甲第一二号証(賃金規定)によれば、乗務手当は、賃金規定中の第三章(基準外賃金)第一五条(時間外手当)第三項に規定され(なお、同条第一、二項は残業についての時間外賃金に関する規定である。)、その内容は、技能指導員については勤務時限に応じ一定額の手当を支払うものであることが認められ、他に、この認定を覆すに足る証拠はない。 出勤日の乗務時限が特定されていること、年休取得日(一日未満もある)の乗務時限を何時間とするかについての規定、労使間の合意の存在の主張、立証はない。 本件各協定及び右認定によれば、乗務手当は、技能指導員について一定額が定められていて、欠勤(乗務しない時限)に応じてこれを減額するものではない。 そうすると、本件各協定のうち、乗務手当について、年休取得日を出勤日として扱わない旨の労使の合意は、労基法三九条に直接違反するものでないし、その趣旨に反するものでもなく、又、公序良俗に反するものでもなく、有効なものである。 3 (勤務手当)勤務手当に関する認定判断は、次に補正する他は、原判決一五枚目裏八行目から同一七枚目裏六行目までと同一であるから、これを引用する。 (一) 原判決一六枚目表四行目末尾の「結」から八行目までを「本件では、本件各協定について、年休取得日を出勤日として扱わないことを被控訴人と控訴人ら所属労働組合が合意しているので、右差額が著るしく大きく、労働者をして年休取得を抑制させる程度のものと認め を「本件では、本件各協定について、年休取得日を出勤日として扱わないことを被控訴人と控訴人ら所属労働組合が合意しているので、右差額が著るしく大きく、労働者をして年休取得を抑制させる程度のものと認められる場合には、労基法三九条に反するものとして無効とすべきである。」と改める。 (二) 同一七枚目裏二行目から六行目までを「ないが、右差額が著るしく大きく、労働者をして年休取得を抑制させる程度のものとは認められず、勤務手当について年休取得日を出勤日として扱わない旨の労使の合意は、労基法三九条に反せず、公序良俗にも反せず、有効なものである。」と改める。 四以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、控訴人らの請求は、いずれも理由がないので、これらを棄却した原判決は相当であるから、本件控訴をいずれも棄却することとし、控訴費用については、民訴法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官上田次郎道下徹渡辺修明)請求債権目録1~12(省略)

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