【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五五年三月二七日付でした、昭和五四年(金)第三八一 号供託金
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五五年三月二七日付でした、昭和五四年(金)第三八一号供託金に対する払渡請求認可処分(同年六月二〇日付)の取消処分を取消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文と同旨第二当事者の主張一請求原因 1 本件処分に至る経緯(一) 訴外兵庫労働金庫は、その預金債権者が、訴外総評全国金属労働組合東洋シート支部(以下、「東洋シート支部」という。)又は原告のいずれであるかが不確知であるとして、昭和五四年六月一二日、供託所である神戸地方法務局伊丹支局において、右預金債権二一三万二〇五五円を弁済供託し、被告は、同日付でこれを受理した(供託番号昭和五四年(金)第三八一号、以下、「本件弁済供託」ともいう。)。 (二) 原告は、同月二〇日被告に対し、右供託金の払渡(還付)を請求したところ(以下、「本件還付請求」という。)、被告は、原告を唯一の権利者であると認め、原告に対し、右供託金全額について払渡を認可する処分(以下、「本件認可処分」という。)をした。 (三) その後、被告は、昭和五五年三月二七日付で本件認可処分を取消す処分(以下、「本件処分」という。)をしたが、その理由とするところは、本件還付請求には、添付書類として必要な、原告が還付を受ける権利を有することを証する書面、すなわち、被供託者の一方の承諾書が欠けていたということにある。 2 本件処分の違法しかし、本件認可処分は適法であるから、これを取消した本件処分は違法である。 3 よつて、原告は、本件処分の取消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因第1項のうち、被告が原告を唯一の権利者であると認めて本件認可処分を行つたことは否認 消した本件処分は違法である。 3 よつて、原告は、本件処分の取消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因第1項のうち、被告が原告を唯一の権利者であると認めて本件認可処分を行つたことは否認し、その余の事実は認める。 2 請求原因第2項の主張は争う。 三被告の主張 1 供託官の審査権限及びこれに対する司法審査の範囲について(一) 供託法(以下、「法」という。)は、供託官の審査権限の範囲に関し、一般的な規定を置いていない。 (二) しかし、供託官が供託物の還付又は取戻による払渡を行うに当たつては、その提出された書面によつて法定の形式上、実体上の一切の要件を審査して、その払渡を行うべきかどうかを決すべきものであり、特にその払渡を請求する者の権利の存否、すなわち、実体上の要件については供託物払渡請求書の記載及びこれを証する書面その他の添付書類を通じて払渡請求権の存否を審査すべきものである。 (三) 従つて、供託官は、右審査に際しては、供託物払渡請求書が所定の様式に従つて作成されていること、その添付書類が完備していること、請求書の記載内容が供託書のそれと一致していることなどのような形式的要件だけではなく、請求書における還付請求事由の記載及び請求書の添付書類の記載などからみて、当該請求者が実体上供託物の還付を受ける権利を有するかどうかなどの実体的要件についても審査を行う権限を有するものであるが、それ以上に進んで、他の資料を収集して、右添付書類の内容について、実体的権利の存在を審査すべき権限を有するものではない。このような意味において、供託官は、形式的な審査権限を有するにとどまるものである。 (四) そして、このように供託官の審査権限が形式的なものにとどまる以上、供託官の処分に対する不服の訴えにおいて、裁判所が供託官のした処分の適否を判断する な審査権限を有するにとどまるものである。 (四) そして、このように供託官の審査権限が形式的なものにとどまる以上、供託官の処分に対する不服の訴えにおいて、裁判所が供託官のした処分の適否を判断するに当たつても、それが供託官の審査権限の範囲内において適法にされたものであるかどうかを審査して、その適否を判断すべきものといわなければならない。 2 本件処分の適法性について(一) 供託物の還付請求に当たつては、請求者は、その権利、すなわち、還付請求の要件が充足していることを証明しなければならない(法八条一項)が、この要件としては、一般に、被供託者が確定していること、被供託者の供託物に対する実体的請求権が確定していること及び被供託者の右請求権行使の条件が成就していることが必要である。 ところが、債権者不確知を理由とする供託の場合には、供託書の上では、債権者(供託物還付請求権者)が確定していないのであるから、供託所が供託物を払い渡す場合に、供託書に記載されている被供託者(債権者)のうちだれに供託物を払い渡すべきかの問題が生ずる。 そこで、供託規則(以下、「規則」という。)は、このような場合に供託所が供託物を払い渡すためには、還付請求権者において、供託物の還付を受ける権利を有することを証する書面を提出し、自ら被供託者中自己が真正の還付請求権者であることを証明しなければならないものと定め(規則二四条二号本文)、この問題を解決している。 従つて、債権者不確知を理由として供託が行われた場合に、供託物の払渡しを受けるには、還付請求権者は、権利の行使を妨げている者を相手方とする確定判決、調停調書又は和解調書若しくは印鑑証明書の添付のある被供託者の一方の承諾書など、自己が唯一の権利者であることを確実に証明する書面を得て還付請求をしなければならない。 (二) そこ 方とする確定判決、調停調書又は和解調書若しくは印鑑証明書の添付のある被供託者の一方の承諾書など、自己が唯一の権利者であることを確実に証明する書面を得て還付請求をしなければならない。 (二) そこで、これを本件についてみるのに、(1) 債権者不確知を理由とする供託の場合、還付請求権者において、どういう権利関係の確定を証明すれば、自己が供託物還付請求権を有することを証明することができるかについては、債権者不確知の態様により異なるが、本件のように供託者が実体上の原因関係(供託の原因たる事実)において、「東洋シート支部の労働組合が東洋シート労働組合と二つに分裂し生存し、双方より正当な預金権利者であるとして主張して係争中である」ことを明らかにして供託している場合には、原告と東洋シート支部間の訴訟の確定判決、調停調書又は和解調書若しくは東洋シート支部において、原告が権利者であることを認めた印鑑証明書付きの承諾書によりその還付請求権の確定を証明しなければならないのであつて、これ以外の書面は、本件供託金の「還付を受ける権利を有することを証する書面」には該当しない。 (2) ところが、本件還付請求に際し、原告が「還付を受ける権利を有することを証する書面」として提出した添付書類(以下、「本件添付書類」という。)は別紙添付書類目録(1)ないし(8)記載の書面であるが、次に述べるとおり、いずれも原告が真正の還付請求権者であることを証するものではない。 (イ) 東洋シート支部の前執行委員長A作成の同目録(1)記載の書面は、A個人が作成した文書であり、その記載内容からみても、被供託者の一方である東洋シート支部の承諾書と認めることはできない。 (ロ) その他、同目録(2)ないし(8)記載の各書面は、いずれも原告と東洋シート支部の両者が同一人格であるということを疎明し も、被供託者の一方である東洋シート支部の承諾書と認めることはできない。 (ロ) その他、同目録(2)ないし(8)記載の各書面は、いずれも原告と東洋シート支部の両者が同一人格であるということを疎明しようとするもの又は権利能力なき社団である原告の代表者の資格を証明しようとするものであるに過ぎない。 (三) このように、本件還付請求は、原告が還付を受ける権利を有することを証する書面を添付しなかつたものであるから、本来、被告は、形式的審査によつて、右請求を却下すべきであつた。 ところが、被告は、前記目録(1)の書面を東洋シート支部の承諾書と誤信した結果、本件認可処分を行つたのであるから、同処分は違法であつた。 (四) 従つて、本件認可処分を取消した本件処分は適法である。 3 以上のとおりであるから、本件処分が違法であることを前提とする原告の本訴請求は、失当である。 四被告の主張に対する認否 1 被告の主張第1項(一)の主張は認め、その余の主張は争う。 2 被告の主張第2項について(一) 同項(一)の主張は争う。 (三) 同項(二)の(1)の主張は争う。同(2)の胃頭部分のうち、本件添付書類が真正の還付請求権者を証明する書面ではないとの主張は争い、その余の事実は認める。同(イ)のうち、別紙添付書類目録記載(1)の書面がA個人作成の文書であることは否認し、その余の主張は争う。同(ロ)の主張は争う。 (三) 同項(三)の前段の主張は争う。同後段のうち、本件認可処分が違法であるとの主張は争い、その余の事実は否認する。 (四) 同項(四)の主張は争う。 3 被告の主張第3項の主張は争う。 五原告の反論 1 供託官の審査権限及びこれに対する司法審査の範囲について(一) 供託官の審査権限は、一般に形式的審査権であるとされているが、その内容は、右審査の対象としては実 3項の主張は争う。 五原告の反論 1 供託官の審査権限及びこれに対する司法審査の範囲について(一) 供託官の審査権限は、一般に形式的審査権であるとされているが、その内容は、右審査の対象としては実体的事項に及ぶが、審査に供する資料は、関係人の提出する書面に限られるということである。 しかし、供託官は、右提出された書面に記載された内容の真偽については、独自にこれを調査することができるものと解すべきである。 (二) 従つて、供託官のした処分に対する不服の訴えにおいて、裁判所が供託官のした処分の適否を判断する際には、供託官の行つた処分時に関係者において提出していた添付書類の記載内容の真偽も、司法審査の対象になるものと解すべきである。 2 本件認可処分の適法性について(一) 民法四九四条二文にいう「債権者ヲ確知スルコト能ハサルトキ」とは、債権者が誰であるかを確知し得ないことをいうが、このような債権者不確知による供託の場合、供託金の還付請求に際して添付を要求される「還付を受ける権利を有することを証する書面」は、被供託者の一方の承諾書又はこれに代わる書面に限定されるいわれはない。 従つて、当該還付請求権者において、供託金の還付を受ける唯一の権利者であることを証明する書面を添付することで必要かつ十分であるというべきである。 (二) そこで、これを本件についてみるのに、(1) 原告は、もと総評全国金属労働組合東洋シート支部と称していた(以下、後記総評全国金属労働組合脱退前の右組合を「旧東洋シート支部」という。)が、昭和五四年五月支部規約に基づいて、株式会社東洋シート伊丹工場において臨時大会を開催し、上部団体である総評全国金属労働組合を組織脱退することを決議し、その後、名称を現在名に改めたが、右組織脱退に関する決議では、一名の反対者もいなかつた。 このよ ート伊丹工場において臨時大会を開催し、上部団体である総評全国金属労働組合を組織脱退することを決議し、その後、名称を現在名に改めたが、右組織脱退に関する決議では、一名の反対者もいなかつた。 このように、旧東洋シート支部が東洋シート支部と原告との二つの労働組合に分裂したというような事実は全く存しないから、兵庫労働金庫が前記供託を行つた際の被供託者の一方である東洋シート支部は事実として存在せず、従つて、原告と旧東洋シート支部は同一の組合である。 (2) そして、このように、債権者不確知を理由とする供託において被供託者の一方が存在しない場合には、その承諾書を「還付を受ける権利を有することを証する書面」として提出することは不可能であるから、供託物還付請求権者としては、右承諾書に代え、被供託者として掲げられた他の一方が存在しないことを明らかにする書面を添付することで自己が還付を受ける権利者であることを証明できるものと解すべきである。 (3) そこで、本件において、原告は、本件添付書類によつて兵庫労働金庫の指摘するようを組合の分裂は事実として存在しないこと及び原告が前記供託金の払渡しを受けるべき唯一の権利者であることを明らかにして本件払渡請求を行つているのであるから、同請求は適法である。 (三) 従つて、原告の右請求を認容した本件認可処分も適法である。 3 以上のとおりであるから、本件処分は違法であり、被告の主張は失当である。 六原告の反論に対する認否 1 原告の主張第1項(一)前段の主張は認め、同後段の主張は争う。同項(二)の主張は争う。 2 原告の反論第2項について(一) 同項(一)の主張は争う。 (二) 同項(二)の(1)のうち、原告と東洋シート支部とが同一の組合であるとの主張は争い、その余の事実は否認する。 同(2)の主張は争う。同(3)のうち 項について(一) 同項(一)の主張は争う。 (二) 同項(二)の(1)のうち、原告と東洋シート支部とが同一の組合であるとの主張は争い、その余の事実は否認する。 同(2)の主張は争う。同(3)のうち、本件還付請求が適法であるとの主張は争い、その余の事実は否認する。 (三) 同項(三)の主張は争う。 3 原告の反論第3項の主張は争う。 七被告の反論 1 旧東洋シート支部の総評全国金属労働組合脱退当時の組合規約によれば、組合規約の変更若しくは全国的組織を持つ団体への加入又は脱退は、組合大会に付議してこれを決することになつているが、別紙添付書類目録(4)及び(5)記載の書面は、いずれも東洋シート支部伊丹分会に所属する組合員だけで構成された大会の議事録であつて、組合全体の大会議事録ではない。 2 また、旧東洋シート支部広島分会では、総評全国金属労働組合脱退に反対して旧東洋シート支部に残つた組合員があり、右組合員らで組織する東洋シート支部と原告とは、現在争訟中である。 3 従つて、これらの事実に照らせば、原告と旧東洋シート支部とが同一の組合であり、東洋シート支部が現在しない団体であるとはいえないから、原告の反論は失当である。 八被告の反論に対する認否被告の反論第1項及び第2項の各事実は否認する。同第3項の主張は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一請求原因第1項の事実(本件処分に至る経緯)は、被告が原告を唯一の権利者であると認めて本件認可処分を行つたかどうかの点を除き、当事者間に争いがない。 二本件処分の適否についてそこで、次に、本件処分の適否について検討する。 1 供託官の審査権限の範囲について(一) 弁済供託は、弁済者の申請により供託官が債権者のために供託物を受け入れ管理するものであるが、供託により弁済者は債務を免れることとなるばかりでな て検討する。 1 供託官の審査権限の範囲について(一) 弁済供託は、弁済者の申請により供託官が債権者のために供託物を受け入れ管理するものであるが、供託により弁済者は債務を免れることとなるばかりでなく、金銭債務の弁済供託事務が大量で、しかも、確実かつ迅速な処理を要する関係上、法律秩序の維持、安定を期するという公益上の目的から、法は、国家の後見的役割を果たすため、国家機関である供託官に供託事務を取り扱わせることとしたうえ、供託官が債権者から供託物還付の請求を受けたときは、行政機関としての立場から右請求につき理由があるかどうかを判断する権限を供託官に与えたものと解するのが相当である(最高裁昭和四五年七月一五日大法廷判決、民集第二四巻第七号七七一頁参照)。 (二) このように、債務者の救済等のための弁済供託において供託事務を国家機関である供託官の権限に委ね、簡易迅速に権利者の保護をはかろうとする供託制度の趣旨に照らせば、供託官に与えられた審査権限は、形式的審査権、すなわち、その審査の対象は、実体的事項にも及ぶものの、審査に供する資料は関係人の提出した書面に限られるものと解するのが相当である。 そして、これを供託物還付請求についていうならば、供託官は、当該供託書のほか、還付を受けようとする者が提出した供託物払渡請求書(規則二二条)及びこれに添付されている書類(同二四条)の各記載によつて実体的要件の審査を行うことができ、また、このような審査を行うべき職責をも有するものであるが、右審査の資料は、あくまでも、右供託物払渡請求書及び添付書類に限られるものと解するのが相当である。 (三) 従つて、他の資料に基づく実質的審査を行うことによつて初めて判明しうるこれらの書類の記載内容の真偽については、供託官はこれを審査する権限を有しないものと解すべきである。 のが相当である。 (三) 従つて、他の資料に基づく実質的審査を行うことによつて初めて判明しうるこれらの書類の記載内容の真偽については、供託官はこれを審査する権限を有しないものと解すべきである。 2 供託官の審査に対する司法審査の範囲について抗告訴訟における訴訟物は、当該行政処分の違法性であると解されるから、司法審査の対象は、処分行政庁の権限行使についての違法性の有無である。ところで、行政庁が審査権限を有しない事項について審査をしなかつたことの故に当該行政処分が違法性を帯びるものとは解し得ないから、右処分に対する抗告訴訟においても、裁判所は、行政庁の審査権限に属しない事項について審査をし、これを理由として行政庁のした処分を取消すことはできないものと解するのが相当である。 従つて、供託官が還付請求を却下した処分に対して抗告訴訟が提起された場合においても、裁判所が審査をしうる範囲は、前述した供託官が形式的審査権を有する事項にとどまるものと解される。 3 本件処分の適否について(一) 供託物の還付請求に当たつては、請求者は、その権利、すなわち、還付請求の要件を充足することを証明しなければならない(法八条一項)が、この要件を充足するためには、一般に、被供託者が確定していること、被供託者の供託物に対する実体的請求権が確定していること及び被供託者の供託物に対する実体的請求権行使の条件が成就していることが必要である。 ところが、債権者不確知を理由とする供託の場合には、供託書の上では、債権者が確定していないのであるから、供託所は、供託書に記載されている被供託者(債権者)がだれであるか又は被供託者として記載されている複数の者のうちだれが正当な債権者であるかを、供託書の記載により確定することができない。 そこで、規則は、このような場合には、供託物払渡請求書に 債権者)がだれであるか又は被供託者として記載されている複数の者のうちだれが正当な債権者であるかを、供託書の記載により確定することができない。 そこで、規則は、このような場合には、供託物払渡請求書に「還付を受ける権利を有することを証する書面」を添付しなければならない旨規定し(規則二四条二号本文)、還付請求者において、自ら被供託者中自已が真正の還付請求権者であることを書面により証明しなければならないものとしているのである。 (二) そこで、本件については、どのような書面が「還付を受ける権利を有することを証する書面」に当たるかについて検討するのに、(1) 兵庫労働金庫において、旧東洋シート支部が、原告と東洋シート支部の二つの組合に分裂し、双方が正当な預金権利者であると主張して係争中であることを理由に本件弁済供託を行つたことは、前述のとおり、当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第一号証によれば、本件弁済供託の供託書には、供託の原因たる事実として右同趣旨の記載があることが認められる。 (2) ところで、債権者不確知を理由とする供託の場合、還付請求者において、どのような権利関係の確定を証明すれば、同人が還付を受ける権利を有することを証明できるかについては、債権者不確知の態様によつても異なるが、本件においては、前記のとおり、原告と東洋シート支部との間に債権の帰属について争いがあるとして供託が行われ、その旨供託書に記載されているのであるから、原告が還付請求をするためには、原告と東洋シート支部間において、供託の原因となつている債権が原告に帰属する旨を明らかにした確定判決、調停調書、和解調書若しくは東洋シート支部の印鑑証明書付きの承諾書、又はこれらに準ずる書面によつてその還付請求権の確定を証明しなければならないのであつて、これ以外の書面は、特段の事情 した確定判決、調停調書、和解調書若しくは東洋シート支部の印鑑証明書付きの承諾書、又はこれらに準ずる書面によつてその還付請求権の確定を証明しなければならないのであつて、これ以外の書面は、特段の事情のない限り、本件供託金の「還付を受ける権利を有することを証する書面」には該当しないものと解するのが相当である。 (3) ところで、本件還付請求に際し、原告が「還付を受ける権利を有することを証する書面」として、別紙添付書類目録(1)ないし(8)記載の各書面を提出したことは、当時者間に争いがないところ、成立に争いのない乙第二号証の二ないし九によれば、次の各事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (イ) 同目録(1)記載の書面(同号証の二)は、旧東洋シート支部の前の執行委員長であり、原告の組合員である訴外A個人が作成した書面であつて、旧東洋シート支部の役員改選、総評全国金属労働組合からの組織脱退及び名称変更の経過を説明し、東洋シート支部が存在せず、原告が唯一の還付請求権者である旨を証明しようとする書面である。 (ロ) 同目録(2)及び(3)記載の書面は、昭和五三年七月に行われた旧東洋シート支部の役員改選の結果を記載しか書面、同目録(4)記載の書面は、昭和五四年二月に行われた旧東洋シート支部の役員改選の結果を記載した書面、同目録(5)及び(6)記載の書面は、旧東洋シート支部が上部団体である総評全国金属労働組合から脱退して組合の名称を変更する旨の臨時大会決議がされたこと及び労働金庫力闘争積立金についての質疑が行われたことを記載した議事録、同目録(7)及び(8)は、A及び原告代表者個人の印鑑登録証明書であつて、いずれも、原告と旧東洋シート支部とが同一性を有し、東洋シート支部が存在しないことを証明しようとするもの、あるいは、権利能力なき社団である原 び(8)は、A及び原告代表者個人の印鑑登録証明書であつて、いずれも、原告と旧東洋シート支部とが同一性を有し、東洋シート支部が存在しないことを証明しようとするもの、あるいは、権利能力なき社団である原告の代表者の資格を証明しようとするものである。 右認定事実によれば、本件添付書類は、原告と東洋シート支部間において、供託の原因となつている債権が原告に帰属する旨を認めた確定判決、調停調書又は和解調書若しくは東洋シート支部の印鑑証明書付きの承諾書のいずれにも該当しないことが明らかである。 (4) なお、原告は、旧東洋シート支部が分裂した事実は存しないので、旧東洋シート支部と原告とは同一性を有し、東洋シート支部は事実として存在しないから、このような場合には、被供託者の一方の承諾書に代え、被供託者として掲げられた他の一方が存在しないことを明らかにする書面を添付すれば足りる旨主張する。 しかし、前掲乙第二号証の二ないし九並びに原告代表者尋問の結果及びこれにより真正に成立したものと認められる甲第一六号証を総合すれば、次の各事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (イ) 旧東洋シート支部は、原告肩書住所地に事務所及び伊丹分会を、広島県安芸郡<地名略>に広島分会をそれぞれ置く労働組合であつた。 (ロ) 昭和五四年四月から同年五月にかけ、旧東洋シート支部が総評全国金属労働組合を組織脱退し、原告名に名称を変更するに際し、伊丹分会では反対者がいなかつたが、広鳥分会では、四、五名の組合員が右組織脱退に反対し、東洋シート支部名で労働組合を組織し、現在、広島において、原告との間で争訟中である。 右認定の事実に照らせば、本件全証拠によつても、原告と旧東洋シート支部とが同一性を有し、東洋シート支部が現存しない団体であるとはいまだ認め得ないから、原告の右主張は、その 原告との間で争訟中である。 右認定の事実に照らせば、本件全証拠によつても、原告と旧東洋シート支部とが同一性を有し、東洋シート支部が現存しない団体であるとはいまだ認め得ないから、原告の右主張は、その前提を欠くものといわなければならず、仮に、旧東洋シート支部が原告と東洋シート支部に分裂した事実がなかつたとしても、右認定の事実に前記認定の本件添付書類の記載内容及び供託書に供託の原因たる事実として記載された内容を合わせてみるときは、本件添付書類のみによつて、原告が主張するような事実が証明されているとは認め難い。 (5) 従つて、本件還付請求には、「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がなかつたものといわなければならない。 (三) 本件処分の適否について(1) 証人Bの証言及び前掲乙第二号証の二によれば、当時、被告の地位にあつた同人は、別紙添付書類目録(1)記載の文書を東洋シート支部の承諾書であると誤信した結果、本来ならば、「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がないとして却下すべきであつた本件還付請求を認め、本件認可処分を行つたこと及び本件認可処分後、東洋シート名で本件認可処分に対する不服の申立てがあつたので、同人において再調査したところ、右却下すべき事由が判明したので、本件処分を行つたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 (2) 以上述べたところによれば、本件認可処分を取消した本件処分は、適法な処分であるというべきである。 三結論よつて、原告の本訴請求は理由がないものとして、これを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官村上博巳笠井昇田中敦) 主文 政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官村上博巳笠井昇田中敦)
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