平成13年(行ケ)第562号特許取消決定取消請求事件(平成15年1月27日口頭弁論終結)判決原告株式会社河合楽器製作所訴訟代理人弁理士若原誠一被告特許庁長官太田信一郎指定代理人白樫泰子同村山隆同小林信雄同高橋泰史同宮川久成 主文 特許庁が平成11年異議第73169号事件について平成13年10月18日にした決定を取り消す。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「音楽情報処理装置及び音楽情報処理方法」とする特許第2859756号発明(平成3年6月21日特許出願,平成10年12月4日設定登録。以下「本件発明」といい,その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,平成11年異議第73169号事件として特許庁に係属した。原告は,平成12年6月6日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載について訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。 特許庁は,上 係属した。原告は,平成12年6月6日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載について訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。 特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成13年10月18日,「特許第2859756号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年11月17日,原告に送達された。 (2) 原告は,同年12月11日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後,平成14年11月7日,本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正2002-39238号事件として審理した結果,同年12月17日,本件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月28日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 登録に係るもの【請求項1】楽譜の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示する手段と,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段と,この記憶されている音楽記号情報を順次サーチして,このサーチされた音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて楽譜の先頭から順番に演奏順に整理し,発音のための演奏情報として出力する手段とを備えたことを特徴とする音楽情報処理装置。 【請求項2】楽譜の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示させ,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上 処理装置。 【請求項2】楽譜の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示させ,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段に対し,この記憶されている音楽記号情報を順次サーチさせて,このサーチされた音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて楽譜の先頭から順番に演奏順に整理させ,発音のための演奏情報として出力させることを特徴とする音楽情報処理方法。 (2) 本件訂正請求に係るもの(訂正部分には下線を付す。)【請求項1】楽譜の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示する手段と,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段と,上記楽譜の五線の先頭の表示座標と末尾の表示座標とを発生する手段と,この発生された五線の先頭の表示座標から末尾の表示座標にかけて,当該五線以外の上記記憶されている音楽記号情報を順次サーチする手段と,このサーチされた五線以外の音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて上記五線の先頭から末尾にかけて順番に演奏順に整理し,発音のための演奏情報として出力する手段とを備えたことを特徴とする音楽情報処理装置。 【請求項2】楽譜の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示させ,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段に対し, 示させ,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段に対し,上記楽譜の五線の先頭の表示座標と末尾の表示座標とを発生させ,この発生された五線の先頭の表示座標から末尾の表示座標にかけて,当該五線以外の上記記憶されている音楽記号情報を順次サーチさせ,このサーチされた五線以外の音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて上記五線の先頭から末尾にかけて順番に演奏順に整理させ,発音のための演奏情報として出力させることを特徴とする音楽情報処理方法。 (3) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)【請求項1】任意に指定された表示座標及び任意に指定された長さに対応した楽譜の複数の五線の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示するとともに,楽譜の五線以外の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを当該表示手段に表示する手段と,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段と,上記表示手段の中で上記五線をサーチするために指定された五線範囲の中で,複数の五線を順次サーチし,このサーチされた複数の五線を演奏順に整理し,この演奏順の情報と当該五線の上記表示座標とを対応づけて記憶するとともに,上記サーチされた五線が連結五線であれば連結五線であることを示す情報も併せて記憶する手段と,上記各五線ごとに,当該五線を含み,この五線の前,後,上,下に所定の寸法を有する五線エリアを設定し,この設定された五線エリアの大きさを記憶する手段と,この記憶さ 記憶する手段と,上記各五線ごとに,当該五線を含み,この五線の前,後,上,下に所定の寸法を有する五線エリアを設定し,この設定された五線エリアの大きさを記憶する手段と,この記憶された大きさの五線エリア内の当該五線以外の上記記憶されている音楽記号情報を順次サーチして,このサーチされた五線以外の音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて順番に演奏順に整理し,発音のための演奏情報として出力し,これらのサーチ,整理及び出力を上記演奏順に整理された他の五線についても順次繰り返して,上記五線の演奏順に当該演奏情報を整理し,当該五線が上記連結五線であることを示すデータを有していれば,この連結五線の音楽記号情報については並行して演奏されるように演奏情報を整理し,出力するとともに,設定されたテンポ及び設定された音色で当該演奏情報を出力する手段とを備えたことを特徴とする音楽情報処理装置。 【請求項2】任意に指定された表示座標及び任意に指定された長さに対応した楽譜の複数の五線の表示用のグラフィックパターンを表示手段に表示させるとともに,楽譜の五線以外の各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンを当該表示手段に表示させ,この表示手段に表示される表示用のグラフィックパターンの表示座標に対応させて,上記各種音楽記号の表示用のグラフィックパターンの音楽的意味を示す音楽記号情報を記憶する手段につき,上記表示手段の中で上記五線をサーチするために指定された五線範囲の中で,複数の五線を順次サーチさせ,このサーチされた複数の五線を演奏順に整理し,この演奏順の情報と当該五線の上記表示座標とを対応づけて記憶させるとともに,上記サーチされた五線が連結五線であれば連結五線であることを示す情報も併せて記憶させ,上記各五線ごとに,当 理し,この演奏順の情報と当該五線の上記表示座標とを対応づけて記憶させるとともに,上記サーチされた五線が連結五線であれば連結五線であることを示す情報も併せて記憶させ,上記各五線ごとに,当該五線を含み,この五線の前,後,上,下に所定の寸法を有する五線エリアを設定させ,この設定された五線エリアの大きさを記憶させ,この記憶された大きさの五線エリア内の当該五線以外の上記記憶されている音楽記号情報を順次サーチさせて,このサーチされた五線以外の音楽記号情報を,上記表示座標に基づいて順番に演奏順に整理させ,発音のための演奏情報として出力させ,これらのサーチ,整理及び出力を上記演奏順に整理された他の五線についても順次繰り返しさせて,上記五線の演奏順に当該演奏情報を整理させ,当該五線が上記連結五線であることを示すデータを有していれば,この連結五線の音楽記号情報については並行して演奏されるように演奏情報を整理させ,出力させるとともに,設定されたテンポ及び設定された音色で当該演奏情報を出力させることを特徴とする音楽情報処理方法。 3 本件決定の理由の要旨本件決定は,本件訂正請求に係る本件発明が,特公平3-24679号公報(以下「刊行物」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができ,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり,本件訂正請求に係る訂正は,特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則2条13項の規定によりなお従前の例によるとされ,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされ,同法律による改正前の特許法120条の4第3項で準用する同改正前の特許法126条3項の規定に適合しないので, を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされ,同法律による改正前の特許法120条の4第3項で準用する同改正前の特許法126条3項の規定に適合しないので,上記訂正は認められないとし,本件発明の要旨を,登録に係る本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定した上,本件発明は,刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができず,本件特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく,特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により取り消されるべきものであるとした。 第3 原告主張の決定取消事由本件決定が,本件発明の要旨を登録に係る本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定した点は,訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。本件決定は本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されなければならない。 第4 被告の主張訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,本件訂正によって,本件明細書の特許請求の範囲は減縮されたことが明らかである。 そうすると,本件決定が本件発明の要旨を登録に係る本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定したことは,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったこととなり,この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるか 件決定が本件発明の要旨を登録に係る本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定したことは,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったこととなり,この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用は,原告の申立て等本件訴訟の経過にかんがみ,原告に負担させることとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官岡本岳裁判官長沢幸男
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