主文 1 被告らは、原告らに対し、連帯して原告ら各自につき10万円及びこれに対する平成30年10月16日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 (主位的請求)(1)原告らが、被告会社に対し、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にある ことを確認する。 (2)被告会社は、原告らに対し、それぞれ平成30年11月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、30万円及びこれに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年6%(令和2年4月以降に支払期日が到来するものについては年3%)の割合による金員を支払え。 2 (上記1の各請求が認容されない場合の予備的請求)被告会社は、原告らに対し、それぞれ800万円及びこれに対する平成30年10月16日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 3 被告らは、原告らに対し、連帯して原告ら各自につき100万円及びこれに対する平成30年10月16日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払 え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1)原告らは、紹介予定派遣によって被告会社で就労していたところ、派遣期間満了後、被告会社は原告らを雇用しなかった(ここでいう紹介予定派遣は、労 働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下 「労働者派遣法」という。)2条4号所定のものである。)。 (2)原告らの被告らに対する請求の概要は、以下のとおりである。 ア原告らは、原告らと被告会社との間に直接の労働契約が成立したと主張して、被告 者派遣法」という。)2条4号所定のものである。)。 (2)原告らの被告らに対する請求の概要は、以下のとおりである。 ア原告らは、原告らと被告会社との間に直接の労働契約が成立したと主張して、被告会社に対して、前記第1の1のとおり、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに未払賃金及びこれに対するそれぞれ 支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6%(平成29年法律第45号による改正前の商法によるもの。なお、令和2年4月以降に支払期日が到来するものについては、民法所定の年3%)の割合による遅延損害金の支払を求めた(原告らが、被告会社との間に直接の労働契約が成立したと主張する根拠は、後記(3)のとおりである。)。 イ原告らと被告会社との間の労働契約が成立したとは認められない場合の予備的請求として、原告らは、被告会社によって、被告会社に直接雇用されるとの合理的期待を侵害されたと主張して、被告会社に対して、前記第1の2のとおり、不法行為に基づく損害賠償(原告それぞれにつき800万円)及びこれに対する不法行為後の日(原告Bの派遣期間満了日の翌日)である 平成30年10月16日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「改正前民法」という。)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めた。 ウ原告らは、被告会社で就労中、被告会社の被用者である被告Cからパワーハラスメントを受け、被告会社に苦情を申し出ても対処されなかったと主張 して、前記第1の3のとおり、被告Cに対しては不法行為に基づき、被告会社に対しては使用者責任又は安全配慮義務違反の不法行為に基づき、損害賠償(原告それぞれにつき100万円)及びこれに対する不法行為後の日である平成30年10月16日から支払済みまで 為に基づき、被告会社に対しては使用者責任又は安全配慮義務違反の不法行為に基づき、損害賠償(原告それぞれにつき100万円)及びこれに対する不法行為後の日である平成30年10月16日から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた。 (3)本件において、原告らが、原告らと被告会社との間に直接労働契約が成立す る根拠として主張するところは、以下のとおりである。 ア原告らにとって本来の雇用主である派遣会社ではなく、被告会社が原告らの採用決定を行っており、労働者派遣の枠組みを超えるため、原告らと派遣会社との派遣労働契約は無効であり、原告らと被告会社との間に労働契約が成立する(以下「原告主張1」という。)。 イ派遣労働契約が有効であるとしても、被告会社による採用決定の時点で、派遣労働契約が成立するだけでなく、原告らと被告会社との間で、派遣期間満了後を始期とする就労始期付き・解約権留保付き労働契約が成立する(以下「原告主張2」という。)。 ウ原告らには派遣期間満了後に直接雇用されるとの合理的期待が認められ ることから、被告会社が直接雇用を拒否することは許されず、派遣期間満了時に被告会社との間で労働契約が成立する(以下「原告主張3」という。)。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲の各証拠(この項では枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1)当事者等 ア被告会社は、ゲーム、映像及び音楽等のコンテンツの制作、製造及び販売等を目的とする株式会社である。 イ原告Aは、保健師の資格を有し、平成30年4月1日から同年9月30日までの間、派遣会社であるプライマリー・アシスト株式会社(以下「プライマリー」という。)に雇用され、紹介予定派遣として、被告会社 イ原告Aは、保健師の資格を有し、平成30年4月1日から同年9月30日までの間、派遣会社であるプライマリー・アシスト株式会社(以下「プライマリー」という。)に雇用され、紹介予定派遣として、被告会社の人事部(以 下、単に「人事部」ということがある。)で就労していた者である(甲1、4)。 ウ原告Bは、保健師の資格を有し、平成30年4月16日から同年10月15日までの間、派遣会社であるプライマリーに雇用され、紹介予定派遣として、被告会社の人事部で就労していた者である(甲2、6)。 エ被告Cは、平成4年に大学医学部を卒業した後、医師となり、産業医とし て約30年の経歴を有する者である。被告Cは、平成29年5月から令和3年6月30日までの間、被告会社の人事部において産業医として勤務していた。(乙54)オ Dは、平成29年7月から令和3年1月頃までの間、被告会社の人事部において勤務していた者である(乙55)。 (2)原告らが被告会社で就労を開始するまでの経緯ア原告Aは、平成29年12月頃、被告会社の一次面接を受け、平成30年1月頃、被告会社の二次面接を受け、同月23日にプライマリー担当者から被告会社の内定が決まったとの連絡を受けた(甲5)。 イ原告Bは、平成30年2月1日、被告会社の一次面接を受け、平成30年 2月頃、被告会社の二次面接を受け、同月26日にプライマリー担当者から被告会社の内定が決まったとの連絡を受けた(甲7)。 ウ原告Aは、平成30年2月28日、プライマリーとの間で、以下の内容の労働契約を締結し、同年4月1日から被告会社での就労を開始した(甲1)。 派遣先被告会社 就業部署人事部指揮命令者人事部グループマネージャーE責 、以下の内容の労働契約を締結し、同年4月1日から被告会社での就労を開始した(甲1)。 派遣先被告会社 就業部署人事部指揮命令者人事部グループマネージャーE責任者人事部部長F苦情処理の申出先人事部部長F業務内容健康管理・健康診断・産業保健業務 派遣期間平成30年4月1日~平成30年9月30日契約更新の有無更新する場合がある。 エ原告Bは、平成30年3月7日、プライマリーとの間で、以下の内容の労働契約を締結し、同年4月16日から被告会社での就労を開始した。なお、原告Bは、同年6月12日に、プライマリーとの間で、同様の内容で、派遣 期間を同年7月16日から同年10月15日として労働契約を更新した。 (甲2)派遣先被告会社就業部署人事部指揮命令者人事部グループマネージャーE責任者人事部部長F 苦情処理の申出先人事部部長F業務内容健康管理・健康診断・産業保健業務派遣期間平成30年4月16日~平成30年7月15日契約更新の有無更新する場合がある。 (3)原告らが被告会社で就労を開始した後の経緯 ア被告会社には、約470名が勤務する本社社屋(以下、単に「本社」ということがある。)と、約1470名が勤務し、本社から徒歩10分程度のところに所在する本社開発棟(以下、単に「開発棟」ということがある。)があり、そのいずれにも健康相談室が置かれている。健康相談室は、被告会社の組織上、人事部に属するものの、人事部から一定程度独立した部署とされ ていた。健康相談室には産業医と保健師が配置され、保健師は、産業医である被告Cの指示を受けて就労していた。開発棟の健康相談 の組織上、人事部に属するものの、人事部から一定程度独立した部署とされ ていた。健康相談室には産業医と保健師が配置され、保健師は、産業医である被告Cの指示を受けて就労していた。開発棟の健康相談室には、産業医(被告C)と保健師(原告らのうちの1名)が、本社の健康相談室には、保健師(原告らのその余の1名)が、それぞれ配置されていた。 イ被告会社は、毎年6月頃、翌年4月に入社予定の内々定者を対象とした 内々定会を行っている。内々定会とは、内々定者に、午前中に社外の医療機関で健康診断(以下「内々定健診」という。)を受診させ、午後から社内見学ツアーと面談等を行い、内々定健診の結果を返却し、異常所見の見つかった内々定者に健康指導等を行う行事であり、午後4時半頃に終了し、解散となる。被告会社の産業医は、健康指導の前提として、内々定健診の結果を確 認し、要再検査等の異常所見がある場合には、これを人事部に伝達する。 平成30年の内々定会は、同年6月15日に行われたところ、被告Cは、内々定健診の結果確認作業に関し、人事部に抗議を申し入れた。抗議の内容は、原告らに内々定健診のダブルチェックをするよう指示していたにもかかわらず、人事部で別件(ストレスチェック)の打合せがあったため、ダブルチェックができなかったと原告らが述べていたことに対するものであった。 (乙7)ウ被告Cは、原告らに対し、健康相談室利用者の診療記録(カルテ)のうち必要項目をエクセルに打ち込んでデータベース化する作業(以下「カルテ整理業務」という。)を指示していたところ、原告らは、平成30年7月6日、カルテ整理業務を終了した(乙11)。 エ被告会社は、平成30年9月12日、プライマリーに対し、原告らの紹介予定派遣終了の理由について していたところ、原告らは、平成30年7月6日、カルテ整理業務を終了した(乙11)。 エ被告会社は、平成30年9月12日、プライマリーに対し、原告らの紹介予定派遣終了の理由について、派遣期間6か月間で産業医と円滑な協力体制の構築に至らなかったためであるとする書面を交付した(甲11)。 オ平成30年9月30日、原告Aの派遣期間が満了した。 カ平成30年10月15日、原告Bの派遣期間が満了した。 3 争点(1)被告Cのパワーハラスメントについてア被告Cによるパワーハラスメントの有無(不法行為該当性)(争点1)イ被告会社の使用者責任の有無(争点2)ウ被告会社の安全配慮義務違反の不法行為該当性(争点3) エパワーハラスメントで原告らに生じた損害及びその額(争点4)(2)被告会社による直接雇用拒否について(主位的請求)ア原告らと被告会社との間の労働契約の成否(争点5)イ原告らの賃金請求権の有無(争点6)(3)被告会社による直接雇用拒否について(予備的請求) ア被告会社による直接雇用拒否の不法行為該当性(争点7) イ直接雇用拒否で原告らに生じた損害及びその額(争点8) 4 争点に関する当事者の主張(1)被告Cによるパワーハラスメントの有無(不法行為該当性)(争点1)(原告らの主張)アパワーハラスメントのきっかけ 原告らが被告会社での就労を開始した当初、原告らと被告Cとの関係は良好であった。しかし、平成30年6月15日の内々定健診以降、被告Cの原告らに対する態度が一変した。 (ア)平成30年5月22日に行われた内々定健診についての打合せにおいても、同年6月13日に人事部で想定されていた内 30年6月15日の内々定健診以降、被告Cの原告らに対する態度が一変した。 (ア)平成30年5月22日に行われた内々定健診についての打合せにおいても、同年6月13日に人事部で想定されていた内々定健診の業務フローに おいても、同月14日午前中に行われた健康相談室の定例ミーティングにおいても、原告ら保健師が内々定健診に関与することは想定されておらず、被告Cからの明確な指示もなかった。そのため、原告らは、同月15日午後1時から保健師の業務であるストレスチェックの打合せに参加する旨を被告Cに報告し、了承を得ていた。 (イ)ところが、被告Cは、平成30年6月14日午後3時35分に、原告らをCCに加えて、人事部に対し、同月15日の内々定健診の段取りを示したメールを送付し、原告らに対して質問票と健診結果を確認して異常所見のある結果を産業医に送信するよう指示した。このメール以外に被告Cから原告らへの口頭説明や指示は一切なく、原告らは具体的な段取りを被告 Cに確認しようとしたが、被告Cが社員面談に入り、その終了後定時に退社したため確認できなかった。 (ウ)原告らは、被告Cが確認する数を減らすために、原告らが先に確認して「所見あり」と「所見無し」を振り分けて「所見あり」のものだけ被告Cに送付するという提案をしたことはあったが、被告Cだけでなく原告らも 健康診断結果を確認するダブルチェックをするという話をしたことはな かった。そのため、原告らは、被告Cからダブルチェックの指示をされたとは認識していなかった。 (エ)平成30年6月15日午後2時43分に、人事部から原告らに内々定健診結果の第1陣(当日は第1陣から第3陣に分けて送付された。)が送付された。原告らは、被告Cの指示に従って、内々定健診の (エ)平成30年6月15日午後2時43分に、人事部から原告らに内々定健診結果の第1陣(当日は第1陣から第3陣に分けて送付された。)が送付された。原告らは、被告Cの指示に従って、内々定健診の結果を有所見と 無所見に分ける作業を開始した。すると、同日午後2時50分頃、被告Cから原告らに電話があり、「君たちが確認していると時間がかかってしまうから、確認して分けなくていいので、直接僕にデータを送るよう変更して。」と指示した。この被告Cの指示を受けて、原告らは、第2陣以降の健診結果を、人事部から被告Cに直接送付する流れに変更した。しかし、被 告Cは、同日午後3時34分頃、原告らに電話し、「ダブルチェックはどうした?」と告げ、原告らが、「すみません。今はストレスチェックの情報共有をしています。」と伝えると、被告Cは、「なぜ今ストレスチェックの情報共有をしているのか。内々定健診があるのだから打合せを入れたらいけないだろう。」、「もういい。君たちはもう関わらなくていいから。」と言い 放ち、電話を切った。 (オ)被告Cは、この内々定健診時の出来事をきっかけに、原告らに対する主観的な認識を不当に一変させ、これ以降原告らに対し嫌悪感情を抱き、原告らに対する態度も不当に一変させてパワーハラスメントに及ぶようになった。 (カ)被告らは、原告らと被告会社の目指す産業保健の在り方が異なっていたなどと主張するが、求人票や労働者派遣雇用契約書兼就業条件明示書の記載などによれば、原告らに求められていたのは、産業医のサポート業務ではなく、一般的な産業保健業務であることが明らかである。 イ仕事外し (ア)原告らは、平成30年6月15日の内々定健診のあった日まで、被告C の指示で、衛生委員会の事前打合せ参加 はなく、一般的な産業保健業務であることが明らかである。 イ仕事外し (ア)原告らは、平成30年6月15日の内々定健診のあった日まで、被告C の指示で、衛生委員会の事前打合せ参加及び同委員会への出席、衛生委員会での衛生講話の資料作成及び準備と衛生講話の実施、本社及び開発棟健康相談室来室者への応急処置・急患対応、月1回の職場巡視、ストレスチェック実施業者との打合せ、定例ミーティング、臨時の健康情報のヒアリング、人事部内研修のレポート作成・報告書作成、面談記録の作成、応急 処置用及び災害備品用の薬や衛生材料等の備品に関するチェック及び補充、カルテ整理業務、EAP(従業員支援プログラム)業者との打合せ並びに禁煙インタビュー記事作成及び配信等の業務を行っていた。 ただし、これらの業務は、被告Cの指示による産業医の補助的な業務であったところ、原告らに求められていた業務は、一般的な産業保健業務で あり、産業医の補助的な業務ではなかった。 (イ)被告Cは、カルテ整理業務についての締切りも設定せず、その進捗状況を確認することもほとんどなかったにもかかわらず、平成30年6月15日の内々定健診以降、原告らに対し、カルテ整理業務の進捗状況につき、人事部を交えて二、三日に1回の頻度でメールにより確認するようになっ た。さらに、被告Cは、あたかも原告らのカルテ整理業務に当初から締切日があったかのような表現で責め立てた。これは、同年7月6日にカルテ整理業務が終わるまで続いた。 カルテ整理業務については、同年6月末までに完了させる業務上の必要性もなく、他の保健師業務よりも優先すべき業務上の重要性・緊急性がな かった。 被告らは、カルテ整理業務について、健康管理システム構築のために必要なデータ整理の目的があったとか、全 上の必要性もなく、他の保健師業務よりも優先すべき業務上の重要性・緊急性がな かった。 被告らは、カルテ整理業務について、健康管理システム構築のために必要なデータ整理の目的があったとか、全社的な健康状態の傾向や産業保健の課題を把握するとの目的があったなどと主張する。しかし、原告らは、被告Cからそのような目的があることについて説明を受けたことはない。 また、カルテ整理業務完了後から原告らの派遣期間満了までの間に、健康 管理システム構築のためにデータベースを利用したこともない。さらに、カルテ整理業務の対象は、電子カルテや、被告Cが独自に管理していた情報(健康相談室利用者との対応歴など)を含まない点で不十分なもので、これをデータベース化したところで、全社的な健康状態の傾向や産業保健の課題を把握できるようなものではなかった。 これらのことを踏まえると、被告Cがカルテ整理業務の優先を指示したのは、原告らから他の業務を取り上げる目的でなされたことは明らかである。 (ウ)被告Cは、内々定健診のあった平成30年6月15日からカルテ整理業務が終わり、人事部からの指示が行われるようになった同年7月6日まで の間、原告らに対し、次のとおりの仕事外しを行った。 a 衛生委員会への出席拒否原告Aは、平成30年6月18日に予定されていた開発棟衛生委員会に出席予定であったところ、日程が同月21日に変更されたため、同日の同委員会への参加を希望した。しかし、被告Cはこれを認めず、しば らく衛生委員会へは出席しなくてよいとした。 b 衛生委員会での衛生講話の取上げ原告Bは、平成30年6月21日の開発棟衛生委員会で衛生講話を担当することになっており、原稿を作り、実施の準備をしていた。それにもかかわらず、被告Cは した。 b 衛生委員会での衛生講話の取上げ原告Bは、平成30年6月21日の開発棟衛生委員会で衛生講話を担当することになっており、原稿を作り、実施の準備をしていた。それにもかかわらず、被告Cは、当日になって突然原告Bを衛生委員会での衛 生講話の担当から外した。また、被告Cは、その後、原告らを衛生委員会の衛生講話の担当から外した。 c 健康相談室来室者への応急処置・急患対応拒否被告Cは、平成30年6月19日、健康相談室に急患が来た際、原告Aが声掛けをしても、被告C一人で処置を行い、原告Aが協力して一緒 に処置に当たることを拒否した。また、被告Cは、同月15日以降、原 告らに対して「手伝って。」という声掛けをしなくなり、被告Cが処置を行う際は、原告らが応急処置や急患対応をすることができなかった。 d 職場巡視の拒否被告Cは、平成30年7月6日、職場巡視に参加しようとした原告Aに対し、人事部員のいる前で「なんでいるの。巡視出なくていいから開 発棟へ行け。」と言い放ち、原告Aを職場巡視から排除した。 e 定例ミーティングの拒否及び廃止被告Cは、従前、定例ミーティングを週1回の頻度で開催し、原告らとの間で業務内容を共有し、原告らに新たな業務指示をしていたところ、平成30年6月18日の定例ミーティングを中止し、同月25日にも実 施せず、同月26日には定例ミーティング自体を廃止した。 (エ)原告らは、平成30年7月以降、衛生委員会に出席しているため、衛生委員会で衛生講話をすることができる状態にあった。しかし、被告Cは、人事部からの指示が行われるようになった平成30年7月6日以降も、原告らが衛生講話を担当するのを認めることはなく、Dから依頼されて実施 した同年9月の衛生委員会での衛生講 。しかし、被告Cは、人事部からの指示が行われるようになった平成30年7月6日以降も、原告らが衛生講話を担当するのを認めることはなく、Dから依頼されて実施 した同年9月の衛生委員会での衛生講話でも、原告らが作成準備した資料の使用を許さなかった。 (オ)以上のとおり、原告らは、平成30年6月15日以前において、労働契約上原告らに求められていた一般的な産業保健業務について不十分な業務しか与えられておらず、契約上求められていた業務内容と被告Cの指示 する業務内容の相違に戸惑いながらも被告Cや人事部と協力しながら産業保健業務の遂行に当たっていた中で、同日以降、特に業務の中で大きな割合を占めていた衛生委員会での講話業務を取り上げられるなど、それまでの被告会社における原告らの主要業務を取り上げられた。 ウ無視等 (ア)被告Cは、平成30年6月15日の内々定健診の際の出来事以降、原告 らを無視するなどの嫌がらせを次のとおり行った。 a 被告Cは、平成30年6月18日、原告Bが内々定健診の出来事に関し認識の齟齬について謝罪した際、顔をパソコンに向けたままの威圧的な態度で、「まあいいよ。後で話して。」と話を打ち切った。 b 被告Cは、平成30年6月18日、原告Aが地震のため休む旨を電話 連絡した際に、相槌を打つこともなく、「わかりました。」と言ったのみで会話を打ち切った。 c 被告Cは、平成30年6月19日、原告らが昼休みに健康相談室に赴き、午後1時からのオリエンテーションについて、「先生、13時からの件です。」と話し掛けると、原告らの問い掛けを無視して相談室のドア を閉めた。 d 被告Cは、平成30年6月19日夕方、「お疲れ様です。遅くなりすみません。」と声を掛けた原告Aに対し、目も合わ です。」と話し掛けると、原告らの問い掛けを無視して相談室のドア を閉めた。 d 被告Cは、平成30年6月19日夕方、「お疲れ様です。遅くなりすみません。」と声を掛けた原告Aに対し、目も合わせずに声掛けを無視した。 e 被告Cは、平成30年6月26日の朝、原告Aが挨拶するために健康 相談室の扉を開けると、「電話があるから閉めといて。」と挨拶すら拒絶した。 f 被告Cは、平成30年6月26日の昼休みに、原告Aが、「お昼を買ってきます。」と声を掛けたところ、パソコンに向かったままでこれを無視した。 g 被告Cは、退院した際に原告らが被告Cに挨拶に出向いた際に、「先生体調大丈夫ですか?」などの原告らの声掛けに対し、「指示はまたメールでします。」と冷たく言い放つのみで明らかに他の従業員と異なる態度を取るなど、直接原告らと話す際に他の社員と異なる態度を取っていた。 (イ)以上のように、被告Cは、平成30年6月15日の内々定健診の際の出 来事をきっかけにして、原告らに対する態度をあからさまに悪化させ、無視等の態度を取り続けた。これらの行為は、同日以降継続した一連の行為として行われており、仮に個々の行為のみでは原告らに与える精神的苦痛が大きくないとしても、継続した一連の行為として行われることによって原告らに大きな精神的苦痛を与えるものである。 エ不法行為該当性(ア)被告Cは、派遣社員である原告らとの関係において、原告らに対し事実上指揮命令を行う実質的に直接の上司に当たる立場にあり、原告らとの関係において優越的な立場にあった。 (イ)被告Cは、平成30年6月15日の内々定健診の際の出来事をきっかけ として、その後原告らに対し、カルテ整理以外の指示を行わず、逆に従前原告らが担当し 係において優越的な立場にあった。 (イ)被告Cは、平成30年6月15日の内々定健診の際の出来事をきっかけ として、その後原告らに対し、カルテ整理以外の指示を行わず、逆に従前原告らが担当していた業務についてもこれを行わなくてよい旨告げて、カルテ整理業務以外の業務を与えず、それまで不十分ながらも与えていた業務を更に奪う仕事外しを行った。被告会社には原告ら以外に保健師がいないのであるから、原告らの保健師としての業務を奪うことに業務上の必要 性は存在しない。 また、被告Cは、同日の内々定健診の際の出来事以降、態度を一変させ、原告らを無視する等の態度を取っていることなどからすれば、被告Cの行為が原告らに対する嫌がらせ目的であることは明らかである。 (ウ)被告Cの行為によって、原告らは、保健師としての本来的な業務を行う ことができない状態になり、さらには実質的に直接の上司に当たる被告Cから無視されるなどの状況に陥り、良好な就業環境を著しく害されるとともに多大な精神的苦痛を受けた。 (エ)以上より、被告Cは、原告らに対し、優越的な立場を利用して、業務上の必要性のない嫌がらせ目的での仕事外し及び無視等のパワーハラスメ ントを行い、これによって原告らの就業環境を著しく害し、多大な精神的 苦痛を与えた。これは、原告らの人格権を侵害する違法な行為であり、不法行為を構成する。 (被告らの主張)ア原告らと被告Cとの関係について(ア)前提として、被告会社における保健師の業務は、産業医の指示に従い産 業医の業務を補助することがメインであった。他方、原告らの理想とする保健師の業務は、人事部の立場で業務の見直しや改善、施策の企画立案に関わるものであり、被告会社の考える産業保健の在り方とは異なるも 業医の業務を補助することがメインであった。他方、原告らの理想とする保健師の業務は、人事部の立場で業務の見直しや改善、施策の企画立案に関わるものであり、被告会社の考える産業保健の在り方とは異なるものであった。その相違から、原告らは、被告Cから指示を受けて業務を行うことに強い不満を抱いていた。原告らは、このような不満から、被告Cの業 務指示をパワーハラスメントだと論難し、被告Cに対する悪感情を蓄積させ、更にそれを隠そうともせず露骨に表明していた。 (イ)内々定健診は、内々定会の終了までに、被告Cと原告ら保健師が、各内々定者の健診結果を確認し、異常所見がないか等を見極め、健康指導等を行うことを目的とする重要な業務であった。 内々定健診のある平成30年6月15日の前日である同月14日に、被告Cは、内々定健診の際に、被告C自身が被告会社を不在にすることを踏まえ、人事部及び原告らに対し、内々定会当日の健診結果の確認業務のフロー(被告Cより先に原告らが健診結果に目を通し、異常所見のある健診結果から被告Cに送信し、被告Cが、原告らから送信を受けた順に結果を 確認し判定を下してダブルチェックを行う。)をメールで連絡した。そうであるにもかかわらず、原告らは、内々定健診があることを十分承知の上で、被告Cに無断で、緊急性のないストレスチェックに関する打合せを予定して実施した。 (ウ)内々定健診当日、被告Cは、健診結果の送付が遅かったため、午後2時 50分頃、原告らに対し、原告らが健診結果に目を通す前に、健診結果を 被告Cに送るよう電話で指示をした。これは、原告らが健診結果に目を通して異常所見の振り分けをする前に、医療機関から送られてきた健診結果を被告Cに送信し、原告らと被告Cが同時並行的に健診結果の確認作業を 告Cに送るよう電話で指示をした。これは、原告らが健診結果に目を通して異常所見の振り分けをする前に、医療機関から送られてきた健診結果を被告Cに送信し、原告らと被告Cが同時並行的に健診結果の確認作業を進めるための業務フローの変更である。 原告らは、被告Cの指示を、「自分たち(原告ら)は健診結果に目を通す 必要がない。」と勝手に解釈し、第1陣の健診結果を被告Cに送信した後、第2陣及び第3陣の健診結果の送付を人事部に任せ、健診結果を見ることなく、午後3時からストレスチェックに関する打合せを始めた。この後、被告Cは、原告らに電話で事情を確認して、そこで初めて、原告らが健診結果に目を通しておらず、人事部とストレスチェックに関する打合せをし ている事実を知った。 原告らが、専門職として対応すべき健康診断データの確認という重要な業務をないがしろにし、自分たちの興味を優先していたことは、被告C及び被告Cから事情を聞いた被告会社にとって、原告らへの信頼喪失に大きくつながった。 イ被告Cによる仕事外しが存在しないこと(ア)カルテ整理業務は、単なるデータ移記にとどまらず、カルテ記載の情報に触れることで、原告ら保健師に被告会社の全社的な健康状態の傾向、産業保健の課題等を把握してもらうという意味でも重要な業務であった。このような趣旨の業務であったことは、保健医療の専門知識に乏しい無資格 者であればともかく、保健師の資格を有する原告らであれば、説明を受けるまでもなく当然に理解可能である。また、カルテ整理業務には、使い勝手の悪かった電子カルテに代わるものとして、被告会社の健康管理システムを構築するために必要であった。このような趣旨の業務であるから、カルテ整理業務は必要性・重要性の高い業務であった。 その上で、被告C 電子カルテに代わるものとして、被告会社の健康管理システムを構築するために必要であった。このような趣旨の業務であるから、カルテ整理業務は必要性・重要性の高い業務であった。 その上で、被告Cが原告らにカルテ整理業務の優先を指示したのは、平 成30年6月15日の内々定健診の出来事より前の同月13日又は14日のことであり、また、被告Cがこのような業務指示を出したのは、原告らがカルテ整理業務を疎かにして全く進捗していなかったためである。被告Cによるカルテ整理業務優先の指示に、嫌がらせ目的はなく、カルテ整理業務の必要性・重要性を踏まえると、業務命令権の逸脱・濫用は認めら れない。 (イ)原告らが主張する仕事外しは、カルテ整理業務の優先という業務指示の結果に過ぎず、個別にパワーハラスメント該当性を論じる意味はないが、念のため、個別に反論する。 a 衛生委員会への出席拒否について 原告Aは、元々平成30年6月18日及び変更後の同月21日の開発棟衛生委員会に参加するとは予定されておらず、これを変更する特段の事情もなかった。 b 衛生委員会での衛生講話の取上げについて平成30年6月14日の時点で、同月18日に開催が予定されていた 開発棟衛生委員会における衛生講話の資料や原稿の修正作業は完了しておらず、カルテ整理業務の優先が指示された結果、この修正作業を被告Cにおいて引き取り、行うことになったにすぎない。 c 健康相談室来室者への応急処置・急患対応拒否について来室者への応急対応等については、カルテ整理業務優先指示の前後で、 原告らの仕事内容が大きく相違した事実はない。そもそも、原告らは、来室者への応急対応は、自分たちの業務ではないと人事部に訴えており、応急対応業務への手伝いを求められる頻度 優先指示の前後で、 原告らの仕事内容が大きく相違した事実はない。そもそも、原告らは、来室者への応急対応は、自分たちの業務ではないと人事部に訴えており、応急対応業務への手伝いを求められる頻度が減ったとすれば、それは原告らの不平・不満が解消されたことを意味する。 d 職場巡視について 被告Cは、平成30年7月2日、原告Aに対し、原告らの希望する「人 事部と連携してあたる業務」を開始するために、同月6日までは開発棟においてカルテ整理業務に従事するよう指示しており、同日の本社職場巡視について、原告Aの参加が決まった事実はない。同日の職場巡視の業務があったというのは、原告Aの勘違いである。 e 定例ミーティングの拒否及び廃止について 定例ミーティングは「随時の開催」に変更されたにすぎず、廃止されたという事実はない。他の業務がなくてもカルテ整理業務の完了に時間を要する状態であったから、平成30年6月25日に定例ミーティングを行う必要性はなかった。 (ウ)原告らの業務は、平成30年7月6日のカルテ整理業務完了後から変化 し、人事部から原告らに対して一定の業務を与える形になった。このような指示系統の変更に伴い、従前従事していた業務がなくなるということは当然であるから、同月以降の衛生委員会において原告らに衛生講話を担当させなかったことについて、被告らに業務命令権の逸脱・濫用は認められない。 ウ被告Cによる無視等が存在しないこと(ア)原告らが無視等であると主張する事実について、次のとおり反論する。 a 原告らが無視等と主張するaについては否認する。被告Cは、平成30年6月18日、原告Bに対し、どうして内々定健診の日にストレスチェックの打合せを入れたのかと尋ねると、「すみ 論する。 a 原告らが無視等と主張するaについては否認する。被告Cは、平成30年6月18日、原告Bに対し、どうして内々定健診の日にストレスチェックの打合せを入れたのかと尋ねると、「すみません。」という発言は あったものの、自身の行動の問題点もその重要性も認識しておらず、責任逃れに終始する態度であり、謝罪と呼べるようなものではなかった。 このとき、被告Cが話を打ち切った事実や、それ以降原告Bを無視した事実もない。同月19日に出社した原告Aからは、謝罪の言葉も、内々定会における行動に関する説明もなく、反省の態度がなかった。 b 原告らが無視等と主張するbについては不知。原告らの主張を前提と しても、原告Aからの電話に対し、被告Cは、「わかりました。」と答えているのであるから、なぜこれが無視等に当たるのか、全く不明である。 c 原告らが無視等と主張するcについては不知。被告Cは、原告らの声掛けを認識していない。 d 原告らが無視等と主張するdについては不知。被告Cは、原告らの声 掛けを認識しておらず、パソコン作業中に声を掛けられた際に、そのままの姿勢で返事をすることも、忙しいときには何度かあった。 e 原告らが無視等と主張するeについては不知。また、原告らの主張を前提としても、かかってくる電話に備えて閉めていた扉を開けた者に対して、扉を閉めるようお願いすることは、無視等に当たらない。 f 原告らが無視等と主張するfについては不知。被告Cは、原告らの声掛けを認識していない。 g 原告らが無視等と主張するgについては否認する。原告らは、被告Cに対する悪感情を蓄積させ、更にそれを隠そうともせず露骨に表明していた。被告Cの入院を喜んでいた 掛けを認識していない。 g 原告らが無視等と主張するgについては否認する。原告らは、被告Cに対する悪感情を蓄積させ、更にそれを隠そうともせず露骨に表明していた。被告Cの入院を喜んでいた原告らにとって、思いのほか早く復帰 した被告Cに対する嫌悪の情は想像に難くなく、結局これも、原告らが被告Cの言動が気に入らなかったというだけのことにすぎず、パワハラ等と論難されるものでは全くない。 (イ)このように、被告Cによる無視等は存在しないものである。 エ被告Cの行為がパワーハラスメントに該当しないこと 以上、述べてきたとおり、原告らが被告Cのパワーハラスメントであると主張する行為は、いずれも業務上の必要性があり、かつ、嫌がらせ目的でされたとは認められないものか、事実自体が認められないものである。したがって、被告Cが原告らにパワーハラスメントをしたとは認められず、不法行為責任を負うことはない。 (2)被告会社の使用者責任の有無(争点2) (原告らの主張)被告会社は、被告Cを従業員として使用する者である。そして、被告Cによる上記(1)の不法行為は、被告Cが被告会社の業務に従事する中で行った被告会社の事業と密接な関連を有する行為で、事業の執行について行われたものであるから、被告会社は、同行為について使用者責任を負う。 (被告らの主張)争う。 (3)被告会社の安全配慮義務違反の不法行為該当性(争点3)(原告らの主張)ア原告Bは、平成30年6月19日、人事部に対し、メモを手渡して被告C からのパワーハラスメントについて苦情申出を行い、被告Cからのパワーハラスメントを含む内々定健診当日の出来事について相談した。さらに原告ら 30年6月19日、人事部に対し、メモを手渡して被告C からのパワーハラスメントについて苦情申出を行い、被告Cからのパワーハラスメントを含む内々定健診当日の出来事について相談した。さらに原告らは、人事部に対し、同年7月以降も口頭又はスカイプで苦情申出をした。原告らの苦情申出を受けて、Dを含む人事部も原告らからパワーハラスメントの苦情申出があったことを認識していた。 しかし、被告会社は、原告らより被告Cによるパワーハラスメントの被害の苦情申出が何度もあったにもかかわらず、被告Cに対し何ら事実確認・指導及び教育を行わなかった。このような被告会社の職場環境維持義務違反は、その程度が社会通念に照らして相当性を逸脱しており、被告会社は原告らに対し不法行為責任を負う。 イ被告会社は、原告らから被告Cのパワーハラスメントについての苦情申出を受けていたにもかかわらず、平成30年6月26日の被告Cとの面談の際に何ら指導を行わず、むしろパワーハラスメントの被害者である原告らを面談の場に呼び出し、更にその場で原告らに対し不当な糾弾を行う被告Cを何ら制止しなかった。これによって、原告らには二次的な被害が生じた。 したがって、被告会社は、被告Cのパワーハラスメントを放置するのみな らず、上記行為によって二次的な被害を生み出しており、この点についても職場環境維持義務違反が認められる。 (被告らの主張)ア原告らの主張は、原告らとDのやり取りの内容から、ハラスメント申告があったと「読み取れる」というものであり、これが被告会社の安全配慮義務 違反の前提とされているところ、原告らから被告会社に対してハラスメントに関する申告はされていない。 さらに、Dが以前より原告らから散々聞かされてきた、「被 れが被告会社の安全配慮義務 違反の前提とされているところ、原告らから被告会社に対してハラスメントに関する申告はされていない。 さらに、Dが以前より原告らから散々聞かされてきた、「被告Cからパワハラを受けている」等の不平不満の内容に照らせば、平成30年6月18日以降に原告らとDとの間で交わされたやり取りの内容から、「原告らから『被 告Cからパワハラを受けている』との申告・通報があった」と読み取ることは不可能である。 というのも、原告らは、内々定会の開かれた同月15日以前から、被告Cが細かな業務指示を与えることを「パワハラ的指導」、原告らが本社及び開発棟の健康相談室に常駐して業務に当たることを「隔離されている」と評す るなど、与えられた業務内容及び業務体制に対する不平・不満を言い合っていたほか、原告らが保健師としてやりたいと希望する仕事を与えない被告Cに対し、極めて強い不満を有し、フラストレーションをためていた。人事部のDは、同日以前より、原告らから「被告Cからパワハラを受けている」との訴えを散々聞かされてきたが、このような不満は、原告らの「我がまま」 としか評価し得ないものであった。そして、同月21日の原告Aからのメールも、Dからすれば、従前同様、被告Cの仕事のやり方に対する不平不満を述べるものとしか理解することができず、Dにおいて、「声を掛けても無視される」という字義どおりの「無視」を訴える内容とは理解できなかったから、Dが、原告らからハラスメントに関する相談・通報を受けているとの認 識を全く有していなかったとしてもやむを得なかった。 また、原告らは、同年7月以降も人事部のGに対して相談をしており、同月以降も被告Cからのハラスメント行為について人事部に口頭で苦情申出をしてい ていなかったとしてもやむを得なかった。 また、原告らは、同年7月以降も人事部のGに対して相談をしており、同月以降も被告Cからのハラスメント行為について人事部に口頭で苦情申出をしていたと主張している。しかし、業務時間外のプライベートな食事への誘い及び同席上における発言をもって、「被告会社の人事部に対して口頭で苦情申出をしていた」と評し得る余地はない。 イ平成30年6月26日の話合い直後に原告らの間で交わされたチャットの内容、原告らがDに送信したメールの内容、その後の原告らとDの間で取り交わされたメールの内容に鑑みても、Dや被告Cが述べるとおり、同日の話合いの席において、原告らと被告Cが対等に意見を述べ合っていたことは明らかである。 したがって、同話合いに参加したことによって、原告らに二次被害が発生した事実も何ら存在しない。 (4)パワーハラスメントで原告らに生じた損害及びその額(争点4)(原告らの主張)被告Cのパワーハラスメントは、事実上の指揮命令監督関係を利用して嫌が らせを行う悪質なもので、平成30年6月15日から原告らの退職時まで一定程度継続し、長期間に及んでいた。その結果、原告らは被告Cと協力して業務を行うことが困難な状況に陥り、強い精神的苦痛を受けた。 原告らが被告Cから受けた精神的苦痛についての慰謝料は、それぞれ100万円を下らない。 (被告らの主張)否認ないし争う。被告Cによるパワーハラスメントの事実は存在しない。また、原告らは、被告Cのやり方に反発し、産業保健体制についての被告会社の考え方に不満を抱き、ストレスを抱えていたのであり、被告らに帰責される精神的苦痛は存在しない。 (5)原告らと被告会社との間の労働契約の成否(争点5) し、産業保健体制についての被告会社の考え方に不満を抱き、ストレスを抱えていたのであり、被告らに帰責される精神的苦痛は存在しない。 (5)原告らと被告会社との間の労働契約の成否(争点5) (原告らの主張)以下のとおり、原告らと被告会社との間には直接の労働契約が締結されていると解すべきである。 ア原告らとプライマリーとの派遣労働契約において、本来の雇用主たるプライマリーではなく被告会社が採用決定を行っており、労働者派遣の枠組みを 超えており、労働者派遣の形式は偽装にすぎないため、原告らとプライマリーとの派遣労働契約は無効であり、被告会社による採用決定時に実態どおり原告らと被告会社との間に労働契約が成立する(原告主張1)。 (ア)労働者派遣である以上、労働者と労働契約を締結するのは派遣元であるから、派遣労働契約の締結に当たっては、契約当事者であり雇用主たる派 遣元が採用決定していなければならない。これは直接雇用の例外である労働者派遣が認められるための必要不可欠の条件であり、これが確保されていなければ、例外たる労働者派遣として認められず、禁止されている労働者供給に該当し無効となる。 そして、派遣元に独自の採用決定の判断が担保されているといえるため には、①必要な情報を派遣元が有していること及び②当該労働者の選択が派遣元によって行われていることが必要となり、そうでなければ、派遣元に独自の採用決定の判断が担保されているとはいえず、労働者派遣の範囲を超えることになる。 (イ)本件では、派遣先である被告会社が、2社以上の派遣会社を通じて応募 のあった20名以下の労働者について、派遣会社から送付された履歴書以外に被告会社独自のシートを提出させ、一次面接、二次面接を )本件では、派遣先である被告会社が、2社以上の派遣会社を通じて応募 のあった20名以下の労働者について、派遣会社から送付された履歴書以外に被告会社独自のシートを提出させ、一次面接、二次面接を行い、労働者の選択に必要な情報を取得した上で、労働者を選択している。他方で、派遣元であるプライマリーは、労働者から送られてきた書類を派遣先に送付し、面接の日程等の連絡のみを行い、派遣先である被告会社の決定のみ 伝えられ、その決定に従い被告会社が選択した労働者をそのまま雇用して いる。 したがって、①派遣元であるプライマリーが原告らを選択するに当たって必要な情報を有しておらず、②原告らの選択が派遣元によって行われていないため、派遣元に独自の採用決定の判断が担保されているとはいえず、派遣元が採用決定をしているとはいえないから、労働者派遣の範囲を超え ていて、派遣労働契約は無効であり、被告会社による採用決定の時点で原告らと被告会社との間に労働契約が成立する。 (ウ)被告会社と原告らとの間には、期間の定めのない労働契約が成立している以上、被告会社による直接雇用拒否は解雇に該当する。解雇理由としては、被告Cとの関係性のみであり、そもそも原告らと被告Cとの協力体制 の構築ができなかった原因が被告C自身のパワーハラスメント及び被告会社が安全配慮義務を果たさなかったことにあるため、被告会社の解雇は客観的に合理的な理由を欠き、無効となる。 (エ)被告らは、派遣先企業が試験や面接等を実施することが「派遣労働者の特定を目的とする行為」として許容されていると主張する。 この点、紹介予定派遣においては、特定を目的とする行為が許容されているところ、許容される特定行為には、採用決定への関与及び実質的な採用決定を含まない、又は、特定 許容されていると主張する。 この点、紹介予定派遣においては、特定を目的とする行為が許容されているところ、許容される特定行為には、採用決定への関与及び実質的な採用決定を含まない、又は、特定を目的とする行為の禁止自体は努力規定であり、行政規制の対象から外れるという意味しかない。派遣先企業が試験や面接等を実施することが許されるかどうかについては、単に派遣先の行 為のみではなく、派遣元が独自にいかなる採用行為・決定を行っているかも含めて様々な要素から派遣元に独自の採用決定の判断が担保されているかどうかという観点から判断すべきである。 イ仮に、原告らとプライマリーとの派遣労働契約が有効であるとしても、被告会社による採用決定の時点で、①原告らとプライマリーとの派遣労働契約 だけでなく、②原告らと被告会社との間で派遣期間終了後を始期とする就労 始期付き・解約権留保付き労働契約が成立している(原告主張2)。 (ア)紹介予定派遣では、派遣開始前や派遣期間中に職業紹介が行われ、派遣労働者と派遣先との間での労働契約の成立が許容されていることが通常の労働者派遣と大きく異なる。純粋な労働者派遣とは異なる性質を持つ特殊な契約である紹介予定派遣においては、①派遣元と派遣労働者との間の (試用を目的とする)派遣労働契約と②派遣労働者と派遣先との間の就労始期付き・解約権留保付き労働契約とが併存し得る。 また、紹介予定派遣における特定を目的とする行為は、派遣労働契約の採用決定ではなく、飽くまでも派遣期間終了後の派遣先と派遣労働者との直接雇用の採用決定に向けた採用行為として認められている。特定を目的 とする行為時に、労働者が派遣期間終了後に派遣先での直接雇用を望む意思を明らかにしており、これに対し派遣先も派遣期間 者との直接雇用の採用決定に向けた採用行為として認められている。特定を目的 とする行為時に、労働者が派遣期間終了後に派遣先での直接雇用を望む意思を明らかにしており、これに対し派遣先も派遣期間中の就労状況に問題なければ採用するとの意思を示していると評価できる場合には、当事者の合理的意思解釈として労働契約の成立が認められる。 (イ)本件では、原告らが被告会社への応募理由を記載した履歴書及び職務経 歴書を出したこと、被告会社で保健師として取り組みたいことを示したこと、被告会社での直接雇用に向けた紹介予定派遣に応募したことから、原告らの客観的意思として、少なくとも被告会社による面接後の原告らの選択時までに派遣期間終了後に被告会社での直接雇用を望む意思が明らかにされている。 また、被告会社の客観的意思として、派遣会社を競合させて紹介予定派遣の募集を多数出していること、原告らを含む多数の応募者に履歴書や職務経歴書だけでなく被告会社独自のシートに必要な情報を記載させ、一次面接、二次面接において採用決定に当たって必要十分な質問を行っていること、書類や面接で得た情報に基づいて応募があった多数の労働者の中か ら選考を行って原告らを選択していること、実際に原告らの就労期間中も 派遣期間終了後の作業を前提とする課題を課すなど、派遣期間終了後の直接雇用を前提として組織に組み込んでいたこと、原告らのその後の直接雇用に際して特段の選考手続が予定されていなかったことなどから、面接を経た後に原告らを選択した時点で、派遣期間中の就労状況に問題なければ採用するとの意思が示されているといえる。 したがって、当事者の合理的意思解釈として、上記面接後の原告らの選択時に、原告らと被告会社との間に労働契約が成立しているといえる。 ( 問題なければ採用するとの意思が示されているといえる。 したがって、当事者の合理的意思解釈として、上記面接後の原告らの選択時に、原告らと被告会社との間に労働契約が成立しているといえる。 (ウ)被告らは、派遣労働者としての特定行為とその後の直接雇用の可否の判断は全くの別ものと主張する。しかし、特定を目的とする行為は飽くまでも直接雇用に向けた採用行為として許容されているのであり、被告会社が 原告らに対して実施したのは正に直接雇用に向けた採用行為であるから、直接雇用の可否の判断と別ものなどとはいえない。派遣労働契約は、派遣元と派遣労働者との間の契約であるため、この採用決定は派遣元が行わなければならない。そのため、書類選考や2度にわたる面接での選考まで行って労働者を選択する行為が許容されるとすれば、直接雇用に向けた採用 行為として許容されているにすぎない。 また、被告らは、紹介予定派遣の期間中に派遣労働者の能力・適性を確認した結果、直接雇用に適さないと派遣先が判断した場合には、職業紹介を受けることを希望しないこと又は職業紹介を受けた労働者を雇用しないことが当然許容されていると主張する。しかし、特定を目的とする行為 は飽くまでも直接雇用に向けた採用行為として行われていることからすれば、特定を目的とする行為の具体的内容によっては、当事者の合理的意思解釈として労働契約の成立を認定することも当然できるはずである。実際にいかなる行為が行われたか否かにかかわらず、派遣期間終了後に直接雇用をするかどうかの判断が必ず留保されているとする被告らの主張は 誤っている。それに、特定を目的とする行為が行われる以前に職業紹介と 同じ行為がなされ、派遣開始後直接雇用に至るまでに明確に職業紹介行為が行われない場合、特定を目的と 告らの主張は 誤っている。それに、特定を目的とする行為が行われる以前に職業紹介と 同じ行為がなされ、派遣開始後直接雇用に至るまでに明確に職業紹介行為が行われない場合、特定を目的とする行為によって、職業紹介に基づく労働契約の成立が認められる場面も当然あるはずである。 ウ仮に被告会社による採用決定時点で原告らと被告会社との間で労働契約が成立しないとしても、原告らに合理的期待がある以上、不当な理由に基づ く直接雇用拒否は認められず、その結果、同時点で原告らと被告会社との間に労働契約が成立する(原告主張3)。 (ア)派遣先がどの労働者を自らの下で就労させるかについての一定の選択を行うと、労働者としては、派遣期間中の就労に特段の問題がなければ派遣先に採用されるとの期待を有するのが通常である。その際の派遣期間は、 派遣先が当該労働者を直接雇用するか見極めるための期間という点では、試用期間類似の性質を持つ。 本件では、被告会社が通常の紹介予定派遣における特定を超える実質的な採用行為を行っている以上、原告らに通常の紹介予定派遣を超えた直接雇用の期待が生じるのは当然である。また、派遣期間中における原告らの 勤務態度に問題がなく、被告会社もこれを認めていた以上、原告らに直接雇用の期待が生じるのも当然である。少なくとも、原告らには、被告会社に雇用されるとの合理的期待が発生していると認められる。 (イ)紹介予定派遣期間の開始に当たって、どの労働者を就労させるか一定選択できる上に、同期間終了後に直接雇用するかどうかを判断するに当たっ て、完全な採用の自由が認められるとなると、通常の労働者派遣や試用期間の場合と均衡を欠く。これを踏まえると、本件では、被告会社が実質的な採用行為を行っている以上、仮に労働契約が成立して たっ て、完全な採用の自由が認められるとなると、通常の労働者派遣や試用期間の場合と均衡を欠く。これを踏まえると、本件では、被告会社が実質的な採用行為を行っている以上、仮に労働契約が成立していないとしても本件派遣期間は、実質的に試用期間の性質を有し、被告会社による直接雇用の拒否は、実質的に本採用拒否に当たる。特段の法律の定めがなくとも、 労働者の合理的な期待を根拠に契約締結拒否を制限し、その結果契約締結 を認めることは、雇止め法理のように判例法理で認められている。以上を前提にすると、原告らの合理的期待に基づく直接労働契約の成立が認められるべきである。 (ウ)本件における直接雇用拒否の理由は、原告らが被告Cと円滑な関係を構築できなかったことのみであり、そもそも被告Cとの協力体制の構築がで きなかった原因は被告C自身のパワーハラスメント及び被告会社が安全配慮義務を果たさなかったことにあるのであるから、これを直接雇用拒否の理由とすることが不当であることは、上記ア(ウ)のとおりである。 (被告らの主張)ア原告主張1について (ア)紹介予定派遣に係る労働者派遣法改正の趣旨は、いきなり直接雇用となると躊躇する事業主や労働者に対し、雇用機会を提供し、円滑な直接雇用を促進するという点にあり、その意義を積極的に評価すべきものであるが、紹介予定派遣は、飽くまでも雇用「機会」の提供・円滑な直接雇用を促進するためのものであるから、派遣労働者受入れの時点で、派遣先に直接雇 用を義務付けるものではない。 派遣先による派遣労働者の特定行為は、雇用機会の提供と円滑な直接雇用の促進という意義を有する紹介予定派遣制度を、一層有効に機能させる目的で導入されたものであるから、面接等の特定行為は、飽くまでも 派遣先による派遣労働者の特定行為は、雇用機会の提供と円滑な直接雇用の促進という意義を有する紹介予定派遣制度を、一層有効に機能させる目的で導入されたものであるから、面接等の特定行為は、飽くまでもスムーズに派遣先を決定するために実施されるものであり、派遣先における採 用(直接雇用)を決定するためのものではない。 (イ)原告らは、派遣先の派遣元に対する要望は、派遣労働者に必要な業務処理能力についてのみ行うのが原則であり、派遣先が面接を行って派遣元の採用決定に関与することはこの原則に違反し直接雇用成立の根拠になるとする。しかしながら、原告らのこの主張は、紹介予定派遣において派遣 就労開始前の特定行為を許容した労働者派遣法改正の趣旨・本質と明らか に矛盾している。 原告らは、紹介予定派遣を一般の派遣と同じようなものと理解し、労働者派遣である以上、少なくとも、派遣元に独自の採用決定の判断が担保されていなければならないと主張しているが、少なくとも、労働者派遣法改正に係る国会審議の中で、紹介予定派遣の面接においては直接雇用の場合 と比較して限られた範囲の質問しかしてはならない、履歴書の内容や提出先、派遣先による面接の回数や内容等が制限されなければならない、派遣元に独自の採用決定判断が担保されていなければならない等の議論は、全くされていない。 以上のとおり、原告主張1は、紹介予定派遣に係る労働者派遣法改正時 の立法経過・立法事実から明らかに乖離した根拠のない独自の解釈論であり、もはや立法論というほかなく、全く理由がない。 イ原告主張2について(ア)紹介予定派遣に係る労働者派遣法改正時の立法経過・立法事実からすれば、紹介予定派遣における派遣先は、派遣就労期間中の派遣労働者の全人 格 く理由がない。 イ原告主張2について(ア)紹介予定派遣に係る労働者派遣法改正時の立法経過・立法事実からすれば、紹介予定派遣における派遣先は、派遣就労期間中の派遣労働者の全人 格的な見極めの結果、能力、適性、相性等に照らして直接採用に値すると判断した場合に、当該派遣労働者を直接雇用するという意向を有しているにすぎず、少なくとも、紹介予定派遣における派遣先が、原告らが主張するような「派遣期間中の派遣労働者の就労状況に問題なければ採用するとの意思」などといった、派遣就労期間中の見極めを放棄するような意思は 一切有していない。 (イ)紹介予定派遣は、派遣先において派遣期間終了後に派遣労働者を直接雇用するつもりがないのであれば、同制度を利用してはならないものとされている。したがって、紹介予定派遣制度を利用する派遣先は、派遣就労期間中の見極めの結果、直接採用に値すると判断した場合には当該紹介予定 派遣労働者を直接雇用するとの意向を有していなければならないが、これ は、原告らの主張する「派遣期間中の就労状況に問題なければ採用するとの意思」とは全く異質なものである。 このような派遣先の意向をもって、原告らの主張するような意思に該当するとすれば、およそ紹介予定派遣制度が利用された場合には、紹介予定派遣労働者が望めば必ず派遣先との間で直接労働契約が成立することに なるが、このような解釈論は、紹介予定派遣制度そのものを全面的に否定する解釈論に他ならない。 (ウ)原告らは、派遣先による特定行為は、「派遣労働契約の採用決定ではなく、飽くまで派遣期間終了後の派遣先と派遣労働者との直接雇用の採用決定に向けた採用行為」に当たると主張する。 しかし、紹介予定派遣前に先行してなされる派遣先による特定行為は、派 決定ではなく、飽くまで派遣期間終了後の派遣先と派遣労働者との直接雇用の採用決定に向けた採用行為」に当たると主張する。 しかし、紹介予定派遣前に先行してなされる派遣先による特定行為は、派遣先による派遣労働者の直接雇用とは全く異なる行為であり、紹介予定派遣期間終了後に派遣先が派遣労働者を直接雇用するか否かについて、派遣先において改めて判断がなされることを当然の前提としている。そして、試用期間の場合と紹介予定派遣の場合とでは、労働者の雇用先が異なり、 紹介予定派遣期間中は派遣労働者と派遣先の間においては労働契約が存在していない以上、紹介予定派遣期間の終了後、当該派遣労働者を直接雇用するか否かについては、試用期間終了後の本採用拒否の場合と比べて、派遣先により広い裁量が認められる。紹介予定派遣制度の濫用を防止するための措置や派遣就労期間の上限設定は、紹介予定派遣制度が派遣先によ る派遣労働者の直接雇用を義務付けるものではなく、紹介予定派遣の期間中に派遣労働者の能力・適性を確認した結果、派遣先が直接雇用に適しないと判断した場合には、派遣労働者を直接雇用しないことが可能であり、同判断について派遣先に広い裁量が認められているからこそ必要になる。 以上のとおり、派遣先による特定行為は、派遣先による直接雇用のため の採用行為とは明確に区別されるべき行為であること、及び、紹介予定派 遣期間後に派遣先が労働者を直接雇用するか否かについては、派遣先に広範な裁量が認められており、この意味でも紹介予定派遣期間は試用期間と全く性質を異にするものであることは、立法当時から繰り返し確認されている。したがって、派遣先による特定行為は、派遣先による直接雇用のための採用行為であるとし、試用期間との類似性から紹介予定派遣期間中に 異にするものであることは、立法当時から繰り返し確認されている。したがって、派遣先による特定行為は、派遣先による直接雇用のための採用行為であるとし、試用期間との類似性から紹介予定派遣期間中に 派遣先と派遣労働者との間に解約留保権付労働契約が成立していると論じる原告らの主張は、いずれも全く理由がない。 ウ原告主張3について紹介予定派遣という制度においては、紹介予定派遣の期間中に、派遣労働者の能力・適性を確認した結果、直接雇用に適しないと派遣先が判断した場 合には、派遣労働者を直接雇用しないことが可能であり、同判断について、派遣先に広い裁量が認められている。 派遣労働者に認められる期待とは、派遣先との話合いがつけば就職に至るという期待にすぎず、実際に採用されるかどうかは分からないことから、このような紹介予定派遣労働者の期待について、直ちに法的保護に値するもの と認められる余地はない。 (6)原告らの賃金請求権の有無(争点6)(原告らの主張)原告Aと被告会社との間には、遅くとも平成30年10月1日以降、原告Bと被告会社との間には、遅くとも同月15日以降、労働契約が存在するところ、 原告らには被告会社において就労する意思があるにもかかわらず、被告会社はこれを拒否していることから、原告らの被告会社に対する賃金請求権は失われない。 原告らの賃金額は、被告会社での就労期間中に支給された賃金月額の平均額に照らすと、月額30万円を下ることはない。 (被告らの主張) 争う。 (7)被告会社による直接雇用拒否の不法行為該当性(争点7)(原告らの主張)仮に被告会社と原告らとの間における労働契約の成立が認められないとしても、直接雇用されることへの原告らの (7)被告会社による直接雇用拒否の不法行為該当性(争点7)(原告らの主張)仮に被告会社と原告らとの間における労働契約の成立が認められないとしても、直接雇用されることへの原告らの合理的期待は法的保護に値するから、 被告会社が不当な理由に基づいて直接雇用を拒否することは、原告らの利益を侵害する違法な行為であり、不法行為を構成する。 (被告らの主張)紹介予定派遣における派遣労働者の期待は、上記(5)ウで述べたとおり、直ちに法的保護に値するものではないから、いかにその期待が裏切られたから といって、派遣先に不法行為責任を問い得るものではない。 (8)直接雇用拒否で原告らに生じた損害及びその額(争点8)(原告らの主張)原告らが被告会社によって直接雇用されていれば、少なくともそれぞれ月額30万円の賃金を得られたはずであり、平成30年10月から令和2年8月ま での間に得られたはずの賃金は、それぞれ690万円を下らない。 さらに、被告会社による違法な直接雇用拒否により原告らが被った精神的苦痛を合わせ考慮すると、原告らの慰謝料額は、それぞれ800万円を下らない。 (被告らの主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に加え、後掲の各証拠(ただし、以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1)原告らの職歴等 ア原告Aは、平成19年に保健師の資格を取得し、被告会社の求人に応募す るまでに、10年以上にわたる産業保健師等の経験を有していた(甲4の1・2)。 イ原告Bは、平成27年に保健師の資格を取得し、被告会社の求人に応募するまでに、1年程度の産業保健師の経験 るまでに、10年以上にわたる産業保健師等の経験を有していた(甲4の1・2)。 イ原告Bは、平成27年に保健師の資格を取得し、被告会社の求人に応募するまでに、1年程度の産業保健師の経験を有していた(甲6の1・2)。 (2)原告らが被告会社で就労開始するまでの経緯 ア被告会社は、平成29年12月頃、それまで2名在籍していた保健師のうち1名が退職したことから、欠員を補充するため、プライマリーを通じて、以下の内容の求人票を出していた(甲3、証人D)。被告会社が求人票を出していた派遣元は、プライマリーの他に、アポプラスステーション株式会社(以下「アポプラス」という。)等が存在した。 (ア)配属部署健康管理室(イ)雇用条件雇用形態:派遣社員、試用期間:なし、紹介予定派遣:あり、正社員登用制度:あり(ウ)募集背景欠員補充(エ)仕事内容企業内健康管理業務 a 検診の企画、実施、事後指導b 医務室来室者への応急処置、救急対応c メンタルヘルス対応d 社員向け健康教育指導e 職場巡視、京都府内の拠点への訪問指導 f 安全衛生委員会への出席g その他業務に付随する事務業務等h 簡単なPC入力操作等i ストレスチェックの対応(オ)産業保健体制保健師常勤2名、産業医常勤1名(人事総務と連携あり) イ上記アの求人票を見て、原告Aは、平成29年12月頃、原告Bは、平成 30年1月頃、それぞれ履歴書及び職務経歴書を作成して、プライマリーを通じて提出し、被告会社の求人に応募した(甲4の1・2、甲6の1・2、甲25、26)。 ウ原告Aは、被告会社の書類審査を通過し、平成29年12月26日、被告会社の一次面接を受けること イマリーを通じて提出し、被告会社の求人に応募した(甲4の1・2、甲6の1・2、甲25、26)。 ウ原告Aは、被告会社の書類審査を通過し、平成29年12月26日、被告会社の一次面接を受けることとなった。 一次面接に当たって、原告Aは、訪問カードに、趣味や学生時代のサークル活動の内容、健康状態や家族状況、その当時の年収についての記載欄に応じて記入し、履歴書及び職務経歴書とともに提出した。 一次面接では、まず、被告会社の人事部の採用担当者(G)及び正社員として被告会社に雇用されている保健師(H)による事前面談が行われた。 原告Aは、同面談において、志望動機やこれまでの経験の他、保健師として被告会社で取り組みたいことを質問され、これに答えた。同面談の時間は30分程度であった。 事前面談後、被告C及びGによる面接が行われた。被告Cは、労働三法とは何か、労働安全衛生法第1条には何が書いてあるか、労働衛生の三管理と は何かなどの問題を出し、被告会社でどのような施策が必要だと思うかという質問をした。また、Gは、原告Aに対し、志望動機やこれまでの業務経験、前職の退職理由、仕事をする上で大変だったことは何か、それをどう切り抜けたか、更に自己PR、長所・短所に加え、趣味や子供の年齢なども質問した。同面接の時間は1時間程度であった。 プライマリーの担当者は、一次面接会場のある被告会社の本社社屋まで原告Aに同行したが、面接には立ち会わなかった(甲27、28、乙48の1~4、原告A本人)。 エ原告Aは、上記ウの被告会社の一次面接を通過し、平成30年1月16日、二次面接を受けることとなった。 二次面接には、人事部のEほか2名及び被告Cが出席した。Eらは、志望 動機や仕事をする上での信念、出身地や家族構成、 通過し、平成30年1月16日、二次面接を受けることとなった。 二次面接には、人事部のEほか2名及び被告Cが出席した。Eらは、志望 動機や仕事をする上での信念、出身地や家族構成、夫の職業、勤務先などについて質問した。同面接の時間は1時間程度であった。 プライマリーの担当者は、二次面接の際も、被告会社の本社社屋まで原告Aに同行したが、面接には立ち会わなかった(甲28、原告A本人)。 オ原告Bは、被告会社の書類審査を通過し、平成30年1月22日、被告会 社において一次面接を受けることとなった。 一次面接に当たって、原告Bは、原告Aと同様に、訪問カードを記入し、履歴書及び職務経歴書とともに提出した。 一次面接には、G及び被告Cが出席した。Gは、志望動機や前職の勤務内容、転職理由、保健師を目指した理由の他、看護師であったことに関して、 看護師になった理由や癌の専門病院で働いていた理由、看護師としての勤務形態などについて質問した。被告Cは、労働衛生の三管理とは何か、労働衛生の五管理とは何か、労働衛生の三管理で最も重要なものは何かなどの問題を出した。被告会社以外の面接状況や他社も受かった場合どちらに行きたいかなどについての質問もあった。同面接の時間は1時間程度であった。 プライマリーの担当者は、一次面接会場のある被告会社の本社社屋まで原告Bに同行したが、面接には立ち会わなかった(甲31、原告B本人)。 カ原告Bは、上記オの被告会社の一次面接を通過し、平成30年2月15日、二次面接を受けることとなった。 二次面接には、Eほか1名及び被告Cが出席した。Eらは、志望動機や保 健師を目指した理由、働く上で何を重視するか、被告会社でどのような仕事をしたいかなどについて質問し、保健指導の事例問題を出し 二次面接には、Eほか1名及び被告Cが出席した。Eらは、志望動機や保 健師を目指した理由、働く上で何を重視するか、被告会社でどのような仕事をしたいかなどについて質問し、保健指導の事例問題を出したほか、2名の保健師で開発棟と本社を分担していくことになるが、困ったことがあった際はどうするかなどの質問をした。同面接の時間は1時間程度であった。 プライマリーの担当者は、二次面接の際も、被告会社の本社社屋まで原告 Bに同行したが、面接には立ち会わなかった(甲32、原告B本人)。 キ原告Aは、平成30年1月23日に被告会社の内定が決まったことを受けて、同年2月28日、プライマリーとの間で、派遣先を被告会社とする労働者派遣雇用契約を締結し、前職を退職して、同年4月1日から被告会社での就労を開始した(甲1、5、25)。 ク原告Bは、平成30年2月23日に被告会社の内定が決まったことを受け て、同年3月7日、プライマリーとの間で、派遣先を被告会社とする労働者派遣雇用契約を締結し、前職を退職して、同年4月16日から被告会社での就労を開始した(甲2の1、甲7、26)。 ケ原告らが被告会社で就労していた期間中に、原告らに賃金を支払い、勤務時間を管理していたのはプライマリーであり、プライマリーの担当者は、原 告らと面談を行っていた(乙36の2、乙47の6、乙47の7の1)。 (3)原告らの就労開始から内々定健診までの経緯ア原告らが被告会社での就労を開始した時点において、被告会社に在籍していた前任の保健師は既に退職しており、原告らが前任の保健師からの引継ぎを受ける機会はなかった。前任の保健師が作成して残していた資料には、被 告会社における保健師の業務について、診断書・産業医意見書・過重 保健師は既に退職しており、原告らが前任の保健師からの引継ぎを受ける機会はなかった。前任の保健師が作成して残していた資料には、被 告会社における保健師の業務について、診断書・産業医意見書・過重面談結果報告等の書類管理、産業医の行う過重労働面談、産業医面談、メンタル・フィジカルの各種相談等の補助業務、定期健康診断・外来対応の記載があり、いずれも産業医の指示の下で実施するものとされていた。ストレスチェックについては、保健師の担当業務は特にないと記載されていた。(甲8、25、 26)イ就労開始時に原告らが行っていた業務(ア)原告らは、被告会社での就労開始後、被告Cの指示に従って、健康診断の実施・事後指導、健康相談室来室者への応急処置、救急対応(腹痛、けがなど)、社員向け健康教育指導、職場巡視、安全衛生委員会への出席・同 委員会での衛生講話、ストレスチェック実施業者との打合せ、内定前面談 (健康情報ヒアリング)、レポート作成・報告書作成、面談記録の作成、備品管理、カルテ整理業務、EAP(従業員支援プログラム)業者との打合せへの同席、禁煙インタビュー記事の作成及び配信等の業務を行っていた。 原告らと被告Cとの間では、週に1回の定例ミーティングが行われ、当初、カルテ整理業務には締切りが設定されていなかった。(甲25、26、原告 A本人、原告B本人、被告C本人)(イ)被告Cが指示したカルテ整理業務とは、健康相談室に置かれている紙のカルテの電子化に当たって、どのような情報がどこにあるかが分かるようにするために、社員番号、社員名、初回来室日、来室理由、最終来室日等の必要項目のほか、医療職としてカルテを見たときにカルテを検索するた めに必要な情報をエクセルに打ち込んでデータベース化する作業であった。なお、 号、社員名、初回来室日、来室理由、最終来室日等の必要項目のほか、医療職としてカルテを見たときにカルテを検索するた めに必要な情報をエクセルに打ち込んでデータベース化する作業であった。なお、被告会社には、電子カルテ及び健康相談の際に被告Cが個人的に使用しているノートが存在したが、いずれも原告らが閲覧することは許されていなかった。(被告C本人)(ウ)原告らと被告Cは、健康相談室で来室者への応急処置や救急対応を行っ ていたところ、健康相談室の構造上、来室者は、保健師の部屋を通らないと産業医の部屋に入室することができなかった(被告C本人)。 ウ被告Cは、平成30年4月23日、原告らの歓迎会を実施し、同年6月1日、原告Aの誕生日を祝ってケーキを購入して一緒に食べ、同月8日、原告らとフォトブック用の写真を一緒に撮るなどしていた(甲15の1~3)。 エ被告会社においては、平成30年5月1日から、それまでは「医務室」と呼称していた産業医及び保健師の勤務場所を、「健康相談室」と改称して、産業医及び保健師による面接指導、健康相談、保健指導等のサービスの提供に当たることとしていた(乙56)。 オ原告Aは、平成30年5月22日、以前の職場(資生堂)の同僚に対して、 「私たちは正社員(今はまだ派遣ですが)なので上司は人事部のGMなんで すが、実質は産業医(嘱託)に指示命令権があるんですよね。産業医が全部コントロールしたがる人で、何をやるにも先生の許可を得てからじゃないとできないし、自分の思うようにやってほしいから、保健指導ですら何を聞くのか、どんな話をするのかを先生に説明してOKもらってからじゃないとできなくて…。」、「資生堂の産業保健って、特殊だったんでしょうか。総合 職だったし、産業医があまり動かないっ 導ですら何を聞くのか、どんな話をするのかを先生に説明してOKもらってからじゃないとできなくて…。」、「資生堂の産業保健って、特殊だったんでしょうか。総合 職だったし、産業医があまり動かないっていうのもありますが、保健師にあれだけ裁量権があるのは珍しいんですか?仕事が楽しくないし、やりがいがないんですよね。勝手に答えなくていい。保健師は窓口でいいから全部産業医に回して、報告して。色々提案してもあれダメこれダメ、産業医が思ったことはあれやってこれやってって計画性もなく(私が言うのもなんですが) 急に仕事ふられて振り回されるし、資料作っても先生の意向にそったものに全部作り直されるし…ただの駒でしかないです。。」などと被告Cへの不満を記載したメールを送信した(乙3の1)。 カ原告らは、平成30年5月28日に、被告Cへの不満について、「(プライマリーの担当者に向けて)電話しようかな。パワハラにあってますって。 www」等のやり取りをチャットで行った(乙47の1の1)。 キ原告らは、平成30年5月30日に、被告Cへの不満について、「なに愚痴ったんですか?」、「Cスタイルの話」といったやり取りをチャットで行った(乙47の3の2)。 ク原告らは、平成30年5月31日に、被告会社の産業保健について、「た ぶん、Eさんは先生と同じ考え。」、「でも、Iさんたちは違う」とやり取りしたほか、被告Cへの不満について、「Cスタイルの産業保健をしたくてきた訳じゃないからね~」等のやり取りをチャットで行った(乙47の4の1)。 ケ原告らは、平成30年6月1日に、被告Cへの不満について、「(被告C は)コミュニケーション障害」、「医者は発達障害多いからね。笑」等のや り取りをチャットで行った(乙47の5の1)。 コ 、平成30年6月1日に、被告Cへの不満について、「(被告C は)コミュニケーション障害」、「医者は発達障害多いからね。笑」等のや り取りをチャットで行った(乙47の5の1)。 コ原告らは、平成30年6月5日に、被告会社の産業保健について、「会社側が産業医に従うべきって思ってる。。」等とやり取りしたほか、被告会社及び被告Cへの不満について、「パワハラ的な指導を受けてますって言ってもいいかもね・・・」、「保健師の仕事やらせてもらえないことはいおうか なと」、「隔離されてることと、パワハラ的指導ですねw」、「やっぱり、産業保健ちゃんとわかってない説が濃厚・・・」、「多分、その働き方しかしらないんだと思う。だから、私たちの仕事も自動的に保健指導。。」、「ちょこちょこ話しかけてくるからうっとおしい」、「僕たち仲いいんだよ感出さなくていいしwww」、「任天堂辞めたい病が定期的にくるんだよね。。」、 「Cアレルギーだから糖分と関係ないの。」、「自分でもってけーおでぶうー」、「先生、私にも釘さしてたね。パナ・資生堂の時のやり方は通用せんよって。」、「先生もね。郵政の時のやり方は通用しないよ~って」等のやり取りをチャットで行った(乙47の7の1)。 サ原告らは、平成30年6月6日に、被告会社及び被告Cへの不満について、 「C先生のこと考えると胃がキリキリする」、「胃潰瘍なりそう」、「Cストレスが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」、「眠いです。やっぱりここいる必要あるんだろうか。。。。」、「開発棟にいると眠いよね。」、「眠気覚ましに普通に携帯いじってますもん」、「なんか、先生も、任天堂の体制も、色々いや」等のやり取りをチャットで行った(乙 47の8)。 シ原告らは、平成30年6月7日に、 眠いよね。」、「眠気覚ましに普通に携帯いじってますもん」、「なんか、先生も、任天堂の体制も、色々いや」等のやり取りをチャットで行った(乙 47の8)。 シ原告らは、平成30年6月7日に、被告Cへの不満について、「産業医としてどーなの。。。」、「仕事わかってないですよねwwwwwww」等のやり取りをチャットで行った(乙47の9の1)。 ス原告Aは、平成30年6月11日に、Dに対して、被告Cについて「これ を読むと、いかにC先生が産業医というより臨床医寄りのスタンスであるか が分かるのではと思います。」、「先生の教育、よろしくお願いします。先生は診療所運営の構想が強く、私たち保健師は常に急患対応できるようにと健康相談室に常駐していることを強要されます。」、「本当は産業医がマネジメントできれば一番いいのですが、その力量はなさそうです。」などと記載したメールを送信した(乙1の1~3)。 セ原告Aは、平成30年6月13日及び同月14日、以前の職場の産業医に対して、被告会社におけるストレスチェックについて、「任天堂は事業者への情報提供の同意があった場合のみ受検者の結果が会社に帰ってくるのですが、同意がない場合は本人への結果返却のみなのです。つまり、会社に結果が返却されないので産業医・保健師も結果を知らない。結果を知っている のは本人と、SCを提供している業者となります。任天堂のSCのしくみがおかしいということでしょうか?実施者である以上、同意がなくても産業医・保健師には結果が返却されるべきですよね?」などとメールで質問した。 なお、原告Aの質問は、前提となる事実関係(被告会社への結果の通知の有無)について原告Aが正確に理解しておらず、誤った認識に基づくものであ ったことが後に判明した。(乙31の1 ルで質問した。 なお、原告Aの質問は、前提となる事実関係(被告会社への結果の通知の有無)について原告Aが正確に理解しておらず、誤った認識に基づくものであ ったことが後に判明した。(乙31の1~7)ソ被告Cは、平成30年6月13日、Dと面談した。同面談の中で、被告Cは、原告らの働きぶりについて「合格だと思っている。」、「衛生講話もしっかりこなしてくれたし、新入社員全員と面談を行ってくれた。これだけでも以前の保健師より活躍してる。」と評価した。他方、Dから原告らの手が 空いているように見えると指摘された際には、「それなりのタスクを課している状況だ。」、「本社にいる間はカルテの整理を依頼しているはずだ。それが出来ないようなら不合格としなければならない」と回答した。また、保健師の業務について、「確かにIさんがやっている業務は他の会社では保健師さんがやっている業務の部類であると感じる。一方そこに力を入れすぎ、 結局は保健師の業務をやってないよね、ということになってしまうケースは よく見てきたので、そうなって業務から外れられなくなって、本末転倒になるのは良くないと考えている。」、「安全衛生管理に関しては全て産業医である自分に相談してほしい」との意向を述べた。(乙5の1・2)タ被告Cは、平成30年6月13日、原告らに対し、カルテ整理業務は同月末が期限である旨を伝えた。これを受けて、原告らは、チャットを介して、 同日午後5時12分頃、「先生と話してたんですけど、明日カルテの進捗状況教えてとのことです」、「6月きついですって言っちゃいました」、「先生に資料作ってもらってますw」、「カルテやって徹底われたんでwww」(注・「カルテやっててっていわれたんで」の誤変換と解される。)といったやり取りのほか、同日午後5 すって言っちゃいました」、「先生に資料作ってもらってますw」、「カルテやって徹底われたんでwww」(注・「カルテやっててっていわれたんで」の誤変換と解される。)といったやり取りのほか、同日午後5時14分頃に、「いまからちょっとやります」、「5人 目標でw」といったやり取りをした。(弁論の全趣旨)(4)内々定健診に関する経緯ア被告会社においては、毎年6月又は7月に、翌年4月に入社予定の内々定者を対象とした内々定会を開催している。内々定会は、当日午前中に内々定者を対象として、社外の医療機関で健康診断(内々定健診)が行われ、午後 に社内見学ツアーと面談が行われる。内々定会の終了予定時刻である午後4時半頃には、内々定健診の結果を内々定者に交付し、所見のある者に対して健康指導等を行った上で解散となるため、産業医及び保健師は、当日午後に届けられる内々定健診の結果を確認して、内々定会終了時刻までに健康指導等を行う必要があった。(弁論の全趣旨) イ被告会社は、平成30年6月15日に内々定会を予定しており、被告Cは、内々定健診の結果を確認し、要再検査等の異常所見の有無を検討することになっていた。内々定健診実施に向けた打合せは、同年5月22日及び同年6月14日午前に行われたが、内々定健診の結果は、人事部から直接被告Cの個人メールアドレスに送信することとされていた。また、原告ら保健師が 内々定健診にどのように関与するのかといった点は議論されていなかった。 そのため、原告らは、内々定健診当日に人事部においてストレスチェックの打合せをすることを予定していた。(乙6、原告A本人、原告B本人、被告C本人)被告Cは、同日午後3時35分、人事部に対して、メールで、内々定健診当日は被告Cが出張で被告会社を不在にする ェックの打合せをすることを予定していた。(乙6、原告A本人、原告B本人、被告C本人)被告Cは、同日午後3時35分、人事部に対して、メールで、内々定健診当日は被告Cが出張で被告会社を不在にするため、健診結果を直ちに確認で きないことを踏まえて、当日の業務の手順について、次の①ないし⑩のとおりとする旨を伝えた(乙6、被告C本人)。 ① 稲荷山病院(内々定健診を実施する医療機関)から、FAXを受領② 保健師が質問票と健診結果を確認③ 保健師が異常所見のある結果を産業医に送信 ④ 送信後に、保健師が産業医個人携帯に連絡⑤ 産業医が判定して返信⑥ 再検査等が必要な場合は、通知書を作成して送付⑦ 保健師から、対象者に渡す⑧ 異常所見の無い結果を産業医に送信 ⑨ 産業医が結果を確認⑩ 問題ないことを確認(何かあれば電話で指示)なお、内々定健診の結果は、第1陣から第3陣までの3回に分けて送信されることが予定されていた(乙6)。 ウ被告Cは、上記イのメール送信後、従業員との面談に入り、同面談終了後、 速やかに帰宅した(原告A本人、原告B本人)。 エ被告Cは、健診結果の確認につき産業医のみが行うのではなく、保健師によるダブルチェックを実施することを意図し、上記イのメールで、原告らに対して、保健師が先に内々定健診の結果を確認してから被告Cに送信することで、健診結果のダブルチェックを指示したものと認識していた。これに対 し、原告らは、保健師が健診結果のダブルチェックをするよう指示されたと は認識せず、健診結果を異常所見の有無で選別して、産業医の確認に時間のかかる異常所見ありの結果を先行して送信し、健診結果の判定の効率化を図るための指示を受けたものと認識していた されたと は認識せず、健診結果を異常所見の有無で選別して、産業医の確認に時間のかかる異常所見ありの結果を先行して送信し、健診結果の判定の効率化を図るための指示を受けたものと認識していた。(原告A本人、原告B本人、被告C本人)オ平成30年6月15日の内々定健診当日、健診結果は午後2時半以降に到 着する予定であったにもかかわらず、被告Cは、予定時刻より前から、原告Bに対して健診結果が届いているか否かを再三確認した。実際に内々定健診の結果の第1陣が被告会社に届いたのは、同日午後2時40分頃であった。 原告らが内々定健診結果について、異常所見の有無の選別をしていると、同日午後3時頃に被告Cから原告Bに電話があり、原告らが内容を確認してい ると確認が遅くなってしまうので、直接被告Cに健診結果を送信するようにと告げられた。(乙12の2、原告A本人、原告B本人)カ原告らは、上記オの被告Cの指示を、異常所見の有無による選別すら不要とする指示と理解した上でこれに従い、第1陣の健診結果を自ら被告Cに送信し、平成30年6月15日午後3時頃、それ以降の健診結果を人事部から 被告Cに送信するように依頼した。人事部担当者は、同日午後3時8分に第2陣、同日午後3時12分に第3陣の健診結果をそれぞれ被告Cに送信した。 (乙7、34、原告A本人、原告B本人)キ原告らが、平成30年6月15日午後3時30分頃、人事部とストレスチェックの打合せをしていた際、被告Cから原告Bに電話がかかってきた。被 告Cは、原告Bに対して、健診結果のダブルチェックをしているかと問うと、原告Bがストレスチェックの打合せをしており、ダブルチェックをしていないと回答したため、被告Cは、もう君たちは関わらなくていいと答えて電話を切った。さらに、被 のダブルチェックをしているかと問うと、原告Bがストレスチェックの打合せをしており、ダブルチェックをしていないと回答したため、被告Cは、もう君たちは関わらなくていいと答えて電話を切った。さらに、被告Cは、同日午後3時44分に、人事部に対して、「今回の健診結果処理で、保健師にはダブルチェックを行うよう指示していまし たが、「ストレスチェックの打合せが入っていたので出来なかった」との説 明がありました。これはどういう事でしょうか?同じ人事部で、このような対応をされるのであれば、今後のご協力は行えません。」と記載したメールを送信して抗議した。(乙7、12の2、原告B本人、被告C本人)(5)内々定健診から原告らの就労終了までの経緯ア原告らは、人事部から、ロッカールーム内で、従業員の個人情報について 大声で話をしないようにとの指導を受けた。このほかに、人事部から何らかの指導を受けたことはなかった。(証人D)イ平成30年6月18日朝に大阪北部地震が発生し、同日に開催予定であった健康相談室の定例ミーティングは中止となり、また、同日開催予定の開発棟衛生委員会は同月21日に延期となった。同委員会において、原告Bは、 衛生講話を担当することになっており、同月13日又は14日に、原告Bがその衛生講話の資料を被告Cに提出し、同月16日又は17日に被告Cが修正の上、原告Bに送る予定であったが、被告Cは、原告Bの衛生講話を、自らが引き取って実施することとした。(乙8の1・2、原告B本人、被告C本人) 同月18日、原告Bが、被告Cに対し、内々定健診の際の出来事に関して謝罪したところ、被告Cは、顔をパソコンに向けたまま、その話は後で聞くからいいと言った(乙12の2、原告B本人)。また、原告Aが、大阪北部地 日、原告Bが、被告Cに対し、内々定健診の際の出来事に関して謝罪したところ、被告Cは、顔をパソコンに向けたまま、その話は後で聞くからいいと言った(乙12の2、原告B本人)。また、原告Aが、大阪北部地震のため休む旨を被告Cに電話連絡した際に、被告Cは、相槌を打つことなく、「わかりました。」とのみ言って電話を切った(甲25)。 ウ被告Cは、平成30年6月19日、原告らが昼休みに健康相談室に赴き、午後1時からのオリエンテーションについて話し掛けると、原告らの問い掛けを無視して相談室のドアを閉めた。また、被告Cは、同日夕方、原告Aの「遅くなりすみません。」との声掛けを無視した。(甲25、26)原告Bは、同日、Dに対して、内々定健診の出来事及び衛生講話を取り上 げられたことについて、経緯を説明する資料を作成し、メールにより送付し た(乙12の1・2)。 エ原告Aは、平成30年6月21日、D及びIに対し、「カルテ整理の状況は昨日報告したものであって、カルテ整理に時間がかかるから外来や健診業務から外すという説明は先生から一切受けておりません。先日の金曜日の事件以降、急に仕事に関与しなくてよいという態度を取り始め、ほぼ無視される 状態が続いています。」などと記載したメールを送信した(乙36の1)。 オ被告Cは、平成30年6月25日、原告Bから定例ミーティングを開催する必要があるのではないかとメールで質問されたことに対し、「現在、指示している業務(カルテ整理)に専念できるよう、衛生講話等を外しています。 進捗状況についての報告は、メールでも可能だと思います。「何も分からな いまま仕事が進んでいる」との認識は、こちらにはありません。ミーティングのために移動等に時間を掛けるのであれば、業務が少しでも 状況についての報告は、メールでも可能だと思います。「何も分からな いまま仕事が進んでいる」との認識は、こちらにはありません。ミーティングのために移動等に時間を掛けるのであれば、業務が少しでも早く終わるようにして欲しいと考えます。」との返信をして、カルテ整理業務が終了するまでは定例ミーティングを随時開催に変更し、報告はメールで行うこととすることにした(乙21の1~4)。 原告BとIは、同日のチャットで、「Bさん!こらえて!!」、「今日急遽、定例MT行こうとしたらなしっていわれたんです・・・。」、「直前キャンセルはしんどいですね…。状況はこちらでも見ているので、Bさんのお気持ちはよく分かります。」等のやり取りを行った(乙35の2)。 カ平成30年6月26日の出来事 (ア)被告Cは、同日朝、原告Aが挨拶するために健康相談室の扉を開けると、電話がかかってくることを理由に扉を閉めた(甲25)。 また、原告Aは、同日の昼休みに、昼食を買いに行く旨被告Cに声を掛けたが、被告Cは、パソコンに向かったままこれを無視した(甲25)。 被告Cは、同日、Dと面談し、内々定健診の際の出来事について被告C と原告らとの間でまだ話合いをしていなかったことから、原告らを呼び出 して面談をした(証人D、原告A本人、原告B本人、被告C本人)。 (イ)被告Cは、上記面談後、原告らに対し、「今日の話し合いにおいて、産業医と保健師の間で、認識のズレ、理解のズレが生じている事が分かりました。今後は、そのようなコミュニケーション上の問題が発生しないよう、以下のように指示や報告等を行う事としますので、よろしくお願いします。 「言った、言わない」といったコミュニケーションギャップを無くすため、業務指示、連絡、報告については、原則、メ しないよう、以下のように指示や報告等を行う事としますので、よろしくお願いします。 「言った、言わない」といったコミュニケーションギャップを無くすため、業務指示、連絡、報告については、原則、メールにて行い、記録を残す事とします。 (外来対応や休養者への対応に関する指示は、口頭で行います)産業医不在時の終業時の報告も、本社、開発等(注・開発棟の誤記)で別々にメール(産業医の個人アドレスと会社のアドレスの両方)にて報告を行 ってください。産業医からの指示が理解できない場合は、理解できるまで質問・確認してください。理解できた指示内容は、確実に実行してください。尚、指示内容についての疑義や意見は、原則、受けないものとしますが、各自の判断で行ってください。」、「定例の健康相談室内のMTは、廃止とします。今後のMTについては、必要に応じて開催します。」と記載した メールを送信した(乙27の1)。 (ウ)原告Aは、上記(イ)の、業務指示はメールを原則とし、定例ミーティングを廃止することを内容とする被告Cのメールについて、返信案を作成し、被告Cに返信する前にDに相談しようと、Dに送付した。これに対し、Dが修正案を作成して原告Aに返信した。(乙29の1・2) (エ)原告らは、上記面談後、チャットで、「2人だったから心強かった~」、「Bさんも色々言ってくれるから助かる~」、「にしても、むかつく。。あのバカ産業医」、「Dさんも委縮」、「Dさん、小っちゃくなってたね」、「でも人事はいってもらってたほうが良いですね」、「うん、第3者は必要」などのやり取りを行った(弁論の全趣旨)。 (オ)原告Bは、上記面談後、Dに対して、「少しでも、先生に私たちの意見が 伝わっていればいいな…と願うばかりです。」と記載したメールを送 どのやり取りを行った(弁論の全趣旨)。 (オ)原告Bは、上記面談後、Dに対して、「少しでも、先生に私たちの意見が 伝わっていればいいな…と願うばかりです。」と記載したメールを送信した(乙27の2)。 キ原告らとDは、平成30年6月27日、チャットでやり取りをし、Dが、「恐らく刺激しても何も次の良いことに繋がらないと思いますので(腹立つ部分はかなりありますが、)同じ次元で話さないのが吉だろうなと思ってい ます。」、「上半分だけ言ってご機嫌さんにしておいて終わりと言う作戦でも良いかと思いました。 (ハラの人達は基本、自覚ないですもんね…)」、「私も、そういう自覚がない人は(私もどなたかにハラされてる感があって申し訳ないですが笑)「私生活で勝手に嫌われて苦労せい!バーロー」と思うようにしてます」と送信した(甲10)。 ク原告ら及び被告Cは、平成30年7月5日にミーティングを行った。同ミーティングでは、カルテ整理業務終了後の同月9日以降からの原告らの業務について、人事部が行ってきた業務の中から医療職が行ったほうが効率的な業務又は医療職でも可能な業務を選定して、人事部業務の移管を受けるという方針が決められた。また、衛生委員会については、開発棟の健康相談室を 空室にしないために、保健師1名の参加とすること、職場巡視については、開発棟担当保健師が担当すること、衛生講話については、同月は産業医が実施し、同年8月及び9月は未定であることが決められた。(乙2の2)原告BとIは、同年7月5日のチャットで、「本日のEパートナーの打ち合わせですが、開発棟ではないんですかね?」、「今回、本来であれば開発棟 に我々が移動して実施するべきでしたね。」、「こんな扱い受けて、悔しいです」等のやり取りを行った( のEパートナーの打ち合わせですが、開発棟ではないんですかね?」、「今回、本来であれば開発棟 に我々が移動して実施するべきでしたね。」、「こんな扱い受けて、悔しいです」等のやり取りを行った(乙35の2)。 ケ原告Aは、平成30年7月6日、人事部から職場巡視への参加を求められていたことから、本社の職場巡視に参加しようとしたところ、被告Cからカルテ整理業務があるから参加しなくてよい旨の業務指示を受け、職場巡視に 参加しなかった(乙23の1・2)。 コ原告BとIは、平成30年7月9日のチャットで、「明日の打ち合わせ場所の変更も、先生の急な変更ですよね」、「そうです。というより、予定に開発棟って書いてたのですが、本社と勘違いされていたのだと思います。」、「3度目はないぞと思っています。」等のやり取りを行った(乙35の2)。 サ原告らは、平成30年8月頃、プライマリー担当者と面談し、被告会社か ら産業医である被告Cとの関係改善ができない限り直接雇用はできないと言われている旨を聞かされた(原告A本人、原告B本人)。 シ被告Cは、平成30年8月11日から同年9月11日までの間、心筋梗塞で入院した(証人D)。 被告Cが退院した際に、他の従業員には「ご迷惑をおかけしました。」など と挨拶していたにもかかわらず、原告らに対しては、「指示はまたメールでします。」とのみ述べたことがあった(甲25、26)。 ス原告らは、平成30年9月6日にGと、同月13日にDとそれぞれ面談し、保健師としての能力不足ということではなく、産業医である被告Cとの関係改善に必要な時間が取れなかったからであるとの説明を受けた(原告A本 人)。 (6)原告らの後任で就労した紹介予定派遣の保健師ア被告会 いうことではなく、産業医である被告Cとの関係改善に必要な時間が取れなかったからであるとの説明を受けた(原告A本 人)。 (6)原告らの後任で就労した紹介予定派遣の保健師ア被告会社は、平成31年4月頃、保健師の紹介予定派遣の募集を行った。 この募集に対し、アポプラスに登録している労働者5名が応募し、うち2名が書類審査を通過し、うち1名が一次面接及び二次面接を通過して、被告会 社での就労を開始した。このときの面接には、アポプラスの担当者は立ち会わなかった。(甲24)イ原告らの後任となる保健師は、人事部からの直接雇用推薦と派遣元を通じての直接雇用の希望を確認した上で、令和元年7月23日に筆記試験、同月30日に人事部との面接、入社後の報酬制度の説明を経て、同年9月16日 に紹介予定派遣から直接雇用へ変更するに至った(乙51の1~6、乙52 の1~3、証人D)。 2 争点1(被告Cによるパワーハラスメントの有無(不法行為該当性))について(1)原告らは、被告Cが内々定健診の際の出来事以降、原告らに対する態度を変え、仕事外しや無視等のパワーハラスメントを行い、原告らの就業環境を害す る不法行為を行ったと主張する。 (2)被告Cの行為を検討する前提として、被告会社における産業保健の在り方及び原告らと被告Cとの関係について検討する。 ア産業保健における産業医と保健師の役割については、会社ごとに様々な在り方が考えられるところであり、被告らの主張するように、産業医の業務を 保健師がサポートするような役割分担が行われることもあり得ることについては、原告らも認めるところである。 従前の被告会社において、産業医と保健師の役割がどのようであったかについて、原告らが被告会社で就労する前に うな役割分担が行われることもあり得ることについては、原告らも認めるところである。 従前の被告会社において、産業医と保健師の役割がどのようであったかについて、原告らが被告会社で就労する前に勤務していた保健師が残した資料によれば、被告会社における保健師の業務について、診断書・産業医意見書・ 過重面談結果報告等の書類管理、産業医の行う過重労働面談、産業医面談、メンタル・フィジカルの各種相談等の補助業務、定期健康診断・外来対応について、いずれも産業医の指示の下で実施するものとされ、ストレスチェックについては、保健師の担当業務は特にないとされていた(前記認定事実(3)ア)。また、被告会社では、産業医及び保健師の勤務場所である健康相談室 において、産業医及び保健師による面接指導、健康相談、保健指導等のサービスの提供に当たることとしていた(同(3)エ)。そして、被告会社において、原告らが被告会社で就労する前から実際に産業保健業務に当たっていたのは被告Cであり、被告会社における上記のような産業保健の在り方は、被告Cの志向する方向性に一致するものと窺われるところである。そうする と、原告らの産業保健に対する考え方と被告会社のそれとが異なり、たとえ 原告らがそのことに不満を抱いたとしても、被告Cの志向するところをもって被告会社の基本的な産業保健の在り方とされても不合理ではない。 この点、原告らは、労働者派遣雇用契約書兼就業条件明示書(甲1、2の1・2)及び求人票(甲3)の記載から、保健師の業務が産業医のサポート業務でないことが明らかであると主張する。しかしながら、労働者派遣雇用 契約書兼就業条件明示書記載の業務内容は、「健康管理・健康診断・産業保健業務」との抽象的な記載にとどまるから(前記前提事実(2) でないことが明らかであると主張する。しかしながら、労働者派遣雇用 契約書兼就業条件明示書記載の業務内容は、「健康管理・健康診断・産業保健業務」との抽象的な記載にとどまるから(前記前提事実(2)ウ、エ)、産業医の指示の下で、そのサポート業務を行うこととされても、契約書記載の業務内容に矛盾するものではない。また、募集に係る保健師の仕事内容として求人票に記載されたところも、「企業内健康管理業務」の見出しの下、 検診の企画、実施、事後指導、医務室来室者への応急処置、救急対応、メンタルヘルス対応、社員向け健康教育指導、職場巡視、京都府内の拠点への訪問指導、安全衛生委員会への出席、その他業務に付随する事務業務等、簡単なPC入力操作等、ストレスチェックの対応と記載された程度であって(前記認定事実(2)ア(エ))、一般的な保健師の業務を記載したものといえ、 これに加えて、産業保健体制の項目には、常勤の産業医が1名存在する旨の記載があること(同(オ))も考慮すれば、保健師が産業医のサポート業務を行うことも求人票記載内容に何ら矛盾するものでない。さらに、保健師の配属部署は、被告Cの所属する「健康管理室(健康相談室のこと)」とされており(同(ア))、募集背景が「欠員補充」であること(同(ウ))、さ らに、原告らの派遣開始前の面接(一次面接、二次面接)でも、被告Cが面接者の一員として参加し、原告らに質問していたこと(同(2)ウ~カ)などを併せ考えると、客観的には、産業医である被告Cのサポートを行うことも業務内容に含まれることを前提とし、保健師である原告らに対してはそのような期待の下、被告会社での就労が決まったと解するのが相当である。加 えて、原告らにおいても、平成30年5月31日及び同年6月5日に交わし たチャットの である原告らに対してはそのような期待の下、被告会社での就労が決まったと解するのが相当である。加 えて、原告らにおいても、平成30年5月31日及び同年6月5日に交わし たチャットの中で、被告会社における産業保健への取組について、人事部内でも被告Cに近い考え方と原告らに近い考え方の二つが存在するとの認識を示していたこと(同(3)ク、コ)から、原告らの主張する産業保健の在り方が被告会社でとられていたとはいえない。そして、このような状況の下、産業医と保健師の関係について、被告会社の考え方と、これから就労しよう とする保健師(原告ら)の考え方との間に相違があり、就労開始後に原告らがその相違に不満を抱いたとしても、直ちに被告会社に何らかの落ち度があるとか、被告会社が責めを負うべきであるなどと解することはできないというべきである。 イ原告らと被告Cとの関係について、被告Cは、原告らが就労を開始した平 成30年4月頃、原告らの歓迎会を実施し、同年6月には、原告Aの誕生日を祝ったり、原告らと一緒に写真を撮るなどして(前記認定事実(3)ウ)、原告らとの円満な関係を築こうとしていた。また、被告Cは、同月13日時点では、Dとの面談において、原告らについて「合格」、「以前の保健師より活躍」といった積極的、肯定的評価をしていたこと(同(3)ソ)などか ら、被告Cの方から原告らに歩み寄ろうとしていたことが認められる。 これに対して、原告らは、原告Aが、同年5月22日に、以前の職場(資生堂)の同僚に対して、被告Cが実質的に指揮命令権を有しており、原告ら保健師をコントロールしようとしていることへの不満をメールで述べていたほか(同(3)オ)、原告らが、同月28日から同年6月7日までの間、 被告Cについて、パワハラを受けて を有しており、原告ら保健師をコントロールしようとしていることへの不満をメールで述べていたほか(同(3)オ)、原告らが、同月28日から同年6月7日までの間、 被告Cについて、パワハラを受けている、産業保健を知らない、発達障害である、被告会社の体制に不満があり、やめたいなどといった明け透けなやり取りを、就業時間中に社内のチャットで度々交わしていたこと(同(3)カ~シ)、原告Aが、就労開始から2か月余を経たばかりの同月11日に、人事部のDに対して、被告Cが産業医というよりは臨床医寄りで、産業保健の マネジメントをする力量がないので、人事部から教育してほしい旨、メール で伝えて要望していること(同(3)ス)、原告Aが、同月13日及び同月14日、十分な事実確認もしないまま、被告会社におけるストレスチェックのやり方がおかしいのではないかと疑い、以前の職場の産業医に対して質問をしていたこと(同(3)セ)などが認められる。以上のような被告C及び原告らの言動を踏まえると、内々定健診より前の時点において、被告Cは、 原告らに一定の積極的、肯定的評価を与えて歩み寄ろうとしていたのに対し、原告らは、内々定健診以前から、被告Cに対し、表面上は被告Cの指示に従う態度で接しつつも、被告Cの産業保健の考え方や、保健師は産業医の指示の下で業務に従事すべきとの考え方は誤っているとの考え等から、被告Cに対して強い嫌悪感を抱き、被告Cが原告らに対して業務上の指示をする等の 対応がパワーハラスメントなのではないかとの疑いを持って接していたと認められる。 (3)以上の関係を踏まえて、原告らが被告Cのパワーハラスメントのきっかけであると主張する内々定健診の際の出来事について検討する。 ア内々定会においては、内々定者に対して午前中に行 る。 (3)以上の関係を踏まえて、原告らが被告Cのパワーハラスメントのきっかけであると主張する内々定健診の際の出来事について検討する。 ア内々定会においては、内々定者に対して午前中に行われた健康診断(内々 定健診)について、その結果を医療機関から受領し、内容を検討して、内々定会終了時である午後4時半頃までに、内々定健診の結果を内々定者に交付し、異常所見のある者については保健指導を行う必要があった(前記認定事実(4)ア)。そして、被告Cは、同日出張予定であり、被告会社外において、内々定健診の結果の送信を受けて判定をする必要があった(同(4)イ)。 このように、内々定健診は、時間的制約があり、かつ、医療職である産業医や保健師の専門的知見を要するという点で、被告会社の産業保健に関する業務としては、緊急性及び重要性の高い業務であった。 イ内々定健診当日の業務における保健師の関与について、平成30年5月22日の内々定健診の打合せにおいても、その後の内々定健診前日である同年 6月14日までのミーティングにおいても、特に何も決められなかった(同 (4)イ)。内々定健診の結果をどのように被告Cに伝達するかという点に関し、同日より前は、内々定健診の結果を医療機関から人事部が受領し、被告Cの個人メールアドレスに直接送信するとされていたのに、同日午後3時35分に被告Cが人事部に送ったメールでは、保健師が質問票と健診結果を確認して、異常所見のある結果を産業医に送信して電話し、産業医が判定し て返信して、保健師から再検査等が必要であることの通知書を対象者に交付すること、その後、異常所見のない結果を産業医に送信して、産業医の確認を経ることとされていた(同(4)イ)。このメールを送信した後、被告Cは、被告会社 再検査等が必要であることの通知書を対象者に交付すること、その後、異常所見のない結果を産業医に送信して、産業医の確認を経ることとされていた(同(4)イ)。このメールを送信した後、被告Cは、被告会社従業員との面談に入り、面談終了後には帰宅したため(同(4)ウ)、原告らは、被告Cのメールによる指示の変更について、対面又は電話 によって確認する機会がなかった。この指示については、被告Cは、健診結果のダブルチェックをするように求めていたものの、原告らは、異常所見の有無を確認して選別し、被告Cの健診結果判定の効率化を図るための指示であると認識した(同(4)エ)。そして、内々定健診当日の同月15日には、内々定健診結果の第1陣が午後2時40分頃に被告会社に届き、原告らが異 常所見の有無の選別をしていたところ、午後3時頃に被告Cから原告Bに電話があり、原告らが内容を確認していると確認が遅くなってしまうので、直接被告Cに健診結果を送信するようにと電話があった(同(4)オ)。これを受けて、原告らは、第1陣の健診結果を自ら被告Cに送信し、それ以降の健診結果を人事部から被告Cに送信するよう伝え、その結果、人事部から、 第2陣及び第3陣の健診結果が被告Cに送信された(同(4)カ)。原告らが、人事部とストレスチェックの打合せをしていると、被告Cから原告Bに電話がかかり、健診結果のダブルチェックをしているかと問われ、原告Bがストレスチェックの打合せをしており、ダブルチェックをしていないと答えると、被告Cがもう君たちは関わらなくていいと答えて電話を切り、人事部 に対して、保健師にはダブルチェックをするよう指示していたのに、ストレ スチェックの打合せでできなかったと説明していることについてメールで抗議した(同(4)キ)。 事部 に対して、保健師にはダブルチェックをするよう指示していたのに、ストレ スチェックの打合せでできなかったと説明していることについてメールで抗議した(同(4)キ)。 企業における健康診断の実施及びその結果に基づく意見を述べることは、産業医の職務であり、保健師の職務ではない(労働安全衛生法66条、66条の4参照)。他方、健康診断の結果を受けての保健指導は、産業医又は保 健師の職務である(同法66条の7第1項参照)。 以上のような事実経過及び産業医と保健師の職務の違いを併せて考えると、健診結果に誤りがないかどうかを確認すること(被告Cの表現によればダブルチェック)は、保健指導そのものということはできず、むしろ医師のすべき判断の補助というべきものであって、保健師の本来的業務ではないの であるから、ダブルチェックを原告ら保健師にさせるに当たっては、その旨を明示して具体的に指示すべきであった。原告らは、内々定健診の頃には、被告会社での就労を開始してから2か月程度が経過していたものの、前任の保健師からの引継ぎも特に受けていないほか(前記認定事実(3)ア)、被告Cから明確に健診結果のダブルチェックを求められたこともなかった。そ のような状態で、原告らは、被告Cから健診結果のダブルチェックまで求められていると認識しなかったものである。被告Cが内々定健診前日に送ったメールを見ても、健診結果を異常所見の有無で選別して、異常所見のあるものを先に送付し、異常所見のないものを後で送付するという以上に、ダブルチェックが求められていたとみることは困難であった。 ウこの点、被告らは、原告らの保健師としての経験からダブルチェックが求められていたことは理解できたはずである旨主張する。 しかしな ェックが求められていたとみることは困難であった。 ウこの点、被告らは、原告らの保健師としての経験からダブルチェックが求められていたことは理解できたはずである旨主張する。 しかしながら、健診結果のダブルチェックが保健師の本来的業務ではなく、原告らと被告Cとの信頼関係が十分にできていたとは言い難い関係にあり、被告会社で初めて行う業務についての指示が出されたという状況下におい ては、原告らが、被告Cの言外の指示を読み取ることは困難であった。 また、被告らは、原告らが事後に内々定健診当日の状況をまとめた書面(甲9)では、ダブルチェックの指示を受けたと記載していることから、ダブルチェックの指示を受けたと認識していたとも主張する。 しかしながら、原告らの作成した書面は、ダブルチェックをしていないことを被告Cから責められた後で作成したものであって、原告らの当時の認識 を反映したものではない。この点に関する被告らの主張は採用できない。 エしたがって、内々定健診の際の出来事は、被告Cの指示がダブルチェックを明確に指示しなかった点で不十分であり、原告らにおいても被告Cの指示内容を確認せず、指示を取り違えたまま行動したことにより生じたミスコミュニケーション(意思伝達が不十分であったこと)によるトラブルであると いうことができ、その原因は原告らのみにあるものではないと認められる。 (4)次に、原告らが主張する被告Cによる仕事外しについて検討する。仕事外しについては、カルテ整理業務を優先するように被告Cが指示をした結果、従前原告らが行っていた業務が取り上げられたというものであるから、まずは、カルテ整理業務の意義について検討してから、業務上の必要性を欠く嫌がらせ目 的の仕事外しが行われたか否かを検討す 結果、従前原告らが行っていた業務が取り上げられたというものであるから、まずは、カルテ整理業務の意義について検討してから、業務上の必要性を欠く嫌がらせ目 的の仕事外しが行われたか否かを検討する。 アカルテ整理業務として、被告Cが指示していたのは、健康相談室で保管する紙のカルテを電子化するに当たり、どのような情報がどこにあるかを分かるようにするために、社員番号等の必要項目のほか、カルテを検索するために必要な情報をエクセルに打ち込んでデータベース化する作業であった(前 記認定事実(3)イ(イ))。 カルテ整理業務を優先すべきであると被告Cが考えていた理由について、被告Cは、9月になって定期健康診断が始まると、定期健康診断に関する業務が増えてカルテ整理業務に手が回らなくなることに加え、カルテに記載されている健康情報が定期健康診断の判定をする際に必要になるため、カルテ 整理業務が定期健康診断の判定に役立つことを挙げている(被告C本人)。 このようなカルテ整理業務の目的からすれば、カルテ整理業務は、被告会社における産業保健にとって重要な業務であり、かつ、9月の定期健康診断までという時間的制約のある業務であることが認められる。なお、被告らは、カルテ整理業務には、原告らの保健師としての技能の向上を図る目的や、被告会社における産業保健の課題等を認識させる目的があったと主張するが、 被告会社には電子カルテがあるにもかかわらず、原告らにこれへの閲覧権限が与えられておらず、健康相談室利用者については、紙のカルテ以外に被告Cのノートが作成されていたにもかかわらず、原告らにはその情報が共有されていなかったこと(同(3)イ(イ))からすると、原告らとしては、紙のカルテだけでは、被告会社における産業保健の問題点や、 被告Cのノートが作成されていたにもかかわらず、原告らにはその情報が共有されていなかったこと(同(3)イ(イ))からすると、原告らとしては、紙のカルテだけでは、被告会社における産業保健の問題点や、従業員の健康管理 の問題点の全容を把握することができないため、被告ら主張の目的があったとまで認めることはできない。 これに対し、原告らは、カルテ整理業務には、必要性も緊急性もなく、当初は締切りもなかったのに、内々定健診の際の出来事をきっかけに突然締切りが設定されたため、嫌がらせ目的であると主張する。しかしながら、内々 定健診よりも前に行われた被告CとDの面談(平成30年6月13日)において、既に被告Cはカルテ整理業務ができないようでは原告らを不合格であると評するほどカルテ整理業務を重視していた(同(3)ソ)。被告Cは、同日中に原告らに対してカルテ整理業務の締切りが同月末であることを伝達した。同日の原告ら間のチャットでも、原告Bの資料作成業務を被告Cが引 き取り、原告Bが終業15分前にカルテ整理業務を少しでも進めようとしていたことが認められ(同(3)タ)、そのようなやり取りがされたのは、カルテ整理業務の締切りが同年6月中であると伝えられたからこそであると推認できる。このように、原告らにカルテ整理業務を優先して作業してほしい旨の被告Cの指示は、内々定健診に先立ってされていたものであって、原告 らが主張するような嫌がらせ目的に基づくものとはいえず、上記のカルテ整 理業務の目的からすると、原告らが主張するように必要性や緊急性がなかったともいえない。原告らの主張は採用できない。 したがって、カルテ整理業務優先の指示は、業務上の必要性、緊急性があるものであり、嫌がらせ目的によるものでもないことから、カ 性や緊急性がなかったともいえない。原告らの主張は採用できない。 したがって、カルテ整理業務優先の指示は、業務上の必要性、緊急性があるものであり、嫌がらせ目的によるものでもないことから、カルテ整理業務を優先するために、原告らの他の業務を軽減することをもって、不当な仕事 外しと認めることはできない。 イ原告らの主張するカルテ整理業務が完了するまでの個別の仕事外しについて検討する。 (ア)衛生委員会への出席拒否について平成30年6月18日には、開発棟衛生委員会が開催予定であったとこ ろ、同日朝に大阪北部地震が発生し、同日の衛生委員会は同月21日に延期となった(前記認定事実(5)イ)。被告Cは、原告Aが衛生委員会に出席することでカルテ整理業務に支障が生じるようであれば、衛生委員会への出席は止めたと思う旨供述するところ、上記アのとおり、原告らによるカルテ整理業務には必要性、緊急性があり、そのために被告Cが原告らの 代わりを務めることとして、原告らの衛生委員会への出席を止めることは、合理的な業務指示であるといえ、パワーハラスメントには当たらない。 (イ)衛生委員会での衛生講話の取上げ原告Bは、平成30年6月18日の開発棟衛生委員会で衛生講話を担当することになっており、その準備をしていたが、大阪北部地震で同委員会 が延期になり、衛生講話を被告Cが原告Bに代わって担当することとなった(前記認定事実(5)イ)。被告Cは、大阪北部地震で衛生講話が延期になり、いつになるか分からなかったから被告Cが担当を引き取ったと供述する。この点、原告Bには、カルテ整理業務を優先するようにとの業務指示がされており、衛生講話が延期となることで、原告Bがカルテ整理業務 に集中できない期間が延びるのを避けるために、衛生 と供述する。この点、原告Bには、カルテ整理業務を優先するようにとの業務指示がされており、衛生講話が延期となることで、原告Bがカルテ整理業務 に集中できない期間が延びるのを避けるために、衛生講話の担当を引き取 ったものと推認される。そうすると、衛生講話の担当を引き取ることも合理的な業務指示であるといえ、パワーハラスメントには当たらない。 (ウ)健康相談室来室者への応急処置・急患対応拒否原告らは、平成30年6月15日以降、被告Cから原告らに対して応急処置や急患対応を手伝ってほしいとの声掛けがなくなったと供述する。し かし、来室者が健康相談室に入室して、産業医の部屋に行くには、保健師の部屋を通る必要がある(前記認定事実(3)イ(ウ))。このような健康相談室の構造からすると、急患の発生等について原告らの方でも把握できたことが窺え、そのような状況であるのに、応急処置や急患対応を被告Cとすることがなかったとは考え難い。そのため、原告ら主張の事実を認め ることはできない。 (エ)職場巡視の拒否原告ら及び被告Cは、平成30年7月5日にミーティングを行い、カルテ整理業務終了後の同月9日以降の原告らの業務予定について話合いを行い、職場巡視については開発棟担当保健師1名が参加することとされた (前記認定事実(5)ク)。原告Aは、同月6日、人事部から参加を求められたことから、本社の職場巡視に参加しようとしたが、被告Cからカルテ整理業務があるから参加しなくてよい旨の業務指示を受けた(同(5)ケ)。 この点、ミーティングで議論していた職場巡視について、原告らと被告Cとの間に認識の齟齬が生じていたものであるが、カルテ整理業務の優先に ついては一定の合理性が認められることから、パワーハラスメントとまではいえない。 ていた職場巡視について、原告らと被告Cとの間に認識の齟齬が生じていたものであるが、カルテ整理業務の優先に ついては一定の合理性が認められることから、パワーハラスメントとまではいえない。 (オ)定例ミーティングの拒否及び廃止被告Cは、平成30年6月15日までは、週1回行っていた健康相談室の定例ミーティングを、同月18日には大阪北部地震があったために中止 し(前記認定事実(5)イ)、同月25日にはカルテ整理業務の優先を指示 しており、それが終了するまでは定例から随時に変更し、報告はメールですることとしてミーティングを実施せず(同(5)オ)、同月26日には、業務指示、連絡及び報告は原則メールで行うこととして、定例ミーティングを廃止した(同(5)カ(イ))。原告らに対しては、カルテ整理業務を優先的に行うよう被告Cから指示されていたことから、この業務について の情報共有に限っては、メールで足り、ミーティングを行う必要性はそれほど高くなかったといえる。しかしながら、原告らが担当する業務は、カルテ整理業務に尽きるものではなく、それ以外の業務も存在していたことに加えて、内々定健診の際にメールのみでの指示を巡って原告らと被告Cとの間に認識の相違が生じており、被告Cが指示を明確に伝達し、原告ら との間で誤解なく認識を共有するための手段として、メールのみに頼ることには限界があったことなどを踏まえると、カルテ整理業務を優先的に実施するよう指示していたとしても、ミーティングによって原告らと被告Cとの認識のすり合わせを行う必要性は否定できない。そのため、定例ミーティングの中止・廃止は、そのようにする業務上の必要性が高いとはいえ ず、不当な目的の下で行われた仕事外しに当たり得る。 ウ続いて、原告らの主張するカルテ整 否定できない。そのため、定例ミーティングの中止・廃止は、そのようにする業務上の必要性が高いとはいえ ず、不当な目的の下で行われた仕事外しに当たり得る。 ウ続いて、原告らの主張するカルテ整理業務完了後の個別の仕事外しについて検討する。 被告Cは、原告Aが平成30年9月の衛生講話に向けて作成した資料が、インターネットで検索したものを貼り付けたような資料であり、衛生講話で 使うことがふさわしくなかったと供述する。このように、原告Aの作成した資料が衛生講話に用いるのに適したものでなかった場合、その資料の使用を取りやめさせることには合理性が認められるため、パワーハラスメントに直ちに当たるとはいえない。 (5)原告らは、内々定健診以降、被告Cが原告らに対する態度を悪化させ、無視 等を行ったと主張する。 ア原告Bは、平成30年6月18日、被告Cに対し、内々定健診の際の出来事に関して謝罪したところ、被告Cは顔をパソコンに向けたまま、その話は後で聞くからいいと言った(前記認定事実(5)イ)。被告Cの言動は、コミュニケーションの取り方として不適切とはいえるものの、このことのみから直ちにパワーハラスメントに当たるとはいえない。 イ被告Cは、平成30年6月18日、原告Aが大阪北部地震のため休む旨を電話連絡した際に、相槌を打つことなく、「わかりました。」とのみ言って会話を打ち切った(前記認定事実(5)イ)。被告Cの言動は、ぶっきらぼうではあるものの、このことのみから直ちにパワーハラスメントに当たるとはいえない。 ウ被告Cは、平成30年6月19日、原告らが昼休みに健康相談室に赴き、午後1時からのオリエンテーションについて話し掛けると、原告らの問い掛けを無視して相談室のドアを閉めた(前記認定事実(5 ウ被告Cは、平成30年6月19日、原告らが昼休みに健康相談室に赴き、午後1時からのオリエンテーションについて話し掛けると、原告らの問い掛けを無視して相談室のドアを閉めた(前記認定事実(5)ウ)。被告Cの言動は、業務上必要性のあるオリエンテーションに関する原告らの相談に何の理由も述べずに応じないというものであり、不当な目的で行われた業務上必要 のない言動であり、パワーハラスメントに該当し得る。 エ被告Cは、平成30年6月19日夕方、原告Aの「遅くなりすみません。」との声掛けを無視した(前記認定事実(5)ウ)。このような被告Cの言動は、不適切ではあるものの、このことのみから直ちにパワーハラスメントに当たるとはいえない。なお、被告Cは、持病の突発性難聴があり、声掛けに気付 かなかった可能性があると主張するが、コミュニケーションに支障を来す可能性のある持病であれば、連携が必要な保健師である原告らと情報を共有しておくのが自然であること、診断書等による裏付けもないことなどを踏まえると信用できない。 オ被告Cは、平成30年6月26日の朝、原告Aが挨拶するために健康相談 室の扉を開けると、電話がかかってくることを理由に扉を閉めた(前記認定 事実(5)カ(ア))。健康相談室の保健師と産業医の部屋の間の扉は、来室者との相談時やプライベートな電話の際には閉めていたこと(被告C本人)を踏まえると、電話がかかってくることを理由としている被告Cの言動には、業務上の必要性が認められ、このことのみから直ちにパワーハラスメントに当たるとはいえない。 カ被告Cは、平成30年6月26日の昼休みに、原告Aの昼食を買いに行く旨の声掛けをパソコンに向かったまま無視した(前記認定事実(5)カ(ア))。 このような被告Cの言動は たるとはいえない。 カ被告Cは、平成30年6月26日の昼休みに、原告Aの昼食を買いに行く旨の声掛けをパソコンに向かったまま無視した(前記認定事実(5)カ(ア))。 このような被告Cの言動は、不適切ではあるものの、このことのみから直ちにパワーハラスメントに当たるとはいえない。 キ被告Cは、平成30年8月11日から同年9月11日までの間、心筋梗塞 のため入院しており、退院した際に、他の従業員には、「ご迷惑をおかけしました。」などと挨拶していたにもかかわらず、原告らには、「指示はまたメールでします。」とのみ述べたことがあった(前記認定事実(5)シ)。被告Cの言動は、他の従業員に対するものとは明らかに異なり、原告らとはコミュニケーションを取ることを望まないという態度を示すものであり、そこには 不当な目的があるものと推認され、パワーハラスメントに該当し得る。 (6)以上の検討を前提に、被告Cの行為が不法行為に該当するか検討する。 ア職場における優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境を害し、肉体的・精神的苦痛を与えた場合には、当該言動は、当該労働者に対する不法行為に該当する パワーハラスメントであると認められる。 イ原告らの主張する仕事外しのうち、パワーハラスメントに該当し得るものは、定例ミーティングの中止及び廃止である。被告Cは、健康相談室において原告らに対して業務指示をする立場にあり、優越的地位を有するところ、一方的な定例ミーティングの中止及び廃止は、原告らとの会話を避けようと する不当な目的の下に、ミーティングの目的、すなわち、保健師と産業医と の間で業務に関する認識の齟齬をなくし、共通認識を形成するという業務上の必要性を無視 告らとの会話を避けようと する不当な目的の下に、ミーティングの目的、すなわち、保健師と産業医と の間で業務に関する認識の齟齬をなくし、共通認識を形成するという業務上の必要性を無視して行われたものであり、パワーハラスメントに該当する。 この行為によって、原告らの就業環境が害され、精神的苦痛を与えたものと認められるから、不法行為に該当すると認められる。 ウ原告らの主張する無視等について、原告らは、被告Cの各行為では違法で あるとはいえなくても、継続した一連の行為として扱うことで違法となる一体的行為として扱うべきであると主張する。この点、上記(5)のうち、単に不適切な行為に当たるア、イ、エ及びカ並びに業務上の必要性が否定できないオを除き、その余のウ及びキにつき、被告Cの言動は、原告らとの接触を避けようとする不当な目的の下に、業務上の必要性の乏しい差別的な対応 をとるものであって、一連のものとして扱うのが相当であり、これらの行為によって、原告らの就業環境が害され、精神的苦痛を与えたものと認められるから、不法行為に該当するといえる。 (7)したがって、被告Cの行為のうち、定例ミーティングの中止及び廃止、業務上必要のある声掛けへの無視並びに被告Cの退院後に、原告らに対してのみ他 の従業員と比べて差別的な対応をとった点については、不法行為であると認められる。 3 争点2(被告会社の使用者責任の有無)について被告Cは、当時被告会社に雇用されており、上記2で検討したとおり、被告Cの事業の執行について行われた行為により、原告らに損害を加えたものといえる から、被告会社は、被告Cのパワーハラスメントについて、使用者責任を負う。 4 争点3(被告会社の安全配慮義務違反の不法行為該当性)について(1 為により、原告らに損害を加えたものといえる から、被告会社は、被告Cのパワーハラスメントについて、使用者責任を負う。 4 争点3(被告会社の安全配慮義務違反の不法行為該当性)について(1)原告らは、平成30年6月19日以降、人事部に対し、被告Cからのパワーハラスメントについて苦情申出を繰り返し行っていたにもかかわらず、被告Cに対し何ら事実確認・指導及び教育を行わずに放置した上、同月26日の被告 Cとの面談の場にパワーハラスメント被害者である原告らを呼び出し、被告C による不当な糾弾を何ら制止せず、二次的な被害を生じさせたとして、被告会社には安全配慮義務違反の不法行為が成立すると主張する。 (2)まず、原告らが、就業規則等の手続に則って被告Cのパワーハラスメントをハラスメント相談窓口に通報したという事実は、本件全証拠によっても認められない。他方、原告らは、Dを含む人事部の従業員に、随時メール若しくはチ ャット又は飲み会の席などにおいて口頭で、被告Cからパワーハラスメントを受けている旨を相談していた。 このことは、原告Bが、平成30年6月19日、Dに対して、内々定健診の出来事及び衛生講話を取り上げられたことについてメールで報告したこと(前記認定事実(5)ウ)、原告Aが、同月21日、D及びIに対し、内々定健診以 降、被告Cに無視されている旨のメールを送信したこと(同(5)エ)、原告Aが、同月26日、Dとの間で、定例ミーティングを廃止とする被告Cのメールに対する返信案をやり取りしたこと(同(5)カ(ウ))、原告らとDとの同月27日のチャットで、Dが「ハラの人達は基本、自覚ないですもんね…」などと伝えていたこと(同(5)キ)、原告BとIとの間で、同月25日、同年7月 5日及び同月9日に、被告Cの指示が Dとの同月27日のチャットで、Dが「ハラの人達は基本、自覚ないですもんね…」などと伝えていたこと(同(5)キ)、原告BとIとの間で、同月25日、同年7月 5日及び同月9日に、被告Cの指示が突然変わることへの不満についてチャットによるやり取りをしていたこと(同(5)オ、ク、コ)などから、原告らが被告Cの対応の理不尽さを指摘し、DやIが原告らに共感し、対応を一緒に検討するなどしているものと認められ、原告らからのパワーハラスメントの相談について認識していたものと認められる。この点、Dは、原告らとのチャット について、愚痴を言い合っていただけであると証言するが、そうであればハラスメントを意味する「ハラ」という単語を用いて、被告Cがハラスメントをしているかのような文脈で用いる必要はないのであって、この点に関するDの証言は信用できない。 ただし、原告らから相談を受けていたDやIは、原告らの相談を受けて、被 告Cに意見を述べるなどの対応をとっており、被告Cを放置していたわけでは なく、平成30年7月9日以降は、原告らが被告Cから指示を受けるという関係が薄まっており、ハラスメントの原因となり得る原告らと被告Cとの接触の機会が減少していた。そのような状況を踏まえると、被告会社が、被告Cに対する事実確認、調査、指導まで行わなければならなかったとする原告らの主張は採用できない。 なお、原告AがGに対して相談を持ち掛けたことが、パワーハラスメントの申告であったとは認められない。 (3)次に、被告CとDが、平成30年6月26日に面談をし、内々定健診の際の出来事について、被告Cと原告らとの間でまだ話合いをしていなかったことから、原告らが呼び出され、被告Cとの面談に加わったことが認められる(前記 認定事実 6月26日に面談をし、内々定健診の際の出来事について、被告Cと原告らとの間でまだ話合いをしていなかったことから、原告らが呼び出され、被告Cとの面談に加わったことが認められる(前記 認定事実(5)カ(ア))。面談後の原告らのチャットでは、原告ら二人で、被告Cに対していろいろと意見を述べることができた旨及び第三者(人事部のD)が面談に入っていたことがよかった旨のやり取りがされており(同(5)カ(エ))、原告BがDに対し、被告Cに原告らの意見が伝わっていることを願う旨のメールを送信したこと(同(5)カ(オ))を踏まえると、原告らは、被告 Cに対して原告ら自身の意見を述べることができたと感じており、被告Cとの面談にDが同席していたことにはむしろ手ごたえを感じていたことが認められる。このような状況を踏まえると、被告会社(D)が、同日の面談において、被告Cのパワーハラスメントを訴えている原告らを同席させたこと自体は必ずしも適切であるとはいえないものの、原告らに対する二次被害を生じさせた ものとは認められない。 (4)したがって、被告会社の安全配慮義務違反による不法行為は認められない。 5 争点4(パワーハラスメントで原告らに生じた損害及びその額)について被告Cのパワーハラスメントによって、原告らの就業環境が害され、精神的苦痛を被ったことは、前記2で認定判断したとおりであり、このことについて被告 Cのみならず、被告会社も責任を負うことは前記3で判断したとおりである。そ こで認定した被告Cによるハラスメントの内容、態様のほか、原告らの認識、言動等を含め総合考慮し、原告らの精神的苦痛を慰藉するには、被告らに、慰謝料として原告ら各自につき10万円ずつの連帯支払をさせることとするのが相当である。 6 争点5( 様のほか、原告らの認識、言動等を含め総合考慮し、原告らの精神的苦痛を慰藉するには、被告らに、慰謝料として原告ら各自につき10万円ずつの連帯支払をさせることとするのが相当である。 6 争点5(原告らと被告会社との間の労働契約の成否)について (1)原告主張1についてア原告主張1は、原告らとプライマリーとの間の派遣労働契約は、労働者派遣の枠組みを超えていて無効であり、被告会社による採用決定時に原告らと被告会社との間に労働契約が成立するというものである。 イ原告主張1は、派遣元が採用決定を含めた雇用主としての責任を負ってい なければならず、採用決定に派遣先が関与することは、労働者派遣の枠組みを超えて違法な労働者供給に該当するため、当該労働者派遣契約は無効であることを前提としている。この前提は、通常の労働者派遣においては首肯できるものであるが、紹介予定派遣についても同様に解さなければならないのかどうかが問題である。 ウ紹介予定派遣とは、労働者派遣のうち、労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び派遣先について、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含むも のである(労働者派遣法2条4号参照)。紹介予定派遣を除く労働者派遣においては、派遣先は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定行為)をしないように努めなければならないとされているところ、紹介予定派遣については、職業紹介を伴うことから、このような派遣労働者を特定す 遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定行為)をしないように努めなければならないとされているところ、紹介予定派遣については、職業紹介を伴うことから、このような派遣労働者を特定す る行為も許容されている(同法26条6項参照)。 エ紹介予定派遣において特定行為を許容することとした法改正(平成15年法律第82号)の趣旨は、法改正の当時、派遣労働者から正社員に登用される者が一定数存在するという実態があり、これが失業率低下のために一役買っていたことを踏まえ、以下のとおり、派遣労働者が派遣先で直接雇用されることを更に促進することにあった。すなわち、同改正前の紹介予定派遣に おいては、派遣先において、労働者派遣を受ける前の段階で、直接雇用のために派遣予定者の事前面接をすることができず、労働者派遣期間中に直接雇用の内定をすることもできなかったことから、これが直接雇用促進の阻害要因であると指摘されていた(甲22、23の2、乙49の2)。他方で、限定的にであれ、派遣先に特定行為を許容すると、労働者派遣と職業紹介の区別 が曖昧になり、労働者の雇用関係が不安定になるのではないかとの懸念も存したところであるが、そもそも、法改正前の労働者派遣において特定行為が禁止されていたのは、派遣先に派遣労働者を事前面接するなどの特定行為を認めると、派遣労働者の選考、ひいては派遣先による派遣労働者に対する差別的な取扱いにつながりかねないことから、これを排除するためであった。 そして、紹介予定派遣には、労働者派遣の側面と職業紹介の側面の両面が混在するところ、実際に求人条件を派遣労働者に明示して、就職の意思があるか否かを確認し始めた後は職業安定法の適用場面となり、その前は労働者派遣法の適用場面であると区別することができる( 側面の両面が混在するところ、実際に求人条件を派遣労働者に明示して、就職の意思があるか否かを確認し始めた後は職業安定法の適用場面となり、その前は労働者派遣法の適用場面であると区別することができる(甲22、23の3、乙49の3)。紹介予定派遣における職業紹介の側面をこのように明確に把握した 上で、職業安定法において、性別等による差別をしてはならないとされていること(同法3条)により求職者の保護が図られることから、労働者の派遣先企業による派遣就業開始前の面接、履歴書等の送付及び求人条件の明示並びに派遣就業期間中の求人・求職意思の確認及び採用内定を許容するとの立法政策が採用されることとなった(甲22、23の5、乙49の4)。 以上の立法過程での議論を踏まえると、紹介予定派遣においては、派遣労 働者の直接雇用に資するため、労働者派遣一般に対する例外として、派遣就業開始前に、面接や履歴書等の送付などの特定行為及び求人条件の明示という職業紹介の前提となる行為をすることが派遣先に許容されているものと考えられる。 オ本件では、原告らは紹介予定派遣を明示した被告会社の求人に応募し(前 記認定事実(2)ア、イ)、プライマリーとの派遣労働契約を締結する前に、被告会社に履歴書及び職務経歴書を提出したほか、被告会社の用意した訪問カードに健康状態や家族の状況などを記載して提出した(同(2)ウ、オ)。 また、1時間程度にわたる面接を2回受け、その際には、志望動機、保健師を目指した理由、被告会社でどのような仕事をしたいかなどについての質問 や、労働衛生についての理解が問われたほか、自己PRや長所・短所、私的な事項についての質問もあった(同(2)ウ~カ)。その面接の結果、原告らは、複数の応募者の中から選考されて、プライ の質問 や、労働衛生についての理解が問われたほか、自己PRや長所・短所、私的な事項についての質問もあった(同(2)ウ~カ)。その面接の結果、原告らは、複数の応募者の中から選考されて、プライマリーを通じて内定が伝えられた。そして、内定を受けて、原告らとプライマリーとは、派遣労働契約を締結したこと(同(2)キ、ク)が認められる。 このような被告会社による面接及び内定に関する一連の手続は、紹介予定派遣において許容されている特定行為であるといえ、原告らとプライマリーとの間の派遣労働契約を無効とするような事情に当たるとはいえない。 カこれに対し、原告らは、派遣元に独自の採用決定の判断が留保されていなければ労働者派遣の枠組みを超えることになり、そのようにいえるためには、 派遣元が派遣労働者を選択するに当たって必要な情報を有していなければならず、派遣元が派遣労働者を選択していなければならないと主張する。 しかしながら、紹介予定派遣において特定行為が許容されているのは、派遣先にとって、派遣労働者を特定しておきたいというニーズがあり、法改正前には、特定行為が禁止されていたにもかかわらず、実際には事前に特定行 為を実施していた派遣先が散見されたところ、職業紹介を予定する場合に限 って、事前の特定行為を許容したことにある。これは、派遣労働者の直接雇用を促進するという目的を達成するために、派遣労働者と派遣先とのミスマッチを減らし、派遣労働者にとって派遣先への職業紹介を受けやすくするものである。そうであれば、通常の労働者派遣においては、派遣先が派遣元の派遣労働者の採用に関与しているような場合には、その他の事情も考慮した 上で派遣労働契約が無効となり、派遣先と派遣労働者との間に黙示の雇用契約関係 、通常の労働者派遣においては、派遣先が派遣元の派遣労働者の採用に関与しているような場合には、その他の事情も考慮した 上で派遣労働契約が無効となり、派遣先と派遣労働者との間に黙示の雇用契約関係が成立すると解される事案もあり得るところではあるが(最高裁平成20年(受)第1240号同21年12月18日第二小法廷判決・民集63巻10号2754頁参照)、紹介予定派遣においては、特定行為の結果、派遣先に選考された派遣労働者の中から派遣元が派遣労働契約を締結すること が行われ、選考の結果、対象となる派遣労働者が1名に絞られることもあり、派遣元がその1名と派遣労働契約を締結することも許容されているというべきである。そもそも、派遣元が派遣労働者と派遣労働契約を締結する趣旨は、雇用責任の明確化にあるのであり、派遣元が自らの責任で派遣労働者に対する雇用責任を負うことを決めて、派遣労働契約を締結している以上、派 遣元は、独自の採用決定の判断をしているということができる。本件でも、プライマリーは、原告らに対し、労働時間を管理し、賃金を支払い、面談を実施して就業環境の確認を行うなど(前記認定事実(2)ケ)、雇用主としての責任を果たしていることが認められる。そうすると、派遣元に採用決定の判断が留保されていなければならないとする原告らの主張は前提を欠くも のである。 キしたがって、原告主張1は採用できない。 (2)原告主張2についてア原告主張2は、被告会社による採用決定の時点で、原告らとプライマリーとの派遣労働契約が成立するだけでなく、原告らと被告会社との間で、派遣 期間満了後を始期とする就労始期付き・解約権留保付き労働契約が成立する というものである。 イ紹介予定派遣において許容されている特定行為は、上 原告らと被告会社との間で、派遣 期間満了後を始期とする就労始期付き・解約権留保付き労働契約が成立する というものである。 イ紹介予定派遣において許容されている特定行為は、上記(1)で説示したとおりであり、派遣労働者の直接雇用を促進するために、派遣先と派遣労働者とのミスマッチを防止するために行われるものである。もっとも、そのことから直ちに、紹介予定派遣の場合に、派遣労働者にも派遣先にも派遣期間 満了後に直接労働契約を締結しなければならない義務が生じるとは解されない。紹介予定派遣においては、派遣労働者と派遣先とのマッチングを見極めるために、6か月を超えて同一の派遣労働者を受け入れてはならないこととされており、直接雇用に至らない場合には、派遣先は、派遣元の求めに応じて、直接雇用に至らなかった理由を開示しなければならないとされている (甲22、23の5・7、乙38の2、乙49の4)。これには、試用期間的な意味合いや特定行為禁止の潜脱のために紹介予定派遣の濫用を防止する意味合いがあるほか、紹介予定派遣であるからといって、必ずしも直接雇用に至らない場合もあることを意味している。仮に、職業紹介が行われて、派遣先が派遣労働者と直接雇用を目的とした内定を出したという段階まで進 めば、その場合には派遣先と派遣労働者との間に解約権の留保された労働契約が締結されたとみる余地はあるものの、そうではなく紹介予定派遣にとどまる限り、派遣労働契約とそのような直接労働契約が併存することはないというべきである。 ウ本件では、原告らとプライマリーとの派遣労働契約締結の前に、上記(1) で説示したような面接が行われており、被告会社が原告らに対する「内定」を出している(前記認定事実(2)キ、ク)ものの、この「内定」は、派 らとプライマリーとの派遣労働契約締結の前に、上記(1) で説示したような面接が行われており、被告会社が原告らに対する「内定」を出している(前記認定事実(2)キ、ク)ものの、この「内定」は、派遣先である被告会社の特定行為の結果として、被告会社において就労してもらいたい派遣労働者を選考したという意味にとどまるものと解され、これをもって原告らを直接雇用するとの意思を表示したとはいえない。また、原告ら の後任となった保健師の場合には、直接雇用に至るまでに、人事部からの直 接雇用への推薦、派遣労働者自身の直接雇用を希望する意思の確認、筆記試験、人事部との面談、賃金等の労働条件の明示が行われた上で直接雇用に至っていること(前記認定事実(6))が認められ、派遣元との労働契約に先立つ当初の面接時に、直接雇用に向けられた採用行為が行われていたとはいえない。原告らが被告会社での就労に至る経緯を振り返っても、後任の保健師 とは異なり、派遣先である被告会社による直接雇用に向けられた採用行為の存在をおよそ認めることができない。そうすると、被告会社と原告らとの間に、派遣労働契約締結と同時に、就労始期付き・解約権留保付き労働契約が成立したとは認められない。 エ原告らは、特定行為は直接雇用に向けた採用行為として許容されており、 特定行為の内容によっては、特定行為時に当事者の合理的意思解釈によって労働契約が成立すると主張する。 しかしながら、紹介予定派遣において特定行為が許容されているのは、直接雇用の推進のためであるとされているものの、上記イで説示したとおり、紹介予定派遣であるからといって、必ずしも直接雇用に至らない場合もあり、 紹介予定派遣開始前の特定行為と、直接労働契約締結のための採用行為とは、別個の行為と認識され 、上記イで説示したとおり、紹介予定派遣であるからといって、必ずしも直接雇用に至らない場合もあり、 紹介予定派遣開始前の特定行為と、直接労働契約締結のための採用行為とは、別個の行為と認識されるものであって、特定行為をしたからといって、労働契約締結に向けての意思表示がされたと直ちに解することはできない。そもそも、原告らの主張する解釈は、試用期間を設けて採用するに等しく、紹介予定派遣という制度が設けられた趣旨を没却するものというべきである。 そして、上記ウで説示したところによれば、本件において、原告らについての特定行為によって、被告会社との間に直接労働契約が締結されたと認めるべき事情も認めるに足りない。 オしたがって、原告主張2は採用できない。 (3)原告主張3について ア原告主張3は、原告らには、派遣期間満了後に直接雇用されるとの合理的 期待が認められることから、被告会社が直接雇用を拒否することは許されず、派遣期間満了時に被告会社との間で労働契約が成立するというものである。 イ紹介予定派遣は、派遣期間満了後の直接雇用に向けて、事前に特定行為をすることや、事前又は就業期間中に採用内定行為をすることを許容したものであるため、派遣労働者においても、直接雇用に向けた期待を抱くことは制 度上当然であるといえる。しかしながら、上記(2)で説示したとおり、紹介予定派遣は、派遣先での直接雇用に至らない場合があることを制度上当然の前提としていることから、直接雇用に向けた派遣労働者の期待が直ちに法的保護に値する合理的期待であるということはできず、職業紹介を経て直接雇用が確実に見込まれる段階に至ったとか、直接雇用をしない理由が不合理 であるといった特段の事情が存しない限り、直接雇用に向けての期待は る合理的期待であるということはできず、職業紹介を経て直接雇用が確実に見込まれる段階に至ったとか、直接雇用をしない理由が不合理 であるといった特段の事情が存しない限り、直接雇用に向けての期待は法的保護に値しないというべきである。 ウ本件では、上記(2)で検討したとおり、被告会社において、原告らを直接雇用するための採用行為が具体的に進展していたとは認められないところであって、原告らが職業紹介を経て直接雇用が確実に見込まれる段階にま で至っていたということはできない。また、被告会社が原告らを直接雇用せず紹介予定派遣を終了した理由は、派遣期間6か月間で産業医と円滑な協力体制の構築に至らなかったためであるところ(前記前提事実(3)エ)、前記認定事実(3)ないし(5)の経緯によれば、原告らは、産業医との間で円滑な協力態勢の構築に至らなかったものと認められる。既に前記1で説示 したとおり、被告会社における産業保健の在り方としては、産業医のサポート業務を保健師が行うという形がとられていたから(前記認定事実(3)ア)、保健師である原告らと産業医である被告Cとの協力態勢の構築は重要であり、その構築に至らなかったという点は、紹介予定派遣終了の理由として合理的なものと評価することができる。 なお、原告らに対しては、前記2のとおり、被告Cの原告らに対するパワ ーハラスメントが認められるところであるが、原告らは、被告Cのパワーハラスメントが始まるより前から、産業保健の在り方について、被告会社とは異なる見解を持ち(前記認定事実(3)オ)、このことのため、被告C及び被告会社に対する不満を募らせ(同(3)カ~シ)、人事部に対し、原告らより先任の産業医を指導せよとの申入れまでするに至っており(同(3)ス)、被 告Cとの (3)オ)、このことのため、被告C及び被告会社に対する不満を募らせ(同(3)カ~シ)、人事部に対し、原告らより先任の産業医を指導せよとの申入れまでするに至っており(同(3)ス)、被 告Cとの協力態勢の構築がかなわなかった原因の一端は原告らの側にも存するというべきである。このことは、その後の被告Cの原告らに対する言動がパワーハラスメントと評されるとしても異ならない。このような状況下において、被告会社では、原告らか被告Cかを選択すべき状況に置かれていたことから、被告会社が先に雇用していた被告Cとの労働契約を優先し、原告 らを直接雇用しなかったとしても直ちに不合理であるとはいえず、原告らの期待は法的保護に値するとまではいえない。 エこれに対し、原告らは、労働者の合理的期待を根拠に、契約締結拒否を制限し、契約締結を認めることは、雇止めに関する判例法理上も認められていると主張する。 しかしながら、雇止め法理は、既に有期労働契約が継続していたこと及び更新の可能性があることといった前提の下で認められてきたものであり、派遣先との間で未だ直接労働契約が締結されていない紹介予定派遣の場合とは適用場面が異なり、本件においても原告らの期待が雇止め法理と同様に保護に値するものとは認められない。 オしたがって、原告主張3は採用できない。 (4)原告主張1ないし3についてのまとめ以上より、原告主張1ないし3は、いずれも採用できず、原告らと被告会社との間に直接労働契約が成立しているとは認められない。そのため、同労働契約の成立を前提とする争点6については、判断を要しない。 7 争点7(被告会社による直接雇用拒否の不法行為該当性)について 前記6(3)で説示したとおり、原告らの直接雇用に向けた期 の成立を前提とする争点6については、判断を要しない。 7 争点7(被告会社による直接雇用拒否の不法行為該当性)について 前記6(3)で説示したとおり、原告らの直接雇用に向けた期待は、法的保護に値する合理的期待であるとは認められないから、期待権侵害に関する原告らの主張は採用できず、不法行為の成立は認められない。そのため、期待権侵害の不法行為の成立を前提とする争点8については、判断を要しない。 8 結論 以上によれば、原告らの請求は、被告らに対し、原告各自につき10万円及びこれに対する不法行為後の日である平成30年10月16日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからいずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ 適用し、仮執行免脱宣言は、相当でないから付さないこととして、主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第6民事部 裁判長裁判官 齋藤聡 裁判官 磯邉裕子 裁判官 堀田康介 堀田康介
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