令和4(ワ)3980 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年4月26日 福岡地方裁判所
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判決文本文8,886 文字)

主文 1 被告法人は、原告に対し、3万6300円及びこれに対する令和2年5月26日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告に対し、連帯して、23万7790円及びこれに対する令和2年6月11日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用の負担は、次のとおりとする。 ⑴ 原告に生じた費用の2分の1と被告法人に生じた費用との合計を100分し、その91を原告の負担とし、その余を被告法人の負担とする。 ⑵ 原告に生じた費用の2分の1と被告Aに生じた費用との合計を100 分し、その92を原告の負担とし、その余を被告Aの負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告法人は、原告に対し、12万円及びこれに対する令和2年5月26日か ら支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告に対し、連帯して、320万0090円及びこれに対する令和2年6月11日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 ⑴ 原告は、令和2年5月26日、被告の運営するB 保育園(以下「本件保育園」という。)で提供された鶏卵を含むプリンの摂食によりアレルギー反応を発症した(以下「1回目の事故」という。)。また、原告は、同年6月11日、本件保育園で提供された小麦を含むパスタの摂食によりアナフィラキシー症状を発症した(以下「2回目の事故」といい、1回目の事故と併せて「本件 各事故」という。)。 ⑵ 本件は、原告が、1回目の事故について、被告法人に対し、民 よりアナフィラキシー症状を発症した(以下「2回目の事故」といい、1回目の事故と併せて「本件 各事故」という。)。 ⑵ 本件は、原告が、1回目の事故について、被告法人に対し、民法715条1項本文に基づき、損害賠償金12万円(慰謝料9万6700円、通院付添費3300円及び弁護士費用2万円の合計額)並びに同事故発生日(不法行為日)である令和2年5月26日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、2回目の事故について、被告ら に対し、同法709条、715条1項本文及び719条1項前段に基づき、損害賠償金320万0090円(慰謝料290万3300円、治療費790円、入院付添費1万3000円、入院雑費3000円及び弁護士費用28万円の合計額)並びにこれに対する同事故発生日(不法行為日)である同年6月11日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の連帯 支払を求める事案である。 ⑶ 被告らは、被告法人が原告の入園時に原告の母である原告法定代理人C(以下「C」という。)から原告が食物(鶏卵及び小麦)アレルギーを有することの説明を受けていたことを認めた上で、被告Aを含む被告法人の従業員に本件各事故の発生に係る過失(被告Aは2回目の事故のみ)があり、被告法人 が本件各事故の発生について使用者責任を負うこと及び被告Aが2回目の事故の発生について不法行為責任を負うことを積極的に争わず、原告の損害額を争っている。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者ア原告は、平成▲年▲月▲日生まれ(本件各事故当時2歳)の男児であり、令和2年4月1日から本件保育園に通っていた。 イ原告法定代理人D 趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者ア原告は、平成▲年▲月▲日生まれ(本件各事故当時2歳)の男児であり、令和2年4月1日から本件保育園に通っていた。 イ原告法定代理人D(以下「D」という。)は原告の父であり、C は原告の母である。 ウ被告法人は、本件保育園を運営する社会福祉法人である。 エ被告Aは、本件保育園で就労していた保育士であり、本件各事故当時、原告の担任保育士であった。 ⑵ 原告の食物アレルギーに係る本件保育園の対応状況等ア C は、原告の本件保育園入園時、被告法人に対し、原告が食物(鶏卵及び小麦)アレルギーを有している旨を説明し、被告法人もそれを確認した 上で、アレルギー除去食の提供等の対応が可能である旨回答した。 イ本件保育園では、園児らのアレルギーに関する診断書等の書類を職員室内のキャビネットに保管して全職員で共有しており(甲1の5・37~39枚目)、原告の食物(鶏卵及び小麦)アレルギーが記載された診断書(甲1の12末尾添付資料)も上記キャビネットに保管されていた。 ウ本件保育園では、食物アレルギーを有する園児に誤って原因食材を提供することを防止するために、当該園児への食事・おやつには、アレルギー除去食の使用の有無にかかわらず、他の園児のものとは色が異なる専用の食器及びトレーを使用することとされていた(甲1の7)。 ⑶ 1回目の事故の発生とその後の治療経過等 ア本件保育園の調理師は、令和2年5月26日の午後のおやつとして園児らに提供する食材について、鶏卵の含まれていないプリンを発注すべきところ、誤って鶏卵の含まれたプリンを発注した(甲1の16・8~9頁)。 イ原告は、同日午後3時5分頃、提供されたプリンを食べ らに提供する食材について、鶏卵の含まれていないプリンを発注すべきところ、誤って鶏卵の含まれたプリンを発注した(甲1の16・8~9頁)。 イ原告は、同日午後3時5分頃、提供されたプリンを食べ始めたが、同3時20分頃、そのプリンに鶏卵が含まれていることが発覚した。そこで、 本件保育園の主任保育士は、C に架電して事故の発生を連絡し、同3時35分頃、原告にセレスタミンを服用させて様子を見ていたが、原告に蕁麻疹の症状が出始めたため、同3時48分頃救急通報を行った。原告は、同4時6分頃本件保育園から救急搬送され、同4時17分頃、福岡市立こども病院に救急搬送された。(甲1の3・6~7枚目、甲1の8・5枚目、甲 9の1) ウ同病院では、原告の顔面・腹部・大腿に赤みを伴う湿疹が見られたが、明らかな臓器症状は認められず、アナフィラキシー症状には至っていなかった。原告は、同日午後5時まで経過観察とされた後、症状が安定していたため、C に付き添われて帰宅した。(甲1の10・8頁、甲14の1)エ本件保育園の園長及び主任保育士は、同日午後7時頃、病院の後に本件 保育園を訪れたD 及びC に対し、1回目の事故について園側のミスを認め謝罪した(甲2、乙3)。 オ被告法人は、1回目の事故後、食材提供の前日までに食材の成分確認を徹底し、職員室にアレルギー表を置くこと等の事故再発防止策を講じた(乙3)。 ⑷ 2回目の事故の発生とその後の治療経過等ア被告Aは、令和2年6月11日午後、園児におやつのパスタを提供する際、同パスタが全て小麦を含まないアレルギー除去食であると誤解していたことから、原告用のアレルギー除去食が盛りつけられた青色の食器及びトレーを使用せず、小麦を含むパスタが配膳された一般の園 提供する際、同パスタが全て小麦を含まないアレルギー除去食であると誤解していたことから、原告用のアレルギー除去食が盛りつけられた青色の食器及びトレーを使用せず、小麦を含むパスタが配膳された一般の園児用の食器及 びトレーを使用して、同パスタを原告に提供した(甲1の25)。 イ原告は、同日午後3時5分頃、提供されたパスタを食べ始めたが、完食後である同3時10分頃、同パスタに小麦が含まれていることが発覚した。 そこで、保育士らは、原告にセレスタミンを服用させるとともに、同3時13分頃救急通報を行った。原告は、同3時28分頃本件保育園から救急 搬送され、同3時36分頃福岡市立こども病院に到着した。(甲1の3・4~5枚目、甲1の8・6枚目、甲9の2)ウ同病院では、原告の大腿内側に蕁麻疹が見られたほか、喘鳴、嘔吐、咳嗽の持続、酸素飽和度(SpO2)の軽度低下等の症状が認められたことから、原告に対し、気管支拡張薬(サルタノール)の吸入、酸素投与、ボ スミン注射等の処置がされたほか、当時の原告の体重(15㎏未満)に照 らし適応に疑義のあるエピペンを例外的に処方することも検討された(甲1の10、甲10、甲14の1及び2、甲15の1~7)。 エ原告は、同日午後7時30分頃には酸素投与を中止できる程度にまで症状が改善し、その後遅発性の症状の出現もなく、全身状態が安定していたことから、翌日(同月12日)に退院となった(甲14の5)。 オ本件保育園の園長は、同月11日(2回目の事故当日)の夕方、本件保育園を訪れたD に謝罪し、同月12日にC に電話で謝罪した。被告は、同月20日、原告の見舞金として3万円を支払ったほか、同年7月21日、原告及びその兄弟2人の本件保育園入園時の費用7万8490 保育園を訪れたD に謝罪し、同月12日にC に電話で謝罪した。被告は、同月20日、原告の見舞金として3万円を支払ったほか、同年7月21日、原告及びその兄弟2人の本件保育園入園時の費用7万8490円及び同年6月11日から同年7月20日までの基本保育料1万0880円の返 還を行った。(乙3・5~6頁)⑸ 事実認定の補足説明被告らは、1回目の事故について、原告がプリンを一口程度しか食べていない旨主張し、本件保育園の園長の陳述(乙3)及び供述(証人E)にはこれに沿う部分がある。 しかし、上記陳述及び供述を裏付ける客観的証拠はない一方、C は反対趣旨の供述(C2頁)をしており、福岡市立こども病院の診療録(甲14の1)にも原告がプリン1個を全量摂取した旨の記載があることからすると、原告がプリンを一口程度しか食べていなかったとは認め難い。よって、被告らの上記主張を採用することはできない。 3 争点被告法人の従業員に本件各事故の発生について過失がある(被告Aは、1回目の事故の発生には関与してないが、2回目の事故の発生について過失がある。)ことには争いがない。したがって、本件の争点は、本件各事故によって生じた原告の損害額ということになる。 4 争点(本件各事故によって生じた原告の損害額)に関する当事者の主張 ⑴ 原告の主張ア 1回目の事故に係る損害 慰謝料 9万6700円 通院付添費 3300円(同額は下記ウの誤記による。) 弁護士費用 2万円 イ 2回目の事故に係る損害 慰謝料 290万3300円(3300円は下記ウの誤記による。) 治療費 790円 入院付添費 1万30 費用 2万円 イ 2回目の事故に係る損害 慰謝料 290万3300円(3300円は下記ウの誤記による。) 治療費 790円 入院付添費 1万3000円 入院雑費 3000円 弁護士費用 28万円ウなお、原告の令和5年8月16日付け訴え変更申立書(2~3頁)には、1回目の事故に係る損害が慰謝料10万円及び弁護士費用2万円であるとのみ記載され、2回目の事故に係る損害に通院付添費(令和2年5月26日分)3300円が含まれる旨の記載があるが、訴状(8頁)には、上 記通院付添費3300円は1回目の事故に係る損害である旨の記載があるため、上記訴え変更申立書の記載を誤記と認める。 エ慰謝料額についていわゆる「赤い本」(日弁連交通事故相談センター東京支部編の民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)は、傷害の程度が入通院期間の長短に 比較的結び付きやすい交通事故による外傷を想定して策定されたものであるから、本件のように入退院後に相当期間の通院を伴わないアレルギー疾患等による傷害慰謝料の算定において、赤い本の基準を形式的に当てはめることは相当ではない。 原告は、1回目の事故の際、入院こそしなかったものの蕁麻疹等のア レルギー反応の諸症状による多大な苦痛を被った上、2回目の事故の際 には、約6時間にもわたって呼吸困難となり、そのうち約4時間は酸素投与を要するような重篤な状態が継続し、生命の危険に瀕したことから2日間入院していたもので、退院後も精神的に不安定な状態が続き、将来的な後遺症の出現に対する不安を抱きながら生活することを余儀なくされている。加えて、被告Aを含む被告法人の従業員は、わずか16日 と 入院していたもので、退院後も精神的に不安定な状態が続き、将来的な後遺症の出現に対する不安を抱きながら生活することを余儀なくされている。加えて、被告Aを含む被告法人の従業員は、わずか16日 という短期間のうちに、園児のアレルギーに関する確認の懈怠という保育園職員としてあるまじき重大な過失による事故を繰り返し発生させた上、原告の担任保育士である被告AからD 及びC に対する直接の謝罪・説明がされなかったなど、被告法人の事故後の対応が誠実性を欠くことも踏まえると、原告の被った精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は前記 ア及びイ記載の各金額を下回らないというべきである。 ⑵ 被告らの主張ア 1回目の事故に係る損害について 慰謝料については、争う。 通院付添費については、積極的には争わない。 弁護士費用については、争う。 イ 2回目の事故に係る損害について 慰謝料については、争う。 治療費については、認める。 入院付添費については、1万2000円の限度で認め、その余は否認 ないし争う。 入院雑費については、認める。 弁護士費用については、争う。 ウ慰謝料額について本件各事故は過失による事故であることから、原告の精神的苦痛を金銭 評価するに当たっては、「赤い本」における傷害慰謝料の算定表によるのが 相当である。 第3 当裁判所の判断 1 原告の損害額⑴ 1回目の事故に係る損害 3万6300円(請求額 12万円)ア慰謝料 3万円(請求額 9万6700円) 原告は、当 第3 当裁判所の判断 1 原告の損害額⑴ 1回目の事故に係る損害 3万6300円(請求額 12万円)ア慰謝料 3万円(請求額 9万6700円) 原告は、当時2歳の男児であり(前記第2の2⑴ア)、1回目の事故によって蕁麻疹等のアレルギー反応を発症して救急搬送され、搬送先の病院で1日治療を受けたこと(同⑶イ、ウ)により被った身体的、精神的な負担は決して小さくなかったものと考えられる。また、1回目の事故が食材の誤発注という本件保育園の調理師の基本的かつ容易な注意義務の懈怠に 起因するものであり(同⑶ア)、1回目の事故の発覚から救急通報まで約28分を要するなど本件保育園における応急措置に迅速性を欠いた面が見られる(同イ)など被告法人側の落ち度は大きい一方、1回目の事故による原告の症状の内容・程度がアナフィラキシー症状には至らないものであったこと(同ウ)に照らすと、1回目の事故に係る原告の慰謝料額は3万 円と認めるのが相当である。 イ通院付添費 3300円(争いがない。)ウア及びイの合計 3万3300円エ弁護士費用 3000円1回目の事故と相当因果関係のある原告の弁護士費用は、3000円と 認められる。 オウ及びエの合計 3万6300円⑵ 2回目の事故に係る損害 23万7790円(請求額 320万0090円)ア慰謝料 20万円(請求額 290万3300円) 原告は、2回目の事故により、令和2年6月11日午後3時36分の緊 急搬送時から同7時30分頃までの約4時間にわたり呼吸困難による酸素投与を要するほどの重篤なアナフィラキシー症状を発症し、翌日まで2日間の入院を余儀なくされたものであ 後3時36分の緊 急搬送時から同7時30分頃までの約4時間にわたり呼吸困難による酸素投与を要するほどの重篤なアナフィラキシー症状を発症し、翌日まで2日間の入院を余儀なくされたものであり、治療を担当した医師が幼児には適応に疑義のある例外的処方の検討を余儀なくされる状況にまで陥っていたこと(前記第2の2⑷イ~エ)に照らすと、上記症状による原告の身 体的、精神的な負担は相当大きいものであったと評価し得ることに加え、本件保育園の園長が1回目の事故後、D 及びC に対し園側のミスを認め再発防止策を講じた(同⑶エ、オ)にもかかわらず、そのわずか16日後に被告Aが2回目の事故を発生させたこと(同⑷ア)も併せ考慮すると、2回目の事故後被告法人の側からD 及びC に謝罪した上で見舞金3万円の 支払並びに原告及びその兄弟の本件保育園入園時の費用等計8万9370円の返還という金銭的補償が行われたこと(同オ)を踏まえても、原告の慰謝料額は20万円と認めるのが相当である。 イ治療費 790円(争いがない。)ウ入院付添費 1万3000円(請求額と同額) 前記アのとおり、原告は、2回目の事故に起因して令和2年6月11日から同月12日まで2日間の入院を余儀なくされたこと及び原告の年齢、症状の内容・程度等に照らし、入院期間中の入院付添費は1万3000円(日額6500円×2)と認めるのが相当である。 エ入院雑費 3000円(争いがない。) オア~エの合計 21万6790円カ弁護士費用 2万1000円2回目の事故と相当因果関係のある原告の弁護士費用は、2万1000円と認められる。 キオ及びカの合計 23万7790円 ⑶ 原告の主張について 費用 2万1000円2回目の事故と相当因果関係のある原告の弁護士費用は、2万1000円と認められる。 キオ及びカの合計 23万7790円 ⑶ 原告の主張について ア原告は、本件各事故により原告が受けた身体的、精神的な負担が形式的な入院日数に比して相当大きかったことから、本件各事故の慰謝料の算定において「赤い本」における傷害慰謝料の算定表を用いることは相当ではない旨主張する。 しかし、交通事故により受傷した被害者の傷害の内容、程度を兆表する 入通院の期間を基礎として定められた上記算定表は、相応の合理性及び客観性を備えていると評価されており、交通事故訴訟以外の訴訟等の損害の算定においても裁判実務上広く用いられているものであることに照らすと、事故により被害者が被った精神的苦痛は事案により様々であることを踏まえても、上記算定表を本件各事故のような保育園で生じた事故による 園児の慰謝料を算定するに当たり参考とすることは許容されるというべきである(なお、前記⑴、⑵における慰謝料の算定において、当裁判所は上記算定表を形式的に当てはめず、同表における1日通院及び2日入院の基準額よりも高額な慰謝料を認めている。)。よって、原告の上記主張を採用することはできない。 イ原告は、食物アレルギーを有する園児への対応が可能であることを信頼して本件保育園に原告を入園させたD 及びC が、その期待を裏切られ、最愛の原告に重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を生じさせられた上に本件保育園の事故後の対応が誠実性を欠いたことにより被った精神的苦痛を、原告の慰謝料額算定に当たり考慮すべきである旨主張する。 しかし、そもそも両親の精神的苦痛の多 させられた上に本件保育園の事故後の対応が誠実性を欠いたことにより被った精神的苦痛を、原告の慰謝料額算定に当たり考慮すべきである旨主張する。 しかし、そもそも両親の精神的苦痛の多寡により親とは別人格である原告の損害額が直ちに左右されるものではない(民法711条参照)ことに加え、本件保育園が本件各事故の発生後に謝罪や相応の金銭的補償を行っており、事故後の対応が全く誠実性を欠いているとまではいえないことに照らすと、原告の両親であるD 及びC が本件各事故後に強いられた不安 は著しいものであったことは想像に難くなく、両名が食物アレルギーがあ ることを説明した上で原告を預けた本件保育園に信頼を裏切られたという強い怒りの心情を有するに至った理由も十分理解し得ることを踏まえても、やはり原告の慰謝料額は前記⑴、⑵のとおりとするのが相当であるというべきである。よって、原告の上記主張を採用することはできない。 2 まとめ 以上によれば、①1回目の事故については、被告法人が、原告に対し、民法715条1項本文に基づき、損害賠償金3万6300円(前記1⑴)及びこれに対する同事故発生日(不法行為日)である令和2年5月26日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払義務を負い、②2回目の事故については、被告らが、原告に対し、同法709条、715条1項本文及 び719条1項前段に基づき、損害賠償金23万7790円(同⑵)及びこれに対する同事故発生日(不法行為日)である令和2年6月11日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の連帯支払義務を負うこととなる。 第4 結論 よって、原告の請求は前記第3の2記載の限度でそれぞれ理由があるから認容し、原告のそ 支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の連帯支払義務を負うこととなる。 第4 結論 よって、原告の請求は前記第3の2記載の限度でそれぞれ理由があるから認容し、原告のその余の請求は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中辻雄一朗 裁判官友部一慶 裁判官三浦裕輔は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官中辻雄一朗

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