【DRY-RUN】主 文 本件上告はこれを棄却する。 理 由 弁護人矢吹忠三の上告趣意は同人作成名義の上告趣意書と題する末尾添付の書面 記載の通りである。これに対し当裁判所は次
主文 本件上告はこれを棄却する。 理由 弁護人矢吹忠三の上告趣意は同人作成名義の上告趣意書と題する末尾添付の書面記載の通りである。これに対し当裁判所は次の通り判断する。(但し第一、二点以外の論旨並びに判断は省略)第一、 第二点所論は本件酒精の買受人Aに於て試験の上にその結果によつて使用すべき確約の下に右酒精を販売したのであるが、Aに於て未検査のまま販売したがため本件が起きたのであるから被告人の販売行為<要旨>の責任はAの過失ある行為の介入によつて中断せられるというのであるが、所謂因果関係の中断は中間に或</要旨>る事実又は人の過失行為が存在するという一事により直ちに起きるものでなく前行為がなくとも該中間の事実又は行為だけで結果が発生したであろう場合とか、中間事実や行為が異常稀有のものである場合には仮令これと前行為が競合して結果を発生した場合でも前行為の因果関係は遮断若しくは中断せられるがその然らざる場合には後の過失行為により前行為の因果関係が中断されることはない。従つて仮令所論のようなAが検査するといつたに拘らずこれをしないで販売したという行為の介入があつたとしても只それだけで被告人の行為の因果関係が中断されることはありえない。Aの過失行為は異常稀有のものではない。論旨援用のAの言は商人が日常の取引に於て屡々用いしかもそれが必ずしも実現せられないことは日常の経験に徴し疑ない所であるに拘らず、これを軽信したのは被告人過失の責任あるを免れない。論旨は被告人とAとの本件取引に於てAに検査の全責任を負わすよう確約が成立しておつたようにいうが引用の文詞の重点は寧ろ原判決引用の如く「被告人が飲んで別に異状がなかつたからこれを飲用に供しても差支えない」と軽信した点にある。かかる他人の行為不行為の介入 すよう確約が成立しておつたようにいうが引用の文詞の重点は寧ろ原判決引用の如く「被告人が飲んで別に異状がなかつたからこれを飲用に供しても差支えない」と軽信した点にある。かかる他人の行為不行為の介入は被告人の本件酒精の未検査のままの販売行為とAの未検査のままの販売とが共同的の原因となつて他人の致死の結果を与えたものであるから所謂因果関係の中断はない。原判決には所論のような違法事実誤認理由不備又は齟齬はない。論旨は理由ないものである。 よつて旧刑事訴訟法第四百四十六条に則り主文の通り判決する。 (裁判長判事吉田常次郎判事保持道信判事鈴木勇)
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