平成20(行コ)13 都税還付金請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第748号)

裁判年月日・裁判所
平成21年5月20日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文33,629 文字)

- 1 -主文 原判決を以下のとおり変更する。 (1)被控訴人は,控訴人に対し,5619万6600円を支払え。 (2)控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人は,控訴人に対し,5619万6600円及びこれに対する平成19年1月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要本件は,東京都中央都税事務所長が控訴人に対してした平成3年8月1日から同4年7月31日までの事業年度分の法人事業税及び法人都民税の減額更正・決定処分により生じた過納金の還付に際し,東京都知事が,控訴人に対し,還付加算金の算定の起算日について上記減額更正・決定処分の日の翌日から1箇月を経過する日の翌日とし,還付加算金を過少申告加算金のみを対象として算出した上,同18年11月13日付け還付金通知書を送付して還付決定をし,,,たところ控訴人が還付加算金の起算日は納付の日の翌日と解すべきであり過少申告加算金だけでなく,法人事業税本税及び法人都民税本税並びに各延滞金についても還付加算金が支払われるべきであると主張して,その納付の日の翌日から同18年11月13日までの未払の還付加算金の支払を求める事案で- 2 -ある。 関係法令の定め,前提事実並びに争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,原判決9頁9行目の「法人事業税」から同14行目の「基づく」までを削り,11頁15行目の「17条の4第1項1号」を「17条の4第1項4号」に改め,12頁2行目の次に「(4)本件修正申告に地方税法17条の4第1,,項1号が適用され還付加算金の起算日を各納付の日の翌日として計 行目の「17条の4第1項1号」を「17条の4第1項4号」に改め,12頁2行目の次に「(4)本件修正申告に地方税法17条の4第1,,項1号が適用され還付加算金の起算日を各納付の日の翌日として計算すると各還付加算金額は,別表2から別表5までのとおりとなる。そして,被控訴人において行われている本税とそれにかかわる延滞金に係る還付加算金を合算した後に100円未満を切り捨てるという端数処理の方法により計算すると,各還付加算金額の合計金額は,別表6のとおり5619万6600円となる」。 を加え,同10行目から12行目までを「なお,以下,地方税法72条の33第3項の規定又は同法53条28項若しくは321条の8第28項の規定により,そのそれぞれに定められた期間内に提出された申告書に係る申告を「義務修正申告」ということがある。また,法人税について税務官署から更正又は決定を受けたことを契機としてなされたものであるが,上記期間経過後に提出された申告書に係る申告を「期限後修正申告」ということがある」に,同14。 頁9行目の「延滞金」を「過少申告加算金」にそれぞれ改め,同19頁2行目から同8行目までを削り,同9行目の「(3)」を「(2)」に改め,2に当審における当事者の主張を付加補足するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の1項ないし4項(原判決2頁13行目から同24頁14行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張- 3 -(1)控訴人ア本件修正申告は,本件法人税等更正処分を受けたことを契機として,地方税法(以下「法」という)の定めに従い同処分により確定した法人所。 得ないし法人税を課税標準として行われたものであり,控訴人が自らの計算により所得額及び法人税額を算出したものではなかったので ,地方税法(以下「法」という)の定めに従い同処分により確定した法人所。 得ないし法人税を課税標準として行われたものであり,控訴人が自らの計算により所得額及び法人税額を算出したものではなかったのであるから,本件修正申告により確定した法人事業税ないし法人都民税が過納となったことにつき,控訴人に帰責事由があるということはできない。また,この場合に還付加算金の起算日を納付の日の翌日であると解さないとすると,本件法人税等更正処分に従って法人事業税ないし法人都民税の申告納付をした場合の方が,申告納付の措置を採らずに放置して法人事業税ないし法人都民税について更正を受けた場合に比べ,還付加算金の算定において著しい不利益を受けるという不合理な結果を生ずることになる。 イ法72条の33第3項,53条28項,321条の8第28項は,国の法人税について納税者の計算で修正申告をした場合や,国の法人税について更正,決定があった場合の地方税の申告について規定したものであり,それ以外の場合の地方税の修正申告について規定したものが法72条の33第2項,53条27項,321条の8第27項である。したがって,法人事業税に関し国の法人税の更正,決定を受けて法72条の33第3項に違反して1箇月を過ぎて申告納付した場合でも,その申告行為が法72条の33第2項の申告行為になるというものではなく,国の法人税についての更正,決定に基づくものであるため,法72条の33第3項の申告行為と解すべきである。また,法人都民税に関し国の法人税の更正,決定を受- 4 -けて法53条28項,321条の8第28項,国税通則法35条2項2号に違反して1箇月を過ぎて申告納付した場合でも,その申告行為が法53条27項,321条の8第27項の申告行為になるというものではなく,国の法人税についての更正 の8第28項,国税通則法35条2項2号に違反して1箇月を過ぎて申告納付した場合でも,その申告行為が法53条27項,321条の8第27項の申告行為になるというものではなく,国の法人税についての更正,決定に基づくものであるため,法53条28項,321条の8第28項の申告行為と解すべきである。 ウ期限後修正申告であっても,法72条の33第3項,53条28項,321条の8第28項の申告であることに変わりがなく,法17条の4第1項1号の適用が当然に認められるべきである。 (2)被控訴人ア本件のように先行する税額確定行為が存在し,義務修正申告制度が用意されている場合においては,納税者は,法定の期限内に申告する義務修正申告と法定の期限を過ぎて申告する自主修正申告とを自由に選択できたのであるから,自主修正申告の場合が申告納付の措置を採らずに放置して法人事業税及び法人都民税について更正を受けた場合に比べ,還付加算金の算定において著しい不利益があり,不合理な結果を生ずるとまでいうことはできない。 イ法72条の33第2項,53条27項及び321条の8第27項は,修正申告をするに至った契機にはかかわらず,先行する税額確定行為による税額に不足があることが判明した場合の修正申告一般について定めた規定であり,法72条の33第3項,53条28項及び321条の8第28項は,修正申告一般のうち,法人税に係る修正申告又は更正,決定を契機とする法人事業税及び法人都民税の修正申告の時期に関する特則である。し- 5 -たがって,本件修正申告は,法72条の33第2項,53条27項及び321条の8第27項の申告にほかならない。 ウ還付加算金は,還付金につき生じる利息であると解されるから,これに対して生じる遅延損害金は,民法405条の重利に該当するところ,本件において 7項及び321条の8第27項の申告にほかならない。 ウ還付加算金は,還付金につき生じる利息であると解されるから,これに対して生じる遅延損害金は,民法405条の重利に該当するところ,本件において,同条の規定に基づいて元本組入れがされた事実は認められないから,控訴人の遅延損害金に係る請求は理由がない。 第3争点に対する判断以下に摘示する法の各条項は,それぞれ別表1記載のものをいう。 義務修正申告について(1)法人都民税に係る法734条3項により準用される法53条28項及び法321条の8第28項は,法人税に係る更正若しくは決定の通知により,それまでに申告書を提出し,又は更正若しくは決定を受けたことにより確定していた法人都民税の額に不足が生じたときは,当該法人は,当該更正若しくは決定によって納付すべき法人税額を納付すべき日までにその不足額について申告納付をしなければならないと定める(義務修正申告。なお,これらの規定は,上記各条の27項(申告書を提出した法人等は,先に提出した申告書等に記載された都民税額に不足額がある場合には,遅滞なく修正申告書を提出し,その申告により増加した都民税額を納付しなければならない旨を定めるもの)の特則の意味を持つものと解される。そして,上記の「法。)人税額を納付すべき日」は,更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1箇月を経過する日と定められている(国税通則法35条2項2号。 。)- 6 -もっとも,申告制度の趣旨に照らすと,上記期限を徒過しても法53条28項及び法321条の8第28項に基づく申告義務がなくなるものではないと解される。法53条26項及び法321条の8第26項は,それぞれ各条の28項の規定によって申告書を提出すべき法人は,当該申告書の提出期限後においても更正,決定 基づく申告義務がなくなるものではないと解される。法53条26項及び法321条の8第26項は,それぞれ各条の28項の規定によって申告書を提出すべき法人は,当該申告書の提出期限後においても更正,決定の通知があるまでは,同項の規定によって申告書を提出し,その申告した都民税を納付することができる旨定めているが,これは,更正処分がされるまでは同条項の規定によって期限後修正申告ができるし,それをすべきことを確認する趣旨のものであるということができるのである。 (2)次に,法人事業税に係る法72条の33第3項は,申告書を提出した法人は,当該申告に係る事業税の計算の基礎となった事業年度又は計算期間に係る法人税の課税標準について税務官署の更正又は決定を受けたときは,当該税務官署が当該更正又は決定の通知をした日から1箇月以内に,当該更正又は決定に係る課税標準を基礎として,修正申告書を提出するとともに,その修正により増加した事業税額を納付しなければならない旨定める(義務修正申告。なお,この規定は,同条2項(申告書を提出した法人等は,当該申告書に記載した課税標準額又は事業税額について不足額がある場合には,遅滞なく修正申告書を提出するとともに,その修正により増加した事業税額を納付しなければならない旨を定めるもの)の特則の意味を持つものと解される。なお,事業税については,法53条26項及び法321条の8第2。)6項に当たる規定が置かれていないが(法72条の33第1項は,同条3項の規定を引用していない,上記の期限後であっても,申告制度の趣旨に。)- 7 -照らせば,更正決定がされるまでは法72条の33第3項の規定によって修正申告ができるのは当然のことで,上記期限後であっても同条項に基づき申告義務があると解される。ただし,期限後にされると,後記(3) 照らせば,更正決定がされるまでは法72条の33第3項の規定によって修正申告ができるのは当然のことで,上記期限後であっても同条項に基づき申告義務があると解される。ただし,期限後にされると,後記(3)のように,過少申告加算金が課されるという不利益を受ける。 (3)なお,期限後修正申告は,義務修正申告に比して延滞金の額が増大することになる(法64条,326条,72条の45。また,法人事業税につ)いては,義務修正申告の期限を徒過した場合には,修正申告書によって増加した税額につき過少申告加算金が課されるが,上記期限を遵守した場合には過少申告加算金を課されないとされている(法72条の46第1項。このような取扱いをすることで,期限内の申告を勧奨するものである。 。) 還付加算金について(1)東京都知事は,過誤納に係る都の徴収金があるときは,遅滞なく過誤納金を還付しなければならず,その場合には,後述する起算日から東京都知事が還付のため支出を決定した日までの期間の日数に応じ,その金額に所定の割合を乗じて計算した還付加算金をその還付すべき金額に加算しなければならない(法17条,17条の4第1項,1条2項。 )この還付加算金の算定の起算日は,法1条2項により準用される法17条の4第1項1号によれば,①更正,決定若しくは賦課決定,②法53条28項若しくは法321条の8第28項の規定による申告書(法人税に係る更正又は決定によって納付すべき法人税額を課税標準として算定した法人都民税の法人税割額に係るものに限る。なお,法734条2項及び3項により,東京都は,都の特別区の存する区域内において,道府県民税及び市町村民税- 8 -のうち,それぞれ法人等に対して課するものを法人都民税として課するものとされている,法72条の33第3項の規定(法人事業税に関 都の特別区の存する区域内において,道府県民税及び市町村民税- 8 -のうち,それぞれ法人等に対して課するものを法人都民税として課するものとされている,法72条の33第3項の規定(法人事業税に関するもの)。)による申告書等の提出又は③過少申告加算金,不申告加算金若しくは重加算金の決定により納付し又は納入すべき額が確定した都の徴収金に係る過納金については,当該過納金に係る都の徴収金の納付又は納入があった日の翌日とするものとされている。これに対し,法1条2項により準用される法17条の4第1項4号及び地方税法施行令(以下「施行令」という)6条の1。 5第1項1号によれば,法17条の4第1項1号ないし3号に掲げる過納金以外の都の徴収金に係る過誤納金のうち,申告書の提出により納付し又は納入すべき額が確定した地方税に係る過納金でその納付し又は納入すべき額を減少させる更正(更正の請求に基づく更正を除く)により生じたものにつ。 いては,その更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日を還付加算金の起算日とするものとされている。 (2)上記によると,法17条の4第1項及び施行令6条の15第1項は,不当利得の法理を踏まえ,過納に係る地方税の額が地方団体の更正,決定等により確定したものである場合にはその納付又は納入があった日の翌日から,納税者の申告によって確定したものである場合には,原則として,減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日から,それぞれ還付加算金を加算することとしているが,過納に係る地方税の額が義務修正申告により確定したものである場合,その還付加算金の起算日については,地方団体の更正,決定等により確定した場合と同列に扱うこととしているのである。この部分は昭和50年改正に係るものであるが,この改正は,義務修 確定したものである場合,その還付加算金の起算日については,地方団体の更正,決定等により確定した場合と同列に扱うこととしているのである。この部分は昭和50年改正に係るものであるが,この改正は,義務修- 9 -正申告が法人税の更正,決定に伴って義務的に行われるものであり,過納となったことにつき納税者に帰責事由があるとはいえないこと,この場合に,税額の確定が申告によりされているとして,減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日からしか還付加算金を加算しないこととすると,義務修正申告を怠ったために増額更正を受けた場合には納付又は納入があった日の翌日から還付加算金が加算されることと比べて,不合理な結果が生ずることを考慮してなされたものである(以上,最高裁平成20年10月24日第二小法廷判決・民集62巻9号2424頁参照。しかし,上)記改正に,それ以上に,還付加算金の点で期限後の申告(期限後修正申告)を不利に取り扱うことにして,期限内の申告(義務修正申告)を勧奨しようという趣旨までも含まれていたことはうかがわれない。 以上を前提として,本件について検討する。 (1)前提事実によると,本件法人税等更正処分により,法人都民税の法人税割の課税標準である法人税額ないし法人事業税の所得割の課税標準である当該法人の所得が権限ある国税官署により一応有効に確定された状態にあったということができる。そして,上記2によれば,控訴人は,一定期間内に本件法人税等更正処分の内容に沿って修正申告をすることが義務付けられていた。また,この期限を徒過した場合でも,控訴人は本件法人税等更正処分に沿った修正申告することの義務がなくなるわけではなく,申告義務を負っていたものである。 そして,処分庁である東京都中央都税事務所長は,控訴人が本件法人税等更正処 でも,控訴人は本件法人税等更正処分に沿った修正申告することの義務がなくなるわけではなく,申告義務を負っていたものである。 そして,処分庁である東京都中央都税事務所長は,控訴人が本件法人税等更正処分の内容に沿って修正申告及び納付をすれば,これをそのまま是認す- 10 -ることになるが,これがされなかった場合には,本件法人税等更正処分の内容に沿って法人都民税及び法人事業税の更正をすることになるのである(法55条1項,321条の11第1項,72条の39第1項。 )(2)そうすると,本件修正申告は,法の定めた義務修正申告の期限を遵守しないものではあった(期限後修正申告)が,あくまで法(53条28項,321条の8第28項,72条の33第3項)により義務付けられたものであって,法の定めに従い本件法人税等更正処分により確定した法人税額又は所得額を法人都民税又は法人事業税の課税標準として行われたものであり,控訴人が自らの計算により課税標準を算出したものではなかったのであるから,本件修正申告により確定した法人都民税額及び法人事業税額が過納となったことについては,控訴人に帰責事由があるということはできないというべきである。また,この場合に還付加算金の起算日を納付の日の翌日であると解さないとすると,本件法人税等更正処分に従って法人都民税及び法人事業税の申告納付をした場合の方が,申告納付の措置を採らずに放置して更正を受けた場合に比べ,還付加算金の算定において著しい不利益を受けるという不合理な結果を生ずることとなるのである。しかも,昭和50年改正は,専ら義務修正申告が法人税の更正,決定に伴って義務的に行われるものであるという点等に着目してされたもので,そこに期限後修正申告を義務修正申告より(過少申告加算金の点等のみならず)還付加算金の点でも不利に取り 正申告が法人税の更正,決定に伴って義務的に行われるものであるという点等に着目してされたもので,そこに期限後修正申告を義務修正申告より(過少申告加算金の点等のみならず)還付加算金の点でも不利に取り扱うことにして,期限内の申告を勧奨しようという趣旨まで含まれていたことはうかがわれないのである。 以上の点に照らすと,本件修正申告は法の定めた義務修正申告の期限を- 11 -遵守していないとしても,本件過納金の還付に際しては,法17条の4第1項1号に基づき,納付の日の翌日から還付加算金を加算するべきものと解するのが相当である(前掲最高裁判決参照。 )4(1)そうすると,還付加算金の額は合計5619万6600円となる(前提事実(4) 。 )(2)なお,控訴人は,還付加算金のほか,これに対する訴状送達の日の翌日から年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。しかしながら,還付加算金は,還付金につき生じる利息の性質を有するものであるから,これ(,に対して生じる遅延損害金は民法405条の重利に該当するところなお租税法律関係についても,それを排除する明文の規定あるいは特段の理由がない限り,私法規定が適用ないし準用されると解される,本件におい。)て,同条の規定に基づいて元本組入れがなされたことについての主張,立証はされていないから,控訴人の遅延損害金に係る請求は理由がないというべきである。 結論 以上によれば,控訴人の請求は5619万6600円の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないことになる。よって,これと結論を異にする原判決を異なる限度で変更し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官大坪丘- 12 -裁判官宇田川基裁判官足立哲(原裁判等の表示)主文 異にする原判決を異なる限度で変更し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部裁判長裁判官大坪丘- 12 -裁判官宇田川基裁判官足立哲(原裁判等の表示)主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,金5619万6600円及びこれに対する平成19年1月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,東京都中央都税事務所長が原告に対してした平成3年8月1日から同4年7月31日までの事業年度分の法人事業税及び法人都民税の減額更正・決定処分により生じた過納金の還付に際し,東京都知事が,原告に対し,還付加算金の算定の起算日について上記減額更正・決定処分の日の翌日から1箇月を経過する日の翌日とし,還付加算金を過少申告加算金のみを対象として算出した上同18年11月13日付け還付金通知書を送付して還付決定以下本,(「件還付決定」という)をしたところ,原告が,還付加算金の起算日は納付の。 日の翌日と解すべきであり,過少申告加算金だけでなく,法人事業税本税及び- 13 -法人都民税本税並びに各延滞金についても還付加算金が支払われるべきであると主張して,その納付の日の翌日から同18年11月13日までの未払の還付加算金の支払を求める事案である。 関係法令の定め本件還付決定時に施行されていた地方税法及び地方税法施行令等の関係規定は以下のとおりである。 (1)事業税地方税法72条の332項第72条の25から第72条の31まで…(中略)…の規定によって申告書…(中略)…を提出した法人…(中略)…は,当該申告書…(中略)…に記載した,…(中略)…付加価値額,資本金等の額,所得,清算所得若しくは収入金額(以 2条の31まで…(中略)…の規定によって申告書…(中略)…を提出した法人…(中略)…は,当該申告書…(中略)…に記載した,…(中略)…付加価値額,資本金等の額,所得,清算所得若しくは収入金額(以下この節において「課税標準額」と総称する)又は事業税額について不足額がある場合…(中略)…。 においては,遅滞なく,総務省令で定める様式による修正申告書を提出するとともに,その修正により増加した事業税額を納付しなければならない。 3項第72条の25から第72条の31まで…(中略)…の規定によって申告書を提出した法人…(中略)…は,前項の規定によるほか,当該申告に係る事業税の計算の基礎となった事業年度…(中略)…又は計算期間に係る法人税の課税標準について税務官署の更正又は決定を受けたとき…(中略)…は,当該税務官署が当該更正又は決定の通知をした日から1月以内に,当該更正又は決定に係る課税標準を基礎と- 14 -して,総務省令で定める様式による修正申告書を提出するとともに,その修正により増加した事業税額を納付しなければならない。 (2)都民税ア地方税法53条(ア)27項第1項,第2項,第4項,第5項,第24項,前項若しくはこの項の規定によって申告書を提出した法人…(中略)…は,次の各号のいずれかに該当する場合には,次項に該当する場合を除くほか,遅滞なく,総務省令で定める様式によって,当該申告書を提出し…(中略)…た道府県知事に,当該申告書に記載し…(中略)…た第20条の9の3第5項に規定する課税標準等又は税額等を修正する申告書を提出し,及びその申告により増加した道府県民税額を納付しなければならない。 1号先の申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載し…(中略)…た道府県民税額に不足額があるとき。 2号,3号(省略)( びその申告により増加した道府県民税額を納付しなければならない。 1号先の申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載し…(中略)…た道府県民税額に不足額があるとき。 2号,3号(省略)(イ)28項第1項,第2項,第4項又は第5項の法人が…(中略)…法人税に係る更正若しくは決定の通知を受けたこと…(中略)…により,当該法人が前項各号のいずれかに該当することとなった場合においては,当該法人は,…(中略)…当該更正若しくは決定によって納付すべき法人税額…(中略)…を納付すべき日までに,同項の規定によって申告納付しなければならない。 - 15 -イ地方税法321条の8(ア)27項第1項,第2項,第4項,第5項,第24項,前項若しくはこの項の規定によって申告書を提出した法人…(中略)…は,次の各号のいずれかに該当する場合には,次項に該当する場合を除くほか,遅滞なく,総務省令で定める様式によって,当該申告書を提出し…(中略)…た市町村長に,当該申告書に記載し…(中略)…た第20条の9の3第5項に規定する課税標準等又は税額等を修正する申告書を提出し,及びその申告により増加した市町村民税額を納付しなければならない。 (イ)28項第1項,第2項,第4項又は第5項の法人が…(中略)…法人税に係る更正若しくは決定の通知を受けたこと…(中略)…により,当該法人が前項各号のいずれかに該当することとなった場合においては,当該法人は,…(中略)…当該更正若しくは決定によって納付すべき法人税額…(中略)…を納付すべき日までに,同項の規定によって申告納付しなければならない。 (ウ)国税通則法35条2項次の各号に掲げる金額に相当する国税の納税者は,その国税を当該各号に掲げる日(延納に係る国税その他国税に関する法律に別段の納期限の定めがある 納付しなければならない。 (ウ)国税通則法35条2項次の各号に掲げる金額に相当する国税の納税者は,その国税を当該各号に掲げる日(延納に係る国税その他国税に関する法律に別段の納期限の定めがある国税については,当該法律に定める納期限)までに国に納付しなければならない。 1号(省略)- 16 -2号更正通知書に記載された第28条第2項第3号イからハまで(更正により納付すべき税額)に掲げる金額(その更正により納付すべき税額が新たにあることとなった場合には,当該納付すべき税額)又は決定通知書に記載された納付すべき税額その更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日(3)還付加算金ア地方税法17条の4第1項地方団体の長は,過誤納金を第17条又は第17条の2第1項から第3項までの規定により還付し,又は充当する場合には,次の各号に掲げる過誤納金の区分に従い当該各号に掲げる日の翌日から地方団体の長が還付のため支出を決定した日又は充当をした日(同日前に充当をするに適することとなった日があるときは,その日)までの期間の日数に応じ,その金額に年7.3パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という)をその還付又は充当をすべき金額に加算しなければならない。 。 1号…(中略)…第53条第28項若しくは第321条の8第28項の規定による申告書(法人税に係る更正若しくは決定によって納付すべき法人税額…(中略)…に係る個別帰属法人税額を課税標準として算出した道府県民税又は市町村民税の法人税割額に係るものに限る,。)第72条の33第3項の規定による修正申告書…(中略)…の提出又は過少申告加算金,不申告加算金若しくは重加算金(以下本章において「加算金」という)の決定により納付し又は納入すべき額が確定 ,。)第72条の33第3項の規定による修正申告書…(中略)…の提出又は過少申告加算金,不申告加算金若しくは重加算金(以下本章において「加算金」という)の決定により納付し又は納入すべき額が確定。 した地方団体の徴収金(当該地方団体の徴収金に係る地方税に係る延- 17 -滞金を含む)に係る過納金(次号及び第3号に掲げるものを除く)。 。 当該過納金に係る地方団体の徴収金の納付又は納入があった日2号,3号省略4号前3号に掲げる過納金以外の地方団体の徴収金に係る過誤納金その過誤納となった日として政令で定める日の翌日から起算して1月を経過する日イ地方税法施行令6条の15第1項法17条の4第1項4号に規定する政令で定める日は,次の各号に掲げる過誤納金の区分に応じ,当該各号に掲げる日とする。 1号申告書の提出により納付し又は納入すべき額が確定した地方税(当該地方税に係る延滞金を含む)に係る過納金でその納付し又は納入。 すべき額を減少させる更正…(中略)…により生じたものその更正があった日2号法17条の4第1項4号に掲げる過誤納金のうち,前号に掲げる過納金以外のものその納付又は納入があった日(4)権限の委任ア地方税法3条の2地方団体の長は,この法律で定めるその権限の一部を,当該地方団体の条例の定めるところによって,…(中略)…同法(地方自治法のことを指す)156条1項の規定によって条例で設ける税務に関する事務所の長。 に委任することができる。 イ東京都都税事務所設置条例- 18 -(ア)1条地方自治法156条1項の規定に基づき,東京都都税を賦課徴収するため,必要の地に東京都都税事務所(以下「都税事務所」という)を。 置く。 (イ)2条都税事務所の名称,位置及び所管区域は別表第一の…(中略)…とおり 項の規定に基づき,東京都都税を賦課徴収するため,必要の地に東京都都税事務所(以下「都税事務所」という)を。 置く。 (イ)2条都税事務所の名称,位置及び所管区域は別表第一の…(中略)…とおりとする。 (ウ)別表第一都税事務所の名称,位置及び所管区域名称位置所管区域東京都中央都税事務所中央区中央区の区域(エ)4条の3第1項知事は,徴収金の賦課徴収に関する事務…(中略)…を都税の納税地所管の都税事務所長…(中略)…に委任する(以下略)。 前提事実本件の前提となる事実は,以下のとおりであり,いずれの事実も当事者間に争いがない。 (1)原告の法人事業税及び法人都民税等の納付に至る経緯ア原告は,平成4年10月30日,京橋税務署長に対し,同3年8月1日から同4年7月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という)。 の法人税及び法人特別税について確定申告をした。 イ原告は,平成4年10月30日,東京都中央都税事務所長に対し,本件- 19 -事業年度の法人事業税,法人都民税(税割)及び法人都民税(均等割)について地方税法72条の28第1項,53条1項及び321条の8第1項に基づく期限内確定申告をした。当該申告により納付すべき税額は,法人事業税2043万4600円,法人都民税(税割)1100万7600円及び法人都民税(均等割)29万5000円であった。 ウ原告は,平成4年12月11日から同5年3月30日までの期間に,上記イの法人事業税,法人都民税(税割)及び法人都民税(均等割)並びに法人事業税延滞金92万4300円及び法人都民税延滞金67万5800円を分割納付した。 エ京橋税務署長は,平成7年7月31日,原告に対し,本件事業年度の法(「」。)人税及び法人特別税の更正処分以下本件法人税等更正処分と 法人都民税延滞金67万5800円を分割納付した。 エ京橋税務署長は,平成7年7月31日,原告に対し,本件事業年度の法(「」。)人税及び法人特別税の更正処分以下本件法人税等更正処分という及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。 オ原告は,平成7年9月28日,東京都中央都税事務所長に対し,本件事業年度について,法人事業税に係る地方税法72条の33第2項並びに法人都民税に係る平成7年法律第49号による改正前の地方税法(以下「旧地方税法」という)53条7項(なお,本件還付決定時においては地方。 税法53条27項)及び旧地方税法321条の8第7項(なお,本件還付決定時においては地方税法321条の8第27項)に基づく修正申告(以下「本件修正申告」という)をした。本件修正申告により納付すべき税。 額は,法人事業税7405万8200円及び法人都民税(税割)4728万7700円であった。 カ東京都中央都税事務所長は,平成7年10月24日,原告に対し,地方- 20 -税法72条の46第1項に基づき過少申告加算金1008万6900円の賦課決定処分をした。 キ原告は,平成8年1月31日から同16年8月2日までの期間に,上記オの法人事業税及び法人都民税(税割)並びに法人事業税延滞金2741万4100円及び法人都民税延滞金1603万5600円を分割納付した。 ,,,また原告は平成11年5月31日から同年8月31日までの期間に上記カの過少申告加算金を分割納付した。 (2)本件法人税等更正処分に対する不服申立て等の経緯,,,ア原告は国税不服審判所長に対し本件法人税等更正処分を不服として審査請求をした。 これに対し,国税不服審判所長は,平成10年7月6日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 イ原告は,京橋税務署長を被告とし 税不服審判所長に対し本件法人税等更正処分を不服として審査請求をした。 これに対し,国税不服審判所長は,平成10年7月6日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 イ原告は,京橋税務署長を被告として,本件法人税等更正処分のうち,法人税の更正処分については所得金額1億6589万8112円を超える部分の,法人特別税の更正処分については課税標準法人税額5434万3000円を超える部分の各取消しを求めて訴えを提起し(東京地方裁判所平),,成▲年(行ウ)第▲号法人税等更正処分取消請求事件東京地方裁判所は平成15年7月17日,法人税の更正処分については所得金額7億4341万3032円を超える部分を,法人特別税の更正処分については課税標準法人税額2億7091万1000円を超える部分をそれぞれ取消し,その余の請求をいずれも棄却する旨の判決を言い渡した。 - 21 -ウ原告は,東京高等裁判所に対し,上記イの判決を全部不服として控訴したところ(同裁判所平成▲年(行コ)第▲号,同裁判所は,平成18年)4月12日,原判決を変更し,法人税の更正処分については所得金額2億2063万5112円を超える部分を,法人特別税の更正処分については課税標準法人税額7486万9000円を超える部分をそれぞれ取り消し,その余の請求をいずれも棄却する旨の判決を言い渡し,同月27日,同判決は確定した。 (3)本件還付決定に至る経緯ア京橋税務署長は,平成18年5月1日,原告に対し,本件事業年度に係る法人税及び法人特別税について減額更正をした。 イ東京都中央都税事務所長は,平成18年10月26日,原告に対し,地方税法72条の39第1項,55条1項及び321条の11第1項に基づ(「」。)き本件事業年度に係る減額更正・決定処分以下本件減額更正というをした。減額金 成18年10月26日,原告に対し,地方税法72条の39第1項,55条1項及び321条の11第1項に基づ(「」。)き本件事業年度に係る減額更正・決定処分以下本件減額更正というをした。減額金額は,法人事業税6716万1400円,法人都民税(税割)4303万8800円及び過少申告加算金939万7300円であった。 ウ東京都知事は,平成18年11月13日,原告に対し,地方税法17条及び17条の4第1項1号に基づき,本件減額更正に基づき発生した以下の過納金及び過少申告加算金に対する還付加算金の合計1億6435万9500円を還付する旨の本件還付決定をし,同日,金員を原告名義の銀行口座に振り込む手続を執った。 法人事業税6716万1400円- 22 -法人事業税延滞金2653万2200円法人都民税(税割)4303万8800円法人都民税延滞金1518万5900円過少申告加算金939万7300円過少申告加算金に対する還付加算金304万3900円 争点 本件修正申告に係る申告書は,法人事業税に関しては,地方税法72条の33第3項の規定による修正申告書に当たり,法人都民税(税割(以下,単に)「法人都民税」という)に関しては,同法53条28項又は321条の8第。 28項の規定による申告書に当たり,したがって,本件の過納金の還付加算金の起算日は,同法17条の4第1項1号を適用して,納付の日の翌日と解すべきか否か。 なお,以下,地方税法72条の33第3項の規定による修正申告書又は同法53条28項若しくは321条の8第28項の規定による申告書の提出に係る申告を「義務修正申告」ということがある。 争点に関する当事者の主張の要旨(原告の主張)(1)本件修正申告に係る申告書は,法人事業税に関しては,地方税法72条の33第3項の 告書の提出に係る申告を「義務修正申告」ということがある。 争点に関する当事者の主張の要旨(原告の主張)(1)本件修正申告に係る申告書は,法人事業税に関しては,地方税法72条の33第3項の規定による修正申告書に準じる修正申告書に当たり,法人都民税に関しては,同法53条28項又は321条の8第28項の規定による申告書に準じる修正申告書に当たるというべきであるから,同法17条の4第1項1号が適用され,過少申告加算金のみならず,法人事業税本税及び法- 23 -人都民税本税並びに各延滞金という還付金のすべてに対して納付の日の翌日から起算して還付加算金が付加されるべきである。具体的理由は,以下のとおりである。 ア(ア)まず,地方税法17条の4の改正経緯から明らかである。 すなわち,昭和44年の改正前において,還付加算金の始期は,すべ。 ,,て過納金の納付があった日の翌日とされていたしかし同年の改正で「,,納税者が100の申告納付をしたところ自分の計算に誤りがあって70に減額更正された場合と,地方団体が100の賦課決定をしたのでそのとおりに納付したところ,計算に誤りが発見されて70に賦課決定がされた場合とを同列に扱うことは公平に反するのではないか」という意見が唱えられたことから,前者の場合は,納税者自らの計算の誤りにより過大申告した場合のように,納税者の責に帰すべき事由により過納金が発生したのに対し,後者の場合には,地方団体の方に帰責事由があり,しかも行政行為の公定力から,納税者は,その賦課決定が違法であると知っていても従わなければならない立場にあることにかんがみ,後者の場合のみ,過納金の納付があった日の翌日から還付加算金が起算さ。 ,,,れることとなったこれは民法上の不当利得において悪意の受益者すなわち不当利得 ならない立場にあることにかんがみ,後者の場合のみ,過納金の納付があった日の翌日から還付加算金が起算さ。 ,,,れることとなったこれは民法上の不当利得において悪意の受益者すなわち不当利得に帰責事由がある場合については利息を付して返還すべきである(民法704条)という理屈とパラレルに考えるものということができる。 その後,昭和50年に改正があり,納税者の申告により地方税の額が確定する場合であっても,国税の更正又は決定により納税者が義務的に- 24 -事業税及び都民税等を申告納付した場合には,納税者には,帰責事由はなく,自主的に申告納付した場合と同様に扱うのは不合理であることから,税額の確定について地方団体に責任がある場合と同列に扱うこととなり,義務修正申告により税額が確定した場合の還付加算金は,その納付の日の翌日を起算日とすることとなった。法人税の増額更正により納,,付税額が増加する場合地方税法では義務修正申告の制度を設ける一方法人税の更正がされた場合には,地方団体にその旨の通知を速やかにする旨の規定を設けている。特に事業税では,1箇月以内に修正申告をしなければならないと明示する一方で,1箇月以内に修正申告をすれば,,。 ,延滞金を賦課しないという利点を与えそれを推奨しているしかるに,,義務修正により納付した税額が後に過誤納であることが分かった場合従来の規定では,条文上還付加算金を付けられない可能性があるのに,義務修正を怠り増額更正を受け,その後減額更正を受けた場合には,納付の日にさかのぼって還付加算金が付くのでは,余りにも矛盾するということから,義務修正については,明文をもって同列に扱うこととされたものである。 (イ)このような改正経緯からすると,本件修正申告は,義務修正申告の期限を約1箇月過ぎたものでは りにも矛盾するということから,義務修正については,明文をもって同列に扱うこととされたものである。 (イ)このような改正経緯からすると,本件修正申告は,義務修正申告の期限を約1箇月過ぎたものではあるが,原告が本件法人税等更正処分の内容に拘束されて申告したという意味において,義務的に修正申告をしたことと変わりがないということができる。すなわち,本件法人税等更正処分により,平成4年10月の申告により確定していた法人事業税及び法人都民税の額に不足を生じることになったものであるところ,原告- 25 -は,期限内に義務修正申告をしなかったが,本件法人税等更正処分に基づいて算出された所得を新たな課税標準として法人事業税の修正申告をし,法人都民税についても本件法人税等更正処分による法人税を課税標準にして修正申告をしたのであるから,原告としては,正に,本件法人税等更正処分にき束されて,法人事業税及び法人都民税について本件修正申告をしたということができる。仮に,原告が上記のとおり本件修正申告をしなかった場合には,処分庁がしかるべき時期に本件法人税等更正処分による所得基準及び法人税基準に基づいて,法人事業税及び法人都民税の更正処分を行うことが当然に予測される状況にあり,当該更正処分が行われたときには,原告は納付が遅延したことによる相当の延滞金を別途負担しなければならないことになるのであるから,その意味でも,原告は,本件法人税等更正処分の時点において,その新たな所得金額及び法人税額に従った法人事業税及び法人都民税の納付を事実上余儀なくされていたということができ,本件修正申告には,申告者である原告の任意の判断が介在する余地はなかったのである。 このような状況において,原告が法人事業税及び法人都民税を申告納,,,付しそれが結果的に誤りであったとい でき,本件修正申告には,申告者である原告の任意の判断が介在する余地はなかったのである。 このような状況において,原告が法人事業税及び法人都民税を申告納,,,付しそれが結果的に誤りであったという場合にはその誤りの原因は専ら納税者にあるということはできず,むしろ,課税庁・課税主体側にあるというべきである。 また,期限後の義務修正申告に関して,道府県民税については,地方税法53条26項に,地方団体の更正の通知があるまで,同条28項の規定により申告書を提出し,その申告した道府県民税額を納付すること- 26 -ができると規定されていること,事業税についても,同法72条の33第1項に,地方団体の更正の通知があるまでは,同条3項の規定により申告書を提出し,その申告した事業税を納付することができると規定されていること,市町村税についても,同法321条の8第26項により同条28項の規定によって申告納付することが認められていることからすると,期限後の義務修正申告も義務修正申告の1つであることが認められていると解することができる。 そうすると,本件修正申告は,義務修正申告の期限を徒過したものではあっても,還付加算金の起算日に関しては,期限内の義務修正申告と同じ取扱いをすべきものであり,地方税法17条の4第1項1号の義務修正申告に当たるというべきである。 (ウ)被告は,還付加算金の起算日は,地方税の確定が課税庁側によってされたか,納税者側によってされたかによって決定されるものとして区別されているものであり,納付した日の翌日から還付加算金が付く場合は,確定が課税庁側によってされた場合に限られ,義務修正申告を地方団体の更正と同列に処したのは例外的措置であって,地方税法17条の4第1項1号の解釈は厳格にしなければならないと主張する。 しかし,地方税法の が課税庁側によってされた場合に限られ,義務修正申告を地方団体の更正と同列に処したのは例外的措置であって,地方税法17条の4第1項1号の解釈は厳格にしなければならないと主張する。 しかし,地方税法の改正経緯にかんがみると,過誤納金については,納付した翌日から還付加算金が付くのが原則であったが,例外的に納税者の責任で過誤納が生じた場合には,過誤納が確定した段階から還付加算金が発生するとしたのが昭和44年改正であるから,地方税法17条の4第1項1号の適用場面を広く解釈することこそが改正の経緯に合致- 27 -した解釈であるということができる。そして,昭和50年改正は,義務修正申告を地方団体による更正と同列に規定したが,これは納税者の責任で過誤納が生じた場合でないことの例示として位置付けるべきである。したがって,地方税法17条の4第1項1号の解釈を厳格にすべきであるとする被告の上記主張は,失当である。 イ義務修正申告と期限を徒過した修正申告を比較すると,期限を徒過した修正申告の場合に,過少申告加算金や延滞金等が予定されているのはやむを得ないとしても,還付加算金の扱いにおいて,納税者にとって不利益になるのは,還付加算金の制度趣旨,すなわち,過納金の発生原因が専ら課税庁・課税主体側にあるときには,不当利得法理に準じて,保有期間の使用利益に当たる利息を返還させようというものに反し,不合理である。なぜならば,本件の場合,申告期限内に修正申告をしなかったとはいえ,過納金の発生原因が課税庁・課税主体側にあることに変わりないからである。それにもかかわらず,期限後に申告した場合に納付の日の翌日から還付加算金が発生しないとすることは,期限内に申告をしなかったことに対する制裁として還付加算金制度を考えようとするものである。しかし,期限を経過した後も修正申 限後に申告した場合に納付の日の翌日から還付加算金が発生しないとすることは,期限内に申告をしなかったことに対する制裁として還付加算金制度を考えようとするものである。しかし,期限を経過した後も修正申告すらしなかった者が後記ウのとおり還付加算金の恩典を受けることとの対比においても,上記のような制裁という理屈そのものが破綻するばかりではなく,不公平を著しく助長することになることは明らかである。 ウ国税の更正を受けた後,期限後ではあっても自主的に申告をした者の方が,期限後に申告もしないまま放置し,事業税及び都民税について更正を- 28 -受けた者よりも,還付加算金に関して不利な取扱いを受けることは,行政に非協力的な者が優遇され,協力的な者が逆に全く保護されず,不利な扱いを受けるということであって,明らかに不公平で不合理であり,申告納税制度を採っている地方税体系に逆行するものというべきである。 前記ア(ア)の昭和50年改正の背景事情,すなわち,義務修正申告を怠ったため,増額更正を受け,その後に減額更正を受けた場合には,納付の日にさかのぼって還付加算金を加算されるのに,国税の更正の内容に従って,自主的に申告した納税者が不利に扱われるのは相当性を欠くということから,義務修正申告をした場合が地方税法17条の4第1項1号に加えられたということを踏まえると,法人事業税に関し,1箇月以内の義務修正申告の期限は徒過したが,地方団体からの増額更正を受ける前に国の増額更正どおりの内容の申告納付をした原告には,義務修正申告を怠り何の努力も行政協力もしないで地方団体から増額更正を受けて納付した者以上の保護を与えてしかるべきである。そのように解することこそ,租税正義に合致し,昭和50年の改正の趣旨にも沿うということができる。 (2)本件修正申告に地方税法17条の 増額更正を受けて納付した者以上の保護を与えてしかるべきである。そのように解することこそ,租税正義に合致し,昭和50年の改正の趣旨にも沿うということができる。 (2)本件修正申告に地方税法17条の4第1項1号が適用され,還付加算金の起算日を各納付の日の翌日として計算すると,各還付加算金額は,別紙1から別紙4までのとおりとなる。そして,被告において行われている本税とそれにかかわる延滞税に係る還付加算金を合算した後に100円未満を切り捨てるという端数処理の方法により計算すると,各還付加算金額の合計金額は,別紙5のとおり5619万6600円となる。 (3)仮に,本件修正申告が義務修正申告に当たらず,地方税法17条の4第- 29 -1項1号の適用がないとしても,本件の過納金は,いずれも同項4号の過誤納金であるところ,本件修正申告は,前記(1)ア(イ)のとおり,納税者である原告自身の判断によりその課税標準が決定された申告ではなく,本件法人税等更正処分にき束されたものというべきであるので,地方税法施行令6条の15第1項1号にいう「申告書の提出により納付し,又は納入すべき額が確定した地方税(当該地方税に係る延滞金を含む)に係る過誤納金」には。 当たらないと解すべきであるから,同項2号が適用され,納付の日の翌日から起算して1箇月を経過する日から起算されると解すべきである。 (被告の主張)(1)義務修正申告制度が税務行政の便宜を考慮した特例的な措置であることについて還付加算金の起算日は,地方税法の規定により定められており,民法の不当利得の規定の適用はない。しかし,両者は,類似の性格を有するので,不当利得の趣旨を取り入れて税法の規定を整備することとし,以下のとおりの改正が行われた。 ア地方税法17条の4においては,昭和44年改正前は,すべての過 い。しかし,両者は,類似の性格を有するので,不当利得の趣旨を取り入れて税法の規定を整備することとし,以下のとおりの改正が行われた。 ア地方税法17条の4においては,昭和44年改正前は,すべての過納金について,一律に納付があった日の翌日を起算日として還付加算金を算定していたところ,昭和44年改正において,民法の不当利得制度の趣旨を一部取り入れて,過納金にかかる不当利得の発生原因が専ら納税者の行為に起因したのか,課税庁又は課税主体に起因したのかによって,還付加算金の起算日に区別が設けられた。 すなわち,更正,決定等は,課税庁の行為に起因することから,還付加- 30 -,,算金の起算日は納付の日の翌日として納税者の利益を保護することとし他方,申告は,納税者の行為に起因することから,納付の日の翌日という基準を採らず,更正の日の翌日から1箇月を経過する日の翌日を還付加算金の起算日とすることとし,民法の不当利得制度の趣旨を還付加算金の算定にも反映させるとともに,それによって適正な公金の支出をも担保したものである。 イ昭和50年改正においては,義務修正申告が17条の4第1項1号に追加された。 ,,,,本来申告は納税者の行為によるものであり不当利得の発生原因は納税者の申告行為に起因することになるから,その不利益は納税者に帰すべきものであるところ,申告のうち義務修正申告に限って還付加算金の起算日を納付の日の翌日とすることとし,地方税法17条の4第1項1号に追加された。 義務修正申告の制度は,税務官署が更正又は決定をした日から1箇月内という期限を設定して,当該更正又は決定に係る課税標準を基準とした申告に限って,特に納税義務者を法的に拘束し,一方で過少申告加算金を免除したり,還付加算金の起算日を納付の日の翌日とするなど,納税者に有利 期限を設定して,当該更正又は決定に係る課税標準を基準とした申告に限って,特に納税義務者を法的に拘束し,一方で過少申告加算金を免除したり,還付加算金の起算日を納付の日の翌日とするなど,納税者に有利な措置を執って納税義務者自身の手による申告納付を促し,円滑かつ迅速な税務行政を執行させ,納税秩序を保持する手法として採られた制度である。 地方税法が限定して規定している義務修正申告に当たらない修正申告(以下,義務修正申告と対比させるときは「自主修正申告」という場合,- 31 -がある)については,特例的な措置は採られていない。 。 (2)ア法人事業税に係る本件修正申告について(ア)申告書を提出した法人は,当該申告に係る事業税の計算の基礎となった事業年度又は計算期間に係る法人税の標準について税務官署の更正又は決定を受けたときは,当該税務官署が当該更正又は決定の通知をし,,た日から1箇月以内に当該更正又は決定に係る課税標準を基礎として修正申告書を提出するとともに,その修正により増加した事業税額を納付しなければならない(地方税法72条の33第3項。一方,税務官)署が更正又は決定の通知をした日から1箇月を経過した後に修正申告書を提出した場合,同申告は,地方税法72条の33第3項に規定する義務修正申告の要件を満たさないことから,地方税法72条の33第2項の規定する自主修正申告に当たることになる。このような解釈は「地,方税法の施行に関する取扱について(昭和29年5月13日自乙府発」第109号自治庁次長通達(道府県税関係第3章事業税57(平成7)年自治府第35号通達による改正前のもの。本件還付決定当時においては同第3章事業税6の23)が,過少申告加算金及び不申告加算金の)取扱いについて「国の税務官署の更正又は決定に係る課税標準を基準 )年自治府第35号通達による改正前のもの。本件還付決定当時においては同第3章事業税6の23)が,過少申告加算金及び不申告加算金の)取扱いについて「国の税務官署の更正又は決定に係る課税標準を基準,として修正申告書を提出する場合においても,その修正申告書が国の税務官署において当該更正又は決定の通知をした日から1箇月以内に提出されないときは,地方税法72条の33第2項の規定によって修正申告書(自主修正申告)として取り扱われることとなるのであって,過少申告加算金及び不申告加算金の取扱いが異なるものであるから留意するこ- 32 -と」と規定していることとも平仄が合っている。 。 ひょうそく(イ)これを本件に当てはめると,原告は,平成7年7月31日,京橋税務署長から,本件法人税等更正処分を受けたところ,それから1箇月以上経過した後の同年9月28日に法人事業税に係る本件修正申告を行ったのであるから,法人事業税に係る本件修正申告は,地方税法72条の33第3項の規定する義務修正申告ではなく,同条2項の規定する自主修正申告に該当するというべきである。 イ法人都民税に係る本件修正申告について(ア)法人が法人税に係る更正又は決定の通知を受けたことにより,当該法人が地方税法53条27項各号のいずれかに該当することとなった場合においては,当該法人は,当該更正又は決定によって納付すべき法人税額を納付すべき日までに,同項の規定によって申告納付しなければならない(地方税法53条28項,321条の8第28項。一方,当該)更正又は決定によって納付すべき法人税額を納付すべき日を経過して,都民税に係る修正申告書を提出した場合,その申告は,地方税法53条27項及び321条の8第27項の規定する自主修正申告に当たることになる。 (イ)これを本件に当てはめる を納付すべき日を経過して,都民税に係る修正申告書を提出した場合,その申告は,地方税法53条27項及び321条の8第27項の規定する自主修正申告に当たることになる。 (イ)これを本件に当てはめると,地方税法53条28項及び321条の8第28項に規定する「法人税額を納付すべき日」とは,国税通則法35条2項2号により,更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1箇月を経過する日と定められているので,本件において「法人税額を納付すべき日」とは,平成7年8月31日となるところ,- 33 -原告は,同日を経過した後の同年9月28日に法人都民税に係る本件修正申告をしたのであるから,法人都民税に係る本件修正申告は,地方税法53条28項及び321条の8第28項の規定する義務修正申告ではなく,同法53条27項及び321条の8第27項の規定する自主修正申告に該当するというべきである。 ウ還付加算金の起算日について納付の日の翌日から還付加算金を計算すべき旨を定めた地方税法17条の4第1項1号は,同法72条の33第2項,53条27項及び321条の8第27項によるものを対象としていない。したがって,本件還付決定においては,法人事業税本税,法人都民税本税及び各延滞金について,地方税法17条の4第1項1号は適用されず,同項4号が適用される。そして,上記の過納金は,本件修正申告によって納付すべき額が確定した過納金であり,事後的に納付すべき額を減少させる本件減額更正により生じたものであるから,地方税法施行令6条の15第1項1号が適用される。 したがって,還付加算金の起算日は,本件減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日となる。 (3)以上のとおりであり,本件において,東京都中央都税事務所長は,平成18年10月26日に本件減額 還付加算金の起算日は,本件減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日となる。 (3)以上のとおりであり,本件において,東京都中央都税事務所長は,平成18年10月26日に本件減額更正をしたため,還付加算金の起算日は,同年11月26日を経過する日の翌日となるところ,東京都知事は,同月13日に本件還付決定をして還付をしたのであるから,還付加算金は発生しないことになる。 第3争点に対する判断- 34 - 地方税法の規定の内容(1)地方税法17条は,地方団体の長は,過誤納に係る地方団体の徴収金があるときは,遅滞なく過誤納金を還付すべき旨を定め,同法17条の4は,。 ,過誤納金を還付する場合の加算金について起算日等を規定しているそして同条及び地方税法施行令6条の15第1項は,過納に係る地方税の額が地方団体の更正,決定等により確定した場合については,還付加算金の起算日を納付の日の翌日とし,過納に係る地方税の額が納税者の申告によって確定した場合については,還付加算金の起算日を更正の日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日とすることを基本とし,過誤納金の発生原因となった地方税の額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して規定している。 (2)ア具体的には,地方税法17条の4第1項1号は,①更正,決定又は賦課決定,②53条28項若しくは321条の8第28項の規定による道府県民税ないし市町村民税(734条2項及び3項により,東京都は,都の特別区の存する区域内において,道府県民税及び市町村民税のうち,それ。)ぞれ法人等に対して課するものを都民税として課するものとされているの申告書(法人税に係る更正又は決定によって納付すべき法人税額を課税標準として算定した道府県民税及び市町村民税の法人税割額に係るものに。) 等に対して課するものを都民税として課するものとされているの申告書(法人税に係る更正又は決定によって納付すべき法人税額を課税標準として算定した道府県民税及び市町村民税の法人税割額に係るものに。),限る又は72条の33第3項の規定による事業税の修正申告書の提出③不申告加算金等の決定,の3つの事由により納付額が確定した地方団体の徴収金に係る過納金について,還付加算金の起算日を当該過納金に係る地方団体の徴収金の納付日の翌日と規定している。 - 35 -このうち,①の更正,決定又は賦課決定及び③の不申告加算金等の決定については,地方団体の長が具体的な納付額を確定したことから,還付加算金の起算日を納付日の翌日と定めているものと解される。そして,②に関しては,法人に係る道府県民税及び市町村民税について,申告書を期限内に提出し,又は更正若しくは決定を受けたことによって額が確定してい,,た場合においてその後法人税に係る更正又は決定を受けたこと等により既に確定していた道府県民税又は市町村民税の額に不足額があるときは,これを申告納付すべきものとされ(地方税法53条28項,321条の8第28項,事業税について,申告書を期限内に提出したことによって額)が確定していた場合において,その後,事業税の計算の基礎となった法人税の課税標準(所得)についての更正又は決定を受けたときは,当該更正又は決定後の課税標準を基礎として法定の期限内に修正申告すべきものとされていること(72条の33第3項)を受けて,これらの要件を充足する申告ないし修正申告(これらを義務修正申告ということがあるのは,前記のとおりである)によって申告納付されたときは,法律的には課税庁。 が納付額を確定したということができることから,①及び③と同様に還付加算金の起算日を納付の日の翌日と定め ということがあるのは,前記のとおりである)によって申告納付されたときは,法律的には課税庁。 が納付額を確定したということができることから,①及び③と同様に還付加算金の起算日を納付の日の翌日と定めているものと解される。 イこれに対し,地方税法17条の4第1項2号並びに同項4号及び地方税法施行令6条の15第1項1号は,申告書,修正申告書等の提出により納付額が確定した地方税に係る過納金でその納付額を減少させる更正により生じたものは,納付者の申告により確定した税額に係るものであることから,その還付加算金について,減額更正が納税者の更正の請求に基づく場- 36 -合は更正の請求日の翌日から起算して3月を経過する日と当該更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日とのいずれか早い日の翌日を起算日とし(同法17条の4第1項2号,減額更正が更正の請求に基づか)ない場合は,更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日を起算日としているものである(同法17条の4第1項4号,地方税法施行令6条の15第1項1号。 )ウまた,地方税法17条の4第1項3号は,所得税の更正(申告書又は修正申告書の提出により納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る)に基因してされた賦課決定により納付額が減少した地方税に。 係る過納金については,所得税の申告により確定した税額に係るものであることから,当該賦課決定の基因となった所得税の更正の通知日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日を起算日としているものである。 (3)地方税に係る過誤納金の還付加算金の起算日については,従来一律に納付又は納入の日の翌日とされていたが,地方税法の昭和44年法律第16号による改正によって,更正の請求の期間が延長されて税の納付又は納入の時から遅れて更正の請求がさ 金の起算日については,従来一律に納付又は納入の日の翌日とされていたが,地方税法の昭和44年法律第16号による改正によって,更正の請求の期間が延長されて税の納付又は納入の時から遅れて更正の請求がされることが予想されること,及び,民法の不当利得の規定によれば,善意の受益者は利益の存する限度で利得を返還すれば足り,利得について利息を付して返還する必要がないとされていること等を勘案して,原則として,税額の確定が課税庁により行われた場合(上記(2)アの①及び③の場合)には納付又は納入の日の翌日を起算日とし,それ以外の場合には,更正があった日,更正の請求がされた日等を基準として起算日とすることになった。さらに,昭和50年改正によって,上記(2)アの②の場- 37 -合について,これらの申告が法人税の更正又は決定に伴って義務的に行われるものであって,法律的には課税庁が税額の確定をした場合と変わらないという理由から,納付の日の翌日を起算日とすることとされたものである。 本件について(1)本件は,京橋税務署長が本件法人税等更正処分を行い,原告がそれを受けて,当該更正の通知を受けた日から1箇月以上経過した後に法人事業税及び法人都民税につき本件修正申告をしたところ,後に京橋税務署長が法人税等について減額更正をしたのを受けて,東京都中央都税事務所長がこの法人税額を課税標準とする計算をして法人都民税の減額更正をし,法人事業税についても減額更正をした(本件減額更正)という事案であり,その還付加算金の起算日について,地方税法17条の4第1項1号によるべきか,又は同項4号及び地方税法施行令6条の15第1項1号によるべきかが争点となっている。 (2)そこで検討するに,本件が,地方税法17条の4第1項1号のうち,上記1(2)ア①の更正,決定又は賦課決定や同 同項4号及び地方税法施行令6条の15第1項1号によるべきかが争点となっている。 (2)そこで検討するに,本件が,地方税法17条の4第1項1号のうち,上記1(2)ア①の更正,決定又は賦課決定や同③の不申告加算金等の決定により納付額が確定した場合に当たらないことは明らかである。そして,上記1(2)ア②の義務修正申告との関係については,この要件を満たすためには,事業税や都民税の申告をそれぞれ所定の期間内にしたか,又は事業税や都民税の更正若しくは決定を受けた法人であることが必要である。 本件についてこれをみるに,原告は,平成7年7月31日に京橋税務署長から本件法人税等更正処分を受けたところ,それから1箇月以上経過した後,,の同年9月28日に本件修正申告をしたものであるところ本件修正申告は- 38 -法人事業税に関していえば,地方税法72条の33第3項の規定する修正申告の期限を経過してされたものであり,また,同法53条28項及び321条の8第28項に規定する「法人税額を納付すべき日」とは,国税通則法35条2項2号により,更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1箇月を経過する日と定められているので,本件において「法人税額を納付すべき日」は同年8月31日となるから,本件修正申告は,法人都民税に関しても,地方税法53条28項及び321条の8第28項の規定する申告の期限を経過してされたものである(以上の各点に関し,当事者間に争いはない。 )そうすると,本件において,法人事業税及び法人都民税が,申告書をそれぞれ所定の期限内に提出したこと,又は更正若しくは決定を受けたことによって確定していたということはできず,本件法人税等更正処分を受け,所定の申告書の提出期限後に,原告が旧地方税法53条7項(本件還付決定時においては地方税法 こと,又は更正若しくは決定を受けたことによって確定していたということはできず,本件法人税等更正処分を受け,所定の申告書の提出期限後に,原告が旧地方税法53条7項(本件還付決定時においては地方税法53条27項)及び旧地方税法321条の8第7項(本件還付決定時においては地方税法321条の8第27項)の規定に従い法人事業税及び法人都民税の申告書を提出して本件修正申告を行ったというものであるから,本件修正申告をもって,同法53条28項若しくは321条の8第28項又は72条の33第3項に定める申告又は修正申告ということはできないというべきである。 したがって,本件の法人事業税及び法人都民税に係る過納金は,地方税法17条の4第1項1号には該当せず,同項1号から3号までに掲げる過納金以外の過誤納金であるから,同項4号の定める場合に該当し,また,上記1- 39 -(2)イの申告書,修正申告書等の提出により納付額が確定した地方税に係る過納金でその納付額を減少させる更正により生じたもののうち,減額更正が更正の請求に基づかずにされた場合であり,地方税法施行令6条の15第1項1号の定める場合に該当するから,還付加算金の起算日は,本件減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日というべきである。 (3)原告の主張についてア原告は,①過納金の性質が課税主体と納税者との間における不当利得に類するものであり,納税者に還付する場合には,課税主体が利子に相当するものを納税者に支払うのが衡平にかなうことから還付加算金が定められたこと,民法上の不当利得にあっては受益者が悪意である場合にのみ利得に利息を付して返還の義務を負うものとされていること(民法704条)の2点を踏まえて,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するものであるか,課税庁の行為に っては受益者が悪意である場合にのみ利得に利息を付して返還の義務を負うものとされていること(民法704条)の2点を踏まえて,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するものであるか,課税庁の行為に起因するものであるかによって区別し,基本的には,後者の場合において,かつ,過納が生じたことにつき,課税庁・課税主体に帰責事由を認めることができる期間に限って,還付加算金が発生すると解されるとした上,②法人事業税に関しては,京橋税務署長は,本件法人税等更正処分において収入金額を認定し,それに基づいて所得を算定して法人税を確定したものであり,原告は,京橋税務署長から収入金額を示されたことから,本件修正申告において,その収入金額を基に法人事業税を申告したのであるが,原告が申告納付しなければ,しかるべき時期に処分庁がこの収入金額に従った法人事業税の更正を行うことが当然予想- 40 -される状況にあったから,原告がみずからの判断で収入金額を確定したとはいえず,国が確定した金額に従って申告納付せざるを得なかった,③法,,人都民税に関しては京橋税務署長が本件法人税等更正処分を行ったため都民税の法人税割の課税標準である法人税額が国税官署により一応有効に確定され,原告が申告納付しなければ,しかるべき時期に処分庁がこの法人税額に従った法人都民税の更正を行うことが当然予想される状況にあり,法人事業税と同様,原告は京橋税務署長が本件法人税等更正処分を行った時点で,この法人税額に従った法人都民税の申告納付を事実上余儀なくされていた,④上記①から③を理由に,法人事業税及び法人都民税の修正申告書の提出(本件修正申告)は,地方税法17条の4第1項1号のうち,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3()項の規定により申告書又は修正申告書を提 び法人都民税の修正申告書の提出(本件修正申告)は,地方税法17条の4第1項1号のうち,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3()項の規定により申告書又は修正申告書を提出した場合上記1(2)アの②と同視するのが相当であり,同号を適用して還付加算金の起算日は納付の日の翌日と解すべきであると主張する。 確かに,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項は,過納金が不当利得に類するものであり,民法上の不当利得においては,受益者が悪意の場合にのみ利息を付して利得を返還する義務を負っていることを勘案して定められたものと解される。しかし,その内容は,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するのか,課税庁の行為に起因するのかという実質に着目して還付加算金の起算日を定めたものとはいえず,むしろ,過納に係る地方税の額の確定が課税庁により行われたのか,納税者により行われたのかという形式面に着目し,所要の修- 41 -正を加えた上で,地方税等の額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して画一的形式的に規定したものということができる。このような基準を地方税法に明記したことは,数字による正確な処理を要する課税業務を大量に扱う必要がある上,特に高い公平性が求められる租税行政の特質を考慮すると,相応の合理性を有するものということができる。仮に,このような地方税等の額の確定原因という明確な基準ではなく,課税庁の善意悪意や,過納が生じた原因が専ら課税庁にあるのか納税者にあるのかといった具体的な適用につき判断の分かれ得る基準をもって定めれば,大量の業務を画一的に処理することは困難となり,また,結果として租税行政を公平に行うことができなくなるおそれがあることは明らかである。なお,昭和50年改正によ 判断の分かれ得る基準をもって定めれば,大量の業務を画一的に処理することは困難となり,また,結果として租税行政を公平に行うことができなくなるおそれがあることは明らかである。なお,昭和50年改正によって,地方税法17条の4第1項1号において,同法53条28項,321条の8第28項,72条の33第3項に定める義務修正申告があった場合について,決定,更正等があった場合と同じ扱いをすることとされたのは,形式的にはこれらの義務修正申告によって地方税が確定しているとはいうものの,その申告内容,時期等が課税庁によって定められることが法定されていることに着目してのことであって,実質的衡平を考慮しつつも,形式的画一性を重視する上記の立法の基本方針に沿った改正であるということができる。 そして,上記のような立法の基本方針を踏まえると,地方税法17条の4の規定の解釈適用に当たっては,これを厳格に適用することが要請されているというべきである。とりわけ,同条1項1号のうち義務修正申告に係る部分は,上記のとおり,昭和50年改正において特に付加された部分- 42 -で,しかも,具体的な根拠となる条項を摘記しているもので,このような改正経過及び規定の文言に照らすと,上記の規定により申告書又は修正申告書の提出を義務付けられていない場合についてまで,課税庁が税額を確定した場合と同視したり,類推適用を認めたりすることはできないと解するべきである。 よって,京橋税務署長が本件法人税等更正処分を行ったことにより,京橋税務署長から示された収入金額を基に法人事業税を申告納付せざるを得ず,また,この法人税額に従った法人都民税の申告納付を事実上余儀なくされたことから,原告による申告書の提出(本件修正申告)が,地方税法53条28項,321条の8第28項又は72条の33第3項の規定に ず,また,この法人税額に従った法人都民税の申告納付を事実上余儀なくされたことから,原告による申告書の提出(本件修正申告)が,地方税法53条28項,321条の8第28項又は72条の33第3項の規定により申告書又は修正申告書を提出した場合と同視すべきであるとの原告の主張は採用することができない。 イ原告は,本件修正申告を所定の期限内にしなかったものではあるが,本件法人税等更正処分に従って法人事業税及び法人都民税を申告納付したのであるから,過納金の発生原因は,専ら課税庁・課税主体側にあるということができるにもかかわらず,所定の期限内にした義務修正申告と比較したときに,還付加算金の点において不利益に扱うのは,過納金の発生原因が専ら課税庁・課税主体側にあるときには,不当利得法理に準じて,保有期間の使用利益に当たる利息を返還させようという還付加算金の制度趣旨に反し不合理である,また,このような不利益な取扱いは,還付加算金制度を所定の期限内に修正申告をしなかったことに対する制裁にほかならないが,これでは,修正申告すらしなかった者が還付加算金の恩典を受ける- 43 -こととの対比においても,不公平を著しく助長することになって妥当でないと主張する。 しかし,還付加算金の起算日は,前記のとおり,地方税の確定原因により区分して定められているものであり,原告の主張するように過納が生じた原因が専ら課税庁にあるのか納税者にあるのかといった事情により区分しているものではなく,また,期限を徒過した修正申告について,納税義務者が還付加算金の扱いで義務修正申告よりも不利益に扱われるのは,速やかな修正申告を促す意図で創設された義務修正申告の還付加算金に係る特例が適用されないという当然の結果にすぎず,原告としては,期間内に申告することができたにもかかわらず,その義務 に扱われるのは,速やかな修正申告を促す意図で創設された義務修正申告の還付加算金に係る特例が適用されないという当然の結果にすぎず,原告としては,期間内に申告することができたにもかかわらず,その義務を怠ったことから,このような結果を招来したのであるから,それをもって不合理とまでいうことはできないのであって,原告の上記主張は,失当である。 ウ原告は,法人税等の更正を受け,その更正に従って法人事業税及び法人都民税の申告納付をした場合に,還付加算金の起算日を減額更正のあった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日とすると,法人税等の更正を受けても法人事業税及び法人都民税の申告納付をせずに放置し,法人事業税及び法人都民税について決定を受けてから納付をした場合に,還付加算金の起算日が納付の日の翌日となるのと比べて不公平又は不合理であると主張する。 確かに,原告は,本件法人税等更正処分を受けたことを契機に,東京都中央都税事務所長に対し,法人事業税及び法人都民税について本件法人税等更正処分を基礎として税額を算定して,期限後ではあっても,みずから- 44 -進んで申告納付したにもかかわらず,還付加算金の起算日を一般の申告の場合と同様に扱われ,本件減額更正のあった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日とされたのであるから,申告納付をせずに放置した者との比較において不公平又は不合理であるとする心情は,理解することができないではない。 ,,しかし地方税法17条の4の上記の立法趣旨及びその文言に照らすと同条の解釈適用に当たって原告の主張を採用することができないことは既に説示したとおりである。前記のとおり,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項の規定は,税額の確定が課税庁により行われたのか納税者により行われたの ができないことは既に説示したとおりである。前記のとおり,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項の規定は,税額の確定が課税庁により行われたのか納税者により行われたのかという形式面に着目し,所要の修正を加えた上で,具体的な税額の確定原因に応じて還付加算,,金の起算日を明確に区分して画一的形式的に規定したものでありこれは租税行政を公平に行うべきであるとの要請等に照らして相当の合理性を有するものであるから,法人税等の更正を受けた後に法人事業税及び法人都民税の申告納付をした場合と,申告をせず,法人事業税及び法人都民税の決定を受けた後に納付した場合とで,後者の方が還付加算金の起算日について有利な取扱いを受けることとなるとしても,それは,税額の確定原因が異なるために生じた合理的な区別というべきであり,このような差異があるからといって,公平の実現を阻害するとはいえず,還付加算金の起算日についての前記判断は,何ら左右されるものではない。 エなお,原告は,本件修正申告が地方税法17条の4第1項1号のうち,地方税法53条28項,321条の8第28項又は72条の33第3項の- 45 -規定により申告書又は修正申告書を提出した場合と同視することができないとしても,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する「申告書」とは,納税者が自主的に作成し,提出した場合を指し,本件修正申告のような,本件法人税等更正処分がされたために作成し,提出した場合を含ま,,ないと解すべきであるから本件修正申告については同項2号が適用され還付加算金は,その「納付の日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」を起算日として計算されるべきであると主張する。 しかし,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する申告書について,納税者が自主的に 金は,その「納付の日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」を起算日として計算されるべきであると主張する。 しかし,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する申告書について,納税者が自主的に作成し,提出したものに限るべきであるとの原告の主張は,形式的にも実質的にも何ら根拠のないものであって採用することができないことは明らかであり,本件の過納金について,同号が適用されることは,既に説示したとおりである。 (4)以上のとおりであり,本件の法人事業税及び法人都民税の還付加算金の起算日は,本件減額更正があった日の翌日から起算して1箇月を経過する日の翌日である平成18年11月26日を経過する日の翌日というべきであるから,これと異なる起算日を前提として未払の還付加算金の支払を求める原告の請求は,理由がない。 第4 結論 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担に,,,。 つき行政事件訴訟法7条民訴法61条を適用して主文のとおり判決する東京地方裁判所民事第38部- 46 -杉原則彦裁判長裁判官小田靖子裁判官島村典男裁判官

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