主文 本件上告を棄却する。理由 弁護人山元弘、同杉崎茂の上告趣意は、判例違反をいうが、所論引用の各判例は、本件のような事案について所持罪の成否を具体的に判断しているものではないから、適切でなく、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあたらない。所論にかんがみ、職権により判断すると、銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法にいう所持とは、所定の物の保管について実力支配関係をもつことをいい、たといそれが数分間にとどまる場合であつても、所持にあたるものと解するのが相当である。原判決の判示するところによると、被告人は、拳銃及び実包の買入れ方を依頼され、依頼者の同席する部屋で自分が買主であるかのように振舞つてこれを買い入れた上、売主が帰つた後、廊下に出て右依頼者にこれを手渡したというのである。これによると、被告人が売主から拳銃等を受け取つた後、、これを依頼者に手渡すまでの間は、売主及び依頼者のいずれにも右拳銃等に対する排他的な実力支配関係はなかつたものというべきであるから、これを現実に保管していた被告人にその間の実力支配関係があつたと認めるのが相当である。売買の際、依頼者が同席しており、かつ、被告人が拳銃等を握持していたのが数分間であつたことは、被告人に所持を認める上で障害となるものではない。よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。昭和五二年一一月二九日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官団藤重光- 1 -裁判官岸上康夫裁判官藤崎萬里裁判官本山 - 1 -裁判官岸上康夫裁判官藤崎萬里裁判官本山亨- 2 -
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