- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 浦和税務署長が平成18年3月28日付けでした控訴人の平成16年分所得税の更正処分のうち,総所得金額606万3800円,還付すべき税額112万8380円を超える部分,及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2事案の概要 本件は,控訴人が浦和税務署長に対し,総所得金額を606万3800円,退職所得を100万円,還付すべき税額を112万8380円とする平成16年分所得税の確定申告をしたところ,同税務署長から控訴人に対し,みなし配当所得の申告漏れがあるとして,平成18年3月28日付けで,総所得金額を1億9296万0020円,退職所得を100万円,納付すべき税額を1970万4600円とする旨の更正処分(以下「本件更正処分」という)及び過。 少申告加算税309万9500円を賦課する旨の決定(以下「本件賦課決定処分」という。また,以下本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という)。 がされたため,控訴人が,みなし配当所得は生じておらず,仮に同所得が生じていたとしても,当該所得は非課税所得に該当するから本件更正処分等は違法であると主張して,その取消しを求めた事案である。 争いのない事実等,争点及び争点に対する当事者の主張は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の2ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 ( )原判決8頁1行目の「Aは」の次に「一方的に平成16年7月5日付 ,け本件充当通知書(乙3)を控訴人に送付し」と加える。 ,- 2 -( )原判決9頁12行目の「同取得」を「同収入額」と改める。 ( )原判決9頁26行目 方的に平成16年7月5日付 ,け本件充当通知書(乙3)を控訴人に送付し」と加える。 ,- 2 -( )原判決9頁12行目の「同取得」を「同収入額」と改める。 ( )原判決9頁26行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 本件株式の適正時価客観的な交換価値は9045万0528円 「(),(株2248円(乙16の別添7)×4万0236株)であり,経済的利益2億0701万4220円から,上記金額を控除した後の金額1億1656万3692円は,Aからの債務免除益として,一時所得に該当するが,これも,所得税法9条1項10号により非課税となるのである。株式発行法人が自己株式を時価と著しく乖離した価額で取得した場合の税務上の取扱いが上記のとおりであることは,文献上(甲27,28)からも明らかで,時価と乖離した取引なのか否かについて事実認定し,その結果を受けた適正な課税上の取扱いを適用すべきである」。 ( )原判決13頁24行目の「上記②」を「上記⒜」と改める。 ( )原判決16頁5行目及び6行目を次のとおり改める。 「さらに,みなし配当の支払者であるAは,所得税法181条1項の定めにより源泉徴収義務を負い,源泉徴収税額3737万9200円の納付義務を負うと同時に,控訴人に対して私法上の債権が発生し,控訴人は同額の債務を負担した。所得税法9条1項10号の適否は,本件担保権実行時の現況で判断すべきであり,本件担保権実行と同時に発生する控訴人のAに対する上記債務は,本件担保権実行時の債務である」。 第3当裁判所の判断当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとお,「」「」り付加訂正するほかは原判決 事実及び理由 欄の第3当裁判所の判断のとおりであるから,これを引用する 断当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとお,「」「」り付加訂正するほかは原判決 事実及び理由 欄の第3当裁判所の判断のとおりであるから,これを引用する。 原判決17頁8行目の「認められる」の次に「この点につき,控訴人に。 おいて,Aは,平成16年7月5日付け本件充当通知書(乙3)を一方的に送付してきたのであり,控訴人は本件担保権実行に同意していないと主張す- 3 -るが,上記証拠(乙4)に照らし,同主張は,採用することができない」。 と加える。 原判決17頁17行目から18行目にかけての「以上によれば,浦和税務。」長が本件みなし配当にかかる所得に課税を行うことは適法であるといえるを削る。 原判決17頁24行目及び25行目を次のとおり改める。 「よって,Aによる本件株式の取得が適法にされていないという控訴人の主張は,本件更正処分等の違法の理由となるものではない」。 原判決18頁26行目の次に行を改めて,次のとおり付加する。 「( )なお,控訴人は,本件担保権実行当時の本件株式の適正時価(客観的 な交換価値)は,9045万0528円(1株2248円(乙16の別添))。 ,()7の3頁×4万0236株であると主張するしかし 証拠 乙16によれば,平成16年1月15日当時は,控訴人自身が上記評価(1株2248円)の問題点を指摘してその評価を争い(乙16の別添9,1株)1万2624円であるとの主張をしたことから,Aにおいて,弁護士や税務署とも相談の上,財産評価基本通達に則ってその客観的時価を再評価した結果が1株5599円であったことが認められ(乙16の別添10,)それが客観的時価とは異なる金額であることを認めるに足る証拠はない。 そうすると,本件担保権実行の に則ってその客観的時価を再評価した結果が1株5599円であったことが認められ(乙16の別添10,)それが客観的時価とは異なる金額であることを認めるに足る証拠はない。 そうすると,本件担保権実行の際の1株の評価額5145円は,上記客観的時価と著しく乖離しているとはいえない。したがって,株式発行法人が自己株式を時価と著しく乖離した価額で取得した場合における所得税法上の適法な取扱いいかんを問題とするまでもなく,本件株式の客観的な時価総額が2億0701万4220円と著しく乖離した金額であることを前提とする控訴人の主張は採用することができず,上記のみなし配当額の算定に違法はない」。 原判決19頁17行目の「実際問題として」の次に「その資産を譲渡した- 4 -者は納税資力がないため」と加える。 ,,「(,,,) 原判決21頁15行目の末尾に 証拠 甲6の26の3 によると,Bは,上記期間中,毎年度当期未処分損失を1793万円余りから2371万円余り計上しているものの,平成16年度から平成18年度にかけてその額を減少させていることが認められ,また,証拠(乙30ないし32)によれば,控訴人からの借入金については,平成16年度に2277万円余りであったものが,平成17年度には1700万円,平成18年度には1100万円と減少させていることを考慮すると,上記のような当期未処分損失を計上しているからといって,控訴人のBに対する貸付金が,回収不能であったとは認められない。また,控訴人の出資金については,Bの純資,,産価額を前提とする評価によっては0円となるとしてもBが上記のとおり平成17年度,平成18年度において当期利益を計上している会社であることを考慮すると,所得税法9条1項10号の判断において,控訴人がそのような とする評価によっては0円となるとしてもBが上記のとおり平成17年度,平成18年度において当期利益を計上している会社であることを考慮すると,所得税法9条1項10号の判断において,控訴人がそのような会社に対する出資金を有していることを考慮の対象とすることは違法とはいえない」と付加する。 。 原判決21頁16行目から23行目を次のとおり改める。 「また,控訴人は,みなし配当の支払者であるAは,所得税法181条1項の定めにより源泉徴収義務を負い,源泉徴収税額3737万9200円の納付義務を負うと同時に,控訴人に対して私法上の債権が発生し,控訴人は同額の債務を負担したから,所得税法9条1項10号の適否の判断において,その債務を考慮すべきである旨主張する。 確かに,本件担保権の実行と同時に,何らの特別の手続を要することなくAの源泉徴収義務が成立し,控訴人はAに対し,その源泉徴収税額と同額の債務を負うことになるが,それは,本件担保権実行当時存在していた債務ではなく,本件担保権実行の結果,控訴人が負担するべき所得税法25条1項5号によるみなし配当に対する所得税の一部について,Aが所得- 5 -税法181条1項によって源泉徴収義務を負ったために発生したものである。その課税関係から発生する債務を考慮して所得税法9条1項10号の非課税扱いを認めるならば,担保権実行の際には積極財産を有し課税することが可能で,納税資力があったにもかかわらず,課税関係発生と同時に発生する債務を考慮して,その課税を免れることができるという結果が生。 ,,,ずることになるしかし前記( )のとおり所得税法9条1項10号は 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合における強制換価手続による資産の譲渡の場合は,その資産の所有者が納税資力がないため実際問題 かし前記( )のとおり所得税法9条1項10号は 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合における強制換価手続による資産の譲渡の場合は,その資産の所有者が納税資力がないため実際問題として課税することが困難であることなどから課税しないこととしたものである。そのため,同号は,納税資力があったにもかかわらず課税関係発生と同時に発生する債務を考慮して,その課税を免れるなどということを想定しておらず,これを認めるならば,上記立法趣旨に反することは明らかである。したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない」。 第4 結論 以上によれば,控訴人の本件請求は理由がないから,これと同旨の原判決は相当である。 よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部裁判長裁判官加藤新太郎裁判官柴田秀- 6 -裁判官都築政則
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