令和2年7月22日判決言渡令和元年(ネ)第10084号商標移転登録抹消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(ワ)第28604号)口頭弁論終結日令和2年6月10日判決 控訴人 X訴訟代理人弁護士小田島常芳 被控訴人一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会 訴訟代理人弁護士仲江武史峰岸泉成田周平 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決に従う。) 1 事案の要旨本件は,別紙商標権目録記載の「IoT機器3R協会」の標準文字からなる商標(以下「本件商標」という。)の商標登録(以下,この商標登録に係る商 標権を「本件商標権」という。)を受けた被控訴人が,被控訴人の元専務理事であった控訴人が被控訴人に無断で本件商標権について控訴人名義の別紙移転登録目録記載の移転登録(以下「本件移転登録」という。)を経由したと主張して,控訴人に対し,本件商標権に基づいて,本件移転登録の抹消登録手続を求める事案である。 原審は,被控訴人の請求を認容したため,控訴人がこれを不服として本件控訴を提起した。 2 前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)⑴ 当事者等 訴人の請求を認容したため,控訴人がこれを不服として本件控訴を提起した。 2 前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)⑴ 当事者等ア被控訴人は,平成18年7月4日,パソコン等の中古情報機器に係る事業者の育成,中古情報機器市場の発展等を目的とする有限責任中間法人(名称「有限責任中間法人中古情報機器協会」)として設立され,平成20年12月1日施行の一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団法人法」という。)により有限責任中間法人から移行した一般社団法人(移行時の名称「一般社団法人中古情報機器協会」)であり,理事会設置法人及び監事設置法人である(甲1,2)。 被控訴人は,平成24年5月22日,名称を「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会」に,目的を「情報機器リユース・リサイクル(再資源化)に係わる良質な事業者の育成,情報機器に関係する各事業者の協力による良質なリユース情報機器の認知度向上及び普及活動により我が国リユース情報機器市場の発展を図ること,情報機器のリサイクル推進による我が国への貢献」に変更し,さらに,平成29年5月23日,目的を「情報機器のリユースとリサイクル(再資源化)に係る産業の健全な発展を図るとともに,情報機器のリユースとリサイクルを促進し,我が国の循環型社会発展に貢献すること」に変更した(甲1,2)。 イ控訴人は,被控訴人の設立当初から平成30年3月30日までの間,被控訴人の理事(代表権のない専務理事)兼事務局長の地位にあった者である。 ウ(ア) 控訴人は,平成26年6月16日,情報機器(パソコン・サーバー・携帯電話・スマートフォン等)のリユース及びリサイクル(再資源化)等に関する業務の運営受託等を目的とす あった者である。 ウ(ア) 控訴人は,平成26年6月16日,情報機器(パソコン・サーバー・携帯電話・スマートフォン等)のリユース及びリサイクル(再資源化)等に関する業務の運営受託等を目的とする株式会社オン(以下「オン社」という。)を設立し,その代表取締役に就任した(乙1,31)。 (イ) 被控訴人とオン社は,平成26年6月17日付け経営委託契約書(乙19)を作成して,被控訴人がオン社に対し,被控訴人が実施する情報機器リユース・リサイクル協会事務局運営に関する事項等の業務を委託し,被控訴人の定時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月分は月額111万2500円,平成27年1月分から4月分は月額112万3500円)を支払う旨の経営委託契約を締結した。 ⑵ 本件商標の商標登録及び移転登録の経緯についてアオン社は,平成28年11月25日,本件商標の商標登録出願(商願2016-133683号。以下「本件出願」という。)をした(乙2の2,3)イオン社は,平成29年7月12日頃,被控訴人に対し,本件出願により生じた権利(以下「本件登録前権利」という。)を譲渡し,同月13日,オン社から被控訴人へ出願人名義を変更する旨の出願人名義変更届が特許庁に提出された(乙6,7の1ないし3)。 ウ被控訴人は,平成29年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権の設定登録)を受けた(甲9)。 エ本件商標権について,被控訴人から控訴人への本件移転登録(受付日平成29年9月14日)が経由された。 本件移転登録の登録申請書には,譲渡人を被控訴人,譲受人を控訴人と する控訴人及び被控訴人作成名義の同年9月11日付け「譲渡証書(付:単独申請承諾書)」(以下「本件譲渡証書」という。甲4)が添付された。 本件譲渡証書の被控訴人名下 訴人,譲受人を控訴人と する控訴人及び被控訴人作成名義の同年9月11日付け「譲渡証書(付:単独申請承諾書)」(以下「本件譲渡証書」という。甲4)が添付された。 本件譲渡証書の被控訴人名下には被控訴人の代表者印が押印されている。 3 争点⑴ 本件移転登録の登録保持権原の有無(争点1)⑵ 本件移転登録の登録保持権原に係る理事会の承認又は決議の要否(争点2-1)⑶ 被控訴人による理事会の承認又は決議の欠缺を理由とする無効主張の信義則違反の有無(争点2-2)⑷ 本件請求の権利濫用の成否(争点3)(当審における控訴人の追加主張) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件移転登録の登録保持権原の有無)について(控訴人の主張)ア被控訴人とオン社は,平成29年8月22日,本件登録前権利の譲渡に係る契約を合意解除し,被控訴人がその原状回復義務の履行として本件商標権を控訴人に移転する旨の合意(以下「本件返還合意」という。)をし,本件返還合意に基づいて,本件商標権について被控訴人から控訴人への本件移転登録が経由された。 本件返還合意及び本件移転登録は,以下のとおり,被控訴人の代表理事のAの指示により行われた。 被控訴人の代表理事の適格性をめぐる被控訴人内部での争いが発生していた平成28年10月頃,当時被控訴人の副代表理事であったAらによる新団体設立構想の検討を進める中で,控訴人が新団体で使用する名称として本件商標を発案し,控訴人が代表取締役を務めるオン社を出願人として本件出願をした。その後,控訴人は,平成29年7月13日,同年5月23日に被控訴人の代表理事に就任したAの指示に従い,本件登録前権利を オン社から被控訴人へ譲渡し,同年8月10日,被控訴人が本件商標の商標 その後,控訴人は,平成29年7月13日,同年5月23日に被控訴人の代表理事に就任したAの指示に従い,本件登録前権利を オン社から被控訴人へ譲渡し,同年8月10日,被控訴人が本件商標の商標登録を受けた。ところが,Aは,代表理事に就任したばかりであり,被控訴人が本件登録前権利の譲渡及び本件商標の商標登録を受けたことについて理事会に上程しておらず,A以外の理事は認識していない状況にあり,他の理事にうまく説明できなかったことから,収まったばかりの被控訴人内部の争いが再燃することをおそれて,同月22日の理事会後,被控訴人事務局において,控訴人に対し,本件商標を控訴人に戻す旨を述べて,本件返還合意及び本件移転登録の指示をした。 イ仮に被控訴人とオン社間の本件返還合意の成立が認められないとしても,被控訴人は,平成29年8月22日,控訴人に対し,本件商標権を無償で譲渡(以下「本件譲渡」という。)し,本件譲渡に基づいて,本件商標権について被控訴人から控訴人への本件移転登録が経由された。 本件譲渡及び本件移転登録は,前記アの経緯により,被控訴人の代表理事のAの指示により行われた。 (被控訴人の主張)被控訴人とオン社間の本件返還合意及び被控訴人と控訴人間の本件譲渡の事実は,いずれも否認する。 本件移転登録は,被控訴人の専務理事兼事務局長の控訴人が事務局で保管されていた被控訴人の代表者印を無断で使用して作成した本件譲渡証書(甲4)によって経由されたものであり,被控訴人の代表理事のAが控訴人主張の指示を行った事実は存在しない。 本件移転登録の当時,被控訴人が本件商標と同一又は類似の名称に変更する可能性が具体的に存在し,また,被控訴人が本件商標の権利者となることにより,第三者が本件商標と同一又は類似の商標,名称等を使用 本件移転登録の当時,被控訴人が本件商標と同一又は類似の名称に変更する可能性が具体的に存在し,また,被控訴人が本件商標の権利者となることにより,第三者が本件商標と同一又は類似の商標,名称等を使用することを防止することができることから,本件商標は被控訴人にとって価値のあるものであった。 ⑵ 争点2-1(本件移転登録の登録保持権原に係る理事会の承認又は決議の要否)について次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の4⑴に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決3頁25行目のAをAと改める。 イ原判決4頁3行目の「すなわち」から5行目末尾までを削る。 ⑶ 争点2-2(被控訴人による理事会の承認又は決議の欠缺を理由とする無効主張の信義則違反の有無)について次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の4⑵に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決4頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 また,控訴人は,Aの指示に従い,対価を期待して,本件登録前権利を被控訴人の実費負担で譲渡したが,被控訴人が負担した実費相当額(出願人名義変更手数料等1万4087円)は被控訴人に返金し,被控訴人から対価の支払を受けることができないまま,本件譲渡により本件商標権が控訴人に戻っただけであるから,控訴人には何らの利得はない。 他方で,本件商標は,被控訴人の名称と異なる別団体の名称を示すものであるが,被控訴人は,設立以来,「RITEA(リテア)」(Refurbished(Reused)& RecycleInformationTechnologyEquipmentAssociation)の通称で情報機器のリユース・リサイクル業界をけん引してきた業界団体であり,その通称 d)& RecycleInformationTechnologyEquipmentAssociation)の通称で情報機器のリユース・リサイクル業界をけん引してきた業界団体であり,その通称は,業界の内外を問わず,高いブランド力と認知度があったから,被控訴人にとって別団体の名称を示す本件商標は無価値であり,本件譲渡による損失はない。 したがって,本件譲渡によって,控訴人と被控訴間に実質的な利益相反は生じていない。」イ原判決5頁5行目末尾に行を改めて次のとおり加える。 「 平成29年7月25日開催の被控訴人の理事会では,IoT関連分野の取込みが可能か否かの協議を始めることが決められたにすぎず,本件譲渡がされるまでの間,更には控訴人が理事を解任された平成30年3月30日までの間,かかる協議が行われたことは一度もない。 また,控訴人が作成した平成29年7月21日付けの「今後の当協会の方向性と取り組みについて(案)」と題する資料(乙29)は,A以外の理事に配布したことはない。 したがって,A以外の理事は,平成30年3月30日までの間,本件商標の商標登録の存在すら認識していなかった。 カ以上によれば,被控訴人が,本件譲渡が「理事が自己のためにする一般社団法人」との取引(利益相反取引)(一般社団法人84条1項2号)又は「重要な財産の処分」(同法90条4項1号)に該当し,理事会の承認又は決議の欠缺を理由に本件譲渡の無効を主張することは,信義則に反して許されないというべきである。」⑷ 争点3(本件請求の権利濫用の成否)(当審における控訴人の追加主張)(控訴人の主張)ア被控訴人は,本件商標を使用したことは一度もなく,今後も,本件商標を使用する具体的な予定すらない。これは,被控訴人は,設立以来13 当審における控訴人の追加主張)(控訴人の主張)ア被控訴人は,本件商標を使用したことは一度もなく,今後も,本件商標を使用する具体的な予定すらない。これは,被控訴人は,設立以来13年以上にわたって「RITEA(リテア)」という通称を使用し続けており,「RITEA(リテア)」という通称に係る文字及び呼称により生じた社会的信用を活かすことと「IoT機器3R協会」の文字からなる本件商標を使用することは両立し得ないためである。 イ控訴人は,平成30年4月10日,IoT対応製品の3R(リユース,リサイクル及びリデュース)等を目的とする「一般社団法人IoT対応3R協会」(以下「控訴人新法人」という場合がある。)を設立し,平成31年4月1日,名称を「一般社団法人IoT3R協会」に変更した。控訴 人新法人において,例えば,同種団体と合併等を行うこととなった場合には,本件商標を使用する可能性が十分にある。 この間の平成30年5月30日頃,被控訴人は,控訴人に対し,控訴人がした「IoT対応3R」の商標等の商標登録出願の取下げ又はこれらの商標権の被控訴人への無償譲渡,控訴人新法人の名称の使用停止及び解散を請求(乙21)した。 ウ以上のとおり,被控訴人においては本件商標の使用実態が全くなく,かつ,使用の予定を立てようがないのであるから,被控訴人が控訴人に対して本件移転登録の抹消登録手続を求める本件請求は,本件商標権の禁止権により本件商標と類似の標章の使用を禁じることのみを目的とするものであり,権利の濫用として許されないというべきである。 (被控訴人の主張)控訴人の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実と証拠(甲1ないし6,8ないし10,12ないし16,乙11ないし2 である。 (被控訴人の主張)控訴人の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実と証拠(甲1ないし6,8ないし10,12ないし16,乙11ないし23,25ないし37,39ないし49(枝番があるものは枝番を含む。),証人A,控訴人本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 ⑴ア被控訴人は,平成18年7月4日,パソコン等の中古情報機器に係る事業者の育成,中古情報機器市場の発展等を目的とする有限責任中間法人(名称・「有限責任中間法人中古情報機器協会」)として設立された後,平成20年12月1日に有限責任中間法人から一般社団法人へ移行し,平成24年5月22日,名称を「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会」に変更した。被控訴人は,その設立以来,「RITEA」の通称で,事業活動を行っている(乙39)。 被控訴人は,パソコン等の情報機器のリユース・リサイクルに関連する事業等を行う事業者を会員(正会員,準会員等)とし,正会員をもって社員としている。正会員は,使用済み情報機器の買取り,販売,輸出等のリユース・リサイクル取扱事業者,情報機器のデータ消去ソフトのソフトウェアメーカー等で構成され,理事は正会員会社の取締役以上から,代表理事は正会員会社の代表取締役から選任されていた。 イ控訴人は,被控訴人の設立当初から平成30年3月30日に解任されるまでの間,被控訴人の専務理事兼事務局長の地位にあった。被控訴人の代表者印は,事務局で保管されていた。 ウ控訴人は,平成26年6月16日,オン社を設立し,その代表取締役に就任した。また,控訴人は,オン社の一人株主である。 被控訴人とオン社は,同月17日付け経営委託契約書(乙19)を作成して,被控訴人がオン社に対し 26年6月16日,オン社を設立し,その代表取締役に就任した。また,控訴人は,オン社の一人株主である。 被控訴人とオン社は,同月17日付け経営委託契約書(乙19)を作成して,被控訴人がオン社に対し,被控訴人が実施する情報機器リユース・リサイクル協会事務局運営に関する事項等の業務を委託し,被控訴人の定時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月分は月額111万2500円,平成27年1月分から4月分は月額112万3500円)を支払う旨の経営委託契約を締結した。 ⑵ア Bは,平成27年5月19日,被控訴人の代表理事に就任した後,平成28年5月頃出身母体の正会員会社の代表取締役及び取締役を退任したが,退任後も被控訴人の代表理事に留まっていることが判明したことを契機として,同年10月18日に開催された被控訴人の理事会(乙5)において,Bの代表理事としての適格性の件の議案について審議がされた。 控訴人は,事務局長の立場でBの代表理事資格に問題があることを報告しようとしたが,報告は中止となり,最終的には,Bは平成29年5月の任期終了まで代表理事に留まること,代表理事の選出や会の運営等に関して「改善改革委員会(仮称)」で協議し,理事会で決定することの決議が された。その審議の際,副代表理事のAを含む複数の理事が,Bが代表理事に留まることについて反対の意見を表明した。 一方で,Bは,その当時,事務局長の被控訴人の給料が高額であることや,代表理事が直接関与することなく決算報告書が作成されるなど事務局における代表者印の取扱いを問題視していた。 イ(ア) 控訴人は,平成28年11月ころ,Aを中心に新団体(一般社団法人)を設立することを構想し,新団体の名称として「IoT機器3R協会」を発案した。 オン社は,同月25日,弁理士を代 イ(ア) 控訴人は,平成28年11月ころ,Aを中心に新団体(一般社団法人)を設立することを構想し,新団体の名称として「IoT機器3R協会」を発案した。 オン社は,同月25日,弁理士を代理人として,「IoT機器3R協会」の標準文字からなる本件商標の商標登録出願(本件出願)をした。 その後,オン社は,同年12月1日,上記弁理士に対し,本件出願の出願手数料及び特許印紙代として合計7万9274円を支払った。 (イ) 控訴人は,平成28年11月28日,A及び理事のCに対し,控訴人作成の「一般社団法人電子機械機器3R協会」の活動目的のご報告(案)」と題する書面(乙2の1の7~8枚目)を添付して,本文に控訴人が同月25日に経済産業省情報通信課に説明に行き,新団体の名称を「一般社団法人電子機械機器3R協会」とすることについて同意を得た旨を記載したメールを送信した。 上記書面の「1.目的」には,「当協会は,パソコン等の情報機器の3R,特にリユース・リサイクルの推進を目的に平成18年に設立した「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会」(RITEA)の10年間の活動実績を踏襲しながら一層の発展拡大をめざし,情報機器・通信機器を含む電子機器,家庭用電気機器,産業用機械機器等を総称として「電子機械機器?」と名付け,電子機械機器の3Rの推進対応をめざして平成29年4月に設立を行う団体です。」,「当協会は,個人情報・企業情報等のデータ消去・破壊等のセキュリティ対策の実施を 前提に,特にいわゆるパソコン機能を内蔵しているモノの普及が拡大している電子機械機器の3Rの推進による我が国への貢献を目的とします。」などの記載がある。 (ウ) Aは,平成28年11月29日,控訴人に対し,前記(イ)の書面に関し,「協会名について下記の いる電子機械機器の3Rの推進による我が国への貢献を目的とします。」などの記載がある。 (ウ) Aは,平成28年11月29日,控訴人に対し,前記(イ)の書面に関し,「協会名について下記の案では如何ですか?それとも直りませんか?電子機械機器→電子機械・機器もしくは電子機器機械でどうでしょう。」などと記載したメール(乙2の1の6枚目)を返信した。 また,Cは,同日,控訴人に対し,前記(イ)の書面に関し,「一点,RITEAの名前を出していること及び10年の活動実績を踏襲というところが,新たな協会とRITEAとの関係性を示すものであり,後々問題になりはしないかと危惧しますが,それ以外,現時点で役所に対する説明はこの程度でよいというのであれば,特に意見はございません。」,「私,個人的にはXさんの進める新たな協会の設立および参加に賛同したいと思いますが,会社役員の立場として考えた場合,この設立目的ではRITEAを脱会して新たな協会に参加するメリットもしくは必然性を感じ得ません。」,「加えて,現時点で,Xさんの進退を含め,道を狭める必要はない(新たな協会を4月に設立ありきとの一本で考えないほうが良いのでは)とも思います。」などと記載したメール(乙2の1の9枚目)を返信した。 ⑶ア平成29年4月20日に開催された被控訴人の理事会(乙28)において,役員の資格(理事は正会員会社の取締役以上,代表理事は正会員会社の代表取締役)を定める規定(乙25の29条)を新設する定款変更の議案が可決され,Bは,Bの出身母体の正会員会社は次期の理事を辞退し,Bは代表理事を退任する旨を表明した。 同年5月23日に開催された被控訴人の定時社員総会において,定款変更の決議などのほかに,Aを代表理事に選任する旨の決議がされた。 イ控 辞退し,Bは代表理事を退任する旨を表明した。 同年5月23日に開催された被控訴人の定時社員総会において,定款変更の決議などのほかに,Aを代表理事に選任する旨の決議がされた。 イ控訴人は,平成29年7月11日,代表理事のAに対し,控訴人の個人会社であるオン社名義で本件出願をした旨を伝えたところ,Aは,オン社名義で本件商標の商標登録をすることは控訴人の事務局長の立場として後々に問題となるなどと述べた。 オン社は,同月12日頃,オン社を譲渡人,被控訴人を譲受人とする同月12日付け譲渡証書(乙6)を作成して,被控訴人に対し,本件出願により生じた権利(本件登録前権利)を譲渡した。 被控訴人は,同月13日,弁理士に委任して,本件出願の出願人名義をオン社から被控訴人へ変更する旨の出願人名義変更届(乙7の2)を特許庁に提出した(乙7の3)。 同月25日,被控訴人の預金口座から上記弁理士に対し,上記出願人名義変更に係る名義変更手数料及び特許印紙代として合計1万3979円が支払われた(甲15の1,乙8)。 ウ控訴人は,平成29年7月21日付けの「今後の当協会の方向性と取組みについて(案)」と題する資料(乙29)を作成し,Aに交付した。同資料には,以下のような記載がある。 (ア) 「協会活動についての今後の方針について(案)」「当協会は,平成18年7月の設立以来,情報機器=パソコンを中心としたリユース・リサイクルに特化した活動を展開してきましたが,最近では,モバイル機器に代表されるように,「インターネット機能を有するすなわち「パソコン機能を内蔵するもの」」の機器・機械が多分野で製品化され拡大しています。」,「これを意味する言葉がIoT(InternetofThings)対応機器(IoT機器)ですが,もはやはやりの言葉の領 機能を内蔵するもの」」の機器・機械が多分野で製品化され拡大しています。」,「これを意味する言葉がIoT(InternetofThings)対応機器(IoT機器)ですが,もはやはやりの言葉の領域を超えていると思われ,当協会としても積極的に対応すべき時代になったと考えています。」,「今後の方向性」として,「①現状最も大きいビジネスである「リユースパソコン」市場等,既存の「単 体装置」ビジネスは維持・拡大。②IoT動向を考慮し,取扱い機器を拡大。・現行の「情報機器」→「インターネット機能を有するすなわち「パソコン機能を内蔵するもの」の機器・機械 ③低価格である「リユース機器を活用・組み合わせたソリューション・サービス事例形態の普及。・ネットワークからみでのデータ消去やAP等についてノウハウを有する事業者との協力関係の構築が必要。」(13枚目)(イ) 「名称変更時の協会名イメージ」「・以下の名称等を候補としてご提案を申し上げます。知名度があるRITEAの名称は,今後も使用。 機械関係の取扱いの場合は,名称に「機械」の名称の追記も必要として検討。 ①電子機器機械3R協会(××3R・RITEA®)(××3RA・RITEA®)②IoT対応機器機械3R協会(×××3R・RITEA®)(×××3RA・RITEA®)※ なお,IoTからみの商標申請が多数発生しているため,抑えとして最もシンプルな名前の「IoT機器3R協会」の名称については申請中」(20枚目)⑷ア平成29年7月25日に開催された被控訴人の理事会(乙9)において,「協会における今後の課題(案)について」と題する議案の審議がされ,委員長をD副代表理事,委員をC理事ほか4名の理事とする委員会を開設し,委員会が被控訴人の「知名度の向上(対外的要因)」と「 いて,「協会における今後の課題(案)について」と題する議案の審議がされ,委員長をD副代表理事,委員をC理事ほか4名の理事とする委員会を開設し,委員会が被控訴人の「知名度の向上(対外的要因)」と「協会内部充実(対内的要因)について検討し,理事会へ報告する旨の決議がされた。 上記議案の資料(乙10)中の「1)知名度の向上(対外的要因)」の項目には,「案2」として「情報機器リユース,リサイクルと言う限定した範囲の中だけでなくIoTに関連した分野の取り込みが可能か?を協議 する。」,「案3」として「異業種,他業界との連携ができるか?を協議する。(リース業界,情報機器販社,機械業界,建設業界,家電業界,等)」,「案4」として「上記2案,3案に付いて,可能ならば協会名を変更する。」などの記載がある。 上記委員会の名称は,「RITEA運営実行委員会」とされた。 イ被控訴人は,平成29年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権の設定登録)を受けた。 ウ平成29年8月22日に開催された被控訴人の理事会(乙11)において,「RITEA運営実行委員会合意事項承認の件」の議案について審議がされ,可決された。上記理事会で承認されたRITEA運営実行委員会の合意事項(乙12)は,次のとおりである。 「合意事項① 定款の変更法務局からの指摘事項の変更(署名方法)専務理事が事務局長を兼務することを削除事務局長の任免を社員総会決議から理事会決議に変更② 事務局の体制の枠組みを作り,その中で事務局を運営する給与体系の制定(同時に外注形式の撤廃)退職年齢の制定年間スケジュールと事務局の業務の明確化③ そ 制の枠組みを作り,その中で事務局を運営する給与体系の制定(同時に外注形式の撤廃)退職年齢の制定年間スケジュールと事務局の業務の明確化③ その他(略)」⑸ア控訴人は,平成29年8月25日頃までに,本件出願手続をした弁理士に対し,本件商標を控訴人名義に変更する手続に必要な書類の作成を依頼し,上記弁理士は,同月25日,控訴人に対し,本件商標の登録証とともに,名義変更手続に必要な委任状及び譲渡証書を送付した(乙13)。 上記弁理士は,同年7月14付けの被控訴人あての登録査定に係る納付 手数料及び特許印紙代の合計4万2579円を請求額とする請求書(乙14)を作成して,控訴人に送付したが,控訴人の指示により請求先を控訴人個人とした同日付けの同内容の請求書(乙3)を改めて作成し,控訴人に送付した。 控訴人は,同年8月31日,上記請求額の支払をした。 イ控訴人は,被控訴人の事務局で保管されていた被控訴人の代表者印を用いて,前記アの「譲渡証書」の譲渡人欄の被控訴人名下に被控訴人の代表者印を押印するなどして,譲渡人を被控訴人,譲受人を控訴人とする平成29年9月11日付けの本件商標権の「譲渡証書(付:単独申請承諾書)」(本件譲渡証書。甲4)を作成した。 控訴人の代理人の弁理士は,本件譲渡証書を原因証書として,本件商標権の移転登録申請(甲5)をした。 本件商標権について,被控訴人から控訴人への本件移転登録(受付日同月14日)が経由された。 ウ控訴人は,平成29年9月19日,本件登録前権利の移転に伴う手数料及び振込手数料(合計1万4087円)に相当する金額を被控訴人の預金口座に入金した(甲15の2,乙17)。 ⑹ア平成29年11月15日,RITEA運営実行委員会で協議がされ 権利の移転に伴う手数料及び振込手数料(合計1万4087円)に相当する金額を被控訴人の預金口座に入金した(甲15の2,乙17)。 ⑹ア平成29年11月15日,RITEA運営実行委員会で協議がされた。 その協議事項は,「ON社との業務委託契約の解除(民法651条)」,「事務局の給与について上限600万円とし支給額は理事会で個別に決定する」,「代表理事の印鑑の適正な保管(定款では,事務局が管理)現状はX氏の個人管理×」などであった(乙19の9枚目)。 イ控訴人は,平成29年11月16日,「IoT3R」の標準文字からなる商標について商標登録出願(商願2017-151031号)をした(乙19の10枚目)。 ウ平成29年12月12日に開催された被控訴人の理事会において,オン 社と被控訴人との間の経営委託契約を解除し,事務局の給与の上限を年600万円とする旨の決議がされた(乙19の2枚目,9枚目)。 エ控訴人は,平成30年2月ころ,被控訴人の会員に対し,被控訴人を退会し,設立準備中の新団体への入会を勧誘する旨の資料(「今後の活動の方向性について(案)(「残された個人・企業情報の消去破壊を前提としたIoT対応製品でのリユース・リサイクル促進」平成30年2月準備会)を配付した(乙19の12枚目ないし19枚目)。 被控訴人らの理事らは,同年3月6日頃,控訴人に対し,被控訴人の会員の連絡先等に関する資料や被控訴人の代表者印をA代表理事に引き渡すよう求めたが,控訴人は,これを拒絶した(乙19の1枚目ないし3枚目)。 オ平成30年3月30日に開催された被控訴人の臨時社員総会において,控訴人を専務理事兼事務局長から解任する旨の決議がされた。 ⑺ア控訴人は,平成30年4月10日,「一般社団法人IoT対応3R協会」(その 0年3月30日に開催された被控訴人の臨時社員総会において,控訴人を専務理事兼事務局長から解任する旨の決議がされた。 ⑺ア控訴人は,平成30年4月10日,「一般社団法人IoT対応3R協会」(その後平成31年4月1日に「一般社団法人IoT3R協会」に名称変更)(控訴人新法人)を設立し,同年5月21日,その代表理事となった(乙49)。 イ被控訴人の代理人弁護士は,平成30年5月30日付け内容証明郵便(乙21)で,控訴人に対し,本件商標権に基づいて,本件移転登録の抹消,本件商標及びこれに類似する商標,商号,名称その他の表示の使用の停止,「IoT3R」,「IoT対応3R等」の商標の商標登録出願の取下げ又は被控訴人への無償譲渡,控訴人新法人の活動停止及び解散等を求める旨の請求をした。 ウ被控訴人は,平成30年9月5日,原審に本件訴訟を提起した。 2 争点1(本件移転登録の登録保持権原の有無)について⑴ 控訴人は,平成29年8月22日,被控訴人の当時の代表理事のAの指示により,被控訴人とオン社は,本件登録前権利の譲渡に係る契約を合意解除 し,被控訴人がその原状回復義務の履行として本件商標権を控訴人に移転する旨の合意(本件返還合意)をし,本件移転登録は,本件返還合意に基づいて経由された旨主張するので,以下において判断する。 ア控訴人の原審における供述(乙31の陳述書を含む。以下同じ。)中には,①平成29年8月22日,専務理事が事務局長を兼務することを定めた定款規定の削除,事務局の給与体系の制定,退職年齢の制定等のRITEA運営実行委員会の合意事項の承認決議がされた被控訴人の理事会が終了した後,他の理事と一緒に外出したAが,10分ないし15分後にトイレを借りに被控訴人の会議室に一人で戻って来た,②控訴人は,その際,A 営実行委員会の合意事項の承認決議がされた被控訴人の理事会が終了した後,他の理事と一緒に外出したAが,10分ないし15分後にトイレを借りに被控訴人の会議室に一人で戻って来た,②控訴人は,その際,Aに対し,本件商標の取扱いについて理事会にどうして上程してくれなかったのかと問い掛けたところ,Aは「使わなくなった」旨答えたので,「それでしたら商標を返してください」と言ったところ,Aは,「Xさんに返します。ただし,その費用については,RITEAでは払えない」旨述べたので,「それではすぐに私のものに商標を戻させてください」,「そういう行動をします」旨述べた,③Aが「使わなくなった」旨述べのは,Aが被控訴人の理事に本件商標についていろいろと説明したが,相手の理事がAの説明を理解できなくて,了解を得られなかったという意味であると思った,④控訴人とAが二人で話をした時間は2,3分であり,話が終わった後,控訴人の手帳に備忘録をとった旨の供述部分(以下「控訴人の本件供述部分」といい,それぞれの供述部分を番号に応じて「控訴人の本件供述部分①」などという。)がある。控訴人の本件供述部分に沿うように,控訴人の手帳(乙24)の2017年8月22日の欄には「15:00理事会 Aさんと商標戻しに関する打合せ」との記載がある。また,Eの陳述書(乙30)中には,平成21年4月1日から平成30年3月31日までの間,被控訴人の事務局に在籍していたEは,平成29年8月22日の理事会が終わってから15分くらい経過した後,Aが「トイレを借りるよ」 といって戻って来たので,「はいどうぞ」と答えた,トイレから出たAは,会議室で控訴人と話していたようであった旨の記載部分がある。 しかしながら,他方で,証人Aの原審における供述(甲12の陳述書を含む。)中には,Aは,平成29 いどうぞ」と答えた,トイレから出たAは,会議室で控訴人と話していたようであった旨の記載部分がある。 しかしながら,他方で,証人Aの原審における供述(甲12の陳述書を含む。)中には,Aは,平成29年8月22日の理事会が終わった午後4時半頃,F理事及びC理事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プリンスホテルに向かい,午後8時頃まで同ホテルで3人で飲んでいた,Aが被控訴人の事務所を出た後,事務所に戻ったことはなく,控訴人と話をしたこともない旨の供述部分がある。 また,Cの陳述書(甲13)中には,上記理事会終了後,Cは,A及びFと一緒に,被控訴人の事務所を出て,徒歩で東京プリンスホテルに行き,同ホテルで午後8時頃まで飲んでいたが,3人が被控訴人の事務所のビルを出た後,Aがいったん事務所に引き返したことも,ホテルに到着した後にしばらく席をはずしたこともない旨の記載部分がある。 そこで検討するに,証人Aの上記供述部分及びCの陳述書の上記記載部分によれば,Aは,平成29年8月22日に開催された被控訴人の理事会が終了した後,F理事及びC理事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プリンスホテルに向かい,同ホテルで午後8時頃まで飲酒したことが認められる。 しかるところ,当時被控訴人の事務所が入っていた「ジー・イー・ジャパンビル」から東京プリンホテルまでの距離は約600m,徒歩約7分であること(乙37),東京プリンスホテルでトイレを利用することに支障があったことをうかがわせる証拠はないことに照らすと,F理事及びC理事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プリンスホテルに向かったAが,「10分ないし15分後にトイレを利用するために一人で事務所に戻った」旨の控訴人の本件供述部分①は,いかにも不自然である。また,同様に,控訴人の本件供述部分①に沿うEの陳述書の上 ルに向かったAが,「10分ないし15分後にトイレを利用するために一人で事務所に戻った」旨の控訴人の本件供述部分①は,いかにも不自然である。また,同様に,控訴人の本件供述部分①に沿うEの陳述書の上記記載部分も不自然で ある。 イ(ア) 次に,前記1の認定事実によれば,①控訴人は,被控訴人の設立当初から平成30年3月30日までの間,被控訴人の専務理事兼事務局長の地位にあり,事務局で保管されていた被控訴人の代表者印を管理していたこと,②控訴人が代表取締役を務め,その一人株主であるオン社と被控訴人は,平成26年6月17日付けで,被控訴人がオン社に対し,被控訴人が実施する事務局運営に関する事項等の業務を委託し,被控訴人の定時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月分は月額111万2500円,平成27年1月分から4月分は月額112万3500円)を支払う旨の経営委託契約を締結したこと,③オン社は,平成28年11月25日,「IoT機器3R協会」の標準文字からなる本件商標の商標登録出願(本件出願)をしたこと,④控訴人は,平成29年7月11日,同年5月23日に被控訴人の代表理事に選任されたAに対し,控訴人の個人会社であるオン社名義で本件出願をした旨を伝えたところ,Aは,オン社名義で本件商標の商標登録をすることは控訴人の事務局長の立場として後々に問題となるなどと述べたこと,⑤オン社は,同年7月12日頃,被控訴人に対し,本件出願により生じた権利(本件登録前権利)を譲渡し,同月13日,オン社から被控訴人へ出願人名義を変更する旨の出願人名義変更届が特許庁に提出されたこと,⑥被控訴人は,同年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権の設定登録)を受けたこと,⑦同月22日に開催された被控訴人の理事会において,専務理事が事務局長を兼務すること が特許庁に提出されたこと,⑥被控訴人は,同年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権の設定登録)を受けたこと,⑦同月22日に開催された被控訴人の理事会において,専務理事が事務局長を兼務することを定めた定款規定の削除,事務局の給与体系の制定,退職年齢の制定などを内容とするRITEA運営実行委員会の合意事項を承認する決議がされたこと,⑧本件商標権について,受付日を同年9月14日として,被控訴人から控訴人への本件移転登録が経由されたこと,⑨控訴人は,本件移転登録前の同年8月31日,本件商 標の登録査定に係る納付手数料及び特許印紙代(合計4万2579円)を弁理士に支払い,また,本件移転登録後の同年9月19日,被控訴人の預金口座から弁理士に支払われた本件出願の名義変更に係る名義変更手数料,特許印紙代及び振込手数料(合計1万4087円)に相当する金額を被控訴人の預金口座に入金したことが認められる。 上記認定事実によれば,控訴人は,平成29年8月22日に開催された被控訴人の理事会において,専務理事が事務局長を兼務することを定めた定款規定の削除,事務局の給与体系の制定,退職年齢の制定などを内容とするRITEA運営実行委員会の合意事項を承認する決議がされたことにより,定款変更により専務理事と事務局長の兼務を禁止することなどが被控訴人の理事会の方針として決まったものと認識し,定款変更の総会決議がされた時点で専務理事兼事務局長に留まることはできないものと理解したものと認められる。また,控訴人の供述中には,上記理事会において,D理事から,定款変更の件については,同年9月に臨時社員総会を開催して審議する予定である旨の説明を受けた旨の供述部分があることに照らすと,控訴人は,臨時社員総会が開催されて定款変更の審議がされる可能性もあるものと考 更の件については,同年9月に臨時社員総会を開催して審議する予定である旨の説明を受けた旨の供述部分があることに照らすと,控訴人は,臨時社員総会が開催されて定款変更の審議がされる可能性もあるものと考えたものと認められる。 しかるところ,控訴人の本件供述部分②は,控訴人がAに対し本件商標の取扱いについて理事会にどうして上程してくれなかったのかと問い掛けた際に,Aが,「使わなくなった」,「Xさんに返します。ただし,その費用については,RITEAでは払えない」旨述べたというものであり,Aが述べたとする発言内容自体,具体性に乏しく,本件商標の取扱いについて理事会に上程していない具体的な理由を明確に述べたものと理解することは困難である。 また,控訴人が本件供述部分③で述べる「使わなくなった」旨の発言の意味も,Aが自ら説明したというものではなく,合理的な根拠や裏付 けがあるものではない。 (イ) 一方で,平成29年7月25日に開催された被控訴人の理事会において審議された「協会における今後の課題(案)」と題する議案の資料(乙10)中の「1)知名度の向上(対外的要因)」の項目には,「案2」として「情報機器リユース,リサイクルと言う限定した範囲の中だけでなくIoTに関連した分野の取り込みが可能か?を協議する。」,「案3」として「異業種,他業界との連携ができるか?を協議する。(リース業界,情報機器販社,機械業界,建設業界,家電業界,等)」,「案4」として「上記2案,3案に付いて,可能ならば協会名を変更する。」などの記載があること(前記1⑷ア)に鑑みると,上記理事会が開催された当時,将来的に被控訴人のIoTに関連した分野の取り込みなどをし,可能ならば被控訴人の名称を変更することはRITEA運営実行委員会の検討事項の一つとされていたこ )に鑑みると,上記理事会が開催された当時,将来的に被控訴人のIoTに関連した分野の取り込みなどをし,可能ならば被控訴人の名称を変更することはRITEA運営実行委員会の検討事項の一つとされていたことが認められる。 加えて,被控訴人を商標権者とする本件商標の商標登録がされた同年8月10日からRITEA運営実行委員会の合意事項を承認する決議がされた理事会が開催された同月22日までの間に,控訴人がAに対し商標登録がされたことを報告したことを認めるに足りる証拠はないこと,Aの供述中には,同年7月11日から同年8月22日までの間に,Aが控訴人との間で本件商標について話をしたことはない旨の供述部分があることに鑑みると,Aは,上記理事会が開催された当時,被控訴人が本件商標の商標登録を受けた事実を認識していなかったものと認められる。 これらの事実に照らすと,そもそも,上記理事会の終了後に,Aが控訴人に対し,被控訴人において本件商標を使用する可能性がなくなったという趣旨で,「使わなくなった」旨述べること自体が不自然であり,また,Aが被控訴人の理事に本件商標について説明したが,相手の理事から理解を得られなかったことを理由に,「使わなくなった」旨述べる ことも不自然である。 ウ以上によれば,控訴人の本件供述部分①ないし④は措信することができない。同様に,控訴人の手帳(乙24)中の「15:00理事会 Aさんと商標戻しに関する打合せ」との記載も措信することができない。 また,そもそも,控訴人の本件供述部分②に係るAが述べたとする発言内容から,Aにおいて,被控訴人とオン社が,本件登録前権利の譲渡に係る契約を合意解除し,被控訴人がその原状回復義務の履行として,上記契約の当事者とは異なる控訴人に対し,本件商標権を移転する旨の合意(本 容から,Aにおいて,被控訴人とオン社が,本件登録前権利の譲渡に係る契約を合意解除し,被控訴人がその原状回復義務の履行として,上記契約の当事者とは異なる控訴人に対し,本件商標権を移転する旨の合意(本件返還合意)をするよう指示したものと認めることは困難である。 他に被控訴人とオン社が本件返還合意をしたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人とオン社が本件返還合意をした事実を認めることはできないから,本件移転登録は本件返還合意に基づいて経由されたとの控訴人の前記主張は,採用することができない。 ⑵ 控訴人は,平成29年8月22日,被控訴人の当時の代表理事のAの指示により,被控訴人が控訴人に対し本件商標権を無償で譲渡(本件譲渡)し,本件移転登録は,本件譲渡に基づいて経由された旨主張する。 しかしながら,前記⑴で説示したのと同様の理由により,控訴人の本件供述部分①ないし④は措信することができず,他に本件譲渡の事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑶ 以上によれば,控訴人が本件移転登録について登録保持権原を有するものと認められない。 3 争点3(本件請求の権利濫用の成否)(当審における控訴人の追加主張)について控訴人は,被控訴人には本件商標の使用実態が全くなく,かつ,被控訴人の 「RITEA(リテア)」の通称により生じた被控訴人の社会的信用を活かすことと「IoT機器3R協会」の文字からなる本件商標を使用することは両立し得ないため,被控訴人においては今後も本件商標の使用の予定を立てようがないのであるから,本件請求は,控訴人に対し,本件商標権の禁止権により本件商標と類似の標章の使用を禁じることのみを目的とするものであり,権利の濫用として許されない旨主張する。 使用の予定を立てようがないのであるから,本件請求は,控訴人に対し,本件商標権の禁止権により本件商標と類似の標章の使用を禁じることのみを目的とするものであり,権利の濫用として許されない旨主張する。 しかしながら,①本件請求は,被控訴人が,控訴人に対し,本件商標権に基づいて,本件移転登録の抹消登録手続を求めるものであって,本件商標と類似の標章の使用の禁止を求めるものではないこと,②前記2⑶のとおり,控訴人が本件移転登録について登録保持権原を有するものと認められないから,本件移転登録と実体上の権利との間に不一致が生じており,本件請求を認めずに,このような状態を維持することは,商標権の登録制度の公示機能を損なうこと,③前記1⑷アの認定事実によれば,平成29年7月当時,将来的に被控訴人のIoTに関連した分野の取り込みなどをし,可能ならば被控訴人の名称を変更することは,RITEA運営実行委員会の検討事項の一つとされていたことが認められることに照らすと,被控訴人は,本件商標を現在使用していないが,将来使用する可能性があることを否定できないことに鑑みると,本件請求が権利濫用に当たるということはできず,控訴人の上記主張は採用することができない。 4 結論以上によれば,被控訴人の請求は理由があるから,被控訴人の請求を認容した原判決は結論において相当である。 したがって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官中村恭 裁判官岡山忠広 (別紙) 郎 裁判官中村恭 裁判官岡山忠広 (別紙) 商標権目録 登録番号商標登録第5970463号商標 IoT機器3R協会(標準文字)出願日平成28年11月25日設定登録日平成29年8月10日指定商品第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,電気通信機器具,電話機械器具,有線通信機械器具,搬送機械器具,放送用機械器具,無線通信機械器具,無線応用機械器具,遠隔測定制御機械器具,音声周波機械器具,映像周波機械器具,電気通信機械器具の部品及び附属品,電子応用機械器具及びその部品,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱器・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動閉鎖装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,ガイガー計数器,高周波ミシン,サイクロトン,産業用X線機械器具,産業用ベータ―トロン,磁気探鉱器,磁気探知機,地震探鉱機械器具,水中聴音機械器具,超音波応用測深器,超音波応用探傷器,超音波応用探知機,電子応用扉自動閉鎖装置,電子顕微鏡,家庭用テレビゲーム機おプログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディ せた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライ ドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,タブレット型コンピュータ」指定役務第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告に関するものを除く。),電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保存,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネットセキュリティのためのコンピュータプログラムの作成又は保守に関する情報の提供,通信ネットワークシステムのセキュリティ用プログラムの設計・作成又は保存」 (別紙) 移転登録目録 順位番号甲区2番【特定承継による本権の移転】受付年月日平成29年9月14日受付番号 014690登録権利者 X
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