平成31(行ウ)18 公文書部分公開決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年1月23日 大阪地方裁判所
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判決文本文17,814 文字)

令和2年1月23日判決言渡平成31年(行ウ)第18号公文書部分公開決定処分取消請求事件主文 1 α市消防長が平成30年11月28日付けで原告に対してした公文書部分公開決定(省略)のうち,別紙1「請求認容部分目録」記載の部分を公開しない とした部分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求α市消防長が平成30年11月28日付けで原告に対してした公文書部分公開決定(省略)のうち,別紙2「取消請求対象部分目録」記載の部分を公開しないとした部分を取り消す。 第2 事案の概要 本件は,原告が,α市消防長に対し,α市情報公開条例(平成15年条例第18号。以下「本件条例」という。)5条1項1号に基づき,「平成30年▲月▲日のA小学校ブロック塀の事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」の公開を請求したところ(以下,同請求を「本件公開請求」という。),α市消防長は, 平成30年▲月▲日付けの「救助活動報告書」及び「救急日報(平成30年▲月▲日の覚知時刻8時00分から8時30分の分)」を公開対象文書とし,その一部は,本件条例6条1項1号に該当する非公開情報であるとして全部を公開しない旨の決定(以下「本件決定」という。)をしたため,本件決定のうち,別紙2「取消請求対象部分目録」記載の部分(以下「本件非公開部分」という。) を公開しないとした部分には,非公開事由がないにもかかわらずされた違法があるとして,本件非公開部分を公開しないとした部分の取消しを求める事案である。 1 本件条例の定め(甲2 。) を公開しないとした部分には,非公開事由がないにもかかわらずされた違法があるとして,本件非公開部分を公開しないとした部分の取消しを求める事案である。 1 本件条例の定め(甲2)(1) 2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 1号実施機関市長,教育委員会,選挙管理委員会,公平委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会,公営企業管理者,消防長及び議会を いう。 2号公文書実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム,スライド及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。) であって,実施機関において組織的に用いるものとして管理しているものをいう。ただし,次に掲げるものを除く。(以下略)(2) 5条1項次に掲げるものは,実施機関に対して,公文書の公開を請求することができる。 1号市の区域内に住所を有する者2~5号(略)(3) 6条1項実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号 に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている 場合を除き,公開請求をしたもの(以下「請求者」という。)に対し,当該公文書を公開しなければならない。 1号個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個 人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公開することに 等により特定の個 人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公開することにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 ア法令(条例を含む。以下同じ。)の規定により又は慣行として公にされ, 又は公にすることが予定されている情報イ人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公開することが必要であると認められる情報ウ当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第 103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。),独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。 以下同じ。)の役員及び職員並びに地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において,当該 情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分。ただし,当該公務員等の氏名に係る部分を公開することにより,当該公務員等の個人の権利利益が不当に害されるおそれがある場合にあっては,当該氏名に係る部分を除く。 2~6号(略) (4) 7条1項実施機関は,公開請求に係る公文書に非公開情報とそれ以外の情報とが併せて記録されている場合において,非公開情報とそれ以外の情報とを容易に,かつ,公開請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは,当該非公開情報が記録されている部分を除いて,公文書を公開しな 報とが併せて記録されている場合において,非公開情報とそれ以外の情報とを容易に,かつ,公開請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは,当該非公開情報が記録されている部分を除いて,公文書を公開しなければならない。 (5) 7条2項公開請求に係る公文書に前条1項1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において,当該情報のうち,氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより,公開しても,個人の権利利益が害されるおそれ がないと認められるときは,当該部分を除いた部分は,同号の情報に含まれないものとみなして,前項の規定を適用する。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者 原告は,α市の区域内に住所を有する者である。 (2) 救助活動報告書救助活動報告書は,消防署長が,α市消防長に対し,実施した救助活動の結果を報告する文書であり,次のアからオまでの各欄に記録される情報の概要は次のとおりである(甲4,弁論の全趣旨)。 ア 「搬送先(搬送隊名)」傷病者が搬送された医療機関名の情報及び搬送した隊名の情報が記録される。 イ 「救助人員」救助された傷病者の人数が記録される。 ウ 「出場時間」,「現着時間」,「救助時間」,「帰着時間」及び「作業 開始」それぞれ,各救急車両が傷病者の救助に向かった時刻,傷病者がいる現場に到着した時刻,傷病者を救助した時刻,救助から戻った時刻及び現場で作業を開始した時刻が記録される。 エ 「救助活動時間」 傷病者の救助活動を行った総時間数が記録される。 オ 「備考」救助活動に当たった各救 を救助した時刻,救助から戻った時刻及び現場で作業を開始した時刻が記録される。 エ 「救助活動時間」 傷病者の救助活動を行った総時間数が記録される。 オ 「備考」救助活動に当たった各救急車両に対してされた指令の内容や指令時間,その他当該救急活動における特記事項等が記録される。 (3) 救急日報 救急日報は,各救急車両が実施した救助活動の結果を記録する日報であり,次のアからウまでの各欄に記録される情報の概要は次のとおりである(甲5,弁論の全趣旨)。 ア 「出場」,「現着」及び「病着」それぞれ,傷病者の救急活動に当たった救急車両の出場時刻,現場到着 時刻及び病院到着時刻が記録される。 イ 「収容病院」傷病者が搬送された医療機関名の情報が記録される。 ウ 「覚⇒現」及び「出⇒病」それぞれ,覚知時刻から現場到着時刻までの時間数(分表示)及び出場 時刻から病院到着時刻までの時間数(分表示)が記録される。 (4) A小学校のブロック塀の崩落に伴う事故平成30年6月18日午前7時58分,大阪府北部を震源とする地震(以下「本件地震」という。)が発生し,大阪府α市においては震度6弱が観測され,女児がα市立A小学校のブロック塀の崩落に巻き込まれ死亡する事故 (以下「本件事故」という。)が発生し,同事故は,同女児の実名を含めて 広く報道された(乙3,4)。 (5) 本件公開請求原告は,平成30年10月15日付けで,α 市消防長に対し,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」の公開を請求した(本件公開請求。甲 3)。 (6) 本件決定α市消防長は,平成30年11月28日付けで,原告に対し,本件公開請求について, 時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」の公開を請求した(本件公開請求。甲 3)。 (6) 本件決定α市消防長は,平成30年11月28日付けで,原告に対し,本件公開請求について,公開対象文書を「救助活動報告書」及び「救急日報(平成30年▲月▲日の覚知時刻8時00分から8時30分の分)」とし,公開しない ことに決定した部分及び公開しない理由を下記のとおりとして,全部を公開しない旨の決定(本件決定)をした(甲3)。 なお,本件決定により公開対象文書とされた「救助活動報告書」は,平成30年▲月▲日付けの本件事故の被害者について実施された救助活動の報告書(以下「本件救助活動報告書」という。)であり,同報告書のうち,発生 場所,発生日時,覚知日時のほか,出動した分隊が4隊であったことが分かる部分は開示され,「救急日報(平成30年▲月▲日の覚知時刻8時00分から8時30分の分)」は,覚知時刻が平成30年▲月▲日8時00分から8時48分までの合計14件の救助活動が記録された日報(以下「本件救急日報」という。)であり,そのうち1件(B)を除いて,「事故種別」,「覚 知」,「出場」,「現着」,「病着」及び「備考」の各欄に記載された部分は開示された(甲3,5)。 記ア公開しないことに決定した部分(ア) 救助活動報告書のうち,「事故概要及び活動概要」,要救助者欄中 「住所」,「氏名」,「年齢」,「性別」,「負傷程度」,「搬送先(搬 送隊名)」,出場分隊欄中「救助人員」,「出場時間」,「現着時間」,「救助時間」,「帰着時間」,「作業開始」,「救助活動時間」,資器材内訳欄中「使用資器材」,「使用個数」,他機関の状況欄中「救助人員」及び「備考」の各欄に係る「指令時間」及び「指令時間」を推測し得る部分 間」,「帰着時間」,「作業開始」,「救助活動時間」,資器材内訳欄中「使用資器材」,「使用個数」,他機関の状況欄中「救助人員」及び「備考」の各欄に係る「指令時間」及び「指令時間」を推測し得る部分 (イ) 救急日報のうち,「出場」(番号),「出場場所」,「傷病者住所」,「氏名」,「性別」,「年齢」,「科目」,「程度」,「収容病院」,「傷病名」,「覚⇒現」,「出⇒病」及び「CAPコード」並びにB欄中「出場」(時間),「現着」,「病着」及び「備考」の指令時間イ公開しない理由 本件条例6条1項1号に該当公開しないことに決定した部分は,個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公開することにより,なお,個人の権利利 益を害するおそれがあるものであって,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しないため(7) 本件訴えの提起原告は,平成31年2月15日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 3 争点及び当事者の主張の要旨 本件における争点は,①本件非公開部分が本件条例6条1項1号本文の定める非公開情報に該当するか否か(争点1),②本件非公開部分が本件条例6条1項1号ただし書アからウまでに定める非公開情報の例外の情報に該当するか否か(争点2)であり,当事者の主張の要旨は次のとおりである。 (1) 争点1(本件非公開部分が本件条例6条1項1号本文の定める非公開情報 に該当するか否か)について (被告の主張)ア個人識別情報に該当すること(ア) 本件条例6条1項1号本文は,公開請求に係る非公開情報として「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事 に該当するか否か)について (被告の主張)ア個人識別情報に該当すること(ア) 本件条例6条1項1号本文は,公開請求に係る非公開情報として「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により特 定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することとなるものを含む。)」(以下「個人識別情報」という。)及び「特定の個人を識別することはできないが,公開することにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(以下「利益侵害情報」という。)という二つの情報を規定するところ,本件 非公開部分は,いずれも傷病者個人に関わりのある情報であり,「個人に関する情報」に該当する。 (イ) 本件公開請求の対象は,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」であるから,本件公開請求により開示される情報は,本件事 故に関するものであることが判明する。 本件事故は,ニュース等でも大きく取り上げられ,インターネットで検索すれば,関連情報が多数表示される。 したがって,本件公開請求により開示される情報は,本件事故の被害者の救急活動における情報であって,その被害者を特定する氏名等の情 報はインターネットによる検索等の手段により容易に判明することから,かかる情報と照合することにより特定の個人を識別することが可能である。 以上より,本件非公開部分は,いずれも傷病者個人に関わりのある情報であり,かつ他の情報と照合することで特定の個人を識別することが できるため,個人識別情報に該当する。 イ本件救助活動報告書の「搬送先」欄に記載 いずれも傷病者個人に関わりのある情報であり,かつ他の情報と照合することで特定の個人を識別することが できるため,個人識別情報に該当する。 イ本件救助活動報告書の「搬送先」欄に記載された情報が利益侵害情報に該当すること本件救助活動報告書の「搬送先」欄には,傷病者が搬送された医療機関名の情報が記載されるところ,大阪府内において,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院は25箇所,がん治療を専門とする病院は4箇所 あることなどからすると,搬送先の医療機関名から病気の種別や受診の事実をうかがい知ることが可能となる。病気の種別や受診の事実は,個人の身体に関わる重大な私的情報であり,個人の人格とも密接に関連するものというべき情報である。 したがって,同「搬送先」欄に記載された情報は,「公開することによ り,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」として利益侵害情報に該当する。 ウ本件救急日報の「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報について(ア) 本件救急日報のBの「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各 欄に記載された情報が個人識別情報に該当すること救急日報の「収容病院」欄には,傷病者が搬送された医療機関名,「覚⇒現」欄には,覚知時刻から現場到着時刻までの時間数(分表示),「出⇒病」欄には,出場時刻から病院到着時刻までの時間数(分表示)がそれぞれ記載されるところ,これらは,いずれも傷病者個人に関する情報 である。 そして,本件救急日報のBの備考欄には「4隊出動指令時間●時●分」と記載されているところ,本件事故に関するものであることが判明する本件救助活動報告書の「出場分隊」欄にも4隊出動した旨の記載があり,本件救急日報のB以外の整理番号の備考欄にはいずれも「 間●時●分」と記載されているところ,本件事故に関するものであることが判明する本件救助活動報告書の「出場分隊」欄にも4隊出動した旨の記載があり,本件救急日報のB以外の整理番号の備考欄にはいずれも「4隊出 動」がされた旨の記載がないから,Bの情報は,本件事故に関する記録 であることが認識でき,インターネットによる検索等の手段により特定できる被害者の情報と照合することにより,特定の個人を識別することが可能である。 したがって,本件救急日報のBの情報は,個人識別情報に該当する。 (イ) 本件救急日報のB以外の整理番号の「収容病院」,「覚⇒現」及び 「出⇒病」の各欄に記載された情報についてa 個人識別情報に該当することB以外の整理番号の「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報も,傷病者個人に関わりのある情報であり,「個人に関する情報」に該当する。 本件公開請求の対象は,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」であり,本件地震に関するものであるところ,本件地震は広く報道され,住民の記憶にも残っていることからすると,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された時間的情報や「収容病院」欄 に記載された搬送された医療機関名の情報と,メディア等における負傷者の報道内容や住民自身の記憶と照合することで,特定の個人を識別することが可能となる。 したがって,B以外の整理番号の「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報は,いずれも傷病者個人に関する情報 であり,かつ,他の情報と照合することで特定の個人を識別することができるため,個人識別情報に該当する。 これに対し,原告は,本件地震に関し,本件事故以外 報は,いずれも傷病者個人に関する情報 であり,かつ,他の情報と照合することで特定の個人を識別することができるため,個人識別情報に該当する。 これに対し,原告は,本件地震に関し,本件事故以外に,被害者の氏名等が報道されたのを見聞きしたことがなく,本件地震の発生直後には,多くの119番通報が殺到したことから,住民自身の記憶と照 合しても,特定の個人を識別することが可能となるとはいえない旨主 張する。 しかし,平成30年6月22日に内閣府が発表した「大阪府北部を震源とする地震に係る被害状況等について」と題する書面によれば,本件地震による負傷者の状況や死者の状況が掲載されており,また,インターネットにおいて本件地震に関する情報を検索すれば,本件事 故以外にも本件地震により死亡した者の氏名等が掲載されている記事は容易に検索されるから,マスメディア等により公開されている情報と,住民自身の記憶等とを照合することで,特定個人を識別することが可能となる。 b 利益侵害情報に該当すること 本件救急日報の「収容病院」欄には,傷病者が搬送された医療機関名の情報が記載されているところ,大阪府内において,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院は25箇所,がん治療を専門とする病院は4箇所あることなどからすると,搬送先の医療機関名から病気の種別や受診の事実をうかがい知ることが可能となる。そして,病気 の種別や受診の事実は,個人の身体に関わる重大な私的情報であり,個人の人格とも密接に関連する情報である。 さらに,本件で原告が開示を求める情報は,本件地震による緊急事態における救急活動の記録であり,本件地震が全国規模で大きなニュースとなったことに鑑みると,通常の救急活動記録の情報に比して, その情報に触れる者の が開示を求める情報は,本件地震による緊急事態における救急活動の記録であり,本件地震が全国規模で大きなニュースとなったことに鑑みると,通常の救急活動記録の情報に比して, その情報に触れる者の関心は高いといえる。そうだとすれば,本件地震により被害が生じ,いかなる病院に運ばれたかという情報は,個人に関する情報の中でも他人に知られたくないと考えるのが通常であり,その秘匿性は極めて高いものといえる。また,本件地震に関してマスメディア等で公開されている情報と照合することで,特定の個人を識 別することが可能となる例も存在すると考えられる。 したがって,「収容病院」欄に記載された情報は,「公開することにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」として利益侵害情報に該当する。 エ以上のとおり,本件非公開部分は,本件条例6条1項1号本文の定める非公開情報に該当するから,公開されるべきではない。 (原告の主張)ア本件非公開部分が個人識別情報及び利益侵害情報のいずれにも該当しないこと被告は,本件非公開部分は,いずれも傷病者個人に関わりのある情報であり,「個人に関する情報」に該当するなどと主張するが,いずれも個人 識別情報にも利益侵害情報にも該当しない。 イ本件救急日報のB以外の整理番号の「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報について(ア) 被告は,「覚⇒現」及び「出⇒病」の時間的情報や,「収容病院」欄に記載される搬送された医療機関名の情報と,メディア等における負 傷者の報道内容や住民自身の記憶と照合することで,特定の個人を識別することが可能となると主張する。 しかし,原告は,本件地震に関し,本件事故以外の被害者の氏名等が報道されたのを見聞きしたことはないし,本件地 内容や住民自身の記憶と照合することで,特定の個人を識別することが可能となると主張する。 しかし,原告は,本件地震に関し,本件事故以外の被害者の氏名等が報道されたのを見聞きしたことはないし,本件地震の発生直後には多数の119番通報が殺到したことからすれば,住民自身の記憶と照合した としても,類似事案の件数が多いため,特定の個人を識別することが可能となるとはいえないというべきである。 (イ) 被告は,「収容病院」欄には,傷病者が搬送された医療機関名の情報が記載されるところ,大阪府内において,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院は25箇所,がん治療を専門とする病院は4箇所あ ること等からすると,搬送先の医療機関名から病気の種別や受診の事実 をうかがい知ることが可能となり,病気の種別や受診の事実は,個人の身体に関わる重大な私的情報であるから,個人の人格とも密接に関連するものというべき情報であると主張する。 しかし,急性期の患者を搬送する救急車両の搬送先が,精神科やがん専門科等であるとは考えにくい。また,本件公開請求の対象となる情報 は,地震発生直後のものであり,トリアージもされたことを考慮すると,そうした専門病院へ搬送されたケースは記載されていないと考えられる。 仮に,それらの医療機関に搬送されたとしても,当該傷病者の具体的な傷病や診察の内容を推測することはできず,利益侵害情報には該当しないというべきである。 ウ以上のとおり,本件非公開部分は,公開されるべきである。 (2) 争点2(本件非公開部分が本件条例6条1項1号ただし書アからウまでに定める非公開情報の例外の情報に該当するか否か)について(原告の主張)仮に,本件非公開部分が,個人識別情報又は利益侵害情報に該当するとし ても,以 条例6条1項1号ただし書アからウまでに定める非公開情報の例外の情報に該当するか否か)について(原告の主張)仮に,本件非公開部分が,個人識別情報又は利益侵害情報に該当するとし ても,以下のとおり,本件条例6条1項1号ただし書アからウまでに定める非公開情報の例外の情報に該当するから,公開されるべきである。 ア慣行等公開情報に該当すること本件事故の被害者の氏名や死因については,広く報道されたところ,そもそも,マスメディアに対し,それらの情報を公開したのは警察である。 そして,本件事故だけでなく,死亡した被害者の氏名等が公表・報道されることは,我が国において長年慣行とされている。 社会において重要な事実であれば,その情報を公開し,社会で共有し,事件への対処の検証等をすべきであると一般には考えられているのである。 したがって,本件事故の被害者の氏名等の情報については,本件条例6 条1項1 号ただし書アの定める非公開情報の例外の情報(以下「慣行等公 開情報」という。)に該当する。 イ生命等保護情報に該当すること特に重篤な患者の場合,救急車両の出場・到着の時間の遅れが患者の生命・健康に悪影響を与えること,一般市民が公開された情報に基づき救急活動が適切であったかどうかを検証することで行政側の問題の改善が期待 され,住民の将来における生命等の保護につながることからすれば,本件非公開部分は,本件条例6条1項1号ただし書イの定める非公開情報の例外の情報(以下「生命等保護情報」という。)に該当する。 ウ公務遂行情報に該当すること本件非公開部分は,本件条例6条1項1号ただし書ウの定める非公開情 報の例外の情報(以下「公務遂行情報」という。)に該当する。 (被告の主張)ア慣行等公開情報に該当し 報に該当すること本件非公開部分は,本件条例6条1項1号ただし書ウの定める非公開情 報の例外の情報(以下「公務遂行情報」という。)に該当する。 (被告の主張)ア慣行等公開情報に該当しないこと本件非公開部分は,法令の規定により公にされることが予定されている情報ではない。 また,本件非公開部分は,死亡事故の被害者に関する情報であり,遺族への配慮という観点からも秘匿性が極めて高く,メディアによって被害者の氏名等が公表されていたとしても,かかる事実をもって慣行として公にされている又はされることが予定されているということはできず,本件非公開部分は,慣行等公開情報には該当しない。 イ生命等保護情報に該当しないこと本件非公開部分は,公開されたところで,人の生命,健康,生活又は財産の保護につながるものではないから,公開することにより保護される利益が非公開とすることにより個人の利益に優越することはなく,生命等保護情報には該当しない。 ウ公務遂行情報に該当しないこと 公務遂行情報は,公務員の職務遂行に係る情報をいうのであり,個人に関する情報として問題となる当該個人が公務員等に該当する場合に問題となるところ,本件非公開部分には当てはまらず,公務遂行情報に該当しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件非公開部分が本件条例6条1項1号本文の定める非公開情報に該当するか否か)について(1) 本件非公開部分のうち,本件救助活動報告書の「搬送先(搬送隊名)」,「救助人員」,「出場時間」,「現着時間」,「救助時間」,「帰着時間」,「作業開始」,「救助活動時間」及び「備考」の各欄に記載された情報(以 下「本件救助活動報告書上の非公開情報」という。)についてア本件条例6条1項1号 時間」,「救助時間」,「帰着時間」,「作業開始」,「救助活動時間」及び「備考」の各欄に記載された情報(以 下「本件救助活動報告書上の非公開情報」という。)についてア本件条例6条1項1号本文の「個人に関する情報」に該当するか否かについて(ア) 本件条例6条1項柱書は,実施機関は,公開請求があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されて いる場合を除き,請求者に対し,当該公文書を公開しなければならない旨を定め,その1号本文は,個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,個人識別情報又は利益侵害情報に該当するものについて,原則として,非公開情報とする旨を定めている。 そして,本件条例6条1項1号本文にいう「個人に関する情報」については,「事業を営む個人の当該事業に関する情報」が除外されている以外には文言上何ら限定されていないから,個人の思想,信条,健康状態,所得,学歴,家族構成,住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく,個人に関わりのある情報であれば,原則として同号本文に いう「個人に関する情報」に当たると解するのが相当である(最高裁判 所平成15年11月11日第三小法廷判決・民集57巻10号1387頁参照)。 (イ) 本件救助活動報告書上の非公開情報は,特定の個人である傷病者が受けた救急活動に関する情報が記載されており,これらの情報は,いずれも当該傷病者に関わる情報であることが明らかであるから,本件条例 6条1項1号本文の「個人に関する情報」に該当するというべきである。 イ個人識別情報に該当するか否かについて本件公開請求は,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の 個人に関する情報」に該当するというべきである。 イ個人識別情報に該当するか否かについて本件公開請求は,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」を対象とするものであるところ,開示の対象とされた本件救助活動報告書は, 本件事故に関する救助活動の結果を報告するものであることが明らかとなる。 そして,前提事実(4)のとおり,本件事故は,被害者の実名を含めて広く報道されており,その報道内容と照合することにより,本件事故の被害者を特定することができることになるから,本件救助活動報告書上の非公開 情報は,本件事故の被害者を識別することができる情報であり,個人識別情報に該当するというべきである。 (2) 本件非公開部分のうち,本件救急日報のBの「出場」,「現着」,「病着」,「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報(以下「本件Bの非公開情報」という。)について ア本件Bの非公開情報は,傷病者の救急活動に当たった救急車両の出場時刻や現場到着時刻,傷病者が搬送された医療機関名,覚知時刻から現場到着時刻までの時間数等,当該傷病者の救急活動に関する情報であり,いずれも当該傷病者に関わる情報といえるから,本件条例6条1項1号本文の「個人に関する情報」に該当するというべきである。 イ本件公開請求の対象は,「本件事故に関する車両・職員・医師の出動の 履歴や,当日の8時から8時30分までの救急車の出動の履歴が分かる文書」であり,証拠(甲4,5)によれば,①本件救助活動報告書の「覚知日時」欄に平成30年▲月▲日の8時00分である旨の記載,「出場分隊」欄に4隊出動した旨の記載があり,②本件救急日報のBの「覚知」欄に「08:00」 甲4,5)によれば,①本件救助活動報告書の「覚知日時」欄に平成30年▲月▲日の8時00分である旨の記載,「出場分隊」欄に4隊出動した旨の記載があり,②本件救急日報のBの「覚知」欄に「08:00」の記載,備考欄に「4隊出動指令時間●時●分」との記載が あり,③本件救急日報の同整理番号以外の13件の備考欄には,いずれも「4隊出動」した旨の記載がないことがそれぞれ認められ,これらの事実を総合すると,本件救急日報のBの情報は,本件救助活動報告書におけるものと同じく,本件事故に関する救助活動に関する情報であることが明らかとなる。そして,本件事故について報道された内容と照合することによ り,本件事故の被害者を特定することができることからすると,本件Bの非公開情報についても,他の情報と照合することにより,本件事故の被害者を識別することとなる情報であるといえ,個人識別情報に該当するというべきことになる。 (3) 本件非公開部分のうち,本件救急日報のB以外の整理番号の「収容病院」, 「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報(以下「本件B以外の非公開情報」という。)についてア個人識別情報に該当するか否かについて(ア) 被告は,本件B以外の非公開情報は,本件公開請求の対象が本件地震に関するものであるところ,本件地震は広く報道され,住民の記憶に も残っていることからすると,メディア等における負傷者の報道内容や住民自身の記憶と照合することで,特定の個人を識別することが可能となるなどとして,個人識別情報に該当する旨主張する。 (イ) 証拠(乙3,4)によれば,①平成30年6月22日に内閣府が発表した「大阪府北部を震源とする地震に係る被害状況等について」と題 する書面において,本件地震による負傷者の状況や死者の状況 (イ) 証拠(乙3,4)によれば,①平成30年6月22日に内閣府が発表した「大阪府北部を震源とする地震に係る被害状況等について」と題 する書面において,本件地震による負傷者の状況や死者の状況が掲載さ れており,②α市内において,本件事故以外にも本件地震により死亡した者の実名等が掲載された報道がされたことがそれぞれ認められる。 (ウ) しかしながら,地震に起因する事故により負傷又は死亡した者に関する報道の内容は,上記の報道の内容(乙4)と同様に,事故態様や実名,年齢等の限られた情報にとどまることが通常であり,特段の事情が ない限り,搬送された医療機関名等の詳細な情報が報道されることは考え難い。そして,本件地震に起因する事故についても,本件事故の被害者以外に,負傷者や死亡者について,詳細な情報が報道されたことを認めるに足りる証拠は見当たらない。 そして,本件B以外の非公開情報(「収容病院」,「覚⇒現」及び「出 ⇒病」の各欄に記載された情報)は,傷病者が搬送された医療機関名,覚知時刻から現場到着時刻までの時間数(分表示)及び出場時刻から病院到着時刻までの時間数(分表示)であるにすぎないところ,それらの情報に,本件公開請求により公開された情報(前提事実(6)),報道による情報又は住民自身の記憶を照合したとしても,傷病者が特定の個人で あることまでを識別することができると認めることはできない。 (エ) したがって,本件B以外の非公開情報が個人識別情報に該当するということはできず,被告の上記主張は採用することができない。 イ本件B以外の非公開情報のうち,「収容病院」欄に記載された情報が利益侵害情報に該当するか否かについて (ア) 本件条例6条1項1号本文は,個人識別情報に加え,特定の個人を識別するこ イ本件B以外の非公開情報のうち,「収容病院」欄に記載された情報が利益侵害情報に該当するか否かについて (ア) 本件条例6条1項1号本文は,個人識別情報に加え,特定の個人を識別することはできないが,公開することにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの(利益侵害情報)を,原則として非公開情報とする旨を定めている。そして,利益侵害情報を非公開情報とした趣旨は,一般には,個人識別情報を非公開情報とすることで個人の権利利益 の保護は害されないと考えられるが,個人を識別できる部分を除いても, なお公開することにより,個人の権利利益を害する場合があることから,かかるおそれがある情報を補充的に非公開情報とし,個人の権利利益を保護しようとしたものと解される。 (イ) 本件B以外の非公開情報のうち,「収容病院」欄に記載された情報は,傷病者が搬送された医療機関名の情報であるところ,証拠(乙2) によれば,大阪府内において,精神科及び心療内科のみを診療科目とする病院は25箇所,がん治療を専門とする病院は4箇所あることが認められることなどからすると,搬送先の医療機関名から病気の種別や受診の事実をうかがい知ることが可能となるということができる。そして,病気の種別や受診の事実は,個人の身体に関わる重大な私的情報で,個 人の人格とも密接に関連する情報であり,個人に関する情報の中でも秘匿性が極めて高く,他人に知られたくないと考えるのが通常であって,その期待は保護に値するものということができる。 また,前提事実(6)のとおり,本件救急日報のB以外の整理番号の「事故種別」,「覚知」,「出場」,「現着」,「病着」及び「備考」の各 欄に記載された情報は,本件公開請求により公開されることとなり,また,これらの情報に加 ,本件救急日報のB以外の整理番号の「事故種別」,「覚知」,「出場」,「現着」,「病着」及び「備考」の各 欄に記載された情報は,本件公開請求により公開されることとなり,また,これらの情報に加え,報道やインターネットによる情報,傷病者と隣近所の関係にあることから知り得る情報等を照合すると,事案によっては,当該傷病者を相当程度絞り込むことが可能な場合があるということができる。 (ウ) そうすると,「収容病院」欄に記載された情報は,公開されることにより,個人に関する情報の中でも秘匿性が極めて高く,他人に知られたくないと考えるのが通常である情報が他人に知られるおそれを生じさせることになるから,上記アで述べたとおり,個人識別情報に該当するということはできないものの,なお公開することにより,個人の権利利 益を害するおそれがあるものというべきであり,利益侵害情報に該当す る。 2 争点2(本件非公開部分が本件条例6条1項1号ただし書アからウまでの定める非公開情報の例外の情報に該当するか否か)について(1) 慣行等公開情報に該当するか否かについて本件条例6条1項ただし書アは,法令の規定により又は慣行として公にさ れ,又は公にすることが予定されている情報を非公開情報から除外しているところ,本件非公開部分を公にすることを定める法令は見当たらない。 そして,「慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている」というためには,公にすることが慣習として行われていることが必要であると解される。 原告は,本件事故は,被害者の氏名を含めて広く報道されたなどとして,本件非公開部分が慣行等公開情報に該当する旨を主張するが,本件非公開部分の情報は,救助活動に係る詳細な結果や搬送先の医療機関名等であって,公にすること 被害者の氏名を含めて広く報道されたなどとして,本件非公開部分が慣行等公開情報に該当する旨を主張するが,本件非公開部分の情報は,救助活動に係る詳細な結果や搬送先の医療機関名等であって,公にすることが慣習として行われていることを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件非公開部分が慣行等公開情報に該当するということはで きない。 (2) 生命等保護情報に該当するか否かについて本件条例6条1項ただし書イは,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公開することが必要であると認められる情報(生命等保護情報)を非公開情報から除外しているところ,生命等保護情報に該当するためには, 当該情報が非公開とされることによって現に人の生命等への侵害が発生しているか,将来これらが侵害される蓋然性が高く,当該情報を公開することによってこれらの侵害が除去される蓋然性がある場合であって,当該情報を非公開とすることにより害されるおそれのある人の生命等を保護する必要性と,これを公開することにより害されるおそれのあるプライバシー等の個人の利 益の保護の必要性とを比較衡量し,前者が後者に優越することが必要である と解するのが相当である。 そして,原告は,特に重篤な患者の場合,救急車両の出場・到着の時間の遅れが患者の生命・健康に悪影響を与えること,救急活動が適切であったかどうかを情報公開により一般住民が検証することで,行政側の問題の改善が期待されるのであり,住民の生命等の将来的な保護につながることからすれ ば,本件非公開部分は,生命等保護情報に該当する旨主張するが,一般論をいうものにすぎず,本件において,現に人の生命等の侵害の蓋然性が生じていること等や当該情報の公開によってこれらの侵害が除去される蓋然性があることについて立証がされ 報に該当する旨主張するが,一般論をいうものにすぎず,本件において,現に人の生命等の侵害の蓋然性が生じていること等や当該情報の公開によってこれらの侵害が除去される蓋然性があることについて立証がされていないから,当該情報を非公開とすることにより害されるおそれのある人の生命等を保護する必要性が,これを公開するこ とにより害されるおそれのあるプライバシー等の個人の利益の保護の必要性に優越するということはできない。 したがって,本件非公開部分が生命等保護情報に該当するということはできない。 (3) 公務遂行情報に該当するか否かについて 本件条例6条1項1号ウが公務遂行情報を非公開情報から除外しているのは,個人に関する情報として問題となる当該個人が公務員等に該当する場合であるところ,本件非公開部分で問題となる個人が公務員等に該当する場合ということはできないから,本件非公開部分が公務遂行情報に該当するということはできない。 3 まとめ以上の次第で,本件非公開部分のうち,本件救急日報のB以外の「覚⇒現」及び「現⇒病」の各欄に記載された部分(別紙1「請求認容部分目録」記載の部分)は,本件条例6条1項1号本文の定める非公開情報に該当しないが,他方,その余の部分は,同号本文の定める非公開情報に該当し,かつ,本件条例 6条1項1号ただし書アからウまでに定める非公開情報の例外の情報に該当し ない。よって,本件決定のうち,別紙1「請求認容部分目録」記載の部分を公開しないとした部分は違法であるが,その余の部分は適法である。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,本件決定のうち,別紙1「請求認容部分目録」記載の部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請 求は理由がないからこれを棄却すること 第4 結論以上によれば,原告の請求は,本件決定のうち,別紙1「請求認容部分目録」記載の部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請 求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官松永栄治 裁判官宮端謙一 裁判官大塚穂波 (別紙1)請求認容部分目録 救急日報(平成30年▲月▲日の覚知時刻8時00分から8時30分の分)のうち,B以外の整理番号の「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された部分 (別紙2)取消請求対象部分目録 1 「救助活動報告書」の「搬送先(搬送隊名)」,「救助人員」,「出場時間」,「現着時間」,「救助時間」,「帰着時間」,「作業開始」,「救助活動時間」 及び「備考」の各欄に記載された情報 2 「救急日報」の(1) Bの「出場」,「現着」及び「病着」の各欄に記載された情報(2) 「収容病院」,「覚⇒現」及び「出⇒病」の各欄に記載された情報以上

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