平成19(行ウ)721 不当労働行為救済命令取消請求事件(通称 INAXメンテナンス救済命令取消)

裁判年月日・裁判所
平成21年4月22日 東京地方裁判所
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判決文本文20,691 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,各補助参加によって生じたものも含めて原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨中央労働委員会(以下「中労委」という。)が中労委平成18年(不再)第47号事件について平成19年10月3日付けでした命令を取り消す。 第2 事案の概要本件は,補助参加人らからの平成16年9月6日付け,同月17日付け,同月28日付け及び同年11月17日付け各団体交渉申入れ(以下,順に「第1回ないし第4回団体交渉申入れ」といい,これらを併せて「本件各団体交渉申入れ」という。)への対応がいずれも労働組合法(以下「労組法」という。)7条2号の不当労働行為に当たるとして,中労委から救済命令(以下「本件救済命令」という。)を発せられた原告が,その取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告は,肩書地に主たる事務所を置き,主として親会社である株式会社INAX(以下「INAX」という。)が製造した住宅設備機器の修理を業とする株式会社である。原告は,愛知県内に本店を置くほか,全国に7か所の営業所,4か所の受付センター,57か所のサービスセンターを設置しており,後記(3)の初審の審問終結時の従業員数は,正社員が約200名(平成19年4月時点では253名である。),原告と個人業務委託契約を締結して修理業務に従事するCE(カスタマーエンジニアの頭文字である。)が約570名である(平成19年4月時点では571名,平成20年3月時点では588名である。)。 イ補助参加人全日本建設交運一般労働組合大阪府本部( カスタマーエンジニアの頭文字である。)が約570名である(平成19年4月時点では571名,平成20年3月時点では588名である。)。 イ補助参加人全日本建設交運一般労働組合大阪府本部(以下「補助参加人本部」という。)は,主に運輸業に従事する労働者によって組織されたいわゆる一般労働組合であり,初審の審問終結時の組合員数は約1200名である。 補助参加人全日本建設交運一般労働組合建設一般合同支部(以下「補助参加人支部」といい,補助参加人本部と同支部を合わせて「補助参加人ら」という。)は,補助参加人本部の下部組織であって,初審の審問終結時の組合員数は約100名である。 全日本建設交運一般労働組合建設一般合同支部INAXメンテナンス近畿分会(以下,「分会」という。)は,CEにより組織された補助参加人らの下部組織であり,初審の審問終結時の組合員数は約50名である。 (2) 補助参加人らの分会結成通知及び団体交渉申入れア補助参加人ら及び分会(以下,補助参加人ら及び分会を合わせて「組合」という。)は,連名で,原告に対し,平成16年9月6日,CEが補助参加人らに加入して分会を結成したことが記載された労働組合加入通知書,及び①原告は不当労働行為を行わないこと,②原告は組合員の労働条件の変更等に関して組合と事前協議し,合意の上実施すること,③原告は組合員との契約内容の変更や契約解除は一方的に行わず,組合と協議し,合意の上実施すること,④原告は組合員の手当,割増賃金及び出張費等を支払うこと,⑤原告は組合員の年収を補償(最低補償550万円)すること,⑥原告は「CE協力会」の規定等を公開すること,⑦原告はその貸与する機材の損傷等に関し原告において負担すること,⑧CE全員を労災保険に加入させること等を要求する平成16年9月6日付け要求 すること,⑥原告は「CE協力会」の規定等を公開すること,⑦原告はその貸与する機材の損傷等に関し原告において負担すること,⑧CE全員を労災保険に加入させること等を要求する平成16年9月6日付け要求書を提出し,同時に,同要求書の内容を議題とする団体交渉の開催を申し入れた。 なお,CE協力会とは,平成8年に全国のCEが加入するものとして発足したCEの傷病に対する休業補償,技術向上のための教育受講補助等を 行う組織であるが,その事務局は原告事業所内にあり,その事務処理は原告が代行している。同会には必要に応じて専門部会を設置することとされており,原告は,平成16年末ころから,専門部会を通してCEの意見及び要望等を聴取している。 イ原告は,組合に対し,平成16年9月15日,CEは独立した個人事業主であることを確認の上業務委託契約を締結しており,労組法上の労働者に当たらないので,原告には団体交渉に応じる義務はなく,CEの要望は各エリアごとの会議で聞く旨記載した「団体交渉申し入れに対する回答書」を交付した。 ウ組合は,原告に対し,平成16年9月17日,同月28日及び同年11月17日,前記アと同様に,同年9月6日付け要求書の内容を議題とする団体交渉の開催を申し入れた。 エ原告は,組合に対し,平成16年9月22日,同年10月1日及び同年11月19日,電話又は文書で,CEは労働者に当たらないので,原告には団体交渉に応じる義務はない旨回答した。 (3) 本件救済申立て及び再審査申立て補助参加人らは,平成17年1月27日,大阪府労働委員会(以下「大阪府労委」という。)に対し,前記(2)の本件各団体交渉申入れに原告が応じなかったことは,いずれも労組法7条2号の不当労働行為に当たるとして,団体交渉応諾及び謝罪文の掲示を内容とする 員会(以下「大阪府労委」という。)に対し,前記(2)の本件各団体交渉申入れに原告が応じなかったことは,いずれも労組法7条2号の不当労働行為に当たるとして,団体交渉応諾及び謝罪文の掲示を内容とする救済申立てをした(大阪府労委平成17年(不)第2号事件。以下「本件初審申立て」という。)。 大阪府労委は,平成18年7月21日,別紙1のとおり,CEは労組法上の労働者に当たり,本件各団体交渉申入れに応じなかった原告の対応は労組法7条2号の不当労働行為に該当するとして,原告に対し,団体交渉応諾及び文書手交を命じる旨の救済命令を発した。このため,原告は,平成18年8月2日,中労委に対し,再審査を申し立てた。 中労委は,平成19年10月3日,別紙2のとおり,上記救済命令を相当として,原告の再審査申立てを棄却する旨の命令(本件救済命令)を発した。 2 争点(1) CEが労組法上の労働者に当たるか。 (2) 本件各団体交渉申入れに係る議題が義務的団交事項に当たるか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(CEが労組法上の労働者に当たるか。)について【原告の主張】ア総論労組法上の「労働者」は,労基法上の「労働者」と同一の概念であり,その判断基準も同一とされるべきである。後記イないしカの点を考慮すれば,CEは,労基法上も労組法上も「労働者」に該当しない。 イ諾否の自由について(ア) 契約条項における諾否の自由原告とCEとの契約内容を定める「業務委託に関する覚書」(以下,原告と各CEが締結した同文書を総称して「本件覚書」という。)4条3項は,CEが原告から依頼を受けた「業務を遂行できないときは,その旨及び理由を直ちにIMT(原告)に通知しなければならない。」としており,CEが原告からの業 書を総称して「本件覚書」という。)4条3項は,CEが原告から依頼を受けた「業務を遂行できないときは,その旨及び理由を直ちにIMT(原告)に通知しなければならない。」としており,CEが原告からの業務依頼を拒否できることが当然の前提となっている。 (イ) 個別発注における諾否の自由原告からCEに対する業務依頼の流れは別紙3(「修理依頼概略フロー及び拒否について」)のとおりである。原告の受付センターは,エンドユーザー又はチャネル・コントラクター(特約店,工事店,ハウスメーカーなどの流通及び工事業者をいう。以下,エンドユーザーと区別する意味で「依頼元」という。)からの修理等の依頼が,修理希望日時を当日として 指定するものである場合や緊急を要するものである場合,電話やEメールでCEに連絡し,当該依頼への対応が可能なCEに依頼する(別紙3のA-1)。緊急ではない修理等の依頼の場合,及び上記で対応可能なCEが見付かった場合は,受付センターで特定のCEに業務依頼を割り付け,当該CEの携行する情報端末(平成19年4月以降はスマートフォン)に業務依頼のデータが送信される(別紙3のA-2)。CEが業務依頼を拒否しない場合,CEは,エンドユーザーに直接連絡をとって依頼内容の詳細を確認したり,修理のための訪問日時を調整したりするが,この段階でも,原告の事前の了解を得ることなく,独自の判断で,当該業務依頼の処理を他のCEに変更することができる(別紙3のA-3)。そのようにして担当者変更の連絡を受けたCEは,自ら当該業務依頼を受諾して作業することもできるし,これを拒否することもできる(別紙3のB)。 このように,CEは,原告からの業務依頼において,別紙3のA-1ないし3及びBの各段階でこれを拒否することができるものである。そして,CEは,先に受 し,これを拒否することもできる(別紙3のB)。 このように,CEは,原告からの業務依頼において,別紙3のA-1ないし3及びBの各段階でこれを拒否することができるものである。そして,CEは,先に受諾した業務依頼の処理の都合上,新規の依頼を受けられないという場合に限らず,いわゆる「選り好み」や「好き嫌い」等の自己の都合で依頼を拒否する場合があり,各段階の拒否件数は,別紙3の「各段階での拒否件数実績」のとおり,相当数に及ぶ。しかし,それについて原告はCEに対して何らの不利益も課していない。 ウ時間的・場所的拘束について(ア) 時間的拘束CEは,午前8時30分から午後7時までの時間帯に,原告からの業務依頼を受けることになっているが,それは単に連絡を受ける時間帯にすぎず,拘束を受けている訳ではない。CEの業務時間(エンドユーザーを訪問して作業する日時)は,自身がエンドユーザーと直接調整し,決定した日時であって,その開始時刻や終了時刻は原告から拘束されることなく, 完全に自由に決定している。 また,原告は,正確にCEの予定を把握しているわけではなく,サービス報告書にも,業務時間について明らかに事実に反する記載がある。しかし,それに対して原告は何らの不利益も課していない。 さらに,原告は各CEの休業日を把握しているが,これは,CE自身が決定した休業日を,原告の発注業務の効率化のために把握しているものにすぎず,組合に加入する近畿地区のCEが,平成20年に一斉に日曜日,祝日,8月のお盆の時期(8月13日~16日)を休業日としていることからも,CEの休業日の決定に原告が介入していないことは明らかである。 しかも,CEの営業日に原告が業務を依頼しても,「休みだから行けない」とか,「予定は入っていなかったが,休む」などと拒否されることが も,CEの休業日の決定に原告が介入していないことは明らかである。 しかも,CEの営業日に原告が業務を依頼しても,「休みだから行けない」とか,「予定は入っていなかったが,休む」などと拒否されることがある。 (イ) 場所的拘束CEの業務の場所は,原則として修理や取付の対象物が存する場所になるが,これは業務の性質からくる制約であって,原告がCEを拘束している訳ではない。 また,CEには担当エリアがあるものの,一つのエリアには第1担当,第2担当など複数の担当者が存在しており,CEは原告から担当エリア外の業務依頼を受けた場合に自分の担当エリアではないという理由で拒否することもある。したがって,担当エリアは,CEの主担当地域という程度の意味を有するものにすぎず,原告がCEの業務場所を拘束している訳ではない。しかも,担当エリアの決定・変更は,原告が一方的に決定するものではなく,CE同士で協議された上で実施されており,契約当事者間では対等な協議が行われている。 エ業務遂行に関する指揮命令関係について(ア) 業務の内容及び遂行方法に対する具体的指示の不存在 原告は,CEに対し,「フロートゴム不良」とか「便器内水漏れ」などというエンドユーザーからの依頼内容(事象)をそのまま配信して,当該事象を解消する修理等の申込みをしているが,これは作業内容に関する具体的指示ではない。 また,原告は,CEの業務マニュアルを作成しているが,これは,安全確保と効率性の観点から作成されたものであって,CEの業務遂行を指揮監督するものではない。原告がCEの言葉遣いや身だしなみ等の業務マニュアルの履行状況を把握ないしチェックしている事実はない。 (イ) 通常予定されている業務以外の業務指示の不存在原告がCEに依頼する業務内容は定 ない。原告がCEの言葉遣いや身だしなみ等の業務マニュアルの履行状況を把握ないしチェックしている事実はない。 (イ) 通常予定されている業務以外の業務指示の不存在原告がCEに依頼する業務内容は定型化されており,原告の指示によって,CEが通常予定されている業務以外の業務に従事することはない。 オ報酬の性格について(ア) 仕事の完成に対する対価性CEの報酬は,完成した仕事の結果に従って算定される完全出来高払いになっており,作業に要した時間と報酬額との間に比例関係もなく,最低保障給(契約金)もないし,原告から報酬が一方的に減額されるような制度や運用もなく,労務対価性はない。 (イ) 報酬決定の裁量等CEに対する報酬は,委託修理技術料,委託RS取付料,販売手数料,その他手数料及び出張料を加え,控除額を減じて得た額となるが,企業活動において,定型的かつ多数の取引を処理するに際し,契約内容を統一して一律に処理することは当然のことであって,このような契約の標準化と「労働者」性の判断は関連するものではない。そして,これらの報酬算定の前提となる顧客請求技術料や顧客請求取付料は,各CEが独自の判断で標準額を増減させている。例えば,平成19年10月及び11月において,標準技術料以外の金額を前提にしたCEからの請求の割合は約25パーセ ントであり,同じ作業時間で同一部品の修理・交換を行った場合であっても,CEからの請求金額の幅は1.5倍から3倍になっている。また,取付料についても,原告の定める標準取付料と異なる請求がそれ以外より多くなっている。 また,元請企業が同一の業務を複数の下請業者に発注する場合に,個々の下請業者の技能や経験に照らして支払報酬額が個別に決定されることも市場経済においては当然のことであって,CEライ くなっている。 また,元請企業が同一の業務を複数の下請業者に発注する場合に,個々の下請業者の技能や経験に照らして支払報酬額が個別に決定されることも市場経済においては当然のことであって,CEライセンス制度は,これを定型化したものにすぎない。 なお,休日や時間外業務に,特別料金などの名目で所定の金額が支払われることは,建設業の請負においてはごく普通に見られる報酬形態であり,契約自由の原則からすれば特に珍しいことではなく,労務対価性の根拠たり得ない。 カ CEの事業者性(ア) 車両等の自己負担CEは,原告の「業務受託者」として,営業車両を自己の負担で所有し,その維持管理費用等も自己負担し,工具類も原則として自己の裁量と負担で用意している。 また,CEは,交通事故や業務上の負傷・疾病について自身の責任と負担によって処理しており,CE協力会を通じて賠償責任保険の保険料を自己負担しているし,独立した事業者として,原告から預かった部品を紛失等した場合にはその賠償責任を負っている。 (イ) 公租公課の取扱い原告は,CEの報酬について,所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収を行っておらず,消費税を支払っている。CEは個人事業主として原告からの報酬を事業所得として申告しており,経費や控除において様々な特典を享受している。このように,CEは,給与所得者にはない恩恵を受けてい るのであって,この事実は,国家がCEを,自己の計算と負担に基づいて事業を営む「事業者」であり,「労働者」ではないと判断していることを意味している。 (ウ) 報酬額CEの報酬額は,平成16年の例では年額1300万円を超える者もいる他,年額1000万円を超える者が全体の約6.1パーセントを占めている。平成18年の実績では,報酬年額が100 (ウ) 報酬額CEの報酬額は,平成16年の例では年額1300万円を超える者もいる他,年額1000万円を超える者が全体の約6.1パーセントを占めている。平成18年の実績では,報酬年額が1000万円を超えるCEは6. 8パーセントに上っており,従業員(上級職を除く)の年収との比較でも,CEの報酬年額との差額は100万円以上に上っているなど,その経済状況は恵まれており,従業員とは大きな格差が存在する。 【被告の主張】ア中労委の発した本件救済命令は,労組法25条,27条の17及び12並びに労働委員会規則55条の規定に基づき適法に発せられた行政処分であって,処分の理由は別紙2の本件救済命令書記載のとおりであり,中労委の認定した事実及び判断に誤りはなく,原告の主張には理由がない。 イ労組法と労基法は,以下のとおり,その目的も,各法における労働者の定義も異なるのであるから,労組法上の労働者性を労基法上のそれと全く同一に考える原告の主張は失当である。 (ア) 労組法は,労働条件等の決定に関し,労使対等を実現し労働者が団結することを擁護し,団体交渉を助成することを目的としている(同法1条1項)。そして,同法にいう労働者は,団体交渉助成のための同法の保護を及ぼすべき者はいかなる者かという観点から定義されている。すなわち,労組法における労働者とは,自主的に労働組合を結成し,その運営及びその活動の主体となる者であり,「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(同法3条)とされている。 (イ) これに対し,労基法9条は,同法にいう労働者を,「…職業の種類を問わず,事業又は事務所…に使用される者で,賃金を支払われる者」と定義しているが,ここでの労働者の概念は,同法の定める労働条件の最低基準,刑事 し,労基法9条は,同法にいう労働者を,「…職業の種類を問わず,事業又は事務所…に使用される者で,賃金を支払われる者」と定義しているが,ここでの労働者の概念は,同法の定める労働条件の最低基準,刑事罰と行政取締という実現方法をもって適用すべき者はいかなる者かという観点から定義されたものであって,労組法における労働者とは,文言のみならず,その立法趣旨も明確に異なるものである。すなわち,労組法は,労使対等による団体交渉を擁護することにより,労働者の地位を向上させることを目的とし,その侵害に対しては,労使関係の専門機関たる労働委員会による行政救済を規定しているものであって,労基法とは,その法の目的や保護の方法が明らかに異なっている。このように,労基法上の労働者と労組法上の労働者の範囲は必ずしも一致せず,労組法の労働者概念は労基法のそれよりも広いと解釈すべきである。 ウまた,別紙3のA-2段階においては,「各段階での拒否件数実績」のとおり,ほとんど依頼拒否はなく,A-3段階及びB段階におけるCE同士の業務の振替行為は,原告が予定したものであって,そのようなCE同士の業務の振替行為を「拒否」として計算することは相当ではない。また,A-3段階よりB段階の拒否件数が大幅に少なくなっている(2007年7月から同年11月までの全修理依頼件数のうちわずか1.1パーセントにすぎない。)ことからすれば、ほとんどの場合、このCE同士の業務の振替行為によって、顧客先を訪問するCEが決定されていると推認され、各エリアの第1担当CEから第3担当CEまでを1つのユニットと考えれば、CEは、ほぼ原告の業務を「拒否」していないものである。 【補助参加人らの主張】労組法上の労働者は,労務提供契約の形態にかかわらず,団結権を保証する必要性と適切性が認められる者を 考えれば、CEは、ほぼ原告の業務を「拒否」していないものである。 【補助参加人らの主張】労組法上の労働者は,労務提供契約の形態にかかわらず,団結権を保証する必要性と適切性が認められる者を広く包含すると解すべきである。 その判断指標は,①その者が当該企業の事業遂行に不可欠な労働力として企業組織に組み込まれていること,②契約の内容が一方的に決定されること,③業務遂行の日時・場所・方法などにつき指揮命令を受けること,④業務の発注に対し,諾否の自由がないこと等であり,そのいくつかを備える場合には労組法上の労働者性が認められる。 上記判断指標を本件に当てはめれば,別紙2の本件救済命令の判断に誤りはない。 (2) 争点(2)(本件各団体交渉申入れに係る議題が義務的団交事項に当たるか。)について【原告の主張】本件各団体交渉申入れに係る議題は,割増賃金の支払や労災保険への加入など,CEが労基法上の労働者であることを前提とした要求事項であって,労使間の合意達成という団体交渉の意義ないし目的が果たし得ないものである。 したがって,そのような議題について,原告に団体交渉の応諾義務はない。 【被告の主張】前記(1)【被告の主張】アと同じ。 【補助参加人らの主張】組合は,CEが業務に従事する際の労働条件やCEと会社の団体的労使関係の運営に関する事項について団体交渉を申し入れたものであり,原告には団体交渉の応諾義務がある。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2の1の前提となる事実に加えて証拠(甲3,5の1及び2,甲6の1ないし5,甲7の1ないし5,甲8,14ないし17,26,29,31の1及び2,甲37の1ないし9,乙A9ないし25,64,67ないし70,75ないし80,83,84,87ないし95, 2,甲6の1ないし5,甲7の1ないし5,甲8,14ないし17,26,29,31の1及び2,甲37の1ないし9,乙A9ないし25,64,67ないし70,75ないし80,83,84,87ないし95,101,102,110,乙 B1,7,8の1ないし4,乙B9,18,44の1ないし3,乙B50,51,82ないし88,丙1の1ないし19,2の1ないし9,丙5ないし8,10ないし13,丙14の1ないし4,乙C1ないし7,証人P1,証人P2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認定することができる。 (1) CEの採用手続等原告は,CEを正式に採用する際,CEとの間で,別紙4の「業務委託に関する覚書」(本件覚書)を締結する。 (2) CEの業務内容等ア CEは,本件覚書のとおり,①INAXが製造した住宅設備機器(以下「INAX製品」という。)の修理・点検,②INAX製品のリフレッシュサービス,③INAX製品の販売及び取付け,④INAXの会員契約(「i-mate」)の仲介等の業務を行う。なお,原告の主たる事業であるINAX製品の修理・点検等を担当する可能性がある原告の正社員には,サービスセンター長及びFG(技術担当者)がいるが,平成19年4月から同年9月までの期間において,それらの人数は多くとも30名足らず(サービスセンター長は11名,FGは16名)であり,上記業務の大部分は,500名を超えるCEによって担われている。 イ CEの業務の具体的な遂行方法は,原告の定める業務マニュアル,安全マニュアル,修理マニュアル,新人研修マニュアル等に定められている。 これらのマニュアルには,①出張修理業務の作業手順,②原告への報告方法,③CEの心構え及び役割,④作業用工具及び自動車の整理の仕方(新人研修マニュアルには,作業用工具等のう アル等に定められている。 これらのマニュアルには,①出張修理業務の作業手順,②原告への報告方法,③CEの心構え及び役割,④作業用工具及び自動車の整理の仕方(新人研修マニュアルには,作業用工具等のうち研修中に原告が貸与するものと自己調達するものが分けて記載されている。なお,業務に使用する車両については,原告はワンボックスカーと指定し,各CEが自己調達することとされている。),⑤姿勢,挨拶の角度,言葉遣いの具体例等の顧客との対応の仕方,⑥電話のかけ方,⑦苦情対応の方法,⑧身だしなみ等(な お,CEは,原告から1着目は〔半袖シャツについては2着まで 〕無償で貸与される所定の制服を原則として着用することとされている。また,原告は,CEに対し,各CEの担当地域であるエリアを管轄するサービスセンターの肩書きを付した名刺を配布し,所持させている。そして,原告のマニュアルによれば,CEは,服装〔制服,ネクタイ〕,身だしなみを整え,名札〔身分証明書〕が付いていることを確認し,顧客を訪問する際には原告の名称を名乗ることとされている。)について定められている。 原告はCEに,これらのマニュアルを遵守するよう求めており,CEがマニュアルに沿った業務を行わなかった場合には,会社から呼び出されて注意を受けることがある。また,原告は,顧客に対するキャンペーンの開催やチャネル・コントラクターないしINAXからの依頼等の必要に応じて,CEに対し,顧客へのキャンペーンの説明やチャネル・コントラクターによるアンケートの実施,INAX製品事故の原告への通報等,適宜の業務を指示することがある。 ウ CEに対する原告からの業務依頼の流れは以下のとおりである。 (ア) INAX製品の使用者であるエンドユーザーまたは依頼元から,全国に4ヵ所ある原告の受付センター 業務を指示することがある。 ウ CEに対する原告からの業務依頼の流れは以下のとおりである。 (ア) INAX製品の使用者であるエンドユーザーまたは依頼元から,全国に4ヵ所ある原告の受付センターに,電話,FAXまたはWebサイトを通じて,製品の修理等の依頼が入り,これが,修理希望日時を当日として指定するものである場合や緊急を要するものである場合(全体の件数の1割程度である。),受付センターは,CEに連絡し,当該修理依頼への対応の可否を確認する。この段階でCEから対応できないと拒否された場合,原告の受付センターは別の対応可能なCEに修理依頼の連絡をすることになり,ここで業務依頼を受けたCEは,ほとんどの場合,当該業務を最後まで担当する。 (イ) 上記(ア)のような緊急性のない修理依頼及び上記(ア)を経た修理依頼は,原告の受付センターで特定のCEに割り付けて登録され,受付セン ターから当該CEの携行する情報端末(平成19年4月以降はスマートフォン)に対して,Eメールで個人情報を除いた修理依頼が送信され,それとほぼ同時に個人情報を含めた修理依頼のデータ(顧客の氏名,作業現場の所在,「フロートゴム不良」,「便器内水漏れ」等の大まかな作業内容等)が送信される。 (ウ) 上記(イ)を受信したCEは,本件覚書4条3項により,原則として,直ちに業務を遂行するものとされており,受信した修理依頼の情報を確認した段階で,CEは,エンドユーザーに直接連絡をとって依頼内容の詳細を確認したり,修理のための訪問日時を調整したりする。依頼が重複したなどの理由により都合が付かない場合には,第2,第3担当に連絡をして対応が可能か確認する。対応可能なCEが見つかれば,業務依頼を受けたCEは,情報端末の操作(「CE変更」を選択する。)や電話連絡等の方法 理由により都合が付かない場合には,第2,第3担当に連絡をして対応が可能か確認する。対応可能なCEが見つかれば,業務依頼を受けたCEは,情報端末の操作(「CE変更」を選択する。)や電話連絡等の方法により,受付センターに変更の連絡をし,変更したCEが業務を担当する。なお,この変更には,原告の事前の了解を得る必要はない。また,対応可能なCEが見付からない場合には,業務依頼を受けたCEが原告の受付センターにその旨を連絡する(平成19年4月のスマートフォン導入以前は,直接受付センターに電話で連絡することとされていたが,平成19年4月以降は,依頼当日の午前零時まではスマートフォンの「対応不可」を選択する方法で連絡することができ,それによらない場合は直接受付センターに電話で連絡することとされている。)。その場合には,受付センターないし受付センターから連絡を受けたサービスセンター長が代わりのCEを探すか,適当なCEがいない場合には正社員であるFGやサービスセンター長が業務に当たることになる。 (エ) 上記(ウ)で業務依頼を受けたCE又は受付センターから担当者変更依頼の連絡を受けたCEは,自ら当該修理依頼を受諾し,又は,依頼が重 複したなどの理由により都合が付かない場合には,依頼を拒否することになる。 (オ) CEの業務依頼拒否の理由には,「忙しい」,「予定が入っている」,「エリア(担当)が違う」,「部品がなく訪問不可」,「遠い」等,様々なものがあり,その中には,専ら自己の都合によると思われるものもあるが(例えば「知人だから」,「個人的な用事があって行けない」など),むしろ業務の重複等,業務上の不都合といった相当な理由があると思われるものが相当程度の割合を占めていることが窺われるところである。この点,証人P1(原告事業本部アフター 事があって行けない」など),むしろ業務の重複等,業務上の不都合といった相当な理由があると思われるものが相当程度の割合を占めていることが窺われるところである。この点,証人P1(原告事業本部アフターメンテナンス事業部部長)も,「エリアが違う」や「遠い」とは,エリアが普段自分が担当している場所と異なり,遠いために,時間的に対応することができないという場合もあり得る旨証言している。 エ上記ウのように原告から業務依頼を受けたCEは,当該依頼のあった当日に顧客に連絡して,他の業務や自己の都合等を考慮して,訪問日時を決定する。もっとも,顧客からの依頼は,ライフラインに関わるという業務の性格上できるだけ早い対応が必要なことが多く,当日や翌日に訪問する必要があることも多い。なお,原告は,個々のCEの業務の完了率,発注残件数,稼働効率,修理金額及び件数に占める有償率,値引率,「i-mate」会員獲得件数等を一覧表にまとめたCE重点管理指標一覧表や過去1年以上の各月の発注残数の一覧表を作成し,CEの業務遂行状況を管理している。 顧客と調整した訪問日になると,CEは,再度顧客に連絡して日時を確認した上で顧客を訪問し,製品の修理・点検,サービス報告書の記入,カタログ類による製品の提案・説明,「i-mate」会員への勧誘,有償修理の場合の代金の授受等を行う。 そして,CEは,本件覚書5条により,業務遂行後遅滞なく原告に業務 の経過及び完了報告を行うこととされ,業務日ごとに行動の予定,経過,結果等を情報端末を利用して原告に報告する。原告への報告を遅延したCEに対しては,原告は始末書の提出を求めたことがあった。 オ CEに対する原告からの依頼の割付は,CEの業務日における業務時間及び担当エリアに応じて行われる。 CEの業務日は,CEの通 遅延したCEに対しては,原告は始末書の提出を求めたことがあった。 オ CEに対する原告からの依頼の割付は,CEの業務日における業務時間及び担当エリアに応じて行われる。 CEの業務日は,CEの通常の休日である日曜日及び祝日以外の日に業務を行わない日がある場合,CEが原告に事前に申請し,原告が翌月の「出勤日・休日連絡一覧表」の案を作成し,CEと調整を行って決定しており,原告は,各CEの業務日を把握している。なお,原告は,CEの休日である日曜日及び祝日には,近接するエリアの4名ないし6名のCEのうち1名がローテーションで業務を行うよう要請し,責任を持って対応することを求めている。原告がCEに業務を依頼する時間帯は,本件覚書12条により,原則として午前8時30分から午後7時までとされている。 CEは,業務日のこの時間帯には原告からの業務依頼の連絡を受けなければならない。 また,原告は,全国の各地域ごとに営業所を置き,その下に置かれた各サービスセンターの管轄区域を細分化し,本件覚書4条1項により,各CEの居住場所や過去の業務発注状況等を勘案しながら,各CEの担当地域としてのエリアを決定する。原告は,このエリアを決定するに当たり,各エリアのメインとなる第1担当CEのほかに,第2担当CE,第3担当CEを決めている。CEが業務に従事する場所は,原告が各CEに割り振ったエリア内の,原告から依頼を受けた顧客先となる。なお,原告は,CEに一旦割り振ったエリアについて,当該CEの業務遂行の状況等を理由として,削減等の変更を行うことがある。 (3) CEの報酬決定及び支払ア原告では,努力し成果を上げたCEが報われる制度となることを目的と するとしてCEライセンス制度を設け,CEを1級,2級,3級,4級及び仮CE認定級の5ランクにラン の報酬決定及び支払ア原告では,努力し成果を上げたCEが報われる制度となることを目的と するとしてCEライセンス制度を設け,CEを1級,2級,3級,4級及び仮CE認定級の5ランクにランク付けを行い,当該ランクにより報酬の支払比率に差異を設けている。 原告は,毎年1回,CEの能力(公的資格及び筆記試験の成績),実績(売上金額,「i-mate」会員獲得件数等のサービス生産性,サービスセンター所長の評価等)及び経験をもとに,CEを評価し,ランクの昇格,更新及び降格の判定を行っている。 イ CEの報酬は出来高制となっており,毎月末日までにCEが原告に提出したサービス報告書に基づき原告が計算して,翌月15日に原告から当該CEが指定する銀行口座に振り込まれる。なお,CEの報酬の額は,委託業務手数料約款に基づき原告が決めており,委託修理技術料に委託RS取付料,販売手数料,その他手数料及び出張料を加え控除額を減じて得た額となる。 (ア) 委託修理技術料有償修理の場合,顧客請求技術料×(基本支払比率+負荷支払比率)として算定され,無償修理(顧客から対価を取らず,INAXに請求する場合)の場合,顧客請求技術料×基本支払比率として算定される。顧客請求技術料は,修理の内容によって予め原告が標準金額を定めており,基本支払比率も,CEのランクごとに,予め原告が以下のとおり定めている。 CEのランク 1級 2級 3級 4級仮認定級基本支払比率 71 68 65 63 60(いずれもパーセント)有償修理の顧客請求技術料は,原告が顧客に対して請求するものであり,領収書も原告名義で発行される。無償修理の技術料は,INAXと原告の間で設定しており,原告がINAXに請求する。 なお,原告は, 客請求技術料は,原告が顧客に対して請求するものであり,領収書も原告名義で発行される。無償修理の技術料は,INAXと原告の間で設定しており,原告がINAXに請求する。 なお,原告は,「原告は,顧客請求技術料の標準額を定めているが,実際には,CEの独自の判断で当該標準額が増減されているのが実情であり,このような標準額以外の請求の割合は,平成19年10月以降確認されているだけでも約25パーセントにのぼっている。」と主張する。この点について,証人P2(INAXメンテナンス近畿分会副会長)は,同一種類・同一時間の作業でも,作業の工数が増えたような場合には,増額して請求することがある旨証言し,同人の陳述書(丙15)においても,「同じ部品交換であっても,場所が狭く作業が困難であるとか,2階,3階の設置であるため,搬入・搬出が困難であるとか,パイプの長さが異なり補強が必要になるなど,さまざまな事情が個々の作業現場毎に異なるため,その請求は一定の幅をもって行うことが会社から認められています。」旨供述し,証人P1は,無償修理についてINAXに技術料を請求する際,INAXから高すぎる旨クレームが付く(振り戻し)ことがあるが,その場合,現場での状況等をCEに確認し,正当な理由であれば請求金額を訂正しないことになる旨,また,原告の従業員が業務を行う場合にも技術料等の増減がある旨証言するとともに,CEからの標準外の委託修理技術料の請求について,標準金額と違うという理由で原告が支払を拒否することはない旨証言しているところ,上記各証言ないし供述部分によれば,顧客請求技術料はCEの独自の判断で標準額が増減されるというのではなく,原告の定めた標準額を基礎として現場の状況,作業工数の増減,作業の難易度等に応じて適正な範囲で技術料の増減が図られているの ば,顧客請求技術料はCEの独自の判断で標準額が増減されるというのではなく,原告の定めた標準額を基礎として現場の状況,作業工数の増減,作業の難易度等に応じて適正な範囲で技術料の増減が図られているのが実情であると認めるのが相当である。 (イ) 委託RS取付料顧客請求取付料に支払比率を乗じて算定される。顧客請求取付料及び支払比率は,いずれも予め原告が定めた金額ないし比率である。 (なお,原告は,委託RS取付料についても,前記(ア)と同様の主張をするが,CEの独自の判断で標準額を増減させているとは考え難いことは,前記(ア)で判示したとおりである。)(ウ) 販売手数料原告が定める商品をCEが顧客に販売した際に,販売額(定価から値引額を減じた額)に販売手数料支払比率を乗じて算定される。販売手数料支払比率は,予め原告がその算出方法を定めており,以下のとおり,値引率が低いほど,また,CEのランクが高いほど販売手数料支払比率は高くなるように定められている。 CEのランク販売手数料支払比率(パーセント)1級 12/30×(30-値引率)+142級 10/30×(30-値引率)+133級 4/30×(30-値引率)+114級以下 2/30×(30-値引率)+10(エ) その他手数料CEが休日又は時間外(午前8時30分から午後7時まで以外の時間帯)に業務を行った時及び研修のためにOJTを行ったときに支払われるもので,予め原告が定めた金額である。 (オ) 出張料CEが出張したときに支払われるもので,予め原告が定めた金額である。 (カ) 控除原告は,上記(ア)ないし(オ)から傷害保険料,CE協力会会費等を控除して,CEの報酬を支払っている。 なお,原告は,所得税及 きに支払われるもので,予め原告が定めた金額である。 (カ) 控除原告は,上記(ア)ないし(オ)から傷害保険料,CE協力会会費等を控除して,CEの報酬を支払っている。 なお,原告は,所得税及び住民税の源泉徴収は行っておらず,また,原告はCEを社会保険及び雇用保険に加入させていないので,これら に係る保険料の控除も行っていない。このため,CEは,個人事業主として確定申告を行うとともに,国民健康保険,国民年金等に加入している。 2 争点に対する判断以下,上記認定事実を踏まえて,争点に対する判断を行うこととする。 (1) 争点(1)(CEが労組法上の労働者に当たるか。)についてア労組法3条は,「この法律で『労働者』とは,職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」と定めているところ,同法上の労働者は,労働組合運動の主体となる地位にあるものであり,単に雇用契約によって使用される者に限定されず,他人(使用者)との間において使用従属の関係に立ち,その指揮監督のもとに労務に服し,労働の対価としての報酬を受け,これによって生活する者を指すと解するのが相当である。そして,この労組法上の「労働者」に該当するか否かの具体的の判断は,労務提供者とその相手方との間の業務に関する合意内容及び業務遂行の実態における,法的な従属関係を基礎づける諸要素(労働力の処分につき指揮命令ないし支配監督を受け,これに対して対価を受けるという関係を基礎付ける諸要素。より具体的には,労務提供者に業務の依頼に対する諾否の自由があるか否か,労務提供者が時間的・場所的拘束を受けているか否か,労務提供者が業務遂行について具体的指揮監督を受けているか否か,報酬が業務の対価として支払われているか否か等。)の有無・程度等を総 由があるか否か,労務提供者が時間的・場所的拘束を受けているか否か,労務提供者が業務遂行について具体的指揮監督を受けているか否か,報酬が業務の対価として支払われているか否か等。)の有無・程度等を総合考慮して決すべきである。この判断は,上記のとおり,種々の事情の総合判断であって,一つの要素が満たされたとしても直ちに上記従属関係を認めるべきことにはならないし,また,一つの要素が欠けたとしても直ちに上記従属関係を否定すべきことにはならないと解される。 これを前提に,以下,各要素について検討する。 イ業務の依頼に対する諾否の自由について(ア) 前記のとおり,CEとして原告に採用された者は,原告との間で本件覚書を締結するが,これは契約自体から原告の業務依頼権限とCEの業務遂行義務を規定するものであって,契約後の個別の依頼がその都度新たな合意になる旨明示するものではなく,その4条3項は,原告の受付センター及び原告の代行者から所定の方法により発注を受けた「CEは,善良なる管理者の注意をもって業務を直ちに遂行するものとする。なお,業務を遂行できないときは,その旨及び理由を直ちにIMT(原告)に通知しなければならない。」として,原告からの業務の依頼に対する原則的な受諾義務を定めている。 (イ) 原告は,別紙3のとおり,CEが原告の業務依頼を拒否する場合が相当数あるため,CEには業務の依頼に対する諾否の自由がある旨主張する。 しかしながら,別紙3のとおりの,CEの依頼拒否の事実があったとしても,証拠(甲3,6の1ないし5,甲7の1ないし4,甲29,乙B50,証人P1)によれば,原告に対しては,1か月7万件前後の修理依頼件数があること,そのうち,A-1の場面というのは約1割前後であること(1か月7万件の依頼件数の1割とすれば,1 4,甲29,乙B50,証人P1)によれば,原告に対しては,1か月7万件前後の修理依頼件数があること,そのうち,A-1の場面というのは約1割前後であること(1か月7万件の依頼件数の1割とすれば,1か月約7000件のA-1の場面があることになる。),このA-1段階での拒否件数は,一つの受付センターで,1日数件から,多い日には十数件となるなど,ある程度の数になることが認められ,A-2及びA-3段階での拒否件数も,全体の5ないし7パーセントとそれなりの割合を占めており,そのためA-1ないしA-3段階を通じて修理依頼件数の概ね10パーセント前後が拒否されていると推認されるが,それでも,CEに対する業務依頼のうち,おおよそ90パーセント程度は受付センターから連絡を受けたCEから拒否されることなく受諾 され,業務が遂行されていることが窺われる上に,前記1(2)ウ(オ)認定の事実及び証拠(甲6の1ないし5,甲7の1ないし4,甲8)によれば,CEが業務依頼を拒否した場合の拒否理由には,他の業務との重複等,相当な理由に基づくものがかなりの割合を占めていることが窺えるのであるから,CEが原告の業務の依頼に対して,諾否の自由を有するというような実態にあったと認めることもできない。確かに,CEの拒否理由の中には,専ら自己の都合によるものが存在することも窺えるが,これは上記の1か月7万件前後という修理依頼件数に対する拒否件数(前記のとおり,A-1ないしA-3段階を含めて,修理依頼件数の概ね10パーセント前後と推認される。)のうちの,さらにごく一部にすぎない。したがって,原告がCEに対し,その必要に応じて業務の依頼を行い,CEがこれを原則的に受諾する義務があるという前記(ア)の基本的な契約関係を前提としつつ,ただ,個々の場合に業務の不都合等を理由 い。したがって,原告がCEに対し,その必要に応じて業務の依頼を行い,CEがこれを原則的に受諾する義務があるという前記(ア)の基本的な契約関係を前提としつつ,ただ,個々の場合に業務の不都合等を理由に業務依頼を受諾しないことがあっても契約違反とならないとの趣旨の下に本件覚書4条3項が定められていると解するのが相当である。原告の前記主張は採用できない。 ウ時間的・場所的拘束性について(ア) CEと原告との間の本件覚書12条には,「IMT(原告)が,CEに対して委託業務を発注する時間帯は,原則として午前8時30分から午後7時までとする。」と定められ,CEは,予め原告に届け出た業務日には,午前8時30分から午後7時までの間,常態として原告からの業務依頼の連絡に対応している。そして,本件覚書4条3項には,CEが「直ちに」業務を遂行するものとあり,前記認定事実のとおり,CEは,顧客との訪問日時の調整の際,他の業務や自己の都合等を考慮して訪問日時を決定するところ,顧客からの依頼は,ライフラインに関わるという業務の性格上できるだけ早い対応が必要なこ とが多く,当日や翌日に訪問する必要があることも多いというのであるから,CEは,その労働力の処分につき時間的拘束を受けているといえる。 (イ) また,CEは,事業所への出社等を求められるものではないが,原告との関係で担当エリアを定められ,基本的にその範囲内の現場について業務依頼を受け,当該現場に赴いて修理等の作業を行うのであるから,その限度において,場所的的拘束を受けているといえる。 エ業務遂行についての具体的指揮監督について(ア) 原告は,CEに対し,詳細な業務マニュアル等を作成しており,同マニュアルには,作業手順,CEの心構え・役割,作業用工具・車の整理の仕方,姿勢・挨拶 務遂行についての具体的指揮監督について(ア) 原告は,CEに対し,詳細な業務マニュアル等を作成しており,同マニュアルには,作業手順,CEの心構え・役割,作業用工具・車の整理の仕方,姿勢・挨拶の角度,言葉遣いの具体例,電話のかけ方,身だしなみ等に至るまで,CEの業務の具体的な遂行方法について詳細に定められている。 (イ) CEと原告との間の本件覚書2条3項には,「IMT(原告)は,資格要件が維持されているか否かを確認するため,CEライセンス制度に基づき,CEの業務能力を評価するものとする。」と定められ,CEは,同制度において,5つのランクに分けられて,委託修理技術料及び販売手数料は,そのランクに応じて支払われる。同ランクは,毎年1回,CEの業務実績等(売上金額,サービスセンター所長の評価,顧客に対するアンケート調査(CS調査)等)を元に判定される。 (ウ) 本件覚書5条には「CEは,業務遂行後,遅滞なくIMT(原告)及び関係先に所定の用紙を用いて,経過及び完了報告を行うものとする。」と定められ,会社が,この報告を遅延したCEに対し,始末書の提出を求めたことがある。 (エ) 前記(ア)ないし(ウ)の事情によれば,CEは,業務遂行について,原告が業務マニュアル等で指定する方法によって行い,これを原告に 報告する義務があり,原告は,そのようなCEの業務遂行の状況に応じてCEを評価してこれを管理しているといい得るのであるから,原告がCEの業務遂行について具体的指揮監督を及ぼしているといえる。 オ報酬の業務対価性についてCEに対する報酬は,出来高制ではあるものの,原告独自の評価基準であるCEライセンス制度に基づくランクに応じて支払われ,同一の業務遂行の結果に対しても,その報酬額が異なるものである。また,CEが,休 Eに対する報酬は,出来高制ではあるものの,原告独自の評価基準であるCEライセンス制度に基づくランクに応じて支払われ,同一の業務遂行の結果に対しても,その報酬額が異なるものである。また,CEが,休日や時間外(午前8時30分から午後7時まで以外の時間帯)に業務を行ったときは,所定の「その他手数料」が支払われることになる。これらの事情によれば,CEの報酬は,業務の結果に対する対価というよりも,CEの提供した労務に対する対価としての性質を強く有するといえる。 カまとめ以上検討した前記イないしオの法的な従属関係を基礎付ける要素の存在及び程度を総合考慮すれば,CEは,原告の事業組織の中に組み入れられており,その労働力の処分につき原告から支配監督を受け,これに対して対価を受けていると評価することができるから,労組法上の労働者に当たるというべきである。 (2) 争点(2)(本件各団体交渉申入れに係る議題が義務的団交事項に当たるか。)について前記認定事実のとおり,本件各団体交渉申入れに係る議題は,CEが業務に従事する際の労働条件や,CEと原告の団体的労使関係の運営に関する事項であって,原告に処分可能なものであるから,義務的団交事項に当たる。 したがって,組合からの本件各団体交渉申入れを拒否した原告の対応は,労組法7条2号に該当する不当労働行為であり,これを認めた本件救済命令が違法であるとはいえない。 3 結論 以上の次第であり,本件救済命令が違法であるということはできず,その取消しを求める原告の本件請求は理由がない。 よって,本件請求を棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,66条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官 よって,本件請求を棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,66条を適用して,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官白石哲 裁判官田中芳樹 裁判官髙嶋由子

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