主文 控訴人らの本件控訴及び被控訴人の本件附帯控訴に基づいて,原判決を次のとおり変更する。 被控訴人の主位的請求をいずれも棄却する。 控訴人らは,被控訴人に対し,連帯して,10億円及びこれに対する平成25年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1審及び第2審とも控訴人らの負担とする。 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨原判決を取り消す。 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 附帯控訴の趣旨原判決を次のとおり変更する。 控訴人らは,被控訴人に対し,連帯して,10億円及びこれに対する平成25年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(被控訴人は,当審において,原審における5億円の請求をこのように拡張した。)。 仮執行宣言第2事案の概要 被控訴人は,顕微鏡,写真機,精密測定器その他光学機械の製造販売並びに修理及び賃貸事業を主たる事業とする東京証券取引所(以下「東証」という。)一部上場の株式会社(平成15年10月1日の変更前の商号は「オリンパス光学工業株式会社」)である。被控訴人は,本業の売上で輸出が占める割合が大きく,円高の影響を受けやすい収益構造であったため,営業外収益を拡大すべく金融資産の積極的な運用を図るようになっていたところ,平成2年頃のいわ ゆるバブル経済の崩壊によって金融資産に含み損を抱えるようになり,その損失が平成4年頃には約480億円であったものが,次第に拡大して,平成8年頃には約900億円に達していた。ところが,歴代社長の判断の下,この事実を公表せず,決算期には含み損がある金融資産を一時的に証券会社等に買い取らせて決算期後に買い戻したり,自社で組成した連結決算対象 頃には約900億円に達していた。ところが,歴代社長の判断の下,この事実を公表せず,決算期には含み損がある金融資産を一時的に証券会社等に買い取らせて決算期後に買い戻したり,自社で組成した連結決算対象外の海外投資ファンド(以下「簿外ファンド」という。)に買い取らせるといった「飛ばし」と呼ばれる手法等を用いて,簿外処理をして損失を隠匿していた。そうしたところ,企業会計原則の見直しにより,取得原価主義から時価評価主義へと金融資産の評価方法が変更されることとなり,監査法人の指導もあって,被控訴人が含み損を抱えた金融資産を簿外で維持する資金の供給源として用いていた「特定金銭信託」及び「特定金外信託」(信託銀行に開設した特金口座に預けた資産の運用を証券会社に任せて有価証券投資等を行うもので,契約終了時に金銭で引き渡されるのが特定金銭信託で,現状の有価証券等で引き渡されるのが特定金外信託である。以下,合わせて「特金等」という。)の解消を迫られ,従前のやり方では損失隠しの継続が難しくなる事態となった。 そこで,当時,被控訴人の総務・財務部長として,損失処理を所管していたAは,部下のB及びC(以上の3名を合わせて「Aら」ともいう。)とともに,簿外ファンドを維持して損失隠しを継続するために,新たな資金の調達方法として,守秘義務が厳格な外国銀行を利用しようと考え,ヒリテンシュタイン公国のLGTBankinLiechtensteinAG(以下「LGT銀行」という。)と交渉の末,LGT銀行に被控訴人が預け入れた預金を担保として,同銀行から簿外ファンドが融資を受けたり,あるいは,同銀行が運営するクラスファンドに被控訴人が出資し,同ファンドから他の投資ファンド等を経由して簿外ファンドへ資金供給を行うといった方法による損失隠しのスキーム(以下「本件損失隠しス たり,あるいは,同銀行が運営するクラスファンドに被控訴人が出資し,同ファンドから他の投資ファンド等を経由して簿外ファンドへ資金供給を行うといった方法による損失隠しのスキーム(以下「本件損失隠しスキーム」という。)を構築して,これによって簿外ファンドでの含み損のある金融資産の隠匿を継続していた。 しかし,その後も損失解消のめどが立たないため,被控訴人の新規事業の投資先とされていたベンチャー企業3社を利用して,その株式を簿外ファンドに取得させた上,同株式を本来の事業価値からかけ離れた高値で評価をして買い取り(その売買代金は,簿外ファンドへ供給した資金の返済原資となり,順次償還して投資関係を解消し,最終的には被控訴人が回収する。),最後にこれらを被控訴人が取得することで,被控訴人の子会社とした後,評価差額分をのれん計上して毎年償却処理することによって,隠れ損失を一切計上することなく解消しようとしたが(以下「本件損失解消スキーム」という。),後に就任した被控訴人の外国人社長による問題提起を契機として,損失疑惑が大きく報道され,被控訴人に設置された第三者委員会の調査によって,事が明るみになった。 本件は,被控訴人が,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームの構築とその実行に当たり,経営コンサルティング会社を営む控訴人らが深く関わり,これによって控訴人らが不当に管理手数料や報酬を得たり,あるいは,被控訴人に不当に高額に評価したベンチャー企業3社の株式を取得させて,実態の伴わない過大なのれんを計上する不適切な会計処理を行わせたことにより,これに基づく虚偽の有価証券報告書を作成して提出したことで,被控訴人が罰金7億円の刑に処せられ,また,課徴金1986万円を納付することになる等,被控訴人に多大な損害を与えたと主張し,控訴人らに対し,共同 に基づく虚偽の有価証券報告書を作成して提出したことで,被控訴人が罰金7億円の刑に処せられ,また,課徴金1986万円を納付することになる等,被控訴人に多大な損害を与えたと主張し,控訴人らに対し,共同不法行為による損害賠償請求権に基づいて,主位的な請求として,①ベンチャー企業3社の株式の取得原価と被控訴人側の購入価格の差額分572億9540万円及び②被控訴人が有価証券報告書虚偽記載の罪に問われて納付した罰金7億円及び平成23年4月1日から同年6月30日までの四半期報告書の虚偽記載を理由とする課徴金1986万円の合計580億1526万円のうち,これら損害金の一部請求として5億円及びこれに対する罰金納付の日である平成25年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め, 予備的な請求として,③ファンド管理手数料等として,控訴人らにこれまで支払った費用等117億6338万4926円に上記②の罰金及び課徴金相当額7億1986万円を加えた合計124億8324万4926円のうち,これら損害金の一部請求として5億円及びこれに対する罰金納付の日である平成25年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 なお,本件で関係する国内外の法人その他の組織の略語表記については,別紙「略語表記一覧表」記載のとおりである。 原審は,控訴人らにおいて,被控訴人の損失隠しに関する認識を有して,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームの構築及びその実行に関与した旨を判示し,その責任原因があることを認めた上,損害については,上記①の損害を否定したが,上記②の損害を認定して,被控訴人の請求を全額認容したところ,これを不服とする控訴人らが控訴をした。また,被控訴人は,当審において,損害金の一部請 めた上,損害については,上記①の損害を否定したが,上記②の損害を認定して,被控訴人の請求を全額認容したところ,これを不服とする控訴人らが控訴をした。また,被控訴人は,当審において,損害金の一部請求の金額を5億円から10億円に増額する旨の附帯控訴をした。 前提事実前提事実については,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の2(原判決3頁12行目から20頁16行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決3頁末行の「組織再編により」の次に「経理部から切り離され,」を加える。 原判決4頁3行目の「平成9年に」を「平成9年4月に新設された」と改める。 原判決4頁12行目及び19行目の「財務部長」を「総務・財務部長」にそれぞれ改める。 原判決5頁5行目末尾の次に「昭和61年頃に東京第2事業法人部に所属 し,」を加える。 原判決5頁7行目の「Aらと知り合った。」を「Aの知遇を得た。」と改める。 原判決5頁8行目の「被告Dは,」の次に「その後,野村企業情報株式会社(以下「野村企業情報」という。)へ出向し,さらに,米国企業のワッサースタイン・ペレラへ出向して米国勤務を経た後,」を加える。 原判決5頁13行目の「153」を「153,乙ロ36」と改める。 原判決5頁15行目の「株式会社」を削除する。 原判決5頁20行目の「平成11年5月,」を削除する。 原判決5頁20行目から21行目にかけての「156」を「156,乙ロ36」と改める。 原判決5頁22行目の「入社し,」の次に「名古屋駅前支店,本店資本市場部に勤務した後,昭和63年頃から8年間のドイツ勤務を経て,」を加える。 原判決5頁23行目から24行目にかけての「被告Eと知り合い,」を「控訴人Eと同じ部署で働く機会があり,」と改める。 原判決 場部に勤務した後,昭和63年頃から8年間のドイツ勤務を経て,」を加える。 原判決5頁23行目から24行目にかけての「被告Eと知り合い,」を「控訴人Eと同じ部署で働く機会があり,」と改める。 原判決5頁24行目の「平成10年12月頃までに」を「平成10年7月頃,東京勤務となって帰国したが,同年12月頃までに」と改める。 原判決6頁初行から2行目にかけての「平成6年2月頃まで野村證券で勤務していたが,同月頃同社を退職し,」を「昭和62年4月,野村證券に入社し,翌年から4年間,オランダのアムステルダムで勤務し,帰国後は本社勤務となったが,平成6年2月頃に退職して,ゴールドマンサックス証券に移った後,」と改める。 原判決6頁9行目の「甲」の次に「75,」を加える。 原判決6頁19行目の「甲2,」を「甲2の1から2の2の3まで,76,」と改める。 原判決6頁20行目の「ケイマン諸島」を「英国領ケイマン諸島」と改める。 原判決6頁24行目から25行目にかけての「設立した。(甲3,239)」を「設立し,控訴人ら及びFの3名が取締役に就任した。(甲3の1から3の2の3まで,239)」と改める,原判決7頁3行目から4行目にかけての「平成8年1月25日に組成されたケイマン諸島籍の簿外ファンドであり,」を「平成8年1月25日に設立されたケイマン諸島籍の特別目的会社(簿外ファンド)であり,」と改める。 原判決7頁6行目の「(弁論の全趣旨)」を「(甲38,108,239)」と改める。 原判決7頁8行目から9行目にかけての「平成9年3月26日に組成されたケイマン諸島籍の簿外ファンドであり,」を「平成9年3月26日に設立されたケイマン諸島籍の特別目的会社(簿外ファンド)であり,」と改める。 原判決7頁11行目の「(弁論の全趣旨)」を「(甲38,108,239)」と 簿外ファンドであり,」を「平成9年3月26日に設立されたケイマン諸島籍の特別目的会社(簿外ファンド)であり,」と改める。 原判決7頁11行目の「(弁論の全趣旨)」を「(甲38,108,239)」と改める。 原判決7頁13行目から14行目にかけての「遅くとも平成12年3月10日に組成されたケイマン諸島籍の簿外ファンドであり,」を「平成12年3月10日に設立されたケイマン諸島籍の特別目的会社(簿外ファンド)であり,」と改める。 原判決7頁16行目の「(弁論の全趣旨)」を「(甲108,239)」と改める。 原判決7頁23行目の「ファンド」を「特別目的会社」と改める。 原判決8頁初行の「(甲9)」を「(甲9の1,9の2,82,108,239)」と改める。 原判決8頁14行目の「Fにあった。」の次に「(甲108,239)」を加える。 原判決8頁19行目の「ファンドである。」の次に「(甲108)」を加える。 原判決9頁16行目の「(甲5,12,13,251)」を「(甲5,12の1,12の2,13の1,13の2,251)」と改める。 原判決9頁19行目の「原告は,」の次に「顕微鏡,写真機及び内視鏡等を主力製品として,売上げのおよそ半分を欧米への輸出によって稼いでいたが,」を加える。 原判決9頁20行目の「Gの方針に従って」を「Gの方針に従い,その減少分を営業外利益で補填しようと,」と改める。 原判決9頁23行目の「いわゆるバブル経済が崩壊し,」を「いわゆるバブル経済の崩壊に加え,米国における「ブラックマンデー」を契機とする世界的な株価の大幅な下落によって,」と改める。 原判決10頁8行目の「その後,」を「外資系証券会社を通じて,仕組債やスワップ,投資信託等,」と改める。 原判決10頁15行目から16行目にかけての「メディア・トラスト等の簿外ファンド」 と改める。 原判決10頁8行目の「その後,」を「外資系証券会社を通じて,仕組債やスワップ,投資信託等,」と改める。 原判決10頁15行目から16行目にかけての「メディア・トラスト等の簿外ファンド」を「一群の簿外ファンド(被控訴人ではこれらを総称して「メディア・トラスト」と呼んでいた。以下「メディア・トラスト」という。)」と改める。 原判決10頁21行目から23行目の「伴い,」までを「ところが,被控訴人は,巨額損失の噂が市場に流れて株価が下落したことで,監査法人から特金等の早期解消を求められたため,特金等からの資金によって維持していたメディア・トラストを整理縮小して,含み損を抱える金融資産を集約する方針を採り,」と改める。 原判決10頁24行目の「集約され,」の次に「被控訴人やOAMが貸し付けた国債等を資金化することで,」を加える。 原判決11頁18行目の「その子会社である」を削除する。 原判決12頁19行目の「甲9」を「甲9の1,9の2」と改める。 原判決13頁14行目から15行目にかけての「このままでは簿外ファンドが債務超過の状態となり,」を「簿外ファンドが債務超過の状態のままでは,」と改める。 原判決13頁16行目の「かさむ一方であった。」を「かさむ一方,キャピタルゲインを期待して簿外ファンドを通じて投資した新事業3社が,近い将来の上場がおぼつかない状態にあって,この関係を早期に解消する必要があった。」と改める。 原判決13頁18行目から19行目にかけての「原告及びGCNVにそれらの株式を本来の価値より高い金額で買い取らせる,」を「GCNVがそれらの株式を本来の価値より高い金額で買い取った後,被控訴人がこれらの株式を引き取り,新事業3社を被控訴人の子会社とする,」と改める。 原判決13頁21行目の「債務超過状態を解消する,」を「GC がそれらの株式を本来の価値より高い金額で買い取った後,被控訴人がこれらの株式を引き取り,新事業3社を被控訴人の子会社とする,」と改める。 原判決13頁21行目の「債務超過状態を解消する,」を「GCNVとQPとの債権債務を清算し,QPを切り離す,」と改める。 原判決14頁21行目の「(甲5,27)」を「(甲5,27の1,27の2,97)」と改める。 原判決15頁3行目の「甲94」を「甲94の2」と改める。 原判決15頁12行目の「対象とされた。」の次に「(甲96)」を加える。 原判決15頁17行目の「甲113」を「甲113の1から113の28まで」と改める。 原判決15頁22行目の「115」を「115の1,115の2」と改める。 原判決15頁23行目の「GCNVの解散」から25行目の「解約金として」までを「平成18年3月31日,出資の一部解約に伴う返還金として,2000万円を支払ったほか,平成19年10月1日には,GCNVの解散に伴う中途解約金として,」と改める。 原判決16頁2行目の「114,116」を「114の1,114の2,116の1,116の2」と改める。 原判決16頁5行目から6行目にかけての「117,118」を「117の1から117の16まで,118の1,118の2」と改める。 原判決16頁10行目の「119,」を「119の1,119の2,」と改める。 原判決16頁15行目の「129」を「129の1,129の2」と改める。 原判決16頁20行目の「121,」を「121の1,121の2」と改める。 原判決16頁22行目の「関東財務局において,」を「内閣総理大臣(金融庁長官)に対し,」と改める。 原判決17頁5行目から8行目までを次のとおり改める。 「被控訴人は,平成18年4月1日から同年6月30日までの間の各会計期間において,重要 て,」を「内閣総理大臣(金融庁長官)に対し,」と改める。 原判決17頁5行目から8行目までを次のとおり改める。 「被控訴人は,平成18年4月1日から同年6月30日までの間の各会計期間において,重要な事項につき虚偽の記載がある報告書を提出したとして,平成24年7月11日,金融商品取引法185条の7第1項に基づき,金融庁長官から課徴金1億9181万9994円の納付命令を受けた。被控訴人は,同月31日,後記の刑事訴訟の対象とされていない平成23年4月1日から同年6月30日までの四半期報告書に関する部分の課徴金1986万円を納付し,その後,後記の刑事判決の確定を受けて,金融庁長官は,平成25年9月4日,同法185条の8第8項に基づき,その余の課徴金の部分につき納付命令を取り消した。(甲132から134まで)」原判決19頁24行目の「装うなどして,」の次に「上記会社の代表者に対して,虚偽の説明を行って,新事業3社の新株引受けを勧誘し,」を加える。 原判決20頁16行目末尾の後に改行して,次を加える。 「エ東京高等裁判所は,平成28年9月29日,控訴人ら及びFの主張を全て排斥して,本件各控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。 これを不服とする控訴人らは上告をした。(甲311,弁論の全趣旨)」 争点及びこれに対する当事者の主張争点及びこれに対する当事者の主張は,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要等」の「第3争点及びこれに対する当事者の主張」の1から5まで(原判決20頁18行目から60頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決20頁23行目の「被告Dに対し,」の次に「含み損失の実態を打ち明け,」と加える。 原判決20頁25行目の「原告の損失金額等を」を「被控訴人の損失金額な 載のとおりであるから,これを引用する。 原判決20頁23行目の「被告Dに対し,」の次に「含み損失の実態を打ち明け,」と加える。 原判決20頁25行目の「原告の損失金額等を」を「被控訴人の損失金額など,Aとやり取りした内容を」と改める。 原判決21頁2行目から3行目の「特金等に含み損約400から500億円を抱えており,これらを公表していないことを打ち明け,」を「被控訴人が現在でも約400から500億円の含み損失を抱えていることを打ち明け,」と改める。 原判決22頁18行目の「そのうち320億円が」の次に「QPの債権購入を名目として」を加える。 原判決25頁25行目の「Dらに対して」を「控訴人Dらに対して」と改める。 原判決26頁初行の「ITVが」の次に「増資に応じて」を加える。 原判決31頁初行の「原告の担当となって以降,」を「被控訴人の担当を離れて以降,」と改める。 原判決31頁25行目末尾の後に改行して次を加える。 「LGT銀行からわずか2週間という短期間のうちに300億円の融資が実現できたとは考えられない。被控訴人が口座開設時に差し入れた印鑑証明 書が平成10年2月3日付けであったことを見ても,被控訴人とLGT銀行は,上記会食の以前から接触があったものと考えられる。」原判決32頁11行目の「事業投資ファンドの構想は,」の次に「新事業創成を図る事業投資ファンドとして,GC社が提案して採用されたものであって,」を加える。 原判決33頁16行目の「被告EがTEAOやNEOの組成手続を行った事実はなく,」を「控訴人DがTEAOやNEOの組成に関与したことはなく,」と改める。 原判決36頁16行目末尾の後に改行して次を加える。 「控訴人Dは,国税局の税務調査に対応していたFが疲弊して,NEOの業務を止めたいと申し出たので,これを了承し,その後 たことはなく,」と改める。 原判決36頁16行目末尾の後に改行して次を加える。 「控訴人Dは,国税局の税務調査に対応していたFが疲弊して,NEOの業務を止めたいと申し出たので,これを了承し,その後のNEOの業務執行組合員の地位移譲については,他の者に任せていたため,その詳細を知らない。」原判決36頁24行目末尾の後に次を加える。 「GC社は,控訴人らが野村證券時代に付き合いのあった多数の上場企業や大会社に対するコンサルティング業務の提供を経営の主軸とすることを目指すとともに,金融商品として親和性があり利益率に優れた保険代理店業務を事業の柱の1つとしており,複数の生命保険会社の乗合代理店業務を展開していたものであり,その中の1社であった被控訴人の要請を受け,内視鏡事業に過度に依存した体制からの脱却を目指す被控訴人の悲願であった新規事業の創成について,コンサルティング業務を提供していたものである。」原判決36頁末行から37頁3行目までを次のとおり改める。 「平成4年頃,Aが控訴人Dに対して,被控訴人の含み損の金額を打ち明け,公表すべきか否か相談したことはなく,控訴人Eは,控訴人Dから被控訴人の含み損の説明を受けたこともない。」原判決37頁13行目の「Hら」を「控訴人D及びH」と改める。 原判決37頁25行目の「専ら原告の新規事業」から38頁6行目までを「GC社の提案によって組成された被控訴人の新規事業の発掘及び育成を目的とした事業投資ファンドであって,被控訴人の損失隠しとは全く関係がなく,簿外ファンドに資金を移す目的はなかった。少なくとも,簿外ファンドへの送金目的がGC社と共有されたことはなかったもので,控訴人Eはこのことを認識しておらず,認識することもできなかった。GCNV,TEAO及びNEO等を利用した損失隠しスキームは,専ら 簿外ファンドへの送金目的がGC社と共有されたことはなかったもので,控訴人Eはこのことを認識しておらず,認識することもできなかった。GCNV,TEAO及びNEO等を利用した損失隠しスキームは,専ら被控訴人で考案されたものである。控訴人Eは,GCNVの有限責任組合員であるGVが被控訴人と無関係の第三者として認識しており,被控訴人から資金が拠出されていることは知らなかった。実際,GVの組成契約は外国人名義であったし,外国ファンドであるGVのため,年次報告書等の書類は英文で作成していた。」と改める。 原判決38頁9行目末尾に「控訴人Eは,CFCというファンドの存在も知らなかった。」を加える。 原判決38頁11行目の「これに拘束された。」を「これに拘束されることになり,QPへ送金する短期運用資金について,GCIケイマンは一切関知しておらず,」と改める。 原判決38頁18行目の「監査法人の許可を得て」を「監査法人と相談して」と改める。 原判決38頁19行目の「個々の送金行為は行っておらず,」を「個々の送金事務を担当しておらず,」と改める。 原判決38頁末行の「デジタルアーカイブ事業のため,」の次に「英国に立ち寄って,」を加える。 原判決39頁3行目から4行目にかけての「被告Eも,原告がLGT銀行から,GIM購入を拒否された席に同席した記憶はない。」を「控訴人Eは,GIM購入の予定を知らされたことも,その商談の場に同席したこともな い。」と改める。 原判決39頁5行目の「Eは,」を「控訴人Eは,」と改める。 原判決40頁24行目末尾の後に次を加える。 「損失解消スキームの内容は,特段の専門性はなく,被控訴人側だけで考案することができるものであり,控訴人らの助力は必要としなかった。」原判決40頁末行の「被告Eは,」を「売買とその買取価格の決定は,専 損失解消スキームの内容は,特段の専門性はなく,被控訴人側だけで考案することができるものであり,控訴人らの助力は必要としなかった。」原判決40頁末行の「被告Eは,」を「売買とその買取価格の決定は,専ら被控訴人によるものである。控訴人Eは,新事業3社を被控訴人の新規事業候補として,その投資及び育成を行っていたものであり,損失隠しスキームの解消に使うという認識はなかったのであり,」と改める。 原判決41頁5行目の「各送金は,個々の送金の集合にすぎず,」を「送金手続は,指示書を提出するだけの簡単な事務であり,」と改める。 原判決41頁24行目末尾の次に「仮に,簿外損失処理に利用することの共謀があれば,その金額を端的に伝えれば足りるはずなのに,Aらは,何度も事業計画の作り直しを指示し,その挙げ句,控訴人Eが目標数値を外して作成した事業計画を提出したことは,上記の共謀がなかったことを表している。」を加える,原判決42頁初行の「被告Eは,」を「平成20年売買は,被控訴人と,NEOの業務執行組合員の地位を移譲されたGurdonのIとの間で行われたものであり,控訴人らは,新事業3社の子会社化に関与することはなかったし,控訴人Eは,」と改める。 原判決42頁17行目の「Fであるが」を「Gurdonの事務手続を補佐していたFであり,」と改める。 原判決43頁8行目末尾の次に「NEOの業務執行組合員を移譲したのは,今後も国税局の税務調査が入った場合のリスクを回避するためであり,その移譲後は,Gurdonが業務執行組合員として全ての業務を行っていたと認識していた。」を加える。 原判決44頁8行目から12行目までを次のとおり改める。 「ITVからの送金も,NEOを経由してQPへ送金されており,直接には行われていない。仮に控訴人らと共謀があれば,直接送金するこ 加える。 原判決44頁8行目から12行目までを次のとおり改める。 「ITVからの送金も,NEOを経由してQPへ送金されており,直接には行われていない。仮に控訴人らと共謀があれば,直接送金することが簡便であるが,それが行われていないことは共謀が存在しないことを示している。」原判決44頁17行目から18行目にかけての「GCNVの業務執行組合員である」を「GCNVとNEOの業務執行組合員を兼務した」と改める。 原判決44頁20行目の「認識を有しているならば通常とらない行動をとっている。」を「認識を有しているならば,このような行動を避けるはずである。」と改める。 原判決44頁24行目の「客観的な物証等」を「客観的な資料」と改める。 原判決44頁25行目の「多数の物証が存在しているが」を「多数の資料が残されていたが,」と改める。 原判決45頁16行目から18行目までを「違法行為を犯す危険を冒してまで,被控訴人の損失隠しに加担する理由はなく,GC社以外でもキャリアを活かす場がいろいろあり,経済的な面からもGC社にこだわる必要はなかった。」と改める。 原判決47頁13行目の「禁反言である。」を「禁反言の原則により許されない。」と改める。 原判決47頁17行目の「算定されるものであり,」の次に「急成長を描く事業計画も珍しくなく,」を加える。 原判決49頁21行目から22行目にかけての「想定していない。」から50頁初行までを次のとおり改める。 「想定しておらず,特に両罰規定がある犯罪の場合,行為者本人も刑事責任を問われるときには,法人の求償を許すと,実質的に二重処罰を受ける結果となって明らかに不当である。したがって,両罰規定によって法人が処罰 される場合の罰金刑は,法人固有の責任に基づくものと解すべきであり,法人が処せられた罰金刑相当額は,当該法 重処罰を受ける結果となって明らかに不当である。したがって,両罰規定によって法人が処罰 される場合の罰金刑は,法人固有の責任に基づくものと解すべきであり,法人が処せられた罰金刑相当額は,当該法人に補填されるべき損害ではない。 また,課徴金についても,金融商品取引法における課徴金制度は,違法行為の抑止を図り,規制の実効性を確保するという行政目的を達成することにあり,罰金刑の場合と同様に求償を許し,課徴金相当額の回収ができてしまうと,上記の制度趣旨が没却されることになる。したがって,法人に課せられた課徴金も,当該法人に填補されるべき損害には当たらない。」原判決53頁末行の「管理手数料」を「正当な報酬」と改める。 原判決54頁21行目の「損害であるということはできない。」を「損害ではない。」と改める。 原判決54頁24行目の「GCNVを」から55頁初行までを「GCNVの中途解約を申し入れ,被控訴人とGCIケイマンが協議の上,被控訴人が違約金を支払う旨を合意したものであって,正当な根拠に基づく支払であるから,被控訴人の損害にはならない。」と改める。 原判決55頁12行目の「NEOの管理手数料は,」の次に,「GCIケイマンにおいては,NEOの業務執行組合員としてその業務の執行をしており,」と加える。 原判決55頁19行目から20行目にかけての「「導管」ではなく,手数料を支払う根拠を欠くということはできない。」を「ベンチャーファンドとしての実態があった。」と改める。 原判決55頁22行目から24行目までを「控訴人Eは,Gurdonに対して,NEOの業務執行組合員としての地位を移譲したと認識しており,その後は,GCIケイマンが報酬を請求できるとは思っていなかったのであり,平成20年頃,Aらに対し,報酬として12億円以上を請求したということはない。」 行組合員としての地位を移譲したと認識しており,その後は,GCIケイマンが報酬を請求できるとは思っていなかったのであり,平成20年頃,Aらに対し,報酬として12億円以上を請求したということはない。」と改める。 原判決56頁18行目の「GIM-Oであって,」を「LGT銀行又はG IM-Oの運用者であるLGT銀行の関連会社であって,」と改める。 原判決56頁24行目の「損害賠償の相手方は,」の次に「LGT銀行又は」を加える。 原判決57頁9行目の「その趣旨は,未払であった平成18年売買の報酬であるところ,Gurdonが既に閉鎖され,Gurdonを通じての受領ができなくなったために」を「TEAOからNaylandへの送金の趣旨は,平成18年売買の報酬残金の支払であり,Gurdonの解散手続によって支払ができなくなったため,」と改める。 原判決57頁14行目の「単に銀行業務を」から16行目までを「単にLGT銀行の業務を行っていたにすぎないのであるから,控訴人らが,被控訴人に対し,Hへ報酬を支払うよう要請することはあり得ない。」と改める。 原判決58頁初行の末尾の次に「また,被控訴人は,会社法等によって,その役員又は従業員であるAらに対する監督を行う手段が保障されていたが,控訴人らにはそのような監督義務はないし,その手段もなかったのであり,被控訴人の代表者も加わって行われた損失隠しについては,被控訴人に大きな責任があるから,不法原因給付あるいは信義則の法理によって,被控訴人の損害賠償請求は許されない。」を加える。 原判決58頁16行目の「損害の発生について原告の過失は」を「損害の発生について,内部統制あるいは監視監督の機能不全という被控訴人の過失は,」と改める。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,責任原因については,控訴人らにおいて,GCNV て原告の過失は」を「損害の発生について,内部統制あるいは監視監督の機能不全という被控訴人の過失は,」と改める。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,責任原因については,控訴人らにおいて,GCNVの組成以後,被控訴人の損失隠しの認識を有し,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームの構築及びその実行に関与したと認められ,Aらの損失隠しによる不適切な会計処理とこれに基づき虚偽の有価証券報告書を作成して提出した一連の行為を容易ならしめたものとして,被控訴人に対する共同不法行為が成立する と判断する。しかしながら,損害については,原審と異なり,被控訴人の主位的請求に係る損害を認めることができないが,予備的請求に係る損害は本件附帯控訴による増額部分を含めて認めることができるから,原判決を変更して,被控訴人の主位的請求を棄却するとともに,本件附帯控訴に基づき,控訴人らに対し,連帯して,10億円及びこれに対する不法行為の後の日(被控訴人の罰金納付の日)である平成25年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう命ずるのが相当であると判断する。その理由は,次のとおりである。 判断の前提となる事実関係について判断の前提となる事実関係については,前掲の前提事実のほか,認定事実として,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第 争点に対する判断」の1(原判決60頁9行目から84頁初行まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決60頁13行目の「Aから」を「当時,被控訴人の経理部資金グループに所属していたAから」と改める。 原判決60頁14行目の「原資を使って」を「原資を使って,今期中に」と改める。 原判決60頁15行目の「頼まれ,」の次に「株式の売買により」を加える。 原判決 ープに所属していたAから」と改める。 原判決60頁14行目の「原資を使って」を「原資を使って,今期中に」と改める。 原判決60頁15行目の「頼まれ,」の次に「株式の売買により」を加える。 原判決60頁18行目の「80億円の利益」から22行目の「得るようになった。」までを「80億円くらいまで取り戻していたが,ちょうどその頃,同年10月19日に発生した世界的な株価の大暴落(いわゆるブラックマンデー)に遭遇し,被控訴人が約300億円の損失を被ったため,ワラント債を100億円分購入するなどの方策を講じた結果,400億円の利益を上げてその損失を回復したことから,控訴人Dは,その手腕を高く評価されて,G社長を始めとする被控訴人の幹部やAら財務担当者の大きな信頼を得るよ うになった。」と改める。 原判決60頁24行目から25行目にかけての「決算上表に出さないように指示され,」を「決算での公表を控えるように指示されたので,いったん」と改める。 原判決60頁末行の「買い戻す対応をした。」を「買い戻す,いわゆる「飛ばし」の処理をした。」と改める。 原判決61頁2行目の「原告は,」の次に「昭和63年9月に控訴人Dが担当を外れた後,」を加える。 原判決61頁22行目の「損失は」から23行目の「それを公表せず,」までを「損失は公表すべきであると意見を述べたが,結局,Aは,被控訴人のG社長の指示に従って公表せず,その当時,」と改める。 原判決62頁7行目の「約900億となり,」を「約900億円に膨らみ,」と改める。 原判決62頁9行目から10行目にかけての「買い取らせる」の次に「方法を用いて」を加える。 原判決62頁10行目の「平成9年の後半頃に,」を「Aが被控訴人の総務・財務部長に就任した平成9年の後半頃に,」と改める。 原判決62頁13行目の「模索していた る」の次に「方法を用いて」を加える。 原判決62頁10行目の「平成9年の後半頃に,」を「Aが被控訴人の総務・財務部長に就任した平成9年の後半頃に,」と改める。 原判決62頁13行目の「模索していた。」の次に「(甲187)」を加える。 原判決62頁16行目から17行目にかけての「被告らに対し,LGT銀行では,」を「上記駐在所に控訴人らの訪問を受けた際などに,LGT銀行は,プライベートバンクとしての格付けが高く,顧客のプライバシーを守る金融機関で世界の中でも守秘性が高いなどと紹介し,」と改める。 原判決62頁21行目の「Hは,」から末行までを次のとおり改める。 「Hは,平成10年3月に入り,控訴人Dから連絡を受け,今度オリンパスの関係者を連れて行くから,LGT銀行の説明ができるように準備して欲 しいと頼まれ,同月7日夜,指定された東京都港区六本木の飲食店「プレイバッハ」に出向くと,控訴人Dから,A,B及びC(なお,Cだけ遅参して後から加わった。)と引き合わされた。その際,ちょうど任地の英国から帰国していた控訴人Eもその場に同席していた。Hは,Aらに対し,持参したLGT銀行の資料を示しながら,ヒリテンシュタイン王家がオーナーである銀行で,プライベートバンクとして格付けが高いことや,顧客のプライバシー保護を重視しているといった特徴を説明し,Aらからは,被控訴人がLGT銀行に口座を開設することを考えているといった話がなされた。(甲75,142,147,156)」原判決63頁2行目の「LGT銀行に」から5行目までを「LGT銀行に口座を開設したいとの申出を受け,間もなくして,B及びCから,平成10年3月の期末に間に合うように,上記口座の預金を担保として,被控訴人が運営するCFCに融資して欲しいと依頼を受けた。これを不可思議に思ったHが,被控訴 出を受け,間もなくして,B及びCから,平成10年3月の期末に間に合うように,上記口座の預金を担保として,被控訴人が運営するCFCに融資して欲しいと依頼を受けた。これを不可思議に思ったHが,被控訴人においてCFCへ直に融資しない理由を尋ねると,医療機関と取引がある被控訴人が,欧州で病院を買収する計画を持っていることを知られたくないからであると説明された。」と改める。 原判決63頁15行目末尾の後に「(甲39,49,75)」を加える。 原判決63頁17行目の「Hに,監査法人からの残高確認照会に対して,」を「Hに対し,被控訴人の監査法人から残高確認照会があった場合には,」と改める。 原判決63頁19行目の「申し入れており,LGT銀行は,」を「申し入れ,Hからその要望を伝えられたLGT銀行は,」と改める。 原判決63頁23行目の「GC社は,」を次のように改める。 「控訴人Dは,平成10年5月22日,Hの紹介で,来日していたLGT銀行頭取であるJ及びアジア担当のIとホテル・オークラで面談し,持論のデータベース・マーケティング事業を語るなどしたところ,翌月に控訴人ら が設立する予定のGC社とLGT銀行との間で,インターミディアリー契約を締結することとなり,後日,LGT銀行からの支援として,1年目に60万ドル,2年目に30万ドルの提供を受けることも決まった(その後,LGT銀行からGC社に対し,平成10年8月から平成12年2月までの間に合計97万5000ドルが送金された。)。 そして,同年6月29日にGC社を設立すると,GC社は,」原判決63頁末行の「(甲76)」を「(甲2の1,76,77,147,153)」と改める。 原判決64頁3行目の「噂が流れ,」の次に「Aが財務の責任者としてこれを否定したものの,」を加える。 原判決64頁9行目の「しかし,」 6)」を「(甲2の1,76,77,147,153)」と改める。 原判決64頁3行目の「噂が流れ,」の次に「Aが財務の責任者としてこれを否定したものの,」を加える。 原判決64頁9行目の「しかし,」の次に「これを取り戻すためには,」を加える。 原判決64頁10行目の「足りず,」の次に「LGT銀行に預金を増やすことで融資の増額を打診したが断られたため,」を加える。 原判決64頁11行目の「(甲40)」を「(甲40,47,60)」と改める。 原判決64頁24行目の「原告,GCIケイマン,AらがKに組成させたGVは,」を「AらがKに依頼して,特別目的会社のGVを設立した上で,被控訴人,GV及びGCIケイマンとの間で,」と改める。 原判決65頁3行目から4行目にかけての「甲9,41,」を「甲9の1,9の2,42,」と改める。 原判決65頁7行目の「QPに対し,」の次に「QPが発行する債券を買い取るものとして,」を加える。 原判決65頁15行目から16行目にかけての「説明することが想定されていた。」を「説明するためであった。」と改める。 原判決65頁19行目から20行目にかけての「被告Dが行った。(甲5 2,60,79)」を「被告Dが送金指示書に署名して手続を行った。(甲52,60,79,153)」と改める。 原判決65頁21行目から66頁8行目までを次のとおり改める。 「ウなお,被控訴人とGCIケイマンは,GCNVからQPへ資金提供するに当たり,①QPを短期現金運用先として用いることを被控訴人の条件とし,②GCIケイマンは,QPに対してデューデリジェンス(網羅的,多角的な事前調査)を一切行うことなく,被控訴人の要求を受諾し,③被控訴人からの当初払込後,速やかにQPへ300億円を送金し,被控訴人は随時GCIケイマンに対して金額の変更を指示すること (網羅的,多角的な事前調査)を一切行うことなく,被控訴人の要求を受諾し,③被控訴人からの当初払込後,速やかにQPへ300億円を送金し,被控訴人は随時GCIケイマンに対して金額の変更を指示することができ,④被控訴人は,GCNV及びQPとの関係に起因する一切の責任,損失,損害等について,GCIケイマンに対して補償することなどを合意していた。(甲136,乙ロ7)」エ前記イのとおり,GCNVの組成後,QPへ資金を移したが,GCNVでは期末である毎年12月末に監査が入るため,その決算期直前になると,いったんQPから利息相当額を付した資金がGCNVへ戻され,決算期後に再びQPへ資金を移すという資金移動が定期的に繰り返され,これらの事務手続をFが行っていたが,このような資金移動について,GCNVの業務執行組合員であるGCIケイマンの役員として控訴人らは,これを疑問視することは全くなく,Aらに説明を求めることもしなかった。(甲52,81,160,161)」原判決66頁20行目の「甲52,」を「甲41,52,153,」と改める。 原判決66頁23行目の「LGT銀行において格の高いクラスファンドとされているGIMを購入し,」を「LGT銀行での預金を担保として融資の増額が見込めなくなったため,今度は,LGT銀行が組成するクラスファンドに投資して,」と改める。 原判決67頁初行から6行目までを次のとおり改める。 「そこで,平成12年2月26日から同年3月3日頃までの日程で,当時の会長であるGが,ヒリテンシュタイン公国を訪れてLGT銀行を表敬訪問した際,Bのほかに,H及び控訴人Eが同行したところ,ミーティングの席上,GIMの規模に比べて被控訴人の出資額が大きいことを懸念したLGT銀行から,突然,GIMへの出資を断られる事態となった。その後,Hを通 Bのほかに,H及び控訴人Eが同行したところ,ミーティングの席上,GIMの規模に比べて被控訴人の出資額が大きいことを懸念したLGT銀行から,突然,GIMへの出資を断られる事態となった。その後,Hを通じてLGT銀行と交渉した結果,LGT銀行が被控訴人のために,新たなクラスファンドを組成することとなり,被控訴人が既に「GIM」への出資に関する社内の承認を得ていた関係から,その名称を「GIM-O」とした。 (甲52,53,76,147,191,215)」原判決67頁8行目から13行目までを次のとおり改める。 「Aらは,平成12年3月,GIM-Oを通じたQPへの資金供給の方法を検討したところ,簿外の特別目的会社や特例有限責任組合を設立し,これらを介してQPへ資金供給をすることに決め,その名称をそれぞれTEAO,NEOとすることとした。そして,ちょうどその頃,控訴人EがGC社の用務でケイマン諸島に出張していたことから,直ちに連絡をとって,上記の設立・登録手続を依頼した。 控訴人Eは,現地の弁護士事務所に依頼をして,特別目的会社であるTEAOの設立手続と特例有限責任組合のNEOの登録手続を執り,TEAOが同月10日付けで設立され,NEOが同月15日付けで登録された。」原判決67頁25行目から末行にかけての「79,」の次に「147,」を加える。 原判決68頁20行目の「3月15ないし16日頃,」を「3月15日付けで,」と改める。 原判決69頁16行目の「GCIケイマンに補償する」を「GCIケイマンを免責する」と改める。 原判決70頁初行の「(甲161,260)」を「(甲139,161,260)」と改める。 原判決70頁5行目の「独立してITXが組成される」を「独立して分社化し,ITXが設立される」と改める。 原判決71頁24行目の「であった。」を 60)」を「(甲139,161,260)」と改める。 原判決70頁5行目の「独立してITXが組成される」を「独立して分社化し,ITXが設立される」と改める。 原判決71頁24行目の「であった。」を「であり,営業損失1億3141万8383円を計上していた。」と改める。 原判決72頁初行の「なかった。」を「なく,営業損失2520万0877円を計上していた。」と改める。 原判決72頁4行目かから5行目にかけての「14万円,」の次に「営業損失2520万0877円を計上し,」を加える。 原判決72頁5行目の「であった。」を「であり,営業損失は2億3420万7520円を計上していた。」と改める。 原判決72頁9行目の「期待できるとして,」から11行目の「企てた。」までを「期待できると考え,上場した際のキャピタルゲインを損失解消に用いることを予定していたが,近い将来上場が可能となるような状況ではなかったため,まずは,NEOやITVに低廉な価格で取得させた新事業3社の株式を,被控訴人やGCNVが実質的な価値に比べてはるかに高額な価格をもって買い取り,その対価として支払う代金をもって,被控訴人の各資金供給ルートを通じたNEO等に対する貸付金の返済に充てさせることで,資金の回収を図り,投資関係を終了させることを計画した。」と改める。 原判決76頁17行目の「27,」を「27の1,27の2,」と改める。 原判決76頁末行の「136」を「44,136」と改める。 原判決78頁初行の「同日,」を「平成20年4月25日,」と改める。 原判決78頁6行目から7行目にかけての「これを現物で引き取った。(甲94)」を「OFHから上記と同じ価格で買い取った。(甲94の2,99)」と改める。 原判決78頁14行目末尾の次に「そして,QPは,同日のうちに,これをCFCに送金し 現物で引き取った。(甲94)」を「OFHから上記と同じ価格で買い取った。(甲94の2,99)」と改める。 原判決78頁14行目末尾の次に「そして,QPは,同日のうちに,これをCFCに送金し,CFCからLGT銀行に借入金を弁済して,取引当初に被控訴人が差し入れた預金担保を解放してもらい,その預金約351億円の払戻しを受けた。」を加える。 原判決78頁17行目から18行目にかけての「TEAOに送金した。(甲94,99)」を「TEAOに送金し,TEAOはGIM-Oへ送金し,最終的に被控訴人やOAM(その後,OFHが承継した。)の出資の償還を受けた(甲94の2,99)」と改める。 原判決79頁8行目の「23日にも,」の次に「書面をもって,」を加える。 原判決79頁21行目から22行目を次のとおり改める。 「被控訴人は,これらの指摘を踏まえ,平成21年3月期に,新事業3社の株式取得に係る「のれん」について,557億円の減損処理をした。(甲5)」原判決81頁2行目から3行目にかけての「(177,178)」を「(甲96,177,178,297)」と改める。 原判決81頁6行目の「160,」の次に「161,」を加える。 原判決82頁8行目の「243」を「243,297」と改める。 原判決82頁22行目の「294」を「294,297」と改める。 原判決83頁2行目の「9月29日頃」を「9月25日頃」と改める。 原判決83頁5行目の「170,」の次に「172,」を加える。 原判決83頁12行目の「(甲172,甲178)」を「(甲176,177,178)と改める。 原判決83頁21行目の「同日頃」を「同月9日」と改める。 原判決83頁24行目の「同日頃」を「同日」と改める。 争点1(控訴人らはAらによる被控訴人の損失隠しの事実を認識してこれに 関与した 原判決83頁21行目の「同日頃」を「同月9日」と改める。 原判決83頁24行目の「同日頃」を「同日」と改める。 争点1(控訴人らはAらによる被控訴人の損失隠しの事実を認識してこれに 関与したか。)について⑴簿外ファンドに対する資金供給ルート構築への関与についてア被控訴人が含み損を抱える金融資産を簿外ファンドに移転した経緯前記第2の4の前提事実及び前記2の認定事実によると,①被控訴人は,昭和60年頃以降,デリバティブ商品や仕組債等による金融資産の運用を始めたものの,バブル経済の崩壊により,金融資産に多額の含み損を抱えることになり,平成4年3月期末頃には約480億円にまで膨れ上がったこと(前提事実⑷ア(引用に係る原判決の番号。以下同じ)),②被控訴人の金融資産の運用を任されていたAらは,当時のG社長の指示の下,「期末の飛ばし」を行うなどして被控訴人の損失を隠匿するようになったこと(同),③被控訴人は,平成8年頃には約900億円にまで損失が拡大したため,Aらは,海外に被控訴人の連結決算の対象とならない簿外ファンドを組成し,被控訴人や被控訴人の子会社であるOAMが保有する特金等の資産の中から国債等を貸し付け,簿外ファンドにおいてこれを売却し,その資金をもって被控訴人の金融資産を簿価で買い取らせ,その後,被控訴人の金融資産をCFCとQPの2つの簿外ファンドに集約させた結果,平成10年頃には,CFCとQPが900から950億円の含み損を抱える金融資産を保有するに至ったこと(同イ)が認められる。 イ簿外ファンドに対する資金供給ルートが構築された経緯ところが,①企業会計原則の見直しにより,時価評価主義を採用するとの動きが現れるようになり,Aは,平成9年の後半頃,被控訴人の監査法人の公認会計士から,特金等の資産を計画的に解消することが望ま 経緯ところが,①企業会計原則の見直しにより,時価評価主義を採用するとの動きが現れるようになり,Aは,平成9年の後半頃,被控訴人の監査法人の公認会計士から,特金等の資産を計画的に解消することが望ましいと指摘されたが,国債等を簿外ファンドに貸し付けたままの状態では,特金等の残高を減らすことができない上,監査法人から国債等の貸付先を明らかにするように求められた場合,多額の含み損を抱えた被控訴人の金融資産の存在が露見してしまうおそれがあったため,簿外ファンドに新たな資 金を供給して国債等を買い戻す方法を模索することにしたこと(前提事実⑷ウ),②そこで,Aらは,守秘義務が徹底した海外の銀行から借入れをすることを検討していたところ,平成10年3月頃,控訴人Dから同控訴人のかつての部下でありヒリテンシュタイン公国に本店があるLGT銀行の東京駐在所の所長をしていたHを紹介され,同月23日,被控訴人とOAMの名義でLGT銀行に口座を開き,口座内の資産に債務者をCFCとする根担保権を設定するとともに,被控訴人名義口座とOAM名義口座に計380億円を入金し,それを担保に,LGT銀行は,CFCに対し,同年3月27日に180億円,同年8月6日に120億円の融資をしたこと(LGT銀行ルート。前記2の認定事実⑵ア(引用に係る原判決の番号。 以下同じ)),③被控訴人は,平成11年9月末頃,損失を抱えていた仕組債を買戻し特約付きで金融機関に簿価で買ってもらっていたことが,監査法人に知られ,平成12年3月期末までに特金等を解約するよう強く指導されたこと(同⑶),④そこで,Aらは,同月1日,ケイマン諸島に事業投資ファンドとしてGCNVを組成して被控訴人及びGVがこれに出資し,GCNVは,同月17日,QPに対し,上記出資金合計額350億円のうち320億円を債券購 で,Aらは,同月1日,ケイマン諸島に事業投資ファンドとしてGCNVを組成して被控訴人及びGVがこれに出資し,GCNVは,同月17日,QPに対し,上記出資金合計額350億円のうち320億円を債券購入代金として送金したこと(GCNVルート。 同⑷),⑤GCNVルートと並行して,Aらは,LGT銀行に新たなファンドとしてGIM-Oを組成してもらい,さらに,ケイマン諸島にTEAO及びNEOという新たな簿外ファンドを組成し,同月21日,被控訴人が150億円,OAMが200億円をGIM-Oに出資し,同日,同出資金のうち310億円がGIM-OからTEAOに対して債券購入代金として送金され,さらに,翌22日,TEAOからNEOに対し,有限責任組合員からの出資金として300億円が順次送金され,NEOから,同月24日,QPに債券購入代金として194億円が送金されたこと(GIM-Oルート。同⑸),⑥LGT銀行ルート,GCNVルート及びGIM-O ルートによって簿外ファンドであるCFC及びQPに流れた資金によって,CFC及びQPは,特金等から借りていた国債等を買い戻し,被控訴人及びOAMにこれを返還したこと(同⑵,⑷,⑸)が認められ,これによって,Aらは,特金等を解消することができ,被控訴人の巨額の簿外損失の発覚を免れることができたものということができる。 ウLGT銀行ルート構築に対する控訴人らの認識及び関与について前記2の認定事実によると,LGT銀行ルート構築については,控訴人Dにおいて,かつての部下でありLGT銀行の東京駐在所の所長をしていたHをAらに紹介し,また,設立したばかりのGC社が,LGT銀行から支援として合計97万5000ドルの提供を受け,平成9年11月頃,LGT銀行との間で,インターミディアリー契約を締結したことなどの事実関係が認めら し,また,設立したばかりのGC社が,LGT銀行から支援として合計97万5000ドルの提供を受け,平成9年11月頃,LGT銀行との間で,インターミディアリー契約を締結したことなどの事実関係が認められるものの,控訴人らが,被控訴人においてLGT銀行に口座を開き,口座内の資産に債務者をCFCとする根担保権を設定して,CFCに対し,計300億円の融資を得るといった行動について認識し,これに関与したということまではできない。 エGCNVルート構築に対する控訴人らの認識及び関与について前記2の認定事実によると,①被控訴人は,朝日監査法人から,平成12年3月期末までに特金等を解約するよう強く指導され,Aらは,かかる処理の前倒しを余儀なくされたこと(同⑶)),②このような中,控訴人らは,Aらに対し,被控訴人が中心となって事業投資ファンドを組成する案を提案し,Aらは,組成した事業投資ファンドに被控訴人が出資し,その資金を簿外ファンドに流すことを決めたこと(同⑷ア),③GCNVの保有する銀行口座からの送金を指示することができる署名権者は,業務執行組合員であるGCIケイマンの役員としての控訴人ら及びFであったこと(同イ),④GCNV組成後,その資金がQPに移されたものの,GCNVには期末である12月末に監査が入るため,GC NVの決算期直前になるとQPから資金が戻され,決算期後に再びQPに資金を出すという資金移動が繰り返されたが,このような資金移動がされることについて,GCNVの業務執行組合員であるGCIケイマンの役員として控訴人らから疑問が呈されることはなかったこと(同ウ),⑤Aらは,GCNVルートを構築し,これを実行に移すに当たって,虎ノ門にあるGC社の事務所に集まって打合せをしており,控訴人ら及びFは,控訴人Dが方針を決め,控訴人Eがそれ はなかったこと(同ウ),⑤Aらは,GCNVルートを構築し,これを実行に移すに当たって,虎ノ門にあるGC社の事務所に集まって打合せをしており,控訴人ら及びFは,控訴人Dが方針を決め,控訴人Eがそれを具体化し,Fが実務的な手続を担当するといった役割分担をしていたこと(同オ)が認められる。 これに対し,控訴人らは,控訴人らがAらに提案したのは,飽くまでも被控訴人の新事業のための事業投資ファンドの創設であり,被控訴人の損失を隠匿するためのものではない,Aらから余剰資金300億円はQPにおいて短期の資産運用をすると指示されたものであり,これらが特金等の解消のために使われたことは知らなかった旨主張し,控訴人らは本件刑事訴訟においても同趣旨の供述(甲153,156)をしている。また,Aらは,組成したGCNVにおいて有望なベンチャー企業を発掘させ,それによって得られたキャピタルゲインを損失の解消に使うことも念頭に置いており,控訴人らがテクノマイニング株式会社を立ち上げて実際に事業を行うなどしたことは,前記認定事実(⑷カ)のとおりである。 しかしながら,前記認定事実(⑷イ)のとおり,GCNVに対しては,被控訴人及びGVから合計350億円の出資がされているが,そのうち約300億円もの巨額の資金が短期資金運用の名目でQPへ移され,前記認定事実(⑻)のとおり,期末毎にいったん資金がGCNVへ戻されるという機械的な資金移動が繰り返されていたもので,返還時に利息相当額が付されていて短期資金運用の体裁が整えられていたとしても,新 規事業の発掘及び育成という元々のGCNVの目的に全くそぐわない資金運用といえ,仮に控訴人らが損失隠しの目的を知らなかったとするならば,GCNVの業務執行を委ねられた立場から,Aらに対して,疑問を示して説明を求めるなり,運用に関 GCNVの目的に全くそぐわない資金運用といえ,仮に控訴人らが損失隠しの目的を知らなかったとするならば,GCNVの業務執行を委ねられた立場から,Aらに対して,疑問を示して説明を求めるなり,運用に関する助言を与えるなり,あるいは意見具申することがあっても然るべきであるのに,そのような行動に一切及んでいないことは,GCNVの真の目的やQPへ移された資金用途について,控訴人らが事前に承知していたことを窺わせ,控訴人らは,Aらから被控訴人が巨額の損失を抱えていることを知らされていたものと認められる。そして,Aは,本件刑事訴訟において,QPで資金を要する事情について,控訴人らに対し,「簿外ファンドでロスを付けるときに,国債を借りたりしていたので,350(億)のうち300(億)ほどはいったんそっちで使わせてもらうことになります。ファンドの決算期には戻しておくようにします。」などと説明した旨を供述(甲42,52,137,139,142,145)しているところ,控訴人らのQPとの資金移動に関わる上記の態度は,係る供述の信用性を裏付けているということができる。 この点,控訴人らは,短期資金運用先のQPへの300億円の送金が条件となっており,QPへのデューデリジェンスを不要とし,GCIケイマンを免責する内容のAgreementの存在を指摘し,QPへの送金と償還が義務的なものであったから,その資金移動をもって,損失隠しの認識を裏付けることはできないと主張する。しかしながら,もともと控訴人らが,被控訴人に対し,新規事業の発掘及び育成を目的とした投資ファンドの組成を提案して採用されたにもかかわらず,被控訴人が投資する大半を占める300億円を他に用いることについて,控訴人らは被控訴人から具体的かつ合理的な説明を受けたことは述べておらず,上記内容のAgree を提案して採用されたにもかかわらず,被控訴人が投資する大半を占める300億円を他に用いることについて,控訴人らは被控訴人から具体的かつ合理的な説明を受けたことは述べておらず,上記内容のAgreementを交わした理由についても具体的な説 明がなされていない。むしろ,Agreementは,QPへの送金が損失隠しを目的としていることを認識した上で,これが露見した際の免責を得ようとしたものと解するのが合理的である。 以上の事情に照らせば,GCNVは,表向きは新規事業の発掘及び育成を目的としていたが,実際には,被控訴人の損失を抱えた資産を保有するQPへの資金供給を真の目的としていたものであって,控訴人らもそのことを認識した上で,GCNVの組成とその運営に関与していたと認められる。 オGIM-Oルート構築に対する控訴人らの認識及び関与について前記2の認定事実によると,①LGT銀行からGIMへの投資を断られるという経緯があったものの,Hを通じてLGT銀行と交渉した結果,被控訴人のためにGIM-Oというファンドが新たに組成されることになったこと(⑸ア),②Aらは,平成12年3月,ケイマン諸島にTEAO及びNEOを組成し,被控訴人がGIM-Oに出資した資金をTEAO,NEOを介してQPに供給することを決めたこと(同イ),③同月8日から12日までケイマン諸島に出張していた控訴人Eは,現地の弁護士事務所に依頼してTEAO及びNEOの組成手続を行い,同月10日付けでTEAOが,同月15日付けでNEOが組成されたこと(同),④同月23日にNEOから101億円が出資されてITVが組成されたこと(⑹ア)が認められる。 上記の事実について,控訴人らは,AらにGIM-Oを被控訴人の損失隠しに利用する思惑のあることは知らなかった旨主張し,本件刑事訴訟におい 円が出資されてITVが組成されたこと(⑹ア)が認められる。 上記の事実について,控訴人らは,AらにGIM-Oを被控訴人の損失隠しに利用する思惑のあることは知らなかった旨主張し,本件刑事訴訟においても同趣旨の供述(甲153,157)をしている。 しかしながら,前記2の認定事実(⑸イ,⑹)のとおり,被控訴人及びOAMがGIM-Oに対して出資した350億円は,そのうち310億円がTEAOに債券購入代金として送金され,さらに,TEAOから NEOに出資金として300億円が送金された後,NEOからITVに出資金として101億円が送金されてITXの株式の購入に充てられたほかは,QPに債券購入代金として194億円が送金され,QPは,同資金を用いて特金等が貸し付けていた国債等を買い戻し,被控訴人及びOAMに返還するなどしたものである。そうすると,ITXの株式購入に充てられた額は,被控訴人及びOAMが出資した額の3分の1にも満たなかったのであり,それも,前記認定事実(⑹)のとおり,ITXの株式をITVという簿外ファンドで引き受け,将来キャピタルゲインが得られれば,これを被控訴人の簿外損失の解消に充てることにしたというにすぎず,いずれにしてもGIM-Oもまた,そこに投じた金額の多くが新規事業への投資として運用されておらず,本来の目的とは相違していたものである。そして,GIM-Oの資金運用者とされたLGTケイマンは,GC社をアドバイザーとしていたことは前記認定事実(ウ)のとおりであって,GC社が実質的にその運用に関与していたものであり,更にNEOの業務執行組合員をGCIケイマンが務めていたのであったから,GCNVの場合と同様に,その真の目的やTEAOから短期資金運用の名目でNEOへ移動した資金の用途について,控訴人らが承知していたことが認められ 行組合員をGCIケイマンが務めていたのであったから,GCNVの場合と同様に,その真の目的やTEAOから短期資金運用の名目でNEOへ移動した資金の用途について,控訴人らが承知していたことが認められるのである。 係る事情は,控訴人らが,被控訴人が巨額の損失を抱えていることを認識していたことと符合し,先行するGCNV組成の経緯とその運用状況と軌を一にすることになる。また,Aは,本件刑事訴訟において,被控訴人の損失隠しのため,GIM-Oを使って,被控訴人の簿外ファンドへ資金を供給する方法を控訴人らと相談したと供述(甲42,136)し,B及びCも同旨の供述(甲53,139,142)をしているところ,GIM-OやTEAOの運営を任されていた控訴人のNEO等への資金移動に関わる態度は,これらの供述の信用性を 裏付けている。 以上の事情に照らせば,GIM-O並びにそこから資金移動があったTEAO及びNEOについては,表向きは新規事業の発掘及び育成を目的としながら,実際には,被控訴人の損失を抱えた資産を保有するQPへの資金供給や,損失解消に用いるキャピタルゲイン獲得を真の目的としており,控訴人らもそのことを認識した上で,GIM-O,TEAO及びNEOの組成とその運営に関与していたと認められる。 ⑵新事業3社を利用した被控訴人の損失隠しへの関与についてアAらが新事業3社を被控訴人の損失隠しに利用した経緯前記2の認定事実によると,①GCNVは,平成12年に事業投資ファンドとして組成されたものであり,被控訴人の新事業の発掘を標ぼうしてきたが,組成から5年程度経過した時点でも,適当な企業が見つからない状況が続いていたこと(⑺ア),②控訴人らは,平成17年頃,Aらに対し,控訴人らが設立するなどした新事業3社を紹介したところ,新事業3社は,当時,売上 程度経過した時点でも,適当な企業が見つからない状況が続いていたこと(⑺ア),②控訴人らは,平成17年頃,Aらに対し,控訴人らが設立するなどした新事業3社を紹介したところ,新事業3社は,当時,売上がほとんどない状態であったが,Aらは,新事業3社の事業が被控訴人の既存事業とある程度関連性を有しており,被控訴人の人材その他の経営資源を活用でき,また対象とする市場規模が大きく,事業としての成長も期待できるとして,GCNVや被控訴人が簿外ファンドから新事業3社の株式を巨額の代金で買い取り,簿外ファンドへ支払う売買代金をもって,簿外ファンドに対する貸付金の弁済に充てさせることで,資金の回収を図ることを計画したこと(同イ~エ),③そこで,Aらは,被控訴人が新事業3社に投資することについて,被控訴人の事業投資審査委員会の承認を得るため,新事業3社が数年後には数百億円もの売上が見込まれる旨の事業計画書を控訴人らに作成させ,同委員会に出席させて説明させるなどしたこと(同オ,カ),④平成12年以降,GCNVとQPとの間において資金移動が繰り返されていたが,監査を通じて被控訴人の 損失隠しが発覚するおそれがあったため,Aらは,GCNVがNEO及びITVから新事業3社の株式を総額107億8040万円で購入し(平成18年売買),これを含む送金取引によって,同年3月までにGCNVが保有していたQPの債券240億円を全て償還し,両者間の債権債務関係を解消させたこと(同⑻ア),⑤平成19年9月21日にGCNVが解散し,GCNVが保有していた新事業3社の株式を被控訴人が引き取り,同株式は,被控訴人の連結貸借対照表において,平成18年売買の取得価格(簿価)で資産として計上されたこと(同イ),⑥Aらは,平成20年3月までに新事業3社を被控訴人の子会社化することを決 引き取り,同株式は,被控訴人の連結貸借対照表において,平成18年売買の取得価格(簿価)で資産として計上されたこと(同イ),⑥Aらは,平成20年3月までに新事業3社を被控訴人の子会社化することを決め,被控訴人及び被控訴人の連結子会社であるOFHは,同月26日,NEO及びITVから新事業3社の株式を総額607億9500万円で購入し(平成20年売買),その結果,平成20年3月期の被控訴人の連結貸借対照表において約545億円ののれんが計上され,これによって被控訴人の簿外損失が計数上解消され,被控訴人の簿外ファンドは全て解散したこと(同⑼)が認められる。 イ新事業3社を利用した被控訴人の損失隠しに対する控訴人らの認識及び関与について控訴人らは,Aらに新事業3社を推奨したことはなく,被控訴人の損失に対する認識も,Aらから新事業3社を被控訴人の損失隠しに使うとの説明もなかったから,新事業3社の株式の売却益を被控訴人の簿外損失解消の引き当てとする意図もなかったとし,新事業3社の株価も,被控訴人がこれを新規事業と位置づけて力をいれていくことを踏まえたものであるから,何ら不合理なものではない旨主張し,控訴人らは本件刑事訴訟においても同趣旨の供述(甲153,157)をしている。 しかしながら,Aらが,新事業3社の事業計画を主導したものであるとしても,もともとが被控訴人の簿外損失の解消のために利用する目的であ り,平成17年当時の新事業3社の事業の実態からして,直ぐに広範な営業活動を展開して採算ベースに乗るような状態にはなく,1,2年のうちに億単位の売上げを産み出し,わずか数年で数百億円の売上規模に拡大するような状況ではなかったことは,容易に認識することができたというべきである。 加えて,控訴人らは,①前記認定事実(⑾)のとおり,平成18年売買 げを産み出し,わずか数年で数百億円の売上規模に拡大するような状況ではなかったことは,容易に認識することができたというべきである。 加えて,控訴人らは,①前記認定事実(⑾)のとおり,平成18年売買及び平成20年売買に係る報酬として,控訴人ら及びFが,平成20年9月11日にNEOからLGT銀行のGurdon名義の口座に12億5925万円を送金させ,同年12月19日にTEAOからLGT銀行のNayland名義の口座に9億5000万円を送金させ,②Gurdon名義の口座からIの手数料分を差し引いた残額全部をE-Quality名義の口座に移し,Nayland名義の口座から同様に手数料分を差し引いた残額全部をInstage名義の口座に移し,③E-Quality名義の口座及びInstage名義の口座にある全額を,シンガポールで組成したユニット・トラストのPanPacific口座に送金し,④そこから,ヒリテンシュタイン公国に設けた控訴人Dを受益者とするPerfectSense財団名義の口座,控訴人Eを受益者とするFineBalance財団名義の口座及びFを受益者とするGreenLantern財団名義の口座に,それぞれ5:3:2の割合で分割して送金しており,控訴人らが,被控訴人の新事業3社株式の取得に伴って多額の報酬を取得したことが,容易に判明し難い仕組みをあらかじめ設けて,これを巧みに隠蔽しようとしていたのであって,控訴人らにおいて,新事業3社の株式取得をめぐる報酬が正当なものではないとの認識を有していたことを裏付けている。 控訴人らは,被控訴人が巨額の損失を抱えていることを認識しつつ,GGNVルート及びGIM-Oルートの構築とその運営に関わってきたものであり,表向きはその目的を被控訴人による新規事業の発掘及び育 成としながら,実際には 額の損失を抱えていることを認識しつつ,GGNVルート及びGIM-Oルートの構築とその運営に関わってきたものであり,表向きはその目的を被控訴人による新規事業の発掘及び育 成としながら,実際には被控訴人の損失隠しを目的としていたことを認識していたといえることは既に説示したとおりであるが,Aらは,本件刑事訴訟において,控訴人ら及びFとの間で,簿外ファンドが抱える損失の解消方法を何度か協議した旨を供述(甲43,54,61,136,139)しており,上記認定の事情に照らせば,Aらの上記各供述を信用することができる。 以上によれば,控訴人らは,被控訴人による新事業3社の株式取得が,本件損失解消スキームの一環であるとの認識を有していたというべきである。 ⑶控訴人らの不法行為責任以上のとおり,被控訴人の総務・財務部長や役員を務めたAらは,バブル経済の崩壊を発端として被控訴人の金融資産に1000億円に近い含み損を抱えることになったため,当時の被控訴人の社長の意向を受け,簿外ファンドを組成して損失を隠匿していたところ,その発覚を防ぐため,資金を簿外ファンドに供給する手段として,LGT銀行ルート,GCNVルート及びGIM-Oルートを構築し,さらに,簿外ファンドが取得していた新事業3社の株式を巨額の価格で購入して新事業3社を被控訴人の子会社とした上,被控訴人の連結貸借対照表にのれんを計上し,これを償却することによって被控訴人の簿外損失を密かに解消しようと画策したものであり,その過程において,実体の伴わない過大なのれんを計上した虚偽の有価証券報告書を作成して提出したものである。 このようなAらの行為は,証券取引法又は金融商品取引法に違反する行為であり,これによって,被控訴人は,証券取引法又は金融商品取引法の両罰規定により同法違反の罪で起訴され,7億 て提出したものである。 このようなAらの行為は,証券取引法又は金融商品取引法に違反する行為であり,これによって,被控訴人は,証券取引法又は金融商品取引法の両罰規定により同法違反の罪で起訴され,7億円の罰金刑を受けてその納付をすることになったものであるから,Aらの一連の行為は,被控訴人に対する不法行為に当たるというべきである。 そして,控訴人らは,①GCNVルート及びGIM-Oルートの構築の目的が被控訴人の損失を隠匿することにあることを認識しながら,GCNVの組成,運営,QPとの間の資金移動,TEAO,NEO及びITVの組成,QPに至るまでの資金移動,GIM-O及びITVの運営に関わり,また,②新事業3社に対する投資の目的が被控訴人の簿外損失を解消することにあることを認識して,平成17年頃,Aらに新事業3社を紹介し,新事業3社の事業計画の作成,平成18年売買,平成18年3月の送金取引によるQPのGCNVに対する債務の弁済,GCNVの解散による被控訴人の新事業3社の株式の取得,平成20年売買に関わったものである。そうすると,控訴人らは,Aらの不法行為を幇助したというべきであるから,民法719条2項に基づき,共同行為者とみなして,被控訴人に生じた損害を賠償すべき責任がある。 争点2(被控訴人の損害)について⑴被控訴人の主位的請求(新事業3社株式の売買価格と取得価格の差額相当分,罰金及び課徴金)についてア被控訴人は,主位的請求として,①被控訴人が最終的に取得した新事業3社株式の売買代金と,簿外ファンドによるもともとの取得価格との差額の合計572億9540万円,②被控訴人が納付した罰金及び課徴金合計7億1986万円について,損害を受けたと主張する。 イ新事業3社株式の取得原価と購入価格の差額相当分上記①の点については,平成1 の合計572億9540万円,②被控訴人が納付した罰金及び課徴金合計7億1986万円について,損害を受けたと主張する。 イ新事業3社株式の取得原価と購入価格の差額相当分上記①の点については,平成18年売買及び平成20年売買と,その後の被控訴人による新事業3社の株式取得は,本件損失解消スキームの一環として実施されたものであったことは,上記で認定したとおりであり,経済的な実態に即して係るスキーム全体を見れば,損失がある資産を抱えた簿外ファンドを処理するために,簿外ファンドに取得させた新事業3社の株式を売買する名目で,その代金を支払うものとして,簿外ファンドに資 金を移動させた後,これを原資として簿外ファンドから貸付金の回収を図るという,いわば被控訴人の支配下で資金を循環させていたにすぎないものであって,ある一定の目的を実現するために,複数の法律関係を組み合わせて取引関係を構築している場合,部分的な法律関係に基づく出捐のみを捉えて,その利害得失を判断することは相当でなく,新事業3社の株式取得のために支出した費用は,最終的に被控訴人へ償還されたものであるから,被控訴人の損害に当たらないというべきである。 したがって,被控訴人のこの点に関する主張は採用することができない。 ウ罰金及び課徴金上記②の点については,被控訴人は,有価証券報告書の虚偽記載の罪に問われて,罰金7億円に処せられる刑事の有罪判決を受け,また,金融庁長官から課徴金の納付命令を受け,いずれも完納(ただし,課徴金については,刑事判決後に納付命令が取り消されなかった部分の1986万円のみ。)したことは前掲の前提事実のとおりであり,これによって,被控訴人は,財産的損失を被ったことになる。 他方で,もともと刑罰は,犯罪に対する非難として,国家によって犯罪行為者に科せられる一定の法 み。)したことは前掲の前提事実のとおりであり,これによって,被控訴人は,財産的損失を被ったことになる。 他方で,もともと刑罰は,犯罪に対する非難として,国家によって犯罪行為者に科せられる一定の法益のはく奪であり,当該犯罪行為者に加えられるものであるから,本質的に一身専属的な性質を有するものである。したがって,刑事上では,犯罪行為者が自然人である場合はもとより,法人処罰規定がある場合には法人であっても,刑罰として罰金刑が科されたときには,その一身専属性の故に,原則として,これを他に転嫁することは許されない。そして,被控訴人が問われた有価証券報告書の虚偽記載の罪は,企業の事業や財務内容等を広く一般に開示し,一般投資家が投資判断を行うのに必要な情報を提供することで,一般投資家を保護し,もって有価証券の発行及び流通の円滑化と価格形成の公正を図ることを目的としたものであって,法人自体の保護を目的とするものではない。むしろ,財務 内容を隠蔽するという自社の不当な利益を図るための法人自体による違法行為であるから,本来的にその罪科を負うべきは当該法人である。係る違法行為について,当該法人が,実際の実行行為者である役員や従業員に対して,所属する当該法人に財産的損害を与えたものとして,当該法人との委任契約や雇用契約等の義務違反として当該法人の内部において損害賠償責任を追及することはやむを得ないとしても,これに加功した外部の第三者との関係において,その罪責として受けた財産のはく奪を財産的被害と主張し,本犯である当該法人が従犯に止まる第三者に対して全額の損害賠償を許容することは,実質的に本犯が受けるべき刑罰を他に転嫁するに等しいことになりかねない。とりわけ,本件においては,控訴人らは,有価証券報告書の虚偽記載の基礎となる法律関係の作出に寄与している 賠償を許容することは,実質的に本犯が受けるべき刑罰を他に転嫁するに等しいことになりかねない。とりわけ,本件においては,控訴人らは,有価証券報告書の虚偽記載の基礎となる法律関係の作出に寄与しているが,虚偽記載の決定,その作成と提出という実行行為には一切関わっていなかった上,係る寄与の点について,有価証券報告書の虚偽記載の幇助犯として刑事責任を問われ,現時点では上告審に係属中で確定していないが,本件に関連する他の犯罪と併せて,罰金刑が併科された懲役刑に処せられる有罪判決を受けている状況にあること,すなわち,控訴人らは幇助という被控訴人とは別の行為態様に基づく控訴人ら自身の刑事責任が問われている状況に鑑みれば,被控訴人の控訴人らに対する罰金相当額の損害賠償請求を認めることは,実質的に考えると,責任主義の基本原則に反し,衡平を著しく失する結果を招来することになるといわざるを得ない。 したがって,信義則に照らして,被控訴人が,控訴人らに対して,罰金相当額の損害賠償を請求することは許されないといわなければならなず,行政罰ではあるが,基本的に同様の性格がある課徴金についても,同様にその損害賠償請求は許されないというべきである。 エ以上のとおりであるから,被控訴人の主位的請求は理由がないというべきである。 ⑵被控訴人の予備的請求(ファンド管理費用等)について被控訴人主張の損害のうち,次のア及びイの金額合計22億0925万円については,控訴人らの不法行為と相当因果関係のある損害であることが明らかであるが,その余の費用については,簿外ファンドへの資金供給のために支出を免れることのできないコストであるから,損失隠しの認識いかんにかかわらず,控訴人らにおいて賠償すべき金額と認めることは困難である。 アGurdonに対する支払費用12億5925 供給のために支出を免れることのできないコストであるから,損失隠しの認識いかんにかかわらず,控訴人らにおいて賠償すべき金額と認めることは困難である。 アGurdonに対する支払費用12億5925万円NEOは,平成20年9月11日,控訴人ら及びFに対し,平成18年売買及び平成20年売買に係る報酬として,LGT銀行のGurdon名義の預金口座にNEO名義の口座全残高12億5925万円を送金したこと,その後,控訴人ら及びFは,Iの手数料分を差し引いた残額全部をE-Quality名義の口座に移し,更にシンガポールのPanPacific口座に送金してから,後記エのNayland名義の口座からInstage名義の口座を経由してきた金銭と合わせて,ヒリテンシュタイン公国に設立した控訴人ら及びFの各財団に,5:3:2の割合で分割して入金したことは,前記2の認定事実(⑾)記載のとおりである。 係る費用は,実質的に見て,平成18年売買及び平成20年売買に係る控訴人ら及びFの協力に対する報酬であって,被控訴人の虚偽有価証券報告書の提出に寄与する幇助行為に対する報酬として,被控訴人がNEOを通じて負担したものであり,犯罪収益に該当するものであるから,控訴人らが賠償すべき被控訴人の損害に当たることは明らかである。 イNaylandに対する支払費用9億5000万円TEAOは,平成20年12月19日,控訴人ら及びFに対し,平成18年売買及び平成20年売買に係る報酬として,LGT銀行のNayland名義の預金口座に9億5000万円を送金したこと,その後,控訴人ら及びFは,Iの手数料分を差し引いた残額全部をInstage名義の口座に移し, 更にシンガポールのPanPacific口座に送金してから,上記アのGurdon名義の口座からE-Quality名義 Fは,Iの手数料分を差し引いた残額全部をInstage名義の口座に移し, 更にシンガポールのPanPacific口座に送金してから,上記アのGurdon名義の口座からE-Quality名義の口座を経由してきた金銭と合わせて,ヒリテンシュタイン公国に設立した控訴人ら及びFの各財団に,5:3:2の割合で分割して入金したことは,前記2の認定事実(⑾)記載のとおりである。 したがって,係る費用も,上記アと同様に,平成18年売買及び平成20年売買に係る控訴人ら及びFの協力に対する報酬であって,被控訴人の虚偽有価証券報告書の提出に寄与する幇助行為に対する報酬として,被控訴人がTEAOを通じて負担したものであり,犯罪収益に該当するものであるから,控訴人らが賠償すべき被控訴人の損害に当たることは明らかである。 ウGCIケイマンに対する支払費用についてGCNVのファンド管理手数料GCNVは,組成された平成12年から解散する平成19年9月までの間,業務執行組合員であったGCIケイマンに対し,ファンド管理手数料として,合計23億5139万1774円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりである。 また,前記認定事実によれば,GCNVは,被控訴人の簿外ファンドに資金を供給するためのルートの1つとして,控訴人らの提案に応じて,平成12年1月に組成された特例有限責任組合であり,表向きは新規事業を発掘及び育成する事業投資ファンドをうたっていたが,実際にはQPを始めとする被控訴人の支配下にある簿外ファンドへの資金供給の役割を果たし,本件損失隠しスキームの中核となっていたものである。 しかし,その方法は,控訴人らが関与する前に既にG社長やAら財務担当者によってCFCを利用するなどして行われていた損失隠しについて,企業会計原則の見直しの影響を受 ームの中核となっていたものである。 しかし,その方法は,控訴人らが関与する前に既にG社長やAら財務担当者によってCFCを利用するなどして行われていた損失隠しについて,企業会計原則の見直しの影響を受けて新たな簿外ファンドを利用し た形態に変更したものにすぎず,しかも,弁論の全趣旨によれば,上記管理手数料は,特例有限責任組合の支払う手数料として相場の金額を超えるものではないことが認められる。この損失隠しについては,最終的に被控訴人の虚偽有価証券報告書の提出という犯罪行為の成立に至るのであり,控訴人らの上記簿外ファンドの維持,管理はそれを幇助するものとして違法の評価を受けるものであるが,被控訴人の虚偽有価証券報告書の提出に至るまでの過程における相場の金額を超えない上記管理手数料の支払は,控訴人らの関与の有無に関わらず発生したものと認められるから,控訴人らの関与との間に因果関係が認められず,控訴人らが責任を負うべき損害と認めることはできない。しかも,ケイマン諸島において設立されたGCIケイマンの役員が,個人として当該費用について責任を負うべき法的根拠については主張立証がない。 フェニックス社債売却の成功報酬GCNVは,平成12年10月頃,GVに対し,ITX株式への転換オプション付きフェニックス社債を売却したところ,売却益が発生したとして,同月18日,GCNVの特例有限責任組合組成契約(以下「GCNV組成契約」という。)に基づいて,GCIケイマンに対し,成功報酬として1億6418万8471円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりである。この報酬は,GCNV組成契約に基づき発生したもので,これ自体に違法性が認められるものではないから,これを被控訴人の損害と認め,GCIケイマンの役員である控訴人らにおいて負担すべきとする根拠 ある。この報酬は,GCNV組成契約に基づき発生したもので,これ自体に違法性が認められるものではないから,これを被控訴人の損害と認め,GCIケイマンの役員である控訴人らにおいて負担すべきとする根拠はない。 GCNVの一部解約に伴う出資返還金GCNVは,平成18年3月31日,GCIケイマンに対し,出資の一部解約分に相当する返還金として2000万円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりである。GCNV組成契約に基づき 発生した上記金額につき,これを被控訴人の損害と認め,GCIケイマンの役員である控訴人らにおいて負担すべきとする根拠はない。 GCNVの解約金GCNVは,平成19年10月1日,GCIケイマンに対し,GCNVの解散に伴う解約金として,7億1506万5413円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりである。 前記2の認定事実によれば,GCNVは,その継続期間を当初10年間を予定し,GCNV組成契約には解約違約金の定めがなかったところ,被控訴人による新事業3社の子会社化に伴い,簿外ファンドに資金供給するというGCNVの役割が終了したものとして,これを解散することとし,Aらと控訴人らが協議して解約を合意し,解約金の支払をすることになったこと,その解約金は,GCNVや被控訴人の資産を時価評価して算定したものであったことが認められる。この解散行為自体は違法なものということはできず,上記解約金が,GCIケイマンの役員である控訴人らにおいて負担すべき被控訴人の損害であると認めることはできない。 GCNVの解約金不足分(被控訴人の支払分)被控訴人は,平成19年10月31日,GCIケイマンに対し,上記解約金の不足分として,8億8030万7568円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりであるところ,上 被控訴人の支払分)被控訴人は,平成19年10月31日,GCIケイマンに対し,上記解約金の不足分として,8億8030万7568円を支払ったことは,前記前提事実(ア)記載のとおりであるところ,上記解約金の支払につき,GCIケイマンの役員である控訴人らにおいて負担すべき被控訴人の損害であると認めることができないことは前記記載のとおりである。 NEOのファンド管理手数料NEOは,組成された平成12年から解散した平成19年までの間,GCIケイマンに対し,ファンド管理手数料等として,合計12億87 68万5775円を支払い,GCIケイマンから7843万1373円の返還を受けたことは,前記前提事実(ア)記載のとおりである。 前記2の認定事実によれば,NEOは,基本的に,被控訴人の含み損がある資産を抱えるCFCやQPへの資金供給のための中間的なファンドとして設立されたものであり,被控訴人の本件損失隠しスキームの中核となっていたもので,この損失隠しについては,最終的に被控訴人の虚偽有価証券報告書の提出という犯罪行為の成立に至るのであり,控訴人らの上記簿外ファンドの維持,管理はそれを幇助するものとして違法の評価を受けるものである。しかし,この管理手数料についても,弁論の全趣旨によれば,特例有限責任組合の支払う手数料として相場の金額を超えるものではないことが認められ,被控訴人において,控訴人らの関与前からCFCを利用するなどして継続して損失隠しを行っていた以上,その後に生じた管理手数料は,控訴人らの関与に関わらず発生したものとして,控訴人らの関与と因果関係のある損害と認められないこと,ケイマン諸島において設立されたGCIケイマンの役員が,個人として当該費用について責任を負うべき根拠については主張立証がないことは,前記と同様である。 与と因果関係のある損害と認められないこと,ケイマン諸島において設立されたGCIケイマンの役員が,個人として当該費用について責任を負うべき根拠については主張立証がないことは,前記と同様である。 エLGT銀行及びその関連会社に対する支払費用GIM-Oのファンド管理費用GIM-Oは,平成13年から解散する平成19年までの間,LGT銀行に対し,ファンド管理・保管手数料として,合計40億9475万9126円を支払ったことは,前記前提事実(ウ)記載のとおりである。そして,前記2の認定事実によれば,GIM-Oは,被控訴人が簿外ファンドに資金を供給するためのルートの1つとして用いるため,LGT銀行のクラスファンドとして組成したものであり,表向きは新規事業を発掘及び育成する投資事業ファンドをうたっていたが,実際には中 間的なファンドを通じてQPを始めとする簿外ファンドへの資金供給の役割を果たし,本件損失隠しスキームの中核を構成していたことは,GCNVの場合と同様である。 しかし,この管理手数料についても,弁論の全趣旨によれば,クラスファンドの支払う手数料として通常の金額を超えるものではないことが認められ,被控訴人において,控訴人らの関与前からCFCを利用するなどして継続して損失隠しを行っていた以上,その後に生じた管理手数料は,控訴人らの関与に関わらず発生したものとして,控訴人らの関与と因果関係のある損害と認められないこと,ケイマン諸島において設立されたGCIケイマンの役員が,個人として当該費用について責任を負うべき根拠については主張立証がないことは,前記ウと同様である。 ITVのファンド管理費用ITVは,平成13年から解散する平成19年までの間,LGT銀行に対し,ファンド管理・保管手数料として,合計1億1916万8172円を支払った とは,前記ウと同様である。 ITVのファンド管理費用ITVは,平成13年から解散する平成19年までの間,LGT銀行に対し,ファンド管理・保管手数料として,合計1億1916万8172円を支払ったことは,前記前提事実(ウ)記載のとおりである。 前記認定事実によれば,ITVは,日商岩井がその情報産業事業部門を分社化し,ITXとして独立させるに当たり,その株式を引き受け,将来キャピタルゲインを得て,含み損の解消に役立てる目的で新たに設けたクラスファンドである。そして,金融資産の運用の一環として,キャピタルゲインを得る目的で株式を取得すること自体は違法なことではないし,同じ機会に,日商岩井のほか,帝人株式会社及び株式会社船井総合研究所等が株式を引き受けており,不当な価格によるものではなかったことが窺われる。そうすると,その後,ITXが当時のナスダック・ジャパン市場に上場したものの,業績が振るわずに減損処理を余儀なくされることになったとしても,ITX株式の取得やITVの管理に関する費用が,直ちに被控訴人に損害を与えるものということはできない。 したがって,被控訴人のこの点に関する主張は採用することができない。 オ小結以上によれば,控訴人らの行為と相当因果関係のある被控訴人の損害として認められる金額は,Gurdonに対する支払費用とNaylandに対する支払費用の合計22億0925万円となる。 ⑶小結以上によれば,被控訴人は,控訴人らの共同不法行為によって,22億0925万円の損害を受けたものである。 争点3(信義則違反又は禁反言)について控訴人らは,被控訴人が自らの判断によって投資を行ったのであるから,経営陣が交代したからといって,法人格として同一である以上,被控訴人の損害賠償請求が信義則又は禁反言の原則に反して許されないと いて控訴人らは,被控訴人が自らの判断によって投資を行ったのであるから,経営陣が交代したからといって,法人格として同一である以上,被控訴人の損害賠償請求が信義則又は禁反言の原則に反して許されないと主張する。 しかしながら,控訴人らが損失隠しが行われていることを認識した上,これに加功して容易ならしめたばかりか,被控訴人の損失隠しに乗じて自己の利益を図ろうと企て,自らも多額の利益を不当に得ており,その結果,被控訴人に対して多額の財産的損害を与えていたことは前記のとおりであり,係る違法行為が旧役員及び従業員によるものであっても,被控訴人の控訴人らに対する損害賠償請求は,信義則に違反し,あるいは禁反言に抵触するものではないというべきである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 争点4(過失相殺)について控訴人らは,もともと損失隠しを企てこれを実行したのは,被控訴人内部の者であり,被控訴人の他の役員らが通常の注意を払えば,防ぐことができたはずであるから,過失相殺を行うべきであると主張する。 しかしながら,控訴人らは,損失隠しが行われていることを認識した上,そ の専門的知識を活かし,これに加功して容易ならしめたばかりか,被控訴人の損失隠しに乗じて自己の利益を図ろうと企て,自らも多額の利益を不当に得ていたのであって,幇助した立場に止まるとはいえども,その役割は本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームの実行には欠かせないものであり,その実行に伴い,報酬の名目で多額の金銭を取得することによって,故意に被控訴人に対して財産的損害を与えているのであるから,これを過失相殺することは相当ではないというべきである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 争点5(消滅時効)について控訴人らは,前記4⑵で検討し 与えているのであるから,これを過失相殺することは相当ではないというべきである。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 争点5(消滅時効)について控訴人らは,前記4⑵で検討した予備的主張に係る損害は,遅くとも平成20年12月19日までに発生したから,同日から3年を経過した平成23年12月19日の経過をもって時効消滅した旨主張する。 しかし,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームは,被控訴人が抱えてた巨額の損失を公にすることなく秘密裏に処理しようと,被控訴人の当時の代表者の意向の下,財務担当のAらが中心になって企て,表向きはかねて被控訴人が目指す新規事業の発掘及び育成の名目で,経営執行会議及び取締役会の承認を取り付けたもので,被控訴人の内部でも,G会長と実行に携わるAらごく一部の者のみが知り得た状況にあったことは,補正の上で引用する原判決の認定するところである。そのような場合,上記代表者以外の役員又は従業員において損害賠償請求権を行使することが可能な程度に「損害及び加害者」を知ったときから,時効期間が進行するというべきであるが,本件では,平成23年12月6日に第三者委員会の調査報告書(甲5)が公表されるまでは,被控訴人において,損害賠償請求が可能な程度に「損害及び加害者」を知ったことを認めるに足る証拠はないから,平成24年6月22日の本訴提起時までに消滅時効は完成していなかったというべきである。 したがって,控訴人らの主張は採用することができない。 控訴人Dの主張について⑴投資ファンドの提案とその運用等について控訴人Dは,TEAOやNEOを用いたスキームが,LGT銀行が仕組んだからくりであると主張するが,本件損失隠しスキームの構築に当たって,LGT銀行が何らかの指導や示唆を与えていた事実を認めるに いて控訴人Dは,TEAOやNEOを用いたスキームが,LGT銀行が仕組んだからくりであると主張するが,本件損失隠しスキームの構築に当たって,LGT銀行が何らかの指導や示唆を与えていた事実を認めるに足りる証拠はない。むしろ,新規事業の発掘及び育成をうたって組成されたGCNVに投入された被控訴人の資金の大半が,短期資金運用の名目でQPへ移動し,期末を迎える毎に一時的に償還され,また移動するという資金移動を繰り返していたほか,その後に組成されたGIM-Oも,TEAO及びNEOを経由してQPへ多額の資金を供給していた状況は,被控訴人の主たる意図が新規事業の発掘及び育成以外にあったことを如実に顕しており,経験豊富で証券や金融実務に精通していた控訴人Dが,控訴人E及びFとともに,何ら疑問を抱くこともなく,Aらからの指示に応じて運用事務を処理していた状況は,そのスキームの実態をあらかじめ承知していた事情を示しているということができる。この点につき,Aらは,控訴人Dが「事業投資ファンドという方法を使えば,資金を表に回すことができるだけでなく,いいベンチャー企業を発掘して上場させることで,キャピタルゲインを使って損失解消を図ることができる。」などと提案して,スキームの構築に助言を与えたことなど,具体的な経過を述べており,その内容は,上記のような客観的な事実関係とよく符合し,それぞれの立場から認識体験したことを率直に語っている他の関係者の各供述とも齟齬はなく,信用性を認めることができる。 したがって,控訴人Dは,被控訴人の簿外損失の存在を認識して,本件損失隠しスキームの構築に積極的に関与していたというべきであって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 なお,控訴人Dは,控訴人Dの署名を真似たHの偽筆が手続書類に数多く存在するが,このことは被控訴 スキームの構築に積極的に関与していたというべきであって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 なお,控訴人Dは,控訴人Dの署名を真似たHの偽筆が手続書類に数多く存在するが,このことは被控訴人から圧力を受けたHが,控訴人Dに無断で 手続を行っていたものであり,控訴人Dに損失隠しの認識がなかったことを示していると主張する。しかしながら,Hが手続書類に控訴人Dに無断でその氏名を冒用したものがあったとしても,係る手続書類の効力やHの責任問題はともかく,控訴人Dに損失隠しの認識がなかったことを裏付ける事情とはならず,上記判断を左右するものではない。 したがって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 ⑵新事業3社について控訴人Dは,DDⅡ及びGTといったファンドが,新事業3社の株式を高値で購入していたことから,その価値を信じて疑うことはなかった等と主張する。 しかしながら,新事業3社については,当初はキャピタルゲインによる損失解消を目指していたものの,被控訴人の人材や資金を投じても,一向にその目処が立たない一方で,本件損失隠しスキームが露見するおそれも生じてきたために,その株式を事業価値からかけ離れた高値で売買することによって,本件損失解消スキームに用いたことは上記で説示したとおりであり,控訴人Dが本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームに関わっていたことは前記のとおりであるから,DDⅡ及びGTが先に新事業3社の株式を高値で売買した事実があるとしても,控訴人Dの簿外損失に関する認識を欠くことの根拠とはならない。 したがって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 ⑶信義則違反等について控訴人Dは,東証一部上場の大会社である被控訴人は,会社法等によって,その役員又は従業員であるAらに対する監督を適切に行うことができ 人Dの上記主張は採用することができない。 ⑶信義則違反等について控訴人Dは,東証一部上場の大会社である被控訴人は,会社法等によって,その役員又は従業員であるAらに対する監督を適切に行うことができる手段が保障されているが,控訴人らにはAらの行動を監督すべき義務がなく,その手段もなかったのであり,仮に控訴人らの不法行為の成立が認められたとしても,被控訴人の代表者も加わって行われた損失隠しについては,被控訴 人に大きな責任が認められ,不法原因給付あるいは信義則の法理によって,被控訴人の控訴人らに対する請求は許されないと主張する。 本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームは,被控訴人が抱えてた巨額の損失を公にすることなく秘密裏に処理しようと,被控訴人の当時の代表者の意向の下,財務担当のAらが中心になって企て,表向きはかねて被控訴人が目指す新規事業の発掘及び育成の名目で,経営執行会議及び取締役会の承認を取り付けたもので,被控訴人の内部でも,G会長と実行に携わるAらごく一部の者のみが知り得た状況にあったところ,控訴人らは,Aらと意思を通じてこれに加功し,簿外ファンドを利用した資金供給システムを築き上げ,また,係る資金供給を終えてスキームを終了させるに当たっては,その手続に協力するだけでなく,多額の金銭を報酬として取得していたことは,上記で説示したとおりである。控訴人らは,このようなAらによる損失の隠蔽行為に関わり,これを容易ならしめたのみならず,自ら多額の利益を得たものであったから,これによって被害を被った被控訴人が,控訴人らに対して損害賠償請求をすることが,不法原因給付に当たることはなく,また,信義則上も,損害賠償請求をすることが許されないとはいえない。 したがって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 ⑷過失相殺について 請求をすることが,不法原因給付に当たることはなく,また,信義則上も,損害賠償請求をすることが許されないとはいえない。 したがって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 ⑷過失相殺について控訴人Dは,前記で指摘した事情のほか,被控訴人が控訴人らと結託して,被控訴人の他の取締役の判断の誤りを誘発したものであり,衡平の観点から,過失相殺が認められなければならないと主張する。 しかしながら,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームについては,上記⑶のとおりであって,被控訴人の内部でもそれに関わる者以外には固く伏せられて隠蔽され,不正の端緒が掴みにくい状況にあった(L社長による調査指示も,被控訴人の巨額損失の疑惑を取り上げた雑誌記事に接したことが端緒になった。)。そこで,このようなスキーム作りに故意に加功し てその実現を容易にした控訴人らにおいて,意を通じていた被控訴人の代表者及び従業員であるAらに対する監視監督の不行届きを理由として,過失相殺を行うことは,衡平の観点から見て相当とはいえないというべきである。 したがって,控訴人Dの上記主張は採用することができない。 ⑸その他,控訴人Dの縷々主張する点は,いずれも理由がなく,採用することができない。 控訴人Eの主張について⑴被控訴人の損失の認識について控訴人Eは,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームに係る一連の客観的な事実関係は,直ちに被控訴人に隠れ損失の認識があることを基礎付けるものではないと主張する。 本件損失隠しスキームは,被控訴人が抱える簿外損失を維持するために,その資金供給ルートを確保するべく考案されたもので,表向きは被控訴人が目指していた新規事業の発掘及び育成を掲げていたものの,実際には投入した資金の大半を複数の供給ルートを経由して簿外ファンドに移動さ その資金供給ルートを確保するべく考案されたもので,表向きは被控訴人が目指していた新規事業の発掘及び育成を掲げていたものの,実際には投入した資金の大半を複数の供給ルートを経由して簿外ファンドに移動させていたもので,控訴人らは,各供給ルートでの運用単位とした特別目的会社や投資事業組合での実質的運用者や業務執行組合員にGC社やGCIケイマンが就任することで,その一連の事務手続(GCNVからQPへの320億円の送金及びGIM-OによるTEAOの310億円分の債券購入に際しては,控訴人Dが送金指示書に署名し,NEOからQPへの194億円の送金に際しては,控訴人Eが送金指示書に署名している。)を通じて資金管理を行っていたことは,前記のとおりである。また,本件損失解消スキームは,本件損失隠しスキームが露見することを避け,これを解消するために,新規事業の投資先としていたが,依然としてその目処が立たない新事業3社を利用し,その株式を上記簿外ファンドに取得させた後,出資の起点であるGCNVやGIM-Oが事業価値よりもかけ離れた高額評価をした価格で買い取ること で,その差額分を原資として償還させることで,GCNVやGIM-Oと簿外投資ファンドと投資関係を終了させ,その後,GCNV及びGIM-Oの精算に伴い,被控訴人が新事業3社株式を引き取り,その高額な取得価格と事業価値との差額をのれんとして計上し,毎年償却していくという計画であったことも,前記のとおりである。そして,控訴人らは,GC社あるいはGCIケイマンの役員として,この一連の手続に関与していただけでなく,新事業3社の代表者や役員として実際にその経営に携わっていたこともあり,これらの事業の実態をよく把握していた状況にあった。そうすると,控訴人らは,単に一部分の手続に関わっていたというのではなく, ,新事業3社の代表者や役員として実際にその経営に携わっていたこともあり,これらの事業の実態をよく把握していた状況にあった。そうすると,控訴人らは,単に一部分の手続に関わっていたというのではなく,上記各スキームの構築に始まり,その運用から終了までの一連の過程に関わり,継続して事務に携わっていたのであるから,これらが被控訴人の損失隠しのために行われていることは容易に認識することができたと推認される。控訴人らは,長年,我が国を代表する証券会社に勤務し,国内外で証券取引その他の金融実務に携わってきた経験を有し,とりわけ控訴人Dが経験豊富な証券マンであった経歴に照らせば,上記各スキームを組んだ被控訴人の意図が見抜けないとは到底考えられず,上記各スキームがほぼ円滑に運用されていたのは,控訴人Dとともに行動する控訴人Eの理解と協力があったからにほかならない。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑵GCNVルートについて控訴人Eは,GCNVルートについて,GCNVを組成した目的は,被控訴人の悲願とする新規事業の発掘及び育成であって,簿外損失を抱えるQP等の海外投資ファンドへの資金供給を目的としたものではなく,被控訴人とGCIケイマンとの間での,短期資金運用先のQPへの300億円の送金が条件とされ,QPによる期日前償還を容認し,QPへのデューデリジェンスを不要とし,GCIケイマンを免責とする旨を内容とするAgreementの存在 が,被控訴人の損失に関する認識がなかったことを裏付けており,現実にQPから利息が付されて償還がなされており,GCNVとQPとの間の資金移動に関して,GCIケイマンにとって何のメリットもデメリットもなかったから,控訴人らが特に疑問を抱くことがなかったとしても不可思議なことではないと主張する。 し ており,GCNVとQPとの間の資金移動に関して,GCIケイマンにとって何のメリットもデメリットもなかったから,控訴人らが特に疑問を抱くことがなかったとしても不可思議なことではないと主張する。 しかしながら,客観的に見れば,GCNVルートは,QPへの資金供給スキームであることは明らかであり,新規事業の発掘及び育成をうたいながら,その巨額資金の大半を短期運用資金の名目でQPへ移動させ,しかもその資金移動に関しては,業務執行組合員であるGCIケイマンでは資金移動の事務手続は行うが,デューデリジェンスを不要とし,一切の責任を免れるとされており,表向きのGCNVの組成趣旨には全くそぐわない資金運用であった。この点について,仮に控訴人らが損失隠しの目的を知らなかったとするならば,被控訴人側へ特段の説明を求めること無く,何ら疑問を抱かなかったとすることは誠に不可解というほかなく,むしろ,控訴人らに損失隠しの認識があればこそ,合理的な説明が可能であり,Agreementの存在は,損失隠しが発覚した場合に備えて,あらかじめGCIケイマンの免責を取り付けたものと理解することができる。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑶GIM-Oルートについてア控訴人Eは,GIM-Oからの投資額が全体の資金の3分の1に止まるというだけでは,損失隠しの認識の裏付けとはならないし,NEOからQPへの送金は,短期資金運用の目的であり,TEAOとNEOの業務執行組合員であったGCIケイマンとのAgreementで,QPへの送金が指定されていたのであるから,これに疑問を抱くことはなかったと主張する。 しかしながら,GCNVに続いて,新たに組成されたGIM-Oでもその資金の多くが,TEAO及びNEOを経由してQPへ資金移動したこと は,控訴人Eもそ これに疑問を抱くことはなかったと主張する。 しかしながら,GCNVに続いて,新たに組成されたGIM-Oでもその資金の多くが,TEAO及びNEOを経由してQPへ資金移動したこと は,控訴人Eもその送金手続に関与して承知するところであって,このような状況からして,被控訴人の真の目的が,新規事業の発掘及び育成にあるのではなく,QPへの総額で500億円近くに上る資金の移動にあったことが容易に理解することができ,これを控訴人らが単なる短期資金運用であったと信じていたとは,にわかに考え難いものがある。むしろ,控訴人らに損失隠しの認識があればこそ,合理的な説明が可能であり,Agreementが損失隠しが発覚した場合に備えて,あらかじめGCIケイマンの免責を取り付けたものと理解するのが相当というべきことは,前記と同様である。 イまた,控訴人Eは,NEOが出資したITVがITX株式を取得したことにつき,キャピタルゲインによる損失解消は,被控訴人の目論見に過ぎず,控訴人らにおいて,被控訴人の損失の存在を認識していない以上,ITX株式の取得をもって,損失隠しの認識を裏付けることにはならないと主張する。しかしながら,控訴人らにおいて,被控訴人の損失隠しの認識があったというべきことは既に説示したとおりであり,キャピタルゲインを目的としたITX株式の取得自体は,直ちに違法不当なものではないが,係る事実があるからといって,簿外損失の認識がないことを裏付けるものではない。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑷新事業3社を利用した損失隠しへの関与についてア控訴人Eは,Aら被控訴人関係者は,実際に新事業3社を数年で数百億円もの売上を計上できる会社に成長させる意思をもっていたとし,損失隠しや損失解消に用いるとの認識がなかったのであり, 関与についてア控訴人Eは,Aら被控訴人関係者は,実際に新事業3社を数年で数百億円もの売上を計上できる会社に成長させる意思をもっていたとし,損失隠しや損失解消に用いるとの認識がなかったのであり,Aらとの協議の場で簿外損失の話や具体的な損失額の話題は出たことがなかった等と主張する。 新事業3社については,当初は,これらの新規事業に被控訴人の人材や 資金を投じて育成し,行く行くはそのキャピタルゲインをもって,簿外損失の解消に役立てようとしていた経過にあり,その意味で,Aらにおいて,新事業3社を成長させる意思があったことは否定できない。しかしながら,新事業3社の各事業の進捗状況はいずれもはかばかしくなく,上場の目処が立たないとして,新事業3社の株式を利用して,本件損失解消スキームを組むことにしたもので,当時の事業の実態からして,直ぐに広範な営業活動を展開して採算ベースに乗るような状態ではなく,1,2年のうちに億単位の売上げを産み出し,わずか数年で数百億円の売上規模に拡大するような状況にはなかったことは,上記で認定したとおりである。また,Aらが協議の場において,簿外損失の話や具体的な損失額の話題を出していないとしても,もともとAらは,控訴人らに対しては,実際の簿外損失の金額を控えめに伝えていた状況にあり,いくら内輪の協議の場であるとしても,あからさまに金額を話題に出すことは憚られる様子であったことが窺われるから,係る話題が出ていないことが不自然な事情ではない。 イ控訴人Eは,新事業3社株式の譲渡に関する報酬の送金ルートについて,Gurdonは,業務執行組合員の地位を移譲したことによるものであるし,Naylandは,IがGurdonを解散させてしまったため,急遽その代わりを用意したもので,控訴人らの意図するところではなく,また,Gur は,業務執行組合員の地位を移譲したことによるものであるし,Naylandは,IがGurdonを解散させてしまったため,急遽その代わりを用意したもので,控訴人らの意図するところではなく,また,Gurdon及びNayland以降の送金経路の詳細を知らず,FがLGT銀行に租税回避の方法を相談し,その提案を受けただけのものであって,もともと犯罪報酬を隠匿する考えなどなかったと主張する。 しかしながら,GCIケイマンからGurdonへNEOの業務執行組合員の地位が移譲された経緯は,GCIケイマンが国税局の税務調査を避けることが目的であり,形式的にはGurdonへ移譲したものの,GurdonとNEOとの間で業務委託契約を結び,IへはNEOに関する損害を一切負担させない旨の書面(ConfirmationandIndemnification)を控訴人ら,F及びB が署名して差し入れ,実際の事務手続は引き続いてFが行っていたこと,NEOの業務執行組合員の報酬としてGurdon名義の口座及びNayland名義の口座への送金は,それぞれIの手数料相当額を差し引いた残金全部を,Gurdon名義の口座分がE-Quality名義の口座へ,Nayland名義の口座分がInstage名義の口座へ移され,さらに,E-Quality及びInstage名義の両口座の全額が,シンガポールで組成したユニット・トラストのPanPacific口座に移され,そこから,ヒリテンシュタイン公国に設けられた控訴人Dを受益者とするPerfectSense財団名義の口座,控訴人Eを受益者とするFineBalance財団名義の口座及びFを受益者とするGreenLantern財団名義の口座に,それぞれ5:3:2の割合に分割されて送金されたものであり,この各自の取り分の取決めや,こ するFineBalance財団名義の口座及びFを受益者とするGreenLantern財団名義の口座に,それぞれ5:3:2の割合に分割されて送金されたものであり,この各自の取り分の取決めや,これらの財団の開設に当たっては,控訴人ら及びFが関わり,かつ,その口座名義からは,直ちに控訴人ら及びFとの関係が明らかになるものでなかったから,控訴人らは,報酬の受取りが容易には判明しない仕組みを意図的に作出していたといわざるを得ない。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑸損害についてア控訴人Eは,Gurdonへの報酬支払について,その交渉過程に関与しことがないし,説明を受けたことも一切なく,控訴人Eのあずかり知らぬところでなされたものであったから,不法行為の主観的要件が欠けるほか,そもそも新事業3社の株式売買は有効に成立し,NEOに利益が生じたことが明らかであるから,Gurdonに報酬を支払うことは当然といえるが,仮にその支払に問題があるとするならば,損害賠償の対象となる相手はGurdonであると主張する。 しかしながら,NEOとGurdonとの間における業務執行組合員の地位移譲は,国税局の税務調査を免れるために実施されたもので,実際の事務手続はFが引き続いて担当しており,Gurdonの業務執行組合員は名目的なも のに過ぎなかったことは,既に説示したとおりである。そして,新事業3社の株式売買については,投資関係を解消する目的でその資金を供給するために,実際の事業価値を大きく上回る高額な評価をして行われたものであり,経済的な実態としては,NEOに利益が生じたわけではなかったから,その成功報酬の取得は,正当な根拠を欠いているというべきである。 また,控訴人Eは,Gurdonから報酬を受け取る過程で設けられたシンガポ 的な実態としては,NEOに利益が生じたわけではなかったから,その成功報酬の取得は,正当な根拠を欠いているというべきである。 また,控訴人Eは,Gurdonから報酬を受け取る過程で設けられたシンガポールのPanPacificの設立手続や,ヒリテンシュタイン公国の自己らが受益者となる財団へそのユニットを譲渡する手続に必要な書類に署名し(甲287,290,292,293),その結果として,上記成功報酬に当たる金銭が最終的に財団に移っていた(甲170,171)のであるから,上記成功報酬の取得に関して,控訴人Eの認識があったことは明らかである。さらに,Gurdonが名目的な地位にあったことは前記のとおりであるから,損害賠償請求の相手方となるのは,Gurdon等を通じて最終的に利益を得ている控訴人らである。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 イ控訴人Eは,TEAOについて,TEAOからNaylandへの送金は,平成18年売買によるNEOの成功報酬の未払分であり,支払根拠を備えており,その算定基礎となった新事業3社株式の売買価格は,被控訴人が簿外損失を知らない者を交えて適正と認めた金額であったし,そもそも係る支払は,控訴人Eのあずかり知らぬところでなされていたから,不法行為の主観的要件を欠いており,仮に損害賠償請求をするならば,その相手方はNaylandであると主張する。 しかしながら,Gurdonの業務執行組合員は名目的なものに過ぎず,その成功報酬の取得が正当な根拠を欠いていることは既に説示したとおりであり,Gurdonでの報酬未払分の送金を受けたというNaylandも同様である。 そして,控訴人Eは,NaylandからInstageを介して報酬を受け取るために 設けられたPanPacificの設立手続や,ヒリテンシ 未払分の送金を受けたというNaylandも同様である。 そして,控訴人Eは,NaylandからInstageを介して報酬を受け取るために 設けられたPanPacificの設立手続や,ヒリテンシュタイン公国の自己らが受益者となる財団へそのユニットを譲渡する手続に必要な書類に署名し,その結果として,上記成功報酬に当たる金銭が最終的に財団に移っていたことも既に説示したとおりであって,上記成功報酬の取得に関して,控訴人Eの認識があったことは明らかである。そして,Naylandも報酬を受領する受け皿として設けられただけであるから,損害賠償請求の相手方となるのは,最終的に利益を得ている控訴人らである。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑹過失相殺について控訴人Eは,被控訴人の損失隠しの問題は,被控訴人の代表者,役員及び従業員が長年にわたって漫然とこれを見過ごし,適正な監視を怠っていたことに原因があるのに引き換え,控訴人らの関与の態様は幇助にすぎず,しかも虚偽の記載がなされた有価証券報告書の提出行為と,時間的にも手続的にも隔絶しているし,新事業3社の株式の売買価格は,もっぱら被控訴人の事情から逆算して決めた金額であり,被控訴人においてきちんと価格査定をしていれば,過大なのれん計上は未然に防ぐことができたはずであり,さらに,本件の発覚経過に照らせば,被控訴人がもっと以前に適正な監視監督を行っていれば,損失隠しは明るみになったはずであるとするほか,損失隠ぺいの判断は,被控訴人の代表者を始めとする役職員が行ったものであるが,これらを選任したのは被控訴人の株主である,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームは,Aらの発案によるもので,控訴人らが関与したのは,被控訴人の指示に従ってQPとの受送金事務手続程度であり,少なくと を選任したのは被控訴人の株主である,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームは,Aらの発案によるもので,控訴人らが関与したのは,被控訴人の指示に従ってQPとの受送金事務手続程度であり,少なくとも控訴人Eは,LGTルートやGIM-Oルートの構築に当たってその議論に参加していないし,平成20年売買にも関与せず,さらに,有価証券報告書の内容決定,作成及び提出のいずれの過程にも関わっていなかったといった事情を挙げて,大幅な過失相殺を行うべきであると主張する。 しかしながら,控訴人らの関与の態様が幇助的な限度に止まるとしても,控訴人らは,被控訴人の損失隠しにいわば便乗して自己の利益を図ろうとしていたものであって,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームに関わることによって,実際には被控訴人の資金を循環させていただけであったのに,業務執行組合員やアドバイザーとしての実質的な運用者の立場で,報酬として多額の金銭を取得し,被控訴人から故意に不当な利益を得ていたのであるから,控訴人Eが挙げている被控訴人側の事情を勘案しても,過失相殺を行うことは相当ではない。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑺禁反言の原則違反について控訴人Eは,被控訴人では,新規事業を立ち上げる目的の下,簿外損失を知らない役員が過半数を占める経営会議及び取締役会において,投資ファンドへ300億円規模の投資を決定してGCNV組成契約を結び,あるいは新事業3社の売買を決定したものであり,これらは簿外損失の存在とは無関係に,被控訴人にとって必要な決断であったということができるから,新事業3社株式の売買による成功報酬等を損害として,控訴人Eに対して,損害賠償請求することは,禁反言の原則に違反して許されないと主張する。 しかしながら,控訴人らは,被控訴人 ということができるから,新事業3社株式の売買による成功報酬等を損害として,控訴人Eに対して,損害賠償請求することは,禁反言の原則に違反して許されないと主張する。 しかしながら,控訴人らは,被控訴人に隠れ損失があることの認識を有した上,Aらと意思を通じて,本件損失隠しスキーム及び本件損失解消スキームの構築とその維持管理に加功し,長年にわたり不正の発覚を免れさせただけでなく,自ら多額の報酬を得たことは,前記のとおりであって,これにより被害を受けた被控訴人が,控訴人らに対して損害賠償請求をすることが,禁反言の原則に違反するということはできない。 したがって,控訴人Eの上記主張は採用することができない。 ⑻その他,控訴人Eの縷々主張する点は,いずれも理由がなく,採用することができない。 まとめ以上によれば,被控訴人は,控訴人らに対し,共同不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害金(予備的請求に係る損害)の一部請求として,10億円及びこれに対する不法行為の後の日(罰金納付の日)である平成25年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができ,被控訴人の主位的請求は理由がないが,予備的請求は本件附帯控訴に基づいて増額した部分を含めて理由がある。 結論 よって,被控訴人の原審における損害金5億円の支払を求める主位的請求は理由がないから棄却すべきところ,これを認容した原判決は失当であって,その限度で本件控訴は理由があるから,原判決を変更して,被控訴人の主位的請求を棄却すべきであり,また,当審において本件附帯控訴に基づいて損害金10億円に増額した被控訴人の予備的請求は理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第19民事部裁判長裁判官都築政則裁判官 件附帯控訴に基づいて損害金10億円に増額した被控訴人の予備的請求は理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第19民事部裁判長裁判官都築政則裁判官飯塚圭一裁判官石垣陽介 別紙略語表記一覧表は省略
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