平成20(ワ)13162 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年7月23日 大阪地方裁判所
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平成21年7月23日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成20年(ワ)第13162号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成21年5月14日判決原告医療法人A同訴訟代理人弁護士曽我乙彦同荒川雄次同上村一央同訴訟復代理人弁護士小山智士被告B同訴訟代理人弁護士村田秀人同塚﨑幸司主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 原告(1) 被告は,医療活動及び医療活動上の施設において「  C  皮ふ科,,」「  C  皮ふ科形成外科「  C  皮膚科「  C  皮フ科」及」,」,び「  C  皮フ科形成外科」の表示を使用してはならない。 (2) 被告は,被告が所有する看板,パンフレット,広告物その他の営業表示物件から「  C  皮ふ科」の表示を抹消せよ。 ,(3) 訴訟費用は,被告の負担とする。 被告主文と同旨第2事案の概要 前提事実(1) 当事者ア原告は,診療所の経営等を目的とする,平成7年12月13日成立の医療法人であり,肩書地において「医療法人A  C  皮フ科形成外,」,(「」。)。 科の名称で診療所以下原告診療所というを開設しているイ被告は,平成20年7月1日,大阪府<以下略>において診療所(以下「被告診療所」という)を開設した医師であり,平成19年8月1。 日から平成20年6月5日まで原告に雇用されていた。 (2) 原告表示原告は,原告診療所の看板,駅構内の宣伝広告,診療行為などで「,C 皮フ科・形成外科」の表示(以下「原告表示」という)を使用し。 ている。 (3) 被告表示被告は,被告診療所の看 原告表示原告は,原告診療所の看板,駅構内の宣伝広告,診療行為などで「,C 皮フ科・形成外科」の表示(以下「原告表示」という)を使用し。 ている。 (3) 被告表示被告は,被告診療所の看板,駅構内の宣伝広告,診療行為などで「,C 皮ふ科」の表示(以下「被告表示」という)を使用している。 。 原告の請求原告は,不正競争防止法2条1項1号に基づき,被告に対し,被告表示及びその類似表示の使用差止めと,営業表示物件からの被告表示の抹消を求めている。 争点 (1) 原告表示の商品等表示性(争点1)(2) 原告表示の周知性(争点2)(3) 被告表示と原告表示との類似性(争点3) (4) 誤認混同のおそれ(争点4)(5) 不正の目的(争点5)第3争点に関する当事者の主張 争点1(原告表示の商品等表示性)について【原告の主張】原告表示は,原告診療所の看板,駅構内の宣伝広告,診療行為などに使用されており,原告診療所を表示する商品等表示である。 【被告の主張】原告診療所の商品等表示は医療法人A  C  皮フ科形成外科であっ,「」て,原告表示ではない。 また,原告表示は,ありふれたものであって,自他識別力は低い。 争点2(原告表示の周知性)について【原告の主張】原告表示は,原告診療所が開設された平成5年から継続して使用されているし,原告診療所の患者は,開設以来4万5000人を超えるのであって,被告診療所の開設時点で,原告表示は,原告診療所から半径2キロメートルの生活圏内において,周知性を獲得していた。 【被告の主張】原告は,原告診療所について,原告表示以外に「  C  皮フ形成外科」などの表示も使用している上,平成19年2月及び3月には診療を休止している。 また,原告診療所の患者数は平均以下,建物 告の主張】原告は,原告診療所について,原告表示以外に「  C  皮フ形成外科」などの表示も使用している上,平成19年2月及び3月には診療を休止している。 また,原告診療所の患者数は平均以下,建物の規模は平均水準であるし,原告表示もありふれたものである。そして,原告診療所の最寄り駅を中心とした半径1キロメートル以内には,10件以上の皮膚科診療所が存在する。 したがって,原告表示は周知性を欠く。 争点3(被告表示と原告表示との類似性)について 【原告の主張】,「」,被告表示は原告表示と同じくCという平仮名表記が用いられ診療科目も類似しており,患者には同一の診療科目と認識されているから,原告表示と類似性を有する。 【被告の主張】診療所の名称には,開設者の姓を冠することが要求されているから,被告表示中「  C  」の部分は,類似性判断の対象とされるべきではない。 また,診療科目の表記が,原告表示は「皮フ科・形成外科」であり,被告表示は「皮ふ科」であるから,全体的にみて類似性はない。 争点4(誤認混同のおそれ)について【原告の主張】原告診療所は,被告診療所と同一生活圏に属しているところ,原告表示ではなく,略して,被告表示と同じく「  C  ひふか」と呼ばれているし,被告表示は看板や駅の広告において原告診療所のものと同じ色づかい背,,(景色が緑色で,白抜き文字)で使用されている。しかも,被告は,かつて原告診療所に勤務していた医師である。 そのため,現に,需要者において,原告診療所と被告診療所の営業主体について,同一であるとか,密接な関係があるとの誤解が生じている。 【被告の主張】原告診療所と被告診療所とでは診療科目が異なるし,原告診療所は「ホ,メオパシー治療」という特徴的な診療も行う点で,被告診療所とは区別 あるとか,密接な関係があるとの誤解が生じている。 【被告の主張】原告診療所と被告診療所とでは診療科目が異なるし,原告診療所は「ホ,メオパシー治療」という特徴的な診療も行う点で,被告診療所とは区別されている。しかも,被告は,原告診療所とは関係がないことを明示している。 また,患者は医師を重視して診療所を選択するところ,被告は,原告診療所の院長と性別が異なるし,広告等に院長名を明示している。 したがって,誤認混同のおそれはない。 争点5(不正の目的)について 【被告の主張】被告は,被告診療所の開設にあたり,当初「あい皮ふ科」の名称を予定,していたが,保健所から,診療所の名称に自己の姓を使用するよう指導された。そして,被告の姓を使用する場合は「 D 」と誤読されないよう平,仮名表記にする必要があった。 また,看板の色づかいは,診療所の看板として一般的なものであるし,被告は,原告診療所との誤認混同防止措置を講じている。 ,,,,被告は原告に雇用される際予め開業予定を伝えていたし開業場所も原告診療所と特段近いとはいえない上,偶然決まったものである。 以上のとおりであるから,被告表示の使用にあたり,不正の目的はない。 【原告の主張】被告は,原告診療所で勤務を開始したわずか3か月後の平成19年11月7日に,原告診療所とわずか600メートルしか離れていない場所に土地を購入し,その7か月後の平成20年6月5日には原告を退職し,同年7月1日に開業している。また,開業にあたり,通常であれば行うはずの,誤認混同防止のための配慮を行っていない。 これらのことからすれば,被告に,原告が永年にわたり築いてきた原告診療所に対する信頼を利用するという不正の目的があることは明らかである。 第4当裁判所の判断 争点5(不正の目的の有無)について本件で のことからすれば,被告に,原告が永年にわたり築いてきた原告診療所に対する信頼を利用するという不正の目的があることは明らかである。 第4当裁判所の判断 争点5(不正の目的の有無)について本件では,請求原因についての判断はひとまず措き,先に被告の抗弁について判断する。 (1) 不正競争防止法2条1項1号の規定は,自己の氏名を不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他不正の目的をいう)。 でなく使用する行為については適用されない(不正競争防止法19条1項2号。 ) そして,本件では,被告表示が被告の氏を使用したものであることに争いはないから,以下,被告表示の使用が不正の目的でない使用といえるかについて検討する。 (2) 被告診療所の名称について診療所の開設にあたっては,都道府県知事への届出が必要となるところ(医療法8条,その届出書において,診療所の名称は,原則として,開)設者の姓を冠することとされている(乙2。そして,被告は,開業にあ)たり,当初,医療機関名を「あい皮ふ科」にすることを予定していたのであるから(乙3,4,被告診療所の名称が現在のものに決まったのは,)上記届出にあたり,被告の氏である「 E (  C  」を用いるよう要)請されたためと認められる。そして,このような経緯からすれば,被告診療所の名称に「  C  」の語を使用するにあたり,被告に不正の目的はなかったといえる。 原告は,被告の氏が平仮名で表記されていることを問題にするが,医療機関の名称は,平仮名で表記されることが珍しくない上(乙9,17,)「 E 」は「 D 」と読むことも多い氏であるから,誤読防止のため,。 ,に平仮名で表記したとの被告の主張は合理的なものといえるしたがって平仮名表記を使用した点についても,被告に不正の目 )「 E 」は「 D 」と読むことも多い氏であるから,誤読防止のため,。 ,に平仮名で表記したとの被告の主張は合理的なものといえるしたがって平仮名表記を使用した点についても,被告に不正の目的はなかったといえる。 (3) 被告診療所の開設場所及び開設時期について診療所を開設することは,医師の活動として正当なものであり,勤務先の診療所を短期間で退職した医師が,同診療所から遠くない場所に,新たに診療所を開設したからといって,直ちに不正の目的があるということにはならない。 しかも,本件において,被告は,原告との雇用契約にあたり,開業予定であることを告げていたのであるし(争いがない,被告診療所の開設。) 場所も,原告診療所から約700メートル離れた位置にあって(甲6,)ある程度の距離が存在するといえる。また,被告は,被告診療所の敷地を購入した平成19年11月7日時点において(甲4の1,被告診療所の)「」(,)。 名称にCを使用する予定はなかったと考えられる乙3 したがって,これら本件における具体的な事情からしても,被告に不正の目的はなかったといえる。 (4) 被告表示の使用態様について被告表示の使用態様は,特に原告表示との誤認混同を生じさせるようなものではない(甲1の1・2,甲2の1~3。被告表示を付した看板の)色づかいが,背景が緑色で,白抜き文字であるなど,原告表示を付した看板の色づかいと類似していることが認められるが,とりたてて特徴のある色彩やデザインであるとはいえず,いずれも「  C  皮ふ科」と「C 皮フ科・形成外科」との違いにより区別することが可能であり,原告の看板(甲1の2)と被告の看板(甲2の1・2)については,前者が1字毎に緑色の正方形の背景が区切られているのに対し,後者は被告表示 C 皮フ科・形成外科」との違いにより区別することが可能であり,原告の看板(甲1の2)と被告の看板(甲2の1・2)については,前者が1字毎に緑色の正方形の背景が区切られているのに対し,後者は被告表示全体に緑色の長方形の背景があるという違いが認められる。 また,被告は,被告表示の使用にあたり,自己の氏名を並記したり,原告との関係を否定する表示を行うなどの,誤認混同防止措置も講じている(甲2の3,乙15ないし21。 )このような被告表示の使用態様からしても,被告に不正の目的はなかったといえる。 (5) 結論これらのことからすれば,被告表示の使用は,自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為といえ,被告表示の使用に不正競争防止法2条1項1号は適用されない。 結論 以上のとおりであるから,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は,いずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部裁判長裁判官山田陽三裁判官達野ゆき裁判官北岡裕章

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