- 1 -主文 被告は,原告に対し,金22万2007円及び内金21万3993円に対する平成17年4月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,金10万5316円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを6分し,その5を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 被告は,原告に対し,金131万4806円及び内金123万8792円に対する平成17年4月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,金117万3745円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告の従業員であった原告が,被告に対し,時間外労働割増賃金(以下「時間外賃金」という,深夜労働割増賃金(以下「深夜割増賃金」という))等の支払を求めると共に,付加金,遅延損害金の支払を求めている事案である。 争いのない事実等(証拠で認定した事実は,当該証拠を文末に掲記し,当事者間に争いのない事実は,証拠を記載していない)。 ( )被告は,不動産の保全,管理及び補修の請負,各種清掃などを主たる目 的とする会社であり,ホテルα(以下「本件ホテル」という)から同ホテル及び同ホテルガーデンコート(以下「本件ホテルGC」という)の清掃業務- 2 -を請け負っている。 ( )労働契約 ア清掃夜勤,,,,原告は平成13年7月3日被告との間でパート雇用契約を締結し(,「」,雇用契約書を取り交わした以下本契約を本 請け負っている。 ( )労働契約 ア清掃夜勤,,,,原告は平成13年7月3日被告との間でパート雇用契約を締結し(,「」,雇用契約書を取り交わした以下本契約を本件清掃夜勤契約といい本契約書を「本件清掃夜勤契約書」という。本件清掃夜勤契約書には,)次の記載がされている(甲1)。 (ア)就業場所本件ホテルGC(イ)職種清掃夜勤(ウ)勤務時間18:00から20:30まで(本件では,以下,24時制で表記する,休憩時間なし)(エ)休日土・日・祝(オ)賃金日給3000円(実働2.5時間,時給1200円)(カ)交通費1出勤日につき400円(キ)皆勤手当(所定労働日を全日出勤した場合)2000円(ク)支払毎月1日より月末締切りとして翌月11日に支払う。 イ清掃日勤(深夜)原告は,平成13年8月1日,被告との間で,以下の内容の雇用契約を締結し,雇用契約書を取り交わした(以下,本契約を「本件清掃日勤(深)」,「()」)。 夜契約といい本契約書を本件清掃日勤深夜契約書という本件清掃日勤(深夜)契約書には,次の記載がされている(甲2)。 (ア)試用期間平成13年8月1日から同年10月31日(イ)就業場所本件ホテル(ウ)職種清掃日勤(深夜)(エ)勤務時間22:00から6:00まで,休憩時間服務規則に基づく- 3 -(オ)休日指定公休制(カ)賃金日給月払基本給4500円職務手当3000円皆勤手当4000円(キ)支払当月末日締切り,翌月11日支払( )原告の退職等 ア原告は,平成13年7月3日から,本件清掃夜勤契約の就業場所は本件ホテルGCで,また,同年8月1日から,本件清掃日勤(深夜)契約の就 支払当月末日締切り,翌月11日支払( )原告の退職等 ア原告は,平成13年7月3日から,本件清掃夜勤契約の就業場所は本件ホテルGCで,また,同年8月1日から,本件清掃日勤(深夜)契約の就業場所も同一の場所で,清掃業務に従事していた。 イ平成16年12月1日以降,本件清掃日勤(深夜)契約の就業場所が本件ホテルメインに変更となった。原告は,平成16年12月末日で,本件清掃夜勤契約の仕事を辞め,同17年3月31日,被告から,解雇された(本件清掃日勤(深夜)契約に基づく従業員の地位を喪失。 )( )原,被告間の争い(詳しくは,後記2「争点」の項で述べる) ア原告は,本件清掃夜勤契約の時給は1200円であるのに,被告からは時給1125円の割合でしか支払われていないとして,平成15年3月から同16年11月までの間の差額6万5047円の支払を請求している。 これに対し,被告は,本件清掃夜勤契約の時給は,1200円から1125円へ変更になっており,かえって1万0262円が過払いになっていると反論している。 イ原告は,本件清掃日勤(深夜)契約に基づき,22:00から5:00までの間深夜労働に従事していたが,被告から深夜割増賃金合計99万2922円が支払われていないと主張している。これに対し,被告は,本件清掃日勤(深夜)契約で決められた賃金の中には深夜割増賃金が含まれており,支払義務はないと反論している。 - 4 -ウ原告は,時間外賃金14万6310円が支払われていないと主張している。これに対し,被告は,本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約は別個の契約であり,そうだとすると,原告は時間外労働をしておらず,支払義務はないと反論している。 エ原告は,休日労働,休日深夜労働の割増賃金3万4513円が支払われていないと主張している )契約は別個の契約であり,そうだとすると,原告は時間外労働をしておらず,支払義務はないと反論している。 エ原告は,休日労働,休日深夜労働の割増賃金3万4513円が支払われていないと主張している。これに対し,被告は,支払済みであると反論している。 オなお,原告は,被告に対し,別紙「遅延損害金計算書」の損害金累計欄記載のとおり,7万6014円の遅延損害金の支払を請求している。 ( )被告の一部弁済 原告は平成17年4月7日到達の内容証明郵便で被告に対し前記( ),,, の割増賃金の支払を請求した。被告は,平成17年5月2日,原告に対し,同16年1月から同年10月までの間及び同年12月の割増賃金として5973円1か月の利息を含むの不払があったとして同額を支払った甲(),。(5,6) 争点 ( )本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約との関係(争点1) 【原告】ア本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約は,両契約とも同一当事者間の,同一就業場所での労働契約であり,両契約を統一して考えるべきである。 イ両契約を統一して考えれば,原告が,時間外労働をしていること及び本件清掃日勤(深夜)契約の賃金の中には深夜割増賃金が含まれていないことは明らかである。そして,本件において,時間外賃金及び深夜割増賃金を算出するに当たっての基礎となるべき1時間当たりの賃金額(以下「時給基準単価」という)は,本件清掃日勤(深夜)契約の時給額と本件清掃- 5 -夜勤契約の時給額(1200円)の平均値とすべきである。 【被告】ア本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約は別個の契約である。 イ原告の時間外賃金請求が認められるためには,前記両契約を合体し,いわば一つの契約と考える必要があるところ,前記アのとおり, 告】ア本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約は別個の契約である。 イ原告の時間外賃金請求が認められるためには,前記両契約を合体し,いわば一つの契約と考える必要があるところ,前記アのとおり,両契約が別,。 ,個である以上原告の時間外賃金請求は理由がないことになるなぜなら被告は,本件清掃夜勤契約に基づく労働に対する賃金,本件清掃日勤(深夜)契約に基づく労働に対する賃金をそれぞれ別個に計算し,これらを原告に対し支払っているからである。 また,被告は,原告との間で,本件清掃日勤(深夜)契約で定めた賃金には,深夜割増賃金が含まれているものとして契約をしている。したがって,原告の深夜割増賃金請求は理由がない。 ( )本件清掃夜勤契約に基づく賃金請求の成否(争点2) 【原告】ア原告は,平成15年3月から同16年11月までの間,本件清掃夜勤契約に基づき,別表①の「就労時間数」欄記載の時間働いた。 イこれに対する,被告の原告に対する支払額は,別表①の「支払われた夜勤手当」欄記載の金員である。 ウ本件清掃夜勤契約に基づく時給は1200円である。 エそうだとすると,原告は,被告に対し,平成15年3月から同16年11月までの間,本件清掃夜勤契約に基づく賃金として,別表①の「夜勤手」,。 当の不足分欄記載のとおり6万5047円の支払請求権を有しているオ被告は,本件清掃夜勤契約の時給は1200円から1125円へ変更されたと主張する。しかし,原告は,そのような変更について同意しておらず,被告の主張は理由がない。 【被告】- 6 -ア【原告】の主張のうちアないしウは認めるが,エ,オは争う。 イ本件清掃夜勤契約の時給は,契約締結後,1125円に変更となった。 被告は,原告に対し,毎月,給与について支払明細書を交付しているが,同明細書の 】の主張のうちアないしウは認めるが,エ,オは争う。 イ本件清掃夜勤契約の時給は,契約締結後,1125円に変更となった。 被告は,原告に対し,毎月,給与について支払明細書を交付しているが,同明細書の「夜勤手当」及び「夜勤時間数」両欄に本件清掃夜勤契約に基づく労働時間,支給金額が記載されている。支払明細書に記載されている夜勤手当額を夜勤時間数で割れば,本件清掃夜勤契約に基づく時給が1125円であることは明らかであり,これに対し,原告は何らの異議を述べてこなかった。したがって,原告は,本件清掃夜勤契約に基づく時給が1。 ,,200円から1125円に変更となることに同意していたなお被告は原告に対し,別表1記載のとおり,平成15年4月分として本件清掃夜勤契約に基づく賃金の過払分1万0700円の支払請求権を有しており,他方,同16年12月分として438円の未払賃金があり,差し引き1万0262円の返還請求権を有しているところ,当該債権をもって,原告の被告に対する本件清掃夜勤契約に基づく賃金支払請求権とを対当額で相殺する(平成17年11月17日の弁論準備期日で陳述した被告の同日付け準備書面第3項の主張を善解。 )( )本件清掃日勤(深夜)契約に基づく深夜割増賃金請求の成否(争点3) 【原告】ア原告は,前記争いのない事実等( )イ記載のとおり,被告との間で,本 件清掃日勤(深夜)契約を締結しているところ,平成15年3月から同17年2月までの間,別表②の「出勤日数」欄記載のとおり出勤した。そして,当該出勤日には,22:00から5:00までの間,1日当たり深夜6時間(休憩1時間を除く,すなわち,別表②の「深夜労働時間」欄記)載の時間働いた。 イところで,原告と被告との間の本件清掃日勤(深夜)契約によれば,原,,告は22:00から6 日当たり深夜6時間(休憩1時間を除く,すなわち,別表②の「深夜労働時間」欄記)載の時間働いた。 イところで,原告と被告との間の本件清掃日勤(深夜)契約によれば,原,,告は22:00から6:00までの間就業することになっているところ- 7 -同契約の賃金の定めは,深夜労働である22:00から5:00までの間と,5:00から6:00までの間との賃金部分の峻別ができず,労働基準法(以下「労基法」という)37条に違反する無効なものである。したがって,被告は,原告に対し,労基法37条及び同法施行規則19条の規定に従い,22:00から5:00までの間の深夜割増賃金を支払わなければならない義務を負っている。 ウ(ア)深夜割増賃金を算出するに当たっては,算定の基礎となるべき時給基準単価が問題となる。本件では,原告は,本件清掃日勤(深夜)契約のほか本件清掃夜勤契約も締結し,被告のもとで働いている。このような勤務形態においては,本件清掃日勤(深夜)契約における基本給,職務手当,皆勤手当,役付手当を基礎として時給を算出し,算出した当該時給と清掃夜勤の時給(1200円)の平均値をもって深夜割増賃金の時給基準単価とするのが相当である。 (イ)そうすると,平成15年3月から同17年2月までの間の,時給基準単価は,別表②の「基準賃金額」欄記載のとおりとなる。例えば,平成15年3月を例にとれば,以下のとおりとなり,同月以降も同様である。 平成15年3月の時給基準単価{基本給+職務手当+皆勤手当)÷出勤日数÷7+清掃夜勤の時給}(÷2={108,240+72,000+4,000)÷24÷7+(1200}÷2=1148円(ウ)前記(イ)の時給基準単価を基礎に,平成15年3月から同17年2月までの間の1時間当たりの深夜割増賃金を算出すると,別表② 2,000+4,000)÷24÷7+(1200}÷2=1148円(ウ)前記(イ)の時給基準単価を基礎に,平成15年3月から同17年2月までの間の1時間当たりの深夜割増賃金を算出すると,別表②の「深夜労働の割増賃金」欄記載のとおりの額となる。例えば,平成15年3,(. )。 月を例にとれば287円1148円×025=287円となるエ原告の被告に対する平成15年3月から同17年2月までの間の深夜割- 8 -増賃金額の合計額は,別表②の各月の「深夜労働の割増賃金」欄の金額に「深夜労働時間」欄記載の時間数を乗じた額,すなわち「深夜労働の割,増賃金の合計」欄記載の額を加えていった累計である99万2922円ということになる。 【被告】ア【原告】の主張のうち,アは認めるが,イないしエは否認ないし争う。 イ本件清掃日勤(深夜)契約によれば,原告は22:00から6:00までの間就業することになっているところ,休憩時間を5:00から6:00までの間にとることはなく,深夜労働対象時間内にとっているので,深夜労働時間は6時間と一意的に決定される。よって,深夜労働部分とそれ以外の労働部分との賃金を峻別することは可能であり,本件清掃日勤(深夜)契約の賃金の定め方は,何ら労基法37条に違反していない。すなわち,1日当たりの賃金額を8.5時間で割ると5:00から6:00までの間の賃金を算出することができ,上記金額に深夜割増率である1.25を乗じ更に6時間を乗じることにより22:00から5:00までの間(実働時間6時間)の賃金を算出することができる。 ウまた,本件清掃日勤(深夜)契約書によれば,原告の就労時間は22:00から6:00までの間であり,賃金は当該就労時間を前提に決定され,。 ており当該賃金の中に深夜割増賃金も含まれている きる。 ウまた,本件清掃日勤(深夜)契約書によれば,原告の就労時間は22:00から6:00までの間であり,賃金は当該就労時間を前提に決定され,。 ており当該賃金の中に深夜割増賃金も含まれていることは明らかである,(「」エ原告は深夜割増賃金を算出する際の基礎となる賃金以下基礎賃金という)には皆勤手当も含めて計算すべきであると主張するが,皆勤手当は月によって変動する性格のものであり,基礎賃金に含めるのは誤りである。 オ被告の試算によると,本件清掃日勤(深夜)契約に基づく原告の深夜割増賃金額は,別表2記載のとおりであり,これによれば,原告の被告に対する請求は理由がないということになる。 - 9 -( )時間外賃金の成否(争点4) 【原告】ア原告は,平成15年3月から同16年12月までの間,本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約の両契約に基づき,本件ホテルGCで就労した。 イ原告は,平成15年3月から同16年12月までの間,本件清掃夜勤契約に基づき別表③の「清掃夜勤就労時間」欄記載の時間数働くとともに,本件清掃日勤(深夜)契約に基づき同表の「清掃深夜就労時間」欄記載の時間数働き,その結果,同表の「合計就労時間」欄記載の時間数働いた。 ウところで,原告は,平成15年3月から同16年12月までの間,別表②の「出勤日数」欄記載の日数出勤している。そうだとすると,原告の前記アの期間の法定労働時間(出勤日数」×8時間)は別表③の「法定労「働時間」欄記載のとおりとなり,法定外労働時間は前記イの「合計就労時間」から「法定労働時間」を差し引いた別表③の「法定外労働時間」欄記載の時間数となる。 エ前記( )【原告】の主張ウのとおり,平成15年3月から同17年2月 までの間の時給基準単価は,別表②の「基準賃金額」欄記 働時間」を差し引いた別表③の「法定外労働時間」欄記載の時間数となる。 エ前記( )【原告】の主張ウのとおり,平成15年3月から同17年2月 までの間の時給基準単価は,別表②の「基準賃金額」欄記載のとおりであり,これに0.25を乗じた額が1時間当たりの時間外労働の割増賃金額となる(例えば,平成15年3月を例にとれば,1148×0.25=287円となる。そして,前記割増賃金額に法定外労働時間数を乗じれ。)ば各月の時間外賃金額を算出することができる。 オ以上によれば,平成15年3月から同17年2月までの間の時間外賃金額は,別表③の「時間外労働の割増賃金」欄記載のとおり,合計14万6310円ということになる。 【被告】ア【原告】の主張のうち,ア,イは認める。同ウのうち,原告が平成15- 10 -年3月から同16年12月までの間,別表②の「出勤日数」欄記載の日数出勤したことは認めるが,その余は否認する。同エ,オは争う。 イ原告は,本件清掃夜勤契約を締結して被告に入社し,その後,本件清掃日勤(深夜)契約を締結し,同契約に基づく仕事にも従事するようになっ。 ,,た被告は両契約を別々のものとして従業員の募集をしているのであり,。 ,,性格上両契約は別個のものである被告は両契約を別個のものとして別表3記載のとおり,労働時間を計算し,賃金を支払ってきた。このような取り扱いは両契約が別個だとすると正当であり,そうだとすると,原告は時間外労働をしておらず,原告の時間外賃金の請求は理由がないということになる。 ( )休日労働,休日深夜労働の割増賃金の成否(争点5) 【原告】ア原告は,平成15年3月から同17年2月までの間,別表④の「法定内休日労働日数」欄及び「法定外休日労働日数」欄各記載のとおり,休日労働,休日深夜労働 労働の割増賃金の成否(争点5) 【原告】ア原告は,平成15年3月から同17年2月までの間,別表④の「法定内休日労働日数」欄及び「法定外休日労働日数」欄各記載のとおり,休日労働,休日深夜労働を行った。 イ平成15年3月から同17年2月までの間の時給基準単価は別表②の「基準賃金額」欄記載のとおりであり,これに,割増賃金率として,法定内休日労働の場合は0.35,法定内休日深夜労働の場合は0.6,法定外休日労働分の場合は0.25,法定外休日深夜労働分の場合は0.5625(1.25×1.25-1.00)を乗じ,休日労働の割増賃金の場合は1日当たり1時間を,休日深夜労働の割増賃金の場合は1日当たり6時間をそれぞれ乗じ,これらの額から既払額を差し引くと,休日労働,休日深夜労働の割増賃金の未払分は,別表④の「未払額」欄記載のとおり,合計3万4513円ということになる。 【被告】ア【原告】の主張アは認める。同イのうち,割増賃金率が原告主張のとお- 11 -りであることは認める。休日労働,休日深夜労働の割増賃金算定の基礎となる時価基準単価を本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約の時給の平均値とすることには何ら合理的な理由はない。 イ被告は,原告に対し,休日労働の割増賃金を,法定休日,法定外休日に分けて支払済みである。なお,休日の深夜割増分は,前記支払分に自動的に織り込まれている。 ウ仮に,原告の主張する方式に従い計算をすると,別表4-①,②記載のとおり,被告は原告に対し2692円過払いしていることになる。 ( )付加金支払請求の成否(争点6) 【原告】,,,被告は労基法37条の規定に違反し前記( )ないし( )各記載のとおり 時間外賃金等の割増賃金を支払わない。よって,原告は,被告に対し,前記未払金117万3745 ) 【原告】,,,被告は労基法37条の規定に違反し前記( )ないし( )各記載のとおり 時間外賃金等の割増賃金を支払わない。よって,原告は,被告に対し,前記未払金117万3745円(99万2922円+14万6310円+3万4513円=117万3745円)と同額の付加金の支払を求める。 【被告】争う。 第3争点に対する判断 本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約との関係(争点1)( )原告は,被告との間で,当初本件清掃夜勤契約を締結して本件ホテルG Cでの清掃業務に従事していたところ,その後になって,本件清掃日勤(深夜)契約を締結し,本件ホテルGCでの清掃業務にも従事するようになった,,,のであり両契約の当事者が同一でしかも就業場所も同一であることから両契約を統一して考え,時間外賃金,深夜割増賃金等を支払うべきであると主張する。そこで,まず,両契約の関係についてみてみることにする。 ( )前提事実 前記争いのない事実等及び証拠(文末に掲記したもの)によれば,次の事- 12 -実が認められる。 ア被告の募集態様被告は,不動産の保全,管理及び補修の請負,各種清掃などを主たる目的とする会社であるが欠員の出た従業員を次の要領で募集している乙,,(4,10,証人P1【15,16頁。 】)勤務態様清掃場所勤務時刻例休日例①清掃日勤共用部~(実働7時間)隔週土・日・祝8:0017:00~(実働7時間)シフト制22:006:00②午前パート共用部~(実働時間)土・日・祝8:0012:003.5③午後パート共用部~(実働3時間)土・日・祝13:0016:30④早朝パート専用部~(実働2時間)土・日・祝6:008:00⑤夜掃パート専 8:0012:003.5③午後パート共用部~(実働3時間)土・日・祝13:0016:30④早朝パート専用部~(実働2時間)土・日・祝6:008:00⑤夜掃パート専用部~(実働2時間)土・日・祝17:3019:30~(実働時間)土・日・祝18:0020:302.5イ原告の応募(ア)原告は,平成13年7月当時,他の会社において,日勤の清掃業務に従事していた。原告は,前記清掃業務に加え,被告において,夜勤の清掃業務にも従事することにした。そこで,原告は,前記ア⑤の「夜掃パート(勤務時間18:00~20:30)に応募し,被告に採用さ」れた(甲1,原告【1頁)。 】(イ)原告は,平成13年7月3日,被告との間で,次のとおり,本件清掃夜勤契約(パートタイム)を締結し,同日以降,本件ホテルGCの専用部分の清掃業務に従事した(前記争いのない事実等( )ア,( )ア,原 告【1頁。 】)a就業場所本件ホテルGCb職種清掃夜勤c勤務時間18:00から20:30まで,休憩時間なし- 13 -d休日土・日・祝e賃金日給3000円(実働2.5時間,時給1200円)f交通費1出勤日につき400円g皆勤手当(所定労働日を全日出勤した場合)2000円h支払毎月1日より月末締切りとして翌月11日に支払う。 ウ本件清掃日勤(深夜)契約の締結,,(ア)被告のパートタイマーとして働き始めた原告は同僚のP2に対し(),被告の清掃日勤深夜の欠員があれば応募したいと述べていたところ欠員が出た。そこで,原告は,前記ア①の「清掃日勤(勤務時間22」:00~6:00)に応募し,採用された(甲2,原告【1,2,9。 頁)】(イ)原告は,平成13年8 したいと述べていたところ欠員が出た。そこで,原告は,前記ア①の「清掃日勤(勤務時間22」:00~6:00)に応募し,採用された(甲2,原告【1,2,9。 頁)】(イ)原告は,平成13年8月1日,被告との間で,次のとおり,本件清掃日勤(深夜)契約を締結し,前記イの清掃夜勤に加え,同日以降,本件ホテルGCの共用部分の清掃業務に従事するようになった(前記争いのない事実等( )イ,( )ア,イ。 )a試用期間平成13年8月1日から同年10月31日b就業場所本件ホテルc職種清掃日勤(深夜)d勤務時間22:00から6:00まで,休憩時間服務規則に基づくe休日指定公休制f賃金日給月払基本給4500円職務手当3000円皆勤手当4000円g支払当月末日締切り,翌月11日支払- 14 -エ本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約との差異本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約とでは,次の(ア)ないし(,,,,(エ)の差異が認められる前記争いのない事実等( )アイ乙5 11,証人P1【1,9頁,原告【4,8,9頁。 】】)(ア)従業員としての地位は,本件清掃夜勤契約ではパートタイマーであるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約では正社員扱いであった。 (イ)賃金の定め方は,本件清掃夜勤契約では時給であるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約では日給であった。 (ウ)清掃場所は,本件清掃夜勤契約では本件ホテルGCの専用部分であるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約では本件ホテルGCの共用部分であった。 (エ)休日は,本件清掃夜勤契約では土・日・祝であるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約ではシフト制(指定休日制)であった。 オ被告の給与支給の実態(ア)被告 件ホテルGCの共用部分であった。 (エ)休日は,本件清掃夜勤契約では土・日・祝であるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約ではシフト制(指定休日制)であった。 オ被告の給与支給の実態(ア)被告は,原告に対し,毎月の給与の支払に関し,支給明細書を交付している。支給明細書によれば,本件清掃夜勤契約に基づく給与については,稼働時間数が「夜勤時間数」欄に,支給額が「夜勤手当」欄(平成15年4月だけは「残業手当」欄)に記載されている。また,本件清掃日勤(深夜)契約に基づく給与については,前記本件清掃夜勤契約の(,)。 給与に関する欄以外の欄基本給欄職務手当欄等に記載されている(甲3の1ないし25)(イ)なお,本件清掃夜勤契約によれば,被告は,原告に対し,交通費として1出勤日について400円,皆勤手当として月額2000円を支払う約定となっていた。しかし,被告は,本件清掃日勤(深夜)契約を締結した以降は,原告に対し,本件清掃日勤(深夜)契約についての皆勤手当,交通費は支払ったが,本件清掃夜勤契約についての皆勤手当,交- 15 -通費は支払っていない(甲1,9,原告【2頁)。 】( )当裁判所の判断 ア前記( )の前提事実等を踏まえ,本件清掃夜勤契約が,後に本件清掃日 勤(深夜)契約が締結されたことにより,どのような影響を受けたのかについて検討することにする。この点に関し,原告は,両契約の当事者が同一で,しかも就労場所も同一であることから,時間外賃金,深夜割増賃金の請求権の存否を考えるに当たっては,両契約を統一的に,いわば一つの契約として考えるべきであると主張しているように思われる。確かに,両契約の当事者は同一である。しかし,賃金額及びその定め方は,労働契約の本質的要素の一つであるところ,前記( )エ,オによれば, つの契約として考えるべきであると主張しているように思われる。確かに,両契約の当事者は同一である。しかし,賃金額及びその定め方は,労働契約の本質的要素の一つであるところ,前記( )エ,オによれば,本件清掃夜 勤契約は時給であるのに対し,本件清掃日勤(深夜)契約は日給であり,しかも,両者の額は異なり,それぞれ幾らかは被告が原告に対し毎月交付する支給明細書から分かるようになっていることが認められる。のみならず,前記( )エによれば,本件清掃夜勤契約はパートタイマーの契約であ り,本件清掃日勤(深夜)契約は正社員の契約であるという差異があることが認められる。これら,両契約には契約の本質的要素に差異があること等を考えると,両契約は,あくまで別個の契約と解するのが相当である。 イ上記アのように解すると,本件清掃日勤(深夜)契約締結後,本件清掃夜勤契約において約定されていた交通費,皆勤手当が支払われなくなった点をどのように解するのかが問題となる。この点については,両契約の当事者が同一であることにかんがみ,本件清掃日勤(深夜)契約で交通費,皆勤手当が支払われるようになった以上,いわば二重払になるとの考慮から,本件清掃夜勤契約においては支払わなくてもよいとの合意が成立したものと解するのが相当である。 ウそれでは,本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約とは全く別個,,。 ,で相互に無関係かというとそのようにいうことはできないなぜなら- 16 -,,,前記( )イないしエ及び弁論の全趣旨によれば両契約は当事者が同一 就労場所が同一(専用部分と共用部分との差はあるが)であること,両契約は勤務時間が違うだけであるという側面があること,清掃夜勤に続いて清掃日勤(深夜)の業務に従事することは事実上時間外労働しているのと変わ が同一(専用部分と共用部分との差はあるが)であること,両契約は勤務時間が違うだけであるという側面があること,清掃夜勤に続いて清掃日勤(深夜)の業務に従事することは事実上時間外労働しているのと変わりがないこと,本件清掃日勤(深夜)契約が正社員契約であり,本件清掃夜勤契約がパートタイマー契約であることなどが認められ,これらの諸事実に照らすと,原告は,被告の正社員として22:00から6:00までの間就労義務を負っており,これに加えて,清掃夜勤として18:00から20:30までの間働くのは,本件清掃日勤(深夜)契約の時間外労働,換言すれば早出残業をしていると位置づけるのが相当である。以上のように解するのが,労基法38条の2第1項の法の趣旨にも合致すると考えられる。 エ以下において,時間外賃金の成否等を考えるに当たっては,上記のような考え方を基礎において検討を進めることにする。 本件清掃夜勤契約に基づく賃金請求の成否(争点2)( )原告は,本件清掃夜勤契約に基づく時給は1200円であるところ,被 告の同契約に基づく支払額は時給1125円であり,その差額が支払われていないとして,その支払を請求している。 ( )前記1で検討したとおり,本件清掃夜勤契約は,本件清掃日勤(深夜) 契約が締結されたとしても,別個,独立の契約としてその存在意義を有している。そうだとすると,原告の主張するとおり,本件清掃夜勤契約に基づく賃金が支払われていない場合には,被告はこれを支払う義務があるというべきである。そこで,以下,本件清掃夜勤契約に基づく賃金の未払が存在するのか否かについて検討することにする。 ( )前記争点( )の当事者双方の主張によれば「ア原告は,平成15年3 ,月から同16年11月までの間,清掃夜勤として,別表①の「就労時間数」 るのか否かについて検討することにする。 ( )前記争点( )の当事者双方の主張によれば「ア原告は,平成15年3 ,月から同16年11月までの間,清掃夜勤として,別表①の「就労時間数」- 17 -欄記載のとおり働いたこと,イこれに対する,被告の支払額は,別表①の「支払われた夜勤手当」欄記載の金員であること,ウ本件清掃夜勤契約に」,。 基づく時給は1200円であったことはいずれも当事者間に争いがないそうだとすると,他に特段の事由が存在しない限り,原告の請求は理由があることになる。 ( )ところで,この点に関し,被告は,本件清掃夜勤契約の時給は,後にな って,1200円から1125円に変更になったと主張する。この点を証する証拠としては,証人P1が,平成14年2月ころ,被告の担当者P3が原(【】)。 告に時給の変更を告げたはずであるとの証言が存在する証人P12頁しかし,P1自身,P3に変更の事実を確認したわけでなく(証人P1【2頁,これを否定する原告本人の供述(原告【3頁)と対比すると信用性】)】が薄弱であり,これを採用することはできない。また,被告は,平成14年2月に本件清掃夜勤契約の時給が1200円から1125円に変更になったとしながらも,平成15年4月には時給1339円を支払う(当事者間に争いがない)など一貫性がない行動をとっており,これら被告の態度に照らすと,被告の主張を採用することは困難である。 ( )また,被告は,毎月,原告に対し,給与について支払明細書を渡してい るところ,支払明細書の「夜勤手当」及び「夜勤時間数」両欄の記載を比較すれば(夜勤手当額を夜勤時間数で割る,本件清掃夜勤契約に基づく時給),,が1125円になっており原告はこれに何ら異議を述べていないことから原告は時給が120 び「夜勤時間数」両欄の記載を比較すれば(夜勤手当額を夜勤時間数で割る,本件清掃夜勤契約に基づく時給),,が1125円になっており原告はこれに何ら異議を述べていないことから原告は時給が1200円から1125円に減額されていることに同意していると主張する。 確かに,証拠(甲3の1ないし21)によれば,支払明細書の記載を分析し,計算をすれば,本件清掃夜勤契約の時給が1125円として計算されていることが分かることが認められる。しかし,証拠(甲3の1ないし21,原告【3頁)及び弁論の全趣旨によれば,被告が原告に対し毎月交付して】- 18 -いた給与についての支払明細書には本件清掃夜勤契約に基づく賃金以外の項目が数多く記載されていること,本件清掃夜勤契約に基づく時給額は記載されていないこと,原告は被告を退職するまでの間支払明細書の記載を詳細に分析等していなかったことが認められる。 以上によれば,本件清掃夜勤契約の時給が1200円から1125円に減額されていることについて,原告が同意していたと評価することは困難というべきであり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 ( )小括 ア以上によれば,原告の被告に対する本件清掃夜勤契約に基づく未払賃金6万5047円の支払請求は,すべて理由があるのでこれを認容するのが相当である。 イなお,前記争点( )【被告】の主張イによれば,被告は,原告に対し, 平成15年4月分として本件清掃夜勤契約に基づく賃金の過払分1万0700円の支払請求権を有していることを前提に,原告の被告に対する本件清掃夜勤契約に基づく賃金支払請求権に対し相殺の主張をしている。原告が,本件清掃夜勤契約に基づき,平成15年4月に50時間働き,その対価として被告から6万6950円の支払を受けたことは当事者間に争いがない(別 に基づく賃金支払請求権に対し相殺の主張をしている。原告が,本件清掃夜勤契約に基づき,平成15年4月に50時間働き,その対価として被告から6万6950円の支払を受けたことは当事者間に争いがない(別表①,別表1参照。そして,前記( )ないし( )によれば,本件) 清掃夜勤契約の時給は1200円であり,1200円から1125円に減額されたとは認められない。そうすると,被告は原告に対し,平成15年4月の過払賃金請求権として6950円(6万6950円-1200円×50=6950円)を有しているところ,別表①からも明らかなとおり,原告は,被告に対し,本件清掃夜勤契約に基づく未払賃金の支払を求めるに当たり,前記6950円を予め控除して前記6万5047円の支払を請求している。したがって,被告の前記相殺の主張は,理由がなく,主張自体失当というほかない。 - 19 - 本件清掃日勤(深夜)契約に基づく深夜割増賃金請求の成否(争点3)( )原告は,被告との間で,本件清掃日勤(深夜)契約を締結しているとこ ろ,平成15年3月から同17年2月までの間,別表②の「出勤日数」欄記載のとおり出勤したこと,当該出勤日には,22:00から5:00までの間,1日当たり6時間(別表②の「深夜労働時間」欄記載の時間)働いたことは,いずれも当事者間に争いがない。 ( )ところで,被告は,原告との間で本件清掃日勤(深夜)契約を締結し, 同契約書に22:00から6:00までの間の就労の対価として基本給4500円,職務手当3000円を支払うことを明記しており,当該賃金額は深夜割増賃金を含んだ額であると主張し,原告はこれを否認するので,以下,この点について検討する。 証拠(甲2,原告【6,7頁)によれば,原告は,22:00から6:】00までの間の就労の対価として 深夜割増賃金を含んだ額であると主張し,原告はこれを否認するので,以下,この点について検討する。 証拠(甲2,原告【6,7頁)によれば,原告は,22:00から6:】00までの間の就労の対価として7500円(4500円+3000円=7500円)が支払われることを理解したうえで本件清掃日勤(深夜)契約を締結したことが認められる。そうだとすると,特段の事情がない限り,前記7500円の中に深夜割増賃金は含まれていると解するのが相当である。なぜなら,契約の当事者の認識として,使用者側としては,7500円に加え深夜割増賃金を支払う意思はないであろうし,労働者側としても,7500円に加え深夜割増賃金がもらえるものと思って契約することは通常はないからである。このことは,原告が退職するまでの間,原告は被告に対し深夜割増賃金の支払を請求したことがないし,被告も原告に対し前記7500円に加え,深夜割増賃金を支払おうとしたことはなかったこと(弁論の全趣旨により認められる)からも明らかである。そして,本件全証拠を検討するも,前記7500円の中に深夜割増賃金は含まれていないことを窺わせる特段の事情は認められない。 以上によれば,本件清掃日勤(深夜)契約の1日の賃金である7500円- 20 -の中に,22:00から5:00までの間の労働についての深夜割増賃金が入っていると解するのが相当である。 ( )原告は,前記7500円の中に深夜割増賃金が入っているとなると,本 件清掃日勤(深夜)契約に基づく賃金の定めは,深夜労働である22:00から5:00までの間と,5:00から6:00までの間との賃金部分の峻別ができず,労基法37条に違反する無効なものであり,被告は,同条及び同法施行規則19条の規定に従った額の深夜割増賃金を支払わねばならないと主張する。そこで,以 から6:00までの間との賃金部分の峻別ができず,労基法37条に違反する無効なものであり,被告は,同条及び同法施行規則19条の規定に従った額の深夜割増賃金を支払わねばならないと主張する。そこで,以下,前記原告の主張の当否について検討する。 (),(), 証拠 甲2及び弁論の全趣旨によれば本件清掃日勤深夜契約では22:00から6:00までの間就業することになっているところ,休憩時間を5:00から6:00の間にとることはなく,深夜労働対象時間内にとっていることが認められる。そうだとすると,本件清掃日勤(深夜)契約の深夜労働時間は6時間であり,それ以外の時間は1時間であると一義的に決定することができる。すなわち,1日当たりの賃金である7500円を8. 5時間で除する(割る)と5:00から6:00までの間の賃金を算出することができ,上記金額に深夜割増額である1.25を乗じ更に6時間を乗じることにより22:00から5:00までの間(実働時間6時間)の賃金を算出することができる。 以上によれば,原告と被告間の清掃日勤(深夜)契約に基づく賃金の定め方は,深夜労働部分の賃金とそれ以外の賃金との峻別が可能というべきであり,この点の前記原告の主張は理由がないということになる。 ( )なお,原告は,最二小平6.6.13労働判例653号12頁・高知県 ,。 観光事件を引用して被告には深夜割増賃金を支払う義務があると主張する前記最高裁の事例は,タクシー運転手に対する賃金が月間水揚高に一定の歩合を乗じて支払われている場合に,時間外及び深夜の労働を行った場合にもその額が増額されることなく,通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外- 21 -及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないときは,前記歩合給の支給によって労基法37条に規 場合にもその額が増額されることなく,通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外- 21 -及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないときは,前記歩合給の支給によって労基法37条に規定する時間外及び深夜割増賃金が支払われたとすることはできないとした事例である。ところが,本件清掃日勤(深夜)契約においては,深夜の労働時間が22:00から5:00までの間の6時間(1時間は休憩)と定められ,これに対する賃金額も決まっていて変動がないのであり,前記最高裁の事例とは前提を異にしており,前記最高裁の裁判例を本件に適用することはできない。よって,この点の前記原告の主張も理由がない。 ( )小括 以上によれば,原告の被告に対する本件清掃日勤(深夜)契約に基づく深夜割増賃金の支払請求は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。 時間外賃金の成否(争点4)( )前記争点( )の当事者双方の主張によれば「ア原告は,平成15年3 ,月から同16年12月までの間,本件清掃夜勤契約に基づく業務と本件清掃日勤(深夜)契約に基づく業務の双方に従事していたこと,イ原告は,平成15年3月から同16年12月までの間,本件清掃夜勤契約に基づき別表③の「清掃夜勤就労時間」欄記載の時間数,本件清掃日勤(深夜)契約に基づき同清掃深夜就労時間欄記載の時間数それぞれ働き合わせて同合「」,,「計就労時間」欄記載の時間数働いたこと」は当事者間に争いがない。 ( )ところで,被告は,別表3記載のとおり,本件清掃夜勤契約に基づく就 労と本件清掃日勤(深夜)契約に基づく就労は別個のものとして労働時間,賃金を計算し,これを原告に支払っており,これを前提とする限り,原告が本件ホテルGCにおいて時間外労働をし,その結果時間 く就 労と本件清掃日勤(深夜)契約に基づく就労は別個のものとして労働時間,賃金を計算し,これを原告に支払っており,これを前提とする限り,原告が本件ホテルGCにおいて時間外労働をし,その結果時間外賃金が発生したということは観念しようがないと主張する。しかし,前記被告の主張に理由がないのは前記1( )ウで判断したとおりである。すなわち,労基法38条の - 22 -2第1項の法の趣旨に照らすと,本件清掃日勤(深夜)契約の勤務時間である22:00から6:00までの間を所定労働時間と捉え,本件清掃夜勤契約の勤務時間である18:00から20:30までの間を時間外労働(いわゆる早出残業)と捉えるのが相当である。前記考え方を前提に,以下,原告の被告に対する時間外賃金額を算出してみることにする。 ( )前記( )( )を前提にすると,原告は,平成15年3月から同16年12 月までの間,別表③の「法定外労働時間」欄記載の時間数,時間外労働したことになる。そして,この場合の時間外賃金を算定するに当たっての時給基準単価が幾らかということが問題となる。前記のとおり,本件清掃夜勤契約に基づく就労を,本件清掃日勤(深夜)契約の早出残業と位置づけると,前記時給基準単価は本件清掃夜勤契約の時給である1200円であるとするのが相当である。そうすると,原告の時間外賃金(割増賃金)は1時間当たり300円(1200円×0.25=300円)ということになる。 ( )ところで,原告は,本件において,時間外賃金を算出するに当たって, 時給基準単価を別表②の「深夜労働の割増賃金」欄記載のとおり287円から291円として請求している。そうだとすると,前記( )のとおり,原告 の時間外賃金の時給基準単価は300円であることが相当な本件にあっては,原告の被告に対す 割増賃金」欄記載のとおり287円から291円として請求している。そうだとすると,前記( )のとおり,原告 の時間外賃金の時給基準単価は300円であることが相当な本件にあっては,原告の被告に対する時間外賃金の請求は,すべて理由があり,これを認容するのが相当であるということになる。 休日労働,休日深夜労働の割増賃金の成否(争点5)( )前記争点( )の当事者双方の主張によれば,原告が平成15年3月から同 17年2月までの間,別表④の「法定内休日労働日数」欄及び「法定外休日労働日数」欄各記載のとおり,休日労働,休日深夜労働を行ったことは当事者間に争いがない。 ( )そうすると,次に問題になるのは,休日労働,休日深夜労働の割増賃金 額を算出するに当たって,時給基準単価を幾らと考えるかである。この点に- 23 -,,(),関し原告は本件清掃日勤深夜契約のほか本件清掃夜勤契約も締結し,()両契約とも本件ホテルGCで働いていることに照らし本件清掃日勤深夜契約における基本給,職務手当,皆勤手当,役付手当を基礎賃金として時給を算出し,当該時給と本件清掃夜勤契約の時給(1200円)との平均値をもって,休日労働,休日深夜労働の割増賃金額を算出するに当たっての時給基準単価とするのが相当であると主張する。しかし,本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約は,前記1( )アでもみてきたとおり,本来別個, 独立の契約であることを考慮すると,前記原告の主張には何らの合理性もないといわざるをえない。 前記1( )ウで判示した本件清掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約と の関係,すなわち,本件清掃日勤(深夜)契約の勤務時間である22:00から6:00までの間を所定労働時間ととらえ,本件清掃夜勤契約の勤務時間を本件清掃日勤 掃夜勤契約と本件清掃日勤(深夜)契約と の関係,すなわち,本件清掃日勤(深夜)契約の勤務時間である22:00から6:00までの間を所定労働時間ととらえ,本件清掃夜勤契約の勤務時間を本件清掃日勤(深夜)契約の時間外労働と捉えるのが相当であるとの立場からは,休日労働,休日深夜労働の割増賃金額を出すに当たっての時給基準単価は,本件清掃日勤(深夜)契約の賃金額を基礎に算出するのが相当である。 ( )具体的な時給基準単価の額 アところで,原告は,時給基準単価を算出するに当たっては,その基礎賃金として,基本給,職務手当,役付手当のほか,皆勤手当を加えるべきであると主張する。これに対し,被告は,皆勤手当は,従業員が皆勤した場合に支払われるものであって,基礎賃金から除外すべきであると主張するので,いずれの主張が相当かについて検討する。 証拠(甲3の1ないし25,乙6の1及び2,証人P1【13ないし15頁)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,原告に対し,同人が欠勤し】ても一律月額4000円の皆勤手当を支給していることが認められる。このような被告の原告に対する皆勤手当の支給実績を考慮すると,基礎賃金- 24 -に皆勤手当を含めるのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 イまた,前記3で判断したとおり,本件清掃日勤(深夜)契約の賃金(日給)の中には,6時間の深夜労働時間の割増賃金が含まれている。これらの事実をも考慮すると,休日労働,休日深夜労働の割増賃金額を出すに当たっての時給基準単価は,次のような算式により求めるのが相当である。 8.5時給基準単価=基本給+職務手当+役付手当+皆勤手当÷出勤日÷()そうすると,平成15年3月から同17年2月までの間の,休日労働,休日深夜労働の割増賃金額を出すに当たっての時給基準単価 .5時給基準単価=基本給+職務手当+役付手当+皆勤手当÷出勤日÷()そうすると,平成15年3月から同17年2月までの間の,休日労働,休日深夜労働の割増賃金額を出すに当たっての時給基準単価は「裁判所,認定の休日の割増賃金表(別表6-①)の「時給基準単価」欄記載のと」おりとなる。 「」,,ウ前記別表6-①の時給基準単価欄記載の単価に割増賃金率として法定内休日労働の割増の場合は0.35,法定内休日深夜労働の割増の場合は0.6,法定外休日労働分の割増の場合は0.25,法定外休日深夜労働分の割増の場合は0.5625(1.25×1.25-1.00)をそれぞれ乗じると,同表の「割増時間単価」欄記載のとおりの割増時間単価が出る。 ,,エ前記割増時間単価に休日労働の割増賃金の場合は1日当たり1時間を休日深夜労働の割増賃金の場合は1日当たり6時間をそれぞれ乗じ,これらの額から既払額を差し引くと,休日労働,休日深夜労働の割増賃金の未払分が算出できるが,その額は「裁判所認定の休日の割増賃金表(別,」表6-②)の「未払額」欄記載のとおり,合計2636円ということになる。 前記2ないし5のまとめ( )前記2ないし5の検討結果によれば,原告は,被告に対し,本件清掃夜 勤契約に基づく未払賃金として6万5047円,時間外賃金として14万6- 25 -310円,休日労働,休日深夜労働の割増賃金として2636円の,合計21万3993円の支払請求権を有している。 ( )確定遅延損害金 前記争いのない事実等( )及び弁論の全趣旨によれば①本件清掃日勤深 ,(夜)契約の賃金の締め日は毎月月末締切りの翌月11日支払であったこと,②そうだとすると,被告は原告に対し前記( )の割増賃金も同様の期日まで に支払う義務 によれば①本件清掃日勤深 ,(夜)契約の賃金の締め日は毎月月末締切りの翌月11日支払であったこと,②そうだとすると,被告は原告に対し前記( )の割増賃金も同様の期日まで に支払う義務があったこと,③しかるに,被告は原告に対し,その支払をしていないことが認められる。 前記2,4,5記載の各月ごとの未払金額は「裁判所の認容額一覧表」,(別表7)記載のとおりであり,これに対する原告が退職した平成17年3月31日までの間の確定遅延損害金は,商事法定利率年6%の割合で計算すると,別紙「裁判所の遅延損害金計算書」記載のとおり,合計1万3987円となる。 ( )一部弁済 前記争いのない事実等( )によれば,被告は,平成17年5月2日,原告 に対し,同16年1月から同年10月までの間及び同年12月の各割増賃金が支払われていなかったとして,5973円を支払ったことが認められる。 そして,弁論の全趣旨によれば,被告は,前記弁済について充当順序を指定したと認めるに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,民法491条に,,,従いまず前記弁済金を確定遅延損害金から充当していくのが相当でありこれによると,原告の被告に対する確定遅延損害金は,8014円(1万3987円-5973円=8014円)ということになる。 付加金請求の成否(争点6)ア原告は,割増賃金について,労基法114条に基づき,付加金請求をしているので,その成否について検討する。 ,,,,,イ前記45によれば被告は原告に対し労基法37条の規定に違反し- 26 -平成16年3月から同17年2月までの間の割増賃金として合計14万8946円(14万6310円+2636円=14万8946円)を支払っていないことが認められる。 ウ労基法114条によれば「この -平成16年3月から同17年2月までの間の割増賃金として合計14万8946円(14万6310円+2636円=14万8946円)を支払っていないことが認められる。 ウ労基法114条によれば「この請求は,違反のあった時から2年以内に,しなければならない」と規定しており,付加金請求権は違反のあった時か。 ら2年経過することにより除斥により消滅するとされている。そして,除斥期間は権利の存続期間である性質上,時効と異なり当事者が除斥を援用しなくとも,裁判所はこれを基礎として裁判をしなければならない。そこで,以下,前記14万8946円の割増賃金請求権が除斥期間を経過しているか否かについてみてみることにする。 エ前記争いのない事実等( )イによれば,本件清掃日勤(深夜)契約の賃金 支払方法は,当日末日締切り,翌月11日支払となっていることが認められる。他方,原告は,被告に対し,付加金請求をしたのは,平成17年9月14日の本件訴え提起時であることは,当裁判所に顕著な出来事である。そうだとすると,原告の被告に対する割増賃金請求権のうち,平成15年3月分から同年8月分までの割増賃金請求権に関する付加金請求権は,請求するまでに2年が経過しており,除斥により消滅しているということになる。 オところで,裁判所の認容額一覧表(別表7)によれば,原告の被告に対する時間外賃金のうち,平成15年3月分から同年8月分までの間の金額は4万2781円(6027円+7468円+7175円+7468円+7175円+7468円=4万2781円)となり,同年9月分から同17年2月分までの間の金額は10万3529円(14万6310円-4万2781円=10万3529円)となっていることが認められる。また,同一覧表(別表7)によれば,原告の被告に対する休日労働,休日深夜労働の 分までの間の金額は10万3529円(14万6310円-4万2781円=10万3529円)となっていることが認められる。また,同一覧表(別表7)によれば,原告の被告に対する休日労働,休日深夜労働の割増賃金のうち,平成15年3月分から同年8月分までの間の金額は849円(142),円+142円+137円+71円+137円+220円=849円となり- 27 -同年9月分から同17年2月分までの間の金額は1787円(2636円-849円=1787円)となっていることが認められる。 カ以上によれば,被告が,労基法37条の規定に違反し,割増賃金を支払っていないもので除斥期間を経過していないものは10万5316円(10万3529円+1787円=10万5316円)であることが認められ,そうだとすると,同法114条に従い,被告に対し,10万5316円について付加金の支払を命じるのが相当であり,その余の原告の付加金請求は理由がないということになる。 結論 以上によれば,原告の本訴請求は,未払賃金に遅延損害金を加えた22万2007円(21万3993円+8014円=22万2007円)及び内金21万3993円に対する原告の退職日の翌日である平成17年4月1日から支払済みまでの間賃金の支払の確保等に関する法律6条1項,同法律施行令1条に基づき年14.6%の支払を,また,未払割増賃金に関し10万5316円の付加金(除斥期間の経過したものを除外)の支払をそれぞれ求める限度で理由があるのでこれを認容し,その余は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部裁判官難波孝一 東京地方裁判所民事第36部 裁判官 難波孝一
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