昭和52(行ウ)49 慰霊祭支出差止請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和58年3月1日 大阪地方裁判所 住民訴訟
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【DRY-RUN】○ 主文 原告A、同B、同Cの本件訴を却下する。 被告Dは、訴外箕面市に対し、金三、五五六円とこれに対する昭和五二年七月六日 から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 原告E、同F、同G、同H

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○ 主文原告A、同B、同Cの本件訴を却下する。 被告Dは、訴外箕面市に対し、金三、五五六円とこれに対する昭和五二年七月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 原告E、同F、同G、同H、同I、同J、同Kの被告Dに対するその余の請求及び同被告以外のその余の被告らに対する各請求を棄却する。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一原告ら被告Lは、訴外箕面市に対し、金一万五、〇四一円と、これに対する昭和五二年七月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 被告M、同N、同O、同P、同Dは、各自、訴外箕面市に対し、金三、八三三円とこれに対する同日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は、被告らの負担とする。 との判決並びに仮執行の宣言。 二被告ら原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は、原告らの負担とする。 との判決。 第二当事者の主張一本件請求の原因事実(一) 原告らは、訴外箕面市(以下市ともいう)の住民である。 被告Lは市の市長、同Mは市の教育委員会(以下委員会という)委員長、同N、同O、同Pはいずれも委員会委員、同Dは委員会委員兼教育長である。 (二) 箕面市戦没者遺族会(以下遺族会という)は、市内に居住する戦没者遺族を会員として組織された団体である。 遺族会は、市立西小学校(以下西小学校という)運動場西側に道路を隔てて隣接する同市<地名略>の土地に所在する碑(以下本件忠魂碑という)を「箕面地区忠魂碑」と称し、箕面地区出身の戦没者で靖国神社祭神となつている二九八柱の英霊を本件忠魂碑に合祀し、その前で箕面地区戦没者慰霊祭と称して、これを祭祀する儀式を、毎年一回定期的に挙行していた。 (三) 昭和五一年度、昭和五二年度の箕面地区戦没者慰霊祭は、次のとおり挙行された(以下本件各慰霊祭という)。 (昭和五一年 没者慰霊祭と称して、これを祭祀する儀式を、毎年一回定期的に挙行していた。 (三) 昭和五一年度、昭和五二年度の箕面地区戦没者慰霊祭は、次のとおり挙行された(以下本件各慰霊祭という)。 (昭和五一年度以下本件(一)の慰霊祭という)本件(一)の慰霊祭は、同年四月五日、本件忠魂碑の前で、神社神道式で挙行されたが、その祭場は、神社神職の指示指導により設営された。 本件忠魂碑正面の玉垣の内側には、白木の台と白布を被せた机で祭壇がしつらえられ、祭壇中央部には榊の幣が立てられ、その左右の幣旗には神鏡と神剣が飾られ、その前の七基の三方の上には神酒、餅、果物、野菜等の神饌が供えられ、玉垣の外側には左右に各一脚の白布を被せた長机が置かれ、それぞれに数一〇本の玉串が載せられた。 その主宰者は、式服(衣冠束帯)を着用した神社神職で、同日午前一〇時三〇分ころから午前一一時三〇分ころまで、式次第に則つて、開会の辞、修祓の儀、降神の儀、献饌、祝詞奏上、玉串奉奠、撤饌、昇神の儀、謝辞、閉会の辞が行なわれた。 参列者は、遺族会の会長、役員その他の会員、市議会議長、市議会議員数名、市職員多数、西小学校校長、被告L、同Mら合計百数十名であつたが、被告Dもこれに参列し、玉串奉奠の際、神前に進み出て本件忠魂碑に向つて二礼二拍手一礼して玉串を祭壇に捧げた。 被告L及び市議会議長は、祝詞奏上に続いて、式辞を読んだ。 (昭和五二年度以下本件(二)の慰霊祭という)本件(二)の慰霊祭は、同年四月五日、本件忠魂碑の前で、仏教式で挙行されたが、その祭場は、仏教式に設営された。 本件忠魂碑の前に白布を被せた祭壇がしつらえられ、その上に供物、花が置かれ、玉垣には幕が張られ、祭壇の前に参列者のための椅子が並べられた。 その主宰者は、袈裟、法衣を着用した七名の僧侶で、同日午前一〇時三〇分ころから午前 被せた祭壇がしつらえられ、その上に供物、花が置かれ、玉垣には幕が張られ、祭壇の前に参列者のための椅子が並べられた。 その主宰者は、袈裟、法衣を着用した七名の僧侶で、同日午前一〇時三〇分ころから午前一一時三〇分ころまで、式次第に則つて、開会の辞、黙祷、読経、導師表白文及び慰霊追悼文の朗読、参列者一同の焼香、謝辞、閉会の辞が行われた。 参列者は、本件(一)の慰霊祭のときと同様で、被告Dも、これに参列し、祭壇前で焼香を行つた。 被告L及び市議会議長は、式辞を読んだ。 (四) 被告Lは、市長として、次のとおり、本件各慰霊祭に関わつた。 1 同被告は、市長として、本件各慰霊祭挙行のため、その管理に属する市の財産を、左のとおり、自ら使用若しくは消費し、又は他人に使用若しくは消費させた。 (本件(一)の慰霊祭に関して)(1) 同被告は、昭和五一年三月六日、本件(一)の慰霊祭開催を協議する目的で開かれた遺族会箕面地区理事評議員会のために、市役所庁舎(同市<地名略>所在)会議室を使用させた。 (2) 同被告は、市の職員をして、右理事評議員会招集通知書(少なくとも三〇通)や、本件(一)の慰霊祭の案内状(少なくとも五〇〇通)を、市所有の事務用紙を使用して作成させ、更に、右通知書発送のため、市福祉事務所(以下福祉事務所という)所有の封筒(少なくとも三〇枚)を使用させた。 (3) 同被告は、本件(一)の慰霊祭の参列者のため、阪急箕面線牧落駅から祭場までの間を、市の職員をして、市所有のマイクロバスを往復運転させ、右参列者の送迎に当たらせた。 (4) 同被告は、本件(一)の慰霊祭に自ら参列するため、或いは、参列する市の職員のため、市の職員をして、市所有の乗用車を少なくとも五台運転させた。 (本件(二)の慰霊祭に関して)(5) 同被告は、市の職員をして、本件(二)の慰霊祭の案 自ら参列するため、或いは、参列する市の職員のため、市の職員をして、市所有の乗用車を少なくとも五台運転させた。 (本件(二)の慰霊祭に関して)(5) 同被告は、市の職員をして、本件(二)の慰霊祭の案内状(少なくとも五〇〇通)を、市所有の事務用紙を使用して作成させた。 (6) 同被告は、本件(二)の慰霊祭に自ら参列するため、或いは、参列する市の職員のため、市の職員をして、市所有の乗用車を少なくとも二台運転させた。 2 同被告は、市長として、支出命令を発することにより、左のとおり、それぞれ、その勤務時間中に、本件各慰霊祭について、少なくとも一時間、慰霊祭の開催準備や挙行のための事務に従事し又はこれに参列した市の職員に対し、右時間に相当する分の給与(左記(1)ないし(5)で、市の職員が、本件各慰霊祭のために要した時間は、職員一人当たりに換算して少なくとも延べ三一時間に相当する)合計金一万〇、四一六円を支給した。 (本件(一)の慰霊祭に関して)(1) 市の職員のうち、少なくとも一名が前記1(2)の通知書作成事務に、少なくとも一名が同通知書を入れる封筒宛名書きの事務に、少なくとも一名が同通知書配送事務に、少なくとも一名が前記1(2)の案内状作成事務に、少なくとも一名が同案内状封筒宛名書き事務に、少なくとも一名が同案内状配送事務に、各従事した。 (2) 市の職員のうち少なくとも一名が、前記1(3)のマイクロバス運転に従事した。 (3) 市の職員のうち少なくとも一五名が、前記1(4)の乗用車の運転、祭場の設営及び祭場内の案内整理に従事し、又は参列した。 (本件(二)の慰霊祭に関して)(4) 市の職員のうち、少なくとも一名が前記1(5)の案内状作成事務に、少なくとも一名が同案内状封筒宛名書きの事務に、少なくとも一名が同案内状配送事務に、各従事した。 (5 二)の慰霊祭に関して)(4) 市の職員のうち、少なくとも一名が前記1(5)の案内状作成事務に、少なくとも一名が同案内状封筒宛名書きの事務に、少なくとも一名が同案内状配送事務に、各従事した。 (5) 市の職員のうち少なくとも六名が、前記1(6)の乗用車の運転、祭場の設営及び祭場内の案内整理に従事し、又は参列した。 3 同被告は、市長として、支出命令を発することにより、委員会委員兼教育長である被告Dに対し、同被告か本件各慰霊祭の参列に要した少なくとも各一時間に相当する分の給与金三、五五六円を支給した。 被告Dは、前記(三)のとおり、本件各慰霊祭に参列し、そのため、各年度とも少なくとも各一時間を要した。 (五) 被告Mは、委員会の委員長として、同N、同O、同Pは、委員会の委員として、次のとおり、本件各慰霊祭に関わつた。 1 右被告らによつて構成された委員会には、市所有の西小学校の備品、校舎、校庭を管理する権限がある。 委員会は、本件各慰霊祭の挙行のため、西小学校の備品、校舎及び校庭を、次のとおり、使用させ、或いは、西小学校の校長が使用させ、又は使用の許可をしたことを、許容又は放任した(次の(1)ないし(6)掲記の各財産を、以下本件教育財産という)。 (本件(一)の慰霊祭について)(1) 参列者、受付をする者の座席とするため、折りたたみ式の椅子(少なくとも一三〇脚)が、祭壇、玉串台、受付事務の用に供するため折りたたみ式長机(少なくとも五脚)が、式次第掲出用に移動式黒板一台が、各使用された。 (2) 神職の装束の支度場所及び参列有力者の休憩用の部屋として、校長室が、一般参列者の利用に供するため便所が、各使用された。 (3) 一般参列者の駐車場とするため、西小学校玄関前広場及び車寄せが使用された。 (本件(二)の慰霊祭について)(4) 参列者、受付を 長室が、一般参列者の利用に供するため便所が、各使用された。 (3) 一般参列者の駐車場とするため、西小学校玄関前広場及び車寄せが使用された。 (本件(二)の慰霊祭について)(4) 参列者、受付をする者の座席用にするため、折りたたみ式の椅子(少なくとも一三〇脚)が、祭壇、焼香台、受付事務の用に供するため折りたたみ式長机(少なくとも五脚)が、使用された。 (5) 僧侶の装束の支度場所、休憩室用に校長室が、一般参列者の利用に供するため便所が、各使用された。 (6) 一般参列者の駐車場とするため、西小学校玄関前広場及び車寄せが使用された。 2 右被告らは、委員会を構成し、それぞれ、教育長である被告Dを指揮監督する職務権限があるところ、同被告をして、本件各慰霊祭に前記(三)のとおり参列させ、又は、参列するのを知りながらこれを放任した。同被告は、そのため、各年度とも少なくとも各一時間以上の時間を要した。 (六) 被告Dは、委員会委員兼教育長として、次のとおり本件各慰霊祭に関わつた。 1 同被告は、前記(五)の被告らとともに委員会を構成するところ、右被告らについての前記(五)の1と同様に、本件各慰霊祭に関わつた。 2 被告Dは、委員会委員兼教育長として、前記(三)のとおり、本件各慰霊祭に参列し、そのため、各年度とも少なくとも各一時間以上の時間を要した。 同被告は、前記(四)の3のとおり、右各参列に要した時間に相当する分の給与の支給を受けた。 (七) 被告らが、前記(四)ないし(六)のとおり、本件各慰霊祭に関与したことは、信教の自由の保障、政教分離の原則を規定した憲法二〇条、八九条に違反して違憲、違法である。すなわち、本件各慰霊祭は、それ自体宗教的儀式であること、その挙行場所である本件忠魂碑及びその敷地部分は、宗教施設であること、その主催者である遺族会は 憲法二〇条、八九条に違反して違憲、違法である。すなわち、本件各慰霊祭は、それ自体宗教的儀式であること、その挙行場所である本件忠魂碑及びその敷地部分は、宗教施設であること、その主催者である遺族会は、憲法八九条にいう宗教上の組織又は団体であること、更に、前記(四)ないし(六)の各関与行為のほか、市が本件忠魂碑、遺族会及び慰霊祭(本件各慰霊祭を含める)に深く関わつている事情があること、以上のことを総合すると、市は、実質的には、本件各慰霊祭のあらゆる部面において、主催者たる遺族会とともにこれを共催し、或いは、少なくとも積極的にこれを援助しこれによつて、宗教活動を自ら行い、或いは、少なくとも宗教活動に深くかかわつたといわなければならない。 前記(四)ないし(六)の各関与行為は、右のような、市の本件各慰霊祭の共催又は積極的な援助行為の一環としてされたのであるから、市が、わが国の社会的・文化的諸条件に照らして相当とされる限度を明らかに越えて、自ら宗教活動を行つたか、或いは、宗教活動に深く関わつたというべきであつて、憲法二〇条、八九条に違反する。 1 本件各慰霊祭は、前記(三)のとおり、神式又は仏式で行われており、それが宗教的儀式であることは多言を要しない。 2 本件忠魂碑及びその敷地部分は、それ自体宗教施設であり、憲法の理念に反する性格をもつている社会的教化施設である。すなわち、忠魂碑は、旧帝国在郷軍人会(以下在郷軍人会という)の各分会等が、全国各地に、地域出身戦没者を「忠君に殉じた英霊」として誉めたたえ、これを「忠魂」と表現してその功績を顕彰し、「忠死」を勧奨し、これに続く大量の「朕が忠良の臣民」を再生産するために建立したものである。碑前では、毎年招魂祭が催され、国民に対しその拝礼が強制され、同碑は、いわゆる神勅思想に基づく天皇制絶対主義と軍国 を勧奨し、これに続く大量の「朕が忠良の臣民」を再生産するために建立したものである。碑前では、毎年招魂祭が催され、国民に対しその拝礼が強制され、同碑は、いわゆる神勅思想に基づく天皇制絶対主義と軍国主義を鼓吹する役割を果して来た。このように、忠魂碑は、絶対君主神権天皇に対する滅私奉公のため勇躍死に赴いたことを讃美する忠君思想を表わし、天皇への忠義に殉じた武勇を公衆に広く顕彰しようとしたものであつて、全体主義的軍国主義と主権在君の思想を表現して、これを広くかつ永遠に宣布伝承する働きを客観的にもつている。 したがつて、忠魂碑を維持管理することは、その主観的意図や利用目的のいかんに拘らず、国民を主権者とし、個人を尊重し、人権を保障し、平和を希求し、戦争放棄、戦力不保持を定めた憲法前文一項、一条、九条等の理念に反するものである。 遺族会は、本件忠魂碑に二九八柱の戦没者を合祀しており、本件忠魂碑を、単なる記念碑ではなく、宗教的な祭祀ないし礼拝の対象物=霊魂の象徴(神体)としており、本件忠魂碑及びその敷地部分は、宗教的活動を目的とする施設すなわち宗教施設となつている。 3 遺族会は、憲法八九条にいう宗教上の組織又は団体である。すなわち、遺族会は、靖国神社参拝の事業及び同神社の祭神たる英霊を顕彰し慰霊するために、英霊の象徴としての本件忠魂碑を礼拝し、毎年同碑の前で慰霊祭を開催する事業をその重要な目的事業としており、忠魂碑の前でする戦没者慰霊祭を今後ますます盛んにすることが会の方針である。そして、慰霊祭は、各年交替により、神社神道式、仏教式の各宗教祭祀として行われることに定まつている。 遺族会は、前記のとおり、本件忠魂碑に戦没者を合祀し、本件忠魂碑を礼拝の対象物としている。 遺族会は、右のような組織及び事業の実態からすれば、憲法八九条にいう宗教上の組織又は ることに定まつている。 遺族会は、前記のとおり、本件忠魂碑に戦没者を合祀し、本件忠魂碑を礼拝の対象物としている。 遺族会は、右のような組織及び事業の実態からすれば、憲法八九条にいう宗教上の組織又は団体に該当することは明らかである。 4 市は、前記のとおりの本件忠魂碑、遺族会及び慰霊祭に、次のとおり深く関わつた。 (1) 市は、昭和五〇年七月、本件忠魂碑の敷地を公費で購入し、同年一二月、それまで市立箕面小学校校庭の一隅に所在していた忠魂碑を、公費で現在の敷地に移設した。そして、市は、右敷地を、遺族会に対し、慰霊祭祭場として使用させる目的で無償使用させている。本件各慰霊祭も、ここで行われた。 (2) 遺族会は、右移設以前から、箕面小学校校庭内の忠魂碑前で、毎年定期的に慰霊祭を行つていた。市は、この慰霊祭の挙行のためにも、本件各慰霊祭の場合と同様に箕面小学校の校舎・備品等を使用させていた。 (3) 市は、福祉事務所内に、遺族会がその事務所を置くことを許容し、福祉事務所の職員をして、慰霊祭の開催準備等の事務を含む遺族会の事務をその勤務時間中に行わせていた。 (4) 市は、遺族会に対し、市社会福祉協議会を通じて補助金を交付し、遺族会が毎年行う慰霊祭を継続的に援助してきた。昭和五一年度は、金四四万五、〇〇〇円の補助金が遺族会に交付された。 (八) 被告らが、市と本件忠魂碑、遺族会、慰霊祭との一連の関わり合いの一環として、前記(四)ないし(六)のとおり本件各慰霊祭に関与したことは、いずれも憲法二〇条、八九条に違反して違法であるから、次のとおり、被告らは、自らの財務会計上の行為によつて市に損害を与え、更に、被告Dは、給与支給の対象となる公務を行わないのにその分について給与の過払を受け、法律上の原因なくして市から利得を受けた。 1 被告L(1) 前記(四) 務会計上の行為によつて市に損害を与え、更に、被告Dは、給与支給の対象となる公務を行わないのにその分について給与の過払を受け、法律上の原因なくして市から利得を受けた。 1 被告L(1) 前記(四)の1の市の財産の提供ア同被告の前記(四)の1の行為は、憲法二〇条、八九条、更に地方自治法(以下法という)二三七条二項に違反する違法な行為である。 イ同被告は、これによつて、故意又は重大な過失によつて、市の財産の管理に関する職務を怠つたことになる。 ウ右使用された各財産の単位数量あたりの一回の使用料及び消費された各財産の単位数量あたりの価格は、少なくとも各金一円以上である。 エしたがつて、同被告は、右の行為によつて、市に対し、右使用料及び価格の合計額金一、〇六九円相当の損害を与えたことになる。 (2) 前記(四)の2の市の職員の労務提供ア同被告が、前記(四)の2のとおり、同(四)の2の(1)ないし(5)の事務に従事し、或いは参列した市の職員に対し、これに要した時間分の給与を支給したことは、給与の過払をしたことになる。すなわち、右のような市の職員の行為は、給与支給の対象となる市の公務とはいえず(地方公務員法((以下地公法という))三五条)、また、仮に公務として行つたのであれば、それは憲法二〇条、八九条に違反する。 イしたがつて、いずれにしても、右のような市の職員の行為に対して、市は、給与支払義務を負わない。 市は、右各職員に対して、一人当たり本件各慰霊祭につき各一時間分、すなわち全部で、職員一人に換算して三一時間分の給与金一万〇、四一六円を過払したことになる。 ウ同被告は、故意又は重大な過失によつて、右各給与の支出につき、支出命令を発した。 エ同被告は、右の違法な支出命令により、市に対して、金一万〇、四一六円の損害を与えた。 (3) ことになる。 ウ同被告は、故意又は重大な過失によつて、右各給与の支出につき、支出命令を発した。 エ同被告は、右の違法な支出命令により、市に対して、金一万〇、四一六円の損害を与えた。 (3) 前記(四)の3の教育長への給与支払ア同被告が、前記(四)の3のとおり、被告Dに対し、本件各慰霊祭の参列に要した時間分の給与を支給したことは、給与の過払をしたことになる。すなわち、被告Dが、前記(四)の3のとおり、本件各慰霊祭に参列したことは、教育長の職務とはいえず(地方教育行政の組織及び運営に関する法律((以下地教行法という))一七条一項、二三条)、また、仮に公務として行つたのであれば、それは憲法二〇条、八九条に違反する。 イしたがつて、いずれにしても、同被告の右行為に対して、市は、給与支払義務を負わない。 市は、同被告に対し、教育長の二時間分の給与金三、五五六円を過払したことになる。 ウ被告Lは、故意又は重大な過失によつて、右給与の支出につき、支出命令を発した。 エ同被告は、右の違法な支出命令により、市に対して、金三、五五六円の損害を与えた。 2 被告M、同N、同O、同P(1) 前記(五)の1の本件教育財産の提供ア委員会が、前記(五)の1のとおり、本件各慰霊祭の挙行のため、本件教育財産を使用し、或いは、それを西小学校の校長が使用させ又は使用の許可をしたことを、許容又は放任したことは、憲法二〇条、八九条、学校教育法八五条に違反する。 イ同被告らは、これによつて、委員会を構成する委員として、故意又は重大な過失によつて、教育財産の管理に関する職務を怠つたことになる。 ウ本件教育財産の使用料は、単位数量一件あたり、一回につき少なくとも金一円として、その延べ件数は二七七件で、合計金二七七円となる。 (2) 前記(五)の2の教育長に対する監 職務を怠つたことになる。 ウ本件教育財産の使用料は、単位数量一件あたり、一回につき少なくとも金一円として、その延べ件数は二七七件で、合計金二七七円となる。 (2) 前記(五)の2の教育長に対する監督ア同被告らが、前記(五)の2のとおり、被告Dを本件各慰霊祭に参列させ又は参列するのを放任したことは、憲法二〇条、八九条に違反する。 イそこで、同被告らは、故意又は重大な過失によつて、その監督義務を怠り、同被告をその本来の職場から離脱させたことになる。 ウしたがつて、同被告らは、市に対して、被告Dに対する前記1の(3)のイの給与の過払分金三、五五六円相当の損害を与えたことになる。 3 被告D(1) 前記(六)の1の本件教育財産の提供同被告も、委員会委員兼教育長として、委員会を構成する者として、前記2の(1)と同様の責任がある。 (2) 前記(六)の2の給与の過払分同被告は、前記1の(3)のとおり、本件各慰霊祭の参列に要した時間分の給与金三、五五六円の過払を受けた。 4 まとめ被告らは、市に対して、次の義務を負う。 (1) 被告Lは、右1の(1)ないし(3)の損害金合計金一万五、〇四一円の支払義務(2) 被告M、同N、同O、同Pは、各自、右2の(1)、(2)の損害金合計金三、八三三円の支払義務(3) 被告Dは、右3の(1)の損害金と、(2)の不当利得として返還すべき金額の合計金三、八三三円の支払義務(九) 原告らは、昭和五二年四月五日付で市の監査委員に対し、前記(八)のとおり市が被つた損害を補填する措置を講ずるよう請求した。 監査委員は、同年六月三日付で、その理由若しくは必要がないとしてその旨原告らに通知した。 (三) 結論原告らは、法二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、被告Lに対し前記(八)の4の(1)の金一万五、〇四一円 月三日付で、その理由若しくは必要がないとしてその旨原告らに通知した。 (三) 結論原告らは、法二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、被告Lに対し前記(八)の4の(1)の金一万五、〇四一円、同M、同N、同O、同Pに対し各自(2)の金三、八三三円、同Dに対し(3)の金三、八三三円の各支払と、これらに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和五二年七月六日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を市に支払うことを求める。 二本件請求原因事実に対する被告らの答弁(一) 本件請求原因事実中(一)の事実は認める。 (二) 同(二)の事実中、遺族会が、市内に居住する戦没者遺族を会員として組織された団体であることは認めるが、その余の事実は否認する。本件各慰霊祭は、遺族会の箕面地区の支部(通称、箕面地区戦没者遺族会)が主催したものである。 (三) 同(三)の事実のうち、原告ら主張の日時、場所で本件各慰霊祭が挙行されたこと、その式次第が概ね原告ら主張のとおりであることは認めるが、その余の事実は不知。 (四) 同(四)の1の事実は否認する。(1)の会議室の管理権者は、箕面市庁舎管理規則三条により、総務部庶務文書課長であり、(2)ないし(6)の事務用紙、マイクロバス、乗用車の管理権者は、箕面市会計規則九九条、一〇一条により、各課等の長である。 (五) 同(四)の2の事実中、(3)、(5)の各事実は否認し、(1)、(2)、(4)の各事務に市の職員が従事したことは認める。ただし、右各事務に従事した市の職員の人数、従事した時間は争う。 (六) 同(四)の3の事実は認める。 (七) 同(五)の1の事実は否認する。本件教育財産の管理権限は、箕面市立学校管理運営規則六条、八条により、西小学校校長である。本件各慰霊祭挙行のため本件教育財産が提供されたのは、西 事実は認める。 (七) 同(五)の1の事実は否認する。本件教育財産の管理権限は、箕面市立学校管理運営規則六条、八条により、西小学校校長である。本件各慰霊祭挙行のため本件教育財産が提供されたのは、西小学校校長が、同規則九条但書にいう定例軽易な事項として、その使用を許可したものである。したがつて、委員会は、何んら関与をしていない。 (八) 同(五)の2の事実は否認する。 (九) 同(六)の1の事実は否認する。 (一〇) 同(六)の2の事実は認める。 (一一) 同(七)、(八)の各事実は争う。教育長は、特別職たる教育委員としての地位と一般職たる教育長としての地位とを不可分一体的に併有するため、教育長の給与のうち、どの部分が特別職たる地位に基づく報酬(法二〇三条一項)か、どの部分が一般職の地位に基づく給与か算定できない。したがつて、勤務一時間当りの給与額の算定はできない。また、西小学校の施設、備品は、条例により使用料を徴収すべきものではないから、使用料相当の損害金は発生しない。 (一二) 同(九)の事実は認める。 三被告らの主張(一) 本件各慰霊祭は、民間団体である遺族会の下部組織である支部遺族会が挙行したものであり、遺族会自体は、後記のとおり、宗教上の組織でも宗教団体でもない。 したがつて、本件請求の原因事実(四)ないし(六)の各関与行為を目して、市が宗教活動をしたり、宗教上の組織又は宗教団体に財政的援助をしたということはできない。そうすると、右各関与行為が、憲法二〇条一項後段、三項、八九条に違反する旨の原告らの主張は、失当である。 なお、憲法八九条は、広く宗教的意義を有する事業ないし活動に対し、公の財産を支出し、利用させることが、その宗教活動に対する援助、助長、促進等の結果をもたらす場合には、厳格な意味での宗教上の組織若しくは団体に対するもの 、広く宗教的意義を有する事業ないし活動に対し、公の財産を支出し、利用させることが、その宗教活動に対する援助、助長、促進等の結果をもたらす場合には、厳格な意味での宗教上の組織若しくは団体に対するものに限らず、これを一切禁ずる趣旨であるとする見解がある。しかし、この見解は、同条の文理上からも、二〇条三項との関係からも、到底とり得ない。 (二) 仮りに、前記各関与行為が、宗教と関わり合いをもつものと評価される点があるとしても、本件忠魂碑、遺族会、慰霊祭の性格、実態は原告ら主張のようなものではないこと、本件各慰霊祭は、民間団体である遺族会が主催したもので、市自ら主催したものではないこと、右各関与行為は、市が遺族援護行政の一環として行つたものであり、決して特定の宗教を援助、助長するような行為ではないこと、この程度の関与は、全国多数の地方公共団体においてもなされていること、その関与の程度においても社会通念上相当と認められる範囲にとどまるものであり、その効果において特定の宗教を援助、助長、促進または他の宗教に圧迫、干渉を加えたりするものではないこと、以上のこと等を総合すると、右各関与行為は、我が国の社会的・文化的諸条件に照らして相当とされる限度を逸脱して宗教活動に関わつたものとはいえない。 (三) その理由を、付加すると、次のとおりになる。 1 本件忠魂碑は、宗教施設ではない。 いわゆる忠魂碑は、明治一〇年ころから、全国的に、特定の宗教、宗派の如何にかかわりなく、ひとしく抱く人間の心情の発露として、戦没者を追悼、慰霊し、記念するために、戦没者出身地の民間有志等によつて建設された。したがつて、忠魂碑は、ある特定の宗教、宗派の施設ではなく、記念碑的性格のものである。 本件忠魂碑は、大正五年、当時の帝国在郷軍人会篠山支部箕面村分会が、箕面村出身の戦没者を追悼 によつて建設された。したがつて、忠魂碑は、ある特定の宗教、宗派の施設ではなく、記念碑的性格のものである。 本件忠魂碑は、大正五年、当時の帝国在郷軍人会篠山支部箕面村分会が、箕面村出身の戦没者を追悼、慰霊し、記念するために建立したもので、前記の一般的な忠魂碑と別段異なるところはない。 この意味において、忠魂碑(本件忠魂碑を含む)は、政府、地方公共団体、都道府県遺族会等が、戦後、沖縄、南方諸島等に建設した戦没者慰霊碑等と何ら異なるところはない。 本件忠魂碑前で、宗教儀式を伴う慰霊祭が行われることは、本件忠魂碑の宗教施設性を基礎づけるものではない。すなわち、塔、碑、像等の前で特定の宗教、宗派の宗教儀式を伴う死没者慰霊行事が行われていても、それら塔、碑、像等をもつて、宗教施設といわないのが、社会一般の通念である。 民間団体が主催し、地方会共団体が助成し、公務員が参列する行事に、左記のものがあるが、これら塔、碑、像等も宗教施設とは考えられていない。 (1) 広島市平和記念公園内原爆供養塔前での原爆死没者供養行事(毎年八月六日)。教派神道、神社庁、キリスト教両派及び仏教がそれぞれ宗教儀式を主宰。 (2) 長崎市平和公園内平和祈念像前での原爆犠牲者慰霊祭(毎年八月九日)。 神社神道、仏教が隔年交替でそれぞれ宗教儀式を主宰。 (3) 東京都慰霊堂での大正大震災遭難者・都内戦災殉難者慰霊大法要(毎年春、秋各一回)。仏教(各派合同)が宗教儀式を主宰。 (4) 神奈川県戦没者慰霊堂での神奈川県戦没者追悼奉賛行事(毎年五月一〇日)。神社神道、カトリツク、教派神道及び仏教(各派合同)がそれぞれ宗教儀式を主宰。 (5) 大阪城公園内砲兵工廠記念碑前での元大阪砲兵工廠被災者追悼慰霊祭(毎年夏一回)。日蓮宗が宗教儀式を主宰。 (6) 大阪市国分寺公園内地下鉄工事現場ガス爆発犠牲 同)がそれぞれ宗教儀式を主宰。 (5) 大阪城公園内砲兵工廠記念碑前での元大阪砲兵工廠被災者追悼慰霊祭(毎年夏一回)。日蓮宗が宗教儀式を主宰。 (6) 大阪市国分寺公園内地下鉄工事現場ガス爆発犠牲者慰霊碑前でのガス爆発物故者追悼式(毎年四月八日)。真言宗が宗教儀式を主宰。 2 遺族会は、宗教上の組織でも宗教団体でもない。 遺族会は、箕面市に居住する戦傷病者遺族等援護法二四条等に定める戦没者遺族及びこれに準ずる者(戦没者が、靖国神社に合祀されているかどうかは問うところではない)を会員として組織された団体である。その目的は、会則三条に定める会員の慰問激励とその厚生の方法を講じ、もつて遺族の福祉向上に資することであり、会則四条に定める事業を行うことにしでいる。現に遺族会が行つているのは、遺族の慰藉激励、遺族の処遇改善の推進、政府主催全国戦没者追悼式参列、戦跡慰霊巡拝参加、戦没者遺骨収集参加、大阪府主催戦没者追悼式参列等の案内、申込み取りまとめ、市主催戦没者追悼式参列、戦傷病者戦没者遺族等援護法の遺族に対する周知徹底、遺族の実態調査、生活、職業その他厚生福祉に関する研究指導等の事業である。遺族会は、かような事業を行つて、遺族援護行政に協力し、これを補完しているのである。遺族会は、慰霊祭のみを行う団体ではない。 このような団体の実態からして、遺族会ないしその下部組織である各支部遺族会が特定の宗教上の組織でも宗教団体でもないことは明白である。 3 前記各関与行為は、それ自体何んら宗教的意義をもつものではなく、その効果が宗教に対する援助、助長、促進、圧迫、干渉等になるような行為でもない。 市は、右各行為を、遺族援護施策ないし福祉施策の一つとして、或いは、社会儀礼上の当然の配慮としてしたものである。 本件請求の原因事実(四)の1、2の市の財産及び市の職員の労 になるような行為でもない。 市は、右各行為を、遺族援護施策ないし福祉施策の一つとして、或いは、社会儀礼上の当然の配慮としてしたものである。 本件請求の原因事実(四)の1、2の市の財産及び市の職員の労務の提供は、いずれも、市の遺族援護施策ないし福祉施策の一つである。 同(五)の1、同(六)の1の本件教育財産の提供は、いずれも、社会儀礼上の当然の配慮である。 同(四)の3、同(三)の2、同(六)の2の教育長の参列は、あくまで、支部遺族会が戦没者を追悼、慰霊し平和を祈念することそれ自体に着目して、支部遺族会に対し、遺族援護施策、福祉施策ないし社会儀礼上の配慮をする目的で参列したものであり、決して、その際僧侶又は神職が宗教儀式を主宰するからとか、あるいはその宗教儀式のために、本件各慰霊祭に参列したわけではない。 なお、教育長が本件各慰霊祭に参列したことについては、「戦没者の葬祭などについて」と題する昭和二六年九月一〇日付文部次官・引揚援護庁次長通達及び「『戦没者の葬祭などについて』に関する解釈について」と題する同月二八日付各都道府県総務部長宛文部大臣官房宗務課長代理発があり、いずれも、民間団体が慰霊祭を行うに際し、その慰霊祭が、特定の宗教、宗派の宗教儀式を伴う場合であつても、知事、市町村長その他の公務員がこれに列席し、その際、敬弔の意を表し、又は弔詞を読むこと等はさしつかえない、とされている。 (四) 仮に、被告らの前記各関与行為が違憲、違法であるとしても、被告らには、各自の行為が違憲、違法であることにつき、故意は勿論、過失すらない。すなわち、市長、教育長等が慰霊祭に参列したのは、主催する支部遺族会に対し、遺族援護施策、福祉施策ないし社会儀礼上の配慮として参列したものであること、前記通達があること、各地の民間団体主催死没者尉心霊行事に地方公共団体の 等が慰霊祭に参列したのは、主催する支部遺族会に対し、遺族援護施策、福祉施策ないし社会儀礼上の配慮として参列したものであること、前記通達があること、各地の民間団体主催死没者尉心霊行事に地方公共団体の公務員が参列し、敬弔の意を表しており、このような行政実務が定着していること、これらのことが司法判断で違憲、違法とされた事例は一度もないこと、以上のことを総合すると、被告らには、教育長が、本件各慰霊祭に参列したことについて過失すらないといわなければならない。 第三証拠関係(省略)○ 理由一原告A、同B、同Cの各訴について(一) 同原告らの本件請求(昭和五七年一一月二四日午前一〇時の本件第三〇回口頭弁論で分離された部分を除く、以下同じ)は、地方自治法(以下法という)二四二条の二の規定に基づく住民訴訟であるから、同原告らが、訴外箕面市(以下市という)の住民であることが、その要件であることはいうまでもない。そして、この要件は、本件訴の適法要件であるから、本件口頭弁論終結時まで存在していることが必要であると解するのが相当である。なお、この要件は、訴の適法要件であるから、当裁判所の職権調査に服し、住民であることに関する被告らの自白に拘束されない。 (二) そこで、職権によつて調査すると、被告らの昭和五八年一月一二日付上申書添付の同原告らの住民票謄本によると、同原告らは、いずれも、昭和五七年一一月二四日午前一〇時の本件口頭弁論終結時以前に、市から転出し、市の住民でなくなつたことが認められる。 (三) そうすると、同原告らの本件訴は、いずれも不適法であるから、却下する。 二原告ら(ただし、前記一掲記の原告らを除く、以下同じ)の本件請求(ただし、被告Dに対する不当利得に関する分((本件請求の原因事実(六)の2、同(八)の3の(2)))を除く)の性質 、却下する。 二原告ら(ただし、前記一掲記の原告らを除く、以下同じ)の本件請求(ただし、被告Dに対する不当利得に関する分((本件請求の原因事実(六)の2、同(八)の3の(2)))を除く)の性質について原告らの不法行為に関する本件請求は、法二四二条の二第一項四号に基づき、市に代位して、被告らに対し、市の被告らに対する損害賠償請求権に基づく債務の各履行を求める住民訴訟である。したがつて、原告らは、右損害賠償請求権の発生原因事実として、被告らが各自、法二四二条所定の財務会計上の行為を違法に行い、その結果、市に損害を与えたことを主張・立証しなければならない。なお、法二四二条所定の財務会計上の行為以外の行為に基づく不法行為の責任は、住民訴訟の対象外であることは、いうまでもない。 そこで、以下、右各要件について順次検討する。 三市の財産を本件各慰霊祭の開催準備又は挙行のため提供したことによる市長の損害賠償責任(本件請求の原因事実(四)の1、同(八)の1の(1)関係)について(一) 原告らは、被告Lが、市長として、その管理に属する同(四)の1の(1)ないし(6)掲記の市の財産、すなわち会議室、封筒、マイクロバス、乗用車、事務用紙を、本件各慰霊祭及びその準備のため違法に、自ら使用若しくは消費し、又は、他人に使用若しくは消費させたことを目して、右各財産の管理を怠つたとし、市に対して損害賠償義務があると主張する。 地方公共団体の長は、一般的にその財産を管理する権限がある(法一四九条六号)が、同時に、法一五三条の明示の根拠によつて、右権限を下部の職員に委任することができることはいうまでもない。 さて、市は、市役所庁舎会議室については、箕面市財産規則二条の二第一項、同市庁舎管理規則三条により、その事務を所掌する主管の課長に、市の事務用紙、封筒、マイクロ ことができることはいうまでもない。 さて、市は、市役所庁舎会議室については、箕面市財産規則二条の二第一項、同市庁舎管理規則三条により、その事務を所掌する主管の課長に、市の事務用紙、封筒、マイクロバス、乗用車等の物品については、箕面市会計規則一〇一条により各課等の長に、それぞれその管理を行うことを委任していることは、当裁判所に顕著である。 そのうえ、右各規則は、市長が、法一五条一項の規則制定権に基づき制定したものであつて、公示を要する法形式の一つであることは、法一六条五項によつて明らかである。 そうすると、右各財産の具体的な管理権は、右各規則によつて、市長から右の下部職員に講学上の外部委任(当該権限の全部を下部職員に委任し、市長の手許に権限を残さない委任方法で、市長の手許にも権限を残す内部委任と異なる)され、市長にはないとしなければならない。 (二) 仮にそうでないとしても、本件に顕われた証拠を仔細に検討しても、同被告が、財務会計上の行為である財産の管理行為として、自ら右各財産を使用若しくは消費したこと、或いは、他人をして使用若しくは消費させた事実を認めることができる的確な証拠はない。 (三) 同被告は、市長であるから、任命権者として、右のとおり外部委任を受けた職員を、一般的に指揮・監督する権限を有することはいうまでもない。しかし、そのような指揮・監督権限の行使が、法二四二条所定の財務会計上の行為といえないことは、いうまでもない。 (四) まとめ原告らが主張する会議室や事務用紙、封筒、マイクロバス、乗用車などの物品の管理権は、市の下部職員に外部委任され、市長にない以上、市長がこれらの財産の管理を法律上怠つたことにはなり得ないから、原告らのこの点に関する請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 四市の職員が労務提供したこ 委任され、市長にない以上、市長がこれらの財産の管理を法律上怠つたことにはなり得ないから、原告らのこの点に関する請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 四市の職員が労務提供したことについての市長の損害賠償責任(本件請求の原因事実(四)の2、同(八)の1の(2)の関係)について(一) 原告らは、本件各慰霊祭の開催準備、挙行のための事務に違法に従事し、或いはこれに参列した市の職員に対し、被告Lが、支出命令を発して、右のために要した時間に相当する分の各給与を過払し、その結果、市に対し、右過払分相当額の損害を与えたと主張する。 しかし、市の職員がした本件慰霊祭の準備行為や後片付行為は、公務として評価できるのである(理由八で判断する被告Dの行為は、本件慰霊祭という宗教儀式そのものへの参加であつて準備行為や後片付と区別される)。 したがつて、市の職員は、公務としてこれらに従事した以上、その対価として市が支払うべき給与が当然に減額されるわけではない。 もつとも、市の職員の中には、本件慰霊祭そのものに参列したものがあつたことは、原告Eの本人尋問の結果によつて認められる。そうすると、市の職員のこの行為が、後述の理由で公務とはいえず、私的行為として評価されることになる。しかし、本件記録を仔細に検討しても、この市の職員を特定しその参列時間を認めることができる証拠はない。 以上の次第で、市の職員に対する給与の支払が、過払になる余地はなく、したがつて、支出命令を発したことにより市に対し過払分相当の損害を与えたということはできない筋合である。 また、仮に原告らの主張が市の職員を違法な事務に従事させて労務を浪費したことによる損害を主張する趣旨であるとすると、それは、被告Lが市長として財務会計上の行為をしたことによる損害とはいえないから、住民訴訟の対象 告らの主張が市の職員を違法な事務に従事させて労務を浪費したことによる損害を主張する趣旨であるとすると、それは、被告Lが市長として財務会計上の行為をしたことによる損害とはいえないから、住民訴訟の対象になるものではない。 (二) まとめ原告らのこの点に関する請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 五教育長の給与を過払したことについての市長の損害賠償責任(本件請求の原因事実(四)の3、同(八)の1の(3)の関係)について(一) 原告らは、被告Lが、市長として支出命令を発し、本件各尉心霊祭に少なくとも各一時間参列した被告Dに対し、右参列に要した時間相当分の給与を過払し、その結果、市に対し、右過払分相当の損害を与えたと主張する。 しかし、仮に、原告主張のとおり、教育長である被告Dが給与の過払を受けたことになるとしても、そのことから直ちに、市に損害が発生したとすることができないから、被告Lが、違法な支出命令によつて、市に対して、右過払分相当額の損害を現実に与えたとして、住民訴訟により、その損害賠償が求められる筋合ではない。以下その理由を詳述する。 1 違法な支出命令により給与の過払がなされると、市と当該職員との関係では、給与支払担当者が、給与支払義務の不存在を知りながら敢えて過払した場合でない限り(同被告について、これを認めるに足りる証拠はない。民法七〇五条参照)、市は、当該職員に対し、過払分の返還請求権があることになる。 したがつて、支出命令権者と市との関係では、右支出命令権者が過払分だけ市の財産を減少させたことにはなるものの、その反面、市は、当該職員に対して右過払分の返還請求権を取得するから、計算上は市の財産に増減が生じなかつたことになる。 一方、給与の一部過払は、給与支払事務の手続上、他にも起こりうるから(箕面市一般職の 面、市は、当該職員に対して右過払分の返還請求権を取得するから、計算上は市の財産に増減が生じなかつたことになる。 一方、給与の一部過払は、給与支払事務の手続上、他にも起こりうるから(箕面市一般職の給与に関する規則二条、六条参照)、給与の過払があつた場合の確実簡易な清算措置として、給与支払担当者は、一定の要件のもとに、その職員の次期以降の給与から右過払分を差し引いて調整(相殺)することが認められている(最判昭四四年一二月一八日民集二三巻一二号二四九五頁参照、なお、昭和四〇年法律第七一号による改正後の地公法二五条二項のもとでも同様であると解するのが相当である)。 そうすると、給与の一部に過払があつた場合には、まず、第一次的に、過払を受けた職員との関係でこれを清算する(相殺し、或いは、弁済を受ける)ことが、自治体の内部で、予定されているというべきである。 2 更に、法二四三条の二の規定の趣旨、特に同条二項の規定の趣旨を考慮すると、少なくとも法は、このよう場合、違法不当な利得を受けた職員の責任と、違法な支出命令を発した者の責任との間には、先後関係があり、まず第一次的に、過払を受けた職員との関係で清算措置が講じられるべきであり、これを行つてもなお自治体に現実の損害が発生した場合に限つて、第二次的に、支出命令権者の責任が問われるべき関係にあると解るのが相当である。 3 このようにみてくると、原告ら主張の過払があつたとしても、そのことから直ちに、被告Lの違法な支出命令によつて市が現実の損害を受けたとすることはできず、また、少なくとも、同被告が住民訴訟によつて責任を追及される立場にはない。 そして、原告らは、被告Dに対する過払分の返還請求権が回収不能になつたこと等市の損害が現実に発生したことについて、主張立証をしない(ちなみに、本件では原告らが被告Dに 任を追及される立場にはない。 そして、原告らは、被告Dに対する過払分の返還請求権が回収不能になつたこと等市の損害が現実に発生したことについて、主張立証をしない(ちなみに、本件では原告らが被告Dに対し代位請求をしているから、過払分の返還債務が時効消滅することはない)。 (三) まとめ原告らのこの点に関する請求は、損害の発生という要件を欠くから、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 六本件教育財産の提供についての被告M、同N、同O、同P、同Dの損害賠償責任(本件請求の原因事実(五)の1、同(六)の1、同(八)の2の(1)、3の(1)の関係)について(一) 原告らは、本件教育財産すなわち校長室、便所、椅子、机などの備品の管理権限は市の教育委員会(以下委員会という)にあり、委員会が、これを本件各慰霊祭のために違法に使用させ、或いは、西小学校校長が使用させたり使用の許可をしたことを委員会が放任したとし、これは、委員会を構成する委員である右被告らが、各自、本件教育財産に対する管理を怠つたことになるから、これによつて、市に対して損害を与えたと主張する。 1 証人Qの証言によると、本件教育財産を本件各慰霊祭のために使用することの許可決定をしたのは、いずれも当時の西小学校校長であつて、委員会ではなかつたことが認められ、この認定に反する証拠はない。 2 さて、本件教育財産を、本件各慰霊祭挙行のために使用させることは、委員会が、西小学校校長に外部委任している事項であるから、委員会にはその権限がないというべきである。以下、その理由を詳述する。 地方公共団体の財産のうちで、市立学校の施設等の教育財産については、長の一般的な財産管理権(法一四九条六号)が排除され、教育委員会にその管理権限を付与している(地教行法二三条二号)。 そして、教育委員会は、 団体の財産のうちで、市立学校の施設等の教育財産については、長の一般的な財産管理権(法一四九条六号)が排除され、教育委員会にその管理権限を付与している(地教行法二三条二号)。 そして、教育委員会は、その規則制定権(地教行法一四条一項)に基づき、その所管に属する学校等の教育機関の教育財産等の管理運営の基本的事項について、教育委員会規則を制定することができ(同法三三条一項)、右規則で定めるところにより、その権限に属する事務の一部を教育長に委任することができる(同法二六条一項)。教育長は、更にこのように委任された事務の一部をその教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の職員(例えば、校長)に委任することができる(同条二項)。 ところで、教育委員会規則である箕面市教育委員会教育長に対する事務委任規則一条は、取得及び処分以外の教育財産の管理権限を教育長に委任する旨を規定し、同じく教育委員会規則である箕面市立学校管理運営規則九条は、「学校の施設及び設備の貸与は、校長の意見をきき教育委員会が許可する。ただし、定例軽易な事項については、校長が許可することができる。」と規定している。 この各規定を、前の地教行法の各規定に照らして考察すると、委員会は、教育財産の管理権限のうち、市立の小学校、中学校の施設及び設備の貸与以外の権限については、教育長にこれを委任し、右の施設及び設備の貸与については、教育長との関係では自らその権限を留保しつつ、特に「定例軽易」な貸与に限つて、これを直接校長に委任する趣旨であると解するのが相当である。 そして、この規則による委任の性質は、前述した外部委任であることは、いうまでもない。 さて、原告らが主張する本件教育財産を本件各慰霊祭の挙行のため使用させることは、右財産の内容が軽微なものであり、その時間がいずれも一時間程度であり、社 述した外部委任であることは、いうまでもない。 さて、原告らが主張する本件教育財産を本件各慰霊祭の挙行のため使用させることは、右財産の内容が軽微なものであり、その時間がいずれも一時間程度であり、社会通念上特にそのことによる損傷、消耗を考慮する必要がなく、また、他の団体に対しても本件のような教育財産の使用許可を与えることは日常よく行われているところである(この事実は、証人Qの証言によつて認める)。そうすると、本件教育財産の貸与は、「定例軽易」な貸与に該当するから、西小学校校長が独自の権限で貸与できる事柄であるというほかはない。 3 そうすると、西小学校長の本件各慰霊祭のための本件教育財産の貸与は、その権限に基づくものであつて、委員会に権限がないことに帰着する。 (二) まとめ原告らのこの点についての請求は、委員会に本件教育財産を貸与する権限がない以上、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 七教育長に対する監督についての被告M、同N、同O、同Pの損害賠償責任(本件請求の原因事実(五)の2、同(八)の2の(2)の関係)について(一) 原告らは、右被告らが、委員会を構成し、教育長である被告Dを監督する権限及び義務を有していたとして、同被告が、本件各慰霊祭に違法に参列したことにつき、その監督義務を怠り、その結果、同被告の右参列に要した時間分の給与を市に過払させ、右過払分相当額の損害を市に与えたと主張する。 しかし、原告らの主張する内容の監督行為が、法二四二条一項所定の財務会計上の行為に当たらないことは、明らかである。 (二) まとめ原告らこの点についての請求は、その余の点について判断するまでもなく失当である。 八被告Dに対する給与の過払分の不当利得返還請求(本件請求の原因事実(六)の2、同(八)の3の(2)の関係)について(一) 点についての請求は、その余の点について判断するまでもなく失当である。 八被告Dに対する給与の過払分の不当利得返還請求(本件請求の原因事実(六)の2、同(八)の3の(2)の関係)について(一) 本件請求の原因事実中(一)の事実、同(二)の事実中、遺族会が、市内に居住する戦没者遺族を会員として組織された団体であること、同(三)の事実中、原告ら主張の日時、場所で本件各慰霊祭が挙行されたこと、その式次第が概ね原告ら主張のとおりであること、同(六)の2の事実、以上の事実は、当時者間に争いがない。 (二) 右争いがない事実、成立に争いがない甲第二四ないし第三二号証、同第五六号証の一、二、同第六〇ないし第六三号証(同第六三号証については一部)、同第六七号証、同第九七号証の一、二、原本の存在及び成立に争いがない乙第一ないし第四号証、同第二六号証、同第五二号証、同第七五号証、弁論の全趣旨によつて成立が認められる甲第一ないし第四号証、乙第一三号証、右乙第七五号証によつて成立が認められる同第一一、一二号証、右甲第六一号証及び弁論の全趣旨によつて昭和五一年四月五日撮影された本件(一)の慰霊祭の祭場及びその局辺の写真であることが認められる検甲第一ないし同第五号証、同様に昭和五二年四月五日撮影された本件(二)の慰霊祭の祭場及びその周辺の写真であることが認められる検甲第八ないし第一〇号証、証人R、同Q、同S、同Tの各証言、原告E本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められ、前掲甲第六三号証の記載中この認定に反する部分は採用することができず、他にこれに反する証拠はない。 1 本件遺族会は、市内に居住する戦没者遺族を会員として組織された団体であり、市の区域を箕面、萱野、豊川、止々呂美の四地区に分けて、各地区毎に支部を設置している。 2 本件遺族会の箕面 証拠はない。 1 本件遺族会は、市内に居住する戦没者遺族を会員として組織された団体であり、市の区域を箕面、萱野、豊川、止々呂美の四地区に分けて、各地区毎に支部を設置している。 2 本件遺族会の箕面地区の支部(以下支部遺族会という)は、西小学校運動場西側に道路を隔てて隣接する同市<地名略>の土地に所在する本件忠魂碑を、「箕面地区忠魂碑」と称し、箕面地区出身の戦没者で靖国神社祭神となつている英霊の霊璽(戦没者の氏名を書き連ねた円形の薄い杉板)を本件忠魂碑に納めて合紀し、その存在を示す木柱を建て、その前で、「箕面地区戦没者慰霊祭」と称する右英霊を祭祀する儀式を、毎年四月神式と仏式の隔年交替によつて挙行していた(本件忠魂碑は、昭和五〇年一二月、箕面市<地名略>所在の箕面小学校の校庭から現在地に移設されたものであるが、右移設前も支部遺族会主催の慰霊祭が同碑前で行われていた)。 3 本件忠魂碑の構造・様式は、二段の石積を基台として、その上に、高さ〇・六メートルの台石及び幅約一・五メートル、厚さ約〇・四メートル、高さ約二・五メートルの忠魂碑と大きく刻した碑石を安置したものであり、地上から右碑石最高部までの高さは六・三メートルに及ぶ。 その周囲は、幅一二・九メートル、奥行き一四・二メートル、高さ〇・五メートルの切石積で囲まれ、正面と両側面前部は御影石の玉垣、背面と両側面後部はキンモクセイの生け垣が巡らされている。右切石積の囲い内部には、喬木や灌木が随所に植えられ、白砂利が敷きつめられている。 本件忠魂碑及び右切石積内部は、右のような状況により、その周囲とは区画された一画をなし、鎮守の森のような聖域的雰囲気をかもし出している。 4 支部遺族会は、昭和五一年四月五日(月曜日)午前一〇時三〇分ころから午前一一時三〇分ころまで、本件忠魂碑前で、神式で本件(一)の れた一画をなし、鎮守の森のような聖域的雰囲気をかもし出している。 4 支部遺族会は、昭和五一年四月五日(月曜日)午前一〇時三〇分ころから午前一一時三〇分ころまで、本件忠魂碑前で、神式で本件(一)の慰霊祭を挙行した。 本件忠魂碑正面の玉垣の内側には、中央部に神(ヒモロギ・切紙をつけた榊を立てた木製のやぐらで、神が降下して宿る所を意味する)が、その左右には幣旗が立てられ、各幣旗には神鏡と神剣が飾られた。神籬の前部には、白木の台と白布を被せた机で祭壇が設けられ、その上には、それぞれ、神酒、餅、果物、野菜等の神饌が盛られた七基の三方が置かれた。 玉垣の外側には、左右に一脚ずつ白布を被せた長机が置かれ、それぞれ、その上に、数十本の玉串(榊の小枝に切紙をつけたもの)が載せられた。そして、祭壇に向つて、左右それぞれ八脚八列(合計一二八脚)の参列者用の折りたたみ椅子が並べられた。 5 主催者側から、遺族会会長訴外U、その他遺族会の役員及び会員が、来賓として、市議会議長、市議会議員、社会福祉事務所長訴外V、市福祉部長訴外W、各地区の自治会長、箕面市商工会会長、西小学校校長、被告L、同M、同Dら合計約一〇〇名がこれに参列した。なお、一般住民の参列はなかつた。 6 神社神職が、神道祭司としての式服である衣冠束帯を着用して式を主宰した。 まず、司会者が、開会の辞に続いて「これより神事に入ります」と告げた。 神社神職は、修祓の儀、降神の儀、献饌、祝詞奏上を神式によつてとり行なつた。 遺族会会長であるUは、「慰霊の詞」を、被告L及び市議会議長訴外Xは、「追悼の辞」を、それぞれ、本件忠魂碑に向つて読み上げた。その後、司会者が職名を呼び上げるのに応じて、参列者が順次、祭壇前に進み、神職から玉串を受け取つて本件忠魂碑に向つて二礼二拍手一礼し、玉串を祭壇に捧げた。 その後、神社神 件忠魂碑に向つて読み上げた。その後、司会者が職名を呼び上げるのに応じて、参列者が順次、祭壇前に進み、神職から玉串を受け取つて本件忠魂碑に向つて二礼二拍手一礼し、玉串を祭壇に捧げた。 その後、神社神職は、撤饌、昇神の儀を神式によつてとり行つた。 最後に、司会者は、「これにて神事を終ります」と告げ、更に、閉会の辞を述べて式を終えた。 7 支部遺族会は、昭和五二年四月五日(火曜日)午前一〇時三〇分ころから午前一一時三〇分ころまで、本件忠魂碑前で、仏式で、本件(二)の慰霊祭を挙行した。 本件忠魂碑の碑石の下方には、戦没者の氏名を書き連ねた過去帳が立てかけられ、その正面の玉垣内側には、中央部に香炉が置かれ、その前部に、白布を被せられた祭壇が設けられ、その上に餅、果物、酒等の供物が盛られた教個の三方が置かれ、その左右に花が飾られた。 玉垣には、幕がはられ、祭壇前には、本件(一)の慰霊祭とほぼ同様に参列者のための折りたたみ椅子が並べられた。 8 参列者は、本件(一)の慰霊祭のときと同様で、被告Dを含め約一〇〇名であつた。 9 曹洞宗永松寺住職訴外Y、浄土真宗本願寺派光明寺住職Zら計七名の僧侶が、式衣に五条袈裟を着用して式を主宰した。式次第に則つて、司会者がまず開会の辞を述べた。 その後、参列者一同が黙祷し、阿彌陀経等の読経、導師表白文の朗読、慰霊追悼文の朗読と続いた。そして、参列者一同が祭壇前で焼香を行い、最後に、司会者が閉会の辞を述べて式は終了した。 10 被告Dは、当時箕面市委員会委員兼教育長であつたが、本件各慰霊祭に、来賓として参列し、そのために各一時間以上の時間を要した。 同被告は、本件(一)の慰霊祭では、玉串奉奠の際、神前に進み出て本件忠魂碑に向つて二礼二拍手一礼して玉串を祭壇に捧げ、本件(二)の慰霊祭では、祭壇前で焼香を行つた。 なお同被告は 上の時間を要した。 同被告は、本件(一)の慰霊祭では、玉串奉奠の際、神前に進み出て本件忠魂碑に向つて二礼二拍手一礼して玉串を祭壇に捧げ、本件(二)の慰霊祭では、祭壇前で焼香を行つた。 なお同被告は、右参列に要した時間に相当する分の各給与の支払を受けた。 (三) 以上の各事実をもとに、被告Dが本件各慰霊祭に参列し、玉串奉奠を行つたり、祭壇前で焼香を行つた行為の性質について検討すると、右の行為は、法律上は、私人の行為であつて、同被告の公務(給与又は報酬支給の対象となる公務)とする余地はないといわざるを得ない。以下その理由を詳述する。 1 本件(一)の慰霊祭は神道の、本件(二)の慰霊祭は仏教の、いずれもいわば典型的な宗教儀式であることは、前記(二)認定の本件各慰霊祭の実態に徴して明らかである。 本件各慰霊祭は、このように、宗教行事そのものであつて、この点で、我が国では、慣習化した社会的儀礼の面の評価も受けているいわゆる神式の地鎮祭とか、更には、葬儀などとは、自らその性質を異にするといわなければならない。 本件各慰霊祭を目して、宗教性が稀薄化しているとか、一般に習俗化しているとかの主張は、当たらない。 もつとも、民間団体である支部遺族会が、このような宗教儀式を行うこと、私人がこれに参加することは、何ら差支えがなく、むしろ、信教の自由として、憲法上保障されているところである(憲法二〇条一項)。 2 ところが、国や地方公共団体が、公務員に対し、このような宗教儀式に参列し、玉串奉奠をしたり、焼香をしたりすることをその公務の内容とすることは、当該公務員個人の信教の自由の観点から、如何なる場合でもできないのである。すなわち、憲法二〇条二項は、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」と規定している。そこで、公務貝に宗教上の儀式に 由の観点から、如何なる場合でもできないのである。すなわち、憲法二〇条二項は、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」と規定している。そこで、公務貝に宗教上の儀式に参加する職務があることになると、公務員に対し、これを強制できることになる。つまり、公務となりうるためには、その内容が職務命令の対象となるものでなければならない。 しかに、職務命令によつて宗教上の儀式に参加することを強制することは、まさに、右規定によつて、禁止されているのである。 そうすると、公務員が、宗教上の儀式に参加することは、それが如何なる目的で、如何なる必要から行われたものであつても、憲法二〇条二項の解釈上、常に私人としての行為であると解するほかはないのであつて、その行為が公の立場、すなわち公務となりうる余地は全くない、といわなければならない。 3 被告Dは、同被告が本件各慰霊祭に参列した目的は、支部遺族会が、戦没者を追悼、慰霊し、平和を祈念することに着目して、支部遺族会に対し、遺族援護施策、福祉施策ないし社会儀礼上の配慮をしようとすることにあると主張するが、仮にそうであつたとしても、そうだからといつて、本件各慰霊祭に参列することを目して、同被告の公務であるとみる余地はない。 4 また、同被告が挙げる昭和二六年九月一〇日付文部次官・引揚援護庁次長通達は、公務員が、宗教儀式に列席し、その際、敬弔の意を表し、又は弔詞を読むこと等はさしつかえない、としている。 しかし、その意味が、公務員が私人として、宗教儀式に列席等をしてよいというのであれば、当然のことをいつたものであるし、これに列席等をすることが公務になるという意味であれば、憲法二〇条二項に違反する誤つた解釈を示したことになる。 5 同被告は、広島市平和記念公園内の原爆供養塔前で毎年挙行される原 いつたものであるし、これに列席等をすることが公務になるという意味であれば、憲法二〇条二項に違反する誤つた解釈を示したことになる。 5 同被告は、広島市平和記念公園内の原爆供養塔前で毎年挙行される原爆死没者供養の行事、長崎市平和公園内の平和祈念像前で毎年挙行される原爆犠牲者慰霊祭等の例を挙げ、これらの行事が、神式、仏式等の宗教儀式として挙行されるときに、公務員がこれに参列する例が、全国各地にみられると主張する。 しかし、これらの行事が、宗教儀式として挙行されるのであれば、公務員がこれに参列することは、法律的には、常に公務ではなく、私的行為としてしかみられないことは、本件におけると同様である。 6 当裁判所の公務と憲法二〇条二項との関係についての判断に対し、当該公務員が自ら進んで宗教儀式に参加したのであれば、憲法二〇条二項にいう強制の問題が生じないから、公務とすることに支障はなく、したがつて、任意の参加は、公務として評価されるべきであるとの反論があろう。 しかし、公務であるかどうかは、その内容自体から客観的に確定されるべきものであつて、当該事務を行う公務貝の主観的判断によつて公務になつたりならなかつたりするものではない。 したがつて、当該公務員が自ら進んで宗教儀式に参加したとしても、それが、強制されれば公務にできない事柄である以上、この宗教儀式の参加を公務にすることはできない。 7 なお、右に説示したとおり、公務員が宗教上の儀式に参列することは、法律的には私的行為として評価するほかはないから、被告Dの参列行為について政教分離の原則の観点からその適法性合憲性について判断をする必要がない。 したがつて、本件に関しては、政教分離の原則(憲法二〇条三項、八九条)についての判断をしない。 8 そうすると、被告Dの行為は、実際に強制されたという意識をもつた 合憲性について判断をする必要がない。 したがつて、本件に関しては、政教分離の原則(憲法二〇条三項、八九条)についての判断をしない。 8 そうすると、被告Dの行為は、実際に強制されたという意識をもつたかどうかにかかわらず、憲法二〇条二項との関係上教育長兼委員会委員としての公務の執行となり得ないのであるから、同被告の私的行為であるとするほかはない。 (四) 市は、同被告に対し、同被告が右の行為のために要した時間分の教育長としての給与(以下本件給与部分という)を過払したことになり、同被告は、不当利得として、右過払分を市に返還すべき義務を負うとしなければならない。すなわち、同被告は、市の常勤の一般職である教育長の職務(地公法三条、地教行法一六条)と、非常勤の特別職である委員会委員としての職務(地公法三条三項二号、地教行法一一条四項)を有しており、教育長としての職務について職務専念義務があることは、いうまでもない(地公法三五条)。 教育長は、このように常勤の一般職の公務員であるが、その給与・勤務時間その他の勤務条件については、他の一般職の公務員とは別個に、条例で規定されることになつており(教育公務貝特例法一七条)、市では、教育長の給料は、箕面市昭和五二年三月三一日条例第二三号の施行日(昭和五二年四月一日)以前は月額金三七万円、右施行日以降は月額金四二万円で、その勤務時間その他の勤務条件については、市の一般職の職員の例によることとされている(教育長の給与及び勤務時間等に関する条例二条、六条)。そして、一般職の職員の勤務条件については、平日の勤務時間は、午前八時三〇分から午後五時一五分までであり(箕面市職員の勤務時間その他の勤務条件に関する条例二条、同条例施行規則二条)、給与の減額について、職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき任命権者の承 八時三〇分から午後五時一五分までであり(箕面市職員の勤務時間その他の勤務条件に関する条例二条、同条例施行規則二条)、給与の減額について、職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき任命権者の承認があつた場合を除く外、その勤務しない一時間につき、所定の計算方法によつて算出した勤務一時間当たりの給与額を減額して給与を支給することとされている(箕面市一般職の給与に関する条例((以下給与条例という))一三条、一七条)。 そうすると、被告Dの教育長としての給料は、正規の勤務時間内における勤務の対価とされており、同被告が、勤務時間内に「勤務しないとき」(給与条例一三条)は、その勤務しない一時間につき、給与条例一七条所定の算出方式による勤務一時間当たりの給与額を当然に減額して支給すべきことに帰着する(給与を減額する行政処分は不要である)。 なお、同被告の委員会委員としての職務に対しては、報酬が支給されることになつている(法二〇三条一項、箕面市報酬及び費用弁償条例二条、別表)。 しかし、箕面市の条例中には、教育長の給与と委員会委員の報酬についての調整規定がないから、右報酬は、教育長としての給与の減額について、影響を及ぼすものではない。 このようにみてくると、同被告が、本件各慰霊祭に参列したことが、教育長の職務、或いは、少なくとも委員会委員としての公の職務に該当するといえない限り、同被告は、本件給与部分を減額されなければならない(同被告が、私人の立場で本件各慰霊祭に参列したのであれば、このような同被告の行為に対して、市は、給与の支払義務がないことになる)。 (五) 同被告は、昭和五一年四月五日と昭和五二年四月五日、本件各慰霊祭に参列するため各一時間、勤務時間中にその職場を離れ、教育長として勤務しなかつたことになり、本件給与部分の過払を受けたことになる。 五) 同被告は、昭和五一年四月五日と昭和五二年四月五日、本件各慰霊祭に参列するため各一時間、勤務時間中にその職場を離れ、教育長として勤務しなかつたことになり、本件給与部分の過払を受けたことになる。 そうして、本件給与部分(二時間分)は、同市教育長の給与及び勤務時間等に関する条例二条、三条、給与条例一一条の二、一三条、一七条によると、少くとも原告らが主張する金三、五五六円を下らないことが認められる。 同被告は、右金員を現金で受領したものと推定されるから(地公法二五条二項参照)、仮に受領した金銭を費消していたとしても、それにより減少を免れた他の金銭や財産の形で、その利得は現存するものと認められる(法二四二条の二第一項参照)。 (六) まとめ被告Dは、市に対し、金三、五五六円とこれに対する本件訴状(原告らの昭和五二年七月二日付準備書面)が同被告に送達された日の翌日であることが記録上明らかな昭和五二年七月六日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 九むすび原告A、同B、同Cの本件訴は不適法であるから却下し、その余の原告らの本件請求は、被告Dに対し、金三、五五六円とこれに対する昭和五二年七月六日から支払すみまで年五分の割合による金員を市に支払うことを求める限度で理由があるから認容し、その余は、いずれも理由がないから棄却し(なお、行訴法七条、民訴法九五条本文により訴訟費用の裁判はしない)、仮執行の宣言は相当でないからこれを付さないこととしたうえ、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長孕石孟則八木良一)

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