令和5(行コ)118 行政文書不開示決定取消等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年1月30日 大阪高等裁判所 破棄自判 大阪地方裁判所 令和3(行ウ)120
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本件は、控訴人が財務大臣及び近畿財務局長に対し、行政文書不開示決定の取消しを求めた事案である。控訴人は、国有地の売却に関連する捜査に関する文書の開示を請求したが、財務省等は情報公開法に基づき、存否応答拒否を行い不開示とした。主要な争点は、情報公開法第8条に基づく存否応答拒否の適法性であり、裁判所は、当該行政文書の存否を明らかにすることが不開示情報の開示に繋がるか否かを客観的に判断すべきであるとし、原判決を取り消し、各不開示決定は違法であると判断した。判決の結論として、控訴人の請求が認められ、財務大臣及び近畿財務局長の不開示決定が取り消された。

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判決文本文6,656 文字)

令和5年(行コ)第118号行政文書不開示決定取消等請求控訴事件令和7年1月30日大阪高等裁判所第12民事部判決 主文 1 原判決を取り消す。 2 財務大臣が令和3年10月11日付けで控訴人に対してした行政文書の不開示決定を取り消す。 3 近畿財務局長が令和3年10月11日付けで控訴人に対してした行政文書の不開示決定を取り消す。 4 訴訟費用は、第1、2審を通じ、被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨主文と同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨 控訴人は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」又は単に「法」という。)3条に基づき、財務大臣及び近畿財務局長に対し、学校法人A(以下「A」という。)に対する国有地の売却に関連する被疑事件の捜査について、財務省及び近畿財務局(以下、併せて「財務省等」ということがある。)が東京地方検察庁(以下「東京地検」という。)又は大阪地 方検察庁(以下「大阪地検」といい、東京地検と併せて「東京地検等」ということがある。)に対して任意提出した一切の文書及び準文書(以下、文書と準文書を併せて単に「本件文書」という。)の開示請求をしたところ、財務大臣及び近畿財務局長から、当該行政文書の存否を答えるだけで情報公開法5条4号所定の不開示情報(以下「4号不開示情報」という。)を開示することにな るとして、同法8条及び9条2項に基づき当該行政文書の存否を明らかにしな い(存否応答拒否)で不開示とする各決定を受けた。本件は、控訴人が、被控訴人に対し、上記各決定の取消しを求める事案である。 原審が、控訴人の請求をいずれも棄却する旨の判決をしたところ、控訴人がこれを不服として控訴をした 開示とする各決定を受けた。本件は、控訴人が、被控訴人に対し、上記各決定の取消しを求める事案である。 原審が、控訴人の請求をいずれも棄却する旨の判決をしたところ、控訴人がこれを不服として控訴をした。 2 情報公開法の定め、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次の とおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1ないし4(別紙2及び3を含む。原判決1頁26行目~23頁7行目、44頁、45頁)に記載のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決2頁14行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「(3) 9条1項は、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の全部又は一 部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に関し政令で定める事項を書面により通知しなければならないと定め、同2項は、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定 をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない旨定める。」(2) 同2頁16行目末尾に、改行して次のとおり加える。 「(1) 原判決別紙2開示請求文書目録1記載1ないし3(原判決同別紙3開示請求文書目録2記載1ないし3も同じ。)に掲記された各被疑事件(以 下「本件各被疑事件」という。)は、いずれも、大阪第一検察審査会により、平成31年3月15日付けで、一部の被疑者につき不起訴相当と議決がされ、その余の被疑者につき不起訴不当と議決がされたところ、大阪地検の検察官は、令和元年8月9日付けで、上記不起訴不当と議決がされた被疑者につき再度不起訴処分がされた(争いがない。)。」 と議決がされ、その余の被疑者につき不起訴不当と議決がされたところ、大阪地検の検察官は、令和元年8月9日付けで、上記不起訴不当と議決がされた被疑者につき再度不起訴処分がされた(争いがない。)。」 (3) 同2頁17行目の「(1)」を「(2)」に改める。 (4) 同2頁19行目の「4条1項」を「3条」に改める。 (5) 同3頁5行目の「8条」の次に、「、9条2項」を加える。 (6) 同3頁8行目の「(2)」を「(3)」に改める。 (7) 同3頁10行目から11行目にかけての「4条1項」を「3条」に改める。 (8) 同3頁23行目の「8条」の次に「、9条2項」を加える。 (9) 同4頁1行目の「(3)」を「(4)」に改める。 (10) 同4頁6行目から8行目にかけての「4号不開示情報を開示することになるとした財務大臣及び近畿財務局長の判断に相当の理由があるか(裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか)否かである」を「4号不開示情報を開 示することになるか否かである」に改める。 (11) 同7頁6行目の「別紙2」から8行目の「という。)」までを「本件各被疑事件」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、本件各不開示決定はいずれも違法であるからこれらを取り消す べきであると判断する。その理由は、次のとおりである。 2 情報公開法8条の存否応答拒否の適法性についての判断枠組み(1) 情報公開法8条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を 拒否することができる。」と規定しているところ、同条に基づき行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒 ととなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を 拒否することができる。」と規定しているところ、同条に基づき行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否することができるのは、「当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」であり、それには、当該行政文書の存否を回答すること自体から不開示情報を開示したこととなる場合のみならず、当該行政文 書の存否に関する情報と開示請求に含まれる情報とが結合することにより、 当該行政文書の存否を明らかにするだけで、不開示情報を開示したこととなる場合も含まれると解される。 (2) 被控訴人は、法8条に基づく存否応答拒否が適法と認められるか否かの判断に当たっては、当該行政文書の存否を明らかにするだけで法5条各号所定の不開示情報を開示することとなるか否かという観点から、同条各号該当 性の判断枠組みに従って判断されるべきであるとした上で、法5条4号が、不開示の要件について、「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」として行政機関の長に広範な裁量を認めていることから、法8条に基づく存否応答拒否処分に対する適法性審査においても、当該処分につき社会通念上著しく妥当性を欠いた裁量権の範囲の逸脱又はその 濫用があると認められるかどうかを審査すべきである旨主張する。 しかしながら、法8条の「当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することになるとき」に当たるか否かについては、法5条3号及び4号が規定するような行政機関の長の裁量を尊重した規定ぶりになっていない上、情報公開法は、文書の存在を明らか にした上で開示ないし不開示決定するこ き」に当たるか否かについては、法5条3号及び4号が規定するような行政機関の長の裁量を尊重した規定ぶりになっていない上、情報公開法は、文書の存在を明らか にした上で開示ないし不開示決定することを原則とし(法5条ないし7条)、存否応答拒否処分は例外的な取扱いと位置づけていて、同処分の採否につき行政機関の長の裁量を認めていないこと、仮に存否応答拒否ができない場合であっても、行政機関の長は、文書の存在を明らかにした上で、法5条各号に基づく不開示決定をすることが可能であり、同条3号及び4号が行政機関 の長の裁量を尊重した趣旨は失われないこと等に鑑みれば、対象文書の内容に4号所定の不開示情報が含まれるか否かの判断について行政機関の長の裁量が尊重されることは格別、対象文書が存在しているか否かを答えるだけで4号所定の不開示情報を開示することになるか否かの判断に行政機関の長の裁量を認めることはできず、これに対する司法審査は、当該行政文書の存否 を回答すること自体から不開示情報を開示することになるか否か、行政文書 の存否に関する情報と開示請求に含まれる情報とが結合することにより、当該行政文書の存否を明らかにするだけで不開示情報を開示することとなるか否かを客観的に判断すべきである。 3 本件各不開示決定の適法性の有無について以上を踏まえ、本件各請求対象文書が存在しているか否かを答えるだけで、 4号所定の不開示情報を開示することになるか否かを検討する。 (1)ア本件各請求対象文書の存在が明らかになることによって、本件各被疑事件について、開示請求日までに、財務省等から東京地検等に対し、本件各請求対象文書が任意提出されて、これが後に財務省等に還付されたこと、又は財務省等において任意提出した際に写しが作成されていたことが推知 について、開示請求日までに、財務省等から東京地検等に対し、本件各請求対象文書が任意提出されて、これが後に財務省等に還付されたこと、又は財務省等において任意提出した際に写しが作成されていたことが推知 される。他方、本件各請求対象文書の不存在が明らかになることによって、本件各被疑事件について、開示請求日までに、財務省等から東京地検等に対し、本件各請求対象文書が任意提出されていないこと、又は任意提出はされたものの、その還付がされておらず、かつ写しも作成されていないことが推知されることになる(以上の本件各請求対象文書の存在又は不存在 が明らかになることによって推知される情報を併せて、以下「本件推知情報」という。)。 イまた、本件推知情報に加えて、本件各開示請求のような概括的請求がなされた場合、対象文書が存在する場合はもとより、そもそも対象文書を作成又は取得していないとき以外の対象文書不存在の場合、すなわち対象文 書を作成又は取得したが、その後これを廃棄した場合や、対象文書を任意提出したが、還付されておらず、かつその写しを作成していない等の場合にも、法9条及び行政手続法8条1項に基づき、行政文書の不開示決定においてその不存在であることの理由として対象文書の名称等の特定情報(以下「文書特定情報」という。)が通知され、他方、行政文書の開示決 定においては、法9条1項に基づき当該文書の内容の全部又は一部が開示 されることになる。 (2) 本件推知情報を公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるか否かについて検討するに、本件各被疑事件については、令和元年8月9日に不起訴処分がなされており、その時点でその捜査は終結しているから、 の他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるか否かについて検討するに、本件各被疑事件については、令和元年8月9日に不起訴処分がなされており、その時点でその捜査は終結しているから、 本件各不開示請求及び本件各不開示決定がなされた令和3年8月ないし10月時点で、本件各被疑事件の捜査や控訴の維持等に支障を及ぼすおそれがあるということはできない。 (3) 被控訴人は、前記のとおり本件各請求対象文書の存否を応答して、その開示決定又は不開示決定を行えば、これに伴って本件各請求対象文書に係る 文書特定情報が控訴人に通知され、その結果、任意提出の対象となった文書の内容、範囲が明らかとなって、これによって将来の同種事犯の捜査等の支障となるとして、本件各請求対象文書の存否の応答が4号所定の不開示情報の開示に該当する旨主張する。 しかしながら、法8条は、対象文書の内容を考慮することなく、対象文書 の存否の応答自体によって不開示情報の規定により保護しようとしている利益が損なわれることを防ぐ目的で規定されているものであり、対象文書の存否の応答に伴い通知される文書特定情報まで考慮することを想定しておらず、また、前記(1)イのとおり、対象文書が不存在の場合にも、対象文書を作成又は取得していない場合以外は対象文書に係る文書特定情報は通知されるの であるから、被控訴人の上記主張は採用できない。 また、本件各被疑事件における任意提出の範囲が明らかになれば、将来の捜査等に支障を及ぼすおそれがあるか否かを以下検討する。この点に関し行政機関の長の裁量が尊重されるとしても、本件各被疑事件は、財務省等の行政機関内部における行政文書の改ざんや毀棄を内容とするものであり、捜査 機関が、改ざん等の対象となった文書自体や、その前後の行政機関内部 裁量が尊重されるとしても、本件各被疑事件は、財務省等の行政機関内部における行政文書の改ざんや毀棄を内容とするものであり、捜査 機関が、改ざん等の対象となった文書自体や、その前後の行政機関内部にお ける命令、指示、連絡、会議及び打合せ等の状況の裏付けとなる文書を証拠として取得しようとすることは、捜査手法としてごく一般的なものである。 また、捜査機関は、財務省等が具体的にいかなる文書を所持しているのかを一般的には認識していないから、財務省等に任意提出を求める際にはその範囲を本件各被疑事件に関する一切の文書などと網羅的なものとせざるを得ず、 これに対し、どの範囲でその任意提出に応じるかは、財務省等の判断に委ねられているから、財務省等の判断で任意提出された文書がいかなるものかが明らかになったとしても、これによって捜査機関の本件各被疑事件と同種事犯に対する捜査方針や意図が明らかになるとはいえない。さらに、本件各被疑事件と同種事犯の捜査であっても、当該事案や任意提出を求められる個人 や組織等によってその作成又は取得する文書の種類、名称、作成時期・頻度、分量及び保管状況等は多種多様であって、本件各被疑事件における任意提出の結果のみの分析から他の同種事犯にも通用する法則性を見出すのは困難と思料されること等に鑑みると、文書特定情報の通知により本件各被疑事件に係る財務省等の任意提出の範囲が明らかになったとしても、それによって他 の同種事犯にも通用する法則性のある捜査手法や捜査機関の関心事項等といった捜査機関にとって機密性の高い情報が推知されるものとは考え難く、将来の同種事犯のみならず犯罪一般の捜査等に支障を及ぼすおそれがあるものとも認められない。 (4) なお、任意提出された文書については、「訴訟に関する書類」として情報 推知されるものとは考え難く、将来の同種事犯のみならず犯罪一般の捜査等に支障を及ぼすおそれがあるものとも認められない。 (4) なお、任意提出された文書については、「訴訟に関する書類」として情報 公開法の規定が適用されない余地があるものの(刑事訴訟法53条の2)、その場合、情報開示請求制度の適用対象外である旨の理由を付して、法9条2項の開示しない旨の決定をすべきものであって、対象文書が上記「訴訟に関する書類」に該当する可能性があることは、法8条による存否応答拒否の判断を左右するものではない。 (5) 以上のとおり、本件各請求対象文書が存在しているか否かを答えるだけ で、不開示情報を開示することになるとはいえず、財務省及び近畿財務局の本件各不開示決定は法8条の要件を欠いた違法なものである。 第4 結論以上によれば、財務省及び近畿財務局が控訴人に対してした本件各不開示決定は違法であって、これらはいずれも取り消されるべきところ、これと異なる 原判決は相当でないから、原判決を取り消した上、本件各不開示決定を取り消すこととして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官牧賢二 裁判官内田貴文 裁判官島戸真は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官牧賢二

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