本件は、原告梅本合同会社が被告ロボショップ株式会社に対して、商標権の侵害を理由に損害賠償を求めた事案である。原告は、商標権を共有しており、被告が販売するサーボモーターに本件商標と同一または類似の標章を使用したことが争点となった。裁判所は、被告の行為が商標権を侵害していると認定し、原告に対して3402円の支払いを命じたが、原告の請求の大部分は棄却した。判決の結論として、被告は原告に対して一部の損害賠償を支払う義務があるとされたが、原告のその他の請求は認められなかった。
令和2年3月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第32646号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和2年2月21日判決原告梅本合同会社 被告ロボショップ株式会社 主文 1 被告は,原告に対し,3402円及びうち495円に対する令和元年7月18日から支払済みまで,うち2907円に対する同月26日から支払済みまで,それぞれ年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを36分し,その35を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,12万3200円及びこれに対する令和元年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,別紙原告商標権目録記載の商標(以下「本件商標」という。)に係 る商標権(以下「本件商標権」という。)を共有する原告が,被告が販売するサーボモーターに本件商標と同一若しくは類似の標章を付し,又は本件商標を商品名に使用して販売する行為が本件商標権を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条,商標法38条3項に基づき,損害賠償金12万3200円及びこれに対する不法行為日である令和元年7月18日から支払済みまで民 法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 請求原因(1) 原告は,模型用サーボモーターの設計,輸入,卸売等を行う合同会社である。 被告は,オンラインショッピングサイトにおいて,電子部品等の通信販売を行う株式会社で 2 請求原因(1) 原告は,模型用サーボモーターの設計,輸入,卸売等を行う合同会社である。 被告は,オンラインショッピングサイトにおいて,電子部品等の通信販売を行う株式会社である。 (2) 原告は,別紙原告商標権目録記載の外国法人2社とともに,本件商標権を共有している。 (3) 被告は,遅くとも令和元年7月18日から同年8月末頃までの間,本件商標と同一又は類似の標章を使用したサーボモーターの商品画像及び商品情報を,別紙被告出品目録記載の1~15のURLで示すオンラインショッピン グサイトのウェブページ(以下,同ウェブページを符号に従い「本件ウェブページ1」などといい,併せて「本件各ウェブページ」というとともに,本件各ウェブページ掲載のサーボモーターを,符号に従い「本件商品1」などといい,併せて「本件各商品」という。)に掲載し,販売のために展示した。 (4) 本件商標は,「TOWERPRO」(標準文字)であるところ,本件各 商品は,商品名として本件商標と同一の文字が使用され,かつ,本件商標の文字を含む商品ラベルが付されている。 (5) 本件各商品は,模型用サーボモーター又はこれを含む商品であり,本件商標権の指定商品と同一である。 (6) 上記(3)の各行為は,本件各商品を販売のために展示する行為に当たり,本 件商標権を侵害するものであり,当該商標権侵害について被告には少なくとも過失がある。 (7) 原告は,上記商標権侵害行為により,営業上の利益が侵害され,以下の損害を被った(商標法38条3項)。 ア本件商標の使用許諾料に相当する損害賠償金 原告のライセンス料に係る規定(甲30,31)に基づき,商品1種類 (SG90)に関し,11万2000円 )。 ア本件商標の使用許諾料に相当する損害賠償金 原告のライセンス料に係る規定(甲30,31)に基づき,商品1種類 (SG90)に関し,11万2000円イ上記アに対する消費税(10%)相当額 1万1200円ウ合計額 12万3200円(8) よって,原告は,被告に対し,民法709条,商標法38条3項に基づき,12万3200円及びこれに対する令和元年7月18日から支払済みまで年 5分の割合による金員を支払うことを求める。 3 請求原因に対する認否請求原因(2)のうち原告が本件商標権を有することは認め,その余は不知ないし否認する。 被告は,カナダの会社の子会社であり,商品の調達はすべてカナダで行われ ている。納入業者に対しては,真正商品を納入するように注意喚起しているが,その全てが真正かどうかは被告には判断がつかない。 本件各ウェブページに掲載された商品には,原告自身が真正品と認めた輸入品も含まれている。 第3 当裁判所の判断 1 請求原因について(1) 請求原因(1)は,証拠(甲1,5,6)及び弁論の全趣旨により認められ,請求原因(2)は,証拠(甲2,3)により認められる。 (2) 請求原因(3),(4)及び(5)についてア本件商標の使用(請求原因(3)) (ア) 証拠によれば,本件商品1(甲11,36),同2(甲12,16〔甲16は本件商品6の証拠であるが,同商品と本件商品2は商品名及び商品内容が同一であり同一商品と認められる。〕),同5~7(甲15~17,39,42),同10~12(甲20~22,45~47),同14(甲24,25,49〔甲25及び49は本件商品15の証拠であ るが,同商品と本件商品14は「mi 〕),同5~7(甲15~17,39,42),同10~12(甲20~22,45~47),同14(甲24,25,49〔甲25及び49は本件商品15の証拠であ るが,同商品と本件商品14は「micro:bit」という部品の有 無のみが異なる同様のキットであり,いずれも同じサーボモーターが同梱されていると認められる。〕)及び同15(甲25,49)については,3段に分けられた長方形の上段に「TOWERPROTM」(ただし,「TM」は他の文字の半分程度のフォントで右上に位置する。以下同じ。),中段に2段組で「MicroServo 9g」,下段 に「SG90」と記載された商品ラベル(以下「被告標章1」という。)が付されていることが認められる。 (イ) 本件商品9(甲19,43,44)については,商品に「TOWERPROTM」と記載された商品ラベル(以下「被告標章2」という。)が付されていることが認められる。 (ウ) 本件商品13(甲23)については,本件ウェブページ13の商品説明欄に「TowerProSG-90 ミニサーボ(1.6kg)×1」との記載(以下「被告標章3」といい,被告標章1~3を併せて「被告各標章」という。)があることが認められる。 (エ) 被告各標章の掲載日は,証拠(甲11,12,15~17,19~2 5)によれば,本件商品1につき令和元年7月26日,本件商品2,5~7,9~15はいずれも同月18日と認められる。 (オ) 原告は,本件商品3及び4(甲13,14),同8(甲18)及び同14(甲24)についても本件商標が使用されていると主張するが,これらは,拡大写真がなく,本件商標が使用されていることを確認できな いもの(本件商品3,8,14),ラベルの文字がコードで全く見え 4(甲24)についても本件商標が使用されていると主張するが,これらは,拡大写真がなく,本件商標が使用されていることを確認できな いもの(本件商品3,8,14),ラベルの文字がコードで全く見えないもの(本件商品4)などであり,ウェブページ上の商品情報(商品名)に本件商標が使用されているものはない。 また,原告は,本件商品1の掲載日が令和元年7月18日であると主張するが,それを認めるに足りる証拠はない。 (カ) サーボモーターの商品画像を掲載する行為は,商品に標章を付したも のを譲渡のために展示する行為に当たり(商標法2条3項2号),商品情報(商品名)を掲載する行為は,商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に当たる(同項8号)。 イ商標の類否(請求原因(4))商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用さ れた場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決するべきと解される。 被告標章1~3は,上記ア(ア)~(ウ)記載のとおりであるが,本件商標1のうち,「TM」は登録商標を,「MicroServo 9g」,「SG90」の部分は商品の種類,重量,型式等を,それぞれ意味するもので あるから,被告標章1のうち,識別力のある商品表示として記載されているのは「TOWERPRO」の部分(以下「被告標識部分」という。)のみであり,これは,被告標章2及び3も同様であると考えられる。 そうすると,被告標識部分と本件商標とは,文字のフォントの大きさや配置において若干相違するとしても,両者が類似することは明らかであり, 仮に,被告各標章が結合標章であると解するとしても,その要部は「TOWERPRO」 件商標とは,文字のフォントの大きさや配置において若干相違するとしても,両者が類似することは明らかであり, 仮に,被告各標章が結合標章であると解するとしても,その要部は「TOWERPRO」の部分であると解されるので,被告各標章と本件商標とは類似する。 ウ商品の類否(請求原因(5))指定商品の類似性の有無については,それらの商品が通常同一営業主に より製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められるか否かにより判断すべきと解される。 本件商標権の指定商品は,「モーターを組み込んだ小型模型,モーターを組み込んだ小型模型の部品及び付属品,ラジオコントロール式模型おも ちゃ,ラジオコントロール式模型の部品及び付属品,乗物模型おもちゃ」 であり,モーターそのものではないが,モーターと,これを動力として組み込み動く小型模型は密接な関係があり,被告自身,モーターを組み込んだ車の小型模型のキットである「Arduino用UCTRONICSIRスマートロボットカーキット」(甲20)をはじめとする商品を複数販売していることが認められる(甲12~19,21~25)。そうする と,モーター及びこれを動力として組み込んで動く小型模型は,通常同一営業主により製造又は販売されていると推認できる。 本件商品1,2,5~7,9~15は,いずれもマイクロサーボモーターであり,これと指定商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる から,本件商標権の指定商品と類似する。 エ以上のとおり,被告が,被告標章1を付した本件商品1, を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる から,本件商標権の指定商品と類似する。 エ以上のとおり,被告が,被告標章1を付した本件商品1,2,5~7,10,12,14,15の商品画像を掲載した行為,被告標章2を付した本件商品9の商品画像を掲載した行為,及び本件ウェブページ13に被告標章3を掲載した行為は,本件商標権を侵害する行為と認められる。 (3) 請求原因(6)について商標法39条が準用する特許法103条により,他人の商標権を侵害した者は,侵害行為について過失があったことが推定され,当該推定を覆すに足りる証拠もないから,被告には過失が認められる。 (4) 請求原因(7)について 本件商品1は,マイクロサーボモーター1個の単品商品であり,販売価格は513円(税込み。以下同じ。)と認められる(甲11)。 本件商品2,5~7,9~15は,サーボモーターのほか複数の製品を含むキット商品であり,キット単位で販売価格が設定されているところ,被告各標章が付されているのはサーボモーターのみであるから,被告が本件商標 権侵害行為により得た利益は,サーボモーターの単品商品の販売価格である 513円に当該キット商品に含まれるサーボモーターの個数を乗じたものと認めるのが相当である。 本件商品2,6及び9はサーボモーターが2個(甲12,16,19),本件商品5,7,10~15はサーボモーターが1個(甲15,17,20~25)含まれるものと認められるから,前者の各商品については1026 円,後者の各商品については513円が,1個当たりの被告の得た利益と認められる。 弁論の全趣旨により認められる被告の販売個数によれば,被告は,上記各商品の販 ,前者の各商品については1026 円,後者の各商品については513円が,1個当たりの被告の得た利益と認められる。 弁論の全趣旨により認められる被告の販売個数によれば,被告は,上記各商品の販売により,下表のとおりの売上げを得たことが認められる(答弁書別紙商品別販売数。なお,本件商品9及び15の「数個」は,数が明らかで はないので,複数個の最小数である2個と認定する。)。 商品販売価格販売個数売上本件商品1513円 8万7210円本件商品21026円 0円本件商品5513円 5130円本件商品61026円 0円本件商品7513円 0円本件商品91026円 2052円本件商品10513円 513円本件商品11513円 5130円本件商品12513円 513円本件商品13513円 513円本件商品14513円 0円本件商品15513円 1026円合計 10万2087円 原告は,原告のライセンス料に係る規定(甲30,31)に基づき,販売等の数量の算定が困難な場合,あるいは,SG9系列の商品1個の販売につき,250円又は侵害品の売価(税込単価)から250円を控除した金額のうち,いずれか多い金額で計算した場合の合計が11万2000円に満たない場合の11万2000円の使用許諾料相当額を請求するものと解される。 しかし,原告が同規定に基づき実際にライセンスを行った実績があることを認めるに足りる証拠はないから,同規定に基づき使用料相当額を算定することは相当ではない。 本件に係る諸般の事情を総合考 しかし,原告が同規定に基づき実際にライセンスを行った実績があることを認めるに足りる証拠はないから,同規定に基づき使用料相当額を算定することは相当ではない。 本件に係る諸般の事情を総合考慮すると,本件商標の使用料率は10%とするのが相当であるから,上記の10万2087円に10%を乗じた1万0 208円(小数点以下切り捨て)が,本件商標権の権利者が本件商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する価額と認められる。 (5) 上記第2の2請求原因(2)のとおり,本件商標権は,原告及び外国法人2社によって共有されていることが認められ,具体的な共有持分を認めるに足りる証拠はないから,それぞれの持分は3分の1と推定される(民法250条)。 原告は,日本国内における原告商標の管理,使用許諾等のライセンスは専ら原告が行っていると主張するが,それを認めるに足りる証拠はない。 上記(4)の損害賠償請求権は,可分債権であるから,原告に帰属する損害賠償請求権は,1万0208円を三分した3402円(小数点以下切り捨て)と認められる。なお,本件商品1に係る損害額は2907円であり,その余 の商品に係る損害額は495円となる。 (6) したがって,被告は,原告に対し,3402円及びうち495円に対する令和元年7月18日から支払済みまで,うち2907円に対する同月26日から支払済みまで,ぞれぞれ年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 2 被告の主張について なお,被告は,本件各商品の調達はカナダで行われており,本件各商品の中には真正商品が含まれている可能性がある旨主張するが,適法な並行輸入に当たると認めるに足りる的確な証拠はない。 3 結論以上によれば,原告の請求は,主文 達はカナダで行われており,本件各商品の中には真正商品が含まれている可能性がある旨主張するが,適法な並行輸入に当たると認めるに足りる的確な証拠はない。 3 結論以上によれば,原告の請求は,主文掲記の限度で理由があるから,その限度 でこれを認容し,その余を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 今野智紀 (別紙) 原告商標権目録 (111)登録番号 : 第5781098号(151)登録日 : 平成27(2015)年 7月 24日(210)出願番号 : 商願2015-40831 (220)出願日 : 平成27(2015)年 4月 27日(180)存続期間満了日 : 令和7(2025)年 7月 24日(541)標準文字商標 : TOWERPRO(561)称呼(参考情報) : タワープロ,タワー(732)権利者 氏名又は名称 : 梅本合同会社住所又は居所 : 東京都千代田区氏名又は名称 : タワープロ・プライベート・リミテッド住所又は居所 : シンガポール国氏名又は名称 : 双輝有限公司 住所又は居所 : 香港(500)区分数 : 1(511)(512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 【類似群コード】28モーターを組み込んだ小型模型,モーターを組み込んだ小型模型の部品 港(500)区分数 : 1(511)(512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 【類似群コード】28モーターを組み込んだ小型模型,モーターを組み込んだ小型模型の部品 及び付属品,ラジオコントロール式模型おもちゃ,ラジオコントロール式模型の部品及び付属品,乗物模型おもちゃ 24A01 (別紙) 被告出品目録(各項番の下段は,商品が掲載されたウェブページのURL を示す。) 1 商品名 「DFRobot マイクロサーボモータ」 https://以下省略 2 商品名 「ラズベリーパイ用MonkMakes サーボキット」https://以下省略 3 商品名 「MonkMakesmicro:bit 専用サーボコントローラキット」https://以下省略 4 商品名 「UCTRONICSArduinoUNO アドバンストスターターラーニ ングキット」https://以下省略商品名 「Elecrow ラズベリーパイ&Arduino 用スタータキット」https://以下省略 6 商品名 「ラズベリーパイ用MonkMakes サーボキット」 https://以下省略 7 商品名 「ElecrowESP8266 NodeMCUIOT キット」https://以下省略 8 商品名 「EledurowArduino 用Crowtail 上級者キット」https://以下省略 9 商品名 「JSumoRobopan マイクロパン/チルト」https://以下省略商品名 「Arduino 用UCTRONICSIR スマートロボット /以下省略 9 商品名 「JSumoRobopan マイクロパン/チルト」https://以下省略商品名 「Arduino 用UCTRONICSIR スマートロボットカーキット」https://以下省略 11 商品名 「Arduino 用RFID 学習キットV2.0」https://以下省略 12 商品名 「Arduino 用UCTRONICS スマートBluetooth ロボットカーキット」https://以下省略 13 商品名 「ElecFreaksmicro:bit ティンカーキット(micro:bitボード別売)」https://以下省略 14 商品名 「ElecFreaksmicro:bit 基本キット(micro:bit なし)」https://以下省略 商品名 「ElecFreaksmicro:bit 基本キット」https://以下省略
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