本件は、特許無効審判請求を不成立とした特許庁の審決を取り消すことを求めた事案である。原告である東日本高速道路株式会社は、被告の特許権に対し、分割要件違反に基づく新規性欠如及び進歩性欠如を理由に無効審判を請求したが、特許庁はこれを認めず、無効審判請求は成り立たないとの審決を下した。主要な争点は、分割出願の適法性及び新規性・進歩性の判断であり、裁判所は特許庁の判断に誤りがあると認定した。具体的には、分割出願が適法に行われたことを確認し、無効理由が前提を欠くと判断した。結果として、特許庁の審決は取り消され、訴訟費用は被告の負担とされた。
- 1 -令和7年9月8日判決言渡令和6年(行ケ)第10086号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年7月9日判決 原告東日本高速道路株式会社 同訴訟代理人弁護士清水 節渡邉佳行関 卓人 平井佑希 被告有限会社PXZ 同訴訟代理人弁護士鷹見雅和 同訴訟代理人弁理士森 哲也田中秀喆主文 1 特許庁が無効2022-800083号事件について、令和6年8月13日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 本件は、特許無効審判請求を不成立とした審決の取消しを求める事案である。争点 - 2 -は、①分割要件違反を前提とした新規性欠如、②進歩性欠如の各無効理由に関する認定判断の誤りの有無である。 1 特許庁における手続の経緯等(1) 本件特許被告代表者は、平成16年9月13日にした特許出願(特願2004-30074 9号)を最初の原出願とする第7世代の分割特許出願(以下、分割特許出願を単に「分割出願」という。)として、平成28年4月4日に特許出願をし(特願2016-75107号。以下「本件出願」という。)、平成29年6月16日、特許権の設定登録(特許第6159845号、請求項の数2(甲42)。以下、この特許を「本件特許」といい、本件特許に係る特許権を「本件特許権」という。)を受けた。被告は、本件特 許権の特許権者である。 本件出願に係る最初の原出願からの分割出願の経緯は、次表のとおりである(以下、各出願を次表の「出願」欄記載のとおり呼称 本件特許権」という。)を受けた。被告は、本件特 許権の特許権者である。 本件出願に係る最初の原出願からの分割出願の経緯は、次表のとおりである(以下、各出願を次表の「出願」欄記載のとおり呼称する。)。 出願出願日特許出願番号最初の原出願平成16年9月13日特願2004-300749号(甲9)第1世代分割出願平成20年11月28日特願2008-303530号第2世代分割出願平成23年12月28日特願2011-287837号第3世代分割出願平成25年2月12日特願2013-24483号第4世代分割出願平成26年4月23日特願2014-89069号(甲6)第5世代分割出願平成26年12月2日特願2014-243621号(甲1)第6世代分割出願平成27年5月13日特願2015-98590号本件出願平成28年4月4日特願2016-75107号(2) 本件審決原告は、令和4年10月21日、本件特許につき無効審判請求をした(無効202 2-800083号事件)。 特許庁は、令和6年8月13日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以 - 3 -下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月21日、原告に送達された。 原告は、令和6年9月19日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は、次のとおりである(甲42。以下、請求項1記載の発明を「本件発明1」、請求項2記載の発明を「本件発明 2」といい、併せて「本件各発明」という。)。 【請求項1】有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されている、ETC車専用出入口から出入 、請求項2記載の発明を「本件発明 2」といい、併せて「本件各発明」という。)。 【請求項1】有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されている、ETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシステムであって、前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに出入りをする車両を 検知する第1の検知手段と、前記第1の検知手段に対応して設置された第1の遮断機と、車両に搭載されたETC車載器とデータを通信する通信手段と、前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段と、 前記判定手段により判定した結果に従って、ETCによる料金徴収が可能な車両を、ETCゲートを通って前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに入る、または前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアから出るルートへ通じる第1のレーンへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレー ンへ誘導する誘導手段と、を備え、前記誘導手段は、前記第1のレーンに設けられた第2の遮断機と、前記第2のレーンに設けられた第3の遮断機と、を含み、さらに、前記第2の遮断機を通過した車両を検知する第2の検知手段と、前記第3の遮断機を通過した車両を検知する第3の検知手段と、を備え、 前記第1の検知手段により車両の進入が検知された場合、前記車両が通過した後に、 - 4 -前記第1の遮断機を下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第2の遮断機を下ろすことを特徴とする車両誘導システム。 【請求項2】請求項1のシステムにおいて、さらに 下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第2の遮断機を下ろすことを特徴とする車両誘導システム。 【請求項2】請求項1のシステムにおいて、さらに、前記第3の検知手段により車両の通過が検 知された場合、前記車両が通過した後に、前記第3の遮断機を下ろすことを特徴とする車両誘導システム。 3 本件審決の理由の要旨審判において、原告は、無効理由1として、第5世代分割出願の分割要件違反を前提とした甲9(最初の原出願に係る公開特許公報である特開2006-79580号 公報)を主引用例とする新規性欠如を、無効理由2として、甲10(特開平8-235398号公報)を主引用例とする進歩性欠如を主張した。 本件審決はこれらの無効理由をいずれも理由がないとした。その理由の要旨は、次のとおりである。 (1) 無効理由1について ア特許出願の分割が適法にされたというには、①原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、明細書、特許請求の範囲及び図面を併せて「明細書等」という。また、以下、明細書等における段落番号や図面の番号等を【】の記号で示す。)に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと、②分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された 事項の範囲内であること、③分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であることを要すると解される。第5世代分割出願が、①の要件を満たすことは明らかであるから、②及び③の要件について検討する。 イ第4世代分割出願当初の明細書等(甲6。以下「第4世代当初明細書等」とい う。)の【0040】、【0041】、【0056】~【005 は明らかであるから、②及び③の要件について検討する。 イ第4世代分割出願当初の明細書等(甲6。以下「第4世代当初明細書等」とい う。)の【0040】、【0041】、【0056】~【0058】、【0063】、【006 - 5 -4】、【図4】、【図5】、【図10】、【図11】及び【請求項1】~【請求項15】と、第5世代分割出願の直前の第4世代分割出願の明細書等(第4世代当初明細書等について甲7の1・2による手続補正がされたもの。以下「第4世代分割直前明細書等」という。)の【0040】、【0041】、【0056】~【0058】、【0063】、【0064】、【0070】、【図4】、【図5】、【図10】及び【図11】には、いずれも、 第5世代分割出願に係る最終的な特許請求の範囲の請求項1(甲2の5。以下「第5世代請求項1」といい、これに記載された発明を「第5世代発明1」という。)に記載されたものが記載されているから、第5世代分割出願は、上記②及び③の要件を満たしているといえる。 ここで、第5世代請求項1には、ETCシステムの異常動作の検知手段等や分岐前 の遮断機を開けるタイミングを特定する事項は記載されていないが、これは、第4世代当初明細書等及び第4世代分割直前明細書等に記載された発明の中から、車両検知装置と遮断機とを利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段に関する発明のみを取り出して第5世代請求項1に記載したためである。第5世代発明1は、上記検知手段等やタイミン グを特定しなくても上記誘導手段として機能することは明らかであるから、これらを特定する事項が記載されていないことをもって、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。そして、第5世代分割 ン グを特定しなくても上記誘導手段として機能することは明らかであるから、これらを特定する事項が記載されていないことをもって、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。そして、第5世代分割出願の第5世代請求項1以外の箇所に新たな技術的事項を導入する記載があるとも認められない。 ウそうすると、第5世代分割出願は適法に分割出願されたものであって、本件特 許の出願日は最初の原出願の出願日である平成16年9月13日に遡及するから、甲9(最初の原出願に係る公開特許公報)を主引用例とする新規性欠如の無効理由は前提を欠くものである。 (2) 無効理由2についてア甲10には、別紙1(本件審決が認定した主引用発明と一致点、相違点)記載 1の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されていると認められ、本件発明1と - 6 -甲10発明を対比すると、両者には、同別紙記載2(1)の一致点及び同(2)~(4)の相違点1~3が認められる。 イ相違点1について検討すると、甲10発明は、あらかじめ契約していて自由に通過できる車両の利用者の利便を向上するという課題に対し、読み取られたナンバープレートの文字とあらかじめ記憶されている文字とが一致するか否かを判定するこ とにより、使用ごとに料金を徴収する必要がない車両を自由に通過できる無料道路に誘導する点に技術的意義がある。これに対し、周知技術であるETCシステムは、車両がノンストップで通行料金の自動徴収処理を行うことができるようにするという課題に対し、無線で通行料金の自動徴収処理を行うようにしたことに技術的意義があり、甲10発明のように、使用ごとに料金を徴収する必要がない車両を自由に通過で きるようにするものではない。また、甲10発明はノンストップで契約の有無を確認す うようにしたことに技術的意義があり、甲10発明のように、使用ごとに料金を徴収する必要がない車両を自由に通過で きるようにするものではない。また、甲10発明はノンストップで契約の有無を確認する機能であるのに対し、周知技術であるETCシステムはノンストップで通行料金の自動徴収処理を行う機能である。さらに、甲10発明の課題はあらかじめ契約していて利用するごとに料金支払を必要としない「自由に通過できる車両の利用者の利便を向上」することであり、周知技術であるETCシステムの課題は車両がノンストッ プで通行料金の自動徴収処理をできるようにすることである。 このように、甲10発明とETCシステムは、技術的意義、機能及び課題が異なっているから、甲10発明にETCシステムを組み合わせる動機があるとはいえないし、仮に組み合わせるとすると、甲10発明の「車両Cを撮像し、その撮像データから車両Cを特定するナンバープレートの文字を読取る撮像ユニット1と、読取られた 文字を予め記憶されている文字と一致するか否か判定することにより、撮像された車両Cが自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両か否かを判定する判定手段」という必須の事項を取り除くこととなり、甲10発明の技術的意義及び機能が損なわれてしまうことから、甲10発明に周知技術であるETCシステムを置換することには積極的な動機はなく、むしろ阻害要因がある。また、周知技術であるETCシステム を甲10発明に置換ではなく付加するとしても、甲10発明の技術的意義及び機能を - 7 -損なわないよう維持しつつ、各課題の解決手段を併存させるために必要な技術的事項は知られていない。このことは、甲10発明と甲12(スペイン国特許出願公開第2048027号明細書)に記載された事項(以下「甲12 いよう維持しつつ、各課題の解決手段を併存させるために必要な技術的事項は知られていない。このことは、甲10発明と甲12(スペイン国特許出願公開第2048027号明細書)に記載された事項(以下「甲12記載事項」という。)との関係でも同様である。 ウしたがって、当業者が甲10発明に周知技術又は甲12記載事項を適用して、 相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることに容易に想到し得たとはいえないから、相違点2、3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものであるから、本件発明1と同様に、甲10発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが できたものとはいえない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(分割要件違反を前提とする新規性判断の誤り)(1) 第5世代分割出願が分割要件に違反していることア分割出願において、分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当 初の明細書等や原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であるかを検討するに際しては、分割出願の明細書等が原出願の当初明細書等や分割直前の明細書等に対する補正後の明細書であると仮定した場合に、その補正が原出願の当初明細書等や分割直前の明細書等との関係において、新たな技術的事項を導入する(以下「新規事項の追加」ともいう。)補正であるか否かを判断すべきものである。そして、補 正に係る構成と発明の課題とを検討し、補正に係る構成が発明の課題の解決に関係する場合は新規事項の追加であると判断される場合が多く、課題を解決するための主たる手段を削除して上位概念化するような補正は新規事項を追加するものと判断 を検討し、補正に係る構成が発明の課題の解決に関係する場合は新規事項の追加であると判断される場合が多く、課題を解決するための主たる手段を削除して上位概念化するような補正は新規事項を追加するものと判断されるところ、下記イ及びウのとおり、本件の第5世代分割出願は、この上位概念化、拡張の度合いが著しい場合であって、新規事項の追加に当たることが明らかである。 イ本件のような車両を離脱させる車両誘導システムの発明において、離脱させる - 8 -車両であるか否かを判定する判定手段(以下「離脱車両判定手段」という。)は、課題解決に必須の構成である。離脱車両判定手段を備えなければ、離脱させる車両が決まらず、車両誘導システムとして機能しないからである。 実際、第4世代当初明細書等及び第4世代分割直前明細書等(以下、併せて「第4世代明細書等」という。)の【0001】、【0002】、【0006】~【0012】等 の記載によると、同明細書等に開示されている発明は、①一般車(ETCシステムを利用できない車両)がETC車専用出入口に進入した場合又は②ETC車(ETCによる料金徴収が可能な車両)に対してETCシステムが正常に動作しない場合に、そのような車両を安全に誘導する車両誘導システムを提供することを課題とし、その解決手段として、路側アンテナとETC車載器との間で正常に無線通信が行うことがで きるか否かを判定する手段(以下「無線通信による判定手段」という。)を用いて①又は②の場合に当たるかを判定し、その判定結果に基づいて、離脱させるべき車両がETC車専用レーンから離脱し得る手段を設けるというものである。第4世代明細書等の他の箇所を見ても、無線通信による判定手段以外の方法で車両を判定する方法や、①又は②以外の場合に車両を離脱させることは ETC車専用レーンから離脱し得る手段を設けるというものである。第4世代明細書等の他の箇所を見ても、無線通信による判定手段以外の方法で車両を判定する方法や、①又は②以外の場合に車両を離脱させることは開示も示唆もされていない。 ウこれに対して、第5世代発明1では、車両が離脱し得る手段として三叉路型レーンを設けることは記載されているが、どのような車両を、どのように判定して離脱させるのかという離脱車両判定手段については、何ら規定されていない。 このため、第4世代明細書等に記載されていた発明が、無線通信による判定手段により離脱させるべき車両か否かを判定し、離脱させるべき車両を離脱させることがで きる車両誘導システムの発明であったのに対して、第5世代発明1は、離脱車両判定手段を規定していないために、無線による判定手段はおろか、離脱車両判定手段を欠く発明へと上位概念化されている。第5世代発明1が何らかの離脱車両判定手段を備えていると善解したとしても、第4世代明細書等には、離脱車両判定手段として、無線通信による判定手段を備える発明しか開示も示唆もされていないのであるから、離 脱車両判定手段が上位概念化されていることに変わりはない。 - 9 -前記イのとおり、車両を離脱させる車両誘導システムの発明において、離脱車両判定手段は、課題解決に必須の構成であって、これを完全に削除して規定しない第5世代発明1は、課題の解決に関係する構成を著しく上位概念化したものとして、新たな技術的事項が導入されていることが明らかである。 (2) 本件審決及び被告の主張の誤り ア本件審決は、第5世代発明1について、第4世代明細書等に記載された発明の中から、車両検知装置と遮断機とを利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に 決及び被告の主張の誤り ア本件審決は、第5世代発明1について、第4世代明細書等に記載された発明の中から、車両検知装置と遮断機とを利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段の発明のみを取り出して記載したものであるとし、被告も同旨を主張する。 しかし、前記(1)イのとおり、第4世代明細書等に記載された発明は、①一般車又 は②ETCが正常に動作しないETC車のいずれかに該当する車両がETC車専用レーンから離脱し得る手段を設ける発明しか開示されておらず、①又は②のいずれかに該当するかは、無線通信による判定手段によって初めて特定できるのであるから、無線通信による判定手段は、第4世代明細書等に記載された発明の課題解決手段に不可欠又は極めて密接に関わる構成である。車両誘導システムの発明では、車両の判定 を行わなければ、どちらのルートに誘導すべきかを判断できないから、車両の判定手段を伴って初めて一つの発明として成立するものである。製造方法の発明における第1工程と第2工程のうち第1の工程を取り出すのとは異なり、判定手段と誘導手段を切り離すことはできないというべきである。 したがって、誘導手段の発明のみを取り出すことが可能な前提に立った本件審決の 認定及び被告の主張は誤っている。 イ被告は、第5世代発明1は、2か所の遮断機を常時「閉」とし、必要に応じていずれかの遮断機を開くことで、当該レーンから逆進入する不正車両を防止する効果が得られる発明であると主張する。 しかし、被告の主張する発明は、第5世代明細書の特許請求の範囲の記載に対応し ていない後付けのものにすぎない。レーンの分岐やスマートインターチェンジを構成 - 10 -要件とする特許請求の範囲の の主張する発明は、第5世代明細書の特許請求の範囲の記載に対応し ていない後付けのものにすぎない。レーンの分岐やスマートインターチェンジを構成 - 10 -要件とする特許請求の範囲の記載からして、第5世代発明1が車両誘導システムの発明であることは明らかであるが、遮断機による逆進入の防止は、これらの構成要件と何ら意味のある有機的関連性を有していない。また、被告の主張によると、「必要に応じて」遮断機が開くとのことであるが、どのような必要に応じて、どのようにその必要を判定するかは、何ら明らかにできておらず、いずれにしても、第4世代明細書 等に記載された発明との比較において、判定手段が上位概念化され、新たな技術的事項が導入されていることは明白である。 (3) 小括以上のとおり、第5世代分割出願は、新たな技術的事項を導入するものとして、分割出願の要件を満たさず、出願日遡及の効果(特許法44条2項本文)を享受できな いから、その出願日は、現実の出願日である平成26年12月2日となる。第7世代分割出願である本件特許の出願日も、第5世代分割特許出願の現実の出願日である平成26年12月2日までしか遡及し得ない。 そして、平成26年12月2日までに国内で頒布された刊行物である甲9(最初の原出願に係る公開特許公報)に本件各発明が開示されていることは明らかであるか ら、本件特許は、特許法29条1項3号の規定に反して特許されたものであり、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきものである。本件審決は、分割出願の要件の判断を誤り、これと異なる結論に至っているから、取り消されるべき違法がある。 2 取消事由2(甲10を主引例とする進歩性判断の誤り) (1) 周知技術であるETCシステムの認定の誤り本件審決は、 、これと異なる結論に至っているから、取り消されるべき違法がある。 2 取消事由2(甲10を主引例とする進歩性判断の誤り) (1) 周知技術であるETCシステムの認定の誤り本件審決は、周知技術であるETCシステムについて、無線で通行料金の自動徴収処理を行う点を強調しているが、甲13~21によると、周知技術であるETCシステムは、課金処理を実行する手段のみではなく、無線通信による判定手段も備えている。特に、入口に設置されたETCシステムを車両が通過した時点では、課金処理は 行われず、無線通信による判定手段を利用して、誘導すべきルートの決定や、遮断機 - 11 -の開閉、ノンストップで通過させる車両か停車させて通行券を交付すべき車両かなどの振り分けが行われている。したがって、本件審決が、ETCシステムの持つ無線通信による判定手段を殊更に無視し又は軽視したことは誤りである。 (2) 相違点1に係る判断の誤り本件審決は、周知技術であるETCシステムの認定を誤ったことから、相違点1に 関する検討において、甲10発明にETCシステムが備える無線通信による判定手段を適用する動機付けの判断を誤っている。 すなわち、甲10発明では、自由に通過できる車両は、必ずしも事前に契約をした車両に限られないとみられ、このような使用ごとに料金を徴収する必要がない車両を、撮像ユニット1を利用し判定してノンストップで通過させている。他方で、ET Cシステムにおいても、入口に設置されているETCシステムでは課金処理は行われず、無線通信による判定手段により、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を判定してノンストップで通過させる。 このように、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両であるか否かを判定し、ノンストップで 判定手段により、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を判定してノンストップで通過させる。 このように、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両であるか否かを判定し、ノンストップで通過させる車両を振り分けるという点において、甲10発明も 周知技術であるETCシステムも異なることはなく、その判定の方法が撮像ユニット1によるか、無線通信による判定手段によるかが異なっているにすぎない。 そして、甲10発明において、車両の振り分けを撮像ユニット1を用いて行う積極的な理由付けまではされていないことに照らすと、車両の判定を行うための手段として、撮像ユニット1に代えて、周知技術であるETCシステムが持つ無線通信による 判定手段を採用することは、当業者にとって何らの困難を伴うものではなく、阻害要因となるものでもない。 なお、本件審決は、甲10発明に甲12記載事項を適用する動機付けもないとしたが、同様の理由により、審決の判断は誤っている。 したがって、本件審決は、相違点1に係る容易想到性の判断に誤りがあり、この誤 りは審決の結論に影響を及ぼすから、本件審決には取り消されるべき違法がある。 - 12 -第4 被告の反論 1 取消事由1(分割要件違反を前提とする新規性判断の誤り)について(1) 第5世代発明1が第4世代明細書等に記載されていること本件審決が認定するとおり、第4世代明細書等には、第5世代発明1を構成する全ての要素が記載されているのであるから、第5世代分割出願が適法な分割出願である ことは明らかである。 (2) 原告の主張についてア原告は、車両を離脱させる車両誘導システムの発明において、離脱車両判定手段は課題解決に必須の構成であり、これを備えない第5世代発明1は、第4世代明細書等に ある。 (2) 原告の主張についてア原告は、車両を離脱させる車両誘導システムの発明において、離脱車両判定手段は課題解決に必須の構成であり、これを備えない第5世代発明1は、第4世代明細書等に記載された発明との関係で、新たな技術的事項を導入するものであると主張す る。 しかし、第4世代当初明細書等の【請求項1】、【請求項2】、【0012】、【0013】等、第4世代分割直前明細書等の【0012】、【0013】、【0070】(同段落中の[発明1]及び[発明2])等には、判定手段が含まれていない発明が示されているのであるから、離脱車両判定手段が発明の必須の構成というわけではない。 そして、第5世代発明1は、第4世代明細書等の【図4】や【図11】に記載された発明のうち、ETCによる料金徴収が可能か否かを判定するという上流側の構成と、その結果に応じて車両を誘導するという下流側の構成とを別々の発明として捉え、後者に属する、車両検知装置と遮断機とを利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段を、一つ の技術的思想として捉えて表現したものである。 特許庁が発行する「特許・実用新案審査ハンドブック」の附属書Aのうち「7. 新規事項を追加する補正に関する事例集」(甲35)の「事例6」のように、当初出願の発明が第1及び第2工程よりなる製造方法である場合に、第1工程のみの発明と補正することは、新規事項の追加に当たらないとされているところ、第5世代発明1も、 第4世代明細書等に記載された下流側の構成のみを備えた発明を分割出願するもの - 13 -であるから、「事例6」と同様に、新規事項の追加には当たらないというべきである。 イ原告は、第5世代発明1の課題を「一般 された下流側の構成のみを備えた発明を分割出願するもの - 13 -であるから、「事例6」と同様に、新規事項の追加には当たらないというべきである。 イ原告は、第5世代発明1の課題を「一般車がETC車専用出入口に進入した場合又はETC車に対してETCシステムが正常に動作しない場合であっても、そのような車両を安全に誘導する車両誘導システムを提供する」ことと主張した上で、課題解決に必須の構成である離脱車両判定手段を削除し規定しない第5世代発明1は、課 題の解決に関係する構成を著しく上位概念化させており、新たな技術的事項を導入するものであると主張する。 しかし、原告が主張する課題は、最初の原出願の特許請求の範囲に記載された発明に対応した課題であり、第5世代発明1の課題とは異なる。第5世代発明1は、三叉路型レーンの分岐した先の左右2か所に設けた遮断機を常時「閉」とし、分岐前のレ ーンに設けられた車両検知装置によって車両が検知されることを契機として(車両の通過を検知して)、当該2か所の遮断機のいずれか一方は閉じたままとし、他方を開くというものである。そして、常時「閉」とした遮断機のいずれかを必要に応じて開くことで、遮断機を常時「開」とした場合と比較して、当該レーンから逆進入する不正車両を防止する効果が得られるものである。このように、第5世代発明1は、有料 道路、サービスエリア又はパーキングエリアを利用しながら、料金を支払うことなくこれらの施設を出入りする不正車両を防止することを課題とした独立した発明であって、前記アのとおり、第4世代明細書等に記載された構成のうちから、一つの技術的思想として取り出して捉えることができるものである。 したがって、第5世代分割出願が新たな技術的事項を導入しているという原告の主 張には理 世代明細書等に記載された構成のうちから、一つの技術的思想として取り出して捉えることができるものである。 したがって、第5世代分割出願が新たな技術的事項を導入しているという原告の主 張には理由がない。 2 取消事由2(甲10を主引例とする進歩性判断の誤り)について(1) 周知技術の認定に誤りはないこと原告は、周知技術であるETCシステムについて、無線通信による判定手段も備えており、特に入口に設置されたETCシステムを車両が通過した時点では、課金処理 は行われておらず、無線通信による判定手段を利用して車両の振り分けを行っている - 14 -として、この点を殊更に無視し又は軽視した本件審決には誤りがあると主張する。 しかし、ETCシステムにおいては、入口で取得した情報と出口で取得した情報を併せて初めて課金の前提となる走行距離が判明するのであるから、入口で課金処理をしていないのではなく、入口と出口の両方で課金処理が行われ、出口でこれが完了するとみるべきである。本件審決は、入口と出口での処理を総合して「通行料金の自動 収受処理を行なうETCシステムにおいて、・・・無線で車載器に対する課金処理が実行できない場合、別途精算処理が必要な車両であると判定」すると表現したもので、その認定に誤りはない。 (2) 動機付けがないこと前記(1)のとおり、ETCシステムでは、入口と出口の双方で課金処理が行われて いるといえるところ、原告が主張するETCシステムの「無線通信による判定手段」は、ETCシステムによる課金処理の前半の一部ということになるが、ETCシステムからこの部分のみを抜き出して甲10発明に適用することが容易であるとする根拠はなく、むしろ困難というべきである。 したがって、甲10発明に周知技術であるETCシ 部ということになるが、ETCシステムからこの部分のみを抜き出して甲10発明に適用することが容易であるとする根拠はなく、むしろ困難というべきである。 したがって、甲10発明に周知技術であるETCシステムを置換することには積極 的な動機があるとはいえず、むしろ阻害要因があるとした本件審決に誤りはない。 (3) 甲10発明に周知技術や甲12記載事項を適用しても、相違点1に係る本件各発明の構成に至らないこと仮に甲10発明に周知技術であるETCシステムや甲12記載事項を適用したとしても、適用後の車両入出場管理装置は、ETCによる料金徴収が可能な車両であっ ても、契約車であれば第1のレーンに、非契約車であれば第2のレーンに誘導される構成にしかならないから、相違点1に係る本件各発明の構成には至らないというべきである。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1(分割要件違反を前提とする新規性判断の誤り)について (1) はじめに - 15 -分割出願は、原出願の時にしたものとみなされるところ(特許法44条2項本文)、そのためには、分割出願に係る発明が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であることを要する。具体的には、当業者にとって、原出願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、分割出願に係る発明が、新たな技術的事項を導入するものでないことを要する。 そこで、以下、まず、分割出願に係る発明である第5世代分割出願に係る発明について検討し、これが第4世代当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものであるか否かを検討する。 (2) 第5世代分割出願に係る発明 ア第5世代分割出願の特許請求 の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものであるか否かを検討する。 (2) 第5世代分割出願に係る発明 ア第5世代分割出願の特許請求の範囲の記載(平成28年2月4日付け手続補正書による補正後のもの。甲2の5)は、別紙2(第5世代分割出願の特許請求の範囲)のとおりである(以下、これら請求項1~3に記載された発明を併せて「第5世代各発明」という。)。 イ上記の特許請求の範囲の記載によると、第5世代各発明は、いずれも、ETC 専用の入口料金所、出口料金所又はその双方を有するスマートインターチェンジであって、当該料金所が設けられるレーン(以下「本レーン」という。)及び本レーンから分岐して車両が戻るレーン(以下「分岐レーン」という。)からなる三叉路型レーン、三叉路型レーンの分岐前の1か所と分岐した先の左右2か所に設けられた遮断機並びに三叉路型レーンの分岐前の本レーンに設けられた車両検知装置をその構成に含 み、車両検知装置により車両が検知されることを契機として、分岐した先の左右2か所に設けられた遮断機のいずれかのみを開くものとして記載されている。 他方、第5世代各発明では、少なくとも、①分岐レーンを走行させて車両を戻す場合がいかなる場合であるか(第4世代当初明細書等の【請求項1】「路側アンテナと車載器と間で通信不能又は通信不可が発生したとき」)や、②車両を戻すべき場合に 当たるか否かをETCシステムの無線通信により判定すること(同【請求項3】「前 - 16 -記路側アンテナは、車載器との間で無線通信可能か否かを判定するためのゲート前アンテナと入口情報及び料金情報の送受信を行なうETCアンテナとを有している」のような事項)が、発明特定事項として記載されてい 路側アンテナは、車載器との間で無線通信可能か否かを判定するためのゲート前アンテナと入口情報及び料金情報の送受信を行なうETCアンテナとを有している」のような事項)が、発明特定事項として記載されていない。 ウしたがって、第5世代各発明においては、①分岐レーンを走行させて車両を戻す場合についての限定がなく、②戻す対象となる車両を判定する方法についての限定 もないということになる。 (3) 第4世代当初明細書等の記載ア第4世代当初明細書等(甲6)の記載は、別紙3のとおりであるところ、その要旨は次のとおりである。 (ア) 本発明は有料道路の出入口に設置されたETC車用出入口に利用される車両 を安全に誘導する車両誘導システムに関する。(【0001】)(イ) 近年、有料道路の料金所に設置され始めたETCシステムは、料金所ゲートに設置した路側アンテナと、車両に装着した車載器との間で無線通信を用いて自動的に通行料金の決済を行い、料金所をノンストップで通行することを可能とする。多くの有料道路では、入口料金所で、路側アンテナから車載器に入口情報を無線送信し、有 料道路を走行後、出口料金所で、車載器から路側アンテナに入口情報を無線送信し、別途備える料金計算コンピュータで料金計算を行って、その料金情報を路側アンテナから車載器に向けて無線送信している。(【0002】、【0003】)(ウ) 有料道路の料金所のレーンには、①ETC車専用レーンと、②ETC車(ETCによる料金徴収が可能な車両)も一般車(ETCシステムを利用できない車両)も 混在して通れるレーンと、③ETCシステムを利用できないレーンとが混在している。一般車や、車載器が路側アンテナと正常通信できないETC車が①のレーンに進入すると、開閉バーが下りて進行できなくなり、 混在して通れるレーンと、③ETCシステムを利用できないレーンとが混在している。一般車や、車載器が路側アンテナと正常通信できないETC車が①のレーンに進入すると、開閉バーが下りて進行できなくなり、料金所の渋滞が助長されるほか、止められた車両がバック走行をして後続の車両と衝突する危険がある。(【0006】~【0008】) (エ) 本発明は、一般車又はETCシステムが正常に動作しないETC車がETC車 - 17 -用出入口に進入した場合(路側アンテナと車載器の間で通信不能・不可)でも、車両を安全に誘導する車両誘導システムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、ETCシステムを利用した車両誘導システムにおいて、例えば、逆走車の走行を許さず、あるいは先行車と後続車の衝突を回避し得る、安全な車両誘導システムを提供することを目的とする。(【0010】、【0011】) 上記目的に鑑み、本発明に係る車両誘導システムは、有料道路の料金所にETC車用レーンを有するインターチェンジに利用される車両誘導システムであって、路側アンテナと車載器との間で通信不能又は通信不可が発生したとき、車両が前記ETC車用レーンから離脱し得る手段を設けたことを特徴とする。離脱し得る手段は、ETC専用レーンから分岐して車両が料金所へ再進入するレーン又は一般車用レーンへ誘 導されるレーンとすることができる。路側アンテナは、車載器との間で無線通信可能か否かを判定するためのゲート前アンテナと入口情報又は料金情報の送受信を行うETCアンテナとを有するようにすることもできる。(【0012】~【0014】)さらに、本発明に係る車両誘導システムは、ETC車載器搭載車が一般道路と有料道路との出入りをする時に、ETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシ こともできる。(【0012】~【0014】)さらに、本発明に係る車両誘導システムは、ETC車載器搭載車が一般道路と有料道路との出入りをする時に、ETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシ ステムであって、一般道路と有料道路との出入りをする車両を検知する検知手段と、車両に搭載されたETC車載器とデータを通信する通信手段と、前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段と、前記判定手段により判定した結果に従って、ETCによる料金徴収が可能な車両を、ETCゲートを通って一般道路から有料道路へ入る、又は有料道路から一般道路へ出 るルートへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口へ誘導する誘導手段を備え、前記検知手段により車両の進入が検知された場合、遮断機を下ろすことにより、進入した車両のバック走行と後続の車両の進入を防ぐことを特徴とする。(【0017】)(オ) 発明を実施するための最良の形態としては、有料道路の入口料金所で使用する ETCシステムを利用した車両誘導システム、出口料金所で使用する車両誘導システ - 18 -ムがあり、更に応用例として、逆進入防止機能を充実させたインターチェンジ、スマートインターチェンジ、有料駐車場等がある。(【0030】~【0069】)イ以上のとおり、第4世代当初明細書等には、ETC車専用レーンにETCを利用できない車両が進入すると渋滞や後続車との衝突の危険があるという課題に対し、その解決手段として、これらのETCを利用できない車両がETC車専用レーンから 離脱し得る手段を設け、離脱手段としてETC専用レーンから分岐するレーンを設けることや、車両の進入を検知した場合に遮断機 解決手段として、これらのETCを利用できない車両がETC車専用レーンから 離脱し得る手段を設け、離脱手段としてETC専用レーンから分岐するレーンを設けることや、車両の進入を検知した場合に遮断機を下ろすことにより車両を誘導すること等が記載されており、ETCを利用できない車両を検知したときに、この車両をETC車専用レーンから離脱させるべく誘導する車両誘導システムが開示されていると認められる。また、ETCを使用できない車両を検知し、これを判別する方法とし ては、【0010】や【0012】にみられるように、「路側アンテナと車載器との間で通信不能・不可」であるか否かによって行うとしており、その実施形態の説明のうち【0031】~【0053】、【0066】~【0068】、【図3】~【図8】、【図12】において、車両がETCによる無線通信が可能か否かによって行うことが開示されており、また、逆進入防止機能を充実させたインターチェンジの実施例である【0 054】~【0062】、【図9】、【図10】、スマートインターチェンジの車両誘導システムの実施例である【0063】~【0065】、【図11】も、「図9は、図4の変形例」(【0055】)、「一般車レーンB、Cが無いことを除き、入口料金所12のレーン(A→D)と(A→E)の役割、及び出口料金所13のレーン(A→D)と(A→E)の役割は、図3、4、6及び7のそれと同じである」(【0064】)とされてお り、いずれも車両がETCによる無線通信が可能か否かによって誘導されることが前提とされている。 そうすると、第4世代当初明細書等には、渋滞や後続車との衝突の危険という課題を解決するため、ETCを利用できない車両をETC車専用レーンから離脱させる車両誘導システムの発明において、具体的な課題解決手 うすると、第4世代当初明細書等には、渋滞や後続車との衝突の危険という課題を解決するため、ETCを利用できない車両をETC車専用レーンから離脱させる車両誘導システムの発明において、具体的な課題解決手段として、①ETCを利用でき ない車両がETC車専用レーンに進入した場合に、当該車両を、分岐レーンを走行さ - 19 -せて戻すという事項、及び、②戻す対象となる車両は、ETC車載器と路側アンテナとの無線通信が可能か否かにより判定するという事項がそれぞれ記載されていると認められる。そして、第4世代当初明細書等の全ての記載を総合しても、他に、分岐レーンを走行させて車両を戻す場合や、戻す対象となる車両を判定する方法を開示し、又は示唆する記載はないから、上記①及び②の事項は、第4世代当初明細書等に 開示された発明において、課題解決のために必要不可欠な構成であるというべきである。 (4) 新たな技術的事項の導入について上記(3)イのとおり、第4世代当初明細書等には、車両誘導システムの発明において、①ETCを利用できない車両がETC車専用レーンに進入した場合に、当該車両 を、分岐レーンを走行させて戻すという事項、及び、②戻す対象となる車両は、ETC車載器と路側アンテナとの無線通信が可能か否かにより判定するという事項が、必要不可欠な構成として記載されていると認められる。すなわち、第4世代当初明細書等には、上記①及び②を必須の構成としない技術思想は、開示されていないというべきである。 これに対し、上記(2)ウのとおり、第5世代各発明は、一般道路から有料道路のパーキングエリア若しくはサービスエリアに向かう入口側のレーンの途中から分岐する一般道路に戻るレーン、又は有料道路のパーキングエリア若しくはサービスエリアから一般道 各発明は、一般道路から有料道路のパーキングエリア若しくはサービスエリアに向かう入口側のレーンの途中から分岐する一般道路に戻るレーン、又は有料道路のパーキングエリア若しくはサービスエリアから一般道に向かう出口側のレーンの途中から分岐するパーキングエリア若しくはサービスエリアに戻るレーンを設けた三叉路型レーンにおいて、分岐した先の左右2 か所の遮断機の開閉に関して、判定手段を特定しないことで、ETCシステムの路側アンテナと車載器との間の無線通信の不能又は不可が発生しているかの判定を伴うことに限らない任意の基準・方法によって、遮断機の一方は閉じたままで他方が開いて、本レーンをそのまま走行するか、分岐レーンに進むかを誘導するという新たな技術的事項を導入するものであり、①分岐レーンを走行させて車両を戻す場合について の限定がなく、②戻す対象となる車両を判定する方法についての限定もないのである - 20 -から、これら2点の構成において、第4世代明細書等に記載された必須の構成を、無限定に上位概念化させていることとなる。 したがって、第5世代各発明は、第4世代当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものというべきである。 (5) 被告の主張についてア被告は、第5世代発明1について、第4世代当初明細書等に記載された発明の中から、車両検知装置と遮断機とを利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段に関する発明のみを取り出して記載したものであると主張する。 しかし、車両検知装置と遮断機を利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段の発明と みを取り出して記載したものであると主張する。 しかし、車両検知装置と遮断機を利用して、車両を入口側レーンをそのまま走行させるか戻り路に戻すかのいずれかに誘導するようにした誘導手段の発明というのであれば、車両検知装置と遮断機とを連関させるべく、検知した車両をいずれのレーンに誘導するかを決定する手段・方法がなければ誘導手段として機能し得ないところ、前記(3)イのとおり、第4世代当初明細書等には、検知した車両をいずれのレーンに 誘導するかを決定する手段・方法としては、ETC車載器と路側アンテナとの無線通信が可能か否かを判定する方法しか記載されていないのであるから、第4世代当初明細書等から、検知した車両をいずれのレーンに誘導するかを決定する手段・方法を特定することなく、車両検知装置と遮断機とを利用して車両をいずれかのレーンに誘導するようにした誘導手段の発明を取り出すことは、第4世代当初明細書等に記載され た技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものといわざるを得ない。 なお、被告は、当初出願の発明が第1及び第2工程からなる製造方法である場合に、第1工程のみの発明と補正することは、新規事項の追加に当たらないから、本件において、第4世代当初明細書等に記載された発明のうち下流側の構成のみを分割出願することは、新規事項の追加に当たらないとも主張する。 しかし、第4世代当初明細書に記載されているのは、次の【図5】にみられるよう - 21 -な処理フロー、すなわち車両検知装置による車両の検知、ゲート前アンテナとETC車載器との通信、ETC料金徴収の可否の判定、車両誘導装置による誘導、遮断機の開閉といった処理が順を追って行われ、全体としてその目的を達する車両誘導システムであって、その主要な処理(【図5】を例 C車載器との通信、ETC料金徴収の可否の判定、車両誘導装置による誘導、遮断機の開閉といった処理が順を追って行われ、全体としてその目的を達する車両誘導システムであって、その主要な処理(【図5】を例にすると、S04、S06、S07)を省略したものは、誘導手段として機能し得ないのであるから、中間生成物を得る第1工 程と、最終生成物を得る第2工程からなる物の製造方法の発明と当然に同視して、下流側の構成のみを分割出願することが許容されるということはできない。 したがって、被告の主張は採用することができない。 (【図5】)イ被告は、第5世代発明1は、不正車両を防止することを課題として、三叉路型 レーンの分岐した先の左右2か所に設けた遮断機を常時「閉」とし、車両の通過を検知していずれかの遮断機を開くことにより、当該レーンから逆進入する不正車両を防止するという独立した発明であると主張する。 - 22 -しかし、第4世代当初明細書等のうち不正車両の進入を防止する旨の言及がある【0054】~【0062】においては、このような課題を解決するための手段として、分岐した両レーンのそれぞれに新たに遮断機と車両検知装置を設けて閉鎖区間を形成することが記載されている上に、「図4で説明した実施例では、料金不払いなどを目的とした不正車両が、ETC車用レーンの出口や離脱レーンの出口から遡ってE TC車用レーンに逆進入することを防ぐことが出来ないという問題点を有している。」(【0054】)として、分岐した先の左右2か所の遮断機の一方は閉じたままで他方が開くという構成(【図4】を用いて説明する【0034】、【0035】に記載された構成)では、被告が主張する課題が解決されないことが明記されている。このような記載に照らすと、当業者において、第4世 方が開くという構成(【図4】を用いて説明する【0034】、【0035】に記載された構成)では、被告が主張する課題が解決されないことが明記されている。このような記載に照らすと、当業者において、第4世代当初明細書等に、被告が主張するよ うな、不正車両の逆進入を防止することを課題として、その解決手段を第5世代各発明の構成とする発明が記載されていると認識することはできないというべきである。 したがって、被告の主張は採用することができない。 (6) 小括以上のとおり、第5世代各発明は、第4世代当初明細書等の全ての記載を総合する ことにより導かれる技術的事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものであるから、第5世代分割出願は、特許法44条2項本文の適用を受けることができず、その出願日は、現実の出願日である平成26年12月2日となる。そうすると、第7世代の分割出願に当たる本件出願の出願日も、平成26年12月2日までしか遡及し得ないこととなる。 そして、平成26年12月2日より前に日本国内において頒布された甲9(最初の原出願の公開特許公報である特開2006-79580号公報)の【請求項6】、【0031】~【0053】、【図3】、【図4】、【図6】及び【図7】には、有料道路料金所に設置されているETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシステムにおいて、判定手段により判定した結果に従って、ETCによる料金徴収が可能な車 両を、ETCゲートを通って前記有料道路料金所に入る、又は前記有料道路料金所か - 23 -ら出るルートへ通じるレーンへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じるレーンへ誘導する誘導手段が記載されており、本件発明1及び 出るルートへ通じるレーンへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じるレーンへ誘導する誘導手段が記載されており、本件発明1及び2それぞれの構成を含む、有料道路料金所に設置された車両誘導システムの構成が記載されており、また、同【0063】~【0065】には、同じ構成の車両誘導システムをサービスエリア又はパー キングエリアに設置できることが記載されている。そうすると、本件各発明は、いずれも、甲9に記載された発明であって、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、無効理由1には理由があり、これを成り立たないとした本件審決には取り消すべき違法がある。 2 取消事由2(甲10を主引例とする進歩性判断の誤り)について(1) 本件発明1についてア本件発明1本件発明1は、前記第2の2の【請求項1】に記載のとおりである。 イ甲10発明 最初の原出願の出願日前に日本国内において頒布された甲10の記載によると、甲10には、本件審決が認定した別紙1(本件審決が認定した主引用発明と一致点、相違点)の1記載の甲10発明が記載されていると認められる。 ウ本件発明1と甲10発明の対比本件発明1と甲10発明とを対比すると、両者は、本件審決が認定した別紙1の2 (1)記載の一致点及び同2(2)~(4)記載の相違点1~3が認められる。 エ周知技術甲13~17及び19~21によると、最初の原出願の出願日当時、ETCシステムについて、次の事項が当業者に周知であったと認められる。 (ア) ETCシステムは、ノンストップで料金収受処理ができ、典型的なETCシス テムにおいては、料金所に設けられた複数のレーンは、 ムについて、次の事項が当業者に周知であったと認められる。 (ア) ETCシステムは、ノンストップで料金収受処理ができ、典型的なETCシス テムにおいては、料金所に設けられた複数のレーンは、一般車が進入できるレーンに - 24 -隣接して、一般車が進入できないETC車専用レーンが少なくとも一つ設けられている。 (イ) ETCシステムの入口側では、車両の進入が検知されると、路側システムは、アンテナを通じて車載器との通信を開始する。同通信では、車載器がICカード情報や車両情報を送信する。路側システムが、これらの情報を正当と判断したときは、入 口を特定する料金所番号等の入口情報を車載器に送信する。車載器は、受信した入口情報をICカードに記録する。これら一連の処理(入口処理)ができなかった場合は、通行券発行等の別の処理を行う。 (ウ) ETCシステムの出口側では、車両の進入が検知されると、路側システムは、アンテナを通じて車載器との通信を開始する。同通信では、車載器がICカード情報、 車両情報及び入口情報を送信する。路側システムは、受信したICカード情報の確認を行い、車両情報及び入口情報に基づいて通行料金を算出してその収受処理を行うとともに、通行料金等の情報を車載器に送信する。車載器は、受信した通行料金等の情報をICカードに記録する。これら一連の処理(出口処理)ができなかった場合は、収受員による課金処理等の別の処理を行う。 オ相違点1についての検討(ア) 甲10発明は、撮像ユニット1により撮像された車両Cが自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両か否かを判定し、その判定の結果から、ゲートG1と、表示器2を用いて、精算処理を要しない車両は無料道路P1へ、精算処理を要する車両は有料道路P2にそれぞれ誘導す 算機Aで精算処理をする必要のない車両か否かを判定し、その判定の結果から、ゲートG1と、表示器2を用いて、精算処理を要しない車両は無料道路P1へ、精算処理を要する車両は有料道路P2にそれぞれ誘導する点において、車両を誘導しているといえる。これ に対し、周知技術のETCシステムでは、料金所に複数のレーンが設けられているが、車両がいずれのレーンを走行するかは、原則として各レーンの表示等(甲20の図1参照)に従って車両の運転者が判断するのであって、路側システムによる判定の結果として各車両がいずれかのレーンに誘導されるという関係にはないから、この点において、甲10発明と技術的思想を異にするものである。 また、甲10発明においては、車両Cは精算処理を要する車両と要しない車両が判 - 25 -別され、精算処理を要しない車両には料金収受処理は行われない。これに対し、周知技術であるETCシステムでは、ノンストップでETC車専用レーンを通過する車両であっても、別途、前記エ(イ)及び(ウ)の入口処理及び出口処理が行われるのであるから、一連の具体的な処理の内容自体が、甲10発明と異なっている。 このように、甲10発明と周知技術であるETCシステムとは、技術的思想や一連 の具体的処理の内容が異なっているから、当業者において、甲10発明に周知技術であるETCシステムを適用して、相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到できたということはできない。 このことは、ETCシステムによって料金徴収が可能か否かを判別しているものではない甲12記載事項についても同様であって、当業者において、甲10発明に甲1 2記載事項を適用して、相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到できたということはできない。 (イ) 原告は、ETCシステムにおい についても同様であって、当業者において、甲10発明に甲1 2記載事項を適用して、相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到できたということはできない。 (イ) 原告は、ETCシステムにおいては、その入口では課金処理は行われず、無線通信による判定手段によって現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を判定し、ノンストップで通過させているのであるから、判定手段としては、甲10発 明の撮像ユニット1によるものと異なるところはなく、甲10発明における車両の判定を行うための手段として、撮像ユニット1に代えて、周知技術であるETCシステムが持つ無線通信による判定手段を採用することは、当業者にとって何らの困難を伴うものではないと主張する。 しかし、前記エ(イ)及び(ウ)のとおり、周知技術であるETCシステムでは、ICカ ードの情報、車両情報、入口情報及び通行料金等の情報の各送受信や通行料金の収受処理が行われるところ、この中から無線通信による判定手段のみを取り出す動機付けは見当たらない。また、甲10発明は、ETCゲート等の構成を有しないところ、甲10発明の撮像ユニット1をETCシステムの無線通信による判定手段に置き換えるのみでは、相違点1に係る例えば本件発明1の「ETCゲートを通って前記有料道 路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに入る、または前記有料道路料金所、 - 26 -サービスエリア又はパーキングエリアから出るルートへ通じる第1のレーン」など他の構成までも当然に備えることにはならず、これらの構成が、判定手段を置き換えることに伴う設計的事項に属するということもできない。 したがって、原告の主張は採用することができない。 カ小括 以上によると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件 段を置き換えることに伴う設計的事項に属するということもできない。 したがって、原告の主張は採用することができない。 カ小括 以上によると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10発明及び周知技術又は甲12記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (2) 本件発明2について本件発明2は、本件発明1の全ての構成要件を含んだ上で、更に発明特定事項を追 加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲10発明及び周知技術又は甲12記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (3) 取消事由2についてのまとめしたがって、原告の主張する取消事由2には理由がない。 3 結論以上のとおり、原告の主張する取消事由2には理由がないが、取消事由1には理由があるから、本件審決を取り消すこととして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官本多知成 - 27 - 裁判官伊藤清隆 裁判官 天野研司 - 28 -(別紙1)本件審決が認定した主引用発明と一致点、相違点 1 本件審決が認定した甲10発明「有料道路の料金所に設置されている、契約により無料通路P1を通過できる車両 Cを誘導する車両入出場管理装置であって、撮像ユニット1の文字読み取りが終了するまで閉じられるように た甲10発明「有料道路の料金所に設置されている、契約により無料通路P1を通過できる車両 Cを誘導する車両入出場管理装置であって、撮像ユニット1の文字読み取りが終了するまで閉じられるように構成されている予備ゲートG3と、車両Cを撮像し、その撮像データから車両Cを特定するナンバープレートの文字を読取る撮像ユニット1と、 読取られた文字を予め記憶されている文字と一致するか否か判定することにより、撮像された車両Cが自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両か否かを判定する判定手段と、その判定の結果から、精算不要と判定された車両Cを無料通路P1へ誘導し、要精算と判定された車両Cを有料通路P2へ誘導する表示器2と、を備え、 さらに、無料通路P1と有料通路P2との分岐点の無料通路P1の入口側に設けられたゲートG1であって、自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両と判定されたときに開かれるゲートG1と、有料通路P2に設けられた自動精算機Aに所定の金銭を投入することにより開かれる停止ゲートG2を備える、車両出入場管理装置。」 2 本件審決が認定した本件発明1と甲10発明の一致点、相違点(1) 一致点「有料道路料金所に設置されている、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両の専用出入口から出入りをする車両を誘導する装置又はシステムであって、第1の遮断機と、 進入する車両を特定する手段と、 - 29 -前記進入する車両を特定する手段によって取得したデータを認識して、現金等を用いた手作業による精算処理が不要か判定する判定手段と、判定結果に応じて、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を、現金等を用いた手作業による精算処理を行うことなく前記有料道路料金所に入る、また 作業による精算処理が不要か判定する判定手段と、判定結果に応じて、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を、現金等を用いた手作業による精算処理を行うことなく前記有料道路料金所に入る、または前記有料道路料金所から出るルートへ通じる第1のレーンへ誘導し、現金等を用 いた手作業による精算処理が必要な車両を、現金等を用いた手作業による精算処理を行う第2のレーンへ誘導する手段と、を備え、第2の遮断機と、前記第2のレーンに設けられた第3の遮断機と、を備える車両誘導装置又はシステム。」(2) 相違点1 「有料道路料金所に設置されている、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両の専用出入口から出入りをする車両を誘導する装置又はシステム」、「進入する車両を特定する手段」、「前記進入する車両を特定する手段によって取得したデータを認識して、現金等を用いた手作業による精算処理が不要か判定する判定手段」、「判定の結果に応じて」、「現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両」、 「現金等を用いた手作業による精算処理が必要な車両」、「現金等を用いた手作業による精算処理を行うことなく前記有料道路料金所に入る、または前記有料道路料金所から出るルートへ通じる第1のレーン」及び「現金等を用いた手作業による精算処理を行う第2のレーン」について、本件発明1は、それらがそれぞれ「有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されている、ETC車専用出入口から出 入りをする車両を誘導するシステム」、「車両に搭載されたETC車載器とデータを通信する通信手段」、「前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段」、「前記判定手段により判定した結果に従って」、「ETCによる料金徴収が とデータを通信する通信手段」、「前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段」、「前記判定手段により判定した結果に従って」、「ETCによる料金徴収が可能な車両」、「ETCによる料金徴収が不可能な車両」、「ETCゲートを通って前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキ ングエリアに入る、または前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリ - 30 -アから出るルートへ通じる第1のレーン」及び「一般車用出入口に通じる第2のレーン」であるのに対して、甲10発明は、それらがそれぞれ「有料道路の料金所に設置されている、契約により無料通路P1を通過できる車両Cを誘導する車両入出場管理装置」、「車両Cを撮像し、その撮像データから車両Cを特定するナンバープレートの文字を読取る撮像ユニット1」、「読取られた文字を予め記憶されている文字と一 致するか否か判定することにより、撮像された車両Cが自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両か否かを判定する判定手段」、「その判定の結果から」、「精算不要と判定された車両C」、「要精算と判定された車両C」、「無料通路P1」及び「有料通路P2」である点。 (3) 相違点2 本件発明1は、「前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに出入りをする車両を検知する第1の検知手段と、」「前記第2の遮断機を通過した車両を検知する第2の検知手段と、前記第3の遮断機を通過した車両を検知する第3の検知手段と、を備え」、第1の遮断機が「前記第1の検知手段に対応して設置された」ものであり、「前記第1の検知手段により車両の進入が検知された場合、前記車両が 通過した後に、前記第1の遮断機を下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知 検知手段に対応して設置された」ものであり、「前記第1の検知手段により車両の進入が検知された場合、前記車両が 通過した後に、前記第1の遮断機を下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第2の遮断機を下ろす」ものであるのに対して、甲10発明は、「予備ゲートG3」が「撮像ユニット1の文字読み取りが終了するまで閉じられるように構成されている」ものであり、「ゲートG1」が「自動精算機Aで精算処理をする必要のない車両と判定されたときに開かれる」ものであ り、「停止ゲートG2」が「自動精算機Aに所定の金銭を投入することにより開かれる」ものではあるものの、第1の検知手段、第2の検知手段及び第3の検知手段の有無や、ゲートG1及び予備ゲートG3を下ろすタイミングについて明確でない点。 (4) 相違点3「判定結果に応じて、現金等を用いた手作業による精算処理が不要な車両を、現金 等を用いた手作業による精算処理を行うことなく前記有料道路料金所に入る、または - 31 -前記有料道路料金所から出るルートへ通じる第1のレーンへ誘導し、現金等を用いた手作業による精算処理が必要な車両を、現金等を用いた手作業による精算処理を行う第2のレーンへ誘導する手段」について、本件発明1は、同「手段」が「誘導手段」であり、「前記誘導手段は、前記第1のレーンに設けられた第2の遮断機と、前記第2のレーンに設けられた第3の遮断機と、を含」むのものであるに対して、甲10発 明は、同「手段」が「表示器2」であり「誘導」する「手段」であるものの、「ゲートG1」と「停止ゲートG2」は「誘導」する「手段」であるか否か甲10号証に明示的な記載はなく、さらに「ゲートG1」は「無料通路P1と有料通路P2との分岐点の無料通 する「手段」であるものの、「ゲートG1」と「停止ゲートG2」は「誘導」する「手段」であるか否か甲10号証に明示的な記載はなく、さらに「ゲートG1」は「無料通路P1と有料通路P2との分岐点の無料通路P1の入口側に設けられた」ものである点。 以上 - 32 -(別紙2)第5世代分割出願の特許請求の範囲 【請求項1】一般道路から有料道路のパーキングエリア又はサービスエリアに向かう入口側の レーンに設けられたETC専用の入口料金所を有するスマートインターチェンジにおいて、車両が前記入口料金所から離脱しえる手段として前記入口側のレーンの途中から分岐して前記一般道路に戻るレーンを設けることで、前記入口側のレーンを三叉路型レーンとし、前記三叉路型レーンにおける分岐前の一カ所と分岐した先の左右二カ所とのそれぞれに、遮断機を設け、前記分岐前の前記入口側のレーンに設けられた 車両検知装置により車両が検知されることを契機として、それまで閉じていた前記分岐した先の左右二カ所の前記遮断機の一方は閉じたままで他方が開くことを特徴とする、スマートインターチェンジ。 【請求項2】有料道路のパーキングエリア又はサービスエリアから一般道路に向かう出口側の レーンに設けられたETC専用の出口料金所を有するスマートインターチェンジにおいて、車両が前記出口料金所から離脱しうる手段として前記出口側のレーンの途中から分岐して前記パーキングエリア又はサービスエリアに戻るレーンを設けることで、前記出口側のレーンを三叉路型レーンとし、前記三叉路型レーンにおける分岐前の一カ所と分岐した先の左右二カ所とのそれぞれに、遮断機を設け、前記分岐前の前 記出口側のレーンに設けられた車両検知装置により車両が検知されることを契機と し、前記三叉路型レーンにおける分岐前の一カ所と分岐した先の左右二カ所とのそれぞれに、遮断機を設け、前記分岐前の前 記出口側のレーンに設けられた車両検知装置により車両が検知されることを契機として、それまで閉じていた前記分岐した先の左右二カ所の前記遮断機の一方は閉じたままで他方が開くことを特徴とする、スマートインターチェンジ。 【請求項3】一般道路から有料道路のパーキングエリア又はサービスエリアに向かう入口側の レーンに設けられたETC専用の入口料金所と、有料道路のパーキングエリア又はサ - 33 -ービスエリアから一般道路に向かう出口側のレーンに設けられたETC専用の出口料金所と、を有するスマートインターチェンジにおいて、車両が前記入口料金所から離脱しえる手段として前記入口側のレーンの途中から分岐して前記一般道路に戻るレーンと、車両が前記出口料金所から離脱しうる手段として前記出口側のレーンの途中から分岐して前記パーキングエリア又はサービスエリアに戻るレーンと、を設ける ことで、前記入口側のレーンと前記出口側のレーンとのそれぞれを三叉路型レーンとし、前記入口側の三叉路型レーン及び前記出口側の三叉路型レーンの両方における分岐前の一カ所と分岐した先の左右二カ所とのそれぞれに、遮断機を設け、前記入口側の三叉路型レーンにおいては、前記分岐前の前記入口側のレーンに設けられた車両検知装置により車両が検知されることを契機として、それまで閉じていた前記分岐した 先の左右二カ所の前記遮断機の一方は閉じたままで他方が開き、前記出口側の三叉路型レーンにおいては、前記分岐前の前記出口側のレーンに設けられた車両検知装置により車両が検知されることを契機として、それまで閉じていた前記分岐した先の左右二カ所の前記遮断機の一方は閉じたま の三叉路型レーンにおいては、前記分岐前の前記出口側のレーンに設けられた車両検知装置により車両が検知されることを契機として、それまで閉じていた前記分岐した先の左右二カ所の前記遮断機の一方は閉じたままで他方が開くことを特徴とする、スマートインターチェンジ。 以上 (別紙3)-34--35--36--37--38--39--40--41--42--43--44--45--46--47--48--49--50--51--52--53--54--55--56--57--58--59--60-
▼ クリックして全文を表示