本件は、被告人の有罪判決に対する上告が争われた事案である。上告人は、原審において被告人の犯行に悪意がないと主張し、情状酌量を求めたが、原判決はその主張を認めず有罪とした。主要な争点は、被告人に犯意がなかったかどうか、及び上告理由が適法かどうかである。最高裁は、原審の判断を支持し、被告人の犯意を認めない主張は誤解に基づくものであるとし、上告理由が刑訴法に該当しないと判断した。結論として、最高裁は上告を棄却し、訴訟費用を被告人の負担とする旨を判示した。
主文 本件上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 弁護人田村福司の上告趣意第一点について。 原審の弁護人は控訴趣意書において、「被告人に深い悪意があつてやつた行為ではないと観察せられる」などと、被告人の犯行についての事情を述べ、「情状酌量の恩典に浴し減軽又は執行猶予の裁判を仰ぎ」たいと言つているのであつて、所論のように、被告人に犯意がなかつたと主張しているのではない。従つて原判決が、右の控訴趣意に対して「所論の事情を認めることができる」と判示したからとて、それは、所論のように、被告人に犯意のなかつたことを認めたことにもならないし、被告人を有罪としたことと齟齬矛盾もしないし、またその結果「罪となるべき事実を明示せずして有罪判決の言渡をした」ことにもならない。論旨は控訴趣意及び原判決を誤解し、誤解を前提として原判決の憲法違反を主張するものであるから、採用することができない。 同第二点について。 論旨は刑訴四〇五条に定める事由に該当しないから、適法な上告理由とならない。 なお、記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。 よつて、刑訴四〇八条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見を以て主文のとおり判決する。 昭和二六年七月一七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登- 1 -裁判官島保裁判官河村又介- 2 - 保裁判官河村又介
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