主文 原告らの本位的請求および予備的請求はいずれもこれを棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。事実 一、請求の趣旨(本位的請求)原被告間において、原告らはそれぞれ左記目録附与期日欄記載の日に附与された年次有給休暇のうち、同目録残余日数欄記載の日数の年次有給休暇請求権を有することを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。目録<18286-001>(予備的請求)被告は原告らに対し、左記目録金額欄記載の金員ならびにこれに対する本訴状送達の翌日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とす。目録<18286-002>二、請求の趣旨に対する被告の答弁主文同旨。三、請求の原因(一) 原告らは、左記目録雇用年月日欄記載の年月日に被告に雇用され、同目録記載の職場および職種に勤務する者である。目録<18286-003>被告は、日本国有鉄道法によつて設置された鉄道事業等を営む公法人である。(二) 原告らに適用される年次有給休暇については被告の年次有給休暇規程および原告らの所属する国鉄動力車労働組合と被告との間にある「年次有給休暇の取扱に関する協定」に定められている。それによれば年休の日数につき、勤続三か月をこえ一年以下の者は一年内に一〇日、勤続一年をこえる者については一年内に二〇日とし、附与期日から二年間有効と定められ(協定第一、第三条)、また労働基準法第三九条に定める年休を法定内年休、その余の年休を法定外年休と呼び、これら年休を消化する順序は、前年の法定内、法定外、当年の法定内、法定外の順序とし(同第二条、第一一条)さらに、年休をいわゆる計画年休と自由年休に分け、前者は全体の五分の三で勤務予定表を組む際に計画的に消化するもの、後者は全体の五分の二で職員の請求に の法定内、法定外の順序とし(同第二条、第一一条)さらに、年休をいわゆる計画年休と自由年休に分け、前者は全体の五分の三で勤務予定表を組む際に計画的に消化するもの、後者は全体の五分の二で職員の請求によつて消化するものとされている(同第四条)。 条、第一一条)さらに、年休をいわゆる計画年休と自由年休に分け、前者は全体の五分の三で勤務予定表を組む際に計画的に消化するもの、後者は全体の五分の二で職員の請求に の法定内、法定外の順序とし(同第二条、第一一条)さらに、年休をいわゆる計画年休と自由年休に分け、前者は全体の五分の三で勤務予定表を組む際に計画的に消化するもの、後者は全体の五分の二で職員の請求によつて消化するものとされている(同第四条)。右規定により、原告らは本位的請求の趣旨に掲げた各附与期日から二年間有効の各二〇日間の年休権を有し、そのすべては法定内年休である。(三) 原告ら動力車乗務員は、交替勤務制であり、代替要員がなければ事実上休暇がとれない勤務体制となつているが、近年における列車の過密化(増発)にもかかわらず、これに見合う要員の補充が行なわれなかつた結果、代替要員(予備勤務者)の不足をきたし、原告ら動力車乗務員は労働基準法ないし労働契約上の権利である年休を完全にとることができないのが恒常的となつた。この要員不足による年休未消化は年休権が時効によつて消滅する現象となつてあらわれ、例えば沼津機関区の場合、昭和四三年二月現在における乗務員等の自由年休の時効日数は五〇六日(現在員五二〇名)に及んでいる。このような不当な情況に対し、動力車労働組合は再三にわたつてその改善を要求したが、被告はこれに応じない。(四) 原告らは、次のとおり昭和四一年に附与された年休につきその請求をしたところ、被告は要員不足等を理由にこれを拒否した。なお、この年休は請求によつて消化するいわゆる自由年休である。すなわち、原告Aは、昭和四一年八月一日附与された年休二〇日の残余日数五日につき、昭和四三年七月一九日ごろ、同月二六日および二八日ないし三一日までを年休日とする年休の請求をしたところ、被告は同月二六日につき年休を附与したのみで、同月二八日ないし三一日までの四日間のうちのいずれか三日分の年休はこれを拒否した。原告Bは、昭和四一年八月一日附与された年休 る年休の請求をしたところ、被告は同月二六日につき年休を附与したのみで、同月二八日ないし三一日までの四日間のうちのいずれか三日分の年休はこれを拒否した。原告Bは、昭和四一年八月一日附与された年休二〇日の残余日数六日につき、昭和四三年七月一九日ごろ、同月二六日から三一日までの六日間を年休日とする年休の請求をしたところ、被告は同月二七日および二八日につき業務の都合により年休を拒否した。 日附与された年休 る年休の請求をしたところ、被告は同月二六日につき年休を附与したのみで、同月二八日ないし三一日までの四日間のうちのいずれか三日分の年休はこれを拒否した。原告Bは、昭和四一年八月一日附与された年休二〇日の残余日数六日につき、昭和四三年七月一九日ごろ、同月二六日から三一日までの六日間を年休日とする年休の請求をしたところ、被告は同月二七日および二八日につき業務の都合により年休を拒否した。原告Cは、昭和四一年一〇月一日附与された年休二〇日の残余日数二日につき、昭和四三年八月三一日ごろ九月六日を年休日とする年休の請求を、また同月一八日ごろ翌一九日を年休日とする年休の請求をしたが、いずれもこれを拒否された。原告Dは、昭和四一年一二月一日附与された年休二〇日の残余日数五日につき、昭和四三年九月八日ごろ、同月一五日を年休日とする年休の請求を、また同月一三日ごろ同月二〇日を、一一月一八日ごろ同月二五日から二七日までの三日間をそれぞれ年休日とする年休の請求をしたがいずれもこれを拒否された。(五) しかし原告らの右に拒否された未消化年休は、原告らが上記のとおりその年休を請求して被告に催告し、さらにその後六ケ月内に本訴を提起したことによつて、各年休附与の日から進行する消滅時効(労働基準法第一一五条)を中断された。しかも原告らが念のため右未消化年休について時効が中断されている旨を内容証明郵便で通知したのに対して、被告は原告らの右の分の年休請求権があることを承認した。ところが被告は最近になつて、右年休請求権は時効により消滅した旨の扱いをすると通告してきた。(六) (予備的請求について)以上により明らかなように原告らは被告に対しそれぞれ年休権を有するが、被告はその権利行使を妨げている。これら年休権の行使は、「事業の正常な運営」に支障がある場合 。(六) (予備的請求について)以上により明らかなように原告らは被告に対しそれぞれ年休権を有するが、被告はその権利行使を妨げている。これら年休権の行使は、「事業の正常な運営」に支障がある場合であつても、これを全く否定することは許されず、被告は、原告らの年休権の行使を故意又は過失により侵害したものというべきである。そして、原告らは被告の右不法行為により、給与を受けながら休暇をとる権利の実現が不可能となるのであるから、当該給与相当分が少なくとも損害となることは明らかである。 それぞれ年休権を有するが、被告はその権利行使を妨げている。これら年休権の行使は、「事業の正常な運営」に支障がある場合であつても、これを全く否定することは許されず、被告は、原告らの年休権の行使を故意又は過失により侵害したものというべきである。そして、原告らは被告の右不法行為により、給与を受けながら休暇をとる権利の実現が不可能となるのであるから、当該給与相当分が少なくとも損害となることは明らかである。原告らの一日分の給与は、原告A二、六〇八円、同B二、一六〇円、同C二、八七二円、同D二、四四八円であるから、これに年休残余日数を乗じて算出した請求の趣旨記載の損害金およびこれに対する本訴状送達の翌日から右支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。四、請求の原因に対する被告の答弁(一) 請求原因第(一)項記載の事実を認める。(二) 同第(二)項記載の事実を認める。なお被告日本国有鉄道における年次有給休暇については、原告主張のほか、次のような規定がある。すなわち、年休は勤続三か月に達したときその翌月一日を附与期日として、一〇日の日数が与えられ、勤続一年に達したときその翌月一日を附与期日として二〇日の日数が与えられ、爾後一年に達するごとにその翌月一日を附与期日として二〇日の日数が与えられる(昭和三二年七月一日職職第五五三号年次有給休暇規程第一条、年次有給休暇の取扱に関する協定第一条)。右年休の有効期間は附与期日から二年である(同規程第二条、同協定第三条)。計画年休による運用は、附与の時から一年間とし、計画附与の設定および変更については各人の希望を尊重し、原則として一か月一日平均になるよう設定するものとする(同規程第六条、同協定第六条)。三条)。計画年休による運用は、附与の時から一年間とし、計画附与の設定および変更については各人の希望を尊重し、原則として一か月一日平均になるよう設定するものとする(同規程第六条、同協定第六条)。附与された法定内年休、法定外年休、計画年休、自由年休の使用順序は次のとおりである(同規程第一〇条、同協定第一一条)。(1) 計画年休第一位当年の法定内年休第二位当年の法定外年休(2) 自由年休第一位前年の法定内年休第二位前年の法定外年休第三位当年の法定内年休第四位当年の法定外年休第五位前年の計画年休で業務の都合で与えられず予定の計画期間をすぎた年休第六位当年の計画年休で業務上の都合で使用されなかつた年休なお、計画年休で、これを割り当てた予定の日に業務上の都合で使用させられず、かつその後の有効期間内に消化できなかつたものは、不承認年休として退職の際に考慮するものとされる(昭和三五年七月一日職職第五五五号不承認年次有給休暇の処理方について)。 の法定内年休第四位当年の法定外年休第五位前年の計画年休で業務の都合で与えられず予定の計画期間をすぎた年休第六位当年の計画年休で業務上の都合で使用されなかつた年休なお、計画年休で、これを割り当てた予定の日に業務上の都合で使用させられず、かつその後の有効期間内に消化できなかつたものは、不承認年休として退職の際に考慮するものとされる(昭和三五年七月一日職職第五五五号不承認年次有給休暇の処理方について)。(三) 請求原因第(三)項記載の事実を否認する。(四) 請求原因第(四)項記載の事実のうち、原告Aが昭和四三年七月一九日ごろ同月二六日を年休日とする年休の請求をしたことは認めるが、同月二八日ないし三一日までを年休日とする年休の請求をしたことは否認する。なお同原告に対し同月二六日年休を附与しているが、これは同月八日を年休日とする年休の請求を業務上の都合により拒否したため、そのかわりとして附与したものであつて、同月二六日を年休日とする年休の請求に対して附与したものではない。また残余日数二日については全く請求がなく、有効期限の昭和四三年七月三一日に至り失効したものである。原告Bについては、同原告が同年七月一九日ごろ同月二六日ないし三一日までを年休日とする年休の 。また残余日数二日については全く請求がなく、有効期限の昭和四三年七月三一日に至り失効したものである。原告Bについては、同原告が同年七月一九日ごろ同月二六日ないし三一日までを年休日とする年休の請求をしたことは、二六日の分を除き、これを認める。右二六日は公休の請求である。残余日数二日については全く請求がなく、有効期限の経過により失効したものである。原告Cについては、その主張のとおり年休の請求があつたことは認める。九月六日を年休日とする年休の請求は代務要員なきため拒否され、同月一九日を年休日とする請求は国鉄動力車労働組合のいわゆる九・二〇ストの一環として行なわれたものであるので業務上の都合により拒否されたものであり、右二日についてはその後請求がないまま有効期限の経過により失効したものである。原告Dについては、その主張のとおり年休の請求があつたことは認める。九月一五日、一一月二五日ないし二七日を年休日とする年休の請求については代務要員なきために拒否され、九月二〇日を年休日とする年休の請求は右九・二〇ストの一環として行なわれたものであるので業務上の都合により拒否されたものであり、右五日についてはその後請求がないまま有効期限の経過により失効したものである。 限の経過により失効したものである。原告Dについては、その主張のとおり年休の請求があつたことは認める。九月一五日、一一月二五日ないし二七日を年休日とする年休の請求については代務要員なきために拒否され、九月二〇日を年休日とする年休の請求は右九・二〇ストの一環として行なわれたものであるので業務上の都合により拒否されたものであり、右五日についてはその後請求がないまま有効期限の経過により失効したものである。(五) 請求原因第(五)項記載の事実のうち、原告らが内容証明郵便をもつて年休請求権の時効が中断される旨の通知をしたことを認め、その余を否認する。(六) 請求原因第(六)項記載の主張はすべて争う。五、 被告の主張(一) 原告らの主張する年次有給休暇請求権は、いずれもその有効期限を経過し失効したものである。そして年休についてはそれが有効期限を経過した以上失効するものと解すべく、労働基準法第一一五条の消滅時効の規定の適用はないというべきである。すなわち、被告においてすでに主張したとお たものである。そして年休についてはそれが有効期限を経過した以上失効するものと解すべく、労働基準法第一一五条の消滅時効の規定の適用はないというべきである。すなわち、被告においてすでに主張したとおり、被告日本国有鉄道における年休については、その有効期間は附与期日から二年と定められている(前記年次有給休暇規程第二条、年次有給休暇の取扱に関する協定第三条)のであるが、原告らの主張する年休請求権はいずれも右二年の有効期間を経過したものである。そして、年次有給休暇の制度は、ほんらい賃金を得しめつつ一定期間労働者を就労から解放することにより、労働者に休息を与え、人間たるに値する生活をいとなましめる時間的余裕を保障するとともに、労働力の維持、培養をはかろうとするものであるから、ある年間においてとらなかつた休暇を翌年に繰り越すべき筋合のものではなく、したがつて年次有給休暇請求権は年度の経過によつて消滅し、消滅時効を問題とする余地はないと解すべきである。(二) かりに原告ら主張のように年次有給休暇請求権に消滅時効の規定の適用があるとしても、本件においては時効中断事由は存在せず、時効期間の経過により時効消滅している。すなわち原告らは請求原因第(四)項記載の年次有給休暇の請求をもつて時効中断事由と主張するようであるが、すでに被告において主張したとおり、原告らの主張する年休不消化日数は、いずれも(1) 全然請求のないまま有効期限を経過したもの(2) 請求があり、かつ、その日に年休が附与されたが、これはその日を年休日とする年休請求に対して附与されたものではなく、他の日を年休日として請求した分に対して休暇を附与したもので、その請求は、たとえ他の日を年休日とする年休の請求に替えて附与したものであつても、その請求のあつた日に休暇を附与されている事実によつて らの主張する年休不消化日数は、いずれも(1) 全然請求のないまま有効期限を経過したもの(2) 請求があり、かつ、その日に年休が附与されたが、これはその日を年休日とする年休請求に対して附与されたものではなく、他の日を年休日として請求した分に対して休暇を附与したもので、その請求は、たとえ他の日を年休日とする年休の請求に替えて附与したものであつても、その請求のあつた日に休暇を附与されている事実によつて 、他の日を年休日として請求した分に対して休暇を附与したもので、その請求は、たとえ他の日を年休日とする年休の請求に替えて附与したものであつても、その請求のあつた日に休暇を附与されている事実によつて失効し、残余の休暇は再度の請求がないまま有効期限を経過したもの(3) 請求はあつたが、その請求は被告の代務要員なきためという時季変更権の行使によつて消滅し、又は争議行為としての年休の請求であるため請求自体無効であり、いずれもその後の請求がないまま有効期限を経過したものの三つに分けて考えることができるが、(1)については、年休請求がないまま有効期限を経過して失効したものであるから、時効中断を考える余地はなく、(2)については、原告らの申込みのあつた年休日として請求した日に休暇を附与したものであるから、その請求の効力は消滅し、残余の年休については年休の請求のないまま有効期限を経過して失効したものでこれまた時効中断の余地はない。(3)については、労働者の年休の請求は使用者の承認によつてはじめて就労義務を免除されるべき日すなわち年休日が特定するのであり、使用者の時季変更権の行使のあつた場合は、労働者の年休請求の効力はなくなるものであるから時効中断事由となるものではない。又、争議行為としての年休請求も請求自体無効であるから時効中断事由とならないこと明らかである。六、被告の主張に対する原告らの答弁(一) 時効に関する被告の主張はすべて争う。年次有給休暇請求権についても、労働基準法第一一五条の消滅時効制度の適用があると解すべきである。反対説はその理由として「年次有給休暇は、年間一定日数の有給休暇を保障することが労働力の再生産上必要だという理由で設けられた制度であつて、ある年間にとらなかつた休暇を翌年に繰り越すべき筋合のものではない。」ことをあ として「年次有給休暇は、年間一定日数の有給休暇を保障することが労働力の再生産上必要だという理由で設けられた制度であつて、ある年間にとらなかつた休暇を翌年に繰り越すべき筋合のものではない。 反対説はその理由として「年次有給休暇は、年間一定日数の有給休暇を保障することが労働力の再生産上必要だという理由で設けられた制度であつて、ある年間にとらなかつた休暇を翌年に繰り越すべき筋合のものではない。」ことをあ として「年次有給休暇は、年間一定日数の有給休暇を保障することが労働力の再生産上必要だという理由で設けられた制度であつて、ある年間にとらなかつた休暇を翌年に繰り越すべき筋合のものではない。」ことをあげるが、これはあくまで年間消化が望ましいというスジ論、建前論であつて、使用者がこれを無視して所定の休暇を与えようとしない場合にこの建前を現実に貫徹・保障していく手だてを全く欠いている。このように実際には権利の保障を脅かす結果を生じかねない議論はとるに由ないものというべきであるのみならず、この説によれば年次有給休暇請求権の繰越制度さえも認めないことになるが、これはひろく繰越しを認めてきた一般の実情と甚しく遊離する。さらに、国鉄の労使関係においても、まず原則的に二年の有効期間(前記年休協定第三条、前記年休規程第二条)を定め、この期間を過ぎた年休請求権についても、いわゆる不承認年休の範囲内において、三年目以降に請求すること(同協定第一一条第六号、同規程第一〇条)および自由年休へのふり替え(同協定附属覚書第四条、同規程第八条)などが合意されており、前記反対説の誤りは事実によつて証明されているということができる。(二) 時効中断に関する被告の主張はすべて争う。年次有給休暇請求権に時効ならびに時効中断の制度の適用があるとすれば、問題は、時効中断事由としての有効な「催告」(請求)があつたかどうかであるが、この有効な催告と認められるためには、履行を請求する意思の通知と認められるものがあれば足ると解されるから、被告の主張はいずれも理由がない。すなわち、被告の主張中(1)についてはすでに主張したとおり各原告においてすべて適法な年休の請求をしており、また(2)については、いわゆる年休の振替は労働者の同意がある場合にのみ有効に成り立つものであるのに、本件の場 張中(1)についてはすでに主張したとおり各原告においてすべて適法な年休の請求をしており、また(2)については、いわゆる年休の振替は労働者の同意がある場合にのみ有効に成り立つものであるのに、本件の場合その同意を欠くから被告の主張は理由がないのみならずかりに被告の主張どおりとしても年休請求がなされた事実自体は動かしがたく、時効中断事由としての催告があること明らかである。 り立つものであるのに、本件の場 張中(1)についてはすでに主張したとおり各原告においてすべて適法な年休の請求をしており、また(2)については、いわゆる年休の振替は労働者の同意がある場合にのみ有効に成り立つものであるのに、本件の場合その同意を欠くから被告の主張は理由がないのみならずかりに被告の主張どおりとしても年休請求がなされた事実自体は動かしがたく、時効中断事由としての催告があること明らかである。さらに(3)についても、労働者の年休請求そのものが有効にされている以上、使用者の時季変更権の行使がされても時効中断の効力には影響がなく、また争議行為としての年休の請求であると被告の主張する年休請求は、休暇をとること自体により業務の正常な運営を阻害するためになしたものではなく、他の斗争拠点において実施される動力車労働組合の争議への応援に加わるため職場を離れる手段として請求したものであるから、このような場合年休請求それ自体を無効とする法的根拠はない。七、証拠(省略) 理由 一、請求原因第(一)、(二)項記載の事実は当事者間に争いがない。そして原告らが昭和四一年中に附与された各二〇日の年休のうち、原告Aについては三日、原告BとCについては各二日、原告Dについては五日がいずれもその有効期間(二年)の終りに未消化の自由年休として残存していたこと、も当事者間に争いがない。二、本件における主要な争点は、原告らの右未消化年休が原告らの時効中断によつてなお現存しているか、あるいは有効期間の経過とともになくなつてしまつたか、ということであり、それを一般化すれば年次有給休暇請求権に消滅時効の制度が適用されるか、殊に労働基準法第一一五条の消滅時効の規定の適用があるか否かであるから、この点について判断する。(1) 年次有給休暇請求権に消滅時効の規定の適用があるというためには、 消滅時効の制度が適用されるか、殊に労働基準法第一一五条の消滅時効の規定の適用があるか否かであるから、この点について判断する。(1) 年次有給休暇請求権に消滅時効の規定の適用があるというためには、その前提として年次有給休暇請求権のいわゆる繰越しが認められなければならないが、年次有給休暇制度の本来の趣旨からいつて、年次有給休暇請求権の繰越しは、これを認めることができないといわざるをえない。すなわち、年次有給休暇の制度は、当該年度において法定の日数を有給で現実に休むことを保障するものであつて、その制度本来の趣旨からは、毎年法定の日数を現実に休ませることが要請され、たんに抽象的な年次有給休暇請求権を与え、その繰越しないし蓄積を認めるだけでは足りないものというべきである。 、年次有給休暇制度の本来の趣旨からいつて、年次有給休暇請求権の繰越しは、これを認めることができないといわざるをえない。すなわち、年次有給休暇の制度は、当該年度において法定の日数を有給で現実に休むことを保障するものであつて、その制度本来の趣旨からは、毎年法定の日数を現実に休ませることが要請され、たんに抽象的な年次有給休暇請求権を与え、その繰越しないし蓄積を認めるだけでは足りないものというべきである。換言すれば、労働基準法が最低限度の労働条件として罰則をもつて強行し保障しようとしているところのものは、たんなる抽象的な年次有給休暇請求権の附与またはその蓄積を認めることではなく、現実に当該年度の一定日数を有給で休ませることであるというべく、労働基準法第三九条にいう「有給休暇を与え……」たことになるためには、現実に有給で休ませることが必要であり、抽象的な年次有給休暇請求権の附与ないし繰越しでは足りないものといわなければならない。これに反し、年次有給休暇の繰越しを認める立場をとるとすれば、それは必然的に、右同条にいう「有給休暇を与え……」ることをたんに抽象的な年次有給休暇請求権を附与することをもつて足ると解する立場に立つことになる。けだし、繰越しというものを認める以上、そこに抽象的な年次有給休暇請求権というものを想定せざるをえず、しかもその繰越しを認めるわけであるから、当該年度においては現実に有給で休ませることをしなくても労働基準法違反にならないと解すべきことになるからである。有給休暇請求権というものを想定せざるをえず、しかもその繰越しを認めるわけであるから、当該年度においては現実に有給で休ませることをしなくても労働基準法違反にならないと解すべきことになるからである。そしてこの立場をおしすすめると、抽象的な年次有給休暇請求権を附与し、その繰越しないし蓄積を認めさえすれば、現実に有給で休ませることをいつさいしなくても同法第三九条の違反にはならず、したがつて同法第一一九条の罰則の適用もないということにならざるをえないが、その不当なことは何人の目にも明らかであろう。この場合、あるいは労働者側からの繰越しのみは認めてよいではないかという議論があるかもしれない。しかし労働基準法は労働条件の最低限度の基準を設定するものであつて、労働者側のイニシアテイヴによるものであつても右最低基準を下廻る結果となることを許容するものではないというべきであるから、労働者の側からする繰越しもこれを認めることはできないといわなければならない。 その不当なことは何人の目にも明らかであろう。この場合、あるいは労働者側からの繰越しのみは認めてよいではないかという議論があるかもしれない。しかし労働基準法は労働条件の最低限度の基準を設定するものであつて、労働者側のイニシアテイヴによるものであつても右最低基準を下廻る結果となることを許容するものではないというべきであるから、労働者の側からする繰越しもこれを認めることはできないといわなければならない。けだし、労働者の側からする繰越しであつてもこれを認めることは、逆にいえば当該年度においては法定の日数の有給休暇をとらないことを容認することになるわけで、当該年度に関するかぎり労働基準法の定める最低基準を下廻ることを容認する結果となるからである。これを要するに、労働基準法上の年次有給休暇の制度は具体的な当該年度において法定の日数を有給で現実に休むことを保障する制度であつて、それ以上に出るものでもなく、またそれ以下にとどまるものでもないというべきである。したがつて、年次有給休暇請求権の繰越しは、労働基準法上の年次有給休暇制度に関するかぎり、これを認めることができないといわざるをえない。そうすると労働基準法上の年次有給休暇については時効ということを考える余地はなく、同法第一一五条の規定が適用されること 次有給休暇制度に関するかぎり、これを認めることができないといわざるをえない。そうすると労働基準法上の年次有給休暇については時効ということを考える余地はなく、同法第一一五条の規定が適用されることはないというべきである。(2) もつともいずれも成立に争いのない乙第一号証(年次有給休暇規程)および同第二号証の一、二(年次有給休暇の取扱に関する協定)によれば被告日本国有鉄道における年次有給休暇については、まず計画年休と自由年休の区別があり、前者は全体の五分の三で勤務予定表を組む際に計画的に消化するもの、後者は全体の五分の二で職員の請求によつて消化するものとされ(昭和三二年七月一日職職第五五三号年次有給休暇規程第五条および第八条、年次有給休暇の取扱に関する協定第四条)、年次有給休暇の有効期間はその附与期日から二年間とされる(同規程第二条、同協定第三条)が、有効期間経過後もいわゆる不承認年休(計画年休のうちこれを割り当てた予定の日に業務上の都合で使用させられず、かつその後の有効期間内に消化できなかつたもの、同規程第七条、同協定第八条)の範囲内において三年目以降に請求すること(同規程第一〇条、同協定第一一条)および自由年休へのふり替え(同規程第八条)が認められ、またいわゆる不承認年休は退職の際その処理方を考慮するものとされる(同規程第七条、同協定第八条)ことが認められる。 ゆる不承認年休(計画年休のうちこれを割り当てた予定の日に業務上の都合で使用させられず、かつその後の有効期間内に消化できなかつたもの、同規程第七条、同協定第八条)の範囲内において三年目以降に請求すること(同規程第一〇条、同協定第一一条)および自由年休へのふり替え(同規程第八条)が認められ、またいわゆる不承認年休は退職の際その処理方を考慮するものとされる(同規程第七条、同協定第八条)ことが認められる。そうすると被告日本国有鉄道においては、年次有給休暇は一年かぎりのものでその繰越しはないとする労働基準法の原則に対して、右認定の限度において修正を加えているものといわなければならない。このような修正の持つ意味であるが、二年間有効であるということは附与の日から二年内ならばいつ与えることもでき、極端にいえば二年目の終り頃にまとめて与えてもいい、というものではない。けだしもしそれ このような修正の持つ意味であるが、二年間有効であるということは附与の日から二年内ならばいつ与えることもでき、極端にいえば二年目の終り頃にまとめて与えてもいい、というものではない。けだしもしそれでもいいということになれば労働条件の最低基準を定めたものとしての労働基準法第三九条を下まわる基準ということになるからである。したがつて二年間有効であるという趣旨はあくまでも初年度に全部消化するということがたてまえであつて、それにもかかわらず消化しきれなかつた分を次年度に休暇として附与するという趣旨に解しなければならない。そしてその限りでは労働基準法第三九条の最低基準を上まわるものとして有効である。これをさらに詳言すると、労働基準法第三九条の定める有給休暇の日数(原告らの日数はすべて法定内のものである。)については、当該年度に現実にその日数の有給休暇が与えられなかつたという事実があることによつて労働基準法違反が成立し、同法第一一九条の罰則の適用を免れない状態が生じることとなるが、労働基準法が関知するのはここまでであつて、このように罰則を適用しうる状態が生じたにもかかわらず、さらに現実に休みが与えられなかつた日数に相応する日数だけ翌年において余分に有給で休むことができる(いわゆる繰越しを認める)というのは、あきらかに労働基準法の定める労働基準を上廻る労働条件ということができる。このように具体的な労使関係において労働協約あるいは就業規則により年次有給休暇の日数の繰越しを認めることは、労働基準法の定める基準を上廻る労働条件の設定として許されるといわなければならない。 らず、さらに現実に休みが与えられなかつた日数に相応する日数だけ翌年において余分に有給で休むことができる(いわゆる繰越しを認める)というのは、あきらかに労働基準法の定める労働基準を上廻る労働条件ということができる。このように具体的な労使関係において労働協約あるいは就業規則により年次有給休暇の日数の繰越しを認めることは、労働基準法の定める基準を上廻る労働条件の設定として許されるといわなければならない。しかし右のように二年間有効とされて初年度では消化されず次年度に繰りこされた休暇は、もはや労働基準法第三九条にいう年次有給休暇ではなく、同法第一一五条の適用を論ずる余地はない。し ばならない。しかし右のように二年間有効とされて初年度では消化されず次年度に繰りこされた休暇は、もはや労働基準法第三九条にいう年次有給休暇ではなく、同法第一一五条の適用を論ずる余地はない。しかも本件で問題となつている自由休暇については二年の有効期間経過後の繰越しは認められていない。けだし、二年の有効期間後の使用が認められ、あるいは退職の際その処理が考慮されるのは、いわゆる不承認年休すなわち計画年休で当該予定日に業務上の都合で使用させられなかつたものに限られ、いわゆる自由年休については、二年の有効期間後の使用は認められず、また退職の際その処理が考慮されるものでもないことが明らかである。そうだとすれば、右の被告日本国有鉄道が附与する有給休暇のうち労働基準法の基準を越える部分についても時効制度の適用はないというべきである。(3) このような見解に対して、原告らはそれは年次有給休暇が消化されにくい現状においては非現実的な議論であり、労働者の休暇権をますます狭めることになると主張し、証人Eの証言も同じ趣旨の主張をする。従来年次有給休暇制度は、日本では仕事を休むことがすなわち仕事を怠けることかのように受取られてきたこともあつて、労使の双方から十分な理解を受けず、遵守されなかつた。その結果多くの職場で年休が消化されずに終ることが多く、このことは被告日本国有鉄道のように全国的規模のしかも公共性が強い(営利本位でない)企業体においても同様であつた。証人Fの証言によつて成立が認められる甲第一号証、成立に争いのない乙第三ないし第六号証、第七号証の一、二、証人Fの証言などによると、被告に雇われている労働者の年休は、いわゆる計画年休も自由年休も(もとより法定内年休について)なかなか消化しにくい状態であることがわかる。 れずに終ることが多く、このことは被告日本国有鉄道のように全国的規模のしかも公共性が強い(営利本位でない)企業体においても同様であつた。証人Fの証言によつて成立が認められる甲第一号証、成立に争いのない乙第三ないし第六号証、第七号証の一、二、証人Fの証言などによると、被告に雇われている労働者の年休は、いわゆる計画年休も自由年休も(もとより法定内年休について)なかなか消化しにくい状態であることがわかる。そしてこのような事態から出発 証人Fの証言などによると、被告に雇われている労働者の年休は、いわゆる計画年休も自由年休も(もとより法定内年休について)なかなか消化しにくい状態であることがわかる。そしてこのような事態から出発して、原告らは未消化の年休が時効制度の適用をうけずに有効期間が経てば消滅するとしたら、使用者はますます年休を与えまいとするだろうという。しかし時効制度の適用については年休の繰りこしについて前述したとおりの難点がある。たとえ消滅するにまかせるより労働者にとつてましであるという理由で時効制度を採用するとしても、その反面で休暇は現実に与えられなければならないとする前提があいまいになり休暇権はますます抽象的なものになつて年休制度の内実をとりくずすことになる虞れがある。すでにくりかえし述べたように、年休はその年度に現実に休暇をとることを保障する制度である。そのために労働基準法第三九条は使用者に対して所定の「有給休暇を与えなければならない」と規定している。この使用者の義務は労働者の請求をまつてはじめて生ずるのではなく、請求の有無にかかわらず使用者に義務づけられている。しかもその義務は罰則によつて強制されている。(同法第一一九条の罰則は使用者が労働者の請求がないまま休暇を与えなかつた場合にも適用される。)だから前述の年休未消化の事態について被告国鉄は、現実に休暇を与えなければならない法律上の義務を痛感し、事態の改善を計らなければならない。(この点本件のように有効期間の終り頃になるまでの間に積極的に休暇をとるように取計らわなかつた被告の怠慢が責められるべきである。)そして近年日本の経済は高度成長を遂げ、生産力の著しい拡充と技術の革新の結果、労働時間の短縮とか週休二日制などが現実の課題となろうとしている。その間一般の休暇に対する意識も変りつつある。そう 。)そして近年日本の経済は高度成長を遂げ、生産力の著しい拡充と技術の革新の結果、労働時間の短縮とか週休二日制などが現実の課題となろうとしている。 暇をとるように取計らわなかつた被告の怠慢が責められるべきである。)そして近年日本の経済は高度成長を遂げ、生産力の著しい拡充と技術の革新の結果、労働時間の短縮とか週休二日制などが現実の課題となろうとしている。その間一般の休暇に対する意識も変りつつある。そう 。)そして近年日本の経済は高度成長を遂げ、生産力の著しい拡充と技術の革新の結果、労働時間の短縮とか週休二日制などが現実の課題となろうとしている。その間一般の休暇に対する意識も変りつつある。そうだとすれば被告国鉄が右の法律上の義務を自覚し努力することによつて有給休暇の消化は可能であり、被告はそうしてこの違法な事態を脱却すべきである。労働者としても年休制度の本筋に立ち、年休は有効期間の経過と共に消滅することを前提に、使用者の法律上の義務の履行を要求していくのが正しい態度であろう。三、以上の次第で、原告らが本件で問題にしている自由年休(昭和四一年の八月一日から一二月一日までの間に附与され、二年間有効とされたもの)についての年次有給休暇請求権は、二年の有効期間の経過によつて消滅するものといわなければならない。そして、原告らの請求が、その本位的請求もまたその予備的請求(その請求原因は充分に明確でない)も、被告日本国有鉄道の年次有給休暇制度における自由年休の年次有給休暇請求権につき、労働基準法第一一五条の消滅時効の規定の適用があることを前提とするものである以上、その請求の排斥を免れざるものといわなければならない。(もし予備的請求が時効の適用を前提としないもので、消滅した年休について損害賠償を求めるものであるとしても、その損害の発生、その金額の証明がない。)よつて、原告らの請求は、本位的請求および予備的請求のいずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官水上東作宍戸達徳中島尚志) 中島尚志
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