本件は、原告が文部科学大臣に対して情報公開法に基づき、日本医療研究開発機構の事務所の賃貸借に関する入札結果の開示を請求した事案である。文科大臣は、契約者以外の応札者及びその応札額を不開示とする一部開示決定を行った。原告はこの不開示部分の取り消しを求めて訴訟を提起した。主要な争点は、情報公開法第5条2号イに基づく不開示情報の該当性であり、裁判所は、契約者以外の応札者及びその応札額が公にされることにより、当該法人の権利や競争上の地位が害されるおそれがあると認定した。その結果、裁判所は不開示部分を不適法とし、その取り消しを命じたが、その他の請求は棄却した。判決は、原告の一部勝訴となり、訴訟費用は原告と被告で分担することとなった。
平成29年11月29日判決言渡平成28年(行ウ)第398号行政処分取消請求事件 主文 1 文部科学大臣が平成27年7月16日付けで原告に対してした行政文書一部開示決定のうち,契約者(賃貸人)以外の応札者に係る応札額を不開示とした 部分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告の各負担とする。 事実及び理由 第1 請求 文部科学大臣(以下「文科大臣」という。)が平成27年7月16日付けで原告に対してした行政文書一部開示決定のうち,契約者(賃貸人)以外の応札者及びその応札額を不開示とした部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報 公開法」という。)の規定に基づき,文科大臣に対し,「日本医療研究開発機構の事務所の賃貸借の入札公告から契約締結までの過程が全て分かる文書」の開示を請求した(以下「本件開示請求」という。)ところ,文科大臣から,本件開示請求に係る対象文書のうち,入札結果一覧表(以下「本件文書」という。)における契約者(賃貸人)以外の応札者及びその応札額(以下,これらを「本件 不開示部分」という。)が情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たるとして,本件不開示部分を不開示とし,その余を開示する旨の一部開示決定(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件処分のうち,本件不開示部分を不開示とした部分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め (1) 情報公開法の定め ア 5条柱書きは,「 め,本件処分のうち,本件不開示部分を不開示とした部分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め (1) 情報公開法の定め ア 5条柱書きは,「行政機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない。」と定めている。 イ 5条2号柱書きは,「法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共 団体及び地方独立行政法人を除く。(中略))に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,次に掲げるもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を除く。」と定めており,同号イにおいて「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害 するおそれがあるもの」を掲げている。 (2) 「公共通達の適正化について」(平成18年8月25日付け財務大臣通知財計第2017号)(以下「財務大臣通知」という。)の定め財務大臣通知は,「契約に係る情報の公表」として,国の支出の原因となる契約を締結したときは,契約を締結した日,契約の相手方の商号又は名称及 び住所,契約金額等を公表しなければならないとしている。(乙10) 3 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 本件処分がされた経緯等ア原告は,平成27年6月18日付けで,文科大臣に対し,情報公開法4 条1項の規定に基づき,「日本医療研究開発機構の事務所の賃貸借の )(1) 本件処分がされた経緯等ア原告は,平成27年6月18日付けで,文科大臣に対し,情報公開法4 条1項の規定に基づき,「日本医療研究開発機構の事務所の賃貸借の入札公告から契約締結までの過程が全て分かる文書(H26年12月~H27年3月までと,27年度4月以降のもので,契約書も含む)」の開示請求をした(本件開示請求)。(甲1)イ文科大臣は,平成27年7月16日,本件開示請求に係る対象文書を「日 本医療研究開発機構の事務所の賃貸借の入札公告から契約締結までの過 程が全て分かる文書で,平成26年12月~平成27年3月31日までと平成27年度以降のもので契約書も含むものとして,入札公告,入札説明書,本件文書(入札結果一覧表),予定価格調書及び契約書(平成26年度分)」(平成27年度以降については該当する文書が不存在)と特定した上で,次の部分については不開示とし,その余を開示する旨の一部開示決定 (本件処分)をし,その旨を原告に通知した。(甲2,5)(ア) 一般競争入札公告の大臣官房会計課長の印影(イ) 定期建物賃貸借契約書の契約者及び代表者の印影,大臣官房会計課長の印影(ウ) 契約要領の別紙仕様書の図面の一部 (エ) 本件文書の入札業者名の欄の落札事業者以外の入札参加事業者(1社)の名称(2か所)及び第1回目ないし第3回目の金額欄の上記入札参加事業者の入札額(3か所)(本件不開示部分)本件処分は,本件不開示部分については,「契約者(賃貸人)以外の応札者及びその応札額については,公にすることにより,当該法人の権利, 競争上の地位その他正当な権利を害するおそれがあ 本件処分は,本件不開示部分については,「契約者(賃貸人)以外の応札者及びその応札額については,公にすることにより,当該法人の権利, 競争上の地位その他正当な権利を害するおそれがあ」り,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するものと判断した。 ウ原告は,本件処分に基づき,本件処分により不開示とされた部分を除き,一般競争入札公告(甲7),入札説明書(甲8),予定価格調書(甲9),本件文書(甲10)及び定期建物賃貸借契約書(甲11)の開示を受けた。 エ原告は,本件処分のうち,本件不開示部分を不開示としたことを不服として,平成27年8月19日,文科大臣に対し,異議申立てをした。文科大臣は,同年9月17日,情報公開法18条(平成26年法律第69号による改正前のもの)に基づき,情報公開・個人情報保護審査会に対し,諮問を行ったところ,同審査会は,平成28年2月3日,文科大臣に対し, 本件不開示部分を不開示としたことは妥当である旨答申した。これを受け て,文科大臣は,同年3月3日,上記異議申立てを棄却し,原告にその旨通知した。(甲3ないし6,乙2)オ原告は,平成28年9月2日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実)(2) 本件文書が作成された経過等ア平成26年5月,独立行政法人日本医療研究開発法人法(平成26年法 律第49号)が成立し,文部科学省(以下「文科省」という。)は,同法に基づいて平成27年4月に設立が予定されていた日本医療研究開発機構(以下「機構」という。)の設立準備作業に着手した。 イ文科省は,機構の事務所を賃貸により調達することとし,事務所の位置,規模,構造等について概ね以下のとおり仕様を定めた(以下「本 構(以下「機構」という。)の設立準備作業に着手した。 イ文科省は,機構の事務所を賃貸により調達することとし,事務所の位置,規模,構造等について概ね以下のとおり仕様を定めた(以下「本件仕様」 といい,同仕様が記載された書面を「本件仕様書」という。)。(甲8)(ア) 事務所の位置は,JR東京駅,並びに内閣府,文科省,厚生労働省及び経済産業省から,徒歩又は公共交通機関利用により所要15分以内であること(以下「立地条件」という。)。 (イ) 事務所の規模は,専有面積として6100㎡以上6700㎡以下で あり,構成が1つの階又は連続する複数の階であること(以下「規模条件」という。)。 ウ文科省は,本件仕様を満たす空室を有する賃貸オフィスビルの存否について調査したところ,2棟以上の候補物件が存在することが判明したため,これを一般競争入札に付すこととし,平成26年7月25日,これを公告 した(以下「本件入札」という。)。(甲7)エ文科省は,平成26年7月29日,本件入札に係る説明会(以下「本件説明会」という。)を実施したところ,オフィスビルの賃貸を希望する法人等(以下「賃貸オフィスビル業界関係者」という。)である十数社が同説明会に参加し,本件仕様書が添付された入札説明書(以下「本件説明書」と いう。)を受領した。(甲8,乙3) オ文科省は,本件入札に係る入札期限を平成26年8月7日午後5時としたところ,株式会社である甲(以下「本件落札者」という。)及び1法人(以下「本件応札者」という。)が個別に上記期限までに入札書を提出することによって入札した。(甲8,10)カ文科省は,平成26年8月22日午後4時よ 本件落札者」という。)及び1法人(以下「本件応札者」という。)が個別に上記期限までに入札書を提出することによって入札した。(甲8,10)カ文科省は,平成26年8月22日午後4時より,文科省入札室において, 本件落札者及び本件応札者の立会いの下,開札を実施したところ,その経過は次のとおりである。(甲7,8,10)以下,本件入札において,本件落札者がした落札に係るビルを「本件落札物件」といい,本件応札者がした応札に係るビルを「本件応札物件」という。 (ア) 第1回目の入札第1順位であった本件落札者の入札金額は1億8100万円であり,予定価格(1億6976万3000円)の制限に達していなかったため,直ちに再度の入札を実施し,本件落札者及び本件応札者が応札した。 (イ) 第2回目の入札 第1順位であった本件落札者の入札金額は1億7390万円であり,予定価格の制限に達していなかったため,直ちに再度の入札を実施し,本件落札者及び本件応札者が応札した。 (ウ) 第3回目の入札第1順位であった本件落札者の入札金額が1億6500万円であり, 予定価格の制限の範囲内であったため,本件落札者が落札者と決定した。 (エ) なお,開札場には,競争に参加しようとする者(又はその代理人)及び入札関係職員以外の者は入場することができない(本件説明書)。 また,開札の一般的な手法として,予定価格の制限に達する入札がない場合には,全ての入札者名及びその入札金額を読み上げ,再度の入 札を実施することとされている。 キ文科省は,平成26年8月2 法として,予定価格の制限に達する入札がない場合には,全ての入札者名及びその入札金額を読み上げ,再度の入 札を実施することとされている。 キ文科省は,平成26年8月29日,本件落札者との間で,本件落札物件について機構の事務所に係る定期建物賃貸借契約を締結した。(甲11)(3) 本件文書及び本件不開示部分の内容本件文書は,本件入札に係る入札結果一覧表であり,本件不開示部分には,①本件応札者の法人名及び②本件応札者による第1回目ないし第3回目の各 入札金額(以下,②を「本件応札者の入札金額」という。)がそれぞれ記載されている。 4 争点本件の争点は,本件不開示部分が情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するか否かである。被告は,本件不開示部分を構成する本件応札者の法人 名と本件応札者の入札金額がそれぞれ独立した情報であることを前提として,そのいずれかが開示されると,本件応札物件が特定されることとなり,本件応札者の本件応札物件の賃貸人としての公正な競争上の地位あるいは信用を害される蓋然性が高い旨主張しているところ,本件における具体的な争点は,①本件応札者の法人名から本件応札物件を特定し得るか(争点1),②本件応札者の 入札金額から本件応札物件を特定し得るか(争点2),③本件応札者の法人名又は本件応札者の入札金額(以下「本件応札者の法人名等」という。)の開示によってその競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるか否か(争点3)である。 第3 争点についての当事者の主張 1 本件応札者の法人名から本件応札物件を特定し得るか(争点1)(被告の主張)(1) 本件仕様は,JR東京駅,並びに内閣府,文科省,厚生労働省 ついての当事者の主張 1 本件応札者の法人名から本件応札物件を特定し得るか(争点1)(被告の主張)(1) 本件仕様は,JR東京駅,並びに内閣府,文科省,厚生労働省及び経済産業省から,徒歩又は公共交通機関利用により所要15分以内に立地し,かつ専有面積として6100㎡以上6700㎡以下であり,構成が1つの階又は 連続する複数の階を有するものであったところ,同仕様を満たす空室を有す る賃貸オフィスビルは,都内中心部に位置する超大型の賃貸オフィスビルに限定されていた。本件入札当時,これらの条件を満たすオフィスビルは,本件落札物件及び本件応札者の所有する本件応札物件を含めて最大でも7棟(時間的条件を満たせない可能性がある物件をも含めた数)しか存在しなかった。 (2) ①本件当時,本件応札者が所有する物件のうち本件仕様書の条件を満たす賃貸オフィスビルは本件応札物件のみであったこと,②本件仕様書は,情報公開法に基づき既に開示されていること,③本件入札は大きな床需要の案件であったため当時の賃貸オフィスビル業界における注目度が高く,十数社の業界関係者が本件説明会に参加して本件仕様書を入手したこと,④仕様書を 入手して応札を検討する業者は,仕様書の内容から他にどの物件が入札可能かを分析するのが通例であり,本件入札当時,本件応札物件は有力な候補物件とみなされていたことからすれば,本件応札者の法人名が開示された場合に,業界関係者が本件入札に係るビルが本件応札物件であると特定するのは容易といえる。 (原告の主張)被告の主張は,この種の入札では,業界関係者が入札可能な物件を分析するのが通例であること,及び本件事務所の仕様から,本件入札に入札可能な物件が相当 (原告の主張)被告の主張は,この種の入札では,業界関係者が入札可能な物件を分析するのが通例であること,及び本件事務所の仕様から,本件入札に入札可能な物件が相当程度限定されていたことを前提とする。しかし,入札可能な物件を分析・推測する具体的な方法は明らかにされていないから,真に推測可能 であるのか,又はどの程度容易なのかは不明である(少なくとも原告には推測することができない。)。以上のことからすると,本件入札に入札可能な物件の推測可能性や容易性,その推測の確度は不明であり,本件応札者の法人名により業界関係者が本件応札物件を特定することが可能とは認められない。 2 本件応札者の入札金額から本件応札物件を特定し得るか(争点2) (被告の主張) (1) 本件応札者の入札金額とエリアごとの賃料相場とを照らし合わせることなどによって本件応札物件の立地を推知し,本件応札物件を特定し得る可能性が高いこと本件仕様書の立地条件は,JR東京駅,並びに内閣府,文科省,厚生労働省及び経済産業省から,徒歩又は公共交通機関利用により所要15分以内で あるところ,本件入札当時,これを満たすエリアの賃貸オフィスビルに係る月額賃料相場(坪)は,丸の内・大手町エリアが3万8310円,新橋・虎ノ門エリアが2万4667円,赤坂・青山エリアが2万3963円,飯田橋・九段エリアが2万円,内神田・鍛冶町エリアが1万9000円等と,明らかな差が存在していた。本件仕様書は既に開示され,複数の業界関係者が入手 していることからすると,本件応札者の入札金額が明らかになれば,本件仕様書の面積条件から本件応札物件の賃料(単価)を算出することが可能であり,この賃料(単価)を本件入札当時 業界関係者が入手 していることからすると,本件応札者の入札金額が明らかになれば,本件仕様書の面積条件から本件応札物件の賃料(単価)を算出することが可能であり,この賃料(単価)を本件入札当時の上記各エリアの賃料相場と照らし合わせて対象物件の立地を推知することができる。本件仕様書の条件を満たす空室を有する賃貸オフィスビルは,上記各エリア内に最大でも7棟しか存在 せず,そのうち1棟は本件落札物件であるから,業界関係者が,残りの候補物件の中から,各物件の立地と同地域の賃料相場,当該物件における募集条件(賃料)等の情報から,本件応札物件を特定することは高い確率で可能である。 (2) 本件落札物件が,丸の内・大手町エリアにありながら,その賃料相場より 大幅に安い赤坂・青山エリア又は新橋・虎ノ門エリア並みの相場の賃料で入札されていることからすると,賃料相場と照らし合わせて物件の立地を特定し,ビルを特定できるとは考え難い旨の原告の主張についてアフロアを賃貸して収益を得ることを主目的とする通常の賃貸オフィスビルにおいては,できるだけ多くのフロアをテナントに賃貸して賃料収入を 得ることが経営の基本であり,自社や高い賃料の見込めない関連企業がフ ロアを使用することは,収益性の点でマイナスである。この点,本件落札物件は,本件入札の8か月程度前である平成25年11月28日に竣工し,地下3階,地上33階のうち,外部のテナントに賃貸の対象としているのは19ないし24階の6階分のみであり,それ以外の階は自社(本件落札者)及び関連企業が使用している。本件入札の対象は,外部テナントへの 賃貸の対象としている6階分のうち,20ないし24階部分である。このように,本件落札物件は,そのほとんどのフロアを自社及び 札者)及び関連企業が使用している。本件入札の対象は,外部テナントへの 賃貸の対象としている6階分のうち,20ないし24階部分である。このように,本件落札物件は,そのほとんどのフロアを自社及び関連企業が使用しており,賃貸オフィスビルとしての経営がされていたとは評価し難い。 また,外部テナントへの賃貸の対象とする上記6階分のうち5階分は,本件入札の対象であり,残り1階分も,本件入札当時,竣工後8か月程度し か経過しておらず,入居テナントはないかあってもわずかであった。 イこれらの事実からすると,本件落札者は,ビルの経営上,必ずしもテナント賃料による収益性に固執しなくてもよかった上,落札金額等が公表された場合に入居中テナントとの信頼関係を考慮する必要性も低かったといえ,このような特殊事情が存在したため,賃料相場を大きく下回る価格 での入札も可能であったと推認することができる。一方,このような特殊事情のない通常の賃貸オフィスビルにとって,賃料相場から乖離した安価な金額で入札することは,当該フロアについての収益性を自ら放棄するものである上,テナントとの信頼関係を破壊するおそれもあり,困難である。 (3) 本件応札者の入札金額は賃料相場を大幅に下回る水準であったと考えられ, 当該金額のみでは本件応札物件を特定し得ない旨の原告の主張について賃貸オフィスビルを経営する法人が,賃料相場を大幅に下回る金額で入札することは通常あり得ず(本件応札者も同旨を述べている。),入札金額が開示されれば,業界関係者も同様の認識に基づいて物件を特定することになる。 そして,本件応札者が,「実際に,本件入札における第3回目の入札金額は当 ビルの所在するエリアにおける当時の賃料相場に近似した金額でした。」と も同様の認識に基づいて物件を特定することになる。 そして,本件応札者が,「実際に,本件入札における第3回目の入札金額は当 ビルの所在するエリアにおける当時の賃料相場に近似した金額でした。」と 述べるとおり,本件応札者が本件応札物件周辺の賃料相場を大幅に下回る金額で入札した事実もないのであるから,本件応札者の入札金額が開示されれば,本件応札物件が特定される可能性は相当に高まるといえる。 (4) 賃料相場が共通する同一エリアの物件が複数あった場合,どうやってその中から1つのビルを特定し得るのか判然としない旨の原告の主張について ア本件仕様書の条件を満たす空室を有する賃貸オフィスビルは,本件仕様の時間的条件を満たさない可能性もあるビルを含めても最大7棟しか存在せず,そのうち1棟は本件落札物件であるから,賃料相場が共通する同一エリア内に本件応札物件の候補となるビルが複数存在する可能性は高くはない。 イまた,大手の業界関係者は,膨大なデータベースを有しており,その中には,一般に公表している市場の相場賃料(契約実績賃料平均)だけでなく,募集賃料,下限賃料,交渉時における値下げ実績データも蓄積・整理されている。そして,賃料相場が近似値にある同一エリア内であっても,実際には,最寄りの路線,フロア面積等の物件の規模で賃料に有意の差が 認められ,これらの情報と,本件応札者の入札金額及び第1回目の入札から第3回目の入札までの下げ幅を総合し,分析することによって,更に物件を絞り込み,本件応札物件を特定することは高い確率で可能である。仮に本件応札物件と同じエリア内に別の候補物件が存在したとしても,本件応札者の入札金額のみの開示によって本件応札物件が特定される可能性 は高い。 件を特定することは高い確率で可能である。仮に本件応札物件と同じエリア内に別の候補物件が存在したとしても,本件応札者の入札金額のみの開示によって本件応札物件が特定される可能性 は高い。 (原告の主張)(1) 賃料相場による物件の特定には限界があることア本件落札者の入札金額について(ア) 本件落札物件について,契約賃料は1890.93坪で月額445 5万円であり,その坪単価は2万3560円で,丸の内・大手町エリ アにありながら同エリアの賃料相場である坪単価3万8310円とはかなりの開きがあり,赤坂・青山エリア(坪単価2万3963円)又は新橋・虎ノ門エリア(坪単価2万4667円)並みの水準となっている。このような実態からすると,入札金額と賃料相場とを照らし合わせてエリアを特定し,さらに物件を特定できるとは考え難い。 (イ) これに対し,被告は,本件落札者には,賃料相場を大きく下回る金額で本件落札物件を入札することが可能な特殊事情があった旨主張する。 しかし,仮にそのような特殊事情が理由であるにせよ,少なくとも本件落札者については,仮に落札できず,その入札金額のみが開示された 場合には,本件落札物件の特定が不可能であったことを示している。そして,全ての入札にそのような特殊事情が存在する可能性がある以上,入札金額のみから物件を推測するとしても,確度の低い推測とならざるを得ないのであって,物件の特定には至らないと考えられる。 イ本件応札者の入札金額について (ア) 本件応札者の入札金額についても,本件応札者は,「入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る」もので イ本件応札者の入札金額について (ア) 本件応札者の入札金額についても,本件応札者は,「入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る」ものであったとか,「当時入居していたテナント各社の契約金額を下回る最低金額でした」と説明しており,それはすなわち,賃料相場を大幅に下回る水準であったと考えられる。そうすると,本件落札者と同様,本件応札者につ いても,その入札金額のみからは本件応札物件を正確に特定できない可能性があり,また,賃料相場と入札金額との乖離が,稀な「特殊事情」によってのみ生じ得るものではないことも示している。したがって,本件応札者の入札金額のみから物件を推測しても,その確度はかなり低いものであって,物件の特定には至らないと考えられる。 (イ) これに対し,本件応札者は,「本件入札における第3回目の入札金額 は当ビルの所在するエリアにおける当時の賃料相場に近似した金額でした」とも説明する。このように,本件応札者は,入札金額開示による不利益を主張する場面では入札金額の低さを強調する一方,入札金額によるビルの特定可能性の場面では賃料相場に近似していたという都合のよい使い分けをし,「近似した」という曖昧な表現でごまかして いる。近似していたということは,賃料相場と一致していないことは認めるようであり,本件のような入札では,落札した場合に得られる利益を考慮し,賃料相場より低い金額で入札する場合があることを示している。 賃料相場と差があったとすれば,入札金額による物件の特定可能性に 影響を与える可能性があるところ,被告は,入札金額による物件特定の具体的方法や具体的な金額差を明らかにしていないから,その金額差が 料相場と差があったとすれば,入札金額による物件の特定可能性に 影響を与える可能性があるところ,被告は,入札金額による物件特定の具体的方法や具体的な金額差を明らかにしていないから,その金額差があっても物件が特定可能であったことは立証されていないといえる。 (2) 同一エリア内に複数の候補物件がある場合の物件の特定についてア被告は,本件応札物件の候補となるビルが同一エリアに複数存在する場 合がある可能性を否定していないから,その場合における本件応札物件の特定方法が問題となるところ,賃料相場が共通する同一エリアの物件が複数あった場合にどうやってその中から1つのビルを特定できるのか判然としない。 イこれに対し,被告は,大手の業界関係者は,一般に公表している市場の 相場賃料だけでなく,募集賃料,下限賃料,交渉時における値下げ実績データも蓄積・整理しており,賃料相場が近似値にある同一エリア内であっても,最寄りの路線,フロア面積等の物件の規模で賃料に有意の差が認められ,これらの情報と,本件応札者の入札金額及び第1回目の入札から第3回目の入札までの下げ幅を総合し,分析することによって,本件応札物 件を特定することは高い確率で可能である旨主張する。しかし,これは, 不動産業者が保有しているというデータと入札金額が開示された場合に得られるデータを列挙しただけで,それをどのように分析すると物件が特定できるのか,第1回目から第3回目までの入札金額の下げ幅等をどのように利用するのかは不明である。また,賃料相場を大きく下回る金額で入札する業者が存在する以上,最寄り路線等による賃料の差異を利用して物 件を特定することは不可能であろうし,入札の場合,候補物件の物件の規模は同程度であろう 。また,賃料相場を大きく下回る金額で入札する業者が存在する以上,最寄り路線等による賃料の差異を利用して物 件を特定することは不可能であろうし,入札の場合,候補物件の物件の規模は同程度であろうから,物件の規模による賃料の差を利用することもできない。 やはり,被告は,入札金額の開示によって物件の特定が可能と主張するのであれば,入札可能と考えられる物件とされる4物件ないし7物件を明 らかにし,それに被告の主張する分析手法を適用して,入札金額が明らかになれば物件が特定可能であることを,具体的に示すべきである。 3 本件応札者の法人名等の開示によってその競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるか否か(争点3)(被告の主張) (1) 本件応札者の法人名等の開示によって本件応札者の公正な競争上の地位及び信用を害されること通常,賃貸オフィスビルの賃借人は,賃料の値下げ交渉を行う専門業者に依頼するなどして,新規賃貸借契約の締結又はその更新に当たり,賃料を少しでも低くするための交渉材料を収集しているが,個々の賃貸借契約に係る 賃料額については,賃貸人及び賃借人の双方が契約上の守秘義務を負っており,これに関する情報が正規の情報として出回ることはない。 しかし,本件応札者の入札金額が開示された場合は当然のこととして,法人名のみが開示された場合であっても,業界関係者は,本件応札者の第2回目及び第3回目の入札金額が本件落札者の第1回目の入札金額(1億810 0万円)を下回る金額である可能性が高いと推測することが可能であり,こ れを本件入札の対象とされた本件応札物件のフロア面積で除せば,賃料(単価)を算出することができる。そして,本件応札者 0万円)を下回る金額である可能性が高いと推測することが可能であり,こ れを本件入札の対象とされた本件応札物件のフロア面積で除せば,賃料(単価)を算出することができる。そして,本件応札者の説明によれば,その賃料(単価)は,本件応札物件の現在の各テナントの賃料や新規契約賃料より低いというのであるから,当該賃料に関する情報が業界関係者の中で広まることにより,本件応札者は,本件応札物件のテナント側の信頼を失い,ひい ては,優良テナントの退去や新規契約時や契約更新時の賃料交渉における不利益を受け,最終的には他のオフィスビルとのテナント獲得競争で劣後することにつながり,回復し難い大きな損害を生じることになる。 これを具体的にいうと,例えば,仮に,本件入札当時に本件応札者が契約していた本件応札物件の賃貸オフィス面積に,本件落札者の第1回目の入札 金額である1億8100万円に基づく月額賃料を適用した場合,本件応札者の説明によれば,月額約4000万円の賃料収入の減額となり(乙13),本件応札者の法人名等が開示された場合に本件応札者が被る不利益は,賃料減額に伴う減収のみを取り上げても,多額の規模に上る可能性がある。 これらの事情によれば,本件応札者の法人名等が開示されれば,本件応札 者は,賃貸オフィスビルである本件応札物件の経営に当たり,賃貸人としての公正な競争上の地位又は信用を害される蓋然性が高いというべきである。 (2) 原告の主張についてア原告は,仮に本件応札者がテナントから本件入札において廉価に入札しているから自らの賃料も下げよと要求されたとしても,そのような要求に 合理性は乏しく,本件応札者が受ける不利益も大きくない旨主張する。 しかし, 本件入札において廉価に入札しているから自らの賃料も下げよと要求されたとしても,そのような要求に 合理性は乏しく,本件応札者が受ける不利益も大きくない旨主張する。 しかし,賃貸オフィスビルとテナントによる実際の賃料交渉は,決して合理的なものではなく,あらゆる材料と強引ともいえる理屈を駆使して行われる。例えば,他の賃借人との間の低い賃料額を指摘されたビル側が,「この賃料は期間や規模といった前提条件が違う」と弁解したからといっ て,テナント側が納得せず,同ビルを賃貸人として信用できないと判断す れば,退去して別のオフィスビルと賃貸借契約を締結するという事態につながる。オフィスビル賃貸業においては,いかに長期賃貸借契約を期待できる優良テナントを獲得するかがビジネスの基本であり,特に立地条件や設備等のスペックが近似したオフィスビルが林立する都心部においては,他のオフィスビルとのテナント獲得競争は熾烈を極める。テナント側の信 頼を失うことは,上記の回復し難い大きな損害を生じることになる。 ことに,本件応札者は,本件入札の時期,本件応札物件について複数の入居中テナントと契約更新の協議を行っており,それぞれ本件応札物件として最大限譲歩した賃料であるとして更新の合意をしているところ,本件応札物件が,同時期に他により有利な条件を提示していた事実が知れれば, たとえそれが独立行政法人の事務所に係る入札案件であったとしても,テナントとの間の信頼関係が破壊される蓋然性は相当に高いといえる。 イ原告は,そもそも本件入札の手続は,入札者名等についての秘密が確保されるものとなっておらず,本件応札者の入札者名等の事実が業界関係者に知られることとなっても,実際には大きな不利益はなかった イ原告は,そもそも本件入札の手続は,入札者名等についての秘密が確保されるものとなっておらず,本件応札者の入札者名等の事実が業界関係者に知られることとなっても,実際には大きな不利益はなかった旨主張する。 しかし,開札場には,競争に参加しようとする者又はその代理人及び入札関係職員以外の者は入場することができず,開札場において入札者名と入札金額の読み上げが行われるのは,予定価格の制限に達する入札がなく,再度の入札をする場合に限られる。加えて,本件仕様書に係る条件は厳しく,同条件を満たす可能性のあるビルは最大でも7物件である上,上記条 件を現実に満たし,かつ落札の可能性があると判断して入札に参加する物件はさらに少ないことが見込まれていた。これらの事実からすれば,開札場において入札者名等が他の業界関係者に知られる可能性は高くなく,また,知られたとしてもその範囲は極めて狭いと見込まれていたから,本件入札に参加したことをもって,本件応札者が法人名等を開示されることに よって被る不利益が大きくなかったと推認することはできない。 また,落札した場合には,財務大臣通知により,法人名及び落札金額が一般に公表されることとなり,このことは入札説明会等でも周知されていたが,それによって生じるテナントとの信頼関係破壊といった不利益は,落札によって得られる利益と相殺され得るものである。特に,本件入札は,独立行政法人との間の複数年にわたる専有面積6100㎡(約1845坪) を超える賃貸借契約であり,得られる経済的利益が極めて大きい事案であるから,落札し得た場合の公表による不利益を甘受して応札するとの選択も十分に合理的であり,これをもって,法人名等の開示によって本件応札者が被る不利益が大 り,得られる経済的利益が極めて大きい事案であるから,落札し得た場合の公表による不利益を甘受して応札するとの選択も十分に合理的であり,これをもって,法人名等の開示によって本件応札者が被る不利益が大きくなかったと推認することはできない。 (原告の主張) 仮に,本件応札者の法人名等の開示により業界関係者が本件応札物件を特定することが可能になるとしても,以下のとおり,そのことによって本件応札者が受ける不利益は存在しないか,あるとしても限定的であり,保護に値するとはいえないから,情報公開法5条2号イにいう「正当な利益」に該当しない。 (1) まず,そもそも本件入札の手続は,入札者名等についての秘密が確保され るものとなっていない。すなわち,開札において,予定価格の制限に達する入札がない場合,競争に参加しようとする者又はその代理人の面前で,全ての入札者名及び入札金額が読み上げられるというのであるから,その場合,本件入札における本件応札者の法人名等が他の入札者に知られることは避けられない。本件入札ではたまたま本件応札者以外の入札者は1社であったが, 被告の主張によれば,本件応札者以外に最大6棟についての入札の可能性があったことになる。本件応札者は,それでもあえて入札したのであり,このことは,入札等の事実が業界関係者に知られることとなっても,実際には大きな不利益はなかったことを推測させる事実であり,また,本件応札者の法人名等を不開示とすべき要保護性を減殺させる事実でもある。 (2) 次に,被告は,本件応札者の入札金額に関する情報が業界関係者の中で広 まることにより,本件応札者は,本件応札物件のテナント側の信頼を失い,ひいては,優良テナントの退去や新規契約時や契約更新時の賃料交 は,本件応札者の入札金額に関する情報が業界関係者の中で広 まることにより,本件応札者は,本件応札物件のテナント側の信頼を失い,ひいては,優良テナントの退去や新規契約時や契約更新時の賃料交渉における不利益を受け,他のオフィスビルとのテナント獲得競争で劣後する旨主張する。 アしかし,仮に賃料交渉においてテナントから,本件入札において廉価に 入札しているから自らの賃料も下げよと要求されても,そのような要求の合理性は乏しい。本件応札者の入札金額は,あくまで本件仕様書に基づく条件で契約することを前提に決定されたものであり,独立行政法人の事務所として国と賃貸借契約を結ぶという特殊な事案で,かつ競争入札という条件の下で,一般的な賃料より低い賃料(単価)で入札に臨むことは大い にあり得ることであり,その賃料水準が全てのテナントに等しく当てはまるものでないことは明らかである。このような合理性に乏しいテナントの要求を受けることにより本件応札者が受ける不利益は,大きくない。 イまた,テナントの信頼を失うといっても内実の不明な抽象的なものであり,本件応札者が受ける具体的な不利益を示すものではない。また,本件 応札者の入札金額は,特殊な条件に基づいて決定されたものであり,それが自らの賃料を下回るからといって,各テナントが本件応札者に不信感を抱くとは考えにくい。そもそも,もし本件応札者が落札していれば,その落札額が公表されて各テナントに知られることが避けられなかったのであり,それでもなお本件応札者が本件入札に入札したという事実は,本件 応札者の入札金額を各テナントに知られることが,本件応札者にとって大きな不利益にはならないことを示す事実といえる。 ウさらに,本件応札者は,既存テナント したという事実は,本件 応札者の入札金額を各テナントに知られることが,本件応札者にとって大きな不利益にはならないことを示す事実といえる。 ウさらに,本件応札者は,既存テナントとの間で「当社として最大限譲歩した賃料」ということで合意していることを信頼関係破壊のリスクの根拠として挙げるが,それは,既存テナントには「最大限譲歩」という説明を しながら,本件入札には「入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃 料を大幅に下回る」金額で入札した結果である。それを,従前の自らの説明と齟齬があるため困るからという理由で不開示を認めるのは,自由な競争環境におけるテナント側の利益を不当に軽視するものである。 第4 当裁判所の判断 1 情報公開法5条2号イの規定の解釈について 情報公開法5条2号イは,法人等に関する情報であって,公にすることにより,当該法人等の「権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」を不開示情報としているところ,「正当な利益を害するおそれがある」とは,情報公開法が国民主権の理念から行政文書について開示を原則としていること(同法1条,5条の柱書き)からすれば,当該情報を公にすることによ り,単に行政機関の主観においてその利益が害されるおそれがあると判断されるだけではなく,法人等の正当な利益が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められることが必要というべきである。 そして,上記の点の判断は,当該情報の性質,内容や,当該法人等の営む事業の内容,事業活動に関する利害関係者の状況等の諸事情を総合勘案して行わ れるべきものと解される。 2 争点1(本件応札者の法人名から本件応札物件を特定し得るか)について(1) 前提事実に後掲証 に関する利害関係者の状況等の諸事情を総合勘案して行わ れるべきものと解される。 2 争点1(本件応札者の法人名から本件応札物件を特定し得るか)について(1) 前提事実に後掲証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,①本件仕様書による仕様(本件仕様)は,事務所の位置につき,JR東京駅,並びに内閣府,文科省,厚生労働省及び経済産業省から,徒歩又は公共交通機関利用により所 要15分以内であること(立地条件),事務所の規模につき,専有面積として6100㎡以上6700㎡以下であり,構成が1つの階又は連続する複数の階であること(規模条件)であり,本件入札当時,本件仕様を満たす空室を有する賃貸オフィスビルは,都内中心部に位置する大規模の賃貸オフィスビルに限定されていたこと,②本件入札に際し,十数社の賃貸オフィスビル業 界関係者が本件説明会に参加して本件仕様書を入手していたこと,③賃貸オ フィスビル業界関係者の分析によれば,本件入札当時,本件仕様の条件を満たす空室を有する賃貸オフィスビルは,本件落札物件及び本件応札者の所有する本件応札物件を含めて4棟(乙5)ないし7棟(乙6,9)であると推測されており,その中で本件応札者が所有する物件は本件応札物件のみであったこと(乙6,7)がそれぞれ認められ,これらの事実を左右するに足り る的確な証拠はない。 上記①ないし③の事実の下においては,本件文書における本件応札者の法人名が開示されることにより,賃貸オフィスビル業界関係者であれば,本件応札者が本件入札において応札した物件が本件応札物件であったことを特定することができると認められる。 (2) これに対し,原告は,賃貸オフィスビル業界関係者が行う物件の分析の水準をもって本件における本件応札 札した物件が本件応札物件であったことを特定することができると認められる。 (2) これに対し,原告は,賃貸オフィスビル業界関係者が行う物件の分析の水準をもって本件における本件応札物件の特定の可否の問題を判断することに異を唱えるかのような主張をする。 しかしながら,本件不開示部分に係る情報は,本件入札に係る本件応札者の法人名等であり,当該情報は,賃貸オフィスビル業界関係者の行う事業に 関するものであるところ,情報公開法5条2号イの該当性の判断に当たっては,そのような情報の内容,本件応札者の営む事業の内容,当該情報に係る競業者の状況等を総合勘案すべきことは,上記1で判示したとおりである。 これに反する原告の主張は採用することができない。 3 争点2(本件応札者の入札金額から本件応札物件を特定し得るか)について (1) 被告は,法人名が開示されなかったとしても,本件応札者の入札金額が明らかになれば,本件応札物件の賃料(単価)を算出することが可能であり,この賃料(単価)を賃料相場と照らし合わせれば,対象となる物件の立地を推知することができ,賃貸オフィスビル業界関係者が,最大7棟の候補物件から本件落札物件を除いた残りの候補物件の中から,各物件の立地と同地域 の賃料相場,当該物件における募集条件(賃料等)から,本件応札物件を特 定することは高い確率で可能であると主張し,それに沿う証拠として,不動産業者の意見書(乙5),本件応札者の意見書(乙8)等を提出する。 (2) 賃料相場と本件落札物件等についてア賃貸オフィス市場調査等を業務とする不動産業者が調査して公表した資料(乙4の2,乙5)によれば,本件入札当時(平成26年7月末現在), 本件仕様の立地 と本件落札物件等についてア賃貸オフィス市場調査等を業務とする不動産業者が調査して公表した資料(乙4の2,乙5)によれば,本件入札当時(平成26年7月末現在), 本件仕様の立地条件を満たす都内中心部の賃貸オフィスビル(ワンフロアの面積が200坪以上の大規模のもの)について,募集賃料月額(共益費込み,外税,円/坪)の相場は,①丸の内・大手町エリアが3万8310円,②新橋・虎ノ門エリアが2万4667円,③赤坂・青山エリアが2万3963円,④飯田橋・九段エリアが2万円,⑤内神田・鍛冶町エリアが 1万9000円であったとされている(乙4の1)。 そして,被告において,本件仕様書の条件を満たす空室を有する賃貸用オフィスビルが同一エリア内に複数存在する可能性は高くはない旨の主張をするにとどまっていることからすると,上記の各エリアについて,同一のエリア内に本件仕様の立地条件を満たす賃貸用オフィスビルが複数 存在した可能性は否定できないということができる。 イ本件落札物件は,丸の内・大手町エリアにあるが,本件落札者が国と契約した賃料は,月額4455万円(=本件落札者の落札金額である1億6500万円×1.08÷契約期間である4か月)であり,その坪単価は,2万3560円(≒4455万円÷1890.93坪(6251㎡))であった(前提事実(2)カ(ウ), 甲11)。 (3) 入札金額と賃料相場との比較による特定についてア上記(2)のとおり,本件落札者は,丸の内・大手町エリアにありながら,同エリアの募集賃料月額の相場である坪単価3万8310円とは大きく乖離する水準で落札していることが認められ,赤坂・青山エリア(坪単価 2万3963円)又は新橋・虎ノ門エリア( アにありながら,同エリアの募集賃料月額の相場である坪単価3万8310円とは大きく乖離する水準で落札していることが認められ,赤坂・青山エリア(坪単価 2万3963円)又は新橋・虎ノ門エリア(坪単価2万4667円)並み の水準にとどまっている。 この点,被告は,本件落札者が賃料相場を大幅に下回る金額で落札することができた理由が,本件落札物件が基本的に自社ビルであり,賃貸オフィスビルとしての経営がされていたとは評価し難いことなどの特殊事情に由来するものであった旨主張する(上記第3の2(2))。 しかし,仮にそうであるとしても,賃貸オフィスビルとして利用可能な物件を調達する一般競争入札において,何らかの事情により,賃料相場と大幅に乖離した入札が行われる可能性は否定し得ず,一般論としてみれば,入札金額と賃料相場との比較を基礎とした応札物件の特定が困難なことがあり得ることもまた否定し難い。 イまた,本件応札者は,本件入札での入札金額について,文科大臣宛ての各意見書において,次のとおり説明している。 ① 平成27年7月6日付け意見書(乙7) 「今回の入札金額における賃料単価は,第1回目の入札金額においても現在の当ビル入居テナント中,最低単価となっております。」 ② 同年12月14日付け意見書(乙8) 「弊社の本件入札金額は当時の状況下における特別な金額であり,現在当ビルは本入札金額の■程度の水準で新規テナントを募集しています。」③ 平成28年11月28日付け意見書(乙6) 「今回の弊社が入札し田金額は当時入居していたテナント各社の契約金額を下回る最低金額 でした。」④ 平成29年3月29日付け意見書(乙9) 本件落札物件はテナントビ 付け意見書(乙6) 「今回の弊社が入札し田金額は当時入居していたテナント各社の契約金額を下回る最低金額 でした。」④ 平成29年3月29日付け意見書(乙9) 本件落札物件はテナントビルとしては特殊な環境にあったが故に相場から大きく離れた金額で入札できたものと推察するが,「当ビルのように,テナント収益を主とした賃貸オフィスビルであれば,たとえ競争入札であったとしても,周 辺賃料相場と乖離した安価な金額で入札することは,そのフロアについ て収益性を放棄するものであり,また,入居中テナントとの信頼関係が崩れるおそれを考えても,通常周辺賃料相場と乖離した安価な金額で入札することはあり得ません。」ウ以上のような本件応札者の説明は,入札金額について,これが開示された場合の不利益の内容及び程度との関係では,テナント各社の契約金額を 下回る特別で最低の金額(入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る金額)であることを強調する一方,本件応札物件の特定可能性との関係では,「通常賃料相場と乖離した安価な金額で入札すること」はないとしており,全体としての整合性に疑問があるものの,これを善解すれば,「今回の応札金額は,入居中テナントとの成約賃料及び現在の 募集賃料を大幅に下回る」が,それは本件応札物件が存するエリアにおける賃料相場の範囲内であったことをいう趣旨であると考えられる。 エしかるに,上記(2)アでみたとおり,本件仕様書の立地条件を満たす物件の賃料相場のうち,新橋・虎ノ門エリア(2万4667円)と赤坂・青山エリア(2万3963円)との差は僅少であり,その他の飯田橋・九段エ リアや内神田・鍛冶町エリアとの差も必ずしも大きくない。このような各エリアの賃料相場の状 リア(2万4667円)と赤坂・青山エリア(2万3963円)との差は僅少であり,その他の飯田橋・九段エ リアや内神田・鍛冶町エリアとの差も必ずしも大きくない。このような各エリアの賃料相場の状況からすると,仮に本件応札物件の入札価格が開示されたとしても,賃料相場との比較のみによっては,本件応札物件がどのエリアに属するかを特定することは困難であると考えられる。 オなお,本件応札者は,平成28年11月28日付け意見書(乙6)にお いて,「弊社が2回目の入札に参加していることからすれば,弊社の第2回の入札金額が落札者の第1回の入札金額より低い金額であることは強く疑われることになり…」と説明しているから,本件応札者の第2回目の入札金額については,本件落札者の第2回目の入札金額である1億7390万円超であり,本件落札者の第1回目の入札金額である1億8100万円 未満であると推認することができる。これを月額に換算すると,4347 万5000円超,4525万円未満となり,さらに坪単価に換算すると,2万1416円ないし2万3525円超,2万2290円ないし2万4485円未満となる(本件仕様の専有面積である「6100㎡以上6700㎡以下」(=約1848坪以上約2030坪以下)で上記月額を換算した金額)。 上記のとおり推認した坪単価を,上記(2)アの賃料相場と比較すると,新橋・虎ノ門エリア(2万4667円)と赤坂・青山エリア(2万3963円)のいずれかが候補となり,1つのエリアに特定することは困難である。 また,本件応札者の入札金額は,「入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る」ものであったところ,賃料相場との比較上は, 飯田橋・九段エリア(2万円)や内神田・鍛冶町 である。 また,本件応札者の入札金額は,「入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る」ものであったところ,賃料相場との比較上は, 飯田橋・九段エリア(2万円)や内神田・鍛冶町エリア(1万9000円)であった可能性も全て否定することはできない。 カ以上のとおりであるから,本件応札者の入札金額が開示されて明らかになったとしても,それと上記(2)ア記載のエリアごとの賃料相場とを比較することによって,本件応札物件が立地するエリアを1つに特定すること は,困難である可能性が高いといわざるを得ない。 (4) 募集条件(賃料等)による特定について被告は,「大手の業界関係者は,膨大なデータベースを有しており,その中には,一般に公表している市場の相場賃料(契約実績賃料平均)だけでなく,募集賃料,下限賃料,交渉時における値下げ実績データも蓄積・整理されて おり,賃料相場が近似値にある同一エリア内であっても,実際には,最寄りの路線,フロア面積等の物件の規模で賃料に有意の差が認められ,これらの情報と,本件応札者の入札金額及び第1回目の入札から第3回目の入札までの下げ幅を総合し,分析することによって,更に物件を絞り込み,本件応札物件を特定することは高い確率で可能である」と主張し,これに沿う報告書 (乙12)を提出する。 しかし,本件応札者は,ビル側が各テナントに提示する賃料等の情報は通常はオープンにならない営業上の重要な情報であり,各テナントに対して契約内容を第三者に漏らさない守秘条項にも納得してもらった上で契約を締結することが一般的である旨の説明をしており(乙13),この説明によれば,少なくとも本件応札物件に関しては,その契約実績賃料,下限賃料及び を第三者に漏らさない守秘条項にも納得してもらった上で契約を締結することが一般的である旨の説明をしており(乙13),この説明によれば,少なくとも本件応札物件に関しては,その契約実績賃料,下限賃料及び交渉 時における値下げ実績データが,契約交渉に携わった業者以外の業者において一般的に蓄積・整理されていると認めることは困難である。 また,不動産会社の意見書(乙5)をみても,「個別ビルの賃料等の募集条件をも考慮すると入札額及び面積によりエリアやある程度物件を特定することは可能と考えます」と説明するにとどまり,本件応札物件を確定的に特定 できるとまでは説明しておらず,結局は「ある程度」の推測が可能であるということをいうものにすぎないと考えられる。 そして,本件応札者の説明によれば,本件応札者の入札金額は,賃料相場の範囲内ではあるが,入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る金額であり(上記(3)ウ),本件応札物件における通常の募集条件 とは乖離が見られるものであったことがうかがわれるから,「最寄りの路線,フロア面積等の物件の規模で賃料に有意の差」があることを利用して物件を特定することが可能であるのかについても,合理的な疑問が残る。 そうすると,本件応札物件に関しては,上記の報告書(乙12)の内容に従って特定の可否を論じることはできず,賃貸オフィスビル業界関係者が, 本件応札者が応札した物件が本件応札物件であると特定し得ると認めるには足りない。 (5) 小括以上のとおりであるから,本件応札者の入札金額が明らかになったとしても,賃貸オフィスビル業界関係者一般において,本件応札物件を特定するこ とはできないというべきである。 以上のとおりであるから,本件応札者の入札金額が明らかになったとしても,賃貸オフィスビル業界関係者一般において,本件応札物件を特定するこ とはできないというべきである。 4 争点3(本件応札者の法人名の開示によってその競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるか否か)について(1) 上記2(争点1)のとおり,本件応札者の法人名については,これを開示することにより,本件応札物件を特定し得ると認められるから,このことを前提として,さらに,情報公開法5条2号イ所定の不開示事由である「公に することにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否かについて検討する。 (2) 本件応札者の法人名については,これを開示することにより,本件応札物件を特定し得ることが認められるところ(上記2),少なくとも,本件応札者の第2回目の入札金額については,本件落札者の第2回目の入札金額である 1億7390万円超であり,本件落札者の第1回目の入札金額である1億8100万円未満であると合理的に推認することができ(上記3(3)オ),この金額を本件入札の対象とされた本件応札物件のフロア面積で除せば,賃料単価を算出することができることになる。そして,この賃料単価は,本件入札当時,入居中テナントとの成約賃料及び現在の募集賃料を大幅に下回る金額 であった(上記3(3)イ,ウ)。 (3) ところで,証拠(乙6,8,9)及び弁論の全趣旨によれば,賃料は,賃貸オフィスビルの賃貸人及び賃貸オフィスビルの賃借人(テナント)の双方にとっての大きな関心事であるところ,通常,テナントは,賃料の値下げ交渉を行う専門業者に委託するなどして,賃料交渉を ,賃料は,賃貸オフィスビルの賃貸人及び賃貸オフィスビルの賃借人(テナント)の双方にとっての大きな関心事であるところ,通常,テナントは,賃料の値下げ交渉を行う専門業者に委託するなどして,賃料交渉を優位に進めるため,賃料 を少しでも低くするための賃貸市場情報(交渉材料)を常に収集しているが,個々の賃貸借契約に係る賃料額については,賃貸人及び賃借人の双方が契約上の守秘義務を負っているため,個々の賃貸借契約に係る賃料額に関する情報が正規の情報として出回ることはないことが認められる。 (4) そうすると,本件応札者の入札金額が開示されれば,通常であれば正規の 情報として出回ることはない個別の賃貸借に関する上記(2)の情報が,賃貸オ フィスビル業界関係者の中で広まることにより,本件応札物件のテナント側からの不信感を招くとともに交渉材料を与えることとなり(乙6ないし9),その情報は,一般競争入札における応札額であって募集条件としてはやや特殊であるという事情があるとしてもなお有力な交渉材料となり得るということができるから,本件応札者は,入居テナントとの賃貸契約更新交渉や新規 テナントの誘致,契約交渉において,交渉上の著しい不利益を受けると認められる。 これらの事情によれば,本件応札者の法人名が開示された場合には,賃貸オフィスビルである本件応札物件の経営につき,本件応札者の競争上の地位その他正当な利益が害される蓋然性が客観的に認められるというべきである。 (5) これに対し,原告は,①本件入札の手続は,応札した入札者名等についての秘密が確保されるものとなっておらず,また,②落札者については氏名,契約金額等が公表されることになっていたところ,本件応札者は,それでもあえて入札したのである の手続は,応札した入札者名等についての秘密が確保されるものとなっておらず,また,②落札者については氏名,契約金額等が公表されることになっていたところ,本件応札者は,それでもあえて入札したのであるから,その法人名が開示されても不利益は大きくない旨主張する。 アしかしながら,一般に,開札場には競争に参加しようとする者(又はその代理人)及び入札関係職員以外の者は入場することができず,開札場において入札者名と入札金額が読み上げられるのは,予定価格の制限に達する入札がなく,再度の入札をする場合に限られる(前提事実(2)カ(エ))。 また,本件入札において,本件仕様を満たす可能性のあるビルは,本件 落札物件及び本件応札者の所有する本件応札物件を含めて4棟(本件仕様の時間的条件を満たせない可能性のある物件を含めると最大7棟)にすぎず(上記2(1)),本件入札当時,本件仕様を現実に満たし,かつ落札の可能性があると判断して入札に参加する物件はさらに少ないと見込まれており(乙9),このような状況で現実に本件入札に入札した者は,本件応札 者及び本件落札者の2社のみであった(前提事実(2)オ,カ)。 これらの事実からすれば,本件入札においては,本件応札者が入札した事実及び本件応札者の第2回目及び第3回目の入札価格が,本件応札者以外の賃貸オフィスビル業界関係者に知られる可能性は高くなかったということができるから,本件応札者が本件入札で入札したからといって,本件応札者が法人名を開示されることによって被る不利益が大きくなかっ たはずであるとはいえない。 イまた,一般に,国の支出の原因となる契約の締結がされたときは,契約に係る情報の一部として,契約の相手方,契約金 ことによって被る不利益が大きくなかっ たはずであるとはいえない。 イまた,一般に,国の支出の原因となる契約の締結がされたときは,契約に係る情報の一部として,契約の相手方,契約金額,それが一般競争入札によった場合はその旨など所定の事項が公表されることが求められているが(財務大臣通知),これによって,一般競争入札において落札し契約に 至った者についての一定の情報が公表されることになるのは,公共調達における契約の透明性を確保する趣旨によるものであり(乙10),契約の相手方となった者については,その限度において法人等情報が開示されることを受忍すべきであるとの考え方によるものと解される。したがって,一般競争入札における落札者の情報と,落札に至らなかった応札者の情報と を同列に論じることは相当ではない。 また,本件入札は,独立行政法人との間で専有面積6100㎡を超える規模の賃貸借契約を締結しようとするものであり,その後,機構において複数年の契約による賃貸借が実施予定とされているなど(甲11),得られる経済的利益が大きい案件であって,各入札者は,落札に成功した場合に は法人名等が公表されるとしてもそれによる不利益は相対的にみれば許容できるとの評価をして入札に及んでいると見ることができるものであるから,この点においても,落札者と,落札に至らなかった応札者とを同列に論じることは相当ではない。 ウよって,上記の原告の主張は採用することができない。 5 本件不開示部分の不開示事由該当性のまとめ ア本件応札者の法人名は,これが公にされることにより,本件応札者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものとして(争点1,3),情報公開法5条2号イ 当性のまとめ ア本件応札者の法人名は,これが公にされることにより,本件応札者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものとして(争点1,3),情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たるというべきである。 したがって,本件処分のうち,本件応札者の法人名を不開示とした部分は適法である。 イ本件応札者の入札金額は,これが公にされても本件応札物件を特定することができるとは認められないから(争点2),争点3について判断するまでもなく,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たるとは認められない。 したがって,本件処分のうち,本件応札者の入札金額を不開示とした部分は違法であり,取消しを免れない。 6 結論よって,原告の請求は,本件処分のうち契約者(賃貸人)以外の応札者の応札額を不開示とした部分の取消しを求める限度で理由があるから一部を認容し,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官工藤哲郎 裁判官細井直彰
▼ クリックして全文を表示