本件は、被告ネオユニットが運営していた就労継続支援施設C1を閉鎖し、全てのスタッフと利用者を解雇したことに関する訴訟である。原告らは、解雇の有効性を争い、労働契約上の権利を確認すること及び解雇後の賃金の支払いを求めた。主要な争点は、解雇が労働契約法や障害者総合支援法に違反しているかどうかであり、裁判所は解雇の有効性を認めつつも、原告らに対して一定の金銭的補償を命じた。判決では、被告ネオユニットは原告らに対し、各5万5千円の支払いを命じ、他の請求は棄却された。訴訟費用については、原告らの負担とし、被告らの負担分は20分の1とされた。判決は一部仮執行が可能とされた。
主文 1 被告ネオユニットは,原告A1,同A2,同A4,同A5,同A6,同A7,同A8及び同A10に対し,各5万5000円及びこれに対する平成29年5月1日から支払済みまでの年5分の割合による金員を支払え。 2 被告B1は,原告A1,同A2,同A4,同A5,同A6,同A7,同A8及 び同A10に対し,各5万5000円及びこれに対する平成29年5月1日から支払済みまでの年5分の割合による金員を支払え。 3 原告A3及び原告A9の請求並びにその余の原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告A1,同A2,同A4,同A5,同A6,同A7,同A8及 び同A10に生じた訴訟費用のうち,20分の1を被告らの負担とし,その余を原告らの負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告らが,被告ネオユニットに対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告ネオユニットは,原告A9に対し,98万円及びうち24万5000円に対し平成29年6月30日から,うち24万5000円に対し平成29年7月31日から,うち24万5000円に対し平成29年8月31日から,うち24万 5000円に対し平成29年9月29日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告ネオユニットは,原告A3に対し,40万8000円及びうち10万2000円に対し平成29年6月30日から,うち10万2000円に対し平成29年7月31日から,うち10万2000円に対し平成29年8月31日から,う ち10万2000円に対し平成29年9月29日から各支払済みまで年6分の 割合による金員を支払え。 4 被告ネオ 月31日から,うち10万2000円に対し平成29年8月31日から,う ち10万2000円に対し平成29年9月29日から各支払済みまで年6分の 割合による金員を支払え。 4 被告ネオユニットは,原告A1,原告A2,原告A4,原告A5,原告A6,原告A7,原告A8及び原告A10に対し,それぞれ25万2800円及びうち6万3200円に対し平成29年6月30日から,うち6万3200円に対し平成29年7月31日から,うち6万3200円に対し平成29年8月31日から, うち6万3200円に対し平成29年9月29日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 5 被告ネオユニットは,原告A9に対し,269万5000円及びうち24万5000円に対する平成29年11月1日から,うち24万5000円に対する平成29年12月1日から,うち24万5000円に対する平成29年12月29 日から,うち24万5000円に対する平成30年2月1日から,うち24万5000円に対する平成30年3月1日から,うち24万5000円に対する平成30年3月31日から,うち24万5000円に対する平成30年4月28日から,うち24万5000円に対する平成30年6月1日から,うち24万5000円に対する平成30年6月30日から,うち24万5000円に対する平成3 0年8月1日から,うち24万5000円に対する平成30年9月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 6 被告ネオユニットは,原告A3に対し,112万2000円及びうち10万2000円に対する平成29年11月1日から,うち10万2000円に対する平成29年12月1日から,うち10万2000円に対する平成29年12月29 日から,うち10万2000円に対する平成30 000円に対する平成29年11月1日から,うち10万2000円に対する平成29年12月1日から,うち10万2000円に対する平成29年12月29 日から,うち10万2000円に対する平成30年2月1日から,うち10万2000円に対する平成30年3月1日から,うち10万2000円に対する平成30年3月31日から,うち10万2000円に対する平成30年4月28日から,うち10万2000円に対する平成30年6月1日から,うち10万2000円に対する平成30年6月30日から,うち10万2000円に対する平成3 0年8月1日から,うち10万2000円に対する平成30年9月1日から各支 払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 7 被告ネオユニットは,原告A1,原告A2,原告A4,原告A5,原告A6,原告A7,原告A8及び原告A10に対し,それぞれ71万2800円及びうち6万4800円に対する平成29年11月1日から,うち6万4800円に対する平成29年12月1日から,うち6万4800円に対する平成29年12月2 9日から,うち6万4800円に対する平成30年2月1日から,うち6万4800円に対する平成30年3月1日から,うち6万4800円に対する平成30年3月31日から,うち6万4800円に対する平成30年4月28日から,うち6万4800円に対する平成30年6月1日から,うち6万4800円に対する平成30年6月30日から,うち6万4800円に対する平成30年8月1日 から,うち6万4800円に対する平成30年9月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 8 被告ネオユニットは,原告らに対し,それぞれ55万円及びこれに対する平成29年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被 各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 8 被告ネオユニットは,原告らに対し,それぞれ55万円及びこれに対する平成29年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被告B1は,原告らに対し,それぞれ55万円及びこれに対する平成29年5 月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 訴訟費用は被告らの負担とする。 11 2項ないし9項につき仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,被告ネオユニットが,指定就労継続支援A型事業所として運営してい た就労継続支援施設C1を閉鎖するのに伴い,C1のスタッフ及び利用者の全員を解雇したところ(以下「本件解雇」という。),解雇されたスタッフ及び利用者である原告らが,本件解雇の有効性を争い,被告ネオユニットに対して労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに本件解雇後の賃金(各原告について別紙1のとおり)及びこれに対する商事法定利率の割合による遅延損害金(平 成29年5月分から同年8月分は各支払日から,同年9月分以降は各支払日の翌 日から)の支払を求めるとともに,本件解雇が労働契約法や障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)に違反すること,本件解雇が障害者への配慮を欠くものであったなどと主張して,原告らが,被告ネオユニットに対しては民法710条に基づき,被告B1に対しては会社法429条1項に基づき損害賠償金及び民法所定の遅延損害金の支払 を求める事案である。 2 前提事実(証拠を記載していない事実は当事者間に争いがない事実である。)(1) 就労継続支援就労継続支援とは,通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき,就労の機会を提供するとともに 証拠を記載していない事実は当事者間に争いがない事実である。)(1) 就労継続支援就労継続支援とは,通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき,就労の機会を提供するとともに,生産活動その他の活動の機会の提供を通じて, その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう(障害者総合支援法5条14項参照)。 障害者総合支援法施行規則は,厚生労働省令で定める便宜について,通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して行う雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機 会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を就労継続支援A型,通常の事業所に雇用されることが困難であって,雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を就労継続支援B型と定めている(6条の1 0)。 (2) 障害者総合支援法は,就労継続支援を行う事業を「障害福祉サービス」の定義の中に含めた上で(5条1項),障害福祉サービスを行う者の申請に基づき,都道府県知事が指定障害福祉サービス事業者の指定をすることを定めている(29条1項,36条1項,3項)。なお,地方自治法252条の19第1 項, 地方自治法施行令第174条の32は,政令で指定する人口50万以上の市 (札幌市も含まれる。)においては,当該市が,指定障害福祉サービス事業者の指定に関する事務を処理することができることを定めている。 (3) 指定就労継続支援A型事業所の人員基準札幌市が障害者総合支援法43条1項,地方 は,当該市が,指定障害福祉サービス事業者の指定に関する事務を処理することができることを定めている。 (3) 指定就労継続支援A型事業所の人員基準札幌市が障害者総合支援法43条1項,地方自治法252条の19第1 項,地方自治法施行令第174条の32に基づいて制定した札幌市障害者の日常 生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行条例(以下「本件条例」という。)は,指定就労継続支援A型事業所(指定就労継続支援A型の事業を行う者が指定就労継続支援A型の事業を行う事務所〔本件条例8条39号,40号〕)について,利用者が60人以下の場合には,サービス管理責任者を1人以上配置すること,サービス管理責任者のうち1人以上は常勤の者であることを 定めている(本件条例157条1項,2項,5項)。また,本件条例は,指定就労継続支援A型事業所について,事務所ごとに職員指導員,生活支援員を各1人以上(職員指導員又は生活指導員のいずれか1人以上は常勤の者であること)置くとともに,管理者を置くことを定めている(本件条例157条1項,158条,55条)(以下,これらの本件条例の定めを「本件人員基準」という。)。 (4) 給付金等の定めについて障害者総合支援法は,指定障害福祉サービス事業者に,自立支援給付として,介護給付費又は訓練等給付費を支給することを定めている(6条,29条1項)。 また,平成29年2月9日厚生労働省令第5号による改正(同年4月1日施行)後の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づ く指定障害福祉サービスの事業等の人員,設備及び運営に関する基準(以下「本件基準」という。)192条6項は,利用者の賃金の支払いに要する額は,原則として,自立支援給付をもって充ててはならない旨 く指定障害福祉サービスの事業等の人員,設備及び運営に関する基準(以下「本件基準」という。)192条6項は,利用者の賃金の支払いに要する額は,原則として,自立支援給付をもって充ててはならない旨を定めている。 (5) 当事者ア被告ネオユニットは,平成26年5月7日,被告B1を代表取締役として 設立された会社であって,指定障害福祉サービス事業者の指定を受け,C1 を指定就労継続支援B型事業所として運営していた。その後,被告ネオユニットは,平成27年3月1日, 札幌市長から,サービス種類を就労継続支援A型,事業所名を「就労継続支援施設 C1」として,指定障害福祉サービス事業者の指定を受けて,障害福祉サービス事業を行っていた。被告ネオユニットは,設立以来被告B1が唯一の取締役であった。(甲4,弁論の全趣旨 〔被告ネオユニットの履歴事項全部証明書〕)イ B2は,被告B1の夫であり,C1が指定就労継続支援A型事業所となった当初は,被告ネオユニットにおいて,管理者として勤務していたが,平成28年9月30日,被告ネオユニットを退職した。(甲102)ウ(ア) 原告A9は,被告ネオユニットと労働契約を締結し,C1において,管 理者及びサービス管理責任者として勤務していた者である。 (イ) 原告A3は,被告ネオユニットと労働契約を締結し,C1において,生活支援員として勤務していた者である。 (ウ)C1では,平成29年3月当時,原告A9,原告A3のほかに,C2,C3が生活支援員として,C4が職業指導員として勤務していた。 エ原告A1,原告A2,原告A4,原告A5,原告A6,原告A7,原告A8及び原告A10(以下,この8名を「原告ら利用者」という。)は,被告ネオユニットと労働 導員として勤務していた。 エ原告A1,原告A2,原告A4,原告A5,原告A6,原告A7,原告A8及び原告A10(以下,この8名を「原告ら利用者」という。)は,被告ネオユニットと労働契約を締結し,C1において,ヤフーオークションへの古本等の出品を代行する業務やプリザーブドフラワーなどを製作する業務に従事するなどの労務を提供することで,就労の機会の提供等により就労に必 要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を受けていた者である。 原告ら利用者は,「知的障害」(発達期までに生じた知的機能障害により,一般的に認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態)又は「精神障害」(統合失調症やうつ病など)に該当する者である。原告ら利用者は,「知的障害」や「精神障害」が原因で,自己の理解を超える情報を受けた 場合には,体調を悪化させてしまうという特性を持っており,この特性は体 調が悪化するきっかけや状況などの点において原告ら利用者一人一人異なるものであった。 なお,C1には,原告ら利用者のほかに,「知的障害」や「精神障害」により原告ら利用者と同様の特性を有しながら,被告ネオユニットと労働契約を締結して原告ら利用者と同様の労務の提供をすることで,就労の機会の提供 等により就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を受けていた者が,平成29年3月当時7名いた。(甲100,被告B1〔25頁〕)(6) 労働契約の成立原告らと被告ネオユニットは,それぞれ別紙2の「契約締結日」記載の日に,「契約内容」記載のとおりの労働契約を締結した。 (7) 解雇の意思表示被告ネオユニットは,平成29年3月30日,原告らに対し,同月31日付けの「解雇予告通知」と題す 載の日に,「契約内容」記載のとおりの労働契約を締結した。 (7) 解雇の意思表示被告ネオユニットは,平成29年3月30日,原告らに対し,同月31日付けの「解雇予告通知」と題する書面(以下「本件解雇予告通知書」という。)により,同年4月30日付けで解雇する旨の意思表示(本件解雇)をし,さらにC1を閉鎖することを告知した。(甲18) (8)C1の閉鎖被告ネオユニットは,平成29年4月30日,C1を閉鎖した。 第3 争点及び争点に対する当事者の主張 1 争点1(本件解雇の有効性)(被告らの主張) ア本件解雇の有効性の判断要素について本件は,使用者が事業の一般的かつ継続的な廃止を前提にしつつ全ての従業員を整理解雇する事案であるから,整理解雇の4要素のうち,①人員削減の必要性については,直截的に事業を廃止することの必要性を検討すればよく,事業を廃止することの必要性が認められる以上,②人員削減の手段として整理解 雇を選択することの必要性と③被解雇者選定の合理性は,独立して検討する必 要はない。そのため,整理解雇の4要素のうち,①人員削減の必要性に代わる事業廃止の必要性と④解雇手続の妥当性から,解雇が有効か否かを判断すべきである。 イ事業廃止の必要性について①C1は,設立当初から,営業損失,経常損失,純損失を計上し続け,また, 社会保険料を滞納するなど赤字経営であったこと,②C1の売上拡大が見込めなかったこと,③本件基準が改正され,平成29年4月以降は,原則として自立支援給付を利用者の給与に充てることができなくなったこと,④平成29年3月末でC2が退職することにより,自立支援給付の支給額が減額されることになっていたなどの経営状況に照ら 月以降は,原則として自立支援給付を利用者の給与に充てることができなくなったこと,④平成29年3月末でC2が退職することにより,自立支援給付の支給額が減額されることになっていたなどの経営状況に照らせば,被告ネオユニットには,C1を閉鎖 する必要があった。 また,原告A9は,平成29年3月15日,被告B1に対し,スタッフ全員が辞めるとの申し出をし,さらに,B2に対し,スタッフ全員と利用者のほぼ全員がC1を退職すると述べた。そして,スタッフ全員と利用者のほぼ全員がC1を退職する状況において,被告ネオユニットが,C1の運営を継続するこ とは不可能であるから,被告ネオユニットには,C1を閉鎖する必要があった。 ウ解雇手続の妥当性について被告ネオユニットの代表取締役である被告B1は,原告A9からスタッフ全員及び利用者のほぼ全員が残らないと伝えられた後,今後のC1の経営について,外部の経営コンサルタントと相談をしている。また,被告B1は,C1を 閉鎖する手続について不明な点が出る度に,札幌市障がい福祉課の担当者に相談し,その指示に従っていた。 被告ネオユニットは,本件解雇の1か月前に,C1の利用者及びスタッフに対して解雇予告通知書を交付した上で,B2を通じてC1を閉鎖するに至った経緯を説明した。そして,利用者及びスタッフに対し,本件解雇についての説 明会を開催し,C1を閉鎖するに至った経緯や本件解雇に至った事情を説明し, 質問を受けた事項について可能な限り回答している。それのみならず,被告ネオユニットは,利用者15人の受入先となる指定就労継続支援A型事業所を,30人分以上確保している。 以上からすれば,本件解雇について,解雇手続の妥当性が認められる。 (原告らの主張) ニットは,利用者15人の受入先となる指定就労継続支援A型事業所を,30人分以上確保している。 以上からすれば,本件解雇について,解雇手続の妥当性が認められる。 (原告らの主張) ア本件解雇は,いわゆる整理解雇に該当するところ,整理解雇が有効とされるには,①人員削減の必要性,②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性,③被解雇者選定の合理性,④解雇手続の妥当性の4要件を充足していなければならないところ,本件解雇はいずれも満たしていないから,解雇権の濫用であって,無効である。 また,被告ネオユニットは,障害者総合支援法に基づき指定障害福祉サービス事業者の指定を受けた上で,障害福祉サービスという公益目的を有する事業を行っていた団体であり,また,障害者総合支援法に基づき自立支援給付を受けていたのであるから,解雇の有効性について厳格に判断すべきである。 イ人員削減の必要性について 被告ネオユニットは,1年あたり2500万円程度の訓練等給付費を受領しており,これとC1の売上を合わせれば,収入が人件費等の経費を上回っていたのであるから,財政面を理由にC1を閉鎖する必要性も人員を削減する必要性もなかった。 また,被告ネオユニットでは,平成29年3月頃,原告A9がサービス管理 責任者及び管理者として,原告A3が生活支援員として,C4が職業指導員として就労していた。そして,原告A9,原告A3及びC4はその後も,C1において就労を継続する意思を有していたのであるから,職員が不足していることを理由に,C1を閉鎖する必要性も人員を削減する必要性もなかった。 ウ人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(解雇回避努力義務) について 前記のと とを理由に,C1を閉鎖する必要性も人員を削減する必要性もなかった。 ウ人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(解雇回避努力義務) について 前記のとおり,C1には財政面を理由にC1を閉鎖する必要性も人員削減の必要性もなかった。また,スタッフであるC2が,平成29年3月に退職することが決まっていたものの,原告A9,原告A3,C4がスタッフとして就労することで,C1の運営を継続することが十分に可能であった。また,C2の後任として,新規スタッフを募集し雇い入れることも可能であった。そのため, 事業の閉鎖に伴う本件解雇を回避することは可能かつ容易であったのであるから,解雇回避努力義務を果たしたとはいえない。 エ被解雇者選定の合理性について被告ネオユニットは,C1の利用者及びスタッフの全員を一律に解雇する一方,塗装業は継続しているのであるから,いかなる基準で被解雇者を選定した のか不明であり,被解雇者選定の合理性は認められない。 オ解雇手続の妥当性について整理解雇を行うにあたって,使用者は,労働者に対して,整理解雇の必要性とその時期・規模・方法について納得を得るための説明を行い,労働者と誠意をもって協議する信義則上の義務を一般的に負うところ,障害者総合支援法4 2条1項,同3項,43条4項の規定に鑑みれば,本件において,被告ネオユニットは,障害者の人格を尊重し,精神的に不安を生じさせる状態に置くことのないようにする義務を負っていたというべきである。 しかし,原告らが,本件解雇を知ったのは,平成29年3月30日に本件解雇予告通知書が配布された時であり,それ以前に原告らと被告ネオユニット及 び被告B1の間において,本件解雇についての協議 しかし,原告らが,本件解雇を知ったのは,平成29年3月30日に本件解雇予告通知書が配布された時であり,それ以前に原告らと被告ネオユニット及 び被告B1の間において,本件解雇についての協議や説明が行われることはなかった。また,本件解雇について説明会が開催されたのは,同年4月18日であったため,原告らは,今後どうなるのかわからないという不安な状態に20日間も置かれた。そのため,本件解雇の手続は,障害者の人格を尊重し,精神的に不安を生じさせる状態に置かないようにする義務を怠ったといえるので あり,解雇手続の妥当性は認められない。 2 被告ネオユニットに対する本件解雇についての不法行為に基づく損害賠償請求及び損害額(原告らの主張)被告ネオユニットは,指定障害福祉サービス事業者の指定を受け,自立支援給付として訓練等給付費を受給していたこと,また,利用者の障害の内容,程度, その特徴を理解していたことからすれば,C1を閉鎖する際には,利用者に対する告知を相当程度の余裕をもった時期に行い,かつ利用者に対して新しい就労先を複数提供する義務を負っていた。しかし,被告ネオユニットは,本件解雇のわずか1か月前に解雇予告通知を行い,その後,説明会を開催したのみで本件解雇を行ったのであるから,本件解雇及び本件解雇のプロセスは,被告ネオユニット の負う上記各義務に違反するものである。 被告ネオユニットの義務違反により,原告らは強いストレスを感じ,睡眠障害になったり薬の服薬量が増えたりするなどの健康被害を受け,精神的苦痛を負ったのであるから,これに相当な慰謝料の額は原告ら各人50万円を下らない。なお,B2が,原告A5を屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に 従事させたことも慰謝 受け,精神的苦痛を負ったのであるから,これに相当な慰謝料の額は原告ら各人50万円を下らない。なお,B2が,原告A5を屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に 従事させたことも慰謝料の増額事由となる。また,原告らは,被告ネオユニットに対する慰謝料請求に関する弁護士報酬を各原告の請求額の10%とする合意を交わしていることからすれば,本件の弁護士費用は5万円が相当である。 (被告らの主張)被告ネオユニットは,本件解雇の30日以上前に解雇予告通知を行い,労働基 準法20条1 項の規定を遵守しており,さらに,障害者総合支援法43条4項に従い利用者に新しい就労先を複数提供している。そのため,被告ネオユニットは,C1を閉鎖する際に,利用者に対する告知を相当程度の余裕をもった時期に行い,かつ利用者に対して新しい就労先を複数提供する義務を履行している。また,被告ネオユニットは,本件解雇を行うにあたって,労働基準法などの諸規定を遵守 した上で,札幌市障がい福祉課の担当者と相談しながら,本件解雇及びこれに付 随する手続を進めていたのであるから,義務違反について,予見可能性及び結果回避可能性は認められない。 仮に,被告ネオユニットに,義務違反があったとしても,原告らが負った精神的損害の具体的内容は不知であり,また,被告ネオユニットの義務違反と損害との因果関係も不知である。 3 被告B1に対する本件解雇についての会社法429条1項に基づく損害賠償請求及び損害額(原告らの主張)(1) 被告B1は,被告ネオユニットの代表取締役として,同社に対し,善管注意義務の一内容として,被告ネオユニットを名宛人とする法令を遵守する義務を 負っている。しかし,被告B1は,その義務に次のと 被告B1は,被告ネオユニットの代表取締役として,同社に対し,善管注意義務の一内容として,被告ネオユニットを名宛人とする法令を遵守する義務を 負っている。しかし,被告B1は,その義務に次のとおり違反し,かつ各任務懈怠はいずれも重過失によるものである。 ア障害者総合支援法が,本件人員基準を遵守することを指定障害福祉サービス事業者の指定の要件としていること(36条3項2号),本件人員基準に適合していない場合には,本件人員基準を遵守するように都道府県知事が勧 告できると定めていること(49条1項1号),指定障害福祉サービス事業者の責務として,障害者の人格を尊重するとともに,法律又は法律に基づく命令を遵守し,障害者のため忠実にその職務を遂行しなければならないと定めていること(42条3項)などからすれば,被告B1は,①被告ネオユニットが本件人員基準に満たない状態に陥らないように人員体制を構築する 義務,②人員の変動により本件人員基準に満たない状態になることを回避する義務,③人員の変動により本件人員基準に満たない状態になった場合には,速やかに人員を確保する義務を負っていた。 しかし,被告B1は,C1において,平成28年4月から5月までの間,サービス管理責任者が不在の状態を生じさせ,同年7月以降からは,原告A 9にサービス管理責任者と管理者を兼任させ,原告A9が退職した場合には, 直ちにサービス管理責任者及び管理者の両方を欠いてしまう体制を作出させている。また,平成29年3月15日に,原告A9が,被告B1に対し,「スタッフ全員退職も辞さない。」旨の発言をした際に,スタッフを慰留するなどの措置をとらなかった。さらに,スタッフの退職に備えて,速やかに新たなスタッフを確保することもしなかった。かかる行為は し,「スタッフ全員退職も辞さない。」旨の発言をした際に,スタッフを慰留するなどの措置をとらなかった。さらに,スタッフの退職に備えて,速やかに新たなスタッフを確保することもしなかった。かかる行為は,被告B1の負 う上記各義務に違反し,任務懈怠となるものである。 イ被告B1は,被告ネオユニットの代表取締役として,労働契約法16条に違反する解雇をしない義務を負っていた。しかし,被告B1は,原告らを解雇する客観的に合理的な理由がないことが明らかであるにもかかわらず,原告らを解雇した。かかる行為は,被告B1の負う上記義務に違反し,任務懈 怠となるものである。 ウ第3,2(原告らの主張)のとおり,被告ネオユニットが行った本件解雇及び本件解雇のプロセスは,障害者総合支援法の規定の趣旨に基づく,利用者に対する告知を相当程度の余裕をもった時期に行い,かつ利用者に対して新しい就労先を複数提供する義務に違反しているところ,被告B1も障害者 総合支援法の趣旨に基づく各義務を負うのであるから,被告ネオユニットの上記義務違反は,被告B1の任務懈怠も構成する。 (2) 原告らは,被告B1の義務違反によって,継続就労支援を受ける機会を喪失したほか,C1が突然閉鎖したことにより,精神的苦痛を負ったのであるから,これに相当な慰謝料の額は原告ら各人50万円を下らない。なお,B2が,原 告A5を屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に従事させたことも慰謝料の増額事由となる。また,原告らは,被告B1に対する慰謝料請求に関する弁護士報酬を各原告の請求額の10%とする合意を交わしていることからすれば,本件の弁護士費用は5万円が相当である。 (被告らの主張) (1) 被告B1は,被告ネオユニットに本件人員基準を遵守させ 原告の請求額の10%とする合意を交わしていることからすれば,本件の弁護士費用は5万円が相当である。 (被告らの主張) (1) 被告B1は,被告ネオユニットに本件人員基準を遵守させる義務はあるもの の,これを超えて本件人員基準に満たない状態に陥らないような人員体制を構築する義務,人員の変動により本件人員基準に満たない状態になることを回避する義務,人員の変動により本件人員基準に満たない状態になった場合には,速やかに人員を確保する義務までは負っていない。 また,被告B1が本件人員基準に満たない状態に陥らないような人員体制を 構築する義務を負うとしても,被告ネオユニットの経営状態が悪化していたことから,サービス管理責任者兼管理者として勤務していた原告A9以外に改めてサービス管理責任者や管理者を雇用する余裕がなかったのであり,サービス管理責任者と管理者を兼任する状況を放置していたわけではない。さらに,被告B1が人員の変動により本件人員基準に満たない状態になることを回避す る義務及び人員の変動により本件人員基準に満たない状態になった場合には,速やかに人員を確保する義務を負うとしても,被告B1は,B2から,原告A9が利用者の一人であるC5以外はC1から退職する旨の発言をしたことを聞いたことが最終的な契機となり,C1を廃止せざるを得ないと決意したのであり,かかる義務を講じなかったことにはやむを得ない事情がある。 よって,被告B1には任務懈怠が認められない。 (2) 本件解雇が適法であることは,第3,1(被告らの主張)のとおりであるから,被告B1に,本件解雇が労働契約法16条に違反していることを理由とする任務懈怠は認められない。 (3) 被告ネオユニットが行った本件解雇及び本件解雇のプロセスにつ らの主張)のとおりであるから,被告B1に,本件解雇が労働契約法16条に違反していることを理由とする任務懈怠は認められない。 (3) 被告ネオユニットが行った本件解雇及び本件解雇のプロセスについては,第 3,2(被告らの主張)のとおり,不法行為となるものではない以上,本件解雇及び本件解雇のプロセスについて被告B1に任務懈怠は認められない。 (4) 仮に,被告B1に,上記各義務違反があったとしても,原告らが主張する義務が障害者総合支援法や関係法令の定めること以上のことを要求するものであること,C1を閉鎖する状況を故意に作出したわけではないことからすれば, 重過失は認められない。 (5) 仮に,被告B1に,義務違反があったとしても,原告らが負った精神的損害の具体的内容は明らかではなく,また,被告B1の義務違反と損害との因果関係も不知である。 第4 争点に対する判断 1 認定事実(前提事実及び各掲記の証拠等によれば,以下の事実が認められる。) (1) 被告ネオユニットの経営状態等ア被告ネオユニットの平成26年5月7日から平成27年4月30日(以下「第1期」という。),平成27年5月1日から平成28年4月30日(以下「第2期」という。),平成28年5月1日から平成29年4月30日(以下「第3期」という。)の損益計算書の内容は、次のとおりであった。(乙1, 5,48)第1期営業損失 1018万5691円経常損失 1016万5690円純損失 1023万2290円第2期営業損失 427万8084円 経常損失 321万9678円純損失 328万9686円第3期営業損失 665万8924円経常損失 138万3 第2期営業損失 427万8084円 経常損失 321万9678円純損失 328万9686円第3期営業損失 665万8924円経常損失 138万3045円純損失 145万3045円 イ被告ネオユニットの第2期の売上高合計は2753万9849円であり,そのうち2446万7326円が自立支援給付としての訓練等給付費であった。また,被告ネオユニットの第2期の営業外収益は156万6729円であり,そのうち156万6666円が北海道労働局からの助成金であった。 (乙1〔22,37頁〕,弁論の全趣旨〔被告準備書面1・2頁〕) ウ被告ネオユニットの第3期の売上高合計は2938万0115円であり, そのうち2424万7537円が自立支援給付としての訓練等給付費であった。また,被告ネオユニットの第3期の営業外収益は635万0650円であり,そのうち605万7666円が北海道労働局からの助成金で,29万2970円が札幌市からの助成金であった。(乙48〔23,41頁〕,弁論の全趣旨〔被告準備書面1・2頁〕) エ(ア) 被告ネオユニットの第1期の決算報告書には,役員報酬として190万円,給与手当として263万8930円を計上したとの記載がある。(乙5)(イ) 被告ネオユニットの第2期の決算報告書には,役員報酬として112万4000円を計上したとの記載がある。また,被告ネオユニットの賃金台 帳には,第2期において,被告ネオユニットからB2に対して合計120万円の賃金が支払われている旨の記載がある(乙1,13の1~12)。 (ウ) 被告ネオユニットの第3期の決算報告書には,役員報酬として74万4000円を計上したとの記載がある して合計120万円の賃金が支払われている旨の記載がある(乙1,13の1~12)。 (ウ) 被告ネオユニットの第3期の決算報告書には,役員報酬として74万4000円を計上したとの記載がある。また,被告ネオユニットの賃金台帳には,第3期において,被告ネオユニットからB2に対して60万円の賃 金が支払われている旨の記載がある(乙13の13~17,48)。 オ被告ネオユニットは,平成28年10月19日,札幌東年金事務所から,社会保険料を滞納したことを理由として,預金66万0306円を差し押えられた。(乙57,被告B1〔9頁〕)カ後記のとおり,C2が平成29年3月末に被告ネオユニットを退職するこ とになり,利用者とスタッフの比率が変わった結果として,被告ネオユニットが同年4月から受け取ることができる自立支援給付としての訓練等給付費が月額約20万円減額されることとなっていた。(乙59〔4頁〕)(2)C1の運営ア C1では,平成29年3月当時,原告A9がサービス管理責任者及び管理 者として,原告A3,C2及びC3が生活支援員として,C4が職業指導員 として勤務していた。 イ平成29年1月下旬,C2が同年3月限りで,被告ネオユニットを退職することを希望したため,B2は,C2の後任となる人物を探したものの,後任となる人物を手配することができなかった。C2が退職すれば,被告ネオユニットが得ることができる訓練等給付費が減少することから,原告A9は, 被告B1の依頼により,C2に対し,退職時期を延期できないかと相談した。 これに対し,C2は,勤務時間を短縮することと,同年4月末までに新規のスタッフを採用することが可能であれば,同年5月末まで勤務することができる旨の回答をした。原告A9が,被 期できないかと相談した。 これに対し,C2は,勤務時間を短縮することと,同年4月末までに新規のスタッフを採用することが可能であれば,同年5月末まで勤務することができる旨の回答をした。原告A9が,被告B1に,C2の上記回答を伝えたところ,被告B1は,同年3月13日,原告A9に対し,被告B1自身が同年 5月から勤務するので,同年4月末までは勤務してほしい旨をC2に伝えるよう依頼した。原告A9が,C2に対し,被告B1からの上記依頼を伝えると,C2は,条件が違うので残らないと回答した。(甲100〔3~4頁〕,乙59〔4~5頁〕,乙60〔4頁〕)(3)C1閉鎖の決定 ア被告B1は,平成29年3月15日,C1を訪れ,原告A9に対し,「A9さんが全部話を滅茶苦茶にした。」「当てにしていた人が来られなくなって,私たちも迷惑を被っている。」と言った。原告A9が,C2の後任が来るのかということや新しいスタッフが来るのかわからないため利用者が不安で体調を崩している旨を伝えると,被告B1は,「その人のためにスタッフがい るわけではない。」「それがどうした。」と答えた。そこで,原告A9は,「そういうことを言われるのであれば,スタッフ全員も辞めます。」と言った(以下「本件発言①」という。)。 B2が,被告B1から本件発言①を聞き,原告A9に電話をしたところ,原告A9は,B2に対し,「誰も残らないんじゃないんですか?全員辞める と思いますよ。C5くらいしか残んないんじゃないんですか。」と利用者の 一人であるC5以外の全スタッフと利用者が辞める旨の発言をした(以下「本件発言②」という。)。その後,B2は,被告B1に対し,原告A9が本件発言②を述べたことを伝えた。(甲100〔4~5頁〕,乙60〔4頁〕)イ被告B1は,ハ 利用者が辞める旨の発言をした(以下「本件発言②」という。)。その後,B2は,被告B1に対し,原告A9が本件発言②を述べたことを伝えた。(甲100〔4~5頁〕,乙60〔4頁〕)イ被告B1は,ハローワークや知人に声をかけるなどして,新規のスタッフを募集したものの,新規のスタッフは見つからなかった。 そこで,被告B1は,経営コンサルタントや札幌市障がい福祉課の担当者と相談をした結果,これ以上C1を経営していくことは困難であるとの結論に至り,遅くとも平成29年3月28日までには,C1を閉鎖し,被告ネオユニットにおいて,障害福祉サービス事業を終了させる決意した。(乙59〔5~6頁〕,被告B1〔27~30頁〕) (4) 本件解雇予告通知書の配布と説明会の開催ア B2は,平成29年3月30日,C1を訪れ,本件解雇予告通知書を利用者とスタッフに配布した。本件解雇予告通知書には,「この度,経営者側の責任によって職員全員の退職という事になり,本年4月30日をもって施設を閉鎖せざる得ない状況になりました。」との記載がされていた。この際,利用 者やスタッフから,C1を閉鎖するに至った経緯がよくわからないということや全スタッフがなぜ辞めることになったのかという疑問が呈され,また,被告B1が経営者としてC1に来て説明をすべきではないかという意見が出された。これに対し,B2は,全スタッフが辞めることになったのは経営者側の責任であること,被告B1が明日C1に来ると説明した。しかし,被 告B1が,同年3月31日,C1に来ることはなかった。 利用者は,本件解雇予告通知書を受け取った後,各人の疾患を悪化させ,体調を崩すなどした。(甲18,92,103,乙60〔5頁〕,原告A5〔5頁〕,原告A9〔7頁〕)イ かった。 利用者は,本件解雇予告通知書を受け取った後,各人の疾患を悪化させ,体調を崩すなどした。(甲18,92,103,乙60〔5頁〕,原告A5〔5頁〕,原告A9〔7頁〕)イ被告B1は,平成29年4月18日,C1において,弁護士3名とともに, 利用者とスタッフに対し,C1の閉鎖についての説明会(以下「本件説明会」 という。)を約1時間行った。本件説明会では,「お詫びとお知らせ」と題する文書が配布された。「お詫びとお知らせ」と題する文書には,サービス管理責任者が平成29年4月30日限りで退社することが決定したものの,後任のサービス管理責任者を確保することができなかったこと,その他のスタッフも退職したいとの意向を相次いで示したことがC1の閉鎖の原因である 旨の記載があり,被告B1も口頭で同様の説明をした。本件説明会では,質疑応答の時間が設けられ,利用者から,全スタッフが辞めることになった経緯について質問があったが,被告B1は,スタッフが辞めることになった経緯を答えることはできないと回答し,弁護士も,スタッフが辞めることになった経緯を説明する義務はないと補足した。 利用者は,本件説明会後,各人の疾患を悪化させ,泣き出したり,過呼吸になるなどのパニック発作等を発症したりした。(甲20,91,101,原告A5〔7頁〕,原告A9〔7頁〕)ウ B2が,平成29年3月30日に,本件解雇予告通知書を配布してから,同年4月18日に本件説明会が開催されるまで,本件解雇の経緯や再就労先 について,被告B1からC1のスタッフに対し利用者に説明をするように指示が出されたり,被告B1自身がC1を訪れて利用者に説明を行うことはなかった。(甲99〔5頁〕,100〔7頁〕)(5) 被告 ついて,被告B1からC1のスタッフに対し利用者に説明をするように指示が出されたり,被告B1自身がC1を訪れて利用者に説明を行うことはなかった。(甲99〔5頁〕,100〔7頁〕)(5) 被告らが利用者らに講じた措置被告B1は,C1の閉鎖について,札幌市障がい福祉課の担当者に相談をし たところ,利用者の再就労先を見つけるようにとの指示を受けた。これを受けて,被告B1は,利用者の受入先となる指定就労継続支援A型事業所を約30人分確保した。 被告らから依頼を受けた弁護士は,平成29年4月21付けで,受入先の指定就労継続支援A型事業所の名称,受入可能人数,作業内容が記載された文書 をスタッフ及び利用者に送付した。(甲36,乙59〔6~7頁〕) (6) C1の閉鎖被告ネオユニットは,平成29年4月30日,C1を閉鎖した。 2 本件解雇の有効性(1) 本件解雇の有効性の判断基準ア本件は,被告ネオユニットが,指定就労継続支援A型事業所として運営し ていたC1を閉鎖し,障害福祉サービス事業を終了することに伴って行われたその利用者及びスタッフの解雇が,解雇権の濫用に当たるか否かが争われている事案である。原告らは,本件においても,いわゆる整理解雇の4要件が妥当するとして,その要件が充足されない限り,本件解雇は無効であると主張している。これに対し,被告らは,本件解雇は,整理解雇の4要件に基 づいてその有効性を判断すべきものではないと反論するので,この点について判断する。 まず,労働者の解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には,解雇権を濫用したものであるとして,無効となるところ(労働契約法16条),整理解雇が解雇権の濫用に該当する ず,労働者の解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には,解雇権を濫用したものであるとして,無効となるところ(労働契約法16条),整理解雇が解雇権の濫用に該当するか否 かについては,一般的に,①人員削減の必要性,②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性,③被解雇者選定の妥当性,④解雇手続の妥当性に着目して判断されているところである。 しかしながら,本件のように使用者が運営していた指定就労継続支援A型事業所を閉鎖し,障害福祉サービス事業を終了するのに伴って利用者及びス タッフの解雇がされた場合においては,事業を終了することに伴って解雇が行われるのであるから,①人員削減の必要性については,直截的に「事業廃止の必要性」として,障害福祉サービス事業を終了する必要性を問題とすべきである。また,本件において,被告ネオユニットが障害福祉サービス事業のほかに塗装業を行っていたのかについては判然としないものの,障害福祉 サービス事業に従事していたスタッフや利用者が塗装業に従事するという 事態は通常考え難いことからすれば,障害福祉サービス事業を終了する必要性が認められる以上,障害福祉サービス事業に従事する者について,整理解雇を行う必要性(②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性)が,当然に認められるものと考えられる。さらに,③被解雇者選定の妥当性についても,障害福祉サービス事業を終了することの必要性が認められる以 上は,これを別途検討する必要はないと考えられる。これに対し,④解雇手続の妥当性については,使用者が事業の終了を決定し,労働者がこれに関与する余地はほとんどないのが一般的である一方,労働者は解雇されると生計を維持する手段を失うことからすれば,労働 れに対し,④解雇手続の妥当性については,使用者が事業の終了を決定し,労働者がこれに関与する余地はほとんどないのが一般的である一方,労働者は解雇されると生計を維持する手段を失うことからすれば,労働者の納得を得るため可能な限りの努力をする信義則上の義務を使用者は負っているものと考えられるから, 事業の終了による解雇の場合であっても,この点についての検討を要するというべきである。 そうすると,本件においては,上記の4つの事項によって解雇の有効性を判断するのではなく,ⅰ事業廃止の必要性とⅱ解雇手続の妥当性の双方を総合的に考慮すべきである。そして,ⅱ解雇手続の妥当性については,事業廃 止の必要性が認められる場合において,事業廃止を決定してから,実際に事業を廃止するまでには時間的制約があることから,労働者に対して解雇の必要性・合理性について納得を得るための説明等をしたり,労働者に再就職先などの手配をしたかなど,できる限り努力を尽くしたものと認めることができれば足りるとものというべきである。 イこれに対して,原告らは,被告ネオユニットが障害者総合支援法に基づき指定障害福祉サービス事業者の指定を受けた上で,障害福祉サービスという公益目的を有する事業を行っていた団体であり,また,障害者総合支援法に基づき自立支援給付を受けていたことからすれば,解雇の有効性については,厳格に判断すべきであると主張する。 しかし,まず,被告ネオユニットは,株式会社であって,公益目的のため に設立された法人ではない。また,障害者総合支援法は,指定障害福祉サービス事業者が,事業の廃止の届出をしたときは,届出の日の前から1か月以内に当該指定障害福祉サービスを受けていた者であって事業の廃止の日以後においても引き続 また,障害者総合支援法は,指定障害福祉サービス事業者が,事業の廃止の届出をしたときは,届出の日の前から1か月以内に当該指定障害福祉サービスを受けていた者であって事業の廃止の日以後においても引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する者に対し,必要な障害福祉サービスが継続的に提供されるよう 他の指定障害福祉サービス事業者その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない旨を定めているものの(43条4項),このほかに従業員等の解雇について特段の規制を設けていない。以上のように,株式会社であっても指定障害福祉サービス事業者の指定を受けることができることや障害者総合支援法が指定障害福祉サービス事業者による従業員 等の解雇について厳格な手続規制を定めていないことからすれば,指定障害福祉サービス事業者が利用者を解雇する場合について,通常の解雇の場合よりも,解雇の有効性について厳格に判断すべきとはいえず,原告らの主張を採用することはできない。 (2) 事業廃止の必要性 アまず,被告ネオユニットの経営状態を検討するところ,被告ネオユニットの決算報告書には,第1期,第2期,第3期のいずれも営業損失,経常損失,純損失を計上していることが記載されている(認定事実(1)ア)。これについて,原告らは,被告ネオユニットの決算報告書は粉飾決算である旨を主張する。しかし,被告ネオユニットの決算報告書の中で,明らかに真実と反する と認められるのは,被告B1の役員報酬とB2の賃金が実際には全く支給されていないのに,一定額が支給されていたとの部分のみであって(証人B2〔20頁〕,被告B1〔1,22頁〕),それ以外に原告らが主張する被告ネオユニットの決算報告書内の販売費及び一般管理費内訳書の記載が虚偽 ないのに,一定額が支給されていたとの部分のみであって(証人B2〔20頁〕,被告B1〔1,22頁〕),それ以外に原告らが主張する被告ネオユニットの決算報告書内の販売費及び一般管理費内訳書の記載が虚偽であるとかC1の売上がB2の塗装業に流用されていることを裏付ける的確な 証拠はない。そして,被告B1の役員報酬とB2の賃金の合計は,第1期に ついてはB2が受領した賃金が判然としないものの最大でも453万8930円(190万円+263万8930円),第2期が222万4000円(112万4000円+110万円),第3期が134万4000円(74万4000円+60万円)であり(認定事実(1)エ(ア)~(ウ)),これらの全額を被告ネオユニットの決算報告書に記載されている純損失(第1期は102 3万2290円,第2期は328万9686円,第3期は145万3045円)から差し引いたとしても,第1期から第3期において純損失を計上する状態であった(そもそも,経営者である被告B1が3期に渡って全く報酬を得られなかったこと自体,被告ネオユニットの経営状態が正常なものではなかったことを裏付けるものである。)。 また,被告ネオユニットは,収入の多くを自立支援給付としての訓練等給付費などの給付金や補助金に依存していたところ(認定事実(1)イ,ウ),C2が,平成29年3月末に被告ネオユニットを退職することになる結果として,被告ネオユニットが同年4月から受け取ることができる自立支援給付としての訓練等給付費が月額約20万円減額され(認定事実(1)カ),また,平 成29年4月からは改正された本件基準が施行され,原則として自立支援給付を利用者の賃金に充てることができない状況になっていた(前提事実(4))。 これについて,原告らは,経営改善計 ,また,平 成29年4月からは改正された本件基準が施行され,原則として自立支援給付を利用者の賃金に充てることができない状況になっていた(前提事実(4))。 これについて,原告らは,経営改善計画を提出すれば,経営改善期間中は自立支援給付を利用者の賃金に充てることができる制度となっていることを主張するが,この制度は今後経営状態が改善していくことを前提に一時的に 自立支援給付を利用者の賃金に充てることを許すものにすぎず(甲60〔31頁〕),被告ネオユニットの経営状態の悪化を根本的に止めることができるものとはいえない。 さらに,被告ネオユニットは,平成28年10月19日,札幌東年金事務所から,社会保険料を滞納したことを理由として,預金66万0306円を 差し押えられていた(認定事実(1)オ)。 以上の事実に鑑みれば,被告ネオユニットは設立当初から赤字経営だったのであり,さらに被告B1が,C1を閉鎖して,障害福祉サービス事業を終了することを決意した平成29年3月28日以降さらに悪化していく状況であったことが認められる。 イ(ア) 次に,C1の人員体制について検討するところ,原告A9は,被告B1 に対し,本件発言①を述べ,また,原告A9は,B2に対し,本件発言②を述べ,B2は,本件発言②を被告B1に伝えている(認定事実(3)ア)。 これらの事実からすれば,被告B1は,C1のスタッフ及び利用者のうち,利用者1名を除いて全員退職すると認識したものと認められるところ,新規スタッフを募集したものの見つけることができなかったこと(認定事実 (3)イ),被告B1自身は,C1において,生活支援員などの立場で利用者と関わったことがないこと(被告B1〔26~27頁〕)に鑑みれば,被告B1がC1の閉鎖を決意した平成29年3 (認定事実 (3)イ),被告B1自身は,C1において,生活支援員などの立場で利用者と関わったことがないこと(被告B1〔26~27頁〕)に鑑みれば,被告B1がC1の閉鎖を決意した平成29年3月28日以降,人員体制の点においても,C1の運営が苦境に陥ることは明らかであったといえる。 (イ) これに対して,原告らは,原告A9が述べた本件発言①及び②は,被告 B1に,C1の経営に誠実に携わってほしいという気持ちによるものであって真意によるものではなく,また,これまでのC1における原告A9の働きぶりを見ていれば,本件発言①及び②が真意ではないことを,被告B1は容易に認識できたのであるから,事業を廃止することの必要性は認められないと主張する。しかし,本件全証拠を精査してみても,被告B1が, 原告A9の上記発言が真意でなかったことを認識していたことを認めるに足りる証拠はないし,原告A9が,スタッフ全員が辞めるという点において同趣旨である本件発言①及び②を繰り返したこと,原告A9が,本件解雇予告通知書の配布までの間に,本件発言①及び②が真意ではなかったことを被告B1及びB2に説明していなかったこと(原告A9〔10頁〕) からすれば,被告B1が本件発言①及び②が真意ではなかったことを容易 に認識できたと認めることもできない。よって,原告らの主張は採用できない。 ウ以上のような被告ネオユニットの経営状態及びC1の人員体制に鑑みれば,被告B1が,平成29年3月28日に,C1を閉鎖して,障害福祉サービス事業を終了することを決意したことは合理的でやむを得ないものであ って,事業廃止の必要性を認めることができる。 (3) 解雇手続の妥当性本件において,被告ネオユニットは,本件解雇の1か月前に, することを決意したことは合理的でやむを得ないものであ って,事業廃止の必要性を認めることができる。 (3) 解雇手続の妥当性本件において,被告ネオユニットは,本件解雇の1か月前に,本件解雇予告通知書を利用者とスタッフに配布しており(認定事実(4)ア),また,弁護士ともに,利用者とスタッフに向けて,本件説明会を開催し,質疑応答の機会を設 けている(認定事実(4)イ)。さらに,札幌市障がい福祉課の担当者にC1の閉鎖の手続を相談しており,札幌市障がい福祉課の担当者からの指示を受け,利用者の受入先となる指定就労継続支援A型事業所を,実際のC1の利用者数である15人を上回る約30人分確保している(前提事実(5)エ,認定事実(5))。 そうすると,被告ネオユニットは,労働者である利用者やスタッフに対して, 解雇の必要性・合理性について納得を得るための説明等を行う努力を果たし,かつ労働者の再就職先を手配したといえるのであって,被告B1が事業の終了を決意した時点からC1を閉鎖するまでの約1か月間で(認定事実(3)イ,(6)),できる限り努力を尽したものと認めることができる。 よって,解雇手続の妥当性も認められる。 (4) 以上によれば,被告B1が,平成29年3月28日に,C1を閉鎖して,障害福祉サービス事業を終了することを決意したことは合理的でやむを得ないものであるから,ⅰ事業廃止の必要性が認められ,また,ⅱ解雇手続も妥当であったといえるのであるから,解雇権の濫用があったとは認められず,本件解雇は有効である。 3 被告ネオユニット及び被告B1の利用者に対する配慮義務について (1) 本件で,利用者は,「知的障害」や「精神障害」を有しており,自己の理解を超える情報を受けた場合には,体調を悪 3 被告ネオユニット及び被告B1の利用者に対する配慮義務について (1) 本件で,利用者は,「知的障害」や「精神障害」を有しており,自己の理解を超える情報を受けた場合には,体調を悪化させるという特性を持っており,この特性は体調を悪化させるきっかけや状況などの点において原告ら利用者一人一人異なるものであった(前提事実(5)エ)。そして,被告ネオユニットは,就労継続支援A型の事業を行う者として,当然に利用者の上記特性を把握して いたのであるから,各利用者の体調が悪化することのないように障害の特性に応じた配慮を行う義務を利用者に対し負っていたというべきである。そして,本件においては,利用者の特性に対する配慮として,利用者に本件解雇予告通知書を配布した平成29年3月30日から本件説明会を開催した同年4月18日までの間に,C1のスタッフに指示を出したり,被告ネオユニットの代表 取締役である被告B1がC1を訪れるなどして,各利用者が本件解雇の経緯や再就労先などについて十分な理解ができるように,丁寧な説明や質疑応答を行う場や機会を個別に設けることが可能であった。しかし,被告ネオユニットは,スタッフ及び利用者の全員を一括して約1時間のみ本件解雇の経緯や再就労先についての説明や質疑応答を行ったにすぎず(本件説明会,認定事実(4)イ), 被告B1から,C1のスタッフに対し利用者の対応についての指示が出されたり,被告B1自身がC1を訪れた事実はないのであって(認定事実(4)ウ),各利用者が本件解雇の経緯や再就労先などについて十分な理解ができるように,丁寧な説明や質疑応答を行う場や機会が個別に設けられることはなかった。これらの事情に照らせば,被告ネオユニットは,各利用者の体調が悪化すること のないよう障害の特性に応じた 解ができるように,丁寧な説明や質疑応答を行う場や機会が個別に設けられることはなかった。これらの事情に照らせば,被告ネオユニットは,各利用者の体調が悪化すること のないよう障害の特性に応じた配慮を行う義務を怠ったものと認められる。 (2) 被告B1は,被告ネオユニットの代表取締役として,被告ネオユニットに各利用者の体調が悪化することのないように障害の特性に応じた配慮をする義務を遵守させることを被告ネオユニットに対する義務として負っていたということができる。しかし,前記で説示したとおり,被告ネオユニットは上記義 務を怠ったのであるから,被告B1は,被告ネオユニットに対する義務を怠っ たといえるのであり,また,被告B1は,被告ネオユニットの唯一の取締役であって(前提事実(5)ア),急に自己の理解を超える情報を受けると体調が悪化することがあるという利用者の特性を認識していたことに鑑みれば(被告B1〔25頁〕),義務違反の程度は著しいといえるから,任務懈怠について重過失が認められる。 (3) その結果,利用者は,本件解雇の経緯について理解できずに困惑したり,再就労先を含めた将来について不安を覚えるなど(利用者中には,泣き出す,過呼吸になる,パニック発作になるなどの身体症状が現れた者もいる。)(認定事実(4)ア,イ),相当程度の精神的苦痛を受けたものと認められる。これに相応の慰謝料の額としては,被告ネオユニットの義務違反につき,利用者各人につ いて5万円,被告B1の義務違反につき,利用者各人について5万円をもって相当と認める。なお,原告らは,B2が,原告A5を屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に従事させたことも,慰謝料の額に関する事情として主張するが,原告A5が屋根の上など生命身体への危 て相当と認める。なお,原告らは,B2が,原告A5を屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に従事させたことも,慰謝料の額に関する事情として主張するが,原告A5が屋根の上など生命身体への危険がある場所で塗装業務に従事したとしても,それによって原告A5を含む原告ら利用者がいかな る精神的苦痛を負ったのか証拠上明らかではない以上,慰謝料額の算定には考慮しないものとする。 また,これと相当因果関係を有する弁護士費用は,被告ネオユニットの義務違反につき5000円,被告B1の義務違反につき5000円をもって相当と認める。 (4) なお,原告らは,原告A9及び原告A3についても,被告ネオユニットについては不法行為に基づき,被告B1については会社法429条1項に基づき,損害賠償を求めているが,上記3(1)の被告ネオユニットが負う義務は,「知的障害」や「精神障害」を有する利用者に対して負うものであり,また,被告B1が負う義務は被告ネオユニットが利用者に対して負う義務が前提になって いるのであるから,原告A9及び原告A3の損害賠償請求は認められない。 4 被告B1のその他の義務違反について(1) 原告らは,障害者総合支援法の規定の趣旨からすれば,被告B1は,被告ネオユニットが本件人員基準に満たない状態に陥らないように人員体制を構築する義務,人員の変動により本件人員基準に満たない状態になることを回避する義務,人員の変動により本件人員基準に満たない状態になった場合には,速 やかに人員を確保する義務を負っていたのに,これを怠ったと主張する。 しかし,障害者総合支援法は,43条1項で,指定障害福祉サービス事業者は,本件人員基準を満たす従業者を有していなければならないことを定め,また,49条1 を負っていたのに,これを怠ったと主張する。 しかし,障害者総合支援法は,43条1項で,指定障害福祉サービス事業者は,本件人員基準を満たす従業者を有していなければならないことを定め,また,49条1項1号で本件人員基準に適合していない場合には,都道府県知事が本件人員基準を遵守するように勧告できることを定めていることからすれ ば,指定障害福祉サービス事業者に,本件人員基準を遵守することを義務として要求していることは読み取れるものの,これを超えて,原告らが主張する義務を課しているものとは認められない。そして,被告ネオユニットは,平成29年3月からC1が閉鎖するまでの間,本件人員基準を遵守していたのであるから(前提事実(3),(5)ア,ウ,(6)),被告B1に義務違反はなく,原告らの 主張は採用することができない。 なお,原告らは,被告ネオユニットが,平成28年4月から5月にかけて,サービス管理責任者が不在であり,本件人員基準を遵守していなかった事実を主張して,被告B1に対して損害賠償請求を求めるが,かかる時期に本件人員基準を遵守していなかったことと,原告らが被った精神的苦痛が因果関係を有 すると認める証拠はない以上,原告らの主張は採用できない。 (2) また,原告らは,本件解雇は,労働契約法16条に違反することを前提として,被告B1が,労働契約法16条に違反する解雇を行わない義務を負っていたのに,これ怠ったと主張する。 しかし,本件解雇は,前記で説示したとおり,労働契約法16条に違反する ものではなく,適法なものであるから,原告らの主張は採用できない。 第5 結論以上のとおり,原告らの請求は,原告ら利用者が,被告ネオユニットに対して民法710条に基づきそれぞれ損害賠償金5万5000円及び のであるから,原告らの主張は採用できない。 第5 結論以上のとおり,原告らの請求は,原告ら利用者が,被告ネオユニットに対して民法710条に基づきそれぞれ損害賠償金5万5000円及び遅延損害金の支払を求める限度で,被告B1に対して会社法429条1項に基づきそれぞれ損害賠償金5万5000円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し(被告らの原告ら利用者各自に対する支払は不真正連帯債務の関係にある。),その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官 髙木勝己 裁判官 間明宏充 裁判官 豊富育
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