本件は、上告人が原審の証拠取捨判断と事実認定に対して上告した事案である。主要な争点は、原審における証拠の取捨判断が適切であったか、また、被上告人が賃借した漁業権の存続期間に関する法的解釈である。最高裁判所は、民事訴訟において伝聞証言も証拠能力を有し、その採否は裁判官の自由な心証に基づくとし、原判決の事実認定に違法はないと判断した。また、漁業権については新漁業法施行後も存続するとの原審の判断を支持した。これにより、上告は棄却され、上告費用は上告人の負担となった。判決は、原審の判断が正当であることを確認し、上告人の主張を退ける結果となった。
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人庄司作五郎の上告理由第一点及び同鈴木義男、滝内礼作の上告理由について。 所論は、原審における証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰する。民事訴訟においては伝聞証言であつても証拠能力がないわけではなく、その採否は裁判官の自由な心証による判断に委されているものと解すべきであることは、すでに当裁判所の判示したとろである(昭和二五年(オ)一八一号同二七年一二月五日第二小法廷判決、集六巻一一号一一一七頁)。そして、原判決挙示の証拠によれば、原判示事実は認定し得られるのであるから、原判決には経験則に違反して事実を認定した違法はない。 上告代理人庄司作五郎の上告理由第二点について。 原判決の認定する事実によれば、被上告人が訴外無限責任D漁業協同組合から賃借した本件漁業権(宮城県定置漁業権免許第二〇〇六号)は、昭和二五年一二月三日まで存続するものであつたのであるから、所論新漁業法及び新漁業法施行法(昭和二四年法律二六七号、二六八号)が公布施行された結果、本件漁業権は右施行法一条により、少くとも新漁業法が施行された昭和二五年三月一四日より二年間存続し、被上告人は右漁業権の賃借人として同施行法四条の保護を受くべき地位にあるものと解するを相当とするので、これと同趣旨の原審判断は正当であつて論旨は理由がない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 - 1 -最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官島保裁判官河村又介裁判官小林俊 法廷裁判長裁判官島保裁判官河村又介裁判官小林俊三裁判官垂水克己裁判官高橋潔- 2 -
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