昭和48(オ)235 詐害行為取消請求

裁判年月日・裁判所
昭和48年11月30日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和46(ネ)1045
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判決文本文1,479 文字)

主文 原判決を破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人坂井熙一の上告理由について。原判決は、一般に債務超過の状態にある債務者が特定の債権者に対し、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡した場合には、譲渡された債権の額が右債権者に対する債務の額を超過するときにかぎり、その超過する額について右債権者が利益を得たものとして、その利益の取得行為の取消および他の一般債権者に対する右利益の返還が問題となりうるのであつて、若し右債権者が債務者から譲渡を受けた債権の額が債務者に対する自己の債権の額を超えない場合には、債権譲渡を受けることによつて自己の債権も消滅し、したがつてなんら利益を得たことにはならないのであるから、この場合には、その債権者が自己の債権について弁済を受けたにすぎない場合と同様に、債務者に詐害の意思の有無にかかわらず、詐害行為の成立が問題となる余地はないものと解すべきであるとし、且つ、本件はまさしくそのような場合にあたるとして、債務者の詐害の意思の有無について判断することなく、上告人らの請求をいずれも排斥した。しかしながら、原判決の右判断は、これを是認することができない。けだし、債務超過の状態にある債務者が、他の債権者を害することを知りながら特定の債権者と通謀し、右債権者だけに優先的に債権の満足を得させる意図のもとに、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡したときは、たとえ譲渡された債権の額が右債権者に対する債務の額を超えない場合であつても、詐害行為として取消の対象になるものと解するのが相当だからである(大審院大正六年(オ)第一五三号同年六月七日判決・民録二三輯九三二頁、同大正八年(オ)第一九三号同年七月一- 1 -一日判決・民録二 害行為として取消の対象になるものと解するのが相当だからである(大審院大正六年(オ)第一五三号同年六月七日判決・民録二三輯九三二頁、同大正八年(オ)第一九三号同年七月一- 1 -一日判決・民録二五輯一三〇五頁、同昭和一五年(オ)第一一五六号同一六年二月一〇日判決・民集二〇巻七九頁、最高裁昭和二六年(オ)第七四四号同二九年四月二日第二小法廷判決・民集八巻四号七四五頁、同昭和三七年(オ)第一〇七号同三九年一一月一七日第三小法廷判決・民集一八巻九号一八五一頁参照)。 大審院大正六年(オ)第一五三号同年六月七日判決・民録二三輯九三二頁、同大正八年(オ)第一九三号同年七月一- 1 -一日判決・民録二五輯一三〇五頁、同昭和一五年(オ)第一一五六号同一六年二月一〇日判決・民集二〇巻七九頁、最高裁昭和二六年(オ)第七四四号同二九年四月二日第二小法廷判決・民集八巻四号七四五頁、同昭和三七年(オ)第一〇七号同三九年一一月一七日第三小法廷判決・民集一八巻九号一八五一頁参照)。したがつて、原判決が、債務者の詐害の意思の有無についてなんら判断を示すことなく詐害行為の成立を否定し、上告人らの請求を排斥したのは、民法四二四条の解釈を誤り、ひいては審理不尽または理由不備の違法があるものというべきであり、この違法は原判決の結論に影響することが明らかであつて、論旨はこの点において理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件は、右の点についてさらに審理を尽くす必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官岡原昌男裁判官小川信雄裁判官大塚喜一郎裁判官吉田豊- 2 -

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