本件は、原告株式会社フェスカンパニーが被告有限会社プラスビーインターナショナルに対して、商標権侵害に基づく損害賠償及び不当利得返還を求めた訴訟である。原告は、被告がライセンス契約に基づかずに商標を使用し、ロイヤリティを受け取ったことを主張した。主要な争点は、被告の商標権侵害の有無と、原告が請求する損害賠償額の妥当性である。裁判所は、被告が出廷せず、請求事実を自白したと認定し、原告の主張を支持した。判決では、被告に対し624万4286円の支払いを命じ、その他の請求は棄却された。さらに、遅延損害金の支払い義務も認められた。判決は、原告の請求の一部を認める形で結論付けられた。
平成29年1月30日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第7450号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成29年1月16日判決 原告株式会社フェスカンパニー 同訴訟代理人弁護士片岡利雄 被告有限会社プラスビーインターナショナル 主文 1 被告は,原告に対し,624万4286円及びうち452万6534円に対する平成28年7月30日から,うち83万5547円に対する平成28年10月22日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,672万8682円及びうち563万7167円に対する平成28年7月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 請求原因原告は,別紙「請求の原因」のとおり,請求の原因を述べた。 第3 当裁判所の判断 1 被告は,適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しないから,請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め,これを自白したものとみなす。 2 本件原契約及び本件ライセンス契約による本件登録商標の使用料支払請求並びに本件商標権侵害の不法行為による損害賠償請求について(1) 争いのない事実(別紙「請求の原因」3,4)のとおり,被告は,トキ社から別紙「使用料及び損 約による本件登録商標の使用料支払請求並びに本件商標権侵害の不法行為による損害賠償請求について(1) 争いのない事実(別紙「請求の原因」3,4)のとおり,被告は,トキ社から別紙「使用料及び損害賠償金計算書」の「日付」欄記載の日にロイヤリティの支払を受け,その80%相当額は,同計算書の「ロイヤリティ」欄記載のとおりである。また,同計算書を別紙「損害賠償金等一覧表」と対照すると,本件ライセンス契約に基づいて平成23年12月31日までに発生したロイヤリティは,同計算書の「日付」欄の「2012/1/30」までに支払われたものであり,平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティは,同計算書の「日付」欄の「2012/3/23」以降に支払われたものである(別紙「請求の原因」4のとおり,同計算書の「日付」欄の日にちは,入金日である。)。 (2) 本件ライセンス契約期間中に係る使用料支払請求ついてこのうち,平成23年12月31日までに発生したロイヤリティの80%相当額について,被告は,原告に対し,本件原契約及び本件ライセンス契約による本件登録商標の使用料として支払う義務を負い,各支払日以降に発生する約定の年20%の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 (3) 本件ライセンス契約終了後に係る損害賠償請求ついてトキ社が本件ライセンス契約終了後に本件登録商標を使用して指定商品を販売した行為は,本件商標権侵害の不法行為に当たる。そして,被告は,本件ライセンス契約終了後も原告に無断でトキ社に本件登録商標の使用許諾をした上で,それに基づいてトキ社が本件登録商標を使用して指定商品を販売したことについて,トキ社からロイヤリティの支払を受けたのであるから,被告は,本件ライセンス契約終了 後に原告に無断で本件登録商標を使用して指定商品を販 社が本件登録商標を使用して指定商品を販売したことについて,トキ社からロイヤリティの支払を受けたのであるから,被告は,本件ライセンス契約終了 後に原告に無断で本件登録商標を使用して指定商品を販売したことについて,トキ社とともに本件商標権侵害の共同不法行為責任を負うと認めるのが相当である。 そして,本件ライセンス契約において,指定商品の製造・販売の際に本件登録商標を使用することに対して,売上げの5.5%のロイヤリティを支払う旨が定められていたことに鑑みると,本件商標権侵害の上記不法行為により原告が被った損害額(本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額)は,上記のロイヤリティと同じく,トキ社の売上げの5.5%相当額であると認められる。したがって,本件で原告が請求する平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティの80%相当額はこの範囲内にあるから,被告は,原告に対し,同額について本件商標権侵害の不法行為による損害賠償義務を負い,不法行為日である各支払日以降に発生する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 そうすると,少なくとも,原告が主張するように,別紙「使用料及び損害賠償金計算書」記載のとおり,平成28年7月29日の時点で,被告は,原告に対し,使用料及び損害金の元金452万6534円並びに遅延損害金88万2205円を支払う義務を負い,これに加えて,上記元金452万6534円に対する同月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 3 不当利得返還請求について(1) 争いのない事実(別紙「請求の原因」3,5)のとおり,被告は,トキ社から別紙「不当利得金計算書」の「日付」欄記載の日にロイヤリティの支払を受け,その20%相当額は,同計算書の「不当利得金」欄記載 ) 争いのない事実(別紙「請求の原因」3,5)のとおり,被告は,トキ社から別紙「不当利得金計算書」の「日付」欄記載の日にロイヤリティの支払を受け,その20%相当額は,同計算書の「不当利得金」欄記載のとおりである。また,同計算書を別紙「損害賠償金等一覧表」と対照すると,本件ライセンス契約に基づいて平成23年12月31日までに発生したロイヤリティは,同計算書の「日付」欄の「2012/1/30」までに支払われたものであり,平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティは,同計算書の「日付」欄の「2012/3/23」以降に支払われたものである(別紙「請求の原因」5のとおり,同計算書の「日付」欄の日にちは,入金日である。)。 (2) 本件ライセンス契約期間中に係る不当利得返還請求ついて被告は,本件ライセンス契約期間中は,同契約及び本件原契約に基づいて,トキ社から支払われたロイヤリティの20%相当額をコミッションとして受領する権利を有するため,被告が法律上の原因なく同額の利益を受け,そのために原告に同額の損失を及ぼしたと認めることはできない。 これに対し,原告は,本件ライセンス契約期間中,被告が原告に対して最低ロイヤリティを支払う程度しか販売できなかった旨の虚偽の報告をしており,信義則違反ないし権利濫用の法理に基づき,同契約終了後と同様に,被告には,トキ社からロイヤリティの20%相当額の支払を受ける法的根拠がない旨主張する。 しかし,被告が販売実績について虚偽の報告をしたことが,契約上の信義則に違反するものであるとしても,本件原契約及び本件ライセンス契約が解除されずに有効に存続しており,それら契約中で虚偽報告がされた場合に被告のコミッションの受領権が消滅するとの合意がされたともうかがわれない以上,虚偽報告によって,直ちに被告 び本件ライセンス契約が解除されずに有効に存続しており,それら契約中で虚偽報告がされた場合に被告のコミッションの受領権が消滅するとの合意がされたともうかがわれない以上,虚偽報告によって,直ちに被告がトキ社からロイヤリティの20%相当額を受領する権利まで失うと解することはできず,原告の上記主張は,採用することができない。 (3) 本件ライセンス契約終了後に係る不当利得返還請求ついて登録商標が無断使用された場合,商標権者は,無断使用者に対し,不当利得返還請求としても,使用料相当額の支払を請求することができると解されるところ,前記2(3)のとおり,被告は,本件ライセンス契約終了後もトキ社に本件登録商標の使用許諾をした上で,それに基づいてトキ社が本件登録商標を使用して指定商品を販売したことについて,トキ社からロイヤリティの支払を受けており,被告は,トキ社とともに本件商標権侵害の共同不法行為責任を負う立場にあることからすると,被告がトキ社からロイヤリティの支払を受けたことは,原告との関係で,法律上の原因を欠く利得を得たものというべきであり,原告は同額の損失を受けたものというべきである。 そして,本件で原告が請求する平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティ の20%相当額はこの範囲内にあり,かつ,前記2(3)での不法行為に基づく損害賠償請求とも重複しないから,被告は,原告に対し,不当利得である平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティの20%相当額を返還する義務を負う。そして,同日以降に発生したロイヤリティの20%相当額は,別紙「不当利得金計算書」の「日付」欄の「2012/3/23」以降に支払われたものであり,その合計額は,同計算書の「(判決注)」記載のとおり,83万5547円である。 また,被告が原告に対して負う不当利 当利得金計算書」の「日付」欄の「2012/3/23」以降に支払われたものであり,その合計額は,同計算書の「(判決注)」記載のとおり,83万5547円である。 また,被告が原告に対して負う不当利得返還義務は期限の定めのない債務であるから,被告は,原告に対し,訴状送達の日の翌日以降,民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う(したがって,原告の被告に対する各支払日以降の遅延損害金の支払請求は,理由がない。)。 そうすると,同計算書記載のとおり,被告は,原告に対し,不当利得金83万5547円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成28年10月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 4 よって,原告の被告に対する,本件原契約及び本件ライセンス契約による使用料支払請求権並びに本件商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,540万8739円(使用料及び損害金の元金452万6534円並びに遅延損害金88万2205円)及びうち上記元金452万6534円に対する平成28年7月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は理由があるからこれを認容することとし,原告の被告に対する不当利得返還請求は,不当利得金83万5547円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成28年10月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 田原美奈子 裁判官 林啓治郎 (別紙)請求の原因 1 原告の商標権原告は,別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい,この商標権に係る登録商標を「本件登録商標」という。)を有している。 2 ライセンス契約及び原契約の締結(1) 被告は,原告の許諾の下,株式会社トキ(以下「トキ社」という。)との間で,平成21年7月6日,本件登録商標(商標登録番号:第4175346号・商品群:サーフトランクス(紳士,子供),ラッシュガード(紳士,婦人,子供)・類番:25)を使用した商品化許諾の三者契約(以下「本件ライセンス契約」という。)を締結した。 原告は,本件ライセンス契約において,下記のとおり,トキ社が製造・販売する指定商品(サーフトランクス(紳士,子供),ラッシュガード(紳士,婦人,子供))について,本件登録商標を使用することを許諾した。 記契約期間平成23年12月31日までロイヤリティ売上げから5.5%(内訳ロイヤリティ5% ュガード(紳士,婦人,子供))について,本件登録商標を使用することを許諾した。 記契約期間平成23年12月31日までロイヤリティ売上げから5.5%(内訳ロイヤリティ5% 宣伝広告費0.5%)最低ロイヤリティ1年度(契約締結日から平成22年12月31日まで)50万円2年度(平成23年1月1日から同年12月31日まで)50万円遅延損害金の割合年20%自動更新条項なし(2) 原告と被告は,原契約として,原告が本件ライセンス契約のロイヤリティの80%を原告から被告への本件登録商標の使用料として取得し,被告が本件ライ センス契約のロイヤリティの20%をコミッション(手数料)として取得する旨を合意した(以下「本件原契約」という。)。 3 被告によるトキ社との間での本件登録商標の使用及びロイヤリティの受領被告は,本件ライセンス契約期間中,トキ社から受け取った販売実績報告書の数字を大幅に減額し,虚偽の内容の販売実績報告書を原告に渡し,原告に対し,最低ロイヤリティを支払う程度しか販売できなかった旨の虚偽の報告をし,平成22年及び平成23年に,それぞれ最低ロイヤリティの80%である42万円(消費税込み),合計して84万円しか支払わなかった。 また,被告は,本件ライセンス契約の期間が経過した後も,トキ社との契約が2年で終了したと原告に虚偽の報告をし,改めて契約書を交わすことなく,原告に無断で,トキ社との間で,本件登録商標を使用した指定商品の販売を継続して,トキ社とともに本件商標権を侵害し,トキ社からロイヤリティの支払を受け続けた。 そして,被告がトキ社から支払を受けたロイヤリティにつき,請求書の年月,金額,80%相当額及び20%相当額は,それぞれ,別紙「損 もに本件商標権を侵害し,トキ社からロイヤリティの支払を受け続けた。 そして,被告がトキ社から支払を受けたロイヤリティにつき,請求書の年月,金額,80%相当額及び20%相当額は,それぞれ,別紙「損害賠償金等一覧表」の「請求書年月」,「ロイヤリティ支払」,「80%」及び「20%」の各欄記載のとおりである。このうち,「請求書年月」欄の「平成22年2月」分及び「平成23年3月」分については,上記のとおり,原告は,被告から,最低ロイヤリティとして既に支払を受けた。また,被告が1回目のPJ’Sサーフ大会協賛金として受領した「請求書年月」欄の「平成22年7月」分のロイヤリティの支払は,本件ライセンス契約期間中に開催されたサーフィン大会における本件登録商標の使用に基づくものである。 4 被告の原告に対するロイヤリティの80%相当額の支払義務被告がトキ社から支払を受けたロイヤリティの支払日及びその80%相当額は,それぞれ,別紙「使用料及び損害賠償金計算書」の「日付」及び「ロイヤリティ」の各欄記載のとおりである(「日付」欄の日にちは入金日であり,2回の分割払の場合は2回目の入金日である。)。 ここで,被告は,原告に対し,本件原契約による本件登録商標の使用料として,本件ライセンス契約に基づいて平成23年12月31日までに発生したロイヤリティの80%相当額及びこれに対する約定の年20%の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 また,被告は,原告に対し,トキ社と連帯して,本件商標権侵害の不法行為による損害賠償として,平成24年1月1日以降に発生したロイヤリティの80%相当額及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 そうすると,別紙「使用料及び損害賠償金計算書」記載のとおり,平成28年7月29日の時点で したロイヤリティの80%相当額及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 そうすると,別紙「使用料及び損害賠償金計算書」記載のとおり,平成28年7月29日の時点で,被告は,原告に対し,使用料及び損害金の元金452万6534円並びに遅延損害金88万2205円を支払う義務を負う。 5 被告の原告に対するロイヤリティの20%相当額の支払義務被告がトキ社から支払を受けたロイヤリティの支払日及びその20%相当額は,それぞれ,別紙「不当利得金計算書」の「日付」及び「不当利得金」の各欄記載のとおりである(「日付」欄の日にちの意味は,別紙「使用料及び損害賠償金計算書」の「日付」欄の日にちの意味と同じである。)。 ここで,被告は,本件ライセンス契約期間経過後は,サブライセンサーではなくなり,無権利者であり,被告には,トキ社からロイヤリティの20%相当額の支払を受ける法的根拠がない。 また,被告は,前記3のとおり,本件ライセンス契約期間中,原告に対し,最低ロイヤリティを支払う程度しか販売できなかった旨の虚偽の報告をしており,信義則違反ないし権利濫用の法理に基づき,本件ライセンス契約期間中についても同様に,被告には,トキ社からロイヤリティの20%相当額の支払を受ける法的根拠がない。 したがって,被告は,原告に対し,不当利得として,ロイヤリティの20%相当額及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。 そうすると,別紙「不当利得金計算書」記載のとおり,平成28年7月29日の 時点で,被告は,原告に対し,不当利得金111万0633円及び遅延損害金20万9310円を支払う義務を負う。 6 結論よって,原告は,被告に対し,本件原契約及び本件ライセンス契約による本件登 時点で,被告は,原告に対し,不当利得金111万0633円及び遅延損害金20万9310円を支払う義務を負う。 6 結論よって,原告は,被告に対し,本件原契約及び本件ライセンス契約による本件登録商標の使用料支払請求権並びに本件商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,540万8739円(使用料及び損害金の元金452万6534円並びに遅延損害金88万2205円)及びうち上記元金452万6534円に対する平成28年7月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不当利得返還請求権に基づき,131万9943円(不当利得金111万0633円及び遅延損害金20万9310円)及びうち上記不当利得金111万0633円に対する平成28年7月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 以上 (別紙)商標権目録登録番号商標登録第4175346号出願日平成8年10月17日出願番号 08-118172査定年月日平成10年5月6日区分の数 1商品及び役務の区分第25類指定商品被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴登録年月日平成10年8月7日(存続期間の更新登録)申請年月日平成20年7月18日登録年月日平成20年7月29日以上 主文 0年7月29日以上
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