本件は、被告人が窃盗のために住居に侵入し、発見された被害者を殺害した強盗殺人事件である。事件の概要として、被告人は罰金刑を受ける見込みから金品を得る目的で侵入し、被害者Aをモンキーレンチで殴打して殺害し、さらにBとCに対しても暴行を加えた。主要な争点は、憲法31条及び36条違反の主張や量刑不当の主張であったが、最高裁はこれらの主張を退け、死刑制度が憲法に違反しないと判断した。判決の結論として、被告人の刑事責任は極めて重大であり、第一審の死刑判決を維持することが適当であるとされた。
- 1 -平成27年(あ)第1585号住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂,窃盗被告事件平成30年9月6日第一小法廷判決 主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人山本彰宏,同永里桂太郎の上告趣意のうち,憲法31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人が,(1)窃盗事件を起こして検察官から罰金刑に処せられる見込みである旨告げられて,罰金の支払に充てる資金を犯罪によって手に入れようと考え,金品窃取の目的で,A方に侵入して物色中,Aに発見されるや,金品を強取することを決意し,A(当時57歳)をモンキーレンチで殴打するなどして殺害し,Aの二男B(当時26歳)を包丁で突き刺すなどして殺害し,その後帰宅したAの三男C(当時25歳)をクラフトナイフで突き刺すなどして殺害しようとしたが,死亡させるに至らず,その際,金品を強取したという住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂のほか,(2)携帯電話機や普通乗用自動車を窃取したという窃盗2件から成る事案である。 - 2 -(1)の犯行は,Aの頭部等をモンキー ,金品を強取したという住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂のほか,(2)携帯電話機や普通乗用自動車を窃取したという窃盗2件から成る事案である。 - 2 -(1)の犯行は,Aの頭部等をモンキーレンチで繰り返し20回くらい打ち付けるなどの激しい暴行を加えて殺害し,次いで,Aに暴行を加えていた現場に現れたBに対し,その両手を縛るなどして抵抗できない状態にした上で,左背部を包丁で数回突き刺して殺害し,さらに,その数時間後に帰宅して無防備な状態でいたCに対し,その背後から近づき,頸部等をクラフトナイフで数回突き刺すなどしたというものである。このように,被告人は,殺害行為等を思いとどまる機会が存したにもかかわらず,その都度,凶器を手にして犯行に及んでおり,その態様は,いずれも強固な殺意に基づく執拗かつ無慈悲で残酷なものといわざるを得ない。何ら落ち度のない2名の生命が奪われた結果は重大であり,Cを含む遺族らが厳しい処罰感情を示しているのも当然である。被告人は,罰金の支払に充てる資金欲しさから(1)の犯行に及んでおり,自己中心的で身勝手な動機に酌量の余地はない。 以上の諸事情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず,(1)の犯行は侵入当初から殺害を計画していたものではないこと,被告人が被害者らに対する謝罪の意思を表明していること,(1)の犯行前は前科がなかったことなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官名倉俊一公判出席(裁判長裁判官木澤克之裁判官小池裕裁判官山口厚裁判官深山卓也 6条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官名倉俊一公判出席(裁判長裁判官木澤克之裁判官小池裕裁判官山口厚裁判官深山卓也)
▼ クリックして全文を表示