本件は、大阪府豊能郡の住民が、焼却施設の設計・建設を行った三井造船株式会社に対し、ダイオキシン類の発生による環境汚染とそれに伴う損害賠償を求めた住民訴訟である。主要な争点は、組合が被告に対する損害賠償請求権を行使しないことに対する住民の訴訟適法性であり、裁判所は、組合の財産管理の怠りが存在しないと判断した。判決は原告らの請求を棄却し、訴訟費用は原告の負担とする結論に至った。
主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,豊能郡環境施設組合に対し,各自38億4005万2695円及びこれに対する平成13年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,大阪府豊能郡α及び同郡βの住民である原告らが,被告三井造船株式会社(以下「被告三井造船」という。)が豊能郡環境施設組合(以下「組合」という。)から設計及び建設を受注した焼却施設に構造的欠陥があり,また,被告らによる上記焼却施設の運転管理が不適切であったために,上記焼却施設から多量のダイオキシン類が生成・放出され,上記焼却施設及び周辺地域がダイオキシン類に汚染されたから,これによって損害を被った組合は被告らに対して債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているところ,組合管理者は上記損害賠償請求権を行使せず,その管理を怠っているなどと主張し,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号の規定により,組合に代位して,上記怠る事実の相手方である被告らに対し,組合に対して損害金のうち38億4005万2695円及びこれに対する各訴状送達日の翌日である平成13年4月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求めている住民訴訟である。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠〔書証番号は特記しない限り枝番を含む。以下同じ。〕等により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告らは,α又はβの住民である(甲1)。 イ被告三井造船は,国内における焼却処理施設等の廃棄物処理施設のトップメーカーの1つ 認められる事実)(1) 当事者等ア原告らは,α又はβの住民である(甲1)。 イ被告三井造船は,国内における焼却処理施設等の廃棄物処理施設のトップメーカーの1つであり,被告三造環境エンジニアリング株式会社(以下「被告三造環境」という。)は,被告三井造船の完全子会社である。 ウ組合は,豊能町及び能勢町が,一般廃棄物処理等の事務を共同処理するため,地方自治法284条2項の規定に基づき,昭和61年に設立した一部事務組合である。 (2) 本件焼却施設ア被告三井造船は,昭和61年9月25日,組合との間で,大阪府豊能郡β所在の豊能郡環境γ内に,1日当たり16時間の運転により53トン(26.5トン×2系列)の一般廃棄物を焼却処理する能力を有する流動床式(准連続式)焼却炉を備えたごみ焼却処理施設(以下「本件焼却施設」という。)の建設工事を代金11億6000万円で請け負う旨の契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。被告三井造船は,本件請負契約に基づいて本件焼却施設の建設工事を行い,昭和63年3月,本件焼却施設を竣工し,組合に引き渡した。 イ同年4月1日,本件焼却施設において,α及びβ内から排出される一般廃棄物の焼却処理が開始された。組合は,本件焼却施設の運転管理業務を,同月から平成3年3月までは被告三井造船に,同年4月以降は被告三造環境にそれぞれ委託していた。 ウ組合は,平成9年1月29日,厚生省(当時の名称。以下同じ。)の指示に基づき,本件焼却施設におけるダイオキシン類の排出濃度の測定を実施したところ,厚生省が緊急対策の実施の基準値としていた80ng-TEQ/Nm3を上回る180ng-TEQ/Nm3であることが判明し,同年5月2日に行った再測定の結 ダイオキシン類の排出濃度の測定を実施したところ,厚生省が緊急対策の実施の基準値としていた80ng-TEQ/Nm3を上回る180ng-TEQ/Nm3であることが判明し,同年5月2日に行った再測定の結果も,150ng-TEQ/Nm3であった。その後,組合が同年8月から平成10年12月にかけて3回にわたって行った環境調査及び厚生省が同年7月に行った調査においても,本件焼却施設内及び本件焼却施設周辺各地点において高濃度のダイオキシン類汚染(以下「本件汚染」という。)が発生していることが判明した。なお,ダイオキシン類とは,ポリ塩化ジベンゾフラン,ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルの総称である(ダイオキシン類対策特別措置法2条1項参照)。 エ本件焼却施設は,平成9年6月6日まで稼働していたが,同月7日に休炉となり,平成10年10月には廃炉が決定され,平成12年3月に解体された。 (3) 本件公害調停ア α及びβの住民,大阪府立能勢高等学校関係者,豊能郡γ従業員ら合計1134名(その後申請を取り下げた者を除く。)の申請人らは,平成10年9月10日,同年12月4日及び平成11年8月30日の3次にわたって,能勢町,豊能町,組合,被告三井造船,被告三造環境等を被申請人として,公害紛争処理法26条1項の規定に基づき,大阪府公害審査会に対し,公害調停の申請をした(大阪府公害審査会平成10年(調)第2,3号,同平成11年(調)第3号事件。以下「本件公害調停事件」という。)。上記申請において,申請人らは,組合,豊能町及び能勢町に対し,健康調査,土壌汚染調査,水質調査,農作物の調査及び風評被害の調査等の実施並びに健康被害,土壌汚染,農作物被害及び風評被害に係る補償金の支払を求めるとともに,被告らに対 合,豊能町及び能勢町に対し,健康調査,土壌汚染調査,水質調査,農作物の調査及び風評被害の調査等の実施並びに健康被害,土壌汚染,農作物被害及び風評被害に係る補償金の支払を求めるとともに,被告らに対し,連帯して,組合,豊能町及び能勢町に対し上記各調査の費用及び上記各補償金を補てんするよう求めていた(乙1)。 イ本件公害調停事件の申請人らのうちα及びβの住民ら48名は,平成10年10月9日,組合監査委員に対し,被告らに対して本件焼却施設の設計・製造及び適切な運転管理の懈怠により高濃度のダイオキシン類等の危険物質を発生させたことによる損害として11億6000万円の賠償を求めることを組合管理者に勧告するよう求める旨の住民監査請求(以下「旧監査請求」という。)をした。組合監査委員は,同年11月19日,旧監査請求は本件焼却施設のダイオキシン類問題が発覚した平成9年5月から1年間を経過してからされたものであることを理由に,これを却下した。上記住民らのうち42名は,同年12月18日,被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号の規定により,組合に代位して,組合に上記損害金及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の賠償を求める住民訴訟(当庁平成10年(行ウ)第80号事件。以下「旧住民訴訟」という。)を提起した(乙2)。 ウ平成12年7月12日,旧住民訴訟は,上記住民らによる訴えの取下げ及びこれに対する被告らの同意により終了した(乙2)。 エ同月14日,本件公害調停事件において,上記申請人らと被申請人の組合,豊能町,能勢町及び被告らは,別紙2記載の調停条項(以下「本件調停条項」という。)のとおり合意し,公害調停(以下「本件公害調停」という。)が成立した(甲2,乙1)。 ( らと被申請人の組合,豊能町,能勢町及び被告らは,別紙2記載の調停条項(以下「本件調停条項」という。)のとおり合意し,公害調停(以下「本件公害調停」という。)が成立した(甲2,乙1)。 (4) 本件監査請求等ア原告らは,平成13年1月23日,組合監査委員に対し,被告らに対して本件焼却施設の構造的欠陥と不適切な管理運営とがあいまって発生した本件汚染により組合が被った損害の賠償請求を行うことなどを組合管理者に勧告するよう求める旨の住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした(甲1)。 イ組合監査委員は,原告らに対し,同年3月2日付けで,本件請負契約の締結及び本件焼却施設の管理運営委託費の支出のいずれもが住民監査請求をすることができる期間を既に経過していることを理由に,本件監査請求を却下する旨通知した(甲1)。 ウ原告らは,同月30日,本件訴えを提起した。 3 争点及び当事者の主張(1) 本件訴えの適法性ア本件訴えが財産の管理を怠る事実の不存在により不適法となるか否か(被告らの主張)本件焼却施設をめぐる一連のダイオキシン類問題に関しては,本件公害調停の成立により解決済みの問題である。そして,本件公害調停の成立は,組合が本件公害調停事件の内外において被告らに対しダイオキシン類対策に関する費用の補てんを求めた結果でもあり,組合には地方自治法242条の2第1項4号の規定による代位訴訟の前提として必要とされる「財産の管理を怠る事実」が存在しないから,本件訴えは訴訟要件を欠き不適法である。 (原告らの主張)原告らは,本件監査請求及び本件住民訴訟において,組合の被告らに対する不法行為又は債務不履行に基づく から,本件訴えは訴訟要件を欠き不適法である。 (原告らの主張)原告らは,本件監査請求及び本件住民訴訟において,組合の被告らに対する不法行為又は債務不履行に基づく38億4005万2695円の損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象としているところ,組合は上記請求権を行使していないから,原告らは,上記請求権の行使を違法に怠る事実により組合の被った損害を填補することを目的として,上記請求権の不行使につき必要な措置を講ずべきことを地方自治法242条の2所定の住民訴訟手続で求めることができる。 イ訴えの利益の有無(被告らの主張)仮に,組合が被告三井造船による本件焼却施設の設計・製造及び被告らによる本件焼却施設の運転管理について不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権を有していたとしても,本件公害調停の成立によって,これらの問題は「すべて解決されたもの」とされ(本件調停条項14条),しかも被告らは本件公害調停により負担することとなった組合等の経済的損失等に対する補てん金5億円の支払を含む義務を既に履行済みである。したがって,本件訴えは,訴えの利益を欠き,不適法である。 (原告らの主張)本件汚染に関して組合が被った損害の回復については,本件公害調停の成立により,別の法的手続によって解決を求めることまでが封じられたものではない。被告らが本件公害調停において組合に対し支払を約束し,これを実行した5億円は,本件のダイオキシン類問題に起因する莫大な損害のごく一部であり,損害の大半はいまだ回復されないままである。したがって,訴えの利益は存在している。 ウ訴権濫用の有無(被告らの主張)本件では, 損害のごく一部であり,損害の大半はいまだ回復されないままである。したがって,訴えの利益は存在している。 ウ訴権濫用の有無(被告らの主張)本件では,①大阪府公害審査会における本件公害調停事件という公の場で,豊能郡γ周辺住民を中心とする1134名が申請人に名を連ね,しかも組合,豊能町,能勢町及び被告らも当事者に入った本件公害調停が成立しており,②別紙3記載のとおり,口頭弁論終結時における原告ら124名のうち61名は,本件公害調停成立時における申請人であり,③一連の公害調停成立に至る経緯は新聞報道等でも大きく報道され,本件問題が解決したことは公知の事実であった。にもかかわらず,原告らがあえて今回改めて代位訴訟を提起したことは,訴権の濫用に当たり,この意味でも本件訴えは不適法である。 (原告らの主張)前記のとおり,本件汚染に関して組合が被った損害の回復については,本件公害調停の成立により,別の法的手続によって解決を求めることまでが封じられたものではないし,組合の損害の大半はいまだ回復されないままである。原告らは組合に代位して被告らに対し損害賠償請求をする正当な権利を有しており,訴権濫用とのそしりを受けるいわれはない。 エ監査請求前置主義違反の有無(被告らの主張)本件監査請求について,組合監査委員は,原告らのうち14名がこれと同内容の旧監査請求を行い,平成10年11月19日に旧監査請求が却下されたことを受け,旧住民訴訟を提起していたが,本件公害調停成立により旧住民訴訟が取り下げられたという経緯を指摘した上で,住民監査請求をすることができる期間が経過していることは明白であるなどとして却下している。本件監査請求は,監査 起していたが,本件公害調停成立により旧住民訴訟が取り下げられたという経緯を指摘した上で,住民監査請求をすることができる期間が経過していることは明白であるなどとして却下している。本件監査請求は,監査請求期間を徒過してからされたものであり,不適法である。 また,別紙3記載のとおり,原告らのうち14名は本件監査請求と同内容の旧監査請求を行っているところ,同一請求人による同一内容の再度の監査請求は認められない(最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)ため,本件監査請求は,同原告らの関係においては,この意味でも不適法である。 したがって,本件訴えは,適法な監査請求が前置されておらず,不適法である。 (原告らの主張)前記のとおり,本件監査請求は,組合が被告らに対する不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をしないことを対象としており,「財産の管理を怠る事実」に関するものである。「怠る事実」に係る住民監査請求については,原則として期間制限は及ばず,期間制限が及ぶのは,特定の財務会計上の行為が違法・無効である場合に発生する実体法上の請求権の不行使の場合に限られる(前記最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決参照)。本件では,違法・無効な財務会計上の行為は存在せず,期間制限の及ぶ場合には当たらない。 また,旧監査請求については,本件請負契約における本件焼却施設の建築工事代金相当額である11億6000万円の損害賠償が問題とされていたのに対し,原告らが本件監査請求において問題としていた損害賠償の範囲は,各種周辺環境調査・対策費,本件焼却施設の解体費,汚染除去対策費等,今回のダイオキシン類問題により組合が支出を余儀なくされた損害全般に し,原告らが本件監査請求において問題としていた損害賠償の範囲は,各種周辺環境調査・対策費,本件焼却施設の解体費,汚染除去対策費等,今回のダイオキシン類問題により組合が支出を余儀なくされた損害全般に及んでいる上,その損害には,汚染土壌除去に係る費用など旧監査請求時には明らかになっていなかった損害も含まれており,内容的にも金額的にも旧監査請求とは大きく異なっている。 オ出訴期間徒過の有無(被告らの主張)前記のとおり,原告らのうち14名は本件監査請求と同内容の旧監査請求を行っているところ,同一の事実について2回にわたり住民監査請求がされた場合,2回目の住民監査請求は不適法であるため,出訴期間は旧監査請求が却下された平成10年11月19日から計算すべきであり(前記最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決参照),同原告らの訴えは,出訴期間を経過してから提起されたものであって,不適法である。 (原告らの主張)争う。 (2) 本件焼却施設の構造的欠陥による被告三井造船の責任の有無(請求原因1)(原告らの主張)被告三井造船は,本件焼却施設における以下の構造的欠陥により,多量のダイオキシン類を生成し,これを煙突から大気中に多量に放出し,また湿式洗煙塔の冷却部に接続して屋上に設置された開放型冷水塔からダイオキシン類を高濃度に含む冷却水の飛沫を多量に排出せしめ,本件汚染を引き起こし,組合に損害を被らせたものであるから,組合に対し債務不履行又は不法行為に基づく責任を負っている。 ア不完全燃焼によるダイオキシン類の発生被告三井造船は,プラスチックなどのゴミを焼却炉で焼却する際,安定的に800度以上の燃焼温度 法行為に基づく責任を負っている。 ア不完全燃焼によるダイオキシン類の発生被告三井造船は,プラスチックなどのゴミを焼却炉で焼却する際,安定的に800度以上の燃焼温度を確保し完全燃焼させてダイオキシン類の発生を防止しなければならず,また,それ以下の温度で燃焼すれば多量のダイオキシン類が生成することを知りながら,以下のとおり,800度以下で燃焼することが多くなるという構造的欠陥のある焼却炉を建設し,ダイオキシン類を多量に発生せしめた。 (ア) 本件焼却施設では,冷却装置を焼却炉の本体上部に直結させ,焼却炉と冷却装置とを一体化したいわゆる炉頂型の構造になっている。この炉頂型システムは,焼却炉の排ガスの温度を下げるために,ガス冷却装置から水を噴射するため,焼却温度が低下する構造になっている。しかも,本件焼却施設では,このような炉頂型の構造になっているにもかかわらず,水を噴射する位置を上方にしたり,噴射量を制限するための装置を設けるなど,焼却温度を800度以下に低下させないような対策も何ら講じられていなかった。その結果,焼却炉の焼却温度は800度以下になることが多くなってしまったのである。 (イ) 本件焼却施設の焼却炉は,流動床式焼却炉であるが,この炉は,通常のストーカ(火格子)式焼却炉に比べて,炉内の温度が変動しやすいという構造的問題点がある。この問題点をなくし,800度以上の焼却温度を恒常的に維持するには,空気が不足しないための設備,適正な量の空気を満たす炉内容積の確保,助燃のための再燃焼バーナーの設置などが不可欠である。しかるに,被告三井造船は,これら設備を完備しなかったため,不完全燃焼の状態を引き起こし,その結果ダイオキシン類を多量に発生せしめた。 イ排ガス処理過 バーナーの設置などが不可欠である。しかるに,被告三井造船は,これら設備を完備しなかったため,不完全燃焼の状態を引き起こし,その結果ダイオキシン類を多量に発生せしめた。 イ排ガス処理過程等におけるダイオキシン類の生成焼却炉から発生した排ガス中の煤塵を除去するための電気集塵器における排ガス温度は200度以下にしなければ多量のダイオキシン類が生成するので,それを200度以下にする設備上の対策を講じなければならないが,被告三井造船は,そのことを知りながら,本件焼却施設を設計・建設する上で何ら対策を講じず,電気集塵器の排ガス温度が320度ないし330度前後の高温で運転することが通常という構造的欠陥のある本件焼却施設を設計・製造し,その結果,電気集塵器のみならず空気余熱器,白煙防止熱交換器等において多量のダイオキシン類を発生させていた。 なお,前記のとおり,焼却炉において不完全燃焼によりダイオキシン類が生成していたが,それ以外にも,この不完全燃焼によりダイオキシン類の前駆体及び未燃物が多量に発生し,これらが電気集塵器,空気余熱器,白煙防止熱交換器等に多量に残留し,その結果これら排ガス処理過程におけるダイオキシン類の発生を更に促進していたものである。 また,後記のとおり,洗煙排水の処理水の循環利用により,高濃度のダイオキシン類を含む水が焼却炉内で燃焼ガス中に噴霧され,それが熱分解されずに再び電気集塵器等を通過したこと,洗煙排水の凝集沈殿処理が不十分であったことなどが原因となって,排ガス処理過程におけるダイオキシン類生成をより多量化した。 ウ水の循環利用等によるダイオキシン類の濃縮本件焼却施設では,排ガス処理の後,排ガス中に含まれる塩化水素を除去するた 程におけるダイオキシン類生成をより多量化した。 ウ水の循環利用等によるダイオキシン類の濃縮本件焼却施設では,排ガス処理の後,排ガス中に含まれる塩化水素を除去するために,洗浄水を排ガスに噴霧する湿式洗煙塔が設置されていたが,その洗煙部において,排ガス中の高濃度のダイオキシン類が洗煙水中に移行していた。さらに,この処理水が前記冷却装置の水噴射式ガス冷却水としても利用されていた。 このように,本件焼却施設は,水を循環利用しており,これはまさにダイオキシン類の濃縮度を高める悪循環の構造にほかならなかった。こうした水の循環利用によって水中のダイオキシン類を高濃度に濃縮する点も,本件焼却施設の構造的欠陥である。 (被告らの主張)本件焼却施設からダイオキシン類が発生し,本件汚染に至った可能性については認めるが,それが本件焼却施設の構造的欠陥によるとする点については否認する。 被告三井造船は,組合が厚生省制定のごみ処理施設構造指針に基づいて作成した発注仕様書を条件に入札・受注し,厚生省の技術審査を経た上で本件焼却施設を建設し,さらに,組合から発注内容を充足した性能を有することの確認を得た上で引渡しを完了したものであり,本件焼却施設に何ら構造上の欠陥はない。また,そもそも被告三井造船が本件焼却施設建設の工事を受注した昭和61年9月当時は,日本国内において,ダイオキシン類に関する規制は何ら存せず,また,本件焼却施設が竣工した約2年9か月後に発出された平成2年12月26日付け厚生省通知「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止対策等の推進について」(以下「旧ガイドライン」という。)においても,我が国の廃棄物処理に係るダイオキシン類の現状は,型式を問わず人の健康に影響が生じるといった状況では 理に係るダイオキシン類発生防止対策等の推進について」(以下「旧ガイドライン」という。)においても,我が国の廃棄物処理に係るダイオキシン類の現状は,型式を問わず人の健康に影響が生じるといった状況ではないとした上で,既設焼却炉についてはダイオキシン類の排出量の期待値すら設けていない状況であった。欠陥の有無は契約締結ないしは納入当時の社会通念によって決せられるものであるから,この点からも被告三井造船が製造した本件焼却施設に構造上の欠陥はない。原告らが本件焼却施設の構造的欠陥の基準としている新ガイドラインが発せられたのは,その後10年を経過した平成9年1月である。なお,准連続運転,流動床式燃焼装置,電気集塵器,湿式洗煙塔等については組合において採用を決定済みであったのであり,またガス冷一体型についても厚生省の構造指針において認められたもので,被告三井造船がこれに従って本件焼却施設を製造したのは当然である。また,開放型冷水塔も一般に採用されている設備である。 原告らの主張については,次のとおりいずれも失当である。 ア 「ア不完全燃焼によるダイオキシン類の発生」について冒頭の段落について,ダイオキシン類が発生していたことは認めるが,その余は否認する。 本件焼却炉の設計温度は組合の発注仕様書で700度以上となっている。そもそも,本件焼却施設建設当時においては,ダイオキシン類発生防止を念頭に置いた800度以上による燃焼要件は組合の発注仕様書や国の規制等でも義務付けられていない。したがって,被告三井造船に800度以上の燃焼温度を確保し,完全燃焼させてダイオキシン類の発生を防止すべき義務ない。また,原告らは「それ以下の温度で燃焼すれば多量のダイオキシン類が生成することを知りながら」と主張するが 船に800度以上の燃焼温度を確保し,完全燃焼させてダイオキシン類の発生を防止すべき義務ない。また,原告らは「それ以下の温度で燃焼すれば多量のダイオキシン類が生成することを知りながら」と主張するが,既に述べたように,被告三井造船が組合との間で本件請負契約を締結した昭和61年9月から4年以上が経過した時点で発表された厚生省旧ガイドラインにおいても,今後焼却炉由来のダイオキシン類発生・抑制及び分析方法等の調査・研究を行う必要があるとされているにすぎず,ましてや,三井造船が受注した時点では,現在問題とされるような多量のダイオキシン類が発生する危険性を何ら認識できなかった。 (ア) (ア)について,炉と冷却装置とを一体化したいわゆる炉頂型の構造になっていることは認め,その余は否認する。 水を噴射(正確には「霧状に噴霧」)する位置は上方にあり,温度制御装置は付いていた。 (イ) (イ)について,本件焼却炉が流動床式焼却炉であることは認め,その余は否認ないし争う。 原告らは,ストーカ式焼却炉に比べて,炉内の温度が変動しやすいという構造的問題点があると主張するが,一概に比較できるものではない。また,確かに流動床式は熱風中でごみが瞬時に燃焼されるという構造上,瞬時の小波の温度変動はあるが,このことをもって構造的問題とは到底いえない。また,本件焼却施設の焼却炉は,燃焼用の空気は適切な余裕率を持った量が供給されるようになっており,起動用のバーナーにより助燃することも可能であった。 イ 「イ排ガス処理過程等におけるダイオキシン類の生成」について第1段落のうち,電気集塵器のみならず空気予熱器,白煙防止熱交換器等において多量のダイオキシン類を発生させていたとす イ 「イ排ガス処理過程等におけるダイオキシン類の生成」について第1段落のうち,電気集塵器のみならず空気予熱器,白煙防止熱交換器等において多量のダイオキシン類を発生させていたとする点については,厚生省の最終報告書においてそのような推定が報告されていることは認め,その余は否認する。 本件焼却施設の建設当時は,都市ごみ焼却施設において,200度以下で使用できる電気集塵器はなく,被告三井造船には,電気集塵器における排ガス温度を200度以下にする設備上の対策を講ずることはそもそも不可能であった。また,本件焼却施設の受注当時はダイオキシン類に対する規制等はなく,昭和59年5月の厚生省通知「ごみ処理に係るダイオキシン等の問題について」において,ごみ処理に伴う一般住民及びごみ焼却施設内の作業に従事する職員への影響については,四塩化ジベンゾ-p-ジオキシンの考えられる最大暴露量を仮定しても,現段階では,健康影響が見出せないレベルであったとされており,そのような対策の必要性や要請もされていない状況であったのであるから,被告三井造船には,そのような対策を講じるべき義務はなかった。電気集塵器の排ガス温度が320度ないし330度前後の高温で運転することが通常であったとする点についても,既に述べたとおり,欠陥の有無は契約締結ないし納入当時の社会通念によって決せられるものであるから,これをもって構造的欠陥とはいえない。 第2段落について,厚生省調査報告書でそのように推定されるとの報告がされていることは認める。 第3段落について,焼却炉でのダイオキシン類の発生や洗煙排水の処理水の循環でのダイオキシン類濃度の濃縮については,厚生省調査報告書でそのように推定されるとの報告がなされていることは認める。ただ 第3段落について,焼却炉でのダイオキシン類の発生や洗煙排水の処理水の循環でのダイオキシン類濃度の濃縮については,厚生省調査報告書でそのように推定されるとの報告がなされていることは認める。ただし,処理水の噴霧は,焼却炉にではなくガス冷却塔内にされている。 ウ 「ウ水の循環利用等によるダイオキシン類の濃縮」について厚生省の報告書において,そのように推定される旨の報告がされていることは認めるが,これを構造的欠陥とする点は否認する。 そもそも,組合の発注仕様書によれば,大阪府条例により湿式洗煙塔の設置が義務付けられており,また,洗煙排水の処理水は場外排出してはならないことになっていた。 (3) 本件焼却施設の不適切な運転管理による被告らの責任の有無(請求原因2)(原告らの主張)被告らは,本件焼却施設において,多量のダイオキシン類を生成せず,本件焼却施設や周辺地域をダイオキシン類で汚染しないよう適正に運転管理をすべき義務を負っていたのであるから,本件焼却施設が多量のダイオキシン類を生成・排出する構造的欠陥を有していることに十分配慮し,その運転管理においては,ごみの分別投入,ごみの十分な破砕,燃焼状態の的確な把握,焼却炉や電気集塵器等における適切な温度管理等,最大限の努力を尽くさなければならなかったが,これらの義務に反して不適切な運転管理をし,そればかりか,断続運転を続け,立上げ時と終了時の更なる低温化を引き起こし,多量の水を注入し,800度以下で運転するよう指導するなどの杜撰な運転管理をしたため,構造的欠陥に伴うダイオキシン類の生成量をはるかに上回る多量のダイオキシン類を発生させ,本件汚染を引き起こしたのであるから,その運転管理責任は極めて重大である。した るなどの杜撰な運転管理をしたため,構造的欠陥に伴うダイオキシン類の生成量をはるかに上回る多量のダイオキシン類を発生させ,本件汚染を引き起こしたのであるから,その運転管理責任は極めて重大である。したがって,被告らは,組合に対し,債務不履行又は不法行為により,組合の被った損害を賠償すべき責任を免れない。 (被告らの主張)原告らの主張は否認する。 そもそも,現在問題とされるような多量のダイオキシン類の生成や高濃度の本件汚染は,本件焼却施設の休炉直前のダイオキシン類の測定や休炉後の厚生省調査で判明したものであり,原告らが主張するような対応を執ることは不可能である。被告三井造船は,ダイオキシン類に関する規制等が全く存在しなかった昭和61年9月26日に本件請負契約を締結し,本件焼却施設が発注内容を充足した性能を有することの確認を得た上,昭和63年3月25日に竣工・引渡しを完了したものである。しかも,被告三造環境は,旧ガイドラインで「現在のごみ処理施設の稼動状況において,型式を問わず人の健康に影響が生じるといった状況ではない。しかしながら,ダイオキシン類の環境中への排出は極力抑制することが望ましいことから,ガイドラインに沿った対策を実施可能な限り講ずること」等とされていることにかんがみ,本件焼却施設の構造を改善すべく,組合に対し,平成4年6月,旧ガイドライン対策について説明を行い,同年7月には組合から受託の上,現状の排ガス分析(CO濃度分析)を実施し,同年9月,その結果を組合に報告し,さらに,同年10月には「ガイドライン対策検討書」を提出して必要な施設改善の提案を行った。しかしながら,組合側の事情で,結局この改善計画は実施されなかったのである。したがって,被告らには,原告らが主張するような義務違反はない。 イン対策検討書」を提出して必要な施設改善の提案を行った。しかしながら,組合側の事情で,結局この改善計画は実施されなかったのである。したがって,被告らには,原告らが主張するような義務違反はない。 原告らのいう「断続運転を続け」とは具体的にどのようなことか明確でないが,短時間での運転,停止の繰り返しのことであれば,被告らはそのような運転は行っていない。また,1日1回の運転終了時の停止のことであれば,本件焼却施設はそもそも組合で定められた准連続式(1日16時間運転)焼却施設となっており,その方式に従って運転していたものである。また,原告らは,被告らが「多量の水を注入し」たとするが,ガス冷却塔の出口ガス温度が一定となるように自動制御で噴霧水が注入されているので不必要な水量が入ることはない。さらに,原告らは,被告らが「800度以下で運転指導」したとするが,そのような指導をしたことはない。ただし,炉床温度については,砂の融着防止や炉床にある金属管の防触のため,800度以下にするように指導していた。 (4) 組合の損害額(請求原因1及び2関係)(原告らの主張)本件汚染が判明した結果,本件焼却施設は耐用年数20年のうち9年余の使用をもって休炉となり,その後廃炉とされ,解体された。これにより組合は本件焼却施設の建設工事請負代金として被告三井造船に支払った11億6000万円に相当する損害を被った。また,本件汚染により,組合は,少なくとも別紙4番号1ないし47の「事業費」欄記載の合計金26億8005万2695円の出費を余儀なくされた(なお,この金額は支出予想額であるため,実際の支出額はこれと多少異なる場合があったり,支出年度が変動したり,あるいは様々な事情により平成15年度以降の支出に延期されているものもある 余儀なくされた(なお,この金額は支出予想額であるため,実際の支出額はこれと多少異なる場合があったり,支出年度が変動したり,あるいは様々な事情により平成15年度以降の支出に延期されているものもあるが,近年中に確実に支出されるものである。)。したがって,組合は,被告らの前記債務不履行又は不法行為により,少なくとも上記合計38億4005万2695円の損害を被った。 なお,組合の平成9年度から平成13年度にかけての一般会計歳入歳出決算書,主要成果報告書,平成14年度一般会計予算によれば,この間,別紙4番号48ないし74のとおり,同番号1ないし47以外の新たなダイオキシン類対策費用が支出され,あるいは支出確実となっており,それらの合計は8億3943万8548円である。今後も更に多額のダイオキシン類対策費用は支出され続け,組合の損害は拡大していくものである。 (被告らの主張)まず,原告らは,本件焼却施設の建設工事請負代金を組合の損害として挙げているが,本件焼却施設は,組合に納入されてから平成9年6月まで稼働し続けていたのであり,その全額を組合の損害とする合理的根拠は全く見出せない。 また,別紙5のとおり,組合がダイオキシン類対策に要した経費は合計17億8776万6149円であるところ,その内訳は,①国庫支出金4億8006万3000円,②起債4億8000万円,③一般財源8億2770万3149円(その内訳は,<イ>特別交付税6億2940万2000円,<ロ>大阪府補助金9160万円,<ハ>豊能町及び能勢町分担金1億0670万1149円である。)とされている。これらのうち,①国庫支出金は,本件焼却施設解体処理事業費として国から拠出された費用であり,組合の損害と認めることはできない。また,③一般財源のう 金1億0670万1149円である。)とされている。これらのうち,①国庫支出金は,本件焼却施設解体処理事業費として国から拠出された費用であり,組合の損害と認めることはできない。また,③一般財源のうち<イ>特別交付税は,普通交付税で捕捉されない特別の財政需要に対して交付される地方交付税であり,本件の場合,豊能町及び能勢町にダイオキシン類対策という特別の財政需要が発生したために,特別に国から交付が認められた交付税であるから,①と同様に組合の損害と認めることはできない。③のうち<ロ>の大阪府補助金についても,大阪府が拠出したものであって,組合の損害とは認められない。さらに,②起債についても,元利償還金の8割について普通交付税により補てんされることとなっており,この意味で起債のうち8割の3億8400万円は国の拠出であり,組合の損害とは認められない。以上からすれば,組合が自らの財源で支出することとなる費用といえるのは,せいぜい,②起債4億8000万円のうちの2割である9600万円と,③一般財源中の<ハ>豊能町及び能勢町分担金1億0670万1149円の合計2億0270万1149円にすぎない。 他方,被告らは,組合に対し,本件公害調停に基づき,組合の経済的損失等の補てんとして5億円を支払っているが,これは,上記の組合独自の財源からの支出額2億0270万1149円を大きく上回っており,その意味で組合には何らの損害も発生していないというべきである。 (5) 本件公害調停による和解の抗弁の成否(請求原因1及び2関係)(被告らの主張)原告らが本件訴訟において被告らに損害賠償義務があると主張する事実関係は,詰まるところ,被告三井造船が設計・製造した本件焼却施設に欠陥が存し,被告らの運転管理の懈怠により本件焼却施設 原告らが本件訴訟において被告らに損害賠償義務があると主張する事実関係は,詰まるところ,被告三井造船が設計・製造した本件焼却施設に欠陥が存し,被告らの運転管理の懈怠により本件焼却施設から多量のダイオキシンが生成され,周辺土壌が汚染され,また本件焼却施設が廃炉となった等の事実関係であると理解されるところ,これらと全く同一といってよい内容の事実関係が本件公害調停事件においても申請人意見書などにより提示され,これを前提にして本件公害調停が成立している。また,原告らが被告らに賠償を求めている組合の損害の内容は,大きく分けると①本件焼却施設の建設工事請負代金11億6000万円,②別紙4番号1ないし47の「事業費」欄記載の26億8005万2695円,③同番号48ないし74の損害及び今後予想される損害であるところ,これらはいずれも公害調停の際に既に問題となるか,当然予想されていたもので,これらも含めて本件公害調停において「すべて解決されたもの」(本件調停条項14条)とする旨の合意がされていることは明白である。 したがって,本件公害調停は,申請人,被申請人間はもちろんのこと,被告らと組合という被申請人間においても,ダイオキシン類問題に起因して組合が被った一切の経済的負担の被告らによる補てんの問題を最終解決したものであって,組合と被告らとの間には和解契約が成立しており,被告らはこれを履行している。 (原告らの主張)本件調停条項の定めによれば,本件公害調停は,本件汚染からの原状回復を主眼に,組合,豊能町及び能勢町という行政主体の責任において住環境の改善,汚染物質の安全な除去等に当たるというものであり,被告らはそれらの費用の一部を負担するものとされているにすぎない。組合に生じている損害は,本件公害調停に 町という行政主体の責任において住環境の改善,汚染物質の安全な除去等に当たるというものであり,被告らはそれらの費用の一部を負担するものとされているにすぎない。組合に生じている損害は,本件公害調停に掲げられているものにとどまらないし,組合と被告らとの関係についても全面解決する旨の包括条項は定められていない。原告らの中には本件公害調停の成立に関与していない者も含まれているし,本件公害調停事件や旧住民訴訟においては,被告三井造船による本件焼却施設の管理運営に関する責任は追及されていない。本件公害調停の成立段階においては,将来組合に生じ得る損害やその金額が確定できていなかったものが多数あり,その中には予期せざる損害も含まれていたから,それらのすべてについて本件公害調停によって解決をみたとはいえない。したがって,本件公害調停があくまでも申請人らと被申請人らとの間の関係のみを拘束するものであることは明らかであり,本件公害調停の成立により,申請人らと被申請人らとの間のみならず,組合と被告らとの間の損害填補の問題についても解決されたものと解釈することはできない。 (6) 特約による期間制限の抗弁の成否(請求原因1関係)(被告三井造船の主張)本件請負契約においては,本件焼却施設に瑕疵がある場合,組合はその引渡しを受けてから2年以内(被告三井造船の故意又は重大な過失により生じた場合であっても10年以内)に瑕疵の修補又は損害賠償の請求を行わなければならない旨の特約(以下「本件特約」という。)がされていた。原告らの主張する「構造的欠陥のある本件焼却施設を設計・製造した責任」の法的根拠は債務不履行又は不法行為であるが,前者の場合はもちろん,本件特約は本件焼却施設に瑕疵があることに起因する損害賠償の請求期間について定めたものであ 陥のある本件焼却施設を設計・製造した責任」の法的根拠は債務不履行又は不法行為であるが,前者の場合はもちろん,本件特約は本件焼却施設に瑕疵があることに起因する損害賠償の請求期間について定めたものであり,後者についても適用されるから,いずれにせよ本件特約による期間制限に服することは明らかである。 (原告らの主張)本件特約は,請負人の担保責任の存続期間に関する民法上の規定(637条,638条)を約款によって短縮したものであり,債務不履行責任に適用されるとしても,不法行為責任には適用されないというべきである。 また,被告三井造船には,構造的欠陥のある本件焼却施設を組合に引き渡したことについて重大な過失があるところ,組合が本件焼却施設の引渡しから10年以内に旧ガイドラインの発出に伴い本件焼却施設の改善を要望していたにもかかわらず,自らの責任を棚上げにして組合に全面的な費用負担を押し付け,正当な瑕疵修補請求権及び損害賠償請求権の行使を断念させたのであるから,今になって本件特約による期間制限を主張するのは,権利の濫用又は信義則違反以外の何者でもない。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴えの適法性(争点(1))について(1) 本件訴えが財産の管理を怠る事実の不存在により不適法となるか否か本件において,原告らは,前記第2(事案の概要)の1記載のとおり主張しており,仮に原告ら主張の組合から被告らに対する損害賠償請求権が存在しているとした場合,これが「債権」(地方自治法240条1項)として地方公共団体の「財産」(同法237条1項)に含まれることは明らかであるところ,弁論の全趣旨によれば,組合が現時点(本件口頭弁論終結時点)において上記損害賠償請求権を行使している事実はないものと認められる。そうす 「財産」(同法237条1項)に含まれることは明らかであるところ,弁論の全趣旨によれば,組合が現時点(本件口頭弁論終結時点)において上記損害賠償請求権を行使している事実はないものと認められる。そうすると,原告らが財産の管理を怠る事実として主張する上記損害賠償請求権を行使しないという不作為自体は存在しているというべきであり,本件訴えは,財産の管理を怠る事実を対象とするものとして,同法が認めた住民訴訟の類型に適合しているものと解される。 被告らは,組合が本件公害調停を成立させたことを指摘し,組合管理者が財産の管理を怠る事実はない旨主張する。しかしながら,原告らの主張に係る損害賠償請求権は本件公害調停において支払合意されたものと全く同一とはいえず,また,請求可能な金銭債権の行使を怠ることは原則として違法というべきである。さらに,公害紛争処理法に基づく公害調停手続において当事者間に合意が成立し,調停が成立した場合には,当該合意は,民法上の和解契約としての効力を有するものと解されるところ,本件公害調停の成立により,組合の被告らに対する上記損害賠償請求権の行使ができなくなっているか否かという点は,上記損害賠償請求権の有無に関する本案の問題というべきである。 以上によれば,怠る事実が不存在であることを理由に本件訴えを不適法とする被告らの主張を採用することはできない。 (2) 訴えの利益の有無前判示のとおり,公害紛争処理法に基づく公害調停手続において当事者間に合意が成立し,調停が成立した場合には,当該合意は,民法上の和解契約としての効力を有するものと解されるところ,仮に,本件公害調停の成立により,組合と被告らの間においても組合の被告らに対する前記損害賠償請求権に関する和解契約が成立しているものと認められる の和解契約としての効力を有するものと解されるところ,仮に,本件公害調停の成立により,組合と被告らの間においても組合の被告らに対する前記損害賠償請求権に関する和解契約が成立しているものと認められるならば,既に組合が前記損害賠償請求権を行使することはできなくなっているものと考えられる。しかしながら,本件公害調停の成立により組合の被告らに対する前記損害賠償請求権が既に行使できなくなっているか否かという点は,前記損害賠償請求権の有無に関する本案の問題にすぎず,本件公害調停の成立を理由に本件訴えは訴えの利益を欠くとする被告らの主張を採用することはできない。 (3) 訴権濫用の有無被告らは,①本件公害調停が成立していること,②原告らのうち61名が本件公害調停の当事者である申請人の地位にあったこと,③本件公害調停の成立は広く報道され,本件問題が解決したことは公知の事実であったことなどを理由に,本件訴えは訴権を濫用するものである旨主張する。 確かに,前記のとおり,仮に,本件公害調停の成立により,組合と被告らの間においても組合の被告らに対する前記損害賠償請求権に関する和解契約が成立しているものと認められるならば,前記損害賠償請求権は既に行使することができなくなっているものと考えられる。しかしながら,前記前提事実のとおり,本件調停条項においては,「申請人らの被申請人らに対する本調停による請求は,前記各調停条項によってすべて解決されたものと」するとの条項は設けられている(14条)ものの,本件公害調停の成立により,申請人らと被申請人らとの間の権利義務関係のみならず,被申請人たる組合と被告らとの間の権利義務関係についても包括的に解決するものであることを明示的に定めた条項は存在していない。このような本件調停条項の文言からする 人らとの間の権利義務関係のみならず,被申請人たる組合と被告らとの間の権利義務関係についても包括的に解決するものであることを明示的に定めた条項は存在していない。このような本件調停条項の文言からすると,本件公害調停の成立により,組合と被告らの間において組合の被告らに対する前記損害賠償請求権に関する和解契約が成立し,前記損害賠償請求権が既に行使することができなくなっていることが一見して明白であるとまでは断じ難く,本件公害調停の成立によっても前記損害賠償請求権の行使は妨げられない旨の原告らの主張が,およそ本案判決による判断を要しないほどにまで事実的・法律的根拠を欠くということはできない。 また,原告らが被告らを本件訴訟の被告の地位に立たせ,それにより本件訴訟の内外において有形・無形の不利益を被らせるなどの不当な目的をもって本件訴えを提起したものと認めるに足りる証拠もない。 これらの事情に照らせば,本件公害調停の成立により組合の被告らに対する前記損害賠償請求権の行使ができないことになるのか否かは,和解の抗弁の成否という本案の問題にとどまるというべきであり,本件訴えの提起が,裁判制度の趣旨・目的に照らして著しく相当性を欠き,訴権を濫用する不適法なものと解することはできない。 (4) 監査請求前置主義違反の有無ア地方自治法242条1項は,普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の違法,不当な財務会計上の行為又は怠る事実につき監査請求をすることができるものと規定しているところ,同条2項本文は,上記の監査請求の対象のうち財務会計上の行為については,これがあった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることができないものと規定している。その趣旨は,財務会計上の行為は,たとえそれが財務会計法 の対象のうち財務会計上の行為については,これがあった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることができないものと規定している。その趣旨は,財務会計上の行為は,たとえそれが財務会計法規に違反して違法であるか,又は財務会計法規に照らして不当なものであるとしても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るとしておくことは,法的安定性の見地から好ましくないという点にある。これに対し,上記の監査請求の対象のうち怠る事実についてはこのような期間制限は規定されておらず,原則として,住民は怠る事実が現に存する限りいつでも監査請求をすることができるものと解される。 もっとも,怠る事実を対象としてされた監査請求であっても,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実を対象とするものである場合には,当該行為が違法とされて初めて当該請求権が発生するのであるから,監査委員は当該行為が違法であるか否かを判断しなければ当該怠る事実の監査を遂げることができないという関係にあり,これを客観的,実質的にみれば,当該行為を対象とする監査を求める趣旨を含むものとみざるを得ず,当該行為のあった日又は終わった日を基準として同項本文の規定を適用すべきものである(前記最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決参照)。しかし,監査委員が怠る事実の監査を遂げるためには,特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,当該怠る事実を対象としてされた監査請求は,上記規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに上記規定を適用すべきものでは 法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,当該怠る事実を対象としてされた監査請求は,上記規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに上記規定を適用すべきものではない(最高裁判所平成14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。 前記前提事実及び証拠(甲1)によれば,本件監査請求の対象事項は,組合が被告らに対して有する損害賠償請求権の行使を怠る事実とされているところ,当該損害賠償請求権は,被告三井造船が組合との間で締結した本件請負契約に基づいて構造的欠陥のある本件焼却施設を建設し,また,被告らが本件焼却施設の運転管理を適切に行わなかったために,本件焼却施設から多量のダイオキシン類が生成・放出されて本件汚染を引き起こし,これによって組合に損害を与えた債務不履行又は不法行為により発生したというものであることが認められる。これによれば,本件監査請求について監査を遂げるためには,組合監査委員は,組合が被告三井造船と本件請負契約を締結したことや,組合が被告らと本件焼却施設の運転管理の委託契約を締結したことの存否,内容等について検討せざるを得ないのであるが,本件請負契約の締結,本件焼却施設の運転管理の委託契約の締結及びこれに係る管理運営委託費の支出等の財務会計上の行為が財務会計法規に違反する違法なものであって初めて組合の被告らに対する損害賠償請求権が発生するものではなく,本件焼却施設に構造的欠陥があるか否か,被告らによる本件焼却施設の運転管理が不適切なものであったか否か,これにより組合に損害が発生したか否か,本件公害調停の成立により当該損害賠償請求権が消滅したか否かなどを確定しさえすれば足りるものであるから,本件監査請求は,上記の各財務会計上の行為を対象とする監査請求を含むものと 害が発生したか否か,本件公害調停の成立により当該損害賠償請求権が消滅したか否かなどを確定しさえすれば足りるものであるから,本件監査請求は,上記の各財務会計上の行為を対象とする監査請求を含むものとみざるを得ないものではない。したがって,これを認めても,上記規定の趣旨が没却されるものではなく,本件監査請求には上記規定の適用がないものと解するのが相当である。本件監査請求は監査請求期間を経過してからされた不適法なものであるとする被告らの主張を採用することはできない。 イ監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合,当該監査請求をした住民は,適法な住民監査請求を経たものとして,直ちに住民訴訟を提起することができるのみならず,当該監査請求の対象とされた財務会計上の行為又は怠る事実と同一の財務会計上の行為又は怠る事実を対象として再度の監査請求をすることも許されるものと解すべきである(最高裁判所平成10年12月18日第三小法廷判決・民集52巻9号2039頁参照)。 前記前提事実及び証拠(乙2)によれば,旧監査請求は,被告らに対して本件焼却施設の設計・製造及び適切な運転管理の懈怠により高濃度のダイオキシン類等の危険物質を発生させたことによる損害として11億6000万円の賠償を求めることを組合管理者に勧告するよう求めるというものであり,本件監査請求と同様に,組合が被告らに対して有している損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象とするものであったと解される。また,前記前提事実のとおり,組合監査委員は,旧監査請求が本件焼却施設のダイオキシン類問題が発覚した平成9年5月から1年間を経過してからされたものであることを理由にこれを却下しているところ,旧監査請求は,本件監査請求と同様に,本件請負契約の締結,本件焼却施設の運転 設のダイオキシン類問題が発覚した平成9年5月から1年間を経過してからされたものであることを理由にこれを却下しているところ,旧監査請求は,本件監査請求と同様に,本件請負契約の締結,本件焼却施設の運転管理の委託契約の締結等の財務会計上の行為を対象とする監査請求を含むものとみざるを得ないものではなく,旧監査請求には地方自治法242条2項本文規定の適用がないものと解するのが相当である。そうすると,組合監査委員は,適法な旧監査請求を不適法であるとして却下したものというほかなく,旧監査請求をした住民は,適法な監査請求を経たものとして,直ちに住民訴訟を提起することができるのみならず,組合の被告らに対する前記損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象として再度の監査請求をすることも許されることになる。そして,前記前提事実のとおり,旧監査請求をした住民のうち42名により旧住民訴訟が提起されたが,その後,旧住民訴訟は訴えの取下げ及びこれに対する被告らの同意により終了しているのであるから,たとえ原告らのうちに旧監査請求の請求人であった者が含まれているとしても,同原告らが旧監査請求と同一内容の本件監査請求をすることは何ら妨げられないというべきである。 被告らは,前記最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決を引用して,原告らのうち14名は本件監査請求と同一内容の旧監査請求を行っているから,同原告らによる本件監査請求は不適法である旨主張する。しかしながら,同判決は,同条1項の規定による住民監査請求に対し,同条3項の規定による監査委員の監査の結果が請求人に通知された場合において,請求人たる住民は,上記監査の結果に対して不服があるときは,同法242条の2第1項の規定に基づき同条の2第2項1号の定める期間内に訴えを提起すべきものであり,同一住民が先に監 通知された場合において,請求人たる住民は,上記監査の結果に対して不服があるときは,同法242条の2第1項の規定に基づき同条の2第2項1号の定める期間内に訴えを提起すべきものであり,同一住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されない旨判示したものであって,その判旨が,本件のように適法な監査請求が不適法なものとして却下され,監査委員による当該行為又は怠る事実の違法・不当性についての監査が全くされなかった場合にまで及ばないことは明らかである。被告らの上記主張を採用することはできない。 ウ以上によれば,本件訴えは,適法な本件監査請求を前置しているものと認められる。 (5) 出訴期間徒過の有無監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合,当該請求をした住民が提起する住民訴訟の出訴期間は,地方自治法242条の2第2項1号に準じ,却下の通知があった日から30日以内と解するのが相当である(前記最高裁判所平成10年12月18日第三小法廷判決参照)ところ,前記前提事実によれば,原告らは,本件監査請求を却下する旨の通知を受けてから30日以内に本件訴えを提起したものと認められる。 被告らは,原告らのうち14名は本件監査請求と同内容の旧監査請求を行っているところ,同一の事実について2回にわたり住民監査請求がされた場合,2回目の住民監査請求は不適法であるため,出訴期間は1回目の旧監査請求が却下された平成10年11月19日から計算すべきである旨主張する。しかし,旧監査請求の請求人であった原告らについても本件監査請求が不適法なものといえないことは前判示のとおりであり,本件監査請求を却下する旨の通知を受けた同原告らの出訴 計算すべきである旨主張する。しかし,旧監査請求の請求人であった原告らについても本件監査請求が不適法なものといえないことは前判示のとおりであり,本件監査請求を却下する旨の通知を受けた同原告らの出訴期間を旧監査請求が却下された日から起算する根拠はないものといわざるを得ないから,被告らの上記主張を採用することはできない。 (6) 小括以上のとおり,本件訴えが訴訟要件を欠き不適法なものということはできない。 2 和解の抗弁の成否(争点(5))について(1) 前記前提事実,証拠(甲2,9,乙1ないし3,6ないし10,13,43,44)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 ア α及びβの住民,大阪府立能勢高等学校関係者,豊能郡γ従業員ら合計1134名(その後申請を取り下げた者を除く。)の申請人らは,平成10年9月10日,同年12月4日及び平成11年8月30日の3次にわたって,能勢町,豊能町,組合,被告三井造船,同三造環境等を被申請人として,公害紛争処理法26条1項の規定に基づき,大阪府公害審査会に対し,本件公害調停事件の申請をした。上記申請において,申請人らは,組合,豊能町及び能勢町に対し,健康調査,土壌汚染調査,水質調査,農作物の調査及び風評被害の調査等の実施並びに健康被害,土壌汚染,農作物被害及び風評被害に係る補償金の支払を求めるとともに,被告らに対し,連帯して,組合,豊能町及び能勢町に対して上記各調査に係る費用及び上記各補償金を補てんするよう求めていた。 イ本件公害調停事件の申請人らのうちα及びβの住民ら48名は,平成10年10月9日,組合監査委員に対し,被告らに対して本件焼却施設の設計・製造及び適切な運転管理の懈怠により高濃度のダイオキシン類等の危険物質を発生させた 請人らのうちα及びβの住民ら48名は,平成10年10月9日,組合監査委員に対し,被告らに対して本件焼却施設の設計・製造及び適切な運転管理の懈怠により高濃度のダイオキシン類等の危険物質を発生させたことによる損害として11億6000万円の賠償を求めることを組合管理者に勧告するよう求める旨の旧監査請求をした。組合監査委員は,同年11月19日,旧監査請求は本件焼却施設のダイオキシン類問題が発覚した平成9年5月から1年間を経過してからされたものであることを理由に,これを却下した。上記住民らのうち42名は,平成10年12月18日,被告らに対し,地方自治法242条の2第1項4号の規定により,組合に代位して,組合に上記損害金及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の賠償を求める旧住民訴訟を提起した。 旧住民訴訟の原告らは,請求原因として,被告らの組合に対する責任原因及び組合の損害につき,おおむね次のとおり主張していた。 (ア) 被告三井造船の責任原因a 完全燃焼を実現することが非常に困難であるという構造的欠陥を有する本件焼却施設を設計・製造し,本件汚染を発生させ,本件焼却施設を廃炉に追い込んだことb 本件焼却施設の稼働によってダイオキシン類等の危険物質を発生させる具体的可能性があること等の説明義務があったのに,これを怠ったことc 隠れた瑕疵のある本件焼却施設を設計・製造し,本件汚染を発生させ,本件焼却施設を廃炉に追い込んだこと(民法570条に基づく瑕疵担保責任)(イ) 被告三造環境の責任本件焼却施設の運転管理の一切を組合から委託されながら,適正な燃焼温度である800度を下回る700度 法570条に基づく瑕疵担保責任)(イ) 被告三造環境の責任本件焼却施設の運転管理の一切を組合から委託されながら,適正な燃焼温度である800度を下回る700度台で日常的に燃焼させるなど,適切な運転管理を怠り,本件焼却施設の構造的欠陥とあいまって日常的に不完全燃焼の状態での操業を続け,本件汚染を発生させ,本件焼却施設を廃炉に追い込んだこと(組合との運転管理契約上の債務不履行〔善管注意義務違反〕による責任)(ウ) 組合の損害組合の被った損害の内容は,①平成9年5月以降の一般廃棄物処理委託費,②本件焼却施設が操業予定期間の半ばにおいて停止(廃炉)に追い込まれ,新たな焼却施設を設置しなければならなくなったことによる損害,③環境調査,汚染除去対策及び周辺住民等に対する賠償ないし補償に要する費用であり,その金額は,少なくとも本件焼却施設の建設工事請負代金に相当する11億6000万円を超過することが予想される。 ウ組合は,平成10年11月26日,被告らに対し,組合が今後,①湿式洗煙関連施設の汚染物及び汚染施設の除去,保管並びに適切な処理,②周辺環境調査,③環境改善対策(<ア>高濃度汚染土壌の除去及び処理,それ以外の汚染土壌への覆土等,<イ>調整池,能勢高校農場内の池及び天神池の水処理及び底泥処理),④周辺住民及び本件焼却施設従業員等の健康調査,⑤本件焼却施設の解体,撤去,⑥健康被害,風評被害に対する補償のような対策を講じなければならないところ,これらに対して被告らの責任による負担と協力を求めたい旨記載した「豊能郡γ焼却施設に係る技術的な問題等に関する質問書」をそれぞれ送付した。 エ本件公害調停事件において,申請人らは,同年12月25日付け申請人意 任による負担と協力を求めたい旨記載した「豊能郡γ焼却施設に係る技術的な問題等に関する質問書」をそれぞれ送付した。 エ本件公害調停事件において,申請人らは,同年12月25日付け申請人意見書(5)をもって,被告らに対して上記各調査に係る費用及び上記各補償金の組合への補てんを求める理由(被告らの組合に対する責任原因)について,イ(ア)及び(イ)と同様の主張をした。 オ本件公害調停事件において,申請人らは,平成12年3月13日付け協定書案を提出した。同協定書案には,被告らが,同協定書に別途定める費用等の支払のほか,組合,豊能町及び能勢町が本件焼却施設のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失に対する賠償金並びにダイオキシン問題対策として実施した施策に要した費用の補てんとして,組合に対し,11億4000万円を支払う旨の条項が含まれていた。 これに対し,被告らは,同年4月14日付け意見書をもって,被告らが組合が環境整備対策等に支出した費用の一部を拠出するための条件として,①拠出金額の総額を協定成立時点において確定させること,②拠出金額の総額を合理的な金額とすること,③資金を拠出する先を行政(組合,豊能町,能勢町等の行政主体)に絞ること,④協定が締結された場合,申請人ら住民が個別に被告らに対し更なる損害賠償を求めないことを提示した。 カ本件公害調停事件において,申請人らは,同年5月19日付け申請人意見書(26)をもって,組合が,別紙6記載のとおり,「ダイオキシン対策に要した経費」として合計25億9203万3902円を支出し,又は支出する予定である旨主張した。 キ同年7月12日,旧住民訴訟は,その原告である上記住民らによる訴えの取下げ及びこれに対する被告らの同意により終了した。 03万3902円を支出し,又は支出する予定である旨主張した。 キ同年7月12日,旧住民訴訟は,その原告である上記住民らによる訴えの取下げ及びこれに対する被告らの同意により終了した。 ク同月14日,本件公害調停事件において,上記申請人らと被申請人の組合,豊能町,能勢町及び被告らは,本件調停条項のとおり合意し,本件公害調停が成立した。 ケ組合,能勢町,豊能町及び被告らは,同日,被告らは,今後,組合,豊能町及び能勢町が取り組む次の事業について,引き続き技術的な協力及び助言を行うものとする旨記載された覚書を締結した。 (ア) 本件焼却施設周辺汚染土壌の無害化処理(イ) 本件焼却施設内ダイオキシン類汚染物の無害化処理(ウ) 本件焼却施設の解体処理(エ) 本件焼却施設の跡地利用コ被告三井造船は,同年8月28日,組合に対し,本件公害調停に基づき,合計5億4000万円を支払った。 (ア) 本件調停条項2条2項に基づき,同条1項の追加環境調査に要する費用として,寄付金500万円(イ) 同5条2項に基づき,同条1項の飲料水(ミネラルウォーター)の供給に要する費用として,寄付金(平成12年分)2000万円(ウ) 同7条1項に基づき,組合,能勢町及び豊能町が本件焼却施設のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失等の補てんとして,寄付金5億円(エ) 同9条6項に基づき,同2条4項,3条の調査に要する費用及び同9条1項の対策協議会の円滑な運営のための資金として,寄付金1500万円サ被告三井造船は,平成13年4月25日,組合に対し,本件公害調停(本件調停条項5条2項) 調査に要する費用及び同9条1項の対策協議会の円滑な運営のための資金として,寄付金1500万円サ被告三井造船は,平成13年4月25日,組合に対し,本件公害調停(本件調停条項5条2項)に基づき,同条1項の飲料水(ミネラルウォーター)の供給に要する費用として,寄付金(平成13年分)2000万円を支払った。 シ上記のほか,被告らは,本件公害調停に基づく義務のうち履行期の到来したものをいずれも履行している。 ス本件焼却施設においてごみ焼却処理作業に従事していた従業員らが,同作業に伴って身体に高濃度のダイオキシン類による汚染を受けたとして,組合,被告ら等に対して損害賠償請求をしていた当庁平成11年(ワ)第13743号事件において,平成15年9月9日,当事者及び利害関係人間に,「原告らと被告らは,本和解及びこれに先立つ大阪府公害審査会における公害調停(平成10年(調)第2号及び同3号並びに平成11年(調)第3号(β・αダイオキシン問題)事件)により,原告らと被告らとの間及び被告ら相互間における本件焼却炉施設にかかわる原告らの損害賠償問題が全て解決されたことを相互に確認する。」との条項を含む和解条項により,裁判上の和解が成立した。 セ上記和解が成立したことを受け,上記従業員ら及び利害関係人,組合,被告ら外1名は,同日,「第7条(被告施設組合と被告三井造船らとの間のダイオキシン問題の解決)」として,「被告施設組合と被告三井造船らは,本和解及びこれに先立つ公害調停により,被告施設組合と被告三井造船らとの間における本件焼却炉施設にかかわるダイオキシン類汚染問題が全て解決されたことを相互に確認する。」との条項を含む協定書を作成した。 (2) 上記認定事実によれば,仮に,本件において,原告らが組合が行 る本件焼却炉施設にかかわるダイオキシン類汚染問題が全て解決されたことを相互に確認する。」との条項を含む協定書を作成した。 (2) 上記認定事実によれば,仮に,本件において,原告らが組合が行使を怠っていると主張する組合の被告らに対する損害賠償請求権が発生していたとしても,本件公害調停の成立により,組合と被告らとの間において上記損害賠償請求権に関する和解契約が成立しているから,組合は,被告らに対し,もはや上記損害賠償請求権を行使することができないというべきである。その理由は,次のとおりである。 ア前記認定のとおり,本件調停条項には,被告らが,組合に対し,①組合,能勢町及び豊能町による追加環境調査(同2条1項)に要する費用として500万円(同条2項),②組合,能勢町及び豊能町による飲料水の供給(同5条1項)に要する費用として1億円(同条2項),③平成13年度以降の環境調査(同2条4項)及び健康調査(同3条)に要する費用並びに同9条1項により設置される「豊能郡γダイオキシン問題対策協議会」の円滑な運営のための資金として1500万円(同条6項),④本件調停条項に定める費用等の支払のほか,組合,能勢町及び豊能町が本件焼却施設のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失等の補てんとして5億円(同7条1項)を支払うことを認める旨の各条項がある。 ところで,前記認定のとおり,旧住民訴訟においては,本件汚染の発生により組合の被った損害の内容として,①平成9年5月以降の一般廃棄物処理委託費,②本件焼却施設が操業予定期間の半ばにおいて停止(廃炉)に追い込まれ,新たな焼却施設を設置しなければならなくなったことによる損害,③環境調査,汚染除去対策及び周辺住民等に対する賠償ないし補償に要する費用が挙げられていたところ,これら おいて停止(廃炉)に追い込まれ,新たな焼却施設を設置しなければならなくなったことによる損害,③環境調査,汚染除去対策及び周辺住民等に対する賠償ないし補償に要する費用が挙げられていたところ,これらは,旧住民訴訟が提起された平成10年当時,本件汚染の発生により組合が被った損害として通常想定される一切のものを挙げたものとみるのが相当である。そして,本件調停条項7条2項には,旧住民訴訟の原告である申請人は,本件公害調停成立後直ちに旧住民訴訟の訴えを取り下げる旨の条項があり,これは,上記のとおり,同条1項において,本件調停条項に定める費用等の支払のほか,組合,能勢町及び豊能町が本件焼却施設のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失等の補てんとして5億円を支払うこととされているのと対応する関係にあるものと認められる。 これらの事情からすると,上記のような本件調停条項中の被告らの組合に対する金員の各支払条項は,本件汚染の発生により組合が被った一切の損害のうち,被告らが負担すべきものとして申請人ら及び被申請人らが合意した部分に対する填補という趣旨で設けられたものと推認するのが相当である。 イ前記認定のとおり,本件調停条項は,「第14条(調停条項の尊重)」として,「申請人らの被申請人らに対する本調停による請求は,前記各調停条項によってすべて解決されたものとし,申請人ら及び被申請人らは今後前記各調停条項を尊重し,信義に従い誠実に協議解決することを約する。」ことを定めているところ,これは,申請人らの被申請人らに対する請求に関する清算条項であるため,被申請人たる組合と被告らとの間の権利義務関係についても包括的に解決するものであることを直接的に定めた条項とはなっていない。 しかし,前記認定のとおり,申請人らは, 条項であるため,被申請人たる組合と被告らとの間の権利義務関係についても包括的に解決するものであることを直接的に定めた条項とはなっていない。 しかし,前記認定のとおり,申請人らは,本件公害調停事件の申請をするに当たって,組合,豊能町及び能勢町に対し,健康調査,土壌汚染調査,水質調査,農作物の調査及び風評被害の調査等の実施並びに健康被害,土壌汚染,農作物被害及び風評被害に係る補償金の支払を求めるとともに,被告らに対し,連帯して,組合,豊能町及び能勢町に対して上記各調査に係る費用及び上記各補償金を補てんするよう求めていた。また,申請人らが本件公害調停事件において提出した平成12年3月13日付け協定書案には,被告らが,組合に対し,同協定書に別途定める費用等の支払のほか,組合,豊能町及び能勢町が本件焼却施設のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失に対する賠償金並びにダイオキシン問題対策として実施した施策に要した費用の補てんとして,旧住民訴訟における請求額に近い金額である11億4000万円を支払う旨の条項が含まれていた。さらに,前記認定のとおり,申請人らは,本件公害調停事件において,組合が,別紙6記載のとおり,「ダイオキシン対策に要した経費」として合計25億9203万3902円を支出し,又は支出する予定である旨主張している。これらのことに照らせば,申請人らとしても,被告らに対し,本件公害調停事件を通じて,本件汚染の発生により組合が被った一切の損害を填補するよう求めていたことが認められる。 被告らも,前記認定のとおり,上記協定書案に対して,同年4月14日付け意見書をもって,組合が環境整備対策等に支出した費用の一部を被告らにおいて拠出するための条件として,拠出金額の総額を協定成立時点において確定させること,資金 上記協定書案に対して,同年4月14日付け意見書をもって,組合が環境整備対策等に支出した費用の一部を被告らにおいて拠出するための条件として,拠出金額の総額を協定成立時点において確定させること,資金を拠出する先を行政(組合,豊能町,能勢町等の行政主体)に絞ることなどを提示していたのであるから,本件汚染の発生のために組合が支出した費用に対する填補としては,本件調停条項において組合に対して拠出することとなった金額で確定させる意思であったものと認められる。 そうすると,同条にいう「申請人らの被申請人らに対する請求」とは,上記のような申請人らの被告らに対する組合への損害填補の請求を含むものと解されるのであり,これについても本件調停条項によって「すべて解決されたものと」するのが同条の趣旨であると考えられる。 ウ組合としても,前記認定のとおり,本件公害調停事件が開始された直後に,被告らに対し,平成10年11月26日付け「豊能郡γ焼却施設に係る技術的な問題等に関する質問書」をそれぞれ送付して,本件汚染の対策のために要するものと想定されていた各種費用の填補を求める意思を表示していたところ,本件公害調停が成立した平成12年7月14日には,能勢町及び豊能町と共に,被告らとの間で,被告らが,今後,組合,豊能町及び能勢町が取り組む各事業について,引き続き技術的な協力及び助言を行うものとする旨記載された覚書を締結しており,この時点では,本件公害調停において合意した金員に加えて,上記各事業のために要した費用の填補を求める意思は有していなかったものと推認することができる。 エさらに,前記認定のとおり,本件焼却施設においてごみ焼却処理作業に従事していた従業員らが,同作業に伴って身体に高濃度のダイオキシン類による汚染を受けたとし のと推認することができる。 エさらに,前記認定のとおり,本件焼却施設においてごみ焼却処理作業に従事していた従業員らが,同作業に伴って身体に高濃度のダイオキシン類による汚染を受けたとして,組合,被告ら等に対して損害賠償請求をしていた事件において裁判上の和解が成立したことを受け,上記従業員ら及び利害関係人,組合,被告ら外1名は,「被告施設組合と被告三井造船らは,本和解及びこれに先立つ公害調停により,被告施設組合と被告三井造船らとの間における本件焼却炉施設にかかわるダイオキシン類汚染問題が全て解決されたことを相互に確認する。」との条項を含む協定書を作成していることからしても,本件公害調停は,組合と被告らとの間においても,本件焼却施設にかかわるダイオキシン類汚染問題を包括的に解決する趣旨のものであったことが認められる。 オこれらのことからすると,本件公害調停において,被告ら及び組合は,互譲により,本件汚染によって組合が被った一切の損害のうち被告らが填補すべきものの範囲を,本件調停条項中の被告らの組合に対する金員の各支払条項に定められたものに確定させる旨合意したものと認められる。 なお,本件において,原告らは,被告らの組合に対する責任原因として,①被告三井造船が構造的欠陥のある本件焼却施設を設計・製造したこと及び②被告らが本件焼却施設を適切に運転管理しなかったことを主張しているところ,前記認定事実によれば,上記①の責任原因は,本件公害調停事件及び旧住民訴訟においても主張されていたものと認められるが,上記②の責任原因は,本件公害調停事件及び旧住民訴訟においては,専ら被告三造環境の責任原因として主張されており,昭和63年4月から平成3年3月までの期間における被告三井造船による本件焼却施設の運転管理自体は問 原因は,本件公害調停事件及び旧住民訴訟においては,専ら被告三造環境の責任原因として主張されており,昭和63年4月から平成3年3月までの期間における被告三井造船による本件焼却施設の運転管理自体は問題とされていなかったものと認められる。しかしながら,上記アないしエの諸事情によれば,本件公害調停においては,被告らと組合との間では,本件汚染によって組合が被った一切の損害を対象に,これらのうち被告らが填補すべきものの範囲を確定させるという趣旨で合意が成立しているものと認められるから,上記②の被告三井造船が本件焼却施設を適切に運転管理しなかったことによる損害賠償請求権についても,当該合意の対象となるものとみるべきである。 したがって,本件において原告らが組合が被告らに対して有すると主張している損害賠償請求権については,仮に,当該損害賠償請求権が発生していたとしても,本件公害調停の成立により,組合と被告らとの間において,当該損害賠償請求権に関する和解契約が成立しているものと認められる。そして,前記認定のとおり,被告らは,現在に至るまで,本件調停条項に定められた被告らの義務をいずれも履行しているものと認められるから,現時点において,組合は,被告らに対し,もはや当該損害賠償請求権を行使することができない。 (3) これに対し,原告らは,本件公害調停が原状回復を主眼としていることなどを根拠に,本件公害調停は,申請人らと被申請人らとの関係のみを拘束するものであり,被申請人ら相互の関係を拘束するものではない旨主張するが,前判示のとおり,申請人らとしても,被告らに対し,本件公害調停事件を通じて,本件汚染の発生により組合が被った一切の損害を填補するよう求めていたことが認められ,このような被告らから組合への損害填補の請求を含む申請人らの被 人らとしても,被告らに対し,本件公害調停事件を通じて,本件汚染の発生により組合が被った一切の損害を填補するよう求めていたことが認められ,このような被告らから組合への損害填補の請求を含む申請人らの被申請人らに対する請求をすべて解決したものとする本件調停条項14条の定めによれば,本件公害調停が申請人らと被申請人らとの関係のみを拘束するものということはできず,原告らの上記主張を採用することはできない。 また,原告らは,本件公害調停の成立段階においては,将来組合に生じ得る損害やその金額が確定できていなかったものが多数あり,その中には予期せざる損害も含まれていたなどと主張する。しかし,たとえ本件公害調停の成立当時には組合の損害の内容及び金額がいまだ不確定であったとしても,申請人ら,組合及び被告らにとっては,そうであるからこそ,互譲により被告らが填補すべき金額を確定させ,早期に本件紛争を解決する意思であったものと認められる上,本件全証拠によっても,本件公害調停の成立後,その成立当時には全く予期することのできなかった損害が新たに組合に発生したとは認められないから,原告らの上記主張を採用することはできない。 なお,原告らは,本件公害調停の成立に関する組合議会における議決に際して行われた質疑等を挙げて,これらは組合が被告らに対する損害賠償請求権を放棄していないとの認識を前提にされている旨主張する。しかし,関係証拠(甲4,7,8,10)を精査しても,組合管理者ないし同副管理者が本件公害調停を経てもなお被告らに対して本件汚染に関する損害賠償請求権の行使が可能であるとの認識を有していたものとは認め難い。また,同証拠中には,組合が被告らに対する訴訟権を放棄したわけではない旨の記載も存するが,当該記載は組合が被告らとの間で本件公害調停 償請求権の行使が可能であるとの認識を有していたものとは認め難い。また,同証拠中には,組合が被告らに対する訴訟権を放棄したわけではない旨の記載も存するが,当該記載は組合が被告らとの間で本件公害調停成立後は本件に関して訴えを提起しないこととする旨の合意をしたり,その旨の文書を交わしたりはしていないことを意味するにとどまるものと考えられる上,証拠(甲8)によれば,組合は本件公害調停成立後は被告らに費用負担を求めないこととしていたことが認められる。原告らの上記主張を採用することはできない。 (4) 以上によれば,被告らの和解の抗弁は理由がある。 3 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官川神裕 裁判官山田明 裁判官一原友彦(別紙)調停調書上記当事者間の平成10年(調)第2号及び同3号並びに平成11年(調)第3号(α・βダイオキシン問題)事件について、第28回調停委員会を開催した。 期日平成12年7月14日場所大阪市δ-14ι10階「κの間」担当委員調停委員長 A調停委員 B調停委員 28回調停委員会を開催した。 期日平成12年7月14日場所大阪市δ-14ι10階「κの間」担当委員調停委員長 A調停委員 B調停委員 C当事者の出席状況別紙出席者名簿のとおり調停委員会は、当事者双方の主張、意見の聴取等に基づき慎重に検討した結果、本日、下記調停条項のとおり調停が成立した。 凡例文中においては下記のとおり略記する。 第1次、第2次、第3次申請人申請人ら被申請人能勢町能勢町同豊能町豊能町同豊能郡環境施設組合組合同三井造船株式会社三井造船同三造環境エンジニアリング株式会社三造環境大阪府立能勢高等学校能勢高校豊能郡γ焼却施設豊能郡γ前文1. 平成10年9月10日本調停が申し立てられてから本日までに、28回の期日を重ねることとなった。この間、申請人らは平成10年12月4日第2次追加申請、平成11年8月30日第3次追加申請をしたが、申請人らの総数は1,134名となった。 2. ところで、「豊能郡γ」は、平成9年1月及び同年5月のダイオキシン類排出濃度調査の結果、いずれも厚生省が定める基準値を上回ったため、平成9年6月7日以降稼働を中止し、平成10年10月12日には廃炉とすることが決定され、後述のとおり解体された。 3. この間、組合、能勢町及び豊能町は専門学者を中心とした委員会を設置して対策にあたり、大阪府も「ダイオキシン類に関する環境対策検討委員会」を設置して、組合の対応策について支援してきた。 4. また、その間の調査によって施設の冷水塔 は専門学者を中心とした委員会を設置して対策にあたり、大阪府も「ダイオキシン類に関する環境対策検討委員会」を設置して、組合の対応策について支援してきた。 4. また、その間の調査によって施設の冷水塔内の残留水及び洗煙塔充填物の付着灰からそれぞれ1億3,000万ピコグラム-TEQ/リットル、1億3,000万ピコグラム-TEQ/グラムという極めて高濃度のダイオキシン類が検出され、また「豊能郡γ」周辺の土壌からも、最高8,500ピコグラム-TEQ/グラムのダイオキシン類が検出された。 このため、組合は、かかる高濃度のダイオキシン類の汚染の範囲等に関する調査を大阪府の支援の下に実施し、また、国(厚生省)においては、ダイオキシン類の発生及び排出の機序と伝播の原因等の調査を行い、それぞれ公表した。 また、「豊能郡γ」の従業員や「豊能郡γ」の周辺の住民の健康調査も実施され、平成11年3月にはその結果も明らかにされた。 5. 一方、組合は、汚染土壌の除去を大阪府へ委託し、汚染土壌の一時保管施設の建設を進め、さらに施設の解体も実施して、現在施設内の汚染物は200リットル入りドラム缶約4200本に詰め込まれて保管され、また汚染土壌は上記保管施設に集められている。さらにε付近の対策も着手された。しかし、申請人らは健康や土壌調査をはじめとしてこれらの対策は不十分であると強く主張している。 6. 他方施設の設計、建設にあたった三井造船並びに施設の運転にあたった三造環境は、ともに平成11年3月1日の調停期日において本件施設よりダイオキシン汚染が発生したことから、申請人らをはじめ周辺住民に多大な不安を与えた点につき深い遺憾の意を表明し、本件の早期解決に費用負担等の協力の意思表明し、また組合も平成11年9月20日付文書をもって組織・運営について大いに反省すべき点があっ じめ周辺住民に多大な不安を与えた点につき深い遺憾の意を表明し、本件の早期解決に費用負担等の協力の意思表明し、また組合も平成11年9月20日付文書をもって組織・運営について大いに反省すべき点があったことを認めた。 7. かかる経過の中で、当委員会は申請人らを含む、近隣住民の不安の早期解消、住環境の改善、汚染物質の安全な除去等による、緑と水の杜であるβの里の一日も早い復元と21世紀に向けての理想的環境の町づくりを願って本調停案を提示したところ、関係各位におかれては、当委員会の意のあるところを了とされ、本調停案を受諾され本日に至ったものである。最後に、国及び大阪府におかれても、今後引続き支援の任にあたられることを強く希望する。 調停条項第1条[原状回復及び安全化対策の実施]1. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の施設(解体後の廃材、汚染物を含む。)並びに周辺の高濃度ダイオキシン類汚染物(土壌、植栽物等)を平成18年12月20日までに安全に処理・処分する。 2. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の周辺地域の原状回復に努め、γの施設並びに周辺の高濃度ダイオキシン類汚染物(土壌、植裁物等のほか、表流水及び地下水を含む。)の安全化対策を平成18年12月20日までに完了する。 3. 組合、能勢町及び豊能町は、前各項の原状回復及び安全化対策の実施にあたって、周辺地域に第二次汚染を発生させないよう万全の対策を講ずるものとし、万一、第二次汚染が発生したときには、直ちに上記のための作業を停止するとともに、すみやかにその原因を究明したうえ、その結果をζ、η及びθの住民に開示する。 なお、その具体策は、作業の再開の時期、方法等を含め第9条に定める「豊能郡γダイオキシン問題対策協議会」(仮称、以下単に「対策協議会」という。)に諮り、その 結果をζ、η及びθの住民に開示する。 なお、その具体策は、作業の再開の時期、方法等を含め第9条に定める「豊能郡γダイオキシン問題対策協議会」(仮称、以下単に「対策協議会」という。)に諮り、その答申に基づいて実施する。 4. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の跡地利用について、地権者との協議のほか、対策協議会に諮るものとする。 第2条[環境調査の実施]1. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の周辺地域の土壌、水質その他の事項について追加的に必要な環境調査(以下「追加環境調査」という。)を本調停成立後可及的すみやかに実施する。 実施場所はおおむね30ケ所とし、そのうち15ケ所については申請人らにおいて本調停成立後1ケ月以内に決定し、その余の実施場所並びに時期・方法その他の詳細は、対策協議会に諮って決定する。 2. 三井造船及び三造環境は、前項の追加環境調査に要する費用として金500万円を負担するものとし、これを本調停成立の日の属する月の翌月末日までに組合に対して寄付する。 3. 平成13年度以降の「豊能郡γ」の周辺地域の土壌、水質その他の事項についての必要な環境調査(以下単に「環境調査」という。)は19年間実施するものとし、最初の5年間は毎年1回、その後は5年経過毎に各1回とする。ただし、最初の5年間の環境調査において5年経過後も毎年実施の必要が認められたときは、この限りでない。 4. 平成13年度以降の環境調査の実施場所及び実施方法その他の詳細については、組合、能勢町及び豊能町において対策協議会に諮り決定する。 第3条[健康調査の実施]1. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の周辺地域に居住する住民、γの従業員及び能勢高校の関係者のうちの希望者に対して、本調停成立の日から20年間健康調査を実施する。 2. 前項の健康調査 ]1. 組合、能勢町及び豊能町は、「豊能郡γ」の周辺地域に居住する住民、γの従業員及び能勢高校の関係者のうちの希望者に対して、本調停成立の日から20年間健康調査を実施する。 2. 前項の健康調査は、最初の5年間は毎年1回、その後は5年経過毎に各1回とする。ただし、最初の5年間の健康調査において5年経過後も毎年実施の必要が認められたときは、この限りでない。 3. 第1項の調査対象者の選定、調査時期(初年度の調査は、平成12年10月末日までに実施する。)、調査項目等の詳細は、組合、能勢町及び豊能町において対策協議会に諮り決定する。なお、調査項目にはコプラナーPCBを含むダイオキシン類の平均濃度測定を含むものとする。 第4条[θの住環境改善]1. 能勢町は、θの住環境の改善のために下記の施策を実施する。 ① 大阪府営水道の導入整備計画及び能勢町上水道整備計画に基づき、平成18年度末までに上水道による給水が可能となるよう努める。 ② 平成13年度末までにθの近隣地域に児童公園を1ケ所設置する。 2. 三井造船及び三造環境は下記の費用を負担する。 ①. 前項の②の設置に要する費用として金1,000万円を負担するものとし、これを本調停成立の日の属する月の翌月末日までに能勢町に対して寄付する。 ② θのダイオキシン環境整備費(集会所1ケ所の建設、道路整備等の費用。)として金5,000万円を同地区の自治会に対して支払うものとし、平成12年10月末日までに申請人代理人事務所に持参又は送金して支払う。ただし、自治会は前記金員をすべて同事務所に預け、その使途についてはすべて事前に対策協議会の承認を受けて支出するものとする。 第5条[飲料水の供給]1. 組合、能勢町及び豊能町は、前条第1項の①の上水道による給水が可能となるまでの間、本調停成立の日現在のθの水道未普 て事前に対策協議会の承認を受けて支出するものとする。 第5条[飲料水の供給]1. 組合、能勢町及び豊能町は、前条第1項の①の上水道による給水が可能となるまでの間、本調停成立の日現在のθの水道未普及地域内の住民の希望者に対して無料で飲料水(ミネラルウォーター)を供給する。 2. 三井造船及び三造環境は、前項に要する費用として金1億円を負担するものとし、これを本調停成立の日の属する月の翌月末日までに組合に対して内金2,000万円を寄付し、平成13年から同14年まで毎年4月末日までに各金2,000万円、平成15年から同18年まで毎年4月末日までに各金1,000万円ずつ寄付する。 3. 第1項の飲料水の供給対象、飲料水の購入先等の詳細は、組合、能勢町及び豊能町において対策協議会に諮って決定する。 第6条[ζ・ηの農地整備]三井造船及び三造環境は、ζ及びηのダイオキシン関連農地を復元する費用等(復元用機材、沃土を含む。)として合計金5,000万円を負担するものとし、平成12年10月末日までに山内区区長に対して一括して上記金額を持参又は送金して支払う。ただし、その使途についてはすべて事前に対策協議会の承認を受けるものとする。 第7条[補填]1. 三井造船及び三造環境は、本調停条項に定める費用等の支払いのほか、組合、能勢町及び豊能町が「豊能郡γ」のダイオキシン問題に起因して被った経済的損失等の補填として金5億円を支払うことを認め、これを本調停成立の日の属する月の翌月末日までに組合に対して寄付する。 2. 申請人らのうち大阪地方裁判所平成11年(行ウ)第80号損害賠償代位請求住民訴訟事件の原告である申請人は、本調停成立後直ちに同訴訟を取下げる。 第8条[果樹の植栽等]三井造船及び三造環境は、能勢高校の農場内に栗木の接木100本を含む教育に必要な 0号損害賠償代位請求住民訴訟事件の原告である申請人は、本調停成立後直ちに同訴訟を取下げる。 第8条[果樹の植栽等]三井造船及び三造環境は、能勢高校の農場内に栗木の接木100本を含む教育に必要な果樹の植栽等を行う。その時期及び方法等は対策協議会において決定する。 第9条[対策協議会の設置]1. 組合、能勢町及び豊能町は、本調停条項に基づき「豊能郡γ」の施設の安全撤去、原状回復の実現と安全化対策の実施、環境調査、健康調査の継続実施及び地域の環境整備の実施等について、申請人ら、ζ、η及びθの住民と継続的に協議するものとし、そのための組織として「豊能郡γダイオキシン問題対策協議会」を設置する。 2. 対策協議会は本調停成立後1ケ月以内に設置する。 3. 対策協議会の設置期間は本調停成立後20年間とする。 4. 対策協議会の事務局は組合事務局内に置く。 5. 組合、能勢町及び豊能町は、「対策協議会」の円滑な運営に努める。 6. 三井造船及び三造環境は、第2条第4項、第3条の調査に要する費用、並びに「対策協議会」の円滑な運営のための資金として、本調停成立の日の属する月の翌月末日までに組合に対して合計金1,500万円を寄付する。 第10条[対策協議会の構成及び運営]1. 対策協議会の委員は15名とし、下記のとおりとする。なお、委員に変更がある場合は、各委員の推薦団体が後任の委員を推薦するものとする。 ① 申請人らの推薦する学識経験者 2名② 大阪府の推薦する学識経験者 3名③ 申請人らの推薦する者 3名④ ζ(ηを含む。)及びθの推薦する者各1名⑤ 組合の推薦する者 1名⑥ 能勢町及び豊能町の推薦する者各2名2. 対策協議会には委員長1名、副委員長1名を置き、委員から互選する。 3. 対策協議会は定期に開催する。 4. 対策協議会の会議は原則とし 推薦する者 1名⑥ 能勢町及び豊能町の推薦する者各2名2. 対策協議会には委員長1名、副委員長1名を置き、委員から互選する。 3. 対策協議会は定期に開催する。 4. 対策協議会の会議は原則として公開し、議事録を作成して関係者に開示する。 5. 対策協議会は、第4条第2項の②、及び第6条にかかる同協議会の承認を受けて支出した諸対策費の明細及び同協議会の運営費の支出状況を記載した資料・帳簿類を作成し、必要に応じ関係者に開示する。 第11条[調査費用・弁護士費用の補填]三井造船及び三造環境は、申請人らに対し「豊能郡γ」のダイオキシン問題処理のための調査費用・弁護士費用の補填として合計金2,000万円を支払うものとし、これを本調停成立の日の属する月の翌月末日までに申請人ら代理人事務所に持参又は送金して支払う。 第12条[ごみ減量化への取組]1. 組合、能勢町及び豊能町は、別紙「豊能郡におけるごみ減量化計画」に記載する各事項について、対策協議会に諮ったうえ平成13年3月末日を目途に行動計画を作成し、ごみの減量化に努める。 2. 組合、能勢町及び豊能町は、前項の行動計画を住民の協力を得て具体化し、両町において発生する一般廃棄物の総量を平成17年3月末日を目途に平成10年度の収集量(年間1万1,012トン)の50%以下に削減するよう努める。 第13条[元従業員]申請人のうち「豊能郡γ」の元従業員ら(申請番号――)の被申請人らに対する個別損害賠償の請求については、大阪地方裁判所平成11年(ワ)第13743号損害賠償請求事件によって解決を図るものとし、上記元従業員らは本調停の申立を取下げる。 第14条[調停条項の尊重]申請人らの被申請人らに対する本調停による請求は、前記各調停条項によってすべて解決されたものとし、申請人ら及び被申請人らは今後前 記元従業員らは本調停の申立を取下げる。 第14条[調停条項の尊重]申請人らの被申請人らに対する本調停による請求は、前記各調停条項によってすべて解決されたものとし、申請人ら及び被申請人らは今後前記各調停条項を尊重し、信義に従い誠実に協議解決することを約する。 平成12年7月14日調停委員長 A調停委員 B調停委員 C申請人代表 D申請人代理人弁護士 E被申請人豊能郡環境施設組合管理者 F被申請人豊能町町長 F被申請人能勢町町長 G被申請人三井造船株式会社代表取締役社長 H代理人常務取締役 I被申請人三造環境エンジニアリング株式会社代表取締役社長 J別紙「豊能郡におけるごみ減量化計画」 1 「ごみ非常事態宣言」を行い、住民に対し、説明会の開催や広報誌を配布するなど、徹底した分別によるごみ減量化・最小化を呼びかける。 2 ごみ問題の専門家である「ごみアドバイザー」を育成し、ごみの分別や減量化、最小化の活動を区や自治会単位で展開する。 3 公共施設の紙ごみのリサイクル化をめざす。 4 廃油・廃電池・廃蛍光灯等有害一般廃棄物の回収システムを作る。 5 生ごみのコンポスト(堆肥)化システムの構築等について検討する。 6 イベント(行事)等では使い捨ての食器を使用しないように努める。 7 公共施設におけるジュース類の自動販売機を減らすと共に、豊能郡内の自動販売機の設置を制限する施策を実施する。 8 豊能郡内のスーパーマーケット、量販店等に、必ず、缶、ペットボトル、牛乳パック、トレーなどの回収ボックスを設置するよう指導する。 9 学校・幼稚園・保育園等において使用する教材のリサイクル化を推進する。 10 学校に環境教育の拠点を作り、地域との環境教育の交流の場とする。 11 ごみ収集車は低公害車を使用するように努める。 12 豊能郡のご 稚園・保育園等において使用する教材のリサイクル化を推進する。 学校に環境教育の拠点を作り、地域との環境教育の交流の場とする。 ごみ収集車は低公害車を使用するように努める。 豊能郡のごみに関する情報を広く住民に提供する施策を講ずる。 以上
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