【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人松井一彦、同中根宏、同落合光雄、同大谷昌彦、同市野沢邦夫の上告 理由
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人松井一彦、同中根宏、同落合光雄、同大谷昌彦、同市野沢邦夫の上告 理由第一点について 本訴請求は、被上告人が宗教法人である上告人寺の代表役員兼責任役員であるこ との確認を求めるものであるところ、何人が宗教法人の機関である代表役員等の地 位を有するかにつき争いがある場合においては、当該宗教法人を被告とする訴にお いて特定人が右の地位を有し、又は有しないことの確認を求めることができ、かか る訴が法律上の争訟として審判の対象となりうるものであることは、当裁判所の判 例とするところである(最高裁昭和四一年(オ)第八〇五号同四四年七月一〇日第 一小法廷判決・民集二三巻八号一四二三頁参照)。そして、このことは、本件にお けるように、寺院の住職というような本来宗教団体内部における宗教活動上の地位 にある者が当該宗教法人の規則上当然に代表役員兼責任役員となるとされている場 合においても同様であり、この場合には、裁判所は、特定人が当該宗教法人の代表 役員等であるかどうかを審理、判断する前提として、その者が右の規則に定める宗 教活動上の地位を有する者であるかどうかを審理、判断することができるし、また、 そうしなければならないというべきである。もつとも、宗教法人は宗教活動を目的 とする団体であり、宗教活動は憲法上国の干渉からの自由を保障されているもので あるから、かかる団体の内部関係に関する事項については原則として当該団体の自 治権を尊重すべく、本来その自治によつて決定すべき事項、殊に宗教上の教義にわ たる事項のごときものについては、国の機関である裁判所がこれに立ち入つて実体 的な審理、判断を施すべきものではないが、右のような宗教活動上の自由ないし自 - 1 - 治 すべき事項、殊に宗教上の教義にわ たる事項のごときものについては、国の機関である裁判所がこれに立ち入つて実体 的な審理、判断を施すべきものではないが、右のような宗教活動上の自由ないし自 - 1 - 治に対する介入にわたらない限り、前記のような問題につき審理、判断することは、 なんら差支えのないところというべきである。これを本件についてみるのに、本件 においては被上告人が上告人寺の代表役員兼責任役員たる地位を有することの前提 として適法、有効に上告人寺の住職に選任せられ、その地位を取得したかどうかが 争われているものであるところ、その選任の効力に関する争点は、被上告人が上告 人寺の住職として活動するにふさわしい適格を備えているかどうかというような、 本来当該宗教団体内部においてのみ自治的に決定せられるべき宗教上の教義ないし は宗教活動に関する問題ではなく、専ら上告人寺における住職選任の手続上の準則 に従つて選任されたかどうか、また、右の手続上の準則が何であるかに関するもの であり、このような問題については、それが前記のような代表役員兼責任役員たる 地位の前提をなす住職の地位を有するかどうかの判断に必要不可欠のものである限 り、裁判所においてこれを審理、判断することになんらの妨げはないといわなけれ ばならない。そして、原審は、上告人寺のように寺院規則上住職選任に関する規定 を欠く場合には、右の選任はこれに関する従来の慣習に従つてされるべきものであ るとしたうえ、右慣習の存否につき審理し、証拠上、上告人寺においては、包括宗 派である日蓮宗を離脱して単立寺院となつた以降はもちろん、それ以前においても 住職選任に関する確立された慣習が存在していたとは認められない旨を認定し、進 んで、このように住職選任に関する規則がなく、確立された慣習の存在も認められ ない以上は、具体的にされた住職選 以前においても 住職選任に関する確立された慣習が存在していたとは認められない旨を認定し、進 んで、このように住職選任に関する規則がなく、確立された慣習の存在も認められ ない以上は、具体的にされた住職選任の手続、方法が寺院の本質及び上告人寺に固 有の特殊性に照らして条理に適合したものということができるかどうかによつてそ の効力を判断するほかはないとし、結局、本件においては、被上告人を上告人寺の 住職に選任するにあたり、上告人寺の檀信徒において、同寺の教義を信仰する僧侶 と目した者の中から、沿革的に同寺と密接な関係を有する各末寺(塔中を含む。) の意向をも反映させつつ、その総意をもつてこれを選任するという手続、方法がと - 2 - られたことをもつて、右条理に適合するものと認定、判断したものであり、右の事 実関係に照らせば、原審の右認定、判断をもつて宗教団体としての上告人寺の自治 に対する不当な介入、侵犯であるとするにはあたらない。原判決に所論の違法はな く、論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つてこれを論難するに帰し、採用するこ とができない。 同第二点及び第三点について 所論の点に関する原審の認定、判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当と して是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属 する証拠の取捨、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立つて原判決の不当 をいうものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 本 山 亨 裁判官 団 藤 重 光 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判長裁判官 本 山 亨 裁判官 団 藤 重 光 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判官 中 村 治 朗 - 3 -
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