平成12(ネ)4080 損害賠償請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年10月30日 大阪高等裁判所
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本件は、控訴人がTK工業株式会社と出資法違反に基づく契約を締結し、約定の払戻しを受けられなかったことから、被控訴人に対し損害賠償を請求した事案である。主要な争点は、被控訴人の不法行為責任の有無と控訴人の損害の範囲であった。裁判所は、被控訴人がレンタルオーナーズクラブ事業の勧誘に関与し、控訴人に損害を与えたと認定し、控訴人に506万5000円及び遅延損害金の支払いを命じた。控訴人のその他の請求は棄却され、訴訟費用は控訴人と被控訴人で分担することとなった。判決は、被控訴人の不法行為が認められたことを示している。

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判決文本文9,406 文字)

主文 1 原判決中被控訴人に関する部分を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,506万5000円及びこれに対する平成10年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 控訴人(1) 原判決中被控訴人に関する部分を取り消す。 (2) 被控訴人は,控訴人に対し,1121万円及びこれに対する平成10年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人本件控訴を棄却する。 第2 事案の概要本件は,控訴人が,TK工業株式会社(以下「TK工業」という。)と,出資法違反等の公序良俗に反する契約を締結させられ,同契約に基づきTK工業に出資したが,約定の払戻しを受けられずに損害を被ったとして,被控訴人に対し,TK工業関係者との共同不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害金及びこれに対する不法行為後の民法所定の遅延損害金を請求する事案である。 1 前提事実(1) TK工業は,平成5年4月28日に設立された家庭用電気製品,健康機器等の製造・販売を目的とする株式会社である。(争いがない。)(2) S(以下「S」という。)はTK工業設立の当初から同会社の代表取締役に就任している。(甲1の1・2)(3) 被控訴人は,Sから誘われて,レンタルオーナーズクラブという名称の事業について,統括本部長という名称でオーナーの募集等の業務をした。(争いがない。) ている。(甲1の1・2)(3) 被控訴人は,Sから誘われて,レンタルオーナーズクラブという名称の事業について,統括本部長という名称でオーナーの募集等の業務をした。(争いがない。)(4) レンタルオーナーズクラブ事業は,TK工業とオーナー(相手方)が,おおむね次の内容の,レンタルオーナーズクラブのオーナー契約という名称の契約(以下「レンタルオーナーズクラブ契約」という。)を締結して,オーナーはTK工業に所定の金銭を支払い,TK工業はオーナーに払戻金を支払うという概要の事業である。(甲3ないし5,被控訴人)① オーナーとなる者は,TK工業が製造したJUNUSⅡ/ 型式TK2002という整水器を,1台2万5000円で,2年の間,TK工業から買い取って,オーナーとなる。 ② 買い取られた整水器は,TK工業が,ユーザー(一般消費者)にレンタル(賃貸)して収益を上げる。このレンタル契約の締結及び維持はTK工業において一切を行い,レンタル条件はTK工業が決める。 ③ TK工業は,買い取られた整水器をレンタルすることができず,または途中でユーザーとのレンタル契約が解除されても,オーナーに対し,1口あたり,毎月20日限り,8万円ずつ24回に亘り合計192万円を払い戻す。 ④ 1口は整水器40台分であり,前記のとおり1台2万5000円であるから,オーナーとなる者は,1口につき100万円の代金をTK工業に払い込む。 (5) 控訴人は,以下のとおり,Sを通じて,本人名義及び兄や子供の名義で,TK工業との間でレンタルオーナーズクラブ契約を締結し,合計1600万円を支払った。ただし,⑥の契約だけは,1口当たりの毎月の払戻額は7万円で合計168万円とする約定であった。(甲2の1ないし6,乙イ3な 業との間でレンタルオーナーズクラブ契約を締結し,合計1600万円を支払った。ただし,⑥の契約だけは,1口当たりの毎月の払戻額は7万円で合計168万円とする約定であった。(甲2の1ないし6,乙イ3ないし8,控訴人,被控訴人)① 平成 8年 8月20日本人名義 2口 200万円② 平成 8年10月20日本人名義 3口 300万円③ 平成 8年11月20日本人名義 1口 100万円④ 平成 8年11月20日 S 1名義 5口 500万円⑤ 平成 9年 2月20日本人名義 2口 200万円⑥ 平成 9年 4月20日 S 2名義 3口 300万円 2 争点(1) 被控訴人の不法行為責任の有無(控訴人の主張)アレンタルオーナーズクラブは,TK工業のレンタルオーナーズクラブ事業の勧誘組織である。被控訴人は,S等らのTK工業関係者と共謀して,このような勧誘組織を作った上,その統括本部長として,オーナー募集の中核的役割を果たしていた。 イレンタルオーナーズクラブ契約は,形式的には整水器の売買契約とその賃貸借契約を仮装しているものの,実態は,出資法取締法で禁止されている出資金の受け入れないしは預かり金である。また,レンタルオーナーズクラブ事業は,次々と新たなオーナーを獲得することによってのみ維持されるものであり,早晩破綻してオーナーが損害を被る蓋然性が極めて大きい事業である。このような事業は,公序良俗に違反するから,これを行い,あるいはこれに加わるためのレンタルオーナーズクラブ契約を締結するよう勧誘することは,違法である。被控訴人は,このことを認識し,または認識し得たにもかかわ 業は,公序良俗に違反するから,これを行い,あるいはこれに加わるためのレンタルオーナーズクラブ契約を締結するよう勧誘することは,違法である。被控訴人は,このことを認識し,または認識し得たにもかかわらず,あえてこれを行なうこととし,インターネットのホームページを開設してオーナーを募集し,問い合わせをしてきた控訴人に対し,電話や手紙で契約の有効性を説明するなどし,もって控訴人にレンタルオーナーズクラブ契約を締結させて,後記のとおり損害を被らせた。 (被控訴人の主張)被控訴人がSと共謀の上,レンタルオーナーズクラブ契約を発案し,レンタルオーナーズクラブという勧誘組織を作った上,控訴人をして同契約を締結させ,損害を生じさせたとの主張は否認する。 被控訴人は,Sに誘われて,レンタルオーナーズクラブの募集業務を行ったのみで,TK工業の経営やレンタルオーナーズクラブの発案及び組織作り等に関与したことはない。 (2) 控訴人の損害(控訴人の主張)前記各契約締結後,TK工業は,控訴人に対し,平成8年10月から同9年5月までの間は約定どおり合計544万円を払い戻した。しかるに,TK工業は,平成9年5月ころ,控訴人に対し,経営状態の悪化を理由として平成9年6月分以降の払戻金の支払を1年間停止する旨を一方的に通告し,同月分以降の払戻金の支払を停止した。その後,控訴人が抗議したところ,TK工業は,平成9年8月以降数回に分けて合計135万円を払い戻したが,その後倒産してしまった。その結果,控訴人は,払込金と前記払戻額との差額921万円の払戻を受けられなくなり,同額の損害を被った。 被控訴人の不法行為による控訴人の精神的苦痛に対する慰謝料は100万円が相当である。 払込金と前記払戻額との差額921万円の払戻を受けられなくなり,同額の損害を被った。 被控訴人の不法行為による控訴人の精神的苦痛に対する慰謝料は100万円が相当である。 被控訴人の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は100万円である。 (3) 過失相殺(被控訴人の主張)被控訴人は,控訴人を直接勧誘したり,払戻金の返還を保証したことはない。控訴人は,自ら,確実に払戻金の支払を受けられる投資であると判断して,上記各契約を締結したものである。したがって,応分の過失相殺がされるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 事実経過前提事実と証拠(甲1の1・2,2の1ないし6,3ないし13,乙ア1の1ないし4,乙イ1ないし8,9の1・2,10,乙エ1,原審被告O,被控訴人)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 (1) TK工業は,Sがその株式を全部引き受けて平成5年4月28日に東京都内で設立された会社である。当初は,他社製造に係るアルカリイオン整水器の販売をしていたが,その後,自社製品を開発し,また,レンタル事業も始めた。Sは,設立当初から代表取締役として,TK工業の資金繰りを担当していたほか,その経営全般を取り仕切っていた。 (2) TK工業は,次第に製品の製造資金に窮するようになった。そこで,Sは,魅力的な条件で整水器のオーナーを一般大衆から募集することにより資金を集め(すなわちオーナーに整水器を買い取ってもらい),その整水器をTK工業がユーザーにレンタルして,そのレンタル料で,集めた資金の払戻をするというシステムを考案し,これによって,TK工業の資金を賄おうとした。レンタルオーナーズクラブ事業は,このような意図をもってSが開 がユーザーにレンタルして,そのレンタル料で,集めた資金の払戻をするというシステムを考案し,これによって,TK工業の資金を賄おうとした。レンタルオーナーズクラブ事業は,このような意図をもってSが開発し,始めたものである。 (3) レンタルオーナーズクラブ契約の契約内容は,おおむね次のとおりであった。 オーナーとなるべき者は,TK工業から,2年間,整水器を1台2万5000円で買い受ける。TK工業は,オーナーに整水器を引き渡さず,TK工業が自ら任意に定めるレンタル料(実際には1台当たり1か月3000円程度であった。)でユーザーにレンタルする。レンタル事業は顧客の募集を含めて一切をTK工業が行い,オーナーは関与しない。T工業は,オーナーに対し,ユーザーとのレンタル契約が締結されなくとも,あるいは途中で解約されても,2年の間,毎月1台あたり2000円を払い戻す。レンタルオーナーズクラブ契約は整水器40台を1口とし,したがって,オーナーは,1口当たり毎月8万円の払戻を受ける(ただし,控訴人の場合,前記のとおり,⑥の契約では1口当たり7万円の払戻金とする旨改められた。)。 (4) 被控訴人は,名古屋市内で整水器のレンタル事業等を営む株式会社Bの代表取締役であった。被控訴人は,平成5年夏ころから,自社がレンタルするための整水器をTK工業から購入し始め,平成7,8年ころには1か月100台前後を購入していた。被控訴人は,平成7年秋ころ,Sから,レンタルオーナーズクラブ事業に加わるよう誘われ,レンタルオーナーズクラブ統括本部の統括本部長という名称で,名古屋市内でオーナーの募集業務をするようになった。そして,レンタルオーナーズクラブ契約が締結されると,統括本部長には,オーナーからの払込金のうちの一定割合(1台当たり4000円)が手 いう名称で,名古屋市内でオーナーの募集業務をするようになった。そして,レンタルオーナーズクラブ契約が締結されると,統括本部長には,オーナーからの払込金のうちの一定割合(1台当たり4000円)が手数料として支払われることになっていた。 (5) 被控訴人は,オーナーの募集のためにインターネットのホームページを作成して公開した。ホームページには,前記のようなレンタルオーナーズクラブ契約の大要を紹介する記事のほか,オーナー制度は整水器のレンタルシステムを全国的に普及させることを目的とするものであること,資金参加をするオーナーを募集していること,ビジネスチャンスであり,副収入が得られる契約であること,目標は100万件のユーザーであること,1口の契約の場合,100万円の資金参加で,2年満期の間に192万円の払戻があるから,92万円の利益が保証されていることなどが魅力的に記載されている。 また,被控訴人は,レンタルオーナーズクラブを紹介するパンフレット及びレンタルオーナーズクラブ事業についてSのインタビュー記事を掲載した業界紙のコピーを用意し,これを募集に使用した。パンフレットには,誰でも参加できるオーナー制度で,資金力に応じて毎月確実に安定した収入を確保できることなどが記載されている。 (6) 控訴人は,平成8年7月ころ,上記ホームページを見てレンタルオーナーズクラブに興味を持ち,そこに「お問い合わせ先」として掲載されていた統括本部(被控訴人方)に連絡して,被控訴人に前記パンフレットや申込書等の書類一式を送付してもらった。控訴人は,パンフレットを見て,有利な投資になると判断した。そこで,控訴人は,送付されてきた申請書に必要事項を記載の上,同月19日,2口の申込書を統括本部に送付した。被控訴人から申込書の転送を受けたTK 人は,パンフレットを見て,有利な投資になると判断した。そこで,控訴人は,送付されてきた申請書に必要事項を記載の上,同月19日,2口の申込書を統括本部に送付した。被控訴人から申込書の転送を受けたTK工業(S)は,この申込を承諾する旨連絡したので,控訴人は,同月25日,指定の預金口座(被控訴人が開設した口座)に200万円を振り込んだ。TK工業は,この振込を確認の上,同年8月20日付けでレンタルオーナーズクラブ契約の契約書を作成し,控訴人に送付した。 (7) その後,控訴人は,平成8年8月中旬ころ,被控訴人と電話で話した。その際,被控訴人は,控訴人に対し,自分の経営している会社の従業員も加入しているし,親戚の者も加入していると説明し,控訴人に同契約の口数の増加を勧めた。 控訴人は,平成8年8月17日,更に3口の契約を締結する旨の申請書を同本部に送付した。これに基づいて,同年10月20日,控訴人とTK工業との間で,3口のレンタルオーナーズクラブ契約が締結された。控訴人は,その後も,被控訴人を通じて,本人名義及び兄や長男の名義で同契約を締結し,結局,前記前提事実のとおり6個の契約を結んだ。 (8) TK工業は,平成9年4月分までは,控訴人に対し,上記契約に基づく払戻金を約定どおり控訴人指定の銀行口座に入金したが,同年5月分の払戻金を約定の同月20日までに入金することができなくなった。控訴人は,そのころ,被控訴人に対し,入金がないことについて問い合わせをしたが,被控訴人から明確な説明は得られなかった。被控訴人は,実際にTK工業の経営や資金状態には何も関係していなくて,説明も受けていなかったから,説明できなかった。 (9) TK工業は,同年6月18日ころ,各オーナーに対し上記の払戻金支払が滞った事情の説明及び払戻金の支払の延期を には何も関係していなくて,説明も受けていなかったから,説明できなかった。 (9) TK工業は,同年6月18日ころ,各オーナーに対し上記の払戻金支払が滞った事情の説明及び払戻金の支払の延期を求める文書を送付した。これには,次のような記載がされている。 TK工業の整水器のレンタル契約件数は,平成6年度(平成6年4月から平成7年3月まで)は1212件,平成7年度(平成7年4月から平成8年3月まで)は2876件であった。平成7年11月にレンタルオーナーズクラブ事業を始めて,発展を図り,平成8年度は整水器のレンタル契約成立見込み数を1万8000件に設定してオーナーを募集したが,同年度のレンタル契約は見込みの約35パーセントという散々たる結果に終わった。平成8年1月から,レンタル収入からオーナー払戻金額を引いた差額は減少し続け,同年10月には赤字になり,その後赤字が増加し続けた。今後新規オーナー募集は中断する。 (10) その後,控訴人は,被控訴人の協力もあって,Sと談判することができ,結局,合計135万円の支払を受けることはできたが,それ以上の支払はなく,平成9年11月ころにはSが行方不明となってしまい,TK工業は事実上倒産の状態となった。そのため,控訴人は,前記の払込金1600万円から支払を受けた払戻金合計544万円と上記135万円を控除した残額921万円の払戻を受けることができず,同額の損害を被っている。 2 被控訴人の責任について1の認定によると,レンタルオーナーズクラブ事業は,TK工業のSが事業資金獲得の意図をもって始めたものである。また,レンタルオーナーズクラブ契約の契約条件と宣伝内容に照らすと,オーナーには整水器を買い受ける意識はない。 当該整水器のレンタルにより実際にレンタル収入があるかどう の意図をもって始めたものである。また,レンタルオーナーズクラブ契約の契約条件と宣伝内容に照らすと,オーナーには整水器を買い受ける意識はない。 当該整水器のレンタルにより実際にレンタル収入があるかどうかにかかわりなく月々定額の払戻金が支払われるから,オーナーは,この支払を受けることができるという点のみに着目して出資する契約である。すなわち,レンタルオーナーズクラブ契約は,整水器の売買とレンタルへの使用許諾及びその対価の支払という形式をとってはいるが,その実質は,TK工業がオーナーから一定の金員の出資を受け,これを当時の銀行金利等に比して著しく高額の利益を付加して返還することを約した金銭の受け入れ契約であるとみるのが相当である。そして,前記説示のとおり,TK工業は,一般大衆からこのオーナーを募集したのであるから,結局,上記の金銭の受け入れは,出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律1条にいう,不特定かつ多数の者に対し,後日出資の払戻として出資金の全額もしくはこれを超える金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示してされた出資金の受入に該当する可能性が極めて濃厚である。 しかも,ユーザーから入るレンタル料とオーナーへの払戻金の差額はわずかであるから,運営経費を考慮すると,レンタルオーナーズクラブ契約の対象とされた整水器が余すことなくレンタルされたとしても,それだけでレンタルオーナーズクラブ契約が順調に履行できるかどうか極めて疑わしいところである上,少なくとも,売買の対象とされた整水器を余さずにレンタルすることができないときは,新規のレンタルオーナーズクラブ契約により入る別の出資金を払戻金に回すか,あるいは他から資金を調達して払戻金に回す必要があることになり,そのような場合には,レンタルオーナーズクラブ事業が破綻するに至る危険が ンタルオーナーズクラブ契約により入る別の出資金を払戻金に回すか,あるいは他から資金を調達して払戻金に回す必要があることになり,そのような場合には,レンタルオーナーズクラブ事業が破綻するに至る危険が極めて大きい。レンタルオーナーズクラブ契約がもともとレンタル先の有無にかかわらずに履行されるべきものとされているのであって,そのようなレンタルオーナーズクラブ事業の内容自体が,破綻の危険が大きいと認められるのである。なお,実情として,レンタルが好調でユーザーの確保に問題はなかったとか,Sが予めレンタル先を確保してからレンタルオーナーズクラブ契約を締結するとかして,払戻金の財源確保に意を用いていた形跡は全くない。かえって,倒産間際にSがした前記説明によると,裏付けのない放漫な計画であったことが明らかである。このようなレンタルオーナーズクラブについて,応募や出資を勧誘する行為は,公序良俗に違反し,社会通念上許容しがたく,不法行為法上の違法の評価を受けるというべきである。 被控訴人本人尋問の結果によると,被控訴人は,前記のような破綻の危険性に全く考え及ばなかったことを認めることができる。被控訴人は,Sを信用していて,自分はSのいうとおり窓口になっただけであって,Sがレンタル先を確保してからレンタルオーナーズクラブ契約を締結するであろうから危険性はないと思っていたという趣旨の供述をしている。確かに,被控訴人がSと共同してレンタルオーナーズクラブ事業を開発したり,同事業の推進に中心的な役割を果たしたりしたというほどのことまでを認めるに足りる証拠はない。軽率にも,Sを信用し,手数料収入を得ることを目的として(控訴人分だけでも計算上256万円になる。),うっかり手助けしたという程度のことしか認定できない。しかし,レンタルオーナーズクラブ事業は, 。軽率にも,Sを信用し,手数料収入を得ることを目的として(控訴人分だけでも計算上256万円になる。),うっかり手助けしたという程度のことしか認定できない。しかし,レンタルオーナーズクラブ事業は,それ自体の内容上勧誘してはならない性質のものであって,普通の人ならそのように判断できる。また,Sが信用できる人物であり,上記供述のように配慮されると信じるべき状況があったことを認めるに足りる証拠はない。被控訴人には,インターネットにホームページを公開してこのような危険性の高いレンタルオーナーズクラブ契約を勧誘したことについて,過失責任があるというべきである。 3 過失相殺についてレンタルオーナーズクラブ事業が早晩破綻を来す蓋然性が高いものであったことは前記のとおりであるが,このことは控訴人においてもレンタルオーナーズクラブ契約の内容を少し検討すれば容易に気付くことのできた事実である。わずかな注意を払いさえすれば損害の発生を回避できた。控訴人本人尋問の結果によると,控訴人は,TK工業の提示した高率の利益に目を奪われ,その危険性に気付かないままレンタルオーナーズクラブ契約を締結し,その結果,一部の払戻金の支払を受けられなかったものであるから,控訴人にも,上記損害の発生について過失がある。控訴人の過失と被控訴人の過失は同程度というべきであるから,控訴人が被った損害については,その5割について過失相殺をすべきである。 4 損害について(1) 控訴人は,前記のとおり921万円の損害を被った。その5割は460万5000円である。 (2) 控訴人は,慰謝料を請求しているが,特段の事情のない限り,控訴人の財産的損害が填補されれば精神的苦痛は慰謝されるというべきであるから,慰謝料の請求は理由がない。 (3) 本件事案 (2) 控訴人は,慰謝料を請求しているが,特段の事情のない限り,控訴人の財産的損害が填補されれば精神的苦痛は慰謝されるというべきであるから,慰謝料の請求は理由がない。 (3) 本件事案の難易度及び認容額その他諸般の事情を斟酌すると,被控訴人の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は46万円と認めるのが相当である。 5 結論以上によると,控訴人の本件請求は,506万5000円の損害金及び不法行為の後である平成10年1月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,認容し,その余は理由がないから,棄却すべきである。よって,これと異なる原判決は相当でないから,これを上記のとおり変更することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条,61条,64条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第6民事部裁判長裁判官加藤英継裁判官窪田正彦裁判官小見山進

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