本件は、特許権侵害を巡る控訴事件であり、控訴人であるグリッドマーク株式会社が、被控訴人のワールド・ファミリー株式会社に対し、特許権に基づく製品の製造、譲渡等の差止め及び廃棄を求めた。主要な争点は、控訴人が主張する特許権が有効であるかどうかであり、原審は特許法に基づき控訴人の請求を棄却した。控訴人は、特許権の行使が認められない理由として、特許請求の範囲が法に違反しているとされた。控訴審でも原判決を支持し、控訴を棄却する判断が下された。判決により、控訴人は控訴費用を負担することとなった。
令和3年3月4日判決言渡 令和2年(ネ)第10045号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(ワ)第10126号)口頭弁論終結日令和2年12月9日判決 控訴人 グリッドマーク株式会社 同訴訟代理人弁護士 弓削田博 神田秀斗 同 平田慎二 同訴訟代理人弁理士 平川明 今堀克彦 被控訴人 ワールド・ファミリー株式会社 同訴訟代理人弁護士 下田憲雅 被控訴人補助参加人 ソニックステクノロジー株式会社 同訴訟代理人弁護士 矢部耕三 岡本義則 同補佐人弁理士 松尾淳一 末松亮太 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,原判決別紙被告製品目録記載の各製品を製造し,譲渡し,輸入し,輸出し,譲渡の申出をし,又は譲渡 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,原判決別紙被告製品目録記載の各製品を製造し,譲渡し,輸入 し,輸出し,譲渡の申出をし,又は譲渡のために展示してはならない。 3 被控訴人は,前項の各製品及びその半製品(同目録記載の各製品の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの)を廃棄せよ。 4 被控訴人は,控訴人に対し,1億円及びこれに対する平成30年3月30日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等(以下,略称は,特に断りのない限り原判決に従う。) 1 事案の概要本件は,発明の名称を「ドットパターン」とする特許(本件特許1),「音声情報再生装置」とする特許(本件特許2),発明の名称を「ドットパターン」 とする特許(本件特許3),発明の名称を「ドットパターンが形成された媒体,ドットパターンを用いた情報入力方法,ドットパターンを用いた情報入出力方法,ドットパターンを用いた情報入力装置,ドットパターンを用いた情報処理装置」とする特許(本件特許4)の特許権者である控訴人が,被控訴人による原判決別紙被告製品目録記載の各製品(被告各製品)の製造,譲渡等が控訴人 の本件各特許に係る特許権を侵害する旨主張して,被控訴人に対し,同特許権に基づき,被告各製品の製造,譲渡等の差止め及び廃棄(半製品の廃棄を含む。)を求めるとともに,同特許権侵害(ただし,控訴人に対して同特許権が移転される前は同特許権について控訴人に許諾された独占的通常実施権の侵害又は控訴人に対して設定された専用実施権の侵害)の不法行為に基づく損害賠償とし て1億円(18億3333万3332円の一部請求)及びこれに対する不法行 為後の日である平 常実施権の侵害又は控訴人に対して設定された専用実施権の侵害)の不法行為に基づく損害賠償とし て1億円(18億3333万3332円の一部請求)及びこれに対する不法行 為後の日である平成30年3月30日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,本件特許1の請求項1に記載された発明(本件発明1)及び本件特許2の請求項1に記載された発明(本件発明2)に係る特許請求の範囲等の補 正はいずれも特許法17条の2第3項に違反し,本件特許3の請求項1に記載された発明(本件発明3)並びに本件特許4の請求項1に記載された発明(本件発明4)及び同請求項20に記載された発明(本件発明5)の特許請求の範囲の記載はいずれも同法36条6項1号に違反し,特許無効審判により無効にされるべきものであり(同法123条1項1号,4号),控訴人は被控訴人に 対して特許権を行使することができないとして(同法104条の3第1項),控訴人の請求をいずれも棄却した。 控訴人は,原判決を不服として本件控訴を提起した。 2 前提事実以下のとおり原判決を補正するほか,原判決の「事実及び理由」第2の2に 記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 3頁末行から5頁9行目までを次のとおり改める。 「ア本件特許権1(甲3,4,顕著な事実)① 特許番号第4392521号② 登録日平成21年10月23日 ③ 発明の名称ドットパターン④ 出願番号特願2008-223887出願日平成20年9月1日⑤ 分割の表示特願2008- ③ 発明の名称ドットパターン④ 出願番号特願2008-223887出願日平成20年9月1日⑤ 分割の表示特願2008-177416の分割原出願日平成19年2月6日 ⑥ 優先権主張特願2002-281815(日本国)(丙13) (以下「本件基礎出願1」という。)優先日平成14年9月26日⑦ 優先権主張特願2002-292907(日本国)(丙14)(以下「本件基礎出願2」という。)優先日平成14年10月4日 ⑧ 優先権主張特願2002-380503(日本国)(丙15)(以下「本件基礎出願3」という。)優先日平成14年12月27日⑨ 優先権主張特願2002-380932(日本国)(丙16)(以下「本件基礎出願4」という。) 優先日平成14年12月27日⑩ 優先権主張特願2002-381743(日本国)(丙17)(以下「本件基礎出願5」という。)優先日平成14年12月27日イ本件特許権2(甲6,7) ① 特許番号第4817157号② 登録日平成23年9月9日③ 発明の名称音声情報再生装置④ 出願番号特願2010-267198出願日平 7号② 登録日平成23年9月9日③ 発明の名称音声情報再生装置④ 出願番号特願2010-267198出願日平成22年11月30日 ⑤ 分割の表示特願2010-254460の分割原出願日平成15年9月26日⑥ 優先権主張本件基礎出願1ないし5のとおり。 ウ本件特許権3(甲9,10)① 特許番号第4899199号 ② 登録日平成24年1月13日 ③ 発明の名称ドットパターン④ 出願番号特願2011-41190出願日平成23年2月28日⑤ 分割の表示特願2010-267198の分割原出願日平成15年9月26日 ⑥ 優先権主張本件基礎出願1ないし5のとおり。 エ本件特許権4(甲12,13)① 特許番号第5259005号② 登録日平成25年5月2日③ 発明の名称ドットパターンが形成された媒体,ドットパター ンを用いた情報入力方法,ドットパターンを用いた情報入出力方法,ドットパターンを用いた情報入力装置,ドットパターンを用いた情報処理装置④ 出願番号特願2012-218687出願日平成24年9月28日 ⑤ 分割の表示特願2012-39515の分割原出願日平成15年9月26日⑥ 優先権主張本件基礎出願1ないし5のとおり。 28日 ⑤ 分割の表示特願2012-39515の分割原出願日平成15年9月26日⑥ 優先権主張本件基礎出願1ないし5のとおり。 ⑵ 5頁12行目及び同16行目の各「専用実施権」の次にいずれも「(その範囲は,地域を「日本全国」,期間を「本特許権の存続期間満了迄」,内容 を「全部」とする。)」を加え,同21行目の「甲23」を「甲12」と改める。 ⑶ 10頁24行目の「本件発明5」の次に「(本件においては,構成要件A5の「請求項1~11」は「請求項1」(本件発明4)のみとする。)」を加える。 ⑷ 11頁16行目末尾に行を改め次のとおり加え,同17行目冒頭の「⑹」, 同13頁5行目冒頭の「⑺」,同23行目冒頭の「⑻」をそれぞれ「⑺」,「⑻」,「⑼」と改める。 「⑹ 本件発明1及び2につき登録前に控訴人がした手続補正ア本件補正1控訴人は,本件特許1に係る出願(特願2008-223887) の願書に最初に添付した明細書(以下,図面も含めて「当初明細書1」という。)及び特許請求の範囲請求項1(以下「本件補正前発明1」という。)の記載(丙58)を,平成21年1月9日付け手続補正書で補正をし(丙21,59),さらに,同年6月15日付け手続補正書で補正(以下,この補正を「本件補正1」という。甲19,20。) をした。本件補正前発明1及び本件補正1の内容は次のとおりである(下線部は補正された部分である。なお,参考として,平成21年1月9日付け手続補正書で補正された部分も示す。)。 (ア) 本件補正前発明1(丙58)「【請求項1】 媒体面上に形成され,且 として,平成21年1月9日付け手続補正書で補正された部分も示す。)。 (ア) 本件補正前発明1(丙58)「【請求項1】 媒体面上に形成され,且つ情報としての情報ドットが配置されたドットパターンであって,該ドットパターンは,情報を表現する部分として,複数の,縦横方向に所定間隔ごとに設けられた格子線の交点である格子点を中心とした,情報ドットを配置する領域を含み, 該領域のそれぞれには,少なくとも1つの情報ドットが配置され,該ドットパターンは,水平方向に,所定間隔ごとに引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように,垂直方向に,所定間隔ごとに引いた第二方向ライン上とにおいて,前記格子線との交点を基準点として配置された複数の基準ドットを含み, 該基準ドットの少なくとも1つは,該ドットパターンを識別する フラグとして配置されたことを特徴とするドットパターン。」(イ) 平成21年1月9日付け手続補正書による補正(丙59)a 特許請求の範囲(全文変更)「【請求項1】媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドット が配置されたドットパターンであって,前記ドットパターンは,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットをいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方 向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二 を定義し,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方 向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたことを特徴とするドットパターン。」 b 明細書段落(【0009】の変更)上記aと同旨の変更。 (ウ) 平成21年6月15日付け手続補正書による補正(甲19)a 特許請求の範囲(全文変更。本判決で構成要件符号を付記した。)「【請求項1】 媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであって,(A1)前記ドットパターンは,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に, どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,(B1) 前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された(C 1)ことを特徴とするドットパターン。(D1)」(本件発明1)b 明細書(段落【0009】の変更)上記aと同旨の変更。 配置された(C 1)ことを特徴とするドットパターン。(D1)」(本件発明1)b 明細書(段落【0009】の変更)上記aと同旨の変更。 イ本件補正2 控訴人は,本件特許2に係る出願(特願2010-267198)の願書に最初に添付した明細書(以下,図面も含めて「当初明細書2」という。)及び特許請求の範囲請求項1(以下「本件補正前発明2」という。)並びに同2及び3の記載(丙55)を,平成23年6月30日付け手続補正書で補正(以下「本件補正2」という。丙1,22, 60。)した。本件補正前発明2及び本件補正2の内容は次のとおりである(下線部は補正された部分である。)。 (ア) 本件補正前発明2(丙55)「【請求項1】媒体表面に印刷され,所定の配置法則で印刷された所定のドット パターンを読み取る光学読取手段と,予め所定の音声情報をドットパターンと関連づけた参照テーブルと,前記音声情報が記憶された音声記憶手段と,前記光学読取手段によって前記ドットパターンが読み取られたと きに,前記参照テーブルを参照して前記音声記憶手段から当該ドッ トパターンに関連付けられた音声情報を読み出して出力する音声出力手段とからなる音声情報再生装置であって,前記所定のドットパターンは,水平方向に所定間隔ごとに所定個数配置された水平基準格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットの端点に位置する当該水平基準格子点ドットから垂直方向に所定 個数配置された垂直基準格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットから仮想的に設定された垂直方 格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットの端点に位置する当該水平基準格子点ドットから垂直方向に所定 個数配置された垂直基準格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットから仮想的に設定された垂直方向基準格子線と,前記垂直方向基準格子点ドットから水平方向に仮想的に設定された水平方向基準格子線との交点を格子点とし,該格子点に囲まれた領域内に配置され,データ内容が定義された情報ドットと,からなるドットパター ンであることを特徴とする音声情報再生装置。」(イ) 平成23年6月30日付け手続補正書による補正(丙60)a 特許請求の範囲(全文変更,本判決で構成要件符号を付記した。)「【請求項1】媒体表面に印刷され,所定の配置法則で印刷された所定のドット パターンを読み取る光学読取手段と,(A2)予め所定の音声情報をドットパターンと関連づけた参照テーブルと,(B2)前記音声情報が記憶された音声記憶手段と,(C2)前記光学読取手段によって前記ドットパターンが読み取られたと きに,前記参照テーブルを参照して前記音声記憶手段から当該ドットパターンに関連付けられた音声情報を読み出して出力する音声出力手段と(D2)からなる音声情報再生装置であって,(E2)前記所定のドットパターンは,媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであっ て,(F2)縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格 子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,(G2)前記 た格子線の交点である格 子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,(G2)前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ライン と交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンである(H2)ことを特徴とする音声情報再生装置。(I2)」(本件発明2)b 明細書(段落【0010】の変更。なお,請求項1に係る部分のみ を示す。)上記aと同旨の変更。 ⑸ 11頁23行目の「6月10日」の次に「及び同月17日付けで」を加える。 3 争点 原判決15頁3行目冒頭から10行目末尾までを次のとおり改めるほかは,原判決の「事実及び理由」第2の3に記載のとおりであるから,これを引用する。 「ア実施可能要件に違反しているか(本件発明1ないし5)(争点4-1)イ補正要件に違反しているか(本件発明1及び2)(争点4-2) ウサポート要件に違反しているか(本件発明1ないし5)(争点4-3)エ明確性要件に違反しているか(本件発明1ないし5)(争点4-4)オ進歩性を欠いているか(本件発明1ないし5)(争点4-5)カ新規性を欠いているか(本件発明1ないし5)(争点4-6)キ産業上利用可能性を欠いているか(本件発明1,3及び4)(争点4- 7) ク特許法39条2項に違反しているか(本件発明3及び4)(争点4-8)」第3 争点に 4-6)キ産業上利用可能性を欠いているか(本件発明1,3及び4)(争点4- 7) ク特許法39条2項に違反しているか(本件発明3及び4)(争点4-8)」第3 争点に関する当事者の主張以下のとおり補正し,当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」第2の4に記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の補正 ⑴ 31頁9行目から10行目の「上から2つ目の位置」を「最上位の水平ラインから数えて2つ目の位置」と改め,同17行目冒頭から同22目の「意味しかない。」までを「すなわち,被告ドットパターンでは,コンテンツ・データ部(原判決別紙当事者図面目録「被告ら図」のmu6ないしmu8,mu10ないしmu12,mu14ないしmu16)の各領域にはそれぞれ 4種類のドット配置を示すTile1ないしTile4のいずれかを用い,ヘッダー部(同図のmu1ないしmu4,mu5,mu9及びmu13)の各領域にはそれぞれ2種類のドット配置を示すTileA又はTileBを用いて,情報を定義しており,控訴人がずれていると主張するドット(6)(同図のmu9におけるd9)は,TileBを用いて情報を定義するものであるところ,TileBを 用いられた領域(同図のmu9)は,TileAを用いられた他の6つの領域(同図のmu1ないしmu4,mu5及びmu13)と共に,ヘッダ部を構成するステートゾーンタイルの一つという意味しかない。」と改める。 ⑵ 35頁20行目の「2ドット」を「3ドット」と改める。 ⑶ 37頁24行目から25行目の「(以下「本件補正1」という。)を「(本 件補正1)」と,同25行目から26行目の「(以下「本件補正2」という。)を「(本件補正2) ドット」と改める。 ⑶ 37頁24行目から25行目の「(以下「本件補正1」という。)を「(本 件補正1)」と,同25行目から26行目の「(以下「本件補正2」という。)を「(本件補正2)」とそれぞれ改める。 ⑷ 47頁20行目の「(以下「本件基礎出願1」という。)」を「(本件基礎出願1)」と,同21行目から22行目の「(以下「本件基礎出願2」という。)」を「(本件基礎出願2)」と,同23行目の「(以下「本件基礎 出願3」という。)」を「(本件基礎出願3)」と,同24行目の「(以下 「本件基礎出願4」という。)」を「(本件基礎出願4)」と,同25行目の「(以下「本件基礎出願5」という。)」を「(本件基礎出願5)」とそれぞれ改める。 ⑸ 48頁4行目冒頭から26行目末尾までを次のとおり改める。 「 なお,本件特許1ないし4に係る出願の原出願は,平成15年9月2 6日に日本国を指定国として出願された国際特許出願(PCT/JP2003/012364,国際公開・WO2004/029871。丙12)に係る平成17年3月25日にされた国内移行の特許出願(特願2005-501954。以下「本件原出願」という。)である。 イ出願日の遡及について (ア) 本件原出願から特願2006-261555号(以下「第1世代出願」という。)が分割出願され,第1世代出願から,平成19年2月6日,特願2007-026471号(以下「第2世代出願」という。)が分割出願され(丙18),第2世代出願から,平成20年7月7日,特願2008-177416号(以下「第3世代出願」という。)が 分割出願され(丙56),第3世代出願から,平成20年9月1日,本件特許1に係る出願(特願2008-2238 成20年7月7日,特願2008-177416号(以下「第3世代出願」という。)が 分割出願され(丙56),第3世代出願から,平成20年9月1日,本件特許1に係る出願(特願2008-223887号)が分割出願された。 (イ) 第3世代出願から特願2010-254460号(以下「第4世代出願」という。)が分割出願され,第4世代出願から,平成22年1 1月30日,本件特許2に係る出願(特願2010-267198号)が分割出願された。 (ウ) 本件特許2に係る出願から,平成23年2月28日,本件特許3に係る出願(特願2011-041190号)が分割出願された。 (エ) 本件特許3に係る出願から,平成23年8月22日,特願2011 -180881号(以下「第7世代出願」という。)が分割出願され (丙19),第7世代出願から,平成24年2月27日,特願2012-039515号(以下「第8世代出願」という。)が分割出願され(丙20,57),第8世代出願から,平成24年9月28日,本件特許4に係る出願(特願2012-218687号)が分割出願された。」 ⑹ 50頁8行目の「前記(ア)」の次に「及び(イ)」を加える。 ⑺ 59頁8行目の「(以下「丙10発明B」という。)」の次に「が記載されている」を加える。 2 当審における当事者の補充主張⑴ 控訴人 ア争点4-2(補正要件に違反しているか)について(ア) 当初明細書1及び2の中にそれぞれ記載された各ドットパターンは,いずれも技術思想を共通にするものであり,それら各ドットパターンを組み合わせられることは当業者にとって自明である。 (イ) 当初明細書1及び2の図103ないし106 れた各ドットパターンは,いずれも技術思想を共通にするものであり,それら各ドットパターンを組み合わせられることは当業者にとって自明である。 (イ) 当初明細書1及び2の図103ないし106(図面は両明細書とも 同一であるから,以下,まとめて論じる。)に係る実施例は,「mv1+nv2(m,nは整数)の平面格子において等間隔に並ぶ各点」(甲33)である格子点に格子ドットを配置し,その4つの格子ドットで囲まれた領域の中心点からどの程度情報ドットをずらすかによって情報が表現される。そして,同図103ないし106に係る実施例における4 つの格子ドットLDで囲まれた領域の中心は,4つの格子ドットLDを基に形成された仮想の格子線の交点(格子点)である。そうすると,同図103ないし106に係る実施例は,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,ど の程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ているドットパターンで ある。 (ウ) 当初明細書1及び2の図5ないし8に係る実施例は,「mv1+nv2(m,nは整数)の平面格子において等間隔に並ぶ各点」(甲33)である格子点のうち,水平ラインと,水平ラインを基準としてそこから垂直に延びる垂直ライン上との交点である格子点上を本来あるべき位置 として規定し,そのあるべき位置からどの程度ずらすかによって情報が表現される。そして,同図5ないし8に係る実施例は,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で90°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」て 方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で90°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ているド ットパターンである。 (エ) 当初明細書1及び2の図22に係る実施例は,キードット3a,格子ドット3b,情報ドット4を所定の規則に則って配列するものであり(当初明細書1及び2の【0063】Ⅰ,【0107】Ⅱに相当する箇所),情報ドット4が,格子点に1個おきに配置された格子ドット3bを基に 形成された格子線の交点から等距離で45°ずつずれて情報ドットが配置されているドットパターンである。そうすると,同図22に係る実施例は,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内 容を定義し」ているドットパターンであり,前記同図103ないし106に係るドットパターンと前記同図5ないし8に係るドットパターンの中間的な格子ドットの配置の実施例といえる。 (オ) 当初明細書1及び2の【0184】Ⅰ及び【0228】Ⅱに相当する箇所は,「本発明におけるドットパターンの仕様について図103~図 106を用いて説明する」と記載され,前記同図105にドットパター ン「601」が例示されるとともに,前記同図5ないし8においても,同一の符号を用いてドットパターン「601」が例示されている。したがって,同図5ないし8に係る実施例として,情報ドットを格子線の交点である格子点から等距離に90°ずつずらしたドットしか記載されていないとしても,「本発明」におけるドットパターン「601」 る。したがって,同図5ないし8に係る実施例として,情報ドットを格子線の交点である格子点から等距離に90°ずつずらしたドットしか記載されていないとしても,「本発明」におけるドットパターン「601」の仕様 である前記同図103ないし106に係る実施例における,格子線の交点である格子点から等距離に45°ずつずらしたドットであるドットパターン「601」を,同図5ないし8のドットパターン「601」に対して適用することは,当業者にとって自明である。 また,同図5ないし8の実施例,同図103ないし106の実施例, 前記同図22の実施例は,格子ドットを結ぶ線の交点をドットのあるべき位置と定義し,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で所定角度ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義」するという点で共通の技術思想を有する。そし て,いずれも,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案するという課題を解決するものである。 したがって,当初明細書1及び2の記載に接した当業者であれば,同図5ないし8のドットパターンにおいて,上下左右方向だけではなく,斜め方向にも情報ドットを配置することにより,45°ずつずらした方 向に情報ドットが配置されたものとすることは,当初明細書1及び2に記載されているのと同然であると理解できる事項であるから,新たな技術的事項を導入するものではない。 (カ) 以上からすると,本件補正1及び2は,それぞれ,当初明細書1又は2の記載等から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事 項を導入するものではないから,特許法17条の2 (カ) 以上からすると,本件補正1及び2は,それぞれ,当初明細書1又は2の記載等から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事 項を導入するものではないから,特許法17条の2第3項の補正要件に 違反しない。 イ争点4-3(サポート要件に違反しているか)について(ア) 本件発明3ないし5の構成要件D3,E4及びD5は,当初明細書1及び2の図5ないし8に係る実施例から読み取ることができる。 すなわち,本件明細書3及び4の【0230】Ⅲ及び【0224】Ⅳ には,当初明細書1及び2の図105に記載されたキードットが,「本発明」におけるドットパターンの仕様と記載されているから,当業者は,同図5ないし8の「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」との名称が付されたドットも,同図105のキードットと同様の機能が備わると理解できる。 また,同図5ないし8のドットパターンにおいては,「水平ラインを構成するドットからスタートし,次の点もしくは3つ目の点がライン上にない」として(【0072】Ⅲ,【0066】Ⅳ),垂直ライン上の格子ドットをずらすことにより,格子ドットを非回転対称の配置にし,上下方向(向き)を認識できるようにしている。すなわち,同図5及び 7の実施例では,「x,y座標フラグ」と記載されたドットがすべて同一の方向(図面に対して左方向)にずれることで,上下方向を定義しており,同図6及び8の実施例では,「一般コードフラグ」と記載されたドットがすべて同一の方向(図面に対して右方向)にずれることで,上下方向を定義している。このように,同図5ないし8に係る実施例によ り,本件明細書3及び4には,本来のドットの位置と実際に配置されたドットの位置との関係に基づい して右方向)にずれることで,上下方向を定義している。このように,同図5ないし8に係る実施例によ り,本件明細書3及び4には,本来のドットの位置と実際に配置されたドットの位置との関係に基づいてドットパターンの向きが表現されることが開示されている。 (イ) 仮に,本件発明3ないし5の構成要件D3,E4およびD5が,前記同図5ないし8に係る実施例から読み取ることができないとしても,同 図5ないし8の「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」との名 称が付されたドットは,同図103ないし106に係る実施例のキードットと同一の機能を有することは,当業者にとって自明であり,本件発明3ないし5の構成要件D3,E4及びD5は,本件明細書3及び4の発明の詳細な説明に記載されているといえるものである。 (ウ) 以上からすると,本件明細書3及び4の記載に接した当業者であれ ば,「次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。」という記載(【0072】Ⅲ,【0066】Ⅳ)を参酌することにより,「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」との名称が付されたドットが,キードットと同様に,ドット本来の位置からのずらし方によってドットパターンの向きを意味しているドットであると 理解することができるから,本件発明3ないし5の構成要件D3,E4及びD5は,本件明細書3及び4の発明の詳細な説明に記載したものであり,本件発明3ないし5は,特許法36条6項1号のサポート要件を満たす。 ウ訂正の対抗主張(当審における新たな主張) (ア) 訂正請求控訴人は,本件発明1について,以下のような訂正請求(以下,この訂正請求に係る訂正を「本件訂正2」という。)を予定して 主張(当審における新たな主張) (ア) 訂正請求控訴人は,本件発明1について,以下のような訂正請求(以下,この訂正請求に係る訂正を「本件訂正2」という。)を予定している(下線部が訂正部分)。なお,本件特許1の無効審判が特許庁に係属中であるため,控訴人は,訂正審判の請求又は無効審判における訂正の請求をす ることができないところ(特許法126条2項,134条の2第1項),このような事情の下で訂正の対抗主張をするためには,現にこれらの請求をしている必要はない(最高裁平成28年(受)第632号平成29年7月10日第二小法廷判決・民集71巻6号861頁参照)。 A1 媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが 配置されたドットパターンであって, B1 前記ドットパターンは,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍の90°ずつずらした4方向のみのうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,C1 前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように, 前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたD1 ことを特徴とするドットパターン。 (イ) 訂正要件の充足a 訂正の目的(特許法134条の2条1項ただし書)本件訂正2は,訂正前の「45°ずつずらした方向」である8方向を,「45°の2倍の90°ずつず (イ) 訂正要件の充足a 訂正の目的(特許法134条の2条1項ただし書)本件訂正2は,訂正前の「45°ずつずらした方向」である8方向を,「45°の2倍の90°ずつずらした4方向のみ」とするものであり,ずらす方向を8つから4つに減らすものであるから,発明特定 事項を限定するものである。 したがって,本件訂正2は,同1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 b 願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること(特許法134条の2第9項で準用する同法 126条5項)本件明細書1の図5ないし8には,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で90°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ているドットパター ンが記載されているから,ずらす方向を45°の2倍の90°ずつず らした4方向とする本件訂正2は,当初明細書1に記載された事項である。 したがって,本件訂正2は,新たな技術的事項を導入するものではない。 c 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと(特 許法134条の2第9項で準用する同法126条6項)本件訂正2は,訂正前の「45°ずつずらした方向」を,「45°の2倍の90°ずつずらした4方向のみ」に限定して特許請求の範囲を減縮するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。 (ウ) 無効理由の解消本件訂正2により,本件補正1は,当初明細書1の記載等から導かれる技術的 を減縮するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではない。 (ウ) 無効理由の解消本件訂正2により,本件補正1は,当初明細書1の記載等から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなくなるから,特許法17条の2第3項の補正要件違反を理由とする無効理由が解消される。 (エ) 被告ドットパターンが訂正後の特許発明の技術的範囲に属すること本件訂正2に関連しない構成要件を被告ドットパターンが充足することは,原判決の「事実及び理由」第2の4⑴ないし⑹に記載のとおりである。 そして,被告ドットパターンは,原判決の「事実及び理由」第2の4 ⑴に記載のとおり,「前記ドット(8)~(16)を前記格子点の中心から等距離で90°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義」するものであるから(構成b1),「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍の90°ずつずらした4方向のみのうちいずれかの方向に,どの程度ずらす かによってデータ内容を定義し」(訂正後の構成要件B1)を充足する。 よって,被告ドットパターンは,訂正後の構成要件A1ないしD1を全て充足するから,訂正後の本件発明1の技術的範囲に属する。 ⑵ 被控訴人及び被控訴人補助参加人ア争点4-2(補正要件に違反しているか)について(ア) 当初明細書の1及び2の図103ないし106に係る実施例と同図 5ないし8に係る実施例との組合せは自明なものではない。 (イ) そもそも,当初明細書1及び2の図103ないし106に係る実施例において,格子領域内の中心点から等距離で45 施例と同図 5ないし8に係る実施例との組合せは自明なものではない。 (イ) そもそも,当初明細書1及び2の図103ないし106に係る実施例において,格子領域内の中心点から等距離で45°ずつずらした方向にドットが配置されているが,格子領域内の中心点は「格子点」ではないから,上記実施例は,「格子点の中心から等距離で45°ずつずらし た方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義」している(構成要件B1)ものではない。なぜなら,「格子点」は,「格子ブロック」の四隅の点であり(【0186】Ⅰ,【0230】Ⅱ),四隅を格子点に囲まれた格子ブロックの中心点ではないからである。控訴人は,格子ブロック内に更なる仮想の格子線を設定し,その仮 想の格子線の交点が「格子点」であると主張しているが,それは,当初明細書1及び2と整合していない主張をしているにすぎない。 (ウ) 当初明細書1及び2の図5ないし8に係る実施例についての控訴人の主張は,当初明細書1及び2の記載に基づかないものである。 (エ) 当初明細書1及び2の図22に係る実施例は,格子ドットが1 つお きに並んでいるものであり,同図5ないし8のドットパターンあるいは同図103ないし106のドットパターンのいずれとも異なるから,同図22に係る実施例があるゆえに,同図5ないし8のドットパターンの技術思想と,同図103ないし106のドットパターンの技術思想とが架橋されて,両者を組み合わせることができるとはいえない。 (オ) 当初明細書1及び2の【0184】Ⅰ及び【0228】Ⅱに相当す る箇所に「本発明におけるドットパターンの仕様」と記載されているからといって,これを,同図5ないし8のドットパターンと同 ) 当初明細書1及び2の【0184】Ⅰ及び【0228】Ⅱに相当す る箇所に「本発明におけるドットパターンの仕様」と記載されているからといって,これを,同図5ないし8のドットパターンと同図103ないし106のドットパターンとに共通する記載であるとする根拠はない。 また,控訴人は,同図5ないし8に係る実施例と同図103ないし106に係る実施例が,格子ドットを基に形成される仮想の格子線の交点 から情報ドットをどの程度ずらすかによってデータ内容を定義する点では共通の技術的思想を有していると主張するが,明細書の記載に基づかない主張である。上記(イ)のとおり,同図105の格子ブロックの中心点は格子点ではないから(同図に同中心点にて交差するよう記載された線は,格子線ではなく,参考のための補助線にすぎない。),同図103 ないし107のドットパターンと同図5ないし8のドットパターンとは技術的前提を異にする。また,同図22のドットパターンも,明細書中にその説明がなく,技術思想が不明である。 (カ) 以上からすると,本件補正1及び2は,いずれも,特許法17条の2第3項の補正要件に違反する。 イ争点4-3(サポート要件に違反しているか)について本件明細書1及び2の図5ないし8には,本来のドットの位置と実際に配置されたドットの位置との関係に基づいてドットパターンの向きが表現されるという記載はない。「x,y座標フラグ」や「一般コードフラグ」は,ドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によってドット パターンのデータの種類を定義しているにすぎず,同図105のキードットと同様の機能を有するものではない。。 以上のとおりであるから,本件発明3ないし5は,サポート要件を ってドット パターンのデータの種類を定義しているにすぎず,同図105のキードットと同様の機能を有するものではない。。 以上のとおりであるから,本件発明3ないし5は,サポート要件を満たしていない。 ウ訂正の対抗主張(当審における新たな主張)に対する反論 控訴人が実際に本件訂正2に係る訂正請求を行うか否かは定かではない から,控訴人の訂正の対抗主張は前提を欠く主張であり,失当である。 また,被告ドットパターンは,原判決別紙当事者図面目録「被告ら図」のとおり,バーチャルエリア(AR1ないし4)のいずれにドットがあるか否かでデータ内容を定義しており,格子点からのずれ方によってデータ内容を定義しているわけではないから,いずれによせ,訂正後の本件発明 1の技術的範囲に属しない。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明について本件明細書1ないし4の記載及び本件各発明の意義については,原判決75頁17行目冒頭から同76頁3行目末尾までを次のとおり改めるほかは,原判 決の「事実及び理由」第3の1及び2に記載されたとおりであるから,これを引用する(ただし,本判決に別紙として本件明細書1ないし4の【図2】,【図5】ないし【図8】,【図22】,【図103】ないし【図106】を添付する。)。 「ウ発明が解決しようとする課題 「 本発明は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し,係るドットパターンに基づいた情報再生方法および情報再生装置を提案するものである。」【0008】Ⅰ「 本発明は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し,係るドットパターンに基づいた情報再生方法お び情報再生装置を提案するものである。」【0008】Ⅰ「 本発明は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し,係るドットパターンに基づいた情報再生方法お よび情報再生装置を提案するものである。」【0008】Ⅱ,「特に,ドットパターンに関連付けられた音声情報を再生する音声情報再生装置を提案するものである。」【0009】Ⅱ「 本発明は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案するものである。」【0008】ⅢⅣ エ発明の効果 「 本発明によれば,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができる。」【0013】Ⅰ「 本発明によれば,ドットパターンを読み取る光学読取手段と,ドットパターンに対応する音声情報を出力する音声情報出力手段とが一体となっているため,ドットパターンによる音声再生を,より簡易かつ便利に実現す ることが可能となる。」【0056】Ⅱ「 ・・・本発明によれば,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができる。」【0058】Ⅲ「 本発明によれば,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができる。」【0052】Ⅳ 」 2 本件特許1及び2(本件発明1及び2)につき争点4-2(補正要件に違反しているか)について本件特許1及び2(本件発明1及び2)については,事案に鑑み,補正要件違反の有無に係る争点4-2から判断する。 ⑴ 本件補正1について ア補正の内容について本件補正1の内容は,引用に係る原判 及び2)については,事案に鑑み,補正要件違反の有無に係る争点4-2から判断する。 ⑴ 本件補正1について ア補正の内容について本件補正1の内容は,引用に係る原判決の「事実及び理由」第2の2⑹ア(補正後のもの)のとおりであり,本件補正前発明1の「該ドットパターンは,情報を表現する部分として,複数の,縦横方向に所定間隔ごとに設けられた格子線の交点である格子点を中心とした,情報ドットを配置す る領域を含み,該領域のそれぞれには,少なくとも1つの情報ドットが配置され,」を「前記ドットパターンは,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,」(構成要件B1)と変更する部分 (以下,この補正部分を「本件補正1①部分」という。)を含む。 また,本件補正1は,本件補正前発明1の「該ドットパターンは,水平方向に,所定間隔ごとに引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように,垂直方向に,所定間隔ごとに引いた第二方向ライン上とにおいて,前記格子線との交点を基準点として配置された複数の基準ドットを含み,該基準ドットの少なくとも1つは,該ドットパターンを識別す るフラグとして配置された」を「前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」(構成要 件C1)と変更する部分(以下,こ に引いた第二方向ライン上とにおいて,前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」(構成要 件C1)と変更する部分(以下,この補正部分を「本件補正1②部分」という。)を含む。 イ図105ドットパターン及び図5ドットパターンについて図105ドットパターン及び図5ドットパターンの定義及び内容については,次のとおり改めるほかは,原判決の「事実及び理由」第3の3⑵ のとおりであるからこれを引用する。 86頁10行目の「第二方向ライン上に配置された各ドット(D2~D4)」を「D2並びに第二方向ライン上に配置されたドット(D3及びD4)」と改め,同12行目の「垂直方向に」の次に「ラインに沿って」を,同13行目の「ドットが」の次に「水平方向に延びるラインと垂直方向に 延びるラインの交点に」をそれぞれ加える。 ウ本件補正1について(ア) 図105ドットパターンにおいては,情報ドットは,四隅を格子ドットで囲まれた領域の中心からずれた位置に置かれるところ,本件補正1①部分に当たる構成要件B1の情報ドットは,「縦横方向に等間隔に設 けられた格子線の交点である格子点の中心」からずれた位置に置かれる。 図105には,水平又は垂直の格子線の中間に各格子線と平行な線が引かれているが,当初明細書1に,「格子状に配置されたドットで構成されている。」(【0185】),「格子ブロックの四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている」(【0186】),「4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a) 参照)」(【0197】)と記載されているとおり,格子ドットは等間隔に配置されたドットにより構成され る」(【0186】),「4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a) 参照)」(【0197】)と記載されているとおり,格子ドットは等間隔に配置されたドットにより構成された水平ラインと垂直ラインの交点であり,格子線は格子ドットを結ぶラインであるから,図105に示された各格子線の中間に引かれた線は格子ドットで囲まれた領域の中心を示すために参考として引かれた補助線にすぎず,格子線とは認められな い(図106(a)のように,格子ドット同士を対角線で結べば,その交点は「格子線の交点」となるが,その線は構成要件B1に規定する「縦横方向」のラインではない。)。 そうすると,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点の中心」を基点として情報ドットが位置付けられることを構成要件 とする本件補正1①部分は,図105のドットパターンとは似て非なるものであり,そもそも図105ドットパターンに基づく補正であるとは認められない。 (イ) 図5ドットパターンにおいては, 情報を表現するドットは,格子ドットから上下左右の格子線上にずらした位置に配置されるところ,構成 要件B1の情報ドットは「格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向」に配置されるものであるから,本件補正1①部分は,図5ドットパターンに基づく補正であるとは認められない。 (ウ) そのほか,当初明細書1に本件補正1①部分に対応する記載は認められないから,本件補正前発明1の本件補正1①部分に対応する部分と 構成要件B1とを対比するまでもなく,本件補正1①部分は新たな技術 的事項を導入するものというべきである。 (エ) 以上によれば,本件補正1①部分が新たな技術的事項を 分と 構成要件B1とを対比するまでもなく,本件補正1①部分は新たな技術 的事項を導入するものというべきである。 (エ) 以上によれば,本件補正1①部分が新たな技術的事項を導入するものであることが明らかである以上,本件補正1②部分について判断するまでもないが,事案に鑑み,念のため更に付言する。 控訴人の主張によれば,本件補正1①部分は図105ドットパターン に基づくものであり,同②部分は図5ドットパターンに対応するものとなるから,本件補正1はこれら両パターンを組み合わせたものとなる。 しかしながら,前示のとおり,図105ドットパターンにおいては,水平及び垂直方向の格子線の交点である格子点上に格子ドットが配置され,その位置をずらしたドットをキードットとして,このキードットに囲ま れた領域,又は,キードットを中心にした領域が一つのデータを示すものとされ,それ自体が水平ラインや垂直ラインを構成する格子ドットで四隅を囲まれた領域内に情報ドットを置いているが,前示のとおり,図5ドットパターンでは,情報を表現するドットは,等間隔に配置されたドットにより構成される垂直方向に延びるラインと水平方向に延びるラ インの交点から,各ラインに沿って水平方向及び垂直方向にずれた交点に配置され,この情報領域がおおむねドットにより構成される第一方向ラインと第二方向ラインにより囲まれている。このように,図5ドットパターンは,図105ドットパターンでは情報ドットを囲むものであった格子線の交点にあるドットそれ自体に情報ドットとしての役割を持た せ,情報を表現する部分を,情報ドットとは異なるドットで構成される水平及び垂直方向に引かれたラインによって囲むものである。両ドットパターンは,相容れない情報の定義方法を用 としての役割を持た せ,情報を表現する部分を,情報ドットとは異なるドットで構成される水平及び垂直方向に引かれたラインによって囲むものである。両ドットパターンは,相容れない情報の定義方法を用いているのであり,両ドットパターンの組合せは全く新たな情報の定義方法を創作することにほかならない。そして,当初明細書1には,図105ドットパターンと図5 ドットパターンの両構成を組み合わせたドットパターンについての記載 はないし,当初明細書1の全ての記載を総合したとしても,このような記載がされているに等しいともいえず,また,このような組合わせが当業者に自明であるともいえない。 以上からすると,仮に,控訴人が主張するとおり,本件補正1①部分は図105ドットパターンに基づくものであり,同②部分は図5ドット パターンに対応するものであると仮定したとしても,相容れない情報の定義方法である両パターンを組み合わせることについては,当初明細書1に記載されている事項に基づくものとはいえず,結局,いずれにしても本件補正1は,新たな技術的事項を導入するものというべきである。 エこれに対し,控訴人は,①図105ドットパターンと図5ドットパター ンは,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案するという共通の課題を解決するための異なる実施例であり,これらを組み合わせることは当業者には自明の範囲のものである,②図105ドットパターンと図5ドットパターンは,情報ドットのずらされる方向が90°ごとか,45°ごとかという違いしかなく,相互に代替 可能であり,いずれもずらすことでドットパターンの向きを意味するという同一の機能を有するドットを有しているから,相互に組み合わせることができない ,45°ごとかという違いしかなく,相互に代替 可能であり,いずれもずらすことでドットパターンの向きを意味するという同一の機能を有するドットを有しているから,相互に組み合わせることができない理由はない,③水平ライン及び垂直ライン上の格子ドットによって情報ドットが配置される領域を囲んでいる図5ドットパターンを見れば,格子ドットによって情報ドットを囲むようにするとの図105ドッ トパターンは自明である,④図105ドットパターンと図5ドットパターンとに共通の「601」の符号が用いられているから図105ドットパターンを図5ドットパターンに適用することは自明である,⑤図22の実施例も踏まえると,図105ドットパターンと図5ドットパターンとは同一課題を解決するため「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である 格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で所定角 度ずつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義」するという点で共通の技術的思想を有するから,図5ドットパターンにおいて45°ずつずらした方向に情報ドットが配置されたものとすることは当初明細書1に記載されているのと同然である旨主張する。 しかしながら,同一明細書に記載された共通の課題を解決するために示された実施例であっても,それらを組み合わせることができない場合もあり,また,仮に,組み合わせることができたとしても当該課題が解決できるとは限らない。そうすると,それら実施例を組み合わせることが自明であるとはいえず,上記①の主張は採用できない。 また,前記ウで判示したとおり,そもそも本件補正1①部分自体が当初明細書1に記載のない事項であるが,この点はひとまず措いて,仮に,これが とはいえず,上記①の主張は採用できない。 また,前記ウで判示したとおり,そもそも本件補正1①部分自体が当初明細書1に記載のない事項であるが,この点はひとまず措いて,仮に,これが図105ドットパターンに基づくものと仮定しても,図105ドットパターンは,四隅に配置された格子ドットで囲まれた領域内にその中心から等心円上に45°ごとにずらした位置に情報ドットを配置するものであ り,図5ドットパターンは,格子ドットから上下左右の格子線に沿ってずらした格子点上に情報ドットを配置するものであり,両ドットパターンの相違が本質的なものであることは,前記ウ(エ)で判示したとおりであり,全体としてみて格子ドットに情報ドットが囲まれているという共通の関係があり,単にずらされる方向が量的に相違するだけであるなどと軽々に評 価することはできないから,上記②及び③の主張は採用できない。 次に,本件のような事案において,別個の図に共通の符号が用いられている部分があるからといって,両図を組み合わせて適用することが自明であるなどということはできないから,上記④の主張は,採用できない。 さらに,当初明細書1には,図22について,「図22はドットパター ンの一例を示す正面図である。」との記載しかなく(当初明細書1の【0 061】),その技術的意義はそもそも不明であるが,いずれにせよ,格子ドットが一つ置きに配置されていることからみて,図105ドットパターン及び図5ドットパターンとは技術的意義を異にする更なる実施例にすぎず,そのような実施例があることにより,本件判断が左右されることはないし,いずれにしても本件のような事案において相互の関係が不明確 な図を組み合わせることは想定され得ないというべきであるから すぎず,そのような実施例があることにより,本件判断が左右されることはないし,いずれにしても本件のような事案において相互の関係が不明確 な図を組み合わせることは想定され得ないというべきであるから,上記⑤の主張も採用できない。 オ以上のとおりであるから,本件補正1は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとはいえず,特許法17条の2第3項の補正要件に違反し,本件発明1に係 る本件特許1は特許無効審判において無効とされるべきものである。 したがって,控訴人は被控訴人に対して本件発明1に係る本件特許権1を行使することができない。 ⑵ 本件補正2についてア本件補正2の内容は,引用に係る原判決の「事実及び理由」第2の2⑹ ア(補正後のもの)のとおりであり,本件補正前発明2の「前記所定のドットパターンは,水平方向に所定間隔ごとに所定個数配置された水平基準格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットの端点に位置する当該水平基準格子点ドットから垂直方向に所定個数配置された垂直基準格子点ドットと,前記水平基準格子点ドットから仮想的に設定された垂直方向基準格 子線と,前記垂直方向基準格子点ドットから水平方向に仮想的に設定された水平方向基準格子線との交点を格子点とし,該格子点に囲まれた領域内に配置され,データ内容が定義された情報ドットと,からなるドットパターンである」を「前記所定のドットパターンは,媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであ って,(F2)縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点 を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちい されたドットパターンであ って,(F2)縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点 を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,(G2)前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の 格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンである(H2)」と補正するものである。 イ本件発明1の構成要件B1と前記G2,同C1と前記H2とはそれぞれ同一内容であり,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の1及び2(補 正後のもの)のとおり,当初明細書1と当初明細書2には同じ記載事項があり,図面はすべて同一であるから,前記⑴に説示したと同一の理由により,①当初明細書2には,本件補正2のうち構成要件G2に係る部分に対応する記載はなく(前記⑴イ及びウ参照),②控訴人の主張によれば,本件補正2のうち構成要件G2に係る部分は図105ドットパターンに基 づくものであり,同H2に係る部分は図5ドットパターンに対応するものとなるから,本件補正2はこれら両パターンを組み合わせたものとなるが,当初明細書2には,構成要件G2と同H2との組合せについての記載はなく,また,これが当業者に自明であるともいえず(前記⑴ウ(エ)参照),本件補正2は,当初明細書2に開示されていない新たな技術的事項を導入す るものというべきである。そして,これらの点に関する控訴人の主張をいずれも採用することができないことも,前記⑴エにお ),本件補正2は,当初明細書2に開示されていない新たな技術的事項を導入す るものというべきである。そして,これらの点に関する控訴人の主張をいずれも採用することができないことも,前記⑴エにおいて説示したとおりである。 以上のとおりであるから,本件補正2は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたもので はなく,特許法17条の2第3項の補正要件に違反し,本件発明2に係る 本件特許2は特許無効審判において無効とされるべきものである。 したがって,控訴人は被控訴人に対して本件発明2に係る本件特許権2を行使することができない。 3 本件特許3及び4(本件発明3ないし5)につき争点4-3(サポート要件に違反しているか)について 本件特許3及び4(本件発明3ないし5)については,事案に鑑み,争点4-3のサポート要件違反について判断する。 ⑴ 本件発明3についてア特許請求の範囲の記載(ア) 本件発明3の特許請求の範囲の記載(分説後のもの)は,次のとおり である(引用に係る原判決の「事実及び理由」第2の2⑸ウ参照)。 A3 等間隔に所定個数水平方向に配置されたドットと,B3 前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットと,C3 前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ライ ンと,前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点を格子点とし,該格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドットと,からなるドットパターンであって,D3 前記垂直方向に配置されたドット 平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点を格子点とし,該格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドットと,からなるドットパターンであって,D3 前記垂直方向に配置されたドットの1つは,当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している E3 ことを特徴とするドットパターン。 (イ) 構成要件B3の「前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドット」と,構成要件C3の「前記垂直方向に配置されたドット」と,構成要件D3の「前記垂直方向に配置されたドット」とは同じものを指すと解される から,この一つの「垂直方向に配置されたドット」は,垂直方向に「等 間隔」に配置される一方で(構成要件B3),「本来の位置からのずらし方」によってドットパターンの向きを意味するとされており,その「ずらし方」について特に限定はされていない。同一方向に等間隔に配置されながらその位置がずれているのは文言上整合していないが,これを合理的に解釈するならば,「等間隔」はこの一つの「垂直方向に配置され たドット」以外のドットに係り,この一つの「垂直方向に配置されたドット」は他のドットと異なり「等間隔」に配置されなくてもよいものであり,そのずらされる方向,距離とも何ら限定はないと解するほかない。 また,本件発明3は,「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D3)としているから,「ずらし方」,す なわち,本来の位置からずらされた別の位置に配置された一つの「垂直方向に配置されたドット」が当該位置に配置されていることが認識され,本来の位置とその実際の位置との間の位置関係に基づいてドットパ なわち,本来の位置からずらされた別の位置に配置された一つの「垂直方向に配置されたドット」が当該位置に配置されていることが認識され,本来の位置とその実際の位置との間の位置関係に基づいてドットパターンの向きが意味されることを規定していると解釈すべきものである。 イ図105ドットパターンとの関係について (ア) 本件明細書3には,図103ないし106のほか,次の記載がある。 「【0239】また,本発明のドットパターンでは,キードットのずらし方を変更することにより,同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり,キードットKDは格子点からずらすことでキー ドットKDとして機能するものであるが,このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パターンのキードットを定義できる。 【0240】ここで,ドットパターン部をC-MOS等の撮像手段で撮像した場合, 当該撮像データは当該撮像手段のフレームバッファに記録されるが,こ のときもし撮像手段の位置が紙面の鉛直軸(撮影軸)を中心に回動された位置,すなわち撮影軸を中心にして回動した位置(ずれた位置)にある場合には,撮像された格子ドットとキードットKDとの位置関係から撮像手段の撮像軸を中心にしたずれ(カメラの角度)がわかることになる。この原理を応用すれば,カメラで同じ領域を撮影しても角度という 別次元のパラメータを持たせることができる。そのため,同じ位置の同じ領域を読み取っても角度毎に別の情報を出力させることができる。 【0241】いわば,同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。 【024 取っても角度毎に別の情報を出力させることができる。 【0241】いわば,同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。 【0242】この原理を応用したものが図74,図76,図78に示すような例である。図74では,ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105でこのミニフィギュア1101を台座上で45度ずつ回転させることでドットパターン部の読取り情報とともに異なる角度情報を 得ることできるため,8通りの音声内容を出力させることができる。」(図74,76及び78については本判決への添付を省略する。)(イ) 上記(ア)の記載は,構成要件D3との関係においては,確かに,格子ドットとキードットとの位置関係によってドットパターンの向きを意味することを記載するものといえる。 しかしながら,構成要件C3との関係について見れば,本件発明3は,「格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドット」との構成を有するところ,前記2⑴ウのとおり(引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の1(補正後のもの)のとおり,当初明細書1と本件明細書3の関連部分の記載はいずれも同じである。),図105ドットパター ンにおいては,情報ドットを四隅を格子ドットで囲まれた領域の中心か らずらすことによってデータ内容を定義するものであって,格子ドットからのずらし方によってデータ内容を定義するものではない(構成要件C3は格子点を垂直ラインと水平ラインの交点と定義しているから,構成要件C3が図105ドットパターンに基づくものと仮定する余地はない。)。 そうすると,本件発明3は,図105ドットパターンに関する記載に係 平ラインの交点と定義しているから,構成要件C3が図105ドットパターンに基づくものと仮定する余地はない。)。 そうすると,本件発明3は,図105ドットパターンに関する記載に係るものとはいえない。 ウ図5ドットパターンとの関係について(ア) 本件明細書3には,図2,5ないし8のほか,次の記載がある。 「【0069】 ・・・図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【0070】上述したようにカメラ602で取り込んだ画像データは,画像処理アルゴリズムで処理してドット605を抽出し,歪率補正のアルゴリズムにより,カメラ602が原因する歪とカメラ602の傾きによる歪を補 正するので,ドットパターン601の画像データを取り込むときに正確に認識することができる。 【0071】このドットパターンの認識では,先ず連続する等間隔のドット605により構成されたラインを抽出し,その抽出したラインが正しいライン かどうかを判定する。このラインが正しいラインでないときは別のラインを抽出する。 【0072】次に,抽出したラインの1つを水平ラインとする。この水平ラインを基準としてそこから垂直に延びるラインを抽出する。垂直ラインは,水 平ラインを構成するドットからスタートし,次の点もしくは3つ目の点 がライン上にないことから上下方向を認識する。 【0073】最後に,情報領域を抽出してその情報を数値化し,この数値情報を再生する。」(イ) また,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の4⑵(補正後のも の)とおり,図5及び図7では,左端の 最後に,情報領域を抽出してその情報を数値化し,この数値情報を再生する。」(イ) また,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の4⑵(補正後のも の)とおり,図5及び図7では,左端の垂直ラインに配置されたドットの一つが他の同一の垂直ラインに配置されたドットとは異なり水平ラインに沿って左側に配置され,「x,y座標フラグ」とされていることが示され,図6及び図8では,左端の垂直ラインに配置されたドットの一つが他の同一の垂直ラインに配置されたドットとは異なり水平ラインに 沿って右側に配置され,「一般コードフラグ」とされていることが示されている。 (ウ) 本件発明3は,「前記垂直方向に配置されたドットの1つは,当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D3)ことを特徴とするドットパターンである ところ,図5ドットパターンに関し,本件明細書3には,前記(ア)のとおり,「垂直ラインは,水平ラインを構成するドットからスタートし,次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。」(【0072】)との記載がある。しかしながら,これは,垂直ライン上の特定位置(本来の位置)にドットがないことによってドット パターンの上下方向を認識するとの意味の記載であって,「ドット本来の位置からのずらし方」によってドットパターンの向きを意味する記載とはいえない。 また,前記(イ)のとおり,図5ないし8には,他のドットから形成される垂直ラインから左右にずれたドットが示され,それらドットが「x, y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」との意味を有するフラグ であることが記載されている。しかしながら,引用に係る原判決の「事実及び理由 ドットが示され,それらドットが「x, y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」との意味を有するフラグ であることが記載されている。しかしながら,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の4⑵(補正後のもの)によれば,「x,y座標フラグ」(図5及び7)がある場合には,情報を表現する部分のドットパターンはXY平面上の特定の座標値を示し,「一般コードフラグ」(図6及び8)がある場合には,情報を表現する部分のドットパターンはある 特定のコード(番号)を示すものと認められる。そうすると,「x,y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」とされたドットは,情報を表現する部分のドットパターンのデータ内容の定義方法を示すというデータ内容を定義するドットの一つにすぎず,フラグとしてその位置を認識され,ドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によって ドットパターンのデータの内容を定義しているが,ドットパターンの向きを意味しているものではない。そして,そのほか,図5ないし8には,ドットパターンの向きを意味するドットは記載されていないし,データの内容を定義しているドットがドットパターンの向きを意味するドットを兼ねるとの記載もない。 さらに,「垂直方向に配置されたドット」の一つにつき,その本来の位置からのずらし方によってドットパターンの向きを意味することを特徴とする本件発明3の実施形態について,上記ドットがどのような方向,距離において配置されるのかについては,本件明細書3にはその記載はない。 以上によると,図5ドットパターンは,「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D3)との構成を有しない。 そうすると,本件発明3は,図5ドットパターン 以上によると,図5ドットパターンは,「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D3)との構成を有しない。 そうすると,本件発明3は,図5ドットパターンに関する記載に係るものともいえない。 エ控訴人は,①図5ないし8において,「x,y座標フラグ」又は「一 般コードフラグ」はドットパターンの向きを意味するドットと兼用されている,②本件明細書3の段落【0239】ないし【0241】,【図105】,【図106】の(d)の記載を参酌すれば,キードットにデータ内容を定義する機能とドットパターンの向き(角度)を意味するという機能を持たせ得ることが示されている,③本件明細書の段落【0230】 の記載から,「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」もキードットと同様の機能が備わると理解できる,④本件明細書3の【0072】では格子ドットを非回転対称の配置にして上下方向も認識できるようにしているし,本件明細書3の図5ないし8には「x,y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」が本来の位置からずれることで本来の位置と実 際に配置されたドットの位置関係に基づいてドットパターンの向きが表現されている,⑤「x,y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」がキードットと同一の機能を有するものであることは当業者にとって自明である旨を主張する。 しかしながら,前記ウで認定したとおり,図5ないし8においては, ドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によってドットパターンの向きを認識することについては何ら説明されておらず,控訴人主張のドットの兼用を認めるに足りる根拠は見当たらないないから,上記①の主張は採用することができない。 また,【0239】ない の向きを認識することについては何ら説明されておらず,控訴人主張のドットの兼用を認めるに足りる根拠は見当たらないないから,上記①の主張は採用することができない。 また,【0239】ないし【0241】,【図105】,【図106】 の(d)の記載は,図105ドットパターンに関する記載であり,図105ドットパターンと図5ドットパターンを組み合わせることは新規事項の追加となることは前記2にて判断したとおりであるから,そのような組み合わせをしたのであれば,それ自体からしてサポート要件を欠くことになり,上記②の主張は失当である。 次に,図105ドットパターンに関する記載である段落【0230】 (引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の2の【0230】Ⅲ部分参照)には「本発明におけるドットパターンの仕様について図103~図106を用いて説明する。」との記載があるだけであり,これにより「x,y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」が図105ドットパターンのキードットと同様の機能が備わると理解することはできない から,上記③の主張は採用することができない。 さらに,控訴人の上記④及び⑤の主張については,確かに,ドットパターンの方向を意味するドット又はドット群を設けてこれらを非回転対称の配置にすればドットパターンの向きを認識できることは明らかであり,また,図5ないし8に記載された「x,y座標フラグ」又は「一般 コードフラグ」は非回転対称の位置に配置されているとはいえるから,これをドットパターンの向きを意味するドットとして兼用することも可能である。しかしながら,本件明細書3は,そのような構成としたものと理解すべき記載となっておらず,「本来の位置からのずらし方」としてどのような選択 ターンの向きを意味するドットとして兼用することも可能である。しかしながら,本件明細書3は,そのような構成としたものと理解すべき記載となっておらず,「本来の位置からのずらし方」としてどのような選択に従い本件発明3を構成したのかがそもそも記載され ているとはいえないことは,前記ウで示したとおりである。したがって,上記④及び⑤の主張も採用することができない。 オ以上のとおり,技術常識を踏まえても,当業者において,本件発明3が本件明細書3の発明の詳細な説明に記載したものと理解することはできないというべきであるから,本件発明3に係る本件特許3は,特許法 36条6項1号に違反し,特許無効審判により無効とされるべきものである。 したがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件発明3に係る本件特許権3を行使することができない。 ⑵ 本件発明4について ア本件発明4の特許請求の範囲の記載(分説後のもの)は,次のとおりで ある(下線部は,本件発明3と異なる部分を示す(引用に係る原判決の「事実及び理由」第2の2⑸エ参照))。 A4 ドットパターンが形成された媒体であって,B4 前記ドットパターンは,等間隔に所定個数水平方向に配置されたドットと, C4 前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットと,D4 前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと,前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点を格子点とし,該格子点からのずれ方でデータ 内容が定義された情報ドットと,からなり,E4 前記垂直方向に配置されたドットの1つは から水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点を格子点とし,該格子点からのずれ方でデータ 内容が定義された情報ドットと,からなり,E4 前記垂直方向に配置されたドットの1つは,当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味していることを特徴とするドットパターンである,F4 ドットパターンが形成された媒体。 イ前記アにおいて示したとおり,本件発明4と本件発明3は,本件発明4がドットパターンが形成された媒体に関する発明であり,本件発明3がドットパターンの発明であることによる相違はあるものの,構成要件B4,C4,D4,E4と,本件発明3の構成要件A3,B3,C3,D3とは,それぞれ,同一又は実質的に同一である。 また,本件明細書4には,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の1のとおり,項番号を除いて,前記⑴において本件明細書3から引用した記載と同一の記載がある。 したがって,本件発明4の特許請求の範囲の記載の解釈,サポート要件の充足の有無に関する判断は,前記⑴と同旨であり,本件発明4の構成要 件D4は図105ドットパターンに基づくものではなく,本件発明4の構 成要件E4は図5ドットパターンに基づくものではなく,結局,本件発明4は,図105ドットパターンに基づくものとも,図5ドットパターンに基づくものともいえない。 よって,本件発明4は本件明細書4の発明の詳細な説明に記載したものとは認められないから,本件発明4に係る本件特許4は,特許法36条6 項1号に違反し,特許無効審判により無効とされるべきものである。 したがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件発明4に係る本件特許権4を行使することができ 本件特許4は,特許法36条6 項1号に違反し,特許無効審判により無効とされるべきものである。 したがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件発明4に係る本件特許権4を行使することができない。 ⑶ 本件発明5についてア本件発明5の特許請求の範囲の記載(分説後のもの)は,次のとおりで ある(引用に係る原判決の「事実及び理由」第2の2⑸オ参照)。 A5 請求項1~11のいずれか一項に記載のドットパターンが形成された媒体に対して,B5 該媒体のドットパターンを撮影する手段と,C5 等間隔に所定個数,所定方向に配置されたドットを水平方向に配置 されたドットとして抽出し,前記所定方向に対して垂直方向に等間隔に所定個数配置されたドットを垂直方向に配置されたドットとして抽出し,前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと,前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点である格子点からのずれ方でデータ内容が定義された 情報ドットを抽出する手段と,D5 前記垂直方向に配置されたドットの1つにおける当該ドット本来の位置からのずれ方によって,前記ドットパターンの向きを認識する手段と,E5 該ドットの配置にしたがって該ドットパターンの定義するデータ内 容を解析する手段と, F5 該データ内容に対応した情報を記憶する記憶手段と,G5 該データ内容に対応した情報を出力する出力手段と,H5 を備えたドットパターンを用いた情報処理装置。 イ本件における本件発明5とは,本件特許4の請求項1に従属する請求項に係る発明に限定されているものであるところ,構成要件A5は, H5 を備えたドットパターンを用いた情報処理装置。 イ本件における本件発明5とは,本件特許4の請求項1に従属する請求項に係る発明に限定されているものであるところ,構成要件A5は,構成要 件B4,C4,D4及びE4を引用することとなり,また,構成要件D5は,構成要件A5が引用する構成要件E4のドットパターンを前提にしている(構成要件D5の「ずれ方」と構成要件E4の「ずらし方」に実質的な相違はないと理解される。)。 また,本件明細書4には,引用に係る原判決の「事実及び理由」第3の 1のとおり,項番号を除いて,前記⑴において本件明細書3から引用した記載と同一の記載がある。 したがって,本件発明5の特許請求の範囲の記載の解釈,サポート要件の充足の有無に関する判断は,前記⑴と同旨であり,本件発明5の構成要件A5が引用する構成要件D4は図105ドットパターンに基づくもの ではなく,本件発明5の構成要件A5が引用する構成要件E4及び本件発明5の構成要件D5は図5ドットパターンに基づくものではなく,結局,本件発明5は,図105ドットパターンに基づくものとも,図5ドットパターンに基づくものともいえない。 よって,本件発明5は本件明細書4の発明の詳細な説明に記載したもの とは認められないから,本件発明5に係る本件特許4は,特許法36条6項1号に違反し,特許無効審判により無効にされるべきものである。 したがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件発明5に係る本件特許権4を行使することができない。 4 訂正の対抗主張(当審における新たな主張)について 事案に鑑み,訂正の対抗主張のうち,無効理由の解消の有無についてまず判 断する。 控訴人が主張 ができない。 4 訂正の対抗主張(当審における新たな主張)について 事案に鑑み,訂正の対抗主張のうち,無効理由の解消の有無についてまず判 断する。 控訴人が主張する本件訂正2は,構成要件B1の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°ずつずらした方向のうちいずれかの方向に」を「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍の90°ずつずらした4方向のみのうちいずれかの方向に,」というものであり,控訴人は, 本件訂正2は,新たな技術的事項を導入するものではなく,補正要件違反を理由とする無効理由が解消されると主張する。 しかしながら,前記2⑴において説示したとおり,本件補正1が補正要件違反であると判断されるのは,図105ドットパターンにおいては,情報ドットが「格子点の中心」から等距離で45°ずつずらした方向に配置されるもので はないから,構成要件B1は当初明細書1に記載された技術的事項ではなく,また,仮に,控訴人が主張するとおり,本件補正1①部分は図105ドットパターンに基づくものであり,同②部分は図5ドットパターンに対応するものであると仮定したとしても,相容れない情報の定義方法である両パターンを組み合わせることについては,当初明細書1に記載されている事項に基づくものと はいえないから,両パターンを組み合わせたドットパターンが当初明細書1に記載された技術的事項ではないとするところにある。 控訴人の本件訂正2は,本件補正1②部分のみならず,同①部分についても図5ドットパターンに基づくものと位置付けることを試みるものと解されるが,本件訂正2においては,「格子点の中心から等距離で45°の2倍の90°ず つずらした4方向のみ」とするが,この「90°ずつずら ットパターンに基づくものと位置付けることを試みるものと解されるが,本件訂正2においては,「格子点の中心から等距離で45°の2倍の90°ず つずらした4方向のみ」とするが,この「90°ずつずらす」際の基準となるべき線の限定はないのだから,「4方向」は水平ライン又は垂直ラインと一致するわけではなく,ずらす際のラインは任意に選択できる。このような格子点を中心とする等心円上に自由に情報ドットを配置することは,情報ドットを格子ドットから上下左右の格子線上にずらした位置に限定して配置する図5ドッ トパターンの技術的事項とは相容れないものであり,本件訂正2は,図5ドッ トパターンに基づくものとはいえない。そうすると,結局,本件補正1①部分が図5ドットパターンに基づくものとはいえない以上,訂正後の本件発明1は,依然として図105ドットパターンに係る構成要件B1と図5ドットパターンに係る構成要件C1を組み合わせたものというほかなく,当初明細書1に記載のない新規事項が追加されたままであって,本件訂正2は,無効理由を解消し ない。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,訂正の対抗主張は,理由がないことが明らかである。 5 結論以上のとおりであるから,控訴人は,被控訴人に対して,本件発明1に係る 本件特許権1,本件発明2に係る本件特許権2,本件発明3に係る本件特許権3並びに本件発明4及び本件発明5に係る本件特許権4を行使することができないから,本件請求は理由がない。 したがって,本件請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 主文 た原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 菅野雅之 裁判官 本吉弘行 裁判官 中村恭 (別紙)【図2】 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 【図22】 【図103】 【図104】 【図105】 【図106】
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