令和1(行ウ)461 在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年9月30日 東京地方裁判所
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本件は、米国国籍の原告Aが日本国籍の原告Bと米国で同性婚をした後、日本での在留資格変更を求めたが、東京入国管理局長から不許可処分を受けたことに関する訴訟である。第1事件では、原告Aが不許可処分の無効確認と変更許可を求めたが、裁判所は原告の訴えを却下した。第2事件では、原告らが国家賠償請求を行ったが、裁判所は被告の裁量権の行使を認め、請求を棄却した。結論として、原告の訴えは全て却下され、訴訟費用は原告の負担とされた。

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判決文本文53,867 文字)

令和4年9月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(行ウ)第461号在留資格変更不許可処分無効確認等請求事件(以下「第1事件」という。)、令和元年(ワ)第24633号国家賠償請求事件(以下「第2事件」という。)口頭弁論終結日令和4年6月10日 判決 主文 1 本件訴えのうち原告Aの第1事件に係る訴えを却下する。 2 原告らの第2事件に係る請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件 旧東京入国管理局長が平成30年8月10日付けで原告Aに対してした在留資格の変更を許可しない旨の処分が無効であることを確認する。 東京出入国在留管理局長が令和元年8月22日付けで原告Aに対してした在留資格の変更を許可しない旨の処分を取り消す。 東京出入国在留管理局長は、原告Aに対し、在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の許可をせよ。 2 第2事件 被告は、原告らに対し、各550万円及びこれに対する令和元年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1事件は、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)国籍を有する外国人男性である原告Aが、日本国籍を有する男性である原告Bと米国において同性婚 (同性間における婚姻をいう。以下同じ。)をしたとして、出入国管理及び難民 認定法(以下、平成30年法律第102号による改正の前後にかかわらず「入管法」という。)に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入国管理局長(当時。以下、平成30年法律第102号によりその事務を承継した東京出 2号による改正の前後にかかわらず「入管法」という。)に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入国管理局長(当時。以下、平成30年法律第102号によりその事務を承継した東京出入国在留管理局長と併せて「東京入管局長」という。)から平成30年8月10日付けで「定住者」への在留資格の変更を許可しない旨の処分 (以下「本件不許可処分」という。)を受け、その後、「定住者(又は『特定活動』)」への在留資格の変更の申請をしたところ、東京入管局長から令和元年8月22日付けで「定住者」への在留資格の変更を許可しないこと等を内容とする通知(以下、「本件通知」といい、本件不許可処分と併せて「本件不許可処分等」という。)を受けたことから、本件不許可処分が無効であることの確認(以 下、同請求に係る訴えを「本件無効確認の訴え」という。)及び本件通知の取消しを求める(以下、同請求に係る訴えを「本件取消しの訴え」という。)とともに、東京入管局長に対し「定住者」への在留資格の変更の許可の義務付けを求める(以下、同請求に係る訴えを「本件義務付けの訴え」という。)事案である。 第2事件は、原告らが、被告に対し、本件不許可処分等は東京入管局長が裁 量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して行ったものであり、これにより原告らが本邦において家族を形成維持するという法的利益の侵害を受けたなどと主張して、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき慰謝料等の損害賠償各550万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年9月27日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5 分の割合による遅延損害金の各支払を求める(以下、同請求を「本件国賠請求」という。)事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、 で平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5 分の割合による遅延損害金の各支払を求める(以下、同請求を「本件国賠請求」という。)事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠(証拠の表記は枝番を含む場合がある。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠を挙げていない事実は、当事者間に争いがない。) 原告らの身分事項 ア原告Aは、昭和▲年(▲▲▲▲年)▲月▲日に米国において出生した米国籍を有する外国人男性である。 イ原告Bは、昭和▲年▲月▲日に本邦において出生した日本国籍を有する日本人男性である。 ウ原告Aと原告Bは、平成27年(2015年)▲月▲日、米国G州にお いて、同州の方式にのっとり婚姻した(以下「本件婚姻」という。)。(甲3~6)原告Aの出入国及び在留の状況ア前回までの出入国状況等原告Aの平成26年4月24日以前の出入国及び在留の状況(再入国に よる出入国は省略する。以下「前回までの出入国状況等」という。)は、以下のとおりである。 原告Aは、平成13年3月29日、新東京国際空港(当時。以下、平成16年4月1日の名称変更後の成田国際空港と併せて「成田空港」という。)に到着し、東京入国管理局(当時。以下、平成30年法律第10 2号による入管法改正後における東京出入国在留管理局と併せて「東京入管」という。)成田空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、平成13年4月22日、本邦から出国した。 原告Aは、平成21年3月25日、成田空港に到着し、東京入管成田 空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留 けて本邦に上陸し、平成13年4月22日、本邦から出国した。 原告Aは、平成21年3月25日、成田空港に到着し、東京入管成田 空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、同年4月22日、本邦から出国した。 原告Aは、平成22年2月6日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」 とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、同月17日、本邦から出 国した。 原告Aは、平成22年5月19日、在留資格「就学」(当時。以下同じ。)に係る在留資格認定証明書の交付を受け、同年6月3日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から、在留資格を「就学」、在留期間を「1年」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸した。原告A は、平成23年6月27日に在留資格を「留学」(当時。以下同じ。)、在留期間を「1年」とする在留期間の更新の許可を、平成24年6月25日に在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」とする在留資格の変更の許可をそれぞれ受け、同年9月23日、本邦から出国した。 原告Aは、平成25年7月7日、成田空港に到着し、東京入管成田空 港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、同年9月28日、本邦から出国した。 原告Aは、平成25年10月8日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」 とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、平成26年1月6日、本邦から出国した。 イ今回の出入国状況 入管成田空港支局入国審査官から、在留資格を「短期滞在」、在留期間を「90日」 とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、平成26年1月6日、本邦から出国した。 イ今回の出入国状況等原告Aの平成26年4月25日以降の出入国及び在留の状況(以下「今回の出入国状況等」という。)は、以下のとおりである。 原告Aは、平成26年4月25日、在留資格「投資・経営」(当時。以下同じ。)に係る在留資格認定証明書の交付を受け、同年5月18日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から、在留資格を「投資・経営」、在留期間を「1年」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸した(以下「今回の入国」という。)。 原告Aは、平成26年9月8日、みなし再入国許可により本邦から出 国し、同年11月2日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成27年6月23日、在留期間を「1年」とする在留期間の更新の許可を受けた。 原告Aは、平成27年7月2日、みなし再入国許可により本邦から出国し、同月12日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成27年10月4日、みなし再入国許可により本邦から出国した。 原告Aと原告Bは、平成27年11月12日、米国において本件婚姻をした。 原告Aは、平成27年11月30日、再入国許可により本邦に上陸し た。 原告Aは、平成27年12月24日、みなし再入国許可により本邦から出国し、平成28年1月7日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成28年6月11日、みなし再入国許可により本邦から出国し、同月20日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平 平成28年1月7日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成28年6月11日、みなし再入国許可により本邦から出国し、同月20日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成28年7月28日、在留期間を「1年」とする在留期間の更新の許可を受けた。 原告Aは、平成28年9月14日、みなし再入国許可により本邦から出国し、同月26日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成28年11月7日、みなし再入国許可により本邦から 出国し、同年12月1日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成29年5月25日、みなし再入国許可により本邦から出国し、同年6月5日、再入国許可により本邦に上陸した。 原告Aは、平成29年9月25日、在留期間を「1年」とする在留期間の更新の許可を受けた。 原告Aは、平成29年9月26日、みなし再入国許可により本邦から 出国し、同年10月6日、再入国許可により本邦に上陸した。 本件に係る経緯等ア原告Aは、平成30年7月5日、希望する在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請をした(以下「本件申請1」という。)。(乙2の1)イ東京入管局長は、原告Aに対し、平成30年8月10日付けで、本件申 請1について本件不許可処分をし、同日、その旨通知をした。(甲20、乙3)ウ原告Aは、在留期限であった平成30年9月25日、希望する在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請をした。 エ東京入管局長は、原告Aに対し、平成30年11月22日、上記ウの申 請について、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」を目的とする申請に変更するのであれば、申出書を提出されたい旨を通知した。 オ原告Aは、 日、上記ウの申 請について、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」を目的とする申請に変更するのであれば、申出書を提出されたい旨を通知した。 オ原告Aは、平成30年11月22日、前記ウの申請について、申請内容を「出国準備」に変更する旨の申請内容変更申出書を提出し、これを受け て、東京入管局長は、原告Aに対し、同日、在留資格を「特定活動」・指定活動を「出国準備」(以下、このような在留資格等を単に「出国準備」と表記する。)とし、在留期間を「31日」、在留期限を「平成30年12月23日」とする在留資格の変更の許可をした。 カ原告Aは、平成31年1月から令和元年5月までの間に、2度にわたり、 在留資格を「出国準備」とする在留期間の更新の許可を受けた。 (乙1の1)キ原告Aは、令和元年6月20日、希望する在留資格を「定住者(又は『特定活動』)」とする在留資格の変更の申請をした(以下「本件申請2」という。)。(乙4の1)ク東京入管局長は、原告Aに対し、令和元年8月22日、本件申請2につ いて、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出 国準備」を目的とする申請に変更するのであれば、申出書を提出されたい旨を通知した(本件通知)。(乙5)ケ原告Aは、令和元年8月22日、本件申請2について、申請内容を「出国準備を目的とする在留期間の更新申請」に変更する旨の申請内容変更申出書(以下、「本件変更申出書」といい、本件変更申出書に係る申出を「本 件変更申出」という。)を提出し、これを受けて、東京入管局長は、原告Aに対し、同日、在留資格を「出国準備」、在留期間を「89日」、在留期限を「令和元年9月19日」とする在留期間の更新の許可をした。 (乙1の 出」という。)を提出し、これを受けて、東京入管局長は、原告Aに対し、同日、在留資格を「出国準備」、在留期間を「89日」、在留期限を「令和元年9月19日」とする在留期間の更新の許可をした。 (乙1の1、6)コ原告Aは、令和元年9月19日、希望する在留資格を「定住者(又は『特 定活動』)」とする在留資格の変更の申請をした。 本件訴えの提起原告Aは、令和元年9月12日、第1事件に係る本件訴えを提起した。(顕著な事実) 2 争点及び争点に関する当事者の主張の要旨 本件の争点は、①本件無効確認の訴えの確認の利益の有無、②本件通知の処分性の有無、③本件不許可処分等の違法性、④本件義務付けの訴えの適法性、⑤本件国賠請求の成否、⑥損害額である。 本件無効確認の訴えの確認の利益の有無(原告Aの主張) 本件無効確認の訴えに係る請求を認容する判決がされた場合には、この無効確認判決の拘束力により、原告Aに対する後行処分によって付与された在留資格は職権で撤回されるべきこととなるから、本件無効確認の訴えには確認の利益がある。 すなわち、無効確認判決がされたときは、行政庁は、当該判決の拘束力(行 政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)38条1項、33条1項、2項)に 従い、改めて当初の申請に係る在留資格(定住者等)への変更を許可する処分をしなければならないところ、当該処分に係る在留資格は、後行処分に係る在留資格(出国準備、短期滞在等)とは異なるものであるため、一人の外国人につき同時に複数の在留資格が並存することを許容しない入管法の定めと整合しない結果となることが避け難いことから、当該行政庁としては、こ れと整合しない後行処分を職権により撤回した上で、先行処分に関する申請 複数の在留資格が並存することを許容しない入管法の定めと整合しない結果となることが避け難いことから、当該行政庁としては、こ れと整合しない後行処分を職権により撤回した上で、先行処分に関する申請に対し再処分をしなければならない。 したがって、本件無効確認の訴えについては、確認の利益がある。 (被告の主張)本件不許可処分が裁判所によって無効であることが確認されたとしても、 東京入管局長が原告Aに対し「定住者」への在留資格の変更の許可をする余地はないから、本件無効確認の訴えは、確認の利益を欠く不適法なものである。すなわち、入管法及び出入国管理及び難民認定法施行規則(以下「入管法施行規則」という。)は、外国人に対して在留を許可するに当たり、常に一個の在留資格及びこれに対応する一個の在留期間を定め、我が国に在留する 間は、常時単一の在留資格及び在留期間をもって在留するものとする仕組み(一在留一資格の原則)を採っているのであるから、同時に複数の在留資格を有したり、終期の異なる数個の在留期間を有することは許容していないというべきである。そうすると、Aという在留資格で本邦に在留している外国人が、Bという在留資格への変更の申請を行い、これに対する変更を許可し ない旨の処分(以下「不許可処分」という。)がされたとしても、その後に、その者がBとは別個のCという在留資格への変更の申請を行い、在留資格の変更の許可を受けて新たな在留資格(以下「新在留資格」という。)Cを得た場合には、その者は、その後は新在留資格Cに基づいて本邦に在留することになる。この場合に、その者が当初のBという在留資格への変更の不許可処 分について訴訟で争って、仮に勝訴判決を得たとしても、無効であることが 確認された不許可処分は、新在留 留することになる。この場合に、その者が当初のBという在留資格への変更の不許可処 分について訴訟で争って、仮に勝訴判決を得たとしても、無効であることが 確認された不許可処分は、新在留資格Cを認めた処分とは別個の処分であるから、当該判決は、新在留資格Cを認めた処分には影響を与えないことになるが、一在留一資格の原則からすれば、行政庁は、当該判決が存在するからといって、当初のAという在留資格を変更したBという在留資格を、有効に存在するままである新在留資格Cと併存して与えることはできないことにな る。したがって、ある者に対して在留資格の変更の不許可処分がされたとしても、その後にその者が新たに在留資格を得た場合には、従前の在留資格の変更の不許可処分の無効確認を求める確認の利益は消滅するというべきである。 これを本件についてみると、原告Aは、平成30年7月5日に本件申請1 をしたが、同年8月10日付けで本件不許可処分を受け、同年9月25日、再度希望する在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請を行ったものの、同年11月22日、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」を目的とする申請に変更するのであれば申出書を提出されたい旨の通知を受けて、同日、原告Aが申請内容変更の申出を行った 結果、「出国準備」への在留資格の変更の許可を受けたものである。そうすると、仮に本件不許可処分が無効であると判断されたとしても、本件申請1に基づいて原告Aに対し「定住者」への在留資格の変更の許可する余地はなく、原告Aの権利救済には何ら資するところがないから、本件無効確認の訴えは、確認の利益を欠くものであって不適法である。 本件通知の処分性の有無(原告Aの主張)本件通知は、「公権力 の権利救済には何ら資するところがないから、本件無効確認の訴えは、確認の利益を欠くものであって不適法である。 本件通知の処分性の有無(原告Aの主張)本件通知は、「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」に当たり、「処分」(行訴法3条2項)に該当す る。 すなわち、平成30年1月29日付け法務省入国管理局長通達「『入国・在留審査要領』の一部改正について」(法務省管在第638号。以下、改正の前後にかかわらず「入国・在留審査要領」という。)に添付された入国・在留審査要領第10編第1章総則第4節処分には、在留資格の変更の申請又は在留期間の更新の申請に対し不許可の処分をしたときに関し、以下の記載がある。 ①地方局等又は出張所の長は、不許可の決定を行ったとき又は請訓若しくは進達の結果不許可とすべき旨の回訓若しくは通知を受けたときは、速やかに不許可通知書(別記第11号様式)を作成した上、申請人の出頭を求めて交付し、又は郵送すること、②上記①の措置に基づいて原申請内容では許可することができない旨告知し、③出国準備を目的とする在留資格への変更の 申請に変更する意思の有無を確認したが、変更する意思を有さないとして、申請内容変更申出書を提出しない者については、不許可処分を行うこととし、不許可通知書を交付して、不許可とする旨を告知することなどが記載されている。上記記載によれば、申請内容変更申出書が提出される前に、既に不許可通知書が作成されることが明らかであるところ、別記第11号様式の不許 可通知書には、「あなたからの申請のあった(中略)については、下記理由により不許可と決定したの が提出される前に、既に不許可通知書が作成されることが明らかであるところ、別記第11号様式の不許 可通知書には、「あなたからの申請のあった(中略)については、下記理由により不許可と決定したので通知します。」との文言が不動文字で印刷されている(甲33、34)。 以上からすれば、原告Aのした本件申請2に対し、その結果を通知する旨の東京入管の呼出しに応じ原告Aが出頭して「申請内容変更申出書」を提出 するより前に、既に地方局の長たる東京入管局長は、原告Aに対する不許可通知書を作成しており、本件申請2を不許可とする旨の処分を行っていたことが明らかである。東京入管局長が原告Aに対し不許可通知書を交付しなかったのは、原告Aが申請内容変更申出書を提出したからにすぎない。したがって、本件通知は、抗告訴訟の対象となる「処分」であることが明らかであ る。 (被告の主張)原告Aは、本件通知が本件申請2に対する不許可処分であることを前提に、本件通知の取消しを求めているものと解されるが、本件通知は処分性を欠くため本件取消しの訴えは不適法である。すなわち、本件通知には、「あなたから申請のあった在留資格変更許可申請(2019年6月20日付け申請番号 東永C-5607号)については、審査の結果、下記理由により申請どおりの内容では許可できませんが、申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば、別紙の申出書を提出して下さい。」と記載されている。本件通知を受けた原告Aは、本件通知に別紙として添付された入管法施行規則所定の別記第30号の3様式(出入国管理法令研究会編・注解判例出入国管理 実務六法(令和2年版)571頁)の用紙を用いて、本件変更申出をした。 本件変更申出書には、「出入国管理及び難民認定法施行規 定の別記第30号の3様式(出入国管理法令研究会編・注解判例出入国管理 実務六法(令和2年版)571頁)の用紙を用いて、本件変更申出をした。 本件変更申出書には、「出入国管理及び難民認定法施行規則第21条の3又は第21条の4の規定に基づき、次のとおり申請内容の変更を申し出ます。」、「2019年6月20日に行った申請番号東永C5607については、申請の内容を『出国準備を目的とする在留期間の更新申請』に変更したく、申し 出ます。」と記載されており、原告Aはこれに署名した上で東京入管局長に提出した。そして、これを受けた東京入管局長は、原告Aに対して、上記申出書により変更された申請内容に基づき、在留資格を「出国準備」、在留期間を「89日」とする旨の在留資格の変更の許可をした。上記のような本件通知及びこれに添付されて一体となった別記第30号の3様式の用紙(原告Aが 署名することによって本件変更申出書となったもの)の記載内容からすれば、本件通知が、本件申請2に対し不許可処分をしたことを通知するものではなく、本件申請2に対しては不許可となる見込みであることを伝えるとともに、原告Aが希望するのであれば、申請内容を「出国準備」を目的とする在留期間の更新の申請に変更することができることを教示したものにすぎないこと が明らかである。 仮に原告Aが主張するように、本件通知を本件申請2に対する不許可処分の通知であるとすれば、上記「出国準備」を目的とする在留期間の更新の許可処分は、本件申請2とは別の新たな申請に基づいてされた処分ということになるが、本件変更申出書の表題は「申請内容変更申出書」であり、本件変更申出書の提出が本件申請2の内容を変更するものであることは明らかであ って、両者を別個の申請とみる余地はない。また いうことになるが、本件変更申出書の表題は「申請内容変更申出書」であり、本件変更申出書の提出が本件申請2の内容を変更するものであることは明らかであ って、両者を別個の申請とみる余地はない。また、本件通知のように、原申請の不許可の見込みを申請人に通知し、申請内容の変更を示唆することは、申請人の在留が直ちに不法残留(入管法24条4号ロ)となることを回避し、事後の上陸許可の申請において不利益とならないようにするための便宜上の措置である。 以上をまとめると、本件通知は、①本件申請2に対し、申請どおりの内容では在留資格の変更を許可することができないとの不許可の見込みと、②申請内容変更申出書を提出することにより、本件申請2の内容を「出国準備」を目的とする申請に変更することができる旨を伝えたものにすぎず、本件通知それ自体が、本件申請2に対する東京入管局長の最終的な判断を告知する ものなどとして、原告Aの権利関係や法律上の地位に何らかの変動を生じさせる行為となるものではないから、これに処分性を肯定する余地はない。したがって、本件通知の取消しを求める本件取消しの訴えは、取消訴訟の対象とならない行為について抗告訴訟を提起するものであって不適法である。 本件不許可処分等の違法性 (原告らの主張)ア主張の概要本件不許可処分の結果、原告らは、互いに愛する人と共に暮らすという、人として最も根本的ともいえる権利を奪われたものであり、その結果は極めて重大である。本件不許可処分は、家族生活の自由を侵害するものであ るとともに(憲法13条違反)、性的指向に基づく不当な差別であることか ら憲法違反(憲法14条違反)であり、国際人権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約(いわゆるB規約。以 るとともに(憲法13条違反)、性的指向に基づく不当な差別であることか ら憲法違反(憲法14条違反)であり、国際人権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約(いわゆるB規約。以下「自由権規約」という。)2条、17条、23条、26条違反)にも違反するものであって、東京入管局長の判断には、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があることが認められる。したがって、本件不許可処分には、重大かつ明白な違法 があるから無効である。 本件通知は、抗告訴訟の対象となる「処分」に該当するところ、本件不許可処分と同様に、原告らの家族生活の自由を侵害するものであるとともに、性的指向に基づく不当な差別であることから憲法違反(憲法13条、14条違反)、国際人権規約違反(自由権規約2条、17条、23条、26 条違反)であって、東京入管局長の判断には、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法が認められる。したがって、本件通知は、違法であるから取り消されるべきである。 以下、詳述する。 イ本件不許可処分等の違憲性等 人の性的指向は多様であり、その在り方は人格的生存に不可欠な個性として個人の尊厳の尊重を規定する憲法13条によって保障される。他者と情緒的、感情的、性的な意味で親密な関係を結び、特定の他者と互いに人生を共にするパートナーとして家族を形成し、保持する自由も憲法13条により保障される。また、性的指向を理由とする不合理な取扱 いは、「性別」、「社会的身分」に基づく差別に当たり憲法14条に違反する。 本件における原告らは、同性愛の性的指向を有しているところ、異性カップルと同様に、永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営む関係を欲し 4条に違反する。 本件における原告らは、同性愛の性的指向を有しているところ、異性カップルと同様に、永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営む関係を欲し、現にかかる関係を築いてきた。 原告らは、同性婚が認められている米国において本件婚姻をし、既に6 年半が経過している。それにもかかわらず、原告らが本邦において婚姻をしていないとされているのは、原告らが婚姻という形式を欲していないからではなく、ひとえに我が国が民法及び戸籍法上同性婚を設けていないとして、原告らの婚姻を認めていないからである。仮に、原告らが異性カップルであれば、その米国での婚姻は、本邦での届出の有無にか かわらず本邦でも有効であり、報告的届出も当然に受理される。また、原告らには何らの法令違反等の事実もなく、原告Bには十分な扶養能力が認められるから、原告Aは「日本人の配偶者等」の在留資格を得て、本邦において安定して在留することができることが見込まれる。それにもかかわらず、原告らが同性カップル(同性間で恋愛・交際関係にある カップルのことをいう。以下同じ。)であるがゆえに、原告Aは、原告Bとの同性パートナー関係(広く同性婚を含む同性カップルの恋愛・交際関係のことをいい、その相手方を「同性パートナー」ということがある。 以下同じ。)に基づく在留資格は認められず、本邦に安定して在留することが許されないのである。したがって、本件不許可処分等は、原告らが その性的指向に基づき特定の他者との互いに人生を共にするパートナーとして家族を形成し、保持する自由を侵害するもので憲法13条に違反する。 また、性的指向は、自らの意思にかかわらず決定される個人の性質であり、性別、人種などと同様のものである。異性愛者と同性愛者 として家族を形成し、保持する自由を侵害するもので憲法13条に違反する。 また、性的指向は、自らの意思にかかわらず決定される個人の性質であり、性別、人種などと同様のものである。異性愛者と同性愛者の違い は、人の意思によって選択・変更し得ない性的指向の差異でしかない。 それにもかかわらず、本件不許可処分等は、原告らが同性愛者という性的指向を有する者であることを理由として、適切な在留資格の付与により家族と本邦で共同生活を送ることを可能にすることを拒否するものであり、その取扱いは合理的根拠を欠き、憲法14条に違反する。 なお、原告Aについて、原告Bの同性パートナーであることを理由に 本邦に在留することを認めないことは、同居して家族生活を営むことを望む原告らに対し、米国に居住することを強制するに等しいものであり、本件不許可処分等は、原告Bの本邦に居住する自由を侵害し憲法22条1項に違反するものであるということもできる。 したがって、本件不許可処分等は、違憲である。 家族生活の尊重を受ける権利は、国際人権規約に関連する規範として作成されるほぼ全ての文書に含まれるところ、同性パートナー関係、とりわけ外国で婚姻が有効に成立している場合の関係は、尊重を受けるべき家族生活に含まれる。自由権規約人権委員会において、自国民の同性パートナー関係に基づく在留について直接記述した一般的意見や通報事 例は見当たらないが、自由権規約の解釈において、同性パートナー関係が自由権規約17条、23条に規定されている尊重されるべき家族生活に含まれており、性的指向による差別が自由権規約2条、26条に規定されている差別禁止事由に含まれ、合理性のない区別は、自由権規約26条に違反すると解されている。ヨーロッパ人権裁判所の解釈は 家族生活に含まれており、性的指向による差別が自由権規約2条、26条に規定されている差別禁止事由に含まれ、合理性のない区別は、自由権規約26条に違反すると解されている。ヨーロッパ人権裁判所の解釈は、自由 権規約の解釈の補足的手段となり、又は同様の規定についての解釈において参考にされるところ、同裁判所は同性パートナー関係に基づく在留資格を付与しなかった事案について、家族生活の尊重を定めるヨーロッパ人権条約8条に関する14条(差別禁止)の権利侵害を認定し、このほかEU司法裁判所も、EU加盟国が「同性婚を認めるかどうかを判断 する自由を保持する」としつつ、EU加盟国以外の国籍を持つ同性配偶者の場合も、その配偶者に対し域内に居住するという派生的権利を与えないことで、EU市民の居住の自由を阻害してはならない」として、EU市民の同性パートナーには、その国籍にかかわらず、同性婚を認めていない国も含む全てのEU加盟国で居住する権利があるとの判断を示し ている。しかるに、原告らは、同性カップルであるために、原告Aは、 原告Bと同性パートナー関係に基づく在留資格が認められず、本邦に安定して在留することが許されないものであって、本件不許可処分等は、自由権規約17条、23条及びそれと関連付けられた2条、26条に違反するものである。 ウ定住者の在留資格該当性 定住者告示仮に原告Aについて原告Bとの同性パートナー関係に基づき、本邦に在留することを認めないことが憲法及び国際人権規約に違反しないとされる場合であっても、本件不許可処分等は、原告Aに対し原告Bとの同性パートナー関係に基づく在留資格を付与しないとするものであり、こ のような東京入管局長の判断は、以下に述べるとおり、裁量権の行使に当たり、事実 、本件不許可処分等は、原告Aに対し原告Bとの同性パートナー関係に基づく在留資格を付与しないとするものであり、こ のような東京入管局長の判断は、以下に述べるとおり、裁量権の行使に当たり、事実を誤認したか、その評価が著しく合理性を欠くものであって、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法がある。 入管法別表第二に規定する「定住者」の在留資格とは、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」をいうと ころ、東京入管局長は、原告Aについて、本件不許可処分において「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由がなく、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)」(以下「定住者告示」という。)に定める地位に該当しな いとの理由に基づき不許可の判断をしたものであり、本件通知においても、同様の理由に基づき不許可の判断を示している。 しかし、原告Aは、日本人である原告Bと真摯な共同生活を営んでいるものであるから、本邦に在留する必要性があることが明らかであった。 そして、原告Aのような日本人との同性パートナー関係にある者につい ては、我が国が同性婚を法律上認めていないために、同性パートナー関 係に基づき定型的に当てはまる在留資格がないとしても、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」に該当するとして、「定住者」の在留資格が与えられるべきであった。 すなわち、日本人との同性パートナー関係にある者に在留資格を付与することを禁ずる法律の規定は一切存在せず、かえって、入管法は、在 留資格「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者 た。 すなわち、日本人との同性パートナー関係にある者に在留資格を付与することを禁ずる法律の規定は一切存在せず、かえって、入管法は、在 留資格「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者等」に当てはまらない一定の身分関係にある者に「特別な理由を考慮し(中略)居住を認める」(別表第二)ために、「定住者」という在留資格を用意しているのである。具体的には、入管法別表第二の在留資格の項の下欄に掲げる身分又は地位の類型のいずれにも該当しない身分又は地位を有するも のとしての活動を行おうとする外国人に対し、人道上の理由その他特別の事情や社会経済等の情勢の変化を考慮し、その居住を認めることが必要となる場合等に臨機に対応することができるようにするために、「定住者」の在留資格が設けられたと解される。 それにもかかわらず、東京入管局長は、①同性カップルには、永続的 な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営む関係は存在しないと事実を誤認したか、②原告らの関係は、上記①のような関係に当たらないと事実を誤認したか、③同性カップルの場合は、上記①のような関係に当たるか否かにかかわらず、その同性パートナー関係に基づく在留資格を与えるほどの保護の必要性がないと評価したか、 ④他の在留資格を得ることによって本邦における同居を維持し続けることが簡単に実現可能であると評価したか、⑤あるいは少なくとも原告Aについて、その同性パートナー関係に基づく在留資格を与えるほどの保護の必要性がないと評価したかなどを根拠として、本件不許可処分等を行ったものと考えられるが、そのいずれであっても合理性を欠くもので ある。したがって、東京入管局長の上記判断には、裁量権の範囲を逸脱 し又はこれを濫用した違法がある。 な 処分等を行ったものと考えられるが、そのいずれであっても合理性を欠くもので ある。したがって、東京入管局長の上記判断には、裁量権の範囲を逸脱 し又はこれを濫用した違法がある。 なお、被告は「定住者」の在留資格については、定着性が要件となっており、原告Aはこれを満たさないかのような主張をするが、定着性は「定住者」の在留資格において必須の要件ではなく、実際に「定住者」の在留資格が与えられる類型の中には、定着性を要素としないものも少 なくない。更にいえば、原告Aが本邦に居住していない時期があるのは、原告Aが本邦における居住を望まなかったからではなく、原告Bとの家族生活の継続のために本邦における居住を望んだものの、原告Bとの同性パートナー関係に基づく在留資格を被告が認めない中、他に該当する在留資格がないために、その意思に反しやむを得ず本邦を離れざるを得 なかったからである。このように、被告において原告Aが本邦に居住することを不可能にしておきながら、それを理由として原告Aに「定住者」の在留資格を付与しないことが正当化されるはずもない。 人道上の理由の存在また、原告Aについては、人道上の理由その他特別の事情に基づき「定 住者」の在留資格を付与する必要がある。すなわち、原告らは、平成17年(2005年)から米国で同居を開始し、平成22年6月からは本邦で同居を始めた。その間、原告らは、互いの仕事の関係で米国と本邦に分かれて住んでいた時期があったものの、頻繁に行き来するなどして関係性を保っていたのであり、原告らは長期にわたり同居・協力・扶助 の関係にあった。 原告らは、平成27年(2015年)11月12日に米国G州において本件婚姻をしているが、米国では同年6月26日に米国連邦最高 らは長期にわたり同居・協力・扶助 の関係にあった。 原告らは、平成27年(2015年)11月12日に米国G州において本件婚姻をしているが、米国では同年6月26日に米国連邦最高裁判所が、同性カップルに婚姻許可証を発給しないこと及び他の州で行われた同性婚を承認しないことは、合衆国憲法修正第14条に違反すると判 示した(いわゆるObergefell 判決)ことにより、米国の全ての州におい て、異性カップルと同性カップルとの区別なく婚姻が認められるとともに、他州において合法的に成立した婚姻を承認する義務を負うことになった。このため、原告らの本件婚姻は米国全土において有効なものである。 他方で、本邦では現時点で同性同士の婚姻が認められていないため、 原告らは婚姻の届出ができない状態にある。仮に原告らが、米国で有効に婚姻が成立した異性カップルであれば、本邦で生活するに当たり婚姻届を報告的届出として提出することで、本邦でも婚姻関係にあることが認められ、原告Aには「日本人の配偶者等」として在留資格が認められる。原告らは、本邦の制度上婚姻関係にないものの、米国では有効な婚 姻関係にあること、カップルとしての共同生活及び真摯な関係が認められることから、本邦で法的に婚姻関係にあって同居・協力・扶助関係にある異性カップルと同様に、その関係を保護すべき人道上の必要性があることに何ら変わりはない。したがって、原告Aには、「定住者」としての在留資格が認められるべきである。 平成25年通知との均衡平成25年10月18日付け法務省入国管理局入国在留課長通知(法務省管在第5357号。以下「平成25年通知」という。)は、「在留資格『家族滞在』、『永住者の配偶者等』等にいう『配偶者』は、我が国の 平成25年10月18日付け法務省入国管理局入国在留課長通知(法務省管在第5357号。以下「平成25年通知」という。)は、「在留資格『家族滞在』、『永住者の配偶者等』等にいう『配偶者』は、我が国の婚姻に関する法令においても有効なものとして取り扱われる婚姻の配偶 者であり、外国で有効に成立した婚姻であっても同性婚による配偶者は含まれない」としながら、外国人の同性カップルが本国で有効に婚姻している場合には、このような「同性婚による配偶者については、原則として、在留資格『特定活動』により入国・在留を認めることとしました。」としている。 平成25年通知の趣旨は、外国人の同性カップルが本国で有効に婚姻 している事実を人道的観点から配慮すべき事情であるとしているものであるが、本件のように同性婚の一方当事者が日本人である場合においても、本邦における安定した生活を確保する必要性があることは同様であり、むしろ、同性婚の一方当事者が日本人である場合には、外国人の同性パートナーとの本邦における安定した生活を確保すべき必要性がより 高い。しかるところ、平成25年通知によれば、原告Aは、本邦に居住する権利がある日本人である原告Bの同性パートナーとしては本邦に在留することを認められないが、原告Bが米国籍を取得して日本国籍を喪失し、原告Aと外国人カップルになりさえすれば、原告Bは日本人の実子であることから、「日本人の配偶者等」の在留資格で在留することがで きることが見込まれ、その結果、原告Bの同性パートナーである原告Aについても、平成25年通知に基づき、「特定活動」の在留資格が与えられることになる。このように、平成25年通知に基づく現在の取扱いによれば、日本人が、日本国籍を失わなければ同性パートナーと本邦において安定して居住 25年通知に基づき、「特定活動」の在留資格が与えられることになる。このように、平成25年通知に基づく現在の取扱いによれば、日本人が、日本国籍を失わなければ同性パートナーと本邦において安定して居住することができず、日本国籍を失えばそれが可能にな るという事態が発生するが、このような事態は、もはや不合理という言葉を超えており国益にとっても大きなマイナスである。 さらに、同性愛は多様な性的指向の一つとして異性愛と等しく尊重されるべきものという理解が日本社会に広く共有されつつあるのであり、誤った固定観念の下で同性愛が「異常」、「変態」等と扱われてきた過去 と今日では、同性愛・同性カップルをめぐる立法事実に明らかな変化がみられる。我が国及び国際社会において、同性愛や同性カップルの法的保護に向けて社会経済等の情勢が変化していることに鑑みても、同性カップルの家族生活に不可欠な在留資格を付与すべき必要性は高いというべきである。 エ小括 以上によれば、原告Aが、人道上の理由その他特別の事情、また、社会、経済等の情勢の変化により、居住を認める必要性が生じる場合に臨機応変に対応することができるようにするために設けられた在留資格である「定住者」に該当することは明らかである。それにもかかわらず、原告Aに対し、本件不許可処分等をしたことは、原告らの互いに愛する人と共に暮ら すという、人として最も根本的ともいえる権利を奪うものであって、それは家族形成・維持の自由(憲法13条、自由権規約17条、23条)を侵害するものであり、また、同性愛という性的指向に基づく不合理な差別である(憲法14条、自由権規約2条、26条)。したがって、東京入管局長が原告Aに対し本件不許可処分等をしたことは、裁量権の範囲を逸 害するものであり、また、同性愛という性的指向に基づく不合理な差別である(憲法14条、自由権規約2条、26条)。したがって、東京入管局長が原告Aに対し本件不許可処分等をしたことは、裁量権の範囲を逸脱し又 はこれを濫用したものであり違法である。 (被告の主張)ア主張の概要法務大臣等(法務大臣及び法務大臣から権限の委任を受けた出入国在留管理庁長官又は地方出入国在留管理局長をいう。以下同じ。)が在留資格の 変更の許否を判断するに当たっては、①当該外国人が新たに取得を希望する在留資格についての在留資格該当性を有するか否かについて判断し、在留資格該当性が認められる場合に、さらに、②在留資格該当性以外の諸般の事情を考慮して、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由が認められるか否かについて、それぞれ判断することになり、これらの要件 が全て認められて初めて在留資格の変更が許可されることになる。そして、原告Aは、平成30年7月5日付けで希望する在留資格を「定住者」とする本件申請1をしたところ、以下に述べるとおり、原告Aは、定住者告示の定める地位のいずれにも該当せず、また、原告Aについて、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人の場合と同視し、あるいは、 これに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情は認められ なかった。さらに、原告Aには、「定住者」の在留資格を適当と認めるに足りる相当の理由も認められない。したがって、本件不許可処分等は適法である。 イ本件不許可処分等の憲法適合性等原告らは、本件不許可処分等は、原告らの同性愛という性的指向を理由 とする不合理な取扱いによるものであり、憲法14条に定める平等原則に違反する旨主張する。原告らの主張の趣旨 等の憲法適合性等原告らは、本件不許可処分等は、原告らの同性愛という性的指向を理由 とする不合理な取扱いによるものであり、憲法14条に定める平等原則に違反する旨主張する。原告らの主張の趣旨は、必ずしも判然としないが、東京入管局長が本件不許可処分等をするに当たり、原告Aの性的指向を理由としたものではないことは明らかである。すなわち、東京入管局長は、定住者告示に定める地位に該当するか否かのほかに、これに該当しないと しても、原告Aについて定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人の場合と同視し、あるいはこれに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情があるか否かを判断した上で、本件不許可処分等をしたものであって、原告Aの性的指向を理由としたものではない。したがって、本件不許可処分等には、何ら不合理な差別は存在せず、平等原則(憲 法14条)に反するものではない。 また、原告らは、本件不許可処分等は、原告らの家族生活の自由を侵害するものであり、憲法13条に違反する旨主張するとともに、自由権規約人権委員会による一般的意見等を挙げて、原告らの家族生活に恣意的に干渉するものであり、また、性的指向を理由とする不合理な差別に該当する 旨主張する。しかし、本邦に居住する外国人に対して、憲法13条の幸福追求権が保障される余地があるとしても、外国人に対しては、入国及び在留の権利が憲法上保障されているものではないから、憲法13条による保障も外国人の在留制度の枠内で与えられているにすぎない。さらに、自由権規約についても、外国人を自国内に受け入れるか否か、これを受け入れ る場合にいかなる条件を付すかは、当該国家が自由にこれを決することが できるとの国際慣習法上の原則を当然の前提としており、その原 も、外国人を自国内に受け入れるか否か、これを受け入れ る場合にいかなる条件を付すかは、当該国家が自由にこれを決することが できるとの国際慣習法上の原則を当然の前提としており、その原則を基本的に変更することができるものとも解されない。したがって、原告らの主張には理由がない。 ウ 「定住者」の在留資格該当性 定住者告示について 原告らは、原告Aに「定住者」の在留資格該当性が認められる旨主張するが、原告Aは定住者告示に定めるいずれの地位にも該当しない。本邦においては同性婚を法律上認めていないことからすれば、原告らが同性パートナー関係にあることは、定住者告示に定める地位に該当するものではない。 また、入管法は、在留資格のうち入管法別表第二の「定住者」については、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」(入管法別表第二の下欄)と規定するとともに、上陸申請の許否の要件を定めた入管法7条1項2号において、その具体的内容について「法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る」旨規定し、 この規定を受けて定住者告示が定められている。定住者告示においては、法務大臣等が特別な理由を考慮して上陸を認めるべき外国人を類型化が可能な限り網羅的に列挙し、法務大臣等による裁量的な判断を具現化しているものであって、在留資格の変更の許否に関する要件を定めるものではないが、在留資格の変更の許否の判断において、定住者告示の内容・ 趣旨は十分に尊重されるべきであり、定住者告示に定める地位に該当しないことは、在留資格の変更の許否の判断に当たって、これを許可し難いとする方向に働く大きな要因となる。 人道上の理由の存在について原告らは、原告らが長期にわたる同居 に該当しないことは、在留資格の変更の許否の判断に当たって、これを許可し難いとする方向に働く大きな要因となる。 人道上の理由の存在について原告らは、原告らが長期にわたる同居・協力・扶助の関係にあること をもって、原告Aには定住者告示に類型化して列挙された地位を有する 外国人の場合と同視し、あるいはこれに準ずる人道上の理由その他特別の事情がある旨主張するが、原告らが米国G州において本件婚姻をし、同居・協力・扶助の関係にあったとしても、入管法上、そのような者に付与すべき固有の在留資格は存在しない。 また、原告らも指摘するとおり、我が国では、同性間の婚姻が認めら れていないのであるから、原告Aに対し「日本人の配偶者等」の在留資格が付与されるとか、あるいは、これに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情があるものとは認められない。 さらに、原告Aの今回の出入国状況等についてみると、原告Aの本邦での在留期間は、平成26年5月18日に本邦に入国してから平成30 年8月10日に本件不許可処分を受けるまでの4年3か月程度にすぎず、しかも、その間、再入国許可による出入国を繰り返し、実際に本邦に滞在したのは約3年8か月程度であった。そして、前回までの出入国状況等をみても、平成13年以降の本邦における在留期間は合計2年9か月程度であり、今回の入国による在留期間と合わせても、原告Aの在留期 間は通算6年半程度である上、上記のとおり本邦からの出入国を繰り返していることも加味すれば、本邦への定着性が高いとはいえない。このことからも、原告Aについて、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人の場合と同視し、あるいはこれに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の 、本邦への定着性が高いとはいえない。このことからも、原告Aについて、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人の場合と同視し、あるいはこれに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情があるとは認められない。 平成25年通知について原告Aについては、平成25年通知による「特定活動」の在留資格を付与することはできず、さらに、平成25年通知を根拠に原告Aに「定住者」の在留資格を付与すべきとの原告らの主張には理由がない。そもそも、在留資格の変更の申請を受けた法務大臣等は、申請者が提出した 文書により、その希望する在留資格への変更を適当と認めるに足りる相 当の理由があるか否かを審査すれば足りるのであって(入管法20条3項本文)、当該申請が許可されない場合に、他の在留資格該当性について審査・判断することまでは求められていない。 この点をおくとしても、平成25年通知は、在留資格「家族滞在」、「永住者の配偶者等」等にいう「配偶者」は、我が国の婚姻に関する法令に おいても有効なものとして取り扱われる婚姻の配偶者であり、外国で有効に成立した婚姻であっても同性婚による配偶者は含まれないことを前提として、「近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえ」、本国で有効に同性婚が成立している外国人について、そのような本国における婚姻関係を本邦においても保護するとの人道的観点から、法 務大臣等による広範な裁量の下、当該婚姻関係を保護するとの方針を示したものである。すなわち、平成25年通知は、飽くまで外国人同士が、双方の本国で同性婚が法的に有効に成立している場合において、当該外国人に対して「特定活動」の在留資格を付与すべきか否かの場面を想定した指針であり、原告Aと、同性 25年通知は、飽くまで外国人同士が、双方の本国で同性婚が法的に有効に成立している場合において、当該外国人に対して「特定活動」の在留資格を付与すべきか否かの場面を想定した指針であり、原告Aと、同性婚が法律婚として認められていない我 が国を本国とする原告Bとの関係は、平成25年通知の対象ではない。 また、原告らは、近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえれば、原告Aに対し、人道的配慮の観点から「定住者」の在留資格を付与すべきである旨主張する。しかし、在留資格の変更の許否を判断するに当たっては、その申請事由の当否のみならず、当該外国人の 在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲などの諸般の事情をしんしゃくし、時宜に応じた的確な判断をすることが求められているものであり、このような判断は、出入国在留管理行政を担う法務大臣等の広範な裁量に委ねられている。 そして、法務大臣等は、これらの諸般の事情を考慮するに際して、国内 外の同性婚に関する法整備の実情についても考慮する必要があるところ、 我が国においては同性婚が認められていないことからすると、法務大臣等が、我が国における現在の法令にのっとってした判断が、著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえない。 エ小括入管法20条3項に定める「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相 当の理由」の判断は、多面的専門的知識を要し、かつ、政治的配慮も必要とするものであり、事柄の性質上、国内及び国外の情勢についても通暁し、出入国在留管理行政の責任を負う法務大臣等の広範な裁量に委ねられており、その判断が違法となるのは、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限られる いても通暁し、出入国在留管理行政の責任を負う法務大臣等の広範な裁量に委ねられており、その判断が違法となるのは、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限られる。そして、原告Aは、 前記のとおりそもそも「定住者」の在留資格該当性の要件を欠くものであり、「定住者」への在留資格の変更を認める余地はない。仮に「定住者」の在留資格についての在留資格該当性の要件を欠いていないとしても、原告Aにつき「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由」があるとはいえないし、かかる法務大臣等の判断が全くの事実の基礎を欠き又は社 会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえない。したがって、本件不許可処分は適法である。 また、本件通知については、前記のとおり行政庁の処分と認める余地はなく、原告らが主張する東京入管局長の本件申請2に対する不許可処分は存在しないことに加え、本件通知それ自体は、何ら原告Aの法的権利・利 益を侵害するものではない。前記のとおり、原告Aに対する本件不許可処分は、全くの事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合とはいえないところ、本件申請1から本件申請2に至るまでの間に、原告Aには何らの事情変更も認められず、本件通知の判断についても同様に、全くの事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠く ことが明らかな場合とはいえない。したがって、本件通知は適法である。 本件義務付けの訴えの適法性(原告Aの主張)本件通知については処分性があるから、その取消しを求める本件取消しの訴えは適法なものであって、この結果、併合提起された本件義務付けの訴えについても訴訟要件を満たすことが明らかである。また、原告Aは、本件申 ついては処分性があるから、その取消しを求める本件取消しの訴えは適法なものであって、この結果、併合提起された本件義務付けの訴えについても訴訟要件を満たすことが明らかである。また、原告Aは、本件申 請2に関し、本件変更申出がされたとしても、本件通知が不許可処分と同視することができ処分性を有していると主張しているのであって、それを前提とすると、本件通知がされた時点まで本件申請2がされていた状態にあったのであるから、「法令に基づく申請」がされていたことになる。したがって、本件義務付けの訴えは、行訴法37条の3第1項所定の訴訟要件を満たし適 法である。 (被告の主張)本件通知に処分性がなく、その取消しを求める本件取消しの訴えが不適法である以上、原告Aが本件申請2において求める「定住者」への在留資格の変更の許可の義務付けを求める訴え(本件義務付けの訴え)もまた当然に不 適法ということになる。また、本件変更申出書は、本件申請2の内容を「出国準備」を目的とする在留期間の更新の申請に変更する申出書であることから、本件変更申出書が提出された時点で本件申請2は撤回されたことになり、「当該法令に基づく申請」(行訴法37条の3第1項各号)も既に存在しないことになる。したがって、本件義務付けの訴えは、申請型の義務付けの訴え に係る行訴法37条の3第1項所定の訴訟要件を満たさないことが明らかであって、不適法である。 本件国賠請求の成否(原告らの主張)ア国賠法1条1項の違法性の判断に際しては、被侵害利益の種類、性質、 侵害行為の態様及びその原因、損害の程度等の諸般の事情を総合的に考慮 すべきであるところ、東京入管局長は、違法な本件不許可処分等により、原告らの家族生活の自由及び居住の自由という最も 侵害行為の態様及びその原因、損害の程度等の諸般の事情を総合的に考慮 すべきであるところ、東京入管局長は、違法な本件不許可処分等により、原告らの家族生活の自由及び居住の自由という最も人格的な利益を侵害するとともに、本件不許可処分等がされた原因が、原告らの同性パートナー関係が「定住者」の在留資格を付与すべき人道上の理由その他特別の事情に該当しないとの誤った解釈を前提として、必要十分な検討を怠った。 イすなわち、本件は、日本人である原告Bと同性パートナー関係にあり、自身の国籍国で同性婚をした外国人である原告Aが、「定住者」への在留資格の変更を申請したものであるが、東京入管局長は、その可否を判断するに際し、性的少数者の権利擁護に関する国内外の動向を踏まえ、当該外国人の同性パートナーである日本人との関係性が人道上十分な配慮を必要と するものであるかを検討すべき義務があった。 原告らは、米国連邦最高裁判所が全州で同性婚を認める判決を下したことを契機として、平成27年(2015年)に米国G州で本件婚姻をするとともに、今後も本邦において共に生活するため、原告B名義でマンションを購入し夫婦同然の生活を送っている。しかし、原告Aが原告Bとの同 性パートナー関係に基づく安定した在留資格が得られないことにより、原告らはいつまで一緒に生活することができるのか常に不安を抱えながら生活せざるを得ず、社会において家族として平穏に生活する権利を侵害されている。殊に、原告Bは、日本人であるにもかかわらず、原告Aとの家族生活を維持するためには、国籍国である日本から去ることを強いられるこ とにもなりかねず、日本国民であれば当然に保障されるべきである居住の自由が奪われることになるが、これらは根本的な権利に関する性的指向に基づ めには、国籍国である日本から去ることを強いられるこ とにもなりかねず、日本国民であれば当然に保障されるべきである居住の自由が奪われることになるが、これらは根本的な権利に関する性的指向に基づく差別にほかならず、憲法14条に定める平等原則に違反するとともに、憲法22条1項に定める居住の自由を侵害するものである。 それにもかかわらず、東京入管局長は、定住者告示に定める地位に適合 しない者は、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居 住を認める者」に該当しないなどと誤った規範を立て、定住者告示に定める地位に該当しない、又は、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人の場合と同視し、あるいはこれに準ずるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情が認められないなどとして、同性パートナー関係にある原告らの権利の保護の必要性を十分に検討せずに本件不許可処分 等をした。これにより、東京入管局長は、原告らが家族を形成し維持する自由、すなわち、家族生活の自由(憲法13条、自由権規約17条、23条)及び原告Bの居住の自由という最も基本的な権利を侵害した。また、本件不許可処分等は、現時点で婚姻という選択肢のない同性カップルに対し、異性カップルとは異なり、本来当然保護されるべき家族関係の維持の ために、真の在留目的(同性パートナーとの生活)と異なる目的での在留資格の取得・維持の負担を負わせるものであり、平等原則にも違反する。 ウ次に、本件不許可処分等がされた原因は、以下に述べるとおり、東京入管局長において、原告らの同性パートナー関係が「定住者」の在留資格を付与すべき人道上の理由その他特別の事情に該当しないとの誤った解釈を 前提として、必要十分な調査・検討を怠ったことによるものであ 局長において、原告らの同性パートナー関係が「定住者」の在留資格を付与すべき人道上の理由その他特別の事情に該当しないとの誤った解釈を 前提として、必要十分な調査・検討を怠ったことによるものであり、国賠法1条1項所定の要件を満たし賠償責任が成立する。 すなわち、本件不許可処分等は、原告らの家族生活の自由及び居住の自由という最も重要な人格的利益を侵害し、原告らに甚大な精神的苦痛を与えるものであるから、東京入管局長は、本件不許可処分等に際しては、そ の申請内容について相当程度慎重に調査・検討すべき職務上の義務があったというべきである。「定住者」という在留資格は、前記のとおり外国人が本邦において有する地位や身分等が多種多様であり、定型化することが困難であることから、定住者告示に定める地位以外のものであっても、人道上の理由その他特別の事情を考慮し、必要がある場合はその居住を認める ことができるように設定されたものである。そうであれば、他の在留資格 に該当しないものの、当該外国人について家族生活の自由の保護、平等原則等の憲法の規定や国際人権規約上の要請に基づき在留を認める必要がある場合には、「定住者」の在留資格が認められるべきである。 本件においては、原告Aは、日本人である原告Bと米国で本件婚姻をし、本邦に居住している実態を理由として、「定住者」への在留資格の変更の申 請をした。この場合、東京入管局長としては、本来、「定住者」の在留資格を付与することにより居住を認めるべき特別な理由が原告Aに存するか否か、人道上の理由その他特別の事情や社会経済等の情勢の変化を考慮し、その居住を認めることが必要となる場合に該当するか否かの調査、例えば、その家族としての同居などの実態の調査、仮に疑義を有する場合には か、人道上の理由その他特別の事情や社会経済等の情勢の変化を考慮し、その居住を認めることが必要となる場合に該当するか否かの調査、例えば、その家族としての同居などの実態の調査、仮に疑義を有する場合には、米 国での本件婚姻の真偽に関し大使館へ照会するなどの調査を尽くさなければならなかった。また、実際に現在の国内外における同性婚・同性パートナー関係の状況、件数、実態等も考慮し、「定住者」の在留資格該当性を検討しなければならなかった。それにもかかわらず、東京入管局長は、本件不許可処分等に際し、このような調査を一切尽くさなかった。 エまた、本来、被告が主張する定住者告示に定める地位に該当しない家族関係又は類型的に在留資格が用意されていない家族関係を保護するか否か、特に本件のように現在我が国で社会的関心が高まっている同性パートナー関係の要保護性については、地方入国管理局長限りで判断し得るものではなく、まして担当官が形式的に判断してよいものでもない。そのよう な場合に備えて、入国・在留審査要領には、在留資格の変更許可処分等に当たり、地方局長限りで判断することが困難な案件については、地方局長は法務省本省等に請訓しなければならないとされており、請訓の対象でない場合でも、地方局長限りで取扱いの方針を判断することが困難な案件や法務省本省等に判断を仰ぐ必要性がある案件については、地方局長は法務 大臣に上申しなければならないとされている。 本件では、原告Aは、日本人である原告Bとの法律婚が米国において成立しており、その同性パートナー関係に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしているのであるから、軽々に担当官限りで判断し、それに基づき形式的な決裁を地方局内で行えば足りるようなものではなかった。 本 り、その同性パートナー関係に基づき、「定住者」への在留資格の変更の申請をしているのであるから、軽々に担当官限りで判断し、それに基づき形式的な決裁を地方局内で行えば足りるようなものではなかった。 本件不許可処分においては、原告Aが、本件申請1に際し、原告らの同性 パートナー関係を示す大量の資料を提出しているにもかかわらず、本件申請2以降にされた申請の審査期間の半分程度の期間で判断が下されていることや、本件通知と異なり、東京入管局長が関与した形跡もなく、通常されるべき請訓又は上申もされていないことからすれば、その検討がより一層ずさんであったことが強く疑われる。これらの事情によれば、東京入 管局長は、通常尽くすべき注意義務をけ怠して、本件不許可処分を行ったものであることが明らかである。 オよって、東京入管局長が行った本件不許可処分等は、国賠法1条1項の適用上違法であり、同項に基づく賠償責任が成立する。 カ仮に、原告Aに「定住者」の在留資格を付与しないのであれば、少なく とも原告Bとの同性パートナー関係に基づき、平成25年通知により外国人同士の同性パートナーに認められている「特定活動」の在留資格への変更を許可すべきであったのであり、東京入管局長がそれすらも許可しなかったことは、国賠法1条1項の適用上違法である。 (被告の主張) ア本件不許可処分等が国賠法上違法と評価されるのは、東京入管局長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と本件不許可処分等をしたと認められる事情がある場合に限られるところ、在留資格を得て本邦に居住する外国人の在留資格の変更を許可するかどうかは、法務大臣等の広範な裁量に委ねられているのであり、法務大臣等が、在留資格の変更 の申請をした外国人に対し、申 るところ、在留資格を得て本邦に居住する外国人の在留資格の変更を許可するかどうかは、法務大臣等の広範な裁量に委ねられているのであり、法務大臣等が、在留資格の変更 の申請をした外国人に対し、申請どおりの在留資格を付与しなかったとし ても、それが法務大臣等の広範な裁量権の範囲内における判断であるとして許容されるものであれば、行政処分として違法ではなく、国賠法上も違法と評価される余地はない。前記のとおり、本件不許可処分等は適法なものであるから、原告Aの本件国賠請求は認められない。 イまた、入管法及びその関係法令は、入管法20条に基づく在留資格の変 更を許可しない旨の処分等を受けた外国人以外の者の権利又は利益をその個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものではないと解されるのであって、当該外国人以外の者との関係において、同人固有の権利又は利益に配慮すべき職務上の法的義務を負うものではない。したがって、原告Aに対する本件不許可処分等をした東京入管局長が、原告Bに対し、 原告Bの固有の権利又は利益に配慮すべき職務上の法的義務を負っていたとは認められない。原告Aに対し「定住者」の在留資格が認められないことによる原告Bに対する影響は、原告Bの言葉を借りれば、「中長期の自分の人生の設計」とか「精神的な面の不都合」という抽象的なものにすぎないことからも、東京入管局長が原告Bとの関係で何らかの配慮をすべき職 務上の法的義務を負っていなかったことは明らかである。したがって、原告Bに対する関係で、本件不許可処分等に国賠法上の違法がないことは明らかであるから、原告Bの本件国賠請求は認められない。 ウ原告らは、東京入管局長が本件不許可処分等をするに当たり、調査義務のけ怠があった旨主張するが、上記のとおり本件不許 違法がないことは明らかであるから、原告Bの本件国賠請求は認められない。 ウ原告らは、東京入管局長が本件不許可処分等をするに当たり、調査義務のけ怠があった旨主張するが、上記のとおり本件不許可処分等の内容が適 法である以上、調査義務のけ怠が独立して国賠法上違法となる余地はない。 また、在留資格の変更の許可に必要な要件を具備していることの立証責任は、同申請をする外国人が負うところ、在留資格の変更の申請を受けた法務大臣等は、当該外国人から提出された資料に基づいて、その希望する在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるか否か、すなわ ち、当該在留資格についての在留資格該当性があるか否か、これが認めら れる場合に、その他の諸般の事情を考慮した上で、在留資格の変更を認めるに足りる相当の理由があるか否かを判断すれば足りるのであって(入管法20条3項本文)、入管法上それ以上に在留資格の変更の許可に関して、法務大臣等に調査義務を課した規定は存在しない。この点からも、東京入管局長による調査の態様が、本件不許可処分等の当否とは別に国賠法上の 違法を構成すると解すべき理由はない。 さらに、原告らは、本件不許可処分に際し、東京入管局長が通常尽くすべき法務省本省等への請訓又は上申をけ怠し、東京入管局長が本件不許可処分の判断にすら関わっていないことが国賠法上違法である旨主張する。 しかし、本件不許可処分の内容が適法である以上、東京入管局長がこれら の決裁過程に関わらなかったことや法務省本省等に対する請訓又は上申をしなかったことが、独立して国賠法上違法となる余地はない。本件不許可処分は、いわゆる専決により処理されたものであり、このような処理自体が適法であることについては疑いの余地はないのであって、東京入管 をしなかったことが、独立して国賠法上違法となる余地はない。本件不許可処分は、いわゆる専決により処理されたものであり、このような処理自体が適法であることについては疑いの余地はないのであって、東京入管局長が自ら決裁者となっていなくとも、そのこと自体をもって職務上通常尽 くすべき注意義務を尽くしていないなどとは解されない。本件において、東京入管局長が、法務省本省等に請訓又は上申をしていなかったとしても、それは法令により東京入管局長に付与された広範な裁量権を前提に、東京入管局長限りでその判断をすることに、特段困難を伴うような事情が認められなかったからにすぎない。したがって、このことが、本件不許可処分 等の内容の当否を離れて、独立に職務上の注意義務違反を構成すると解すべき理由はない。 エ原告らは、本件不許可処分等に際し、原告Aに対し「特定活動」の在留資格の変更を促さなかったことが国賠法上違法である旨主張するが、在留資格の変更の申請を受けた法務大臣等は、申請人が提出した文書により、 その希望する在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があ るか否かを審査すれば足りるのであり(入管法20条3項本文)、申請人が希望する以外の他の在留資格該当性について、審査・判断することまで求められていない。そして、入管法は、在留資格の変更を希望する外国人が、希望する在留資格を一つに特定した上で変更を申請し、その申請に対して法務大臣等が許否の判断を行う仕組みを採用しており、一度の在留資格の 変更の申請で複数の在留資格への変更を希望し、そのいずれかの在留資格への変更を求めるといった形での申請は予定していない。本件申請1及び本件申請2の態様に鑑みても、東京入管局長が「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当 を希望し、そのいずれかの在留資格への変更を求めるといった形での申請は予定していない。本件申請1及び本件申請2の態様に鑑みても、東京入管局長が「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるか否かを審査するにとどまらず、「特定活動」の在留資格を含む他の在留資格該当性について審査・ 判断すべきであったなどと解すべき根拠は見当たらないし、東京入管局長が、原告Aに対して、「特定活動」の在留資格への変更を希望する旨の申請に申請内容を変更するよう申し出ることを促すべき理由も何ら認められない。したがって、原告らの主張には理由がない。 損害額 (原告らの主張)原告Aに対し「定住者」の在留資格が付与されないことなどの違法行為により、原告らは本邦で平穏に共同生活を送る権利を奪われ、それにより、家族生活、社会生活ひいては人生に極めて深刻な影響を受けているのであって、原告らが被った精神的損害は各500万円を下ることはない。また、本件に おける弁護士費用は、各50万円が相当である。 (被告の主張)否認し争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件無効確認の訴えの確認の利益の有無について 行訴法3条4項に規定する処分等の無効等確認の訴えは、当該処分等によ り損害を受けるおそれのある者その他当該処分等の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分等の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものが、当該処分等の無効等を確認することによって、権利又は法律上の利益を回復することを目的とするものであるから、当該処分等が無効であるこ とを確認することにより、上記権利又は法律上の利益の回復の可能性がある場合に、 等を確認することによって、権利又は法律上の利益を回復することを目的とするものであるから、当該処分等が無効であるこ とを確認することにより、上記権利又は法律上の利益の回復の可能性がある場合に、当該処分等の無効等の確認を求める利益が認められるものと解するのが相当である。 本件無効確認の訴えは、東京入管局長が原告Aに対してした本件不許可処分の無効確認を求めるものであるところ、入管法は、本邦に入国する外国人 については、本邦において行おうとする活動によって定まる所定の在留資格をもって本邦に在留するものとされ、在留資格を有する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく在留期間の更新を受けることができ(入管法21条)、又は、在留資格の変更を受けることもできる(入管法20条)とされているが、在留期間の更新又は在留資格の変更の許可を受けないで在留期 間を経過して本邦に残留する者については、本邦からの退去を強制することができることとしている(入管法24条4号ロ)。また、入管法別表第一の上欄の在留資格に基づき在留する外国人については、各在留資格に応じて本邦における活動に制限が加えられている。 以上によれば、入管法においては、外国人が本邦に適法に在留するために は、在留期間を経過していない一つの在留資格を有することが予定されており、在留資格の変更手続は、現に有する在留資格及び在留期間をこれと異なる新たな在留資格及び在留期間に変更するものであって、このような入管法の規定に照らすと、一人の外国人につき同時に複数の在留資格が併存することは許容されていないものと解される(一在留一資格の原則)。 したがって、ある在留資格を有する者がこれと異なる在留資格(例えば定 住者等)への変更の申請をしたものの、これを不 は許容されていないものと解される(一在留一資格の原則)。 したがって、ある在留資格を有する者がこれと異なる在留資格(例えば定 住者等)への変更の申請をしたものの、これを不許可とする旨の処分(先行不許可処分)を受けた後、更に別の新在留資格(例えば特定活動等)への変更を許可する旨の処分(後行許可処分)を受けた場合には、以後、新在留資格及びこれについて定められた在留期間をもって本邦に在留することとなるから、新在留資格から改めて希望する在留資格への変更を申請することが可 能であるとしても、外国人が入管法に基づく在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められるにとどまるものである以上、当該外国人が先行不許可処分の無効等の確認を求める利益は、授益的処分である新在留資格への変更を許可した後行許可処分がされたことによって、喪失することになると解するべきである。 これを本件についてみるに、前記前提事実イによれば、原告Aは、平成26年5月18日に在留資格を「投資・経営」、在留期間を「1年」とする上陸許可の証印を受けて本邦に上陸し、その後、平成27年6月23日、平成28年7月28日及び平成29年9月25日にそれぞれ在留期間を「1年」とする在留期間の更新の許可を受けた後、平成30年7月5日、希望する在 留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請(本件申請1)をしたが、同年8月10日付けで、これを不許可とする旨の処分(本件不許可処分)を受けたため、同年9月25日、再度、「定住者」への在留資格の変更の申請をし、更に同年11月22日、東京入管局長からの通知を受けて上記申請内容を「出国準備」に変更する旨の申請内容変更申出書を提出し、これを受けて、 東京入管局長から在留資格を「出国準備」、在留期間を し、更に同年11月22日、東京入管局長からの通知を受けて上記申請内容を「出国準備」に変更する旨の申請内容変更申出書を提出し、これを受けて、 東京入管局長から在留資格を「出国準備」、在留期間を「31日」とする在留資格の変更の許可を受けたことが認められる。 そうすると、原告Aは、本件不許可処分後、再度の在留資格の変更の申請及び申請内容変更の申出をし、これに基づき、東京入管局長から「出国準備」への在留資格の変更の許可を適法に受けているものであるから、これにより、 本件不許可処分の無効を確認する利益を喪失したというべきである。 この点につき、原告Aは、本件無効確認の訴えに係る請求が認容され本件不許可処分の無効を確認する旨の判決がされた場合には、当該判決の拘束力により、抵触する新在留資格に係る後行許可処分は職権で撤回することになるから、一在留一資格の原則に反するものではなく確認の利益が存在する旨主張する。 しかし、当該処分等の無効等を確認する判決は、処分庁その他の関係行政庁を拘束し、処分庁は改めて判決の趣旨に従った処分をすべきことになるが(行訴法38条1項、33条1項、2項)、仮に当初の在留資格の変更を不許可とした判断に明白かつ重大な瑕疵がある旨の判断が上記判決で示されたとしても、このことによって、その後有効な申請に基づいて当該外国人に対し 新在留資格が付与されている以上、後行許可処分が当然に違法となるものとは解し難い。すなわち、上記判決が確定したとしても、処分庁は、職権で後行許可処分を必然的に撤回しなければならない関係にあるとまではいえないというべきであるから、原告Aの上記主張は採用することができない。 したがって、本件無効確認の訴えは、確認の利益を欠き不適法である。 2 本 しなければならない関係にあるとまではいえないというべきであるから、原告Aの上記主張は採用することができない。 したがって、本件無効確認の訴えは、確認の利益を欠き不適法である。 2 本件通知の処分性の有無について 抗告訴訟である取消訴訟の対象は、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に限られるところ(行訴法3条2項)、ここでいう「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体が法令の規定に基づき行う行為のうち、その行為によって、直接に国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する ことが法律上認められているものをいう(最高裁昭和28年(オ)第1362号同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁、最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。原告Aは、本件通知が「処分」に当たる旨主張するところ、これにより在留資格の変更を許可しない旨の処分がされたというこ とができるか否かについて、以下検討する。 証拠(甲27、乙5、6)によれば、本件通知には、「あなたから申請のあった在留資格変更許可申請(2019年6月20日付け申請番号東永C-5607号)については、審査の結果、下記理由により申請どおりの内容では許可できませんが、申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば、別紙の申出書を提出して下さい。」という記載がされていること、原告 Aは、本件通知に添付された別記第30号の3様式による申請内容変更申出書の用紙を用いて、「出入国管理及び難民認定法施行規則第21条の3又は第21条の4の規定に基づき、次のとおり申請内容の変更を申し出ます。」、「2019年6月20日に行った申請番号東永C5607については、申請の内容 「出入国管理及び難民認定法施行規則第21条の3又は第21条の4の規定に基づき、次のとおり申請内容の変更を申し出ます。」、「2019年6月20日に行った申請番号東永C5607については、申請の内容を『出国準備を目的とする在留期間の更新申請』に変更したく、申し 出ます。」との記載のある本件変更申出書に署名をした上、これを東京入管局長に提出したこと、これを受けて、東京入管局長は、原告Aに対し、本件変更申出書に基づき在留資格を「出国準備」、在留期間を「89日」とする旨の在留期間の更新を許可したことが認められる。 上記認定した事実によれば、本件通知には、本件申請2に対して不許可の 「処分」をした旨の明示的な記載はなく、本件申請2について許可ができない理由が記載されているものの、行訴法46条1項所定の教示事項が記載されているものではない。他方で、本件においては、本件申請2に対する東京入管局長の最終的な判断が示される前に、原告Aが提出した本件変更申出書によって、その申請内容が「定住者」を目的とする在留資格の変更の申請か ら「出国準備を目的とする在留期間の更新申請」に変更され、これを前提として一連の手続が進められたと認めることができる。 そうすると、本件通知は、原告Aに対し、①本件申請2に対する不許可とする見込みとその理由を付記して伝えるとともに、②本件申請2の内容を「出国準備」を目的とする申請内容に変更することを希望するのであれば、申請 の内容を変更することにより許可される見込みであることを伝えることで、 原告Aの便宜を考慮して本件変更申出を促したにとどまり、東京入管局長が本件申請2に対する最終的な判断としての「処分」を行い、これを告知したものではないと解するのが合理的である。 したがって、原告Aに対する本件 を考慮して本件変更申出を促したにとどまり、東京入管局長が本件申請2に対する最終的な判断としての「処分」を行い、これを告知したものではないと解するのが合理的である。 したがって、原告Aに対する本件通知は、本件申請2に対して東京入管局長が不許可処分をしたものであると認めることはできず、その他原告Aの権 利関係や法律上の地位に何らかの変動を生じさせる行為と認めることもできないというべきである。また、本件通知が上記のような性質のものであることからすると、本件通知に先立ち、東京入管局長が本件申請2に対する不許可処分をしたということもできない。 以上によれば、本件取消しの訴えは、取消訴訟の対象となる処分が存在し ないものであるから不適法である。 3 本件義務付けの訴えの適法性について本件義務付けの訴えは、いわゆる申請型の義務付けの訴え(行訴法3条6項2号)のうち「当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合」に関するもの(行訴法37条の3第1項2号)と 解されるところ、同号に係る申請型の義務付けの訴えは、義務付けの訴えの前提となる処分等が「取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在である」ときに限り、提起することができるものとされている(同号)。 これを本件についてみるに、上記2で説示したとおり、本件義務付けの訴えの前提となる本件取消しの訴えは、不適法な訴えであることから上記要件に該 当しない。 したがって、本件義務付けの訴えは、行訴法37条の3第1項2号所定の要件を欠き不適法である。 4 本件国賠請求の成否について認定事実 前記前提事実、証拠(掲記の証拠のほか甲153、154、原告A本人、 原告B本人)及び弁論の全趣 の要件を欠き不適法である。 4 本件国賠請求の成否について認定事実 前記前提事実、証拠(掲記の証拠のほか甲153、154、原告A本人、 原告B本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認定することができる。なお、この認定に反する証拠は、その限度で採用することができない。 ア原告らの生活状況等 原告Aは、平成8年(1996年)に米国の大学を卒業し、以後、主として米国H州内の大学に勤務して医療系ソフトウェアの開発等に従事 していた。(甲1、8)原告Bは、平成13年(2001年)に米国I近郊の学校に留学し、平成17年(2005年)9月に同州Jに所在する大学に編入した。(甲2、7) 原告Aと原告Bは、平成16年(2004年)冬頃、米国Jにおいて 知り合い、その直後から交際を始め、平成17年(2005年)夏頃から同居を開始した。その頃、原告Aは、自分の両親に対して、交際相手として原告Bを紹介した。また、原告Aは、自身が勤務していた大学の退職金プログラムの受取人として、原告Bを指定する手続をした。原告Aは、原告Bのために、同性パートナーへの家族カードの発行を認めて いる米国内のクレジットカード会社において、原告A名義のクレジットカードの家族カードを作り、原告Bに交付して使用させていた。(甲1、126、148、149、151) 原告Bは、平成19年(2007年)9月、米国内の大学院に進学しMBAの学位を取得するため会計学を専攻して、米国の在留資格を取得 して就職することを企図していたが、平成20年(2008年)9月にいわゆるリーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機が発生したため、米国内で職を得ることが難しい状況になった。原告Bは、米国内での就職を 就職することを企図していたが、平成20年(2008年)9月にいわゆるリーマンショックと呼ばれる世界的な金融危機が発生したため、米国内で職を得ることが難しい状況になった。原告Bは、米国内での就職を諦め、紹介のあった日本国内の企業に就職することとし、平成21年1月に原告Aとの米国内での同居を一旦解消し本邦に帰国した。 原告Aと原告Bは、原告Bの帰国後も連絡を取り合い、後に原告Aが 本邦に入国する平成22年(2010年)6月までの間に、原告Bが2回渡米し、原告Aが2回来日するなどして互いに交流していた。(甲9~12、乙1) 原告Aは、平成22年6月3日、「就学」の在留資格を得て本邦に入国し、原告Bと本邦において同居を開始した。本邦入国後、原告Aは、日 本語の語学学校に通学しながら、米国内の大学の正規職員としてもリモートワークを活用して就労しており、資格外活動の許可の範囲内で、前記ソフトウェアの開発に従事していた。原告Aは、日本語の語学学校を修了し、その後も他の在留資格を得て本邦に在留することを模索したが、それがかなわなかったことから、原告Bとの本邦での同居を一旦解消し、 平成24年(2012年)9月23日、米国に帰国した。 原告Aと原告Bは、原告Aが後に平成26年5月18日に「投資・経営」の在留資格で本邦に入国するまでの間、原告Bが1回渡米し、原告Aが2回来日し、合計で5か月程度本邦に滞在するなどした。また、原告Aと原告Bは、この間に二人でタイ王国に旅行に行くなどした。(甲9 ~15、乙1) 原告Bは、平成24年冬頃実家に帰省した際に、実母に対し、原告Bが同性愛者であること、原告Aという交際相手がいることなどを伝えた。 他方で、原告Aは、本邦での在留資格を得るに当たり、米国の 原告Bは、平成24年冬頃実家に帰省した際に、実母に対し、原告Bが同性愛者であること、原告Aという交際相手がいることなどを伝えた。 他方で、原告Aは、本邦での在留資格を得るに当たり、米国の大学との間で雇用関係が継続していることによって支障が生じたことから、雇 用形態を正規職員から委託職員に切り替え、同大学から医療系ソフトウェアの開発業務の委託を受け、これを主たる内容とする事業を本邦で行うこととした。こうして、原告Aは、平成26年5月18日、「投資・経営」の在留資格を得て本邦に入国し(今回の入国)、遅くとも同年6月21日までに、東京都内において原告Bと同居を開始した。原告Aは、本 邦において上記事業を開始するに当たり、同年1月6日付けでKを設立 し、原告Bとその実母が同社の有限責任社員となった。 なお、原告Aは、事業を継続しているものの、現時点では継続的に収益を上げる状況に至っておらず、上記会社が二期連続でいわゆる赤字決算となったため、「投資・経営」又は「経営・管理」の在留資格での在留期間の更新が困難な状況となった。(甲5、6、16~19、弁論の全趣 旨) 原告Aと原告Bは、平成27年(2015年)6月26日に米国連邦最高裁判所において、州政府が同性カップルに対し婚姻許可証を発給しないこと及び他州で合法的に認められた同性カップルの婚姻を承認しないことが違憲である旨の判決がされ、米国内で同性婚を認める方向に社 会が動き始めたことを受けて、自分たちも婚姻することを決意した。(甲31)原告Aと原告Bは、平成27年(2015年)秋頃、婚姻することを記念して二人でヨーロッパ各国を1か月ほど旅行した後、同年11月12日に米国G州の方式にのっとり本件婚姻をした。原告らは、米国の公 Aと原告Bは、平成27年(2015年)秋頃、婚姻することを記念して二人でヨーロッパ各国を1か月ほど旅行した後、同年11月12日に米国G州の方式にのっとり本件婚姻をした。原告らは、米国の公 的機関から、本件婚姻がされたことについての婚姻証明書(甲3)の発行を受けている。 原告Aと原告Bは、本件婚姻後も本邦において同居しており、主として原告Bが稼働する一方で、原告Aが家事を行っている。原告Bは、平成29年11月、自己名義でマンションを購入し、同所において原告A と同居している。また、原告Bは、原告Aのために、同性パートナーへの家族カードの発行を認めている米国のクレジットカード会社において、原告B名義のクレジットカードの家族カードを作り、原告Aに交付して使用させている。(甲4~6、127、150~152)イ本件における東京入管局長の判断等 原告らは、原告Aが前記のとおり「投資・経営」等の在留資格での在 留期間の更新が困難な状況にあることから区議会議員に相談し、鈴木雅子弁護士ら(以下「原告ら代理人」という。)を紹介された。その結果、原告Aは、原告ら代理人に依頼して、「定住者」への在留資格の変更の申請を行うこととした。(甲154)原告Aは、在留期限であった平成30年9月25日に先立つ同年7月 5日、希望する在留資格を「定住者」とする在留資格の変更の申請をした(本件申請1)。本件申請1には、原告ら代理人作成の同月4日付け意見書及び本件婚姻に係る婚姻証明書等の関係資料が添付されており、同意見書には、原告Aが日本人である原告Bと長年にわたる同性パートナーとしての同居・協力・扶助の関係を有し、原告Aの本国である米国に おいて有効な婚姻が成立していることから、人道上の理由その他特別の 書には、原告Aが日本人である原告Bと長年にわたる同性パートナーとしての同居・協力・扶助の関係を有し、原告Aの本国である米国に おいて有効な婚姻が成立していることから、人道上の理由その他特別の事情や社会経済等の情勢を考慮し、その居住を認めることが必要であるなどとして、「定住者」への在留資格の変更を求める旨記載されていた。 (甲133、134、乙2) 東京入管永住審査部門の担当者は、原告Aに対し、平成30年8月6 日午後1時30分に東京入管永住審査部門の窓口に出頭することを求める内容の通知を送付した。原告Aから上記通知内容の報告を受けた原告ら代理人は、原告Aの在留期間の満了まで日数があることや審査期間が短いことに驚き、東京入管永住審査部門の担当者と出頭日時の変更について交渉し、その結果、原告Aの出頭日時が同月10日午後2時30分 に変更された。(甲21、22) 法務省入国管理局(当時)作成の入国・在留審査要領には、在留資格の変更の許可処分等の在留諸申請に対する処分等に当たり、地方局長限りで判断することが困難な案件については、地方局長は法務省本省等に請訓しなければならないとされているところ、東京入管永住審査部門の 担当者は、原告Aの本件申請1について、法務省本省等へ請訓すること なく、東京入管内部の所定の決裁を経て東京入管局長名義で本件不許可処分をし、平成30年8月10日、出頭した原告Aに対し、その旨通知した。 なお、本件不許可処分に係る通知には、「『定住者』の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があると認められません。」、「あ なたの行おうとする活動は、『定住者』の在留資格について法務大臣があらかじめ告示で定めた地位に係る活動と認められず、また、他に本邦への居住を認め りる相当の理由があると認められません。」、「あ なたの行おうとする活動は、『定住者』の在留資格について法務大臣があらかじめ告示で定めた地位に係る活動と認められず、また、他に本邦への居住を認めるに足りる特別な理由があるとも認められません。」と記載されていた。(甲20~22、133、乙3、弁論の全趣旨) 原告Aは、平成30年9月25日、再度希望する在留資格を「定住者」 とする在留資格の変更の申請をした。これに対し、東京入管局長は、原告Aに対し、同年11月22日、上記申請について、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」とする申請に変更するのであれば、申出書を提出されたい旨通知した。(甲23) 原告Aは、平成30年11月22日、上記申請について、申請内容を 「出国準備」に変更する旨の申請内容変更申出書を提出し、これを受けて、東京入管局長は、原告Aに対し、同日、在留資格を「出国準備」、在留期間を「31日」、在留期限を「平成30年12月23日」とする在留資格の変更の許可をした。(乙1) その後、原告Aは、平成30年12月から令和元年5月までの間に、 2度にわたり、在留資格を「出国準備」とする在留期間の更新の許可を受け、引き続き本邦に在留した。(甲25、26、乙1) 原告Aは、令和元年6月20日、希望する在留資格を「定住者(又は『特定活動』)」とする在留資格の変更の申請をした(本件申請2)。なお、本件申請2には、原告ら代理人作成の同日付け意見書及び関係資料が添 付されており、同意見書には、原告Aには、「定住者」への在留資格の変 更を認めるべき特別の事情がある旨記載されていた。(乙4) 東京入管永住審査部門の担当者は、原告Aの本件申請2について東京 おり、同意見書には、原告Aには、「定住者」への在留資格の変 更を認めるべき特別の事情がある旨記載されていた。(乙4) 東京入管永住審査部門の担当者は、原告Aの本件申請2について東京入管内部の所定の決裁を経て、令和元年7月3日付けで、東京入管局長名義で出入国在留管理庁長官に対し請訓した。 出入国在留管理庁長官は、東京入管局長に対し、令和元年7月17日 付けで、本件申請2については不許可が相当であるが、申請人から申請内容変更申出があれば、「出国準備」を目的とする在留期間の更新の許可をして差し支えない旨回訓した。 東京入管局長は、令和元年8月22日、本件申請2について、申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」を 目的とする申請に変更するのであれば申出書を提出されたい旨を原告Aに通知した(本件通知)。このほか本件通知には、「『定住者』の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があると認められません。」、「あなたが『定住者』の在留資格について法務大臣があらかじめ告示で定めた地位を有していると認められず、また、他に本邦への居住を認め るに足りる特別な理由があるとも認められません。」と記載されていた。 (甲27、132、乙5) 原告Aは、令和元年8月22日、本件申請2について、申請内容を「出国準備を目的とする在留期間の更新申請」に変更する旨の本件変更申出書を提出し、これを受けて、東京入管局長は、原告Aに対し、同日、在 留資格を「出国準備」、在留期間を「89日」、在留期限を「令和元年9月19日」とする在留期間の更新の許可をした。(乙1、6)判断の基本的枠組みア国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人 期限を「令和元年9月19日」とする在留期間の更新の許可をした。(乙1、6)判断の基本的枠組みア国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これ を受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定す ることができるものとされ、憲法上、外国人は、本邦に入国する自由を保障されているものでないことはもとより、在留の権利ないし引き続き在留することを要求する権利を保障されているものでもない(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。 入管法は、本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国の公正な管理を図ること等を目的とし(入管法1条)、本邦に在留する外国人については、入管法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する在留資格等をもって在留するもの(入管法2条の2第1項)とした上で、在留資格の種類、各在留資格をもって在留する者が行 うことができる各活動及び在留期間について定めている(同条2項及び3項並びに別表第一及び第二)。 そして、入管法は、在留資格の変更を受けようとする外国人について、法務大臣等に対し在留資格の変更を申請しなければならないとし(入管法20条2項)、同申請があった場合には、法務大臣等は、当該外国人が提出 した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる旨規定している(同条3項)。 このように在留資格の変更は、本邦に在留する外国人が在留の目的を変更して新たな在留資格を取得するものであるから、上記の在留資格の変更が認められるためには、当該外国人が新たに 定している(同条3項)。 このように在留資格の変更は、本邦に在留する外国人が在留の目的を変更して新たな在留資格を取得するものであるから、上記の在留資格の変更が認められるためには、当該外国人が新たに取得することを希望する在留資 格に該当することが必要であることは当然である。 イ入管法は、外国人が本邦における在留中に行う活動又は在留中の活動の基礎となる身分若しくは地位に着目してこれを類型化し、各種の在留資格を定めており、そのうち、入管法別表第二の上欄の「定住者」の在留資格については、同表の下欄において「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の 在留期間を指定して居住を認める者」をいう旨規定している。 そして、入管法が「定住者」の在留資格を設けている趣旨は、社会生活上、外国人が我が国において有する身分又は地位が多種多様であり、別表第二の「永住者の配偶者等」や「日本人の配偶者等」等の各在留資格の下欄に掲げられている類型の身分又は地位のいずれにも該当しない外国人であっても、人道上の理由その他特別の事情又は我が国の社会や経済等の 情勢の変化により、当該外国人の居住を認めることが相当である場合があり得ることから、これに対応することができるようにするために規定されたものと解される(甲98)。 このような趣旨に加え、入管法が「定住者」の在留資格の要件を「法務大臣が特別な理由を考慮し」て居住を認める者という概括的な文言により 規定していることにも鑑みると、どのような事情等の下において「定住者」の在留資格に該当するものと認めるかの判断は、法務大臣等の広範な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。 ウ他方で、法務大臣は、外国人が本邦に上陸するための条件に適合していることの審査のための条件の一部を構成するものとして 判断は、法務大臣等の広範な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。 ウ他方で、法務大臣は、外国人が本邦に上陸するための条件に適合していることの審査のための条件の一部を構成するものとして、入管法7条1項 2号の規定に基づき定住者告示を定め、定住者告示において特別な理由を考慮して居住を認める外国人として「定住者」の在留資格に該当するとされる地位を類型化して具体的に列挙しているものである。そして、同号が入管法別表第二の「定住者の項の下欄に掲げる地位」については、「法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限る」と限定していることや、 定住者告示が「定住者」として想定される地位を広く具体的に列挙していることからすると、上陸のための審査において、定住者告示に定める地位に該当しない者は、原則として同号にいう「定住者」に該当する者として予定されておらず、これによっては上陸の許可を受けることはできないと解される。そうすると、定住者告示は、上陸のための条件の一部を定めた ものであり、在留資格の変更について直接定めたものではないものの、定 住者告示の趣旨及び内容は、入国後の在留資格の変更の許否の判断においても基本的に妥当するものと考えられ、原則として定住者告示に定める地位に該当する者が、「定住者」の在留資格に該当するものとして在留資格の変更の許可を受けることができるものと解するのが相当である。 エしたがって、「定住者」への在留資格の変更が認められるためには、原則 として、当該外国人が定住者告示に定める地位に該当することが必要であるというべきであるが、前記説示した入管法において「定住者」の在留資格を設けている趣旨に照らすと、当該外国人が定住者告示に定める地位に該当しない場合であっても、定住者告示に類型化し ることが必要であるというべきであるが、前記説示した入管法において「定住者」の在留資格を設けている趣旨に照らすと、当該外国人が定住者告示に定める地位に該当しない場合であっても、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人と同視することができるか、あるいはこれに準ずると考えられ る人道上の理由その他特別の事情がある場合には、例外的に「定住者」の在留資格該当性を認める余地があると解するのが相当である。 原告Aの「定住者」の在留資格該当性についてア上記解釈を踏まえて検討するに、原告らは、原告Aが日本人である原告Bとの本件婚姻に基づく同性パートナーであり、同居・協力・扶助の関係 にあることをもって、「定住者」の在留資格に該当する旨主張するが、原告Aは、定住者告示に定める地位のいずれにも該当する者ではない。 イまた、原告らは、上記の事情をもって、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人と同視することができるか、あるいはこれに準ずると考えられる人道上の理由その他特別の事情がある場合に該当する旨主 張するところ、前記説示したとおり、「定住者」への在留資格の変更が認められるためには、原則として、当該外国人が定住者告示に定める地位に該当することが必要であり、例外的にこれに準ずると考えられる人道上の理由その他特別の事情がある場合に、「定住者」の在留資格該当性を認める余地があるにとどまるものである。 前記前提事実ウ及び前記認定事実アによれば、原告らは米国のG州 において同州の方式にのっとり本件婚姻をしたことが認められ、その後、一定の期間にわたり本邦において同居・協力・扶助の関係にあることが認められる。しかしながら、入管法別表第二に掲げられた「日本人の配偶者等」等にいう「配偶者」とは、 婚姻をしたことが認められ、その後、一定の期間にわたり本邦において同居・協力・扶助の関係にあることが認められる。しかしながら、入管法別表第二に掲げられた「日本人の配偶者等」等にいう「配偶者」とは、我が国の婚姻に関する法令においても有効なものとして取り扱われる婚姻の配偶者をいうと解され、定住者告示にい う「配偶者」も同様に解されるところ、我が国においては現在までのところ、同性間の婚姻を許容する民法その他の関係法令上の規定がないことに照らすと、原告Aに対し、定住者告示に類型化して列挙された地位を有する外国人と同視することができるか、あるいはこれに準ずる人道上の理由その他特別の事情があるということは困難であるといわざるを得ない。 ウこの点をおくとして、本邦に入国・在留を希望する外国人が日本人と同性婚関係にあることが、「定住者」への在留資格の変更の許否の判断に当たって、一定程度有利にしんしゃくされるべきであるとの解釈を採ったとしても、定住者告示において類型化して列挙された地位の内容に鑑みれば、「定住者」として認められるためには、本邦との関係において相当程度の 人的又は地縁的属性を有していることも考慮される必要があると解される。 前記前提事実イ及び前記認定事実ア~によれば、原告Aは、平成26年5月18日に本邦に入国し(今回の入国)、遅くとも同年6月21日までに原告Bと同居を開始したことが認められるが、その同居期間は、平成30年8月10日の本件不許可処分時点で約4年2か月、令和元年8月 22日の本件通知時点でも約5年2か月程度であり、その間、再入国許可による出入国を繰り返していたものである。また、原告Aの前回までの出入国状況等をみても、平成13年以降の本邦における在留期間は合計で2年9か月程度であり、その間も、 月程度であり、その間、再入国許可による出入国を繰り返していたものである。また、原告Aの前回までの出入国状況等をみても、平成13年以降の本邦における在留期間は合計で2年9か月程度であり、その間も、再入国による出入国を繰り返していたものと認められる。これらの事情からすると、原告Aについては、本件不許 可処分等がされた時点で、「定住者」の在留資格を認めるまでには、本邦へ の定着が十分であったと認めるに足りないというべきである。 エ以上によれば、原告Aについて有利な解釈を採ったとしても、定住者告示に定める地位のいずれかに該当するとはいえず、また、例外的に「定住者」の在留資格該当性が認められるともいえないから、憲法13条、14条及び国際人権規約違反等の主張について判断するまでもなく、東京入管 局長において、原告Aが「定住者」の在留資格に該当しないと判断したことについて、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえない。 平成25年通知に基づく運用と「特定活動」の在留資格該当性についてア次に、原告らは、仮に原告Aに「定住者」の在留資格を付与しないので あれば、少なくとも原告Bとの同性パートナー関係に基づき、原告Aに対し、「特定活動」への在留資格の変更を許可すべきであった旨主張するので、この点につき検討する。 原告らの主張は、平成25年通知を前提とするものであると解されるところ、平成25年通知の概要は、以下のとおりである。すなわち、法務省 入国管理局(当時)入国在留課長は、地方入国管理局長及び地方入国管理支局長宛てに、平成25年10月18日付けで「同性婚の配偶者に対する入国・在留審査について(通知)」と題する通知(法務省管在第5357号。 平成25年通知)を発出した。平 入国管理局長及び地方入国管理支局長宛てに、平成25年10月18日付けで「同性婚の配偶者に対する入国・在留審査について(通知)」と題する通知(法務省管在第5357号。 平成25年通知)を発出した。平成25年通知には、「在留資格『家族滞在』、『永住者の配偶者等』等にいう『配偶者』は、我が国の婚姻に関する法令 においても有効なものとして取り扱われる婚姻の配偶者であり、外国で有効に成立した婚姻であっても同性婚による配偶者は含まれないところ、本年5月にフランスで『同性婚法』が施行されるなどの近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえ、また、本国で同性婚をしている者について、その者が本国と同様に我が国においても安定的に生活できる よう人道的観点から配慮し、今般、同性婚による配偶者については、原則 として、在留資格『特定活動』により入国・在留を認めることとしました。」とし、「ついては、本国で有効に成立している同性婚の配偶者から、本邦において、その配偶者との同居及び扶養を受けて在留することを希望して『特定活動』の在留資格への変更許可申請がなされた場合は、専決により処分することなく、人道的観点から配慮すべき事情があるとして、意見を 付して本省あて請訓願います。」などと記載されていたことが認められる(甲32)。 イ平成25年通知による運用は、本国で有効に成立している外国人同士の同性婚の配偶者については、本体者に在留資格があればその同性婚の配偶者にいわゆる告示外特定活動(入管法別表第一の五に定める法務大臣があ らかじめ告示をもって定める活動以外のもので、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動をいう。以下同じ。)としての「特定活動」の在留資格を付与するものであると解されるが、日本人との同性婚の らかじめ告示をもって定める活動以外のもので、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動をいう。以下同じ。)としての「特定活動」の在留資格を付与するものであると解されるが、日本人との同性婚の相手方である外国人については、この平成25年通知に基づく運用の射程外にあると解されており、このような解釈に基づき日本人との同性婚の相手方であ る外国人については、一律に「特定活動」による在留資格を付与しない運用を行っていると認められる(甲28、弁論の全趣旨)。この結果、平成25年通知に基づく運用により、日本人との同性婚の相手方である外国人については、入管法においてこれを理由とする固有の在留資格が存在していないことからすると、外国人同士の同性婚の配偶者と比較して、本邦にお ける在留上、劣位に置かれることになるものである。 原告らは、このような運用は、同性愛という性的指向に基づく不合理な取扱いをするものであり、「性別」、「社会的身分」に基づく差別に当たり憲法14条に違反する旨主張するものと解されるところ、同条は、法の下の平等を定めたものであり、本邦に在留する外国人についても在留制度の枠 内においてその保障の趣旨が及ぶものと解されるが、同条は絶対的な平等 を保障したものではなく、合理的な理由なくして差別することを禁止する趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる取扱いをすること自体は許されるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁、最高裁平成18年(行ツ)第135号同20年6月4日大法廷判決・民集 62巻6号1367頁参照)。 ウそこで、平成25年通知による上記取扱いの違いが、事柄の性質に即応して合理的と認められるか否 成18年(行ツ)第135号同20年6月4日大法廷判決・民集 62巻6号1367頁参照)。 ウそこで、平成25年通知による上記取扱いの違いが、事柄の性質に即応して合理的と認められるか否かについて検討するに、平成25年通知において、本国で有効に成立している外国人同士の同性婚の配偶者について、「特定活動」の在留資格を認めることとした趣旨は、平成25年5月にフ ランス共和国で「同性婚法」が施行されるなどの近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえるとともに、本国で有効に同性婚が成立している外国人について、その者の配偶者が本国と同様に本邦においても安定的に生活することができるように人道的観点から配慮し、在留制度上も一定の保護を与えるというものであって、そのような目的自体は正当 である。 しかしながら、平成25年通知は告示外特定活動として当該外国人に対し「特定活動」の在留資格を付与するものであるが、告示外特定活動は、在留資格を決定する判断基準となる活動として類型化されていない活動又は類型化することになじまない活動を行おうとする外国人に対し在留 を許可する際に与えられるものであるから、個々の在留状況等を踏まえた検討が必要であり、このような人道的観点からの配慮の必要性については、日本人を相手方として外国において有効に同性婚をし、その後当該日本人と本邦において生活している外国人についても、個々の同性婚の実態に鑑みて、その必要性を肯定することができるものである。実際に、原告らは、 原告Aの本国である米国G州において同州の方式にのっとり本件婚姻を し、その旨の婚姻証明書の発行を受けているものである。そして、原告Aは、平成26年5月18日に本邦に入国し、遅くとも同年6月21日から原告 米国G州において同州の方式にのっとり本件婚姻を し、その旨の婚姻証明書の発行を受けているものである。そして、原告Aは、平成26年5月18日に本邦に入国し、遅くとも同年6月21日から原告Bと本邦で同居し、一定期間にわたり互いに協力・扶助の関係にあると認められることからすれば、「定住者」の在留資格が認められないとしても、本邦において日本人である原告Bと安定的に生活することができるよ うに人道的観点から配慮すべきであったということができる。 また、外国人に対する出入国在留管理規制は、法務大臣等が国益の保持の見地に立って行うものであるが、諸外国のみならず本邦においても同性婚又はこれに類似する同性パートナー制度の創設・整備に関する社会的な需要や関心が高まっていること(甲35~70)を考慮すると、日本人と の同性婚の相手方である外国人については、国益保持の見地から、単に本邦に在留するにとどまる外国人同士の同性婚の配偶者と比較しても、同等程度には保護する必要があるということができる。 そして、平成25年通知は、外国人同士の場合には同性婚がその者の本国で有効に成立していることを要件とするものであるところ、原告らは、 原告Aの本国である米国G州において同州の方式にのっとり本件婚姻をし、婚姻証明書の発行を受けたものであることは前記認定事実アのとおりである。婚姻の成立及び方式に関し、法の適用に関する通則法24条1項は、「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定め、同条2項は、「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」と定めているものである。 このため、原告らの本件婚姻については、民法その他の関係法令が同性婚を許容していない以上、原告Bの本国である本邦において有効であるとはいえないが、原告Aの本国で る」と定めているものである。 このため、原告らの本件婚姻については、民法その他の関係法令が同性婚を許容していない以上、原告Bの本国である本邦において有効であるとはいえないが、原告Aの本国である米国G州において有効に成立していると解されるのであり、仮にそうでないとしても、米国の公的機関から本件婚姻について婚姻証明書が発行されていることからすると、原告らの本件婚 姻は同州においては適式のものであったといえ、これに基づく婚姻関係を 一定程度保護する必要があるというべきである。 しかるに、証拠(甲65、77~79)によれば、平成25年通知自体が例に挙げるフランス共和国を始めとした諸外国における同性婚に係る法整備の状況は、その方式及び法的効果等も含めて多様なものとなっていることが認められるにもかかわらず、平成25年通知は、これらの違いを 捨象して、単に当該外国人同士の本国で有効に同性婚が成立していることのみを根拠として、「特定活動」による在留資格を認めるというものである。 この点に関し、本邦で有効に成立していない日本人と外国人との同性婚については、その解消が法的に容易であるという側面があることは否定することができない。しかしながら、上記のとおり平成25年通知が諸外国の 同性婚の整備の状況等の違いを捨象しており、当該同性婚関係の解消の容易さについては着目していないことや、上記のとおり日本人の同性婚の相手方である外国人に対しても、その個別の居住実態に照らし人道的配慮を行う必要性がある事例も存在することに鑑みれば、日本人と外国人との同性婚について、上記のような法的側面があるとしても、これをもって、平 成25年通知に基づく取扱いの違いを許容する合理的な根拠となるものとは解されない。 エ以上に説示し 日本人と外国人との同性婚について、上記のような法的側面があるとしても、これをもって、平 成25年通知に基づく取扱いの違いを許容する合理的な根拠となるものとは解されない。 エ以上に説示したところによれば、日本人との同性婚の相手方である外国人については、平成25年通知に基づく運用の射程が及ばないとして、外国人同士の同性婚の配偶者と異なり、その同性婚の実態等を考慮すること なく、一律に「特定活動」の在留資格を付与しないとする取扱いには、事柄の性質に即応した合理的な根拠があるとはいえず、平成25年通知は、その運用において法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に反するというべきである。 オそして、原告らについては、単なる事実上の内縁関係にとどまるもので はなく、原告Aの本国である米国G州において本件婚姻が有効に成立して いると解されるのであり、仮にそうでないとしても米国の公的機関から本件婚姻がされたことの婚姻証明書が発行されていることから、同州においては適式のものであったと認められる以上、このような原告らの本件婚姻関係を一定程度保護する必要があったというべきである。これに加えて、原告Aが本邦において日本人である原告Bと一定の期間にわたり同居・協 力・扶助の関係にあるものであり、「定住者」の在留資格への変更が認められないとしても、原告Aが日本人である原告Bと本邦において安定的に生活することができるよう人道的配慮を行う必要があったということができる。そうすると、東京入管局長としては、原告Aに対し、これらの個別的事情を踏まえて、外国人同士の同性婚の配偶者に認められている「特定活 動」の在留資格と同様に、「特定活動」への在留資格への変更を認めるべきであったというべきであるから、上記在留資格の変更を適当と認 を踏まえて、外国人同士の同性婚の配偶者に認められている「特定活 動」の在留資格と同様に、「特定活動」への在留資格への変更を認めるべきであったというべきであるから、上記在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があったと認められる。 本件国賠請求に係る賠償責任の成否ア上記説示を前提としたとしても、東京入管局長の裁量権の行使に関する 判断について、原告らに対する国賠法1条1項に基づく賠償責任が成立するか否かについては、更に検討することを要する。 イまず、東京入管局長がした本件不許可処分について、国賠法1条1項に基づく賠償責任が成立するか検討するに、前記認定事実イ及びによれば、原告Aは、平成30年7月5日、希望する在留資格を「定住者」 とする在留資格の変更の申請(本件申請1)をしたところ、東京入管局長は、同年8月10日付けで、本件申請1について、「定住者」の在留資格への変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとは認められないとして、本件不許可処分をしたものである。そして、原告Aについて「定住者」の在留資格該当性が認められないことは、前記に説示したとお りであるから、この点において、東京入管局長の判断に国賠法1条1項 の賠償責任は成立しない。 また、在留資格の変更の許可に必要な要件を具備していることの立証責任は、同申請をする外国人が負うところ、在留資格の変更の申請を受けた法務大臣等としては、当該外国人から提出された資料に基づいて、その希望する在留資格に変更することが適当と認めるに足りる相当の理 由があるか否かを判断すれば基本的には足りる(入管法20条3項本文)というべきであり、他の許可し得る在留資格が存在する場合があるとしても、入管法の規定上、当 ことが適当と認めるに足りる相当の理 由があるか否かを判断すれば基本的には足りる(入管法20条3項本文)というべきであり、他の許可し得る在留資格が存在する場合があるとしても、入管法の規定上、当然にその希望する在留資格を当該在留資格に変更すべきであることを教示しなければならない義務があるとまでは解されない。本件については、原告Aは、希望する在留資格を単に「定住 者」と記載して本件申請1をしたものであり、これを不許可とした東京入管局長の判断に誤りがない以上、客観的には「特定活動」への在留資格の変更を認める余地があったとしても、東京入管局長において、このような在留資格への変更を教示しなかったことに、国賠法上の違法があったということはできない。 これに対し、原告らは、本件不許可処分に際し、東京入管局長が通常尽くすべき法務省本省等への請訓又は上申をけ怠し、東京入管局長が本件不許可処分の判断にすら関わっていないことが、国賠法上違法である旨主張する。 前記認定事実イによれば、法務省入国管理局(当時)作成の入国・ 在留審査要領には、在留資格の変更の許可処分等に当たり、地方局長限りで判断することが困難な案件については、地方局長は法務省本省等に請訓しなければならないとされているところ、東京入管永住審査部門の担当者は、原告Aの本件申請1について、法務省本省等へ請訓することなく、東京入管内部の所定の決裁を経て、東京入管局長名義で本件不許 可処分をし、平成30年8月10日、出頭した原告Aに対し、その旨通 知したことが認められる。 しかしながら、入国・在留審査要領は、飽くまで入国管理当局内部において在留資格の変更や在留諸申請に関する事務の処理に当たり、その運用方針を定めた基準にとどまるものであり、これ たことが認められる。 しかしながら、入国・在留審査要領は、飽くまで入国管理当局内部において在留資格の変更や在留諸申請に関する事務の処理に当たり、その運用方針を定めた基準にとどまるものであり、これに違反したからといって、直ちに国賠法上の賠償責任が成立するとは解されない。また、本 件申請1の当時、入国管理当局においては、日本人との同性婚の相手方である外国人については、平成25年通知の運用の射程が及ばないと解されていたものであり、その時点において、平成25年通知に基づく運用の合理性について、疑義を呈した裁判所等による公権的判断が示されていたことを認めるに足りる証拠もない。 このことからすれば、東京入管において、原告Aの本件申請1について法務省本省等に対し請訓をせず、東京入管永住審査部門の担当官が専決に基づき、東京入管局長名で本件不許可処分をしたことに、国賠法上の違法があったと認めることはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 ウ次に、東京入管局長が本件通知をしたことについて国賠法1条1項に基づく賠償責任が認められるか検討するに、前記認定事実イによれば、原告Aは、令和元年6月20日、希望する在留資格を「定住者(又は『特定活動』)」とする在留資格の変更の申請をした(本件申請2)ことが認められる。このような本件申請2の内容からすれば、原告Aは、主位的 に「定住者」への在留資格の変更を求めるとともに、これが認められない場合に備えて、予備的に「特定活動」への在留資格の変更を申請していたか、仮にそのような予備的な申請が許容されないとしても、東京入管に対し「特定活動」への在留資格の変更を希望する意図を明確に示していたものと解するのが合理的である。 そして、原告Aについて たか、仮にそのような予備的な申請が許容されないとしても、東京入管に対し「特定活動」への在留資格の変更を希望する意図を明確に示していたものと解するのが合理的である。 そして、原告Aについては、平成25年通知において外国人同士の同 性婚の配偶者に認めている「特定活動」の在留資格と同様の在留資格の変更を認めるべきであったことは前記に説示したとおりである。これによれば、東京入管局長としては、「特定活動」への在留資格の変更を希望する意図を明確に示していた原告Aに対し、平成25年通知において外国人同士の同性婚の配偶者に認められる「特定活動」の在留資格と同 様の在留資格の変更を許可すべきであったということができるのであり、これに反する措置は、客観的には違法であったということができる。 そうすると、東京入管局長において、原告Aに対し、本件申請2について申請どおりの内容では許可することができないが、申請内容を「出国準備」を目的とする申請に変更するのであれば申出書を提出されたい 旨記載した本件通知をしたことは、本件申請2の趣旨に照らし、その内容として不十分なものであったというべきである。 しかしながら、本件申請2の当時においても、入国管理当局においては、日本人との同性婚の相手方である外国人については、平成25年通知の運用の射程が及ばないと解されていたものであり、その時点におい て、平成25年通知に基づく運用の合理性について、疑義を呈した裁判所等による公権的判断が示されていたことを認めるに足りる証拠はない。 また、前記認定事実イのとおり、東京入管局長は、出入国在留管理庁長官に対し、本件申請2について請訓し、その回訓を得た上で、これに基づき上記内容の本件通知をしたものであり、東京入管局長としては、 、前記認定事実イのとおり、東京入管局長は、出入国在留管理庁長官に対し、本件申請2について請訓し、その回訓を得た上で、これに基づき上記内容の本件通知をしたものであり、東京入管局長としては、 通常尽くすべき職務上の義務を尽くしているということができ、この点につき過失があるということはできない。 なお、平成30年11月20日の第197回国会参議院外交防衛委員会において、政府委員である佐々木聖子法務大臣官房審議官(当時)が、平成25年通知に基づき外国人同士の同性婚の配偶者については、その 者の本国で有効に同性婚が成立している場合には「特定活動」の在留資 格を付与しているが、日本人との同性婚の相手方である外国人については、このような取扱いによる入国、在留を認めていない旨答弁した後、更に質問を受けた河野太郎外務大臣(当時)において、この点に関し「明らかにおかしな話」であると指摘した上で、外務省から法務省に対し問題提起をし、政府内でこれを是正すべく前向きに検討している旨答弁し たことが認められる(甲28)。しかし、上記外務大臣の答弁は、政府内において上記問題点について認識し、その検討を始めたことを述べるにとどまるものであり、政府として最終的な結論や法的評価を示したりしたものではないから、これをもって、東京入管局長が本件通知をしたことに直ちに過失があるとはいえない。 これらの事情に照らせば、東京入管局長が本件通知をしたことに、国賠法1条1項に規定する過失があったと認めることはできない。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 エよって、原告らの本件国賠請求については、いずれも理由がない。 なお、原告らは、本件不許可処分等自体が、憲法14条、13条、22 らの上記主張は採用することができない。 エよって、原告らの本件国賠請求については、いずれも理由がない。 なお、原告らは、本件不許可処分等自体が、憲法14条、13条、22 条及び国際人権規約に違反する旨主張するが、前記のとおり東京入管局長の判断について、国賠法1条1項に規定する過失が認められず賠償責任が成立しない以上、上記の点について判断することは相当ではない。 第4 結論以上によれば、本件訴えのうち原告Aの本件第1事件に係る訴えは、不適法 であるから却下することとし、原告らの第2事件に係る請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官市原義孝 裁判官小西圭一 裁判官和田崇寛 (別紙)指定代理人目録は記載を省略

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