平成18(ワ)20202 共有物分割請求

裁判年月日・裁判所
平成19年4月26日 東京地方裁判所 その他
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本件は、原告A及びBが被告Cに対し、共有物である土地の分割を求めた事件である。原告らは、被告に対し金銭を支払うことで土地を共有とすることを求め、被告はその土地を単独所有とするための金銭支払いを求めた。主要な争点は、土地の分割方法であり、裁判所は現物分割が不適当であると判断し、全面的価格賠償の方法による分割を認めた。判決は、被告が原告に対し金銭を支払うことで土地を単独所有とすることを認め、支払わない場合は競売を命じる内容であった。

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判決文本文6,264 文字)

平成19年4月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成18年(ワ)第20202号共有物分割請求事件口頭弁論終結日平成19年3月28日判決東京都江東区原告A横浜市都筑区原告B原告ら訴訟代理人弁護士堀之内英二東京都港区(不動産登記簿上の住所・東京都港区)被告C主文 被告が,本判決確定の日から1か月以内に,原告Aに対し3028万4556円を,原告Bに対し1135万6708円をそれぞれ支払ったときは,(1)別紙物件目録記載の土地を被告の単独所有とする。 (2)各原告は,被告に対し,同土地について,共有物分割を原因とする各原告持分全部移転の登記手続をせよ。 被告が第1項の期間内に同項の金員の支払をせず,本判決確定の日から2か月以内に,原告Aが1927万1990円を,原告Bが722万6996円をそれぞれ被告に対し支払ったときは,(1)別紙物件目録記載の土地を原告らの共有(原告Aの持分11分の8,原告Bの持分11分の3)とする。 (2)被告は,同土地について,原告Aに対し持分198分の56につ き,原告Bに対し持分198分の21につき,それぞれ共有物分割を原因とする持分移転登記手続をせよ。 被告が第1項の期間内に同項の金員の支払をせず,かつ,原告らが第2項の期間内に同項の金員の支払をしないときは,別紙物件目録記載の土地について競売を命じ,その売得金(売却代金から競売手続費用を控除した金額)を原告Aに18分の8,原告Bに18分の3,被告に18分の7の割合で分割する。 ,,,, 訴訟費用はこれを18分しその8を原告Aのその3を原告Bのその余を被告の各負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判原告らは,別紙物件目録記載の土地の共有物分割を請求し, 訴訟費用はこれを18分しその8を原告Aのその3を原告Bのその余を被告の各負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判原告らは,別紙物件目録記載の土地の共有物分割を請求し,第1次的に,被告に対し原告Aが1927万1818円を,原告Bが722万6932円をそれぞれ支払うことによって同土地を原告らのみの共有(原告Aの持分11分の8,原告Bの持分11分の3)とする方法による分割を求めた上「被告は,,同土地について,原告Aに対し持分198分の56につき,原告Bに対し持分198分の21につき,共有物分割を原因とする持分移転登記手続をせよ」。 との裁判を求め,第2次的に「同土地について競売を命じ,その売得金を原,告Aに18分の8,原告Bに18分の3,被告に18分の7の割合で分割する」との裁判を求めた。 。 これに対し,被告は,被告が原告らに対し計4164万1263円を支払うことによって同土地を被告の単独所有とする方法による分割を求めた上「各,原告は,被告に対し,同土地について,共有物分割を原因とする各原告持分全部移転の登記手続をせよ」との裁判を求めた。 。 第2事案の概要 前提事実(証拠原因を掲げない事実は当事者間に争いがない)。 (1)別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という)は,原告A,原。 告B及び被告の共有(原告Aの持分18分の8,原告Bの持分18分の3,被告の持分18分の7)であり,その旨の登記がある。 (2)本件土地を原告ら及び被告が共有するに至った経緯ア本件土地は,もとはDが所有していた。 イ昭和37年10月21日,Dの死亡による相続により,その夫であるEが9分の3,長女である被告(昭和6年生,長男であるF及び二男であ)る原告Aが各9分の2の持分を取得した。 ウ昭和47年9月2 イ昭和37年10月21日,Dの死亡による相続により,その夫であるEが9分の3,長女である被告(昭和6年生,長男であるF及び二男であ)る原告Aが各9分の2の持分を取得した。 ウ昭和47年9月21日,Eの死亡による相続により,同人の持分(9分)(),。 の3の半分18分の3ずつをその子であるG及び被告が取得したエ平成16年4月21日,Fの持分(9分の2)を原告Aが買い受けて取得した(甲1,弁論の全趣旨。 )オ平成18年3月9日,Gの死亡による相続により,同人の持分(18分の3)を,その長女である原告Bが取得した(甲1,弁論の全趣旨。 )(3)本件土地の現況(甲2,3,4の1ないし3,15,弁論の全趣旨)本件土地は,別紙図面のA,C,G,F及びAの各点を順次直線で結ぶ線に囲まれたほぼ長方形の土地であり,面積が160.33㎡,4辺の長さが. (,),. (),. (), 48m間口AC 47mCG 07mGF15.73m(FA)であって,更地で制限物権及び担保物権は設定されていないが,接する公道との境界が確定していない。 (4)本件土地の分割について,原告らと被告との間で協議が調わない。 原告らの主張(1)原告らは,本件土地につき,被告と共同で第三者に売却して,その売得金を各人の持分に応じて取得することを希望してきたが,これに被告が応じないため,いわゆる全面的価格賠償の方法による分割により原告らのみの共有とすることを求める。 (2)上記方法による分割において賠償すべき被告の持分の価格は,本件土地の標準的価格が1㎡当たり42万5000円であるから,2649万8750円(原告A分が1927万1818円,原告B分が722万6932円)とするのが相当である。原告らには,そ 持分の価格は,本件土地の標準的価格が1㎡当たり42万5000円であるから,2649万8750円(原告A分が1927万1818円,原告B分が722万6932円)とするのが相当である。原告らには,その金員を支払う能力がある。 (3)上記方法による分割が認められない場合には,競売の方法による分割もやむを得ない。 被告の主張(1)被告は,本件土地は父母が残してくれたものであるので,これを守り通したいと考えているし,持ち家がなく賃貸マンションに居住しているため,本件土地上に建物を建てて居住することを念願している。 そこで,いわゆる全面的価格賠償の方法による分割により被告の単独所有とすることを求める。 (2)上記方法による分割において賠償すべき原告らの持分の価格は,本件土地の標準的価格が1㎡当たり42万5000円であるから,計4164万1263円とするのが相当である。被告には,その金員を支払う能力がある。 (3)上記方法による分割が認められない場合でも,競売の方法による分割だけは避けたい。 第3当裁判所の判断 共有物分割の申立てを受けた裁判所としては,当該共有物の性質及び形状,共有関係の発生原因,共有者の数及び持分の割合,共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値,分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し,当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ,かつ,その価格が適正に評価され,当該共有物を取得する者に支払能力があって,他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情,,が存するときは共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格 共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情,,が存するときは共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである(最高裁平成8年10月31日第一小法廷判決・民集50巻9号2563頁参照。 ) しかして,本件においては,以下のような事情が認められる。 (1)現物分割について本件土地は,その現況の面積が160.33㎡であり,これを単純に持分の割合に応じて原告ら分(計18分の11)と被告分(18分の7)とに現物分割すると,原告ら分は97.98㎡となり,被告分はわずか62.35㎡となる。しかも,現物分割をするに当たっては,原告ら分の土地と被告分の土地が,いずれもいわゆる接道義務を満たした上で,その価格が概ね11,(,対7になるようにする必要があるところ前記前提事実(3)に証拠甲1113,14)及び弁論の全趣旨を併せると,そのためには,例えば,別紙図,,,(. 面のABED及びAの各点を順次直線で結ぶ線に囲まれた部分 09㎡)を被告分とし,別紙図面のB,C,G,F,D,E及びBの各点を順次直線で結ぶ線に囲まれた部分(106.24㎡)を原告ら分とする分割方法が考えられ,面積や形状については若干の変更がありうるとしても,概ね上記のような分割方法が最も適切であると認められるが,上記のような分割方法では,被告分は狭小であり,原告ら分も,一定の面積は確保されるものの,不整形地となることからして,本件土地全体として相当の減価が見込まれる。 また,前記前提事実(3)のとおり本件土地とこれが接する公道との境界は確定していないから,本件土地を上記のようにして現物分割した場合,その前提と らして,本件土地全体として相当の減価が見込まれる。 また,前記前提事実(3)のとおり本件土地とこれが接する公道との境界は確定していないから,本件土地を上記のようにして現物分割した場合,その前提とした境界と将来確定する境界との間で不一致が生ずる可能性があり,当事者間に不公平が生じたり,本件土地の分筆登記ができなくなる虞れがある。 したがって,本件土地について現物分割は適さないというべきである。 (2)原告ら及び被告は,いずれも,現物分割は希望しておらず,第1次的には全面的価格賠償の方法により本件土地を取得することを希望している。なお,被告は,競売の方法による分割だけは避けたいと考えている。 (3)前記前提事実に弁論の全趣旨を併せると,原告らは,本件土地を取得した場合,これを第三者に売却する予定であり,他方,被告は,本件土地は父母の残してくれた財産であるからこれを手放したくないと考えているし,持ち家がなく賃貸アパートに居住していることから,本件土地を取得して,その地上に建物を建てて居住したいと考えていることが認められる。 (,)(,,(4) 証拠 甲11 及び弁論の全趣旨原告ら及び被告がいずれも本件土地の標準価格が1㎡当たり42万5000円であることを前提として賠償価格を算出していること)によれば,本件土地の適正価格は1㎡当たり42万5000円として計算するのが相当であると認められる。 そうすると,本件土地について,仮に被告の単独所有とする場合の各原告,,に対する適正な賠償の価格は原告Aに対するものが3028万4556円原告Bに対するものが1135万6708円となり,一方,仮に原告らのみの共有(原告ら間の持分比率を原告A8:原告B3とする共有)とする場合の被告に対する適正な賠償の価格は,原告Aからのものが19 円原告Bに対するものが1135万6708円となり,一方,仮に原告らのみの共有(原告ら間の持分比率を原告A8:原告B3とする共有)とする場合の被告に対する適正な賠償の価格は,原告Aからのものが1927万1990円,原告Bからのものが722万6996円となる。 (5)証拠(乙6ないし9)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,収入としては月約12万5000円の年金しかないものの,2200万円の供託金払渡請求権,約87万円の預金(日本円及び外貨,約1594万円の投資信託)を有するほか,生命保険に加入していて,これを現在解約した場合には1280万円程度の返戻金があることが認められる。そうすると,被告には上記3028万4556円と1135万6708円との合計4164万1264円を支払う能力があるものと認めてよい。もっとも,被告の年齢や収入のことを考えると,上記能力に一抹の不安が残らないではない。 一方,弁論の全趣旨によれば,原告Aは上記1927万1990円を,原告Bは上記722万6996円を支払う能力があるものと認められる。 上記2の事情を総合すると,本件においては,第1次的に被告の単独所有とする全面的価格賠償の方法による分割をし,第2次的に原告らのみの共有とする全面的価格賠償の方法による分割をすることが相当であると認めるべき上記1にいう特段の事情があるということができる。被告の単独所有とする全面的価格賠償の方法による分割を優先するのは,本件土地がいわゆる先代の遺産であるところ,原告らがこれを第三者に売却して換金することを考えているのに対し,被告はその地上に建物を建てて居住したいと考えていることから,後者を優先させるのが相当と認めるからである。また,被告の単独所有とする全面的価格賠償の方法による分割のみならず,第2次的に原告らのみの共有と はその地上に建物を建てて居住したいと考えていることから,後者を優先させるのが相当と認めるからである。また,被告の単独所有とする全面的価格賠償の方法による分割のみならず,第2次的に原告らのみの共有とする全面的価格賠償の方法による分割をも相当とするのは,賠償金についての被告の支払能力に一抹の不安が残らないではなく,被告が賠償金を支払えない場合には,直ちに競売を命じるより,原告らにも本件土地を取得する機会を与えることが公平にかなうからである。そして,被告及び原告らが賠償金を支払うための期間としては,諸般の事情を考慮すると各1か月が相当である。 そこで,被告が,本判決確定の日から1か月以内に,原告Aに対し3028万4556円を,原告Bに対し1135万6708円をそれぞれ支払ったときは,本件土地を被告の単独所有とし,被告が同期間内に同金員の支払をせず,本判決確定の日から2か月以内に,原告Aが1927万1990円を,原告Bが722万6996円をそれぞれ被告に対し支払ったときは,本件土地を原告らのみの共有(現在の各原告の持分の割合に応じた共有)とすることととし,原告らも同期間内に同金員の支払をしないときは,本件土地を競売に付してその売得金を持分に応じて分割することとする。 ,,,そして上記のようにして本件土地を被告が単独取得する場合は各原告は被告に対し,本件土地について,各原告持分全部移転の登記手続をすべき義務 ,,,がありまた上記のようにして本件土地を原告らのみが共有取得する場合は被告は,各原告に対し,本件土地について,各原告が取得すべき持分に応じて被告持分移転の登記手続をすべき義務がある。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第14部裁判長裁判官貝阿彌誠裁判官井出正弘裁判官水野有子は,転任のため署名押印 主文 に応じて被告持分移転の登記手続をすべき義務がある。よって,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第14部裁判長裁判官貝阿彌誠裁判官井出正弘裁判官水野有子は,転任のため署名押印することができない。 裁判長裁判官貝阿彌誠 (別紙)物件目録所在東京都大田区地目宅地地積159.76㎡

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