本件は、上告会社とその従業員の労働組合との間で締結された退職金に関する協約に基づく退職金債権の支払いを巡る争いである。上告人は、退職金の支払いに関する原判決に対して上告したが、裁判所は、原判決が上告会社が全従業員に対して退職金を支払うことを約束したことを確認しており、これが商法503条に基づく商行為として認められることを指摘した。さらに、原判決が退職金に対する遅延損害金の支払いを認めたことについても正当であると判断した。したがって、上告理由は理由がないとされ、上告は棄却された。判決の結論として、上告人が上告費用を負担することが明記された。
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人野村均一の上告理由について。 本件退職金債権は、昭和二三年八月二〇日上告会社と同会社従業員の属する労働組合との間に「退職金については工員にも社員規定を適用する」との協約が成立し、上告会社は、以後退職者には全従業員に対し退職金を支払う旨約した約定にもとずくものであることは、原判決の確定するところである。そうして、上告会社は、バス、トラツクの車体の製作及びバス運転の請負を業とする商事会社であることは、また、原判決の確定するところであるから、前示約定はこれを商行為と解すべきことは商法五〇三条の規定上明らかであつて、原判決が右退職金につき商法所定年六分の遅延損害金の支払を求める被上告人等の請求を容認したのは正当であつて、論旨は理由がない。 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官谷村唯一郎- 1 -
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