本件は、強盗強姦の罪で起訴された被告人が第一審判決に対して上告した事案である。上告の主な争点は、第一審で認定された事実の正当性と、起訴状の罪名変更に関する手続きの適法性であった。最高裁判所は、第一審判決が挙示した証拠に基づく事実認定を肯定し、原判決に違法はないと判断した。また、起訴状の変更が被告人の在廷中に行われたことから、特に通知する必要はないとし、手続きに問題はないとした。これにより、上告は棄却され、訴訟費用は全て被告人が負担することとなった。判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。
主文 本件上告を棄却する。 当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 被告本人の上告趣意及び弁護人坂本泰良上告趣意第一点について。 第一審判決の認定した所論強盗強姦の事実は、その挙示する証拠に照らしこれを肯認するに難くないのであり、この事実認定を肯定した原判決にも何等の違法もない。所論はいずれも事実審の裁量権に属する証拠の取捨乃至事実認定を非難するに帰着し、刑訴四〇五条所定の上告理由に該当しない。 同弁護人上告趣意第二点について。 記録によれば所論の如く第一審第三回公判において検察官が起訴状の罪名罰条を変更し、裁判所がこれを許可したことを認め得る。しかし、右罰条の変更が被告人の在廷する公判廷においてなされたものであること、しかも裁判長においてこれが変更に対する防禦準備のため公判手続停止の請求をなす機会を与えんとして特に陳述の有無を尋ねたのに対し、被告人及び主任弁護人はいずれもこれなき旨答弁していることも、また記録上明らかなのである。かくの如く、被告人の在廷する公判廷において罰条等の変更がなされた場合、これを更に被告人に通知することを必要としないものであることは、原判決の説示する通りである(刑訴規則二〇九条五項参照)。右と反対の見地の下に、第一審公判手続に刑訴三一二条違反ありとする所論には賛同することはできない。されば所論は理由なき単なる訴訟法違反の主張に外ならないのであつて刑訴四〇五条所定の上告適法の理由とならない。 よつて刑訴四一四条三八六条一項三号一八一条一項に従い主文の通り決定する。 この決定は裁判官全員の一致した意見である。 昭和二五年一一月一六日- 1 -最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩松三郎 主文 この決定は裁判官全員の一致した意見である。 昭和二五年一一月一六日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官岩松三郎 裁判官澤田竹治郎 裁判官齋藤悠輔
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