【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人中野峯夫上告趣意第一点について。 原判決は、被告人が偽造の特配指令書を真正なものの如く装つてA酒類販売株式 会社
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人中野峯夫上告趣意第一点について。 原判決は、被告人が偽造の特配指令書を真正なものの如く装つてA酒類販売株式 会社係員及びB配給統制株式会社関西支社係員を欺き真正な特配指令書を提出しな ければ買受けることのできない日本酒及び麦酒を買受けた事実を認定したものであ るから、詐欺罪成立の判示として欠くるところはないものである。論旨は配給制度 のあることを確定しなければならないというけれども、配給制度に基いて特配指令 書が発行されておることは公知の事実であり、被告人もこれを知つておればこそ指 令書を偽造したのであるから、配給制度の現存することを、ことさらに説示する必 要はない。又公定代金を代金を支払つたとしても真正な指令書を持つておるもので なければ買受けることのできないものであるに拘わらず偽造の指令書を真正な指令 書と詐り係員を誤信せしめて日本酒と麦酒とを買取つたのであるから、詐欺罪の成 立をさまたげるものではない。従つて論旨は採用し難い。 同第二点について。 しかし、原判決は被告人の自白を唯一の証拠として犯罪事実を認定したのではな く、被告人の自白の外にC、D提出の各始末書及び押収に係る第一号証乃至第四号 証を証拠に引用し、これ等各証拠を総合して判示事実を認定したものであることは 判文上明白であり、これ等各証拠は被告人の自白を裏書する証拠として最も適切な 典型的なものといわなければならない。従つて原判決は、被告人の自白を唯一の証 拠としたものでないことは明白であつて、論旨は、この点においても理由なきもの である。 次に論旨の如く被告人は昭和二十二年一月二十日勾留せられてより同年二月二十 - 1 - 六日保釈となるまで三十八日間拘禁されたことは明らかであるが(勾引されてより 勾留されるまで 由なきもの である。 次に論旨の如く被告人は昭和二十二年一月二十日勾留せられてより同年二月二十 - 1 - 六日保釈となるまで三十八日間拘禁されたことは明らかであるが(勾引されてより 勾留されるまでの間拘禁されたという事実は記録上明白でない)、本件は一審にお ける共同被告人は五人であり、犯罪行為は昭和二十一年七月三日頃より同年十一月 四日頃迄の間に百回以上も連続して行われた複雑した事件であり、公判の準備など にも相当の日時を要するものといわなければならないから不当に長い拘禁の後の自 白ということは当を得ない、しかのみならず、原判決において引用した被告人の自 白は、昭和二十二年六月十六日の原審公判(保釈中)において何等の拘束を受くる 事なく自由になされたものであるから不当に長い拘禁後の自白には該当しない。従 つて身柄拘束中の自白に基因するものであつて、証拠力が疑わしいという論旨は理 由なきものである。 同第三点について。 所論のごとき数字の不一致のあることは明らかであるが、原判決の認定した事実 中不正手段により日本酒と麦酒を買受けた回数と数量は何れも原判決に引用した証 拠に示されておる数量の範囲内であることは明らかであるから原判決は虚無の証拠 によつて事実を認定したものということはできないし、又理由に齟齬があるという ことも当を得ない、されば論旨は理由なきものである。 よつて裁判所法第十条第一号並に刑事訴訟法第四百四十六条により主文の如く判 決する。 以上は裁判官全員一致の意見である。 検察官 橋本乾三関与 昭和二十三年六月九日 最高裁判所大法廷 裁判長裁判官 塚 崎 直 義 裁判官 長 谷 川 太 一 郎 - 2 - 裁判官 霜 山 精 裁判長裁判官 塚 崎 直 義 裁判官 長 谷 川 太 一 郎 - 2 - 裁判官 霜 山 精 一 裁判官 井 上 登 裁判官 栗 山 茂 裁判官 真 野 毅 裁判官 庄 野 理 一 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 島 保 裁判官 齋 藤 悠 輔 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 岩 松 三 郎 裁判官 河 村 又 介 - 3 -
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